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夢の3強グランプリを占う:ゴールドシップ

Goldship

続いては、フェノーメノと同世代の牡馬であるゴールドシップ。他の3頭(オルフェーヴルは残念ながら回避…)との大きな違いは、日高の生産馬であること。つまりそれほど血統が優れている馬ではないということだ。誤解を招かないように付け加えておくと、近親からこれといった活躍馬が出ていない母系ということである。それでもゴールドシップのような名馬が誕生したのは、もちろん突然変異であることは確かだが、よほどステイゴールド×メジロマックイーンの肌という血統構成の相性が良いのだろう。激しい気性が欠点ともなるステイゴールドを、落ち着いたメジロマックイーンが中和してマイルドにするのだ。

それからもうひとつ、この世代の牡馬で生き残った2頭がいずれもステイゴールド産駒というのも興味深い。高速馬場で行なわれた極限のダービーで、上位に食い込んだ馬たちの中で、ディープブリランテ、トーセンホマレボシ、ワールドエースというディープインパクト産駒は総じて脚元を傷めてターフを去ってしまったのに対し、ステイゴールド産駒の2頭は無事に走り続けているだけではなく、さらに成長を遂げているのだから恐ろしい。ダービーの時点ではまだ成長途上にあり、肉体的にも精神的にも、決して無理をして走らせていたわけではないということである。それで掲示板に載ったのだから、改めてゴールドシップとフェノーメノの2頭は能力が極めて高いことが分かる。

ゴールドシップの強さは、心肺機能の強さから来る無尽蔵のスタミナである。バテて止まってしまうことはなく、追えば追うほど伸びてゆく、近年稀に見る典型的なステイヤー。道中はスローに流れて、最後の直線に向いてのヨーイドンのような瞬発力勝負ではなく、ジワジワとレースが動き、なし崩し的に全馬が脚を使わされるようなレースを滅法得意とする。皐月賞や菊花賞、有馬記念を勝ったのは頷けるし、逆に日本ダービーを負けたのは納得で、ジャパンカップをスキップしたのは正解であった。陣営もゴールドシップの強みと弱みをきっちり把握しているということでもある。

それでは、ゴールドシップが天皇賞春で敗れたのはなぜだろうか。勝ったフェノーメノの上がり3ハロンは36秒2であり、決して上がりが速すぎて追いつけなかったというわけではない。むしろゴールドシップにとってはおあつらえ向きの、スタミナと地脚の強さを問われる天皇賞春になったはず。にもかかわらず、6着と凡走してしまったのは、ゴールドシップ自身の精神面の状態が良くなかったからだろう。内田博幸騎手がゴールドシップの背で叫びながら追っているように、もともと気性的に危ういところを秘めている馬であるが、3歳時は歯を食いしばって1年間トップレベルで走り通してきた。特に古馬と初対戦となった有馬記念などは、精神力だけで捲くったような走りであった。そういったレースが続いたことによる、精神的な疲労骨折が天皇賞春で起こったのだ。

一度気持ちが折れてしまった馬を、すぐ次のレースで立て直すことはなかなか難しい。特に、昨年のオルフェーヴルがそうであったように、気性が激しい反面、繊細なところがあるステイゴールド産駒の一旦崩れてしまった精神面のリズムを取り戻すのには、多少なりとも時間が掛かる。世界トップレベルのオルフェーヴルでも、阪神大賞典と天皇賞春と2度も続けて凡走したのは、肉体面というよりは、精神面で噴出した疲労が回復しなかったからである。ここまで気持ちの強さをテコにして良血馬を倒してきたゴールドシップが、今回の宝塚記念でどのような走りを見せてくれるのか、すべては彼の精神面での回復にかかっているのであり、そしてそれは走ってみるまで誰にも分からないのである。

Photo by 三浦晃一

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Comments

こんにちは。ゴールドシップですがどうやら種馬としての権利を社台が既に持ってるとか。春の天皇賞に関して付け加えるならスタートと1400〜1600m以外は道中11秒後半から12秒前半で淡々と流れています。この様な展開を春の高速馬場の京都で捲り切るのは至難の至難の技かと思います。今回の宝塚記念もシルポートの作るペースを考えると4コーナーで捲り切れるか難しいところ。恐らく陣営は一つ前の位置で競馬させたいはずです。その為に内田騎手が付きっ切りで稽古をつけてるのではないかと。果たして本番で共同通信杯の様に狙い通りのポジションに付けれたならばゴールドシップの勝機は見えてくると思います。

Posted by: ユータロウ | June 18, 2013 at 02:21 PM

参考になりました。またお邪魔します。

Posted by: たつぽー | June 20, 2013 at 09:15 PM

ユータロウさん

こんばんは。

お返事遅くなりましてすいません。

ゴールドシップの種牡馬権利を社台が持っているのですか…。

それは知りませんでしたし、仕方ない面があるとはいえ、日高で活躍してほしかったという思いもあります。

でも繁殖牝馬に恵まれて、新たなる芦毛伝説を作ってくれたらマックイーンも本望でしょう。

ゴールドシップの魅力は、至難の捲くり切りができる脚力を持っていることですが、それは不発に終わる可能性も秘めていますよね。

前半置かれてしまっているのは、精神面の問題もあると思うので、単純に追っ付けて行ってもおそらく止まってしまうはずです。

個人的には、馬の行く気に合わせて乗るしかこの馬の場合は力を発揮するのが難しいのではないかなと思います。

それでも捲くり切りが決まって爽快なレースを見てみたいという思いもあるんですけどね。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 20, 2013 at 09:26 PM

たつぽーさん

またいらしてください~。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 20, 2013 at 09:27 PM

こんにちは。
いつも造詣の深い著述ありがとうございます。
市井の競馬ファンが言うのも恐縮ですが、ゴールドシップの天皇賞5着はダービーのそれと基本的には同類の出来事だったと見ています。
但し、当時は次走が4ヶ月後の神戸新聞杯で、十分な休養と成長期間が取れたと思われ、
やはり今回は少し不安があるように思います。
ただそれで人気が落ちるなら敢えて狙ってみたいと思っていしまいます。
二十数年馬券を買い続け、すっかりギャンブラー思考が染み付いてしまったのかもしれません。(笑)
ただ確かなのは、ゴールドシップが本当に素晴らしい姿をしていることです。
競馬は他馬との比較が大切であり、またそれが本当に難しいのですが、今回の粒ぞろいの顔ぶれの中にあっても、私には最も素晴らしく見えてならないのです。
宝塚記念のイメージにピタリと嵌る訳でなく、むしろ適正ではジェンティルドンナが合うような気もしています。それでも、、、
ゴール板を大きなストライドで躍るように駆け抜けるゴールドシップ!やはりモノが違った!
なんてね。

Posted by: 愛知のポルンガ | June 21, 2013 at 07:20 PM

愛知のポルンガさん

こんばんは。

ゴールドシップ素晴らしいですよね。

メジロマックイーンにステイヤーのなんたるかを教えてもらった私にとって、まるでマックイーンの再来のような、古風なステイヤーであるゴールドシップは大好きな馬です。

この馬こそが凱旋門賞に挑戦してもらいたかったのですが、馬主としては一生に一度の宝物ですから、確実な日本でできるかぎり走らせたいという気持ちもよく分かります。

社台グループぐらい余裕がないと挑戦もできませんよね。

それにしても、天皇賞春はらしくない負け方だった気がします。

最終コーナーではもう手応えがなかったというか、馬が反抗していたように映りました。

それでも、今回、大外から捲くって勝ったら、鳥肌が立ちそうですね!

Posted by: 治郎丸敬之 | June 23, 2013 at 12:15 AM

It's wonderful that you are getting ideas from this piece of writing as well as from our dialogue made at this time.

Posted by: FelipeDGavia | June 23, 2015 at 11:56 AM

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