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コディーノの憂鬱(中編)

Codino

朝日杯フューチュリティSを使うことで、馬の記憶にマイル戦のリズムが刻まれてしまう。そうなると、ますますスローペース化する現代の日本競馬のクラシック戦線においては、マイナス材料にしかならない。目先のG1タイトルを手に入れることの代償は大きいのだ。

ここ10年ぐらいの間に、調教師を始めとする関係者たちがそのことに気づき始めた。朝日杯フューチュリティSを捨ててクラシックに賭けるか、それともクラシックを諦めてG1を獲りに行くか。どちらが正しい選択ということではなく、その馬の適性や将来性を考えた上での2択ということだ。

かの藤沢和雄調教師がそれを知らないわけがなく、それを承知で、それでも敢えて朝日杯フューチュリティSを使ってきたのはなぜだろう。私はてっきり藤沢和雄調教師がコディーノをマイラーだと判断したからだと考えていた。藤沢厩舎に初のG1タイトルをもたらしたシンコウラブリイの血を引くコディーノに、天性のマイラーとしての資質や狂気を見たのだろうと。

今から振り返ると、そうではなかったのかもしれない。関西に輸送することに不安があり、ラジオNIKKEI杯を嫌ったのかもしれない。もしくは、ただ単に、不確実な未来のクラシックレースよりは、目の前のG1を勝ちたかったのかもしれない。横山典弘騎手を背に乗せて。

いずれにせよ、使った以上は絶対に勝たなければならないレースであった。ところが、なんとなんと、ロゴタイプを捕らえきれずに敗れてしまったのだ。道中で横山典弘騎手が安全策を取り、馬群の外に出したその瞬間、コディーノがハミを噛み、ガツンと持って行かれてしまったことが敗因となった。その後のロゴタイプの活躍を考えると、相手が強かったということでもあるが、あそこで外に出していなければ、出すタイミングをもう少し待てていればというのが本音だろう。

勝ったデムーロ騎手がお互いの健闘を称えるように求めてきた握手に横山典弘騎手が応えられなかったのは当然だろう。2400勝も挙げている百戦錬磨のジョッキーが、絶対勝たなければならない一戦で下手を打ってしまったのだから。絶対に勝てるレースを落としてしまったコディーノ関係者の落胆も大きかったに違いない。

馬の関係者ほど騎手を厳しい目で見ている者はいない。1頭の馬がデビューする前から、その馬と寝食をともにして、1つのレースを目指してトレーニングをする。その成果が試されるのが本番のレースである以上、パドックから返し馬、そしてスタートしてゴールして帰ってくるまで、もう自分の馬とその鞍上の一挙手一投足を、目を皿のようにして真剣に観る。どれだけ小さな挙動さえも見逃さない。自分の馬の体調や実力をある程度は的確に掴んでいるため、ジョッキーの技量も把握しやすいのだ。ジョッキーにとってはごまかしが利かない、嘘がつけない相手というところだろう。

腕達者な横山典弘騎手に任せていたからこそ、口には出さなかったが絶対に勝てると信じていたからこそ、それが成しえなかったときの、あの外に出して持って行かれてしまったシーンが脳裏に焼きついて消えない。またコディーノが引っ掛かって、持っていかれてしまうのではないか。コディーノの距離適性における不安と横山典弘騎手に対する不信感。それはもう半分妄想に近いものではあるが、振り払っても振り払っても、関係者はそこから逃れることができなくなってしまう。

Photo by 三浦晃一

(後編へ続く→)

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