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騎手になるために生まれてきた

Umaninorutameni

戸崎圭太騎手が、中央競馬のジョッキーとして第一歩を踏み出す。安藤勝己騎手と入れ替わるような形になったのは偶然だろうが、遂に鳴り物入りの大物がやってきた。昨年まで、5年連続で南関東1位を保ち、そのうち4年は全国リーディングでもある。驚異的な実績をひっさげているにもかかわらず、まだ32歳と肉体的には若い。同じく南関東と全国リーディングの実績があった先輩・内田博幸騎手が中央デビューしたのは38歳のときであったことを考えると、この先どうなるのか楽しみでならない。日本一だけではなく、世界へと挑戦できる器のジョッキーである。

私が地方競馬にどっぷりと浸かっていたのは1995年前後のことだから、1998年にデビューした戸崎圭太騎手の地方競馬時代の騎乗を、あまり良く知らない。内田博幸騎手が、的場文男、石崎隆之、佐々木竹見という高い壁に何度も弾き返されながらも、なんとか這い上がったのは知っていても、戸崎圭太騎手はあっと言う間に頂上へと登り詰めたように感じるのはそれゆえか。戸崎圭太騎手もたくさんの壁に阻まれながらもここまで辿り着いたのだろうが、私には天才型の騎手に思えて仕方ないのだ。騎手になるために生まれてきたということだ。

一次試験に失敗した戸崎圭太騎手が再び挑戦するきっかけになったのは、2011年の安田記念だという。リアルインパクトに騎乗して、初めて中央競馬のG1レースを制したレース。実は私自身も初めて『優駿』に観戦記を書かせていただいたのが、この安田記念であった。『優駿』に文章を書くことは夢だったので、私にとってもひとつの夢が叶ったレースであった(と勝手な縁を感じたりしている)。リアルインパクトの馬体の素晴らしさと戸崎圭太騎手への乗り替りを理由に単勝馬券を買い、滅多にない的中となったこともあり、私は興奮気味に、戸崎圭太騎手の見事な騎乗をこう称えた。

地方競馬の騎手として中央競馬に参戦し続け、ようやく中央GⅠのタイトルを手に入れた戸崎圭太騎手にも賛辞を送りたい。最大の勝因は、迷うことなく勝ちに行ったこと。ペースが速くなるという予測はあったはずだが、斤量が軽いと加速がつきやすいことを利して、スタートから前々を攻めていった。その攻めの姿勢を支えるのは、あらゆる馬たちをゴールまで粘らせてきた、日々の実戦の中で培われた追う技術である。府中の坂を登り切ってから、リアルインパクトを叱咤激励する手綱捌きからは、鬼気迫るものを感じた。

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ここで私が書いた、「日々の実戦の中で培われた技術」こそが、戸崎圭太騎手の真骨頂である。騎手になるために生まれてきた男が、朝の調教から馬に跨り、1日に10近い実戦のレースで騎乗する毎日を14年間も過ごしてきたのだ。それはマルコム・グラッドウェルの唱える1万時間の法則などを遥かに超えてゆく。その道における(あえて言うならば)安易な天才や一流と称されるためには1万時間で十分かもしれないが、既存の枠組みを超えて、世界へと突き抜けていくには1万時間などでは到底足りない。それは限られた時間の中で生きざるを得ない、私たち有限の人間に突きつけられた問いでもある。君たちはどう生きるか、より多くの競馬ファンが見守る中央競馬の舞台で、戸崎圭太騎手はそう問うのである。

Photo by 三浦晃一

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Comments

こんばんは。地方からは戸崎騎手と一緒に福山競馬の岡田祥嗣騎手も合格しましたね。
岡田騎手は長年福山でトップを張ってきた騎手です。
地方騎手でありながら馬への当たりは柔らかく、直線は追える騎手ですが、何にもましてうまいのはコーナリングの技術でしょう。
福山競馬も今年の3月で廃止になります。
廃止になる前に福山競馬場や岡田騎手の福山での騎乗を見ていただきたくコメントさせていただきました。

私は10日に福山競馬場に出撃予定です。

Posted by: ぺんぺん | February 08, 2013 at 10:08 PM

ぺんぺんさん

こんばんは。

岡田騎手は素晴らしい騎手なのですね。

昔、広島に住んでいたことがあったのですが、福山競馬場はいけずじまいで岡田騎手の騎乗を見ることができませんでした。

中央競馬に参戦してくれるとのことで、こちらで見ることができて嬉しいです。

もちろん福山競馬場にも行ってみたいのですけどね。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 09, 2013 at 10:58 PM

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