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底光りする毛艶のダコール:5つ☆

■新潟記念
ダコール →馬体を見る
今夏は高いレベルで好調を保っているが、今回は毛艶も底光りして絶好調の出来。
筋肉のメリハリもあり、全体のバランスも取れていて、あとは展開が向くかどうか。
Pad5star

サンシャイン →馬体を見る
4歳の牝馬らしく、こじんまりとコンパクトにまとまっている馬体にインパクトはない。
腹回りに多少余裕がうかがえるし、その分、トモに肉付きが増してくるとさらに良くなる。
Pad3star

トレイルブレイザー →馬体を見る
海外遠征帰りをひと叩きされて、筋肉に柔らか味が出てきているのは強調材料。
ただ、馬体全体の迫力という点においては前走の方が上であり、それがどう出るか。
Pad3star

ニューダイナスティ →馬体を見る
ディープインパクト産駒らしくコンパクトな馬体だが、小粒でピリリと辛いの典型か。
尾と尻の間に空間があって、後躯に力が盛り上がっていることが見て取れる。
Pad3star

エクスペディション →馬体を見る
前走は素晴らしい立ち姿だったにもかかわらず、馬場にも殺されてしまい惨敗した。
前回に比べると落ちるが、好調は続いているだけに、あとは走る気持ちの問題だけ。
Pad4star

コスモネモシン →馬体を見る
使われつつ、馬体に張りが失われ、表情からも覇気がなくなってきつつある。
馬体全体のバランスは素晴らしいものがあるだけに、きっかけが掴めると変わってくるかも。
Pad3star

■小倉2歳S
ベルカント →馬体を見る
いかにも短距離馬らしく、前躯が発達しており、腰高でスピードに乗るのが速そう。
馬体に重厚感がなく軽さがあるので、雨さえ降らなければ好走は間違いない。
Pad4star

ラブリープラネット →馬体を見る
前躯に重厚感がある割には、後躯に力強さがなく、全体のバランスが良くない。
パワーには溢れているので、軽快なスピードよりも、パワーが要求される馬場になれば。
Pad3star

ホウライアキコ →馬体を見る
馬体だけを見ると未完成であり、現状は素質だけで走っている印象を受ける。
それがヨハネスブルグ産駒の特徴なのだろうか、重賞クラスでどこまで通用するか楽しみ。
Pad3star

ベルルミエール →馬体を見る
2歳牝馬にしては鍛え上げられた肉体を誇り、現時点での完成度は高い。
毛艶は物足りないが、立ち姿も勇ましく、馬体全体のバランスも文句なし。
Pad3star

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「競馬場の風来坊」を読み解く(その2)

Keibajyonohuuraibou

日本の競馬におけるスローペース症候群について言及され始めて久しい。私が競馬を始めてから20年以上が経ち、サンデーサイレンスの血の影響や調教技術の進歩、外国人ジョッキーの参戦など、あらゆる要素が複雑に絡み合い、スローペース化は少しずつ進行してきた。そうなると必然的に最後の数ハロンにおける瞬発力勝負が多くなり、速い上がりに対応することが勝利へとつながる。できるだけ前に位置できる馬にとっては有利となり、スタートが上手く、馬を巧みに御してポジションを確保できる騎手は安定した成績を残すことができるようになった。

そんな中、仕掛けのタイミングに対する騎手の考え方も、少しずつ変わってきている。かつてはゴール前で馬が止まってしまい、何とか持たせようとして騎手バタバタするのは恥とされた。ゴールした瞬間に馬のスタミナがゼロになるような仕掛けが理想であり、馬が歩いてしまうのは、手応えから残っている脚を測ることができず、勝負を焦って仕掛けてしまったジョッキーが悪いということである。だから、脚を余して負けるよりも、早仕掛けで負けることで師匠に怒られるケースの方が圧倒的に多かったはずである。

そして、そのことは転じて、一流と呼ばれる騎手たちの美学にもなっていった。どこまで仕掛けを我慢できるかという我慢比べ。能力が同じ馬であれば、少しでも早く仕掛けた方が差される、という騎手の感触といおうか、直感といおうか、哲学のようなものがその根底に流れていた。勝ちたいという気持ちが馬に伝わり、動いてしまった者から負けてゆく。この仕掛けのタイミングの葛藤の中にドラマがあり、私たち競馬ファンもそれを楽しんだ。武豊、岡部幸雄、田原成貴らによって、我慢に我慢を重ねて仕掛けられた馬が、ゴール前で他馬をハナ差で差し切るシーンに私たちは痺れたものだ。

騎手というものは仕掛けて出るときの勇気より我慢するときの勇気の方が数段重い。その想い胸が締め付けられるがごとし!!それに耐え切れぬ者はゴール前の僅か10メートルに泣く、その苦しさに耐え切れる勇者だけがゴール前の10メートルに笑うことができる。我慢の時間長くて5秒、短くて、手綱を握りし拳に神経を持っていく、時間に表すことのできない僅かな時間、しかしそれが騎手にとっての一生の重さの時間でもある。私とて、その勇気を出せなくて泣いたこと数知れず、騎手人生泣いた多さと重たさの分だけ、仕掛けの我慢時間は長くなる…。
(「競馬場の風来坊」より)

私はサクラチトセオーという馬に、ジョッキーの仕掛けのタイミングの機微を教えてもらった。走る能力は極めて高いけれど、使える脚が短く、人間が急かしてしまうと一気にリズムを崩して脚を失ってしまうような繊細な牡馬であった。馬券を買って、早仕掛けで伸び切れないレースを何度見せられたことか。主戦の小島太騎手も試行錯誤を重ね、最後のチャンスであった天皇賞秋でようやく渾身の仕掛けで全馬を差し切ってみせたのである。小島太騎手は基本的には強気の仕掛けで負けることが多かったが、このレースは文句の付けようのない美しさであった。田原成貴はこの仕掛けを満点の仕掛けと絶賛し、私もそうだと思った。

時代は移り変わり、今は少し早く仕掛けて、ゴール前で馬の脚が上がって不格好になっても、最後まで粘らせる乗り方が主流になってきている。早仕掛けで負けてしまう方が、仕掛けを我慢して脚を余して負けてしまうよりも納得してもらえる。その変化には、冒頭に挙げたスローペース化が大きく影響していることは間違いない。我慢しているだけでは負けてしまう、脚を余してしまうレースが増えてきたということであり、自ら動いて勝ちにいかなければならなくなった。どちらが正しいとか、どちらが美しいという問題ではなく、その時代に合った乗り方であり、哲学の変化でもあるのだ。


第4コーナーを直線的に回った小島太騎手の騎乗に脱帽

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新潟記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Niigatakinen

■1■血統の偏りが見られるレース
過去12年間の新潟記念の勝ち馬の父もしくは母父は以上のとおり。

サンプレイス(父トニービン)
トーワトレジャー(父トニービン)
ダービーレグノ(父トニービン)
スーパージーン(父サッカーボーイ)
ヤマニンアラバスタ(父ゴールデンフェザント)
トップガンジョー(父マヤノトップガン、母父ゴールデンフェザント)
ユメノシルシ(母父トニービン)
アルコセニョーラ(父ステイゴールド)
ホッコーパドゥシャ(父マヤノトップガン)
ナリタクリスタル(父スペシャルウィーク)
トランスワープ(父ファルブラヴ)

驚くべきことに、トニービンを父もしくは母父に持つ馬が4頭も勝利している。また、トニービンと同じグレイソブリン系のゴールデンフェザントを父もしくは母父に持つ2頭もいる。さらに、実はサッカーボーイとステイゴールドは近親にあたる。これだけ血統の偏りが見られるレースも珍しく、新潟記念が行われる舞台(コース、馬場、距離)があらゆる意味で最適であるということに他ならない。

■2■トップハンデ馬は疑ってかかれ
新潟競馬場が新装となった2001年以来、トップハンデ馬は【1・0・2・11】と、勝ったのは2011年のナリタクリスタルのみ。速いタイムの出る軽い馬場だけに、斤量がこたえているということではないだろう。ただ単に、トップハンデを振られた馬たちが、それに相応しい走りが出来ていないだけのことである。

なぜかというと、トップハンデ馬が好走した近走と今回の新潟記念では、全く条件が違うからである。パワーや瞬間的な脚が要求された七夕賞や小倉記念などで好走してきた馬が、重いハンデを強いられ、スピードの持続力を問われる新潟記念で凡走してしまうのは当然といえば当然と言える。全てのトップハンデ馬が適性を欠くということではないが、まずは疑ってかかった方が得策か。

■3■スピードを持続させるスタミナが問われる
過去10年間のレースラップは以下のとおり。

12.7-11.1-11.7-12.0-12.4-12.2-11.8-11.5-10.8-12.5(59.9-58.8)S
12.9-10.8-11.3-11.6-12.5-12.6-11.8-11.7-10.4-12.1(59.1-58.6)M
13.2-11.8-12.2-12.2-12.8-12.5-11.4-11.3-10.4-12.3(62.2-57.9)S
12.6-10.9-11.5-11.5-11.8-12.3-11.9-11.7-10.6-12.4(58.3-58.9)M
12.8-11.2-11.1-11.1-11.9-12.3-11.9-11.8-10.9-12.8(58.1-59.7)H
13.0-11.1-11.6-11.1-12.0-12.4-12.0-11.6-10.8-11.9(58.8-58.7)M
13.1-11.4-12.1-12.2-13.0-12.6-11.7-10.9-10.4-12.2(61.8-57.8)S
12.9-11.4-11.9-12.0-12.4-12.1-11.4-11.1-11.0-12.2(60.6-57.6)S
13.2-11.0-11.9-12.0-12.8-12.4-11.7-11.2-10.9-12.0(60.9-58.2)S
12.8-11.2-11.8-12.1-12.5-12.4-11.7-10.9-10.3-11.9(60.4-57.2)S

最後の直線が659mと長いため、道中はスローに流れ、異常なほどに速い上がり3~4ハロンのタイムが計時される。このようなレースでは、スピードを持続させるスタミナが問われることになる。トニービンやサッカーボーイ、ステイゴールド、スペシャルウィーク、リアルシャダイの血を持つ馬の活躍が目立つのはそういう理由でもある。

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集中連載:「複雑系の競馬」第7回

Hukuzatukei08

■「ゆらぎ」を抑える
しかし、ブラックボックスの中で起こっている出来事を知ることは出来ないが、出口と入口が分かっている以上、私たちは出力と入力のコントロールによって、「ゆらぎ」をある程度は抑えることができるのではないだろうか。

たとえば、スピーカーから出てくる音をイメージしてみてほしい。デッキのつまみをひねって音量を目一杯に上げる(出力を大きくする)と、普通の音量では聞こえなかったザーという音のノイズが聞こえるはずである。ここでいうノイズとは、『複雑』な現象における「ゆらぎ」である。音量(出力)が大きければ大きいほどノイズ(「ゆらぎ」)も大きくなることは想像に難くないだろう。つまり、出力を抑えることによって、「ゆらぎ」も抑えることができるのだ。
 
さらに、今度は音質の悪いテープをデッキに入れ(入力し)再生したとする。そうすると、音質の良いテープを入れた時よりも、同じ音量(出力)でもノイズ(「ゆらぎ」)は大きくなるはずである。ノイズの大きいものを入力すればするほど、出力も大きくなるのは当然だろう。つまり、ノイズ(「ゆらぎ」)の小さいものを入力することによって、出力される「ゆらぎ」をも抑えることができるのである。このことからも、全体としての「ゆらぎ」を最小限に抑えるためには、出力をできる限り絞り、入力時にできる限りノイズ(「ゆらぎ」)の少ないものを入れなければならないことが分かる。

それでは、競馬における出力と入力をどのようにコントロールするのか。これに関しては、これと言った正解があるわけではない。自分の馬券のスタイルに合わせて、それぞれが考えてみてほしい。敢えてヒントを挙げるとすれば、たとえば出力に関しては、単勝の馬券で勝負するということである。単勝はそのレースにおいて勝つ馬さえ分かれば当たりとなる。2着の馬まで当てなければならない連勝式よりも、3着に入る馬まで拾わなければならない3連単や3連複に比べると、単勝の方が出力を絞ることが出来るだろう。

たとえば入力に関しては、紛れの少ないコースで行われるレースに賭けるということである。競馬というブラックボックスにおいて、「ゆらぎ」を生じさせる一因として、コースの設定が挙げられる。紛れ(不確定要素)が生じやすいコースにおいては、当然、結果における「ゆらぎ」も大きくなってしまう。だからこそ、紛れの少ないコースで行われるレースを選んで賭けることによって、入力時におけるノイズ、つまり「ゆらぎ」を少なくすることが出来るだろう。

もちろん、これで完全に『複雑』な現象に対処できるわけではないが、それぞれが自分のスタイルに合った形で「ゆらぎ」を抑えることによって、少しでもコントロールできる領域を広げていくことが出来るのではないだろうか。

(次回へ続く→)

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小倉2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Kokura2sais

■1■外枠有利
過去12年の枠順別の成績を見てみると、内枠(1~4枠)に入った馬が【4・3・4・69】、外枠(5~8枠)が【8・9・8・72】と、勝率にしておよそ3%、連対率にしておよそ10%の差がある。これには大きく2つの理由が考えられる。

1) 開催最終週となるため馬場の内側が荒れている
2) キャリアが浅いため、馬群の外の方がスムーズにレースができる

1)に関しては説明するまでもないだろう。2ヶ月近くにわたる開催期間だけに、さすがの小倉競馬場の野芝も相当に荒れてきているということだ。特に3~4コーナーにかけての内側の芝は、見た目以上に痛んでいるはずである。

2)については、多くても3戦、少なければたった1戦のキャリアの出走馬が多いレースである。いきなりレベルの高いレースにおいて、馬群の中で揉まれてしまうと、最後まで自分の走りが出来ずに終わってしまう馬が多いということである。キャリアが浅い馬にとっては、多少の距離ロスがあったとしても、外枠からスムーズに自分のリズムで走られるメリットの方が大きい。

■2■牝馬の活躍
過去12年の性別の成績を見てみると、牡馬のわずか4勝に対し、牝馬が8勝と圧倒的に牝馬の方が強いことが分かる。この時期の牡馬と牝馬では、同斤量であってもほとんど走る力に差はなく、完成度の高い牝馬に軍配が上がることが多い。とにかく前に行って押し切るスピードが問われるので、最後まで集中して前向きに走り切る牝馬の方が、この時期は信頼が高い。

■3■ハイペース必至だが先行馬有利
過去12年の前半後半のタイムを比べてみたい。
        前半   後半
平成13年 33.7-36.9 ハイペース
平成14年 33.3-36.5 ハイペース
平成15年 32.9-36.4 ハイペース
平成16年 33.4-34.8 ハイペース
平成17年 33.6-35.5 ハイペース
平成18年 32.5-35.9 ハイペース
平成19年 33.5-35.8 ハイペース
平成20年 33.2-35.9 ハイペース
平成21年 33.8-35.2 ハイペース
平成22年 33.1-35.6 ハイペース
平成23年 33.4-35.4 ハイペース
平成24年 32.7-35.2 ハイペース

いずれの年も、前半後半の落差が2秒以上もしくは近くあるように、ハイペース必至であることが分かる。スピードを武器に行きたい馬が揃うため、スローはもとより、ミドルペースでさえ望めない。これだけ前半が速いと、差し馬にとって有利なレースになりやすいのだが、意外にも先行馬が活躍している。これは小倉1200mというコース形態ゆえであり、さすがに逃げ馬にとっては厳しいが、直線の短さを考慮すると、ハイペースを追走できてバテない先行馬を狙うべき。

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「競馬場の風来坊」を読み解く(その1)

Keibajyonohuuraibou

田原成貴のことをどう呼んでいいのか、折に触れて迷うことがある。田原成貴元騎手、それとも田原成貴氏、もしくは田原成貴。田原成貴元騎手だと、おそらくJRA的にはタブーであり、騎手であり調教師でもあった事さえ認めたくない心境の人もいるのではないか。田原成貴氏だと、彼のキャラクターからして、やや堅苦しい気もする。田原成貴だと、神格化してしまったようで、少しくすぐったい感じだ。つまり、田原成貴(今回はこれで)という人間が、それだけ多面的な要素を持っていたということであり、掴みどころのない、まさに個性的なジョッキーであった。

そして、ジョッキーが書いた本の中では、この「競馬場の風来坊」が最高傑作だと私は思う。これまでたくさんの著名な騎手たちが書いた(語った)本を読んできたが、ここまでレースの攻防や馬乗りの技術や奥深さを言葉で表現したものはなかった。田原成貴ほど騎乗の言語化に長けているジョッキーはいなかったということだ。あの武豊騎手でさえ、この点においては田原成貴の足元にも及ばない。騎手が自分の言葉で綴った稀有な1冊であり、後にも先にもこのような騎手本が出版されることはもうないだろう。

もう今から17年も前に書かれた内容ではあるが、決して色褪せず、むしろ今こうした文章が読めないだけにより鮮やかにも見える。私も数え切れないほどの付箋を貼っている1冊であり、せっかくなので何回かに分けて、彼の切れ味鋭い言葉を切り取りながら、少しずつ読み解いていければと思う。

勝った的場騎手。彼のよいところは数えればキリがないので、今回はこのレースで目立ったところだけを書いてみたいと思う。道中、馬との折り合いをつけた時、そして最後に馬の最大の瞬発力を発揮させたときの足首の柔軟性、バネの素晴らしさ!騎手として技術ある者は多い。しかし、その技術に己の持つ瞬発力を加えて、馬に伝えられる者ひとにぎりであろう。的場均は、むろんその一人であり、足首の数センチの動きで馬を御せる人である。

そして、もっと大事なことは、このレベルの足首をどこまで維持できるかであろう。誰とは言わぬが、足を思いっきり突っ張り、コブシを馬の亀甲より20数センチも上げて乗るようになったら、いくら勝ち星をあげようとも騎手という職業は終わりである。(15ページ)

田原成貴の素晴らしいところは、たとえライバルであってもよいところを見る視点である。騎乗に関しては、己にも他者にも厳しい視点を持っているのであるが、その上で自分以外のジョッキーにも最大限の敬意を払っている。今回は紹介しないが、私は田原成貴が岡部幸雄元騎手について書いた尊敬と愛情溢れる文章が好きである。起点として、競馬や馬乗りを愛しているという真っ直ぐな気持ちがあるからこそ書けるのである。「技術に己の持つ瞬発力を加えて、馬に伝えられる者ひとにぎりであろう」という的場均評など、読むだけでグラスワンダーの上で肩ムチを叩いている姿が目に浮ぶようで、田原成貴にしか書けない。


スペシャルウィークがあっさりと抜き去られたあの瞬間は絶対に忘れられない。

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集中連載:「複雑系の競馬」第6回

Hukuzatukei07_2

■『複雑』な現象における可能性
競馬というゲームが、全くデタラメで予測不可能だということではない。もし神の視点というものがあるとすれば、競馬はこうなると分かっている決定的な状況にて行われている、予測可能なゲームなのであり、一方、神ならぬ人間である私たちの目には、ランダム(確率的)に振る舞っているように見えるだけなのである。

世の中の『複雑』な現象が完全なデタラメならば、そういった状況において未来を予測することは無意味かもしれない。しかし、私たちが相手にすべき『複雑』は、こうなると分かっている決定的な状況において起こっているのである。そして、そこにこそ、私たちにとってのわずかな可能性が残されているのではないだろうか。

たとえ全体から見ればごくごく小さな部分しか理解できないとしても、それらの部分を手がかりとして、全体のおおまかな形状を推測することは可能かもしれない。もちろん、全く方向性の違った全体を推測してしまうこともあるかもしれないが、人間が知り得るわずか一部分から、全体の未来における推測をすることは、全くの無駄ではないだろう。与えられたわずかな手がかりを工夫して用いることによって、全体の形状、方向性に少しでも近づくことが出来るかも知れない。そういう可能性が私たちには残されているのだ。

そこで、私たちに残されたわずかな可能性を求めて、競馬という『複雑』なゲームに対する2つの攻略法を提案したい。

①「ゆらぎ」を抑える
②「ゆらぎ」の意識的な導入

■ブラックボックス
①の「ゆらぎ」を抑える、ということを分かりやすく説明するために、ブラックボックスという概念を用いてみたい。ブラックボックスとは、その中では何が起こっているのか誰にも分からない箱のことである。

たとえばAというものが左から入ったとする。そしてブラックボックスの中を通って右から出てくるときにはBというものなっている。ブラックボックスの中でなんらかの操作が行なわれて(起こって)AからBに変化したのであるが、私たちはその中で行われていることを知ること(見ること)ができない。私たちが知り得るのは、AがBに変化したという事実のみである。

Blackbox

ブラックボックスの中は“カオス”であり、私たちにとっては、AがまるでランダムにBになっているように見えるであろう。しかし、『複雑』な現象における“カオス”は決定的な状況において行われているため、実はこのブラックボックスの中では、確実になんらかの操作が行われていると考えることができる。結果としてはランダムに映るが、実際はなんらかの操作が『複雑』な現象の中では行われているのである。

競馬においては、競馬のレースがブラックボックスである。どれだけ私たちが頭を捻って全ての部分(要素)を予想しても-これをAとする-、一度レースというブラックボックスの中に入ってしまうと、結果はアッと驚くBとなって出てくる。レースというブラックボックスを通ったAは、各部分(要素)間の相互作用によって「ゆらぎ」が生じてしまい、私たちの目にはランダム(でたらめ)な結果Bとしてブラックボックスから出てくるのだ。

(次回へ続く→)

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新潟2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Niigata2sais

■1■早熟のマイラーを狙え
マイル戦で行われるようになった過去10年の勝ち馬をみると、朝日杯フューチュリティSの勝ち馬が2頭(マイネルレコルト、セイウンワンダー)出ていることが分かる。G1馬を2頭も出しているのだから、新潟2歳Sも十分な出世レースといえるのだが、どうにもスケールの小ささは否めない。ジャングルポケット、アドマイヤムーン、ロジユニヴァースを出した札幌2歳Sと比べ、わずか200mの距離の違いにもかかわらず、この隔たりはなんだろうか。

気候などの環境が良い札幌には、素質馬やトップジョッキーが集まりやすいという事情はさておき、新潟2歳Sに出走する馬はマイルがドンピシャであることが多い。野芝がびっしりと生え揃った新潟の馬場は、札幌競馬場の洋芝に比べると、圧倒的に軽くて走りやすい。驚くべき好タイムが出るのはそれゆえである。同じ距離を走ったとしても、野芝と洋芝の馬場では要求されるスタミナが違ってくるのだ。

そうは言っても、新潟競馬場の1600mコースは外回りで最後の直線が659mと長く、単なるスピード馬では乗り切れない。ゴールまでスピードを持続させるスタミナが必要とされるのだ。さらに、この時期の完成度も高くなければならない。つまり、簡単に言うと、新潟2歳Sは早熟のマイラーを狙えということである。

■2■牡馬と牝馬は互角
前述したとおり、新潟競馬場1600mコースは外回りで最後の直線が長く、ごまかしの利かないフェアなコースである。コーナーリングの器用さや一瞬の脚だけでは勝ち切れない。最後は激しい叩き合いと追い比べになることだろう。そういった意味でも、牝馬よりも牡馬にやや分があると言ってよいが、過去9年の勝ち馬を見てみても、牡馬の5勝に対し牝馬は4勝と、案外、牝馬も牡馬と互角に戦っている。タフなレースにはなるが、直線が平坦であることからも、非力な牝馬でもパワー不足に泣くことはない。

■3■直線は外に出す
スタートから最初のコーナーまでの距離が長く、コーナーも2つしかないコース形態のため、枠順による有利不利はほとんどないと考えてよい。コーナーの回りがきついことを考慮すると、外枠で外を回されるよりも内の方が良いことは確かだが絶対条件でもない。ジョッキーの腕でいくらでもカバーできる部分である。

しかし、直線では外に出した馬の方が伸びる。いくら絶好の野芝とはいえ、最終週であることは確かなので、使い込まれて傷んだ内よりも外の方が走りやすい。また、直線を走る距離が長いので、その分、良いところを走られる馬とそうでない馬との差が出てしまうのである。まとめると、道中は内を走りながら、直線では外に出して走られる馬が狙い目である。

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“野芝”か“洋芝”か、それが問題だ。(再掲)

毎年、うだるような暑さが続くこの時期になると、私たち競馬ファンは、“洋芝”や“野芝”という言葉を耳にタコができるほど聞かされていることだろう。「血統的にこの馬は洋芝適性がある」とか、「野芝100%の絶好の馬場だからレコード決着になりそう」など、中央開催時には聞いたこともない会話が飛び交う。“洋芝”や“野芝”は、夏競馬を攻略するためには、必ずや知っておかなければならないキーワードであることは疑いようがない。

野芝は暖地性の芝草であって、気候が暖かくなる6月から成長を開始し、8月の一番暑い時期に最盛期を迎える。野芝は非常に強靭で、耐久性が高い。地面に地下茎を張り巡らせて横にネットワークを作るため、馬の蹄が当たって多少の衝撃があろうともビクともしない。野芝が生え揃った状態の馬場には、押すと弾き返すといったクッションが感じられ、硬くてスピードが出る。主に新潟、小倉競馬場が野芝100%の芝コースを採用している。

Nosiba

野芝の弱点は、寒さに弱く冬枯れしてしまうということである。野芝しか使っていなかった昔の中山競馬場の馬場は、暮れになると芝がまるで土のような色になり、見映えは決して褒められたものではなかったことを思い出す。当時、ジャパンカップに来た外国人関係者が、「芝のコースはどこにあるのですか?」と尋ねたという笑い話は有名である。

洋芝は寒地性の芝草である。洋芝の葉の密度は野芝よりもずっと濃いため、馬の蹄が芝の上に着地してから、芝が倒れて足の裏が地面に着くまでに時間差があるように感じる。野芝が押すと弾き返すクッションであれば、それとは対照的に、洋芝は押すと凹んで力を吸収するクッションである。それゆえ、洋芝の芝コースは重くて、パワーとスタミナが必要とされる。主に札幌、函館競馬場が洋芝100%の芝コースを採用している。

洋芝の芝コースは極めて美しい。次々に新しい芽が吹いて密度がどんどん高まり、しかも寒い時期でも冬枯れしないため、芝コースを1年中緑に保つことも可能である。野芝に比べ、洋芝はテレビ映りが断然にいいのだ。

Yousiba

しかし、強度と耐久性という点では野芝に劣る。馬の蹄が強く当たると、根こそぎ芝が剥がれてしまうこともあり、ポカっと穴があいてしまい危険である。また、高温の夏には夏枯れしてしまうことがあり、さらに雨が降ってしまうと途端に馬場が悪化することもある。だからこそ、洋芝100%の芝コースは札幌と函館競馬場のみでしか成立しない。

たとえ同じ芝でも、“洋芝”と“野芝”ではこれだけの違いがある。野芝100%の芝コースで行われる新潟、小倉競馬場ではスピードと軽さが求められるのに対し、洋芝100%の芝コースで行われる札幌、函館競馬場ではパワーとスタミナが求められる。これだけ相反する要素が問われる以上、その馬が“洋芝”と“野芝”のどちらに適性があるのかを知らなければ、夏競馬で勝ち馬を見つけることは難しいのである。

“野芝”と“洋芝”に対する適性を見極めるためには、「血統」、「走法」、「馬体」、の3点に注目しなければならない。

まずは「血統」から述べていくと、かなり大雑把ではあるが、野芝は内国産(もしくは日本で走った)種牡馬を父に持つ馬、洋芝は欧州の血を引く馬と考えると分かりやすいだろう。なぜ野芝が内国産(もしくは日本で走った)種牡馬を父に持つ馬かというと、実際に日本の軽い芝で活躍したからである。レコードが出るようなパンパンの馬場で勝った馬や、上がり3ハロンが33秒台で決着するような一瞬のトップスピードが問われるようなレースを制した馬だからこそ、種牡馬になれたのである。スピードと軽さを備えた種牡馬の血を引く馬が、野芝のレースを得意とするのは当然といえば当然といえる。

サンデーサイレンス系以外のひと昔前の代表格としては、サクラバクシンオーやタイキシャトルが挙げられる。この2頭の現役時代のスピードと軽さは、どちらもスプリンターズSをブッちぎって勝っているように、今さら説明する必要もないだろう。サクラバクシンオーはスプリンターズSを連覇したし、タイキシャトルは京王杯スプリングカップではゴール前、岡部幸雄元騎手が馬を追うのではなく引っ張っていた。それだけ他のサラブレッドとは別次元の速さがあったということだ。もっともサクラバクシンオーもタイキシャトルもパワーも兼備していたので(後者はフランスのG1レースを勝っている)、洋芝でも産駒は走るのだが、野芝でスピードを争うレースを最も得意とすることは間違いない。

また、サンデーサイレンス系としては、ダンスインザダークやスペシャルウィーク、最近ではディープインパクトやハーツクライらが台頭してくる。いずれもサンデーサイレンスからスピードを受け継いでいて、それを驚異的な瞬発力に変換して大レースを制した馬たちである。母系に綿々と流れる豊富なスタミナをベースとして、かつ手脚に軽さがあるからこそ、一気にギアチェンジが可能だったのである。ダンスインザダークが3000mの菊花賞で繰り出した、ラスト3ハロン33秒8の末脚には驚きを隠せなかったし(私は差しきられたロイヤルタッチを買っていた)、スペシャルウィークも3200mの天皇賞春を34秒2の瞬発力で、コテコテのステイヤーであるメジロブライトを下した。これらの種牡馬の産駒は、特に野芝で行われる中距離のレースでスピードと軽さを生かすことができるのだ。

なぜ洋芝が欧州の血を引く馬かというと、洋という言葉が示す通り、欧州の重い馬場をこなしたパワーとスタミナがあるからである。たとえば、トニービンやダンシングブレーヴのように、脚が埋まってしまうような馬場をものともせず、凱旋門賞を制した馬には計り知れないパワーとスタミナがある。あのディープインパクトでさえ、苦しがって最後の直線で3度も手前を替えていたレースを制したのだから、2400mという距離以上のスタミナもあるのは確かである。こうした名馬の血を受けた産駒たちが、日本の洋芝を苦にするはずがない。他の馬たちが芝に脚を取られて、スタミナを失っている間に、涼しい顔でゴールを駆け抜けるのである。

洋芝は字ズラ以上にスタミナが問われることを考えると、実は父だけではなく、母の父にヨーロッパの血統が入っているかどうかも見なければならない。スタミナは母の父から遺伝する部分が大きいだけに、たとえ父が短距離血統であっても、母の父にヨーロッパのスタミナ血統が入っていれば十分にこなしてしまうことがあるのだ。

次に、「走法」について述べると、首の高い馬は洋芝が得意である。首が高いというのは、走る時に首の上下動がなく、胸を張ったような体勢で走る馬のことである。こういう走り方をする馬は、概して上半身の力が強いのだが、全身を使って走るという意味においては少し物足りない。野球のピッチングでいうと、上半身だけを使って投げるピッチャーのようなものである。しかし、個体の肉体的な特性においてそういうフォームが出来上がっている以上、その馬にとっては最も走りやすいのであれば仕方ないという他はないだろう。

そんな褒められたフォームではない首の高い馬でも、重い馬場には抜群の適性を発揮する。荒れた馬場や道悪馬場、洋芝のように、力を要する馬場が得意なのである。なぜかというと、単純に上半身のパワーが強いからである。普段はどちらかというとロスの多い走法ではあっても、他の馬が苦にするような力を要する馬場では、上半身の力が強いという強みが生きるのだ。そう考えると、首の高い走法が洋芝に合っているのではなく、首の高い走り方をするような馬はパワーがあるからこそ、洋芝を得意とするということである。

首の高い馬として真っ先に思い浮かぶのはジャングルポケットである。アグネスタキオンやクロフネと同じ2001年、レベルの高い世代のダービー馬である。この年のダービーは重馬場で行われ、首の高いジャングルポケットにとっては願ってもみない舞台となった。アグネスタキオンがいなかったこともあるが、重馬場を苦にすることなく、1番人気に見事に応えて見せた。レース後の興奮状態の時、首を天に突き上げるような仕草を何度も見せていたのが印象的であった。また、3歳にしてジャパンカップを制した時も、ペリエ騎手が最後の直線で首を何度も何度も押しながら、ジャングルポケットを追って追って、ゴール前でようやくテイエムオペラオーを差し切ってみせたシーンが記憶に残っている。ジャングルポケットの産駒は、首の高さ(首の高い走法)を受け継いでいて、やはり上半身が強い馬が多いのだろう。内国産馬であるにもかかわらず、洋芝でも強いレースをするのはこれゆえである。

最後にもうひとつ。「馬体」について述べると、馬格の大きい馬の方が洋芝を得意とする。繰り返しになるが、洋芝は野芝に比べてパワーが問われるレースになるため、単純に馬格の大きな馬の適性が高い。分かりやすく言うと、馬体重の大きな馬を狙うべきということである。

このように、「血統」、「走法」、「馬体」の3点に注目してみると、“野芝”と“洋芝”に対する適性が少しずつ見極められるようになったのではないだろうか。もちろん、各馬は十人十色である。血統的には洋芝適性があっても、馬体が小さかったり、また首の高い走法で洋芝適性がありそうでも、野芝適性がある血統だったりするだろう。そこから先は、私たちが見極めなければならない。その場で考えて、結論を出さなければならない。「生きるか死ぬか、それが問題だ」と言ったハムレットのように、私たちは“野芝”か“洋芝”かを常に問われているのだ。それが夏競馬の面白さであり、難しさでもある。

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完全に復調したルルーシュ:5つ☆

■北九州記念
サドンストーム →馬体を見る
まだ幼さを随所に残しているが、重心が低く、いかにも短距離馬といった馬体。
腹回りに余裕はあるが、あとひと追いで仕上がってきそう。
Pad3star

スギノエンデバー →馬体を見る
使いつつ体調がアップし、筋肉のメリハリも出てきて、毛艶も良くなってきた。
表情からも気合が入ってきたことが伝わってくるように、走る態勢は整った。
Pad4star

ツルマルレオン →馬体を見る
やや太いのが唯一の心配材料で、馬体全体のボリュームや力強さは素晴らしい。
特に胸前から首にかけての筋肉の付き方は文句なく、スピード感満点。
Pad4star

マイネルエテルネル →馬体を見る
前後躯ともに実が入って、いかにも調教で鍛え上げられた馬体を誇る。
馬体全体の中で首と頭が小さいため、効率よくパワーをスピードに変えられる。
Pad3star

ハノハノ →馬体を見る
馬体の各パーツには長さがあるが、肩が立ち気味のためストライドが短い。
短距離はベストの条件だろうが、小倉競馬場のような小回りはどうだろうか。
Pad3star

■札幌記念
トウケイヘイロー →馬体を見る
コロンとした馬体は相変わらずだが、今回はトモの肉付きがやや物足りない。
前躯は力強く、毛艶も良く、極端な調子落ちはないが、良くて平行線か。
Pad3star

アンコイルド →馬体を見る
前走は内枠を利した好走であったが、体調自体は前走と変わりなく良い。
いかにも芝のパワータイプといった体型で、洋芝の函館競馬場は合うのだろう。
Pad3star

アイムユアーズ →馬体を見る
撮影をした角度にもよるが、全体的に細く映り、いつも以上に頼りなさが残る。
馬体に関わらず走る心臓の強い馬なので心配ないだろうが、良く見えないことは確か。
Pad3star

レインボーダリア →馬体を見る
毛艶が冴え、筋肉のメリハリも出てきて、体調アップが手に取るように分かる。
きちんと立てていないのはテンションが上がってきているからで、その点が心配。
Pad3star

ホエールキャプチャ →馬体を見る
若駒の頃に比べ、馬体全体に伸びが出て来ているのは、母系の血統ゆえか。
その分、距離延長は問題ないはずで、パワーを要する洋芝もさほど苦にしないはず。
Pad3star

ロゴタイプ →馬体を見る
さすがに全開とはいかない、いかにも休み明け緒戦といった仕上がりにある。
この出来で勝つようなら本物であるが、筋肉のメリハリに欠けることは否めない。
Pad3star

トーセンジョーダン →馬体を見る
絶好調だった頃の迫力にはないが、この馬のふっくらとした良さが戻ってきた。
あとはもうひと絞りできて、腹回りが絞れてくれば、いきなりでも好走は可能。
Pad4star

ルルーシュ →馬体を見る
今年のAJCCのときとは比べ物にならないほどの立派な馬体で、完全に復調した。
筋肉のメリハリも十分で毛艶も良く、全体のバランスも文句なし。
Pad5star

ザッハトルテ →馬体を見る
芦毛のため毛艶が分かりにくく、体調の良さはあまり伝わってこない。
馬体全体からはパワーが伝わってきて、スムーズに立ち回れれば好走も。
Pad3star

バーバラ →馬体を見る
幼さを感じさせる馬体でここまで走るのだから、天性のバネを秘めているのだろう。
ふっくらとして毛艶も良いが、馬体的には筋肉のメリハリが物足りないのが現状。
Pad2star

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集中連載:「複雑系の競馬」第6回

Hukuzatukei06

■“カオス”の定義
もう一歩踏み込んで、さらに深く『複雑』であることについて理解するために、“カオス”というものの存在について知っておきたい。『複雑』な現象の本質は、“カオス”にあるといっても過言ではないからだ。

一般的に“カオス”とは無秩序のことであり、秩序である“コスモス”と相反するものである。しかし、複雑な現象において問題とする“カオス”は、一般的な意味のカオスと一線を画して考えられるべきである。

1986年にロンドンで開かれた英国王立協会主催のカオスに関する国際会議において、『複雑』な現象における“カオス”とは、「決定的な系において起こる確率論的なふるまい」と定義された。

分かりやすく言い換えるならば、「こうなると決まっている中で起こる予測困難な出来事」ということであろうか。一見、語義矛盾にも思えるこの定義であるが、ここに“カオス”の本質、そして『複雑』であること理解し、解読するための鍵が隠されているのである。

*これ以降は、便宜上、予測困難な出来事が現れることを「ゆらぎが出る」、もしくは「ゆらぐ」と言い換えることにしたい。

■“カオス”の特徴 
「こうなると決まっている中で起こる予測困難な出来事」という“カオス”の特徴を論じる際に、「非線形」という言葉がよく用いられる。「非線形」とは線ではないということであり、簡単に言うと、1次関数ではないということを意味する。つまり、1次関数の式においては、Xの値が増加すると、それに従ってYの値も増加し、線のようなグラフを描くが、「非線形」の式においては必ずしもそうはならない。

ここから数学的な話をするが、数学嫌いな方も少しだけお付き合いいただきたい。なぜなら、“カオス”の特徴を知っていただくことは、『複雑』であるということの意味を真に理解し、最終的には競馬というゲームの本質を掴むことにつながるからである。

ここに1次関数ではない非線形な方程式y=4(1-X)がある。

この方程式のXの値に0から1の間の小数、たとえば0.1を入れてみると、Yは0.36という値になる。その次の手順として、Yの値であった0.36を今度はXの値として再び代入する。そうすると、Yは0.9216という値になる。さらにまた、そのYの値をXに代入する、という作業を繰り返す。そして、20回目の計算では、Xの値は0.82001・・・となる。計20回の計算結果をグラフにすると分かるように、Yの値をXに代入するという作業を繰り返しているだけにもかかわらず、解であるYの値はまるで乱数のような結果になっているのである(下のグラフ①を参照)。

さらにもうひとつの実験として、同じくy=4(1-x)の方程式の最初のXの値として0.101を代入してみることにする。先程代入した0.1よりわずかに0.001だけ大きい値である。あとは前の作業と同じように、答えとして出たYの値をXの値として再び代入していく。20回目のXの値0.93458・・・が出たところで、0.1を最初の値として入れた場合の20回目のXの値0.82001・・・と比較してみると、大きな差が出ていることが分かるだろう(下のグラフを参照)。

Syokiti

これは先のパチンコの例で出てきた、「バタフライ現象」と呼ばれるものである。初期条件のわずかな違いが、全体の結果に大きく影響を及ぼしてしまうため、全体としては無限の広がりを持ってしまう。

これら「非線形」の式の実験結果から、“カオス”というものの特徴を説明すると以下のようになる。
①単純な式に単純な作業を繰り返しても、結果は非常に確率的(ランダム)に見える。
②少しの初期条件の違いが全体の結果に大きな影響を及ぼす。

y=4x(1-x)という式に代入している以上、計算していけば必ず答えは出るはずであり、一見答えに関しても簡単に予測がつきそうに思える。しかし、こうした決定的な状況(式がすでに分かっている)においても、私たちにとっては予測困難に見える結果が出ている(「ゆらぎ」が出ている)のである。また、初期条件のほんのわずかな違いが、全体としてみると大きな違いとして表れている。これが“カオス”の特徴である。

(次回へ続く→)

Photo by 三浦晃一

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北九州記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kitakyuusyuukinen

■1■軽ハンデ馬
北九州記念は2006年より距離が1200mに短縮され、ハンデ戦となった。過去7年間を振り返ってみると、スリープレスナイト、スギノエンデバー以外の勝ち馬が背負った斤量は、いずれも52kg~54kgであった。毎年、2着や3着にも50kg前半の軽ハンデ馬が突っ込んでいるように、軽ハンデ馬の活躍が目立つ。

軽ハンデ馬が台頭する理由は、ひとえに北九州記念が行われる時期の馬場状態の悪さにある。Aコース使用10日目(今年は8日目)であり、いくら夏の野芝とはいえ、芝の傷み方は相当なものである。「馬場が重ければ重いほど、斤量増はこたえる」という斤量の考え方があり、これだけ馬場が荒れていると負担重量の重い馬はこたえるのである。重賞で実績のない馬、近走で惨敗している馬を狙うのは気が引けるが、それでも軽ハンデ馬を狙い打ちたい。

■2■外を回す差し馬
11.9-10.1-10.9-11.3-11.5-12.3(32.9-35.1)H
11.5-10.0-10.6-11.4-11.6-12.6(32.1-35.6)H
11.8-10.3-10.9-11.4-11.4-11.7(33.0-34.5)H
11.8-10.3-10.6-11.3-11.4-12.1(32.7-34.8)H
11.6-10.0-10.5-11.2-11.5-12.3(32.1-35.0)H
11.8-10.0-10.6-11.1-11.4-12.3(32.4-34.8)H
11.6-10.1-10.5-11.3-11.6-11.8(32.1-34.7)H

上は過去7年間のラップタイムである。およそ前半が32秒台で後半が35秒台という、前後半の落差が大きい、いかにも短距離戦らしいハイペースになる。小倉競馬場の直線が短いとはいえ、前に行く馬には厳しい、差し馬に向きの展開になる。

芝の傷み方が相当なものだと書いたが、特に内ラチ沿いの馬場は、走ると土煙が上がるほど極端に悪い。当然のことながら、内側を通らざるを得ない馬よりも、比較的馬場の悪くない外に進路を取れる馬に有利なレースになる。外枠を引いて、外にポジションを取れる馬から狙ってみたい。

*例外として、開催中に雨が降り続いたりして、馬場全体が荒れてしまっているような場合は、外を回す差し馬は届かないため、少しでも前に行くことのできる逃げ先行馬を狙いたい。

■3■牝馬
夏に強い牝馬と言われるが、北九州記念にもそのまま当てはまる。

牡馬・せん馬 【3・3・3・55】 連対率9%
牝馬      【4・4・4・40】 連対率15%

理由はたくさん思いつくが、平坦コースでパワーのない牝馬に有利に働くこと、直線が短いため一瞬の切れ味を活きることの2つが主なところ。秋になって、舞台が坂のあるコースに移ると牝馬はなかなか勝てなくなるので、このタイミングで狙っておくべきである。

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「競馬場の達人」を見逃した方は

「競馬場の達人」の放映が終わり、ホッとした気持ちもある一方で、「ROUNDERS」バブルも終焉を迎えて寂しくもあります(笑)。私の馬券の成績は酷いものでしたが、「ROUNDERS」という競馬の雑誌の存在を、より多くの競馬ファンに知ってもらうことができました。この機会にROUNDERSを読んでくださった方々から、新たな感想やご意見をいただき、改めて私たちの励みになりました。また、次号も頑張れという激励の意味で、このような素晴らしいチャンスをいただけたと思っています。おかげさまで、いよいよvol.4の製作を開始することができました。早ければ今年の秋、皆さまにお届けすることができるはずです。

さて、「競馬場の達人」は7回も再放映してもらいましたが、見逃してしまった方、またはグリーンチャンネルを契約しておらず、どうしても観ることができない方がいたのも事実です。実際そういった声を聞きましたし、ひとり1人にDVDを焼いて渡すわけにもいかず、申し訳ない気もしていました。そんな私を気遣ってか、りゅうさんが自身のブログ「CLASSIC REPORT」に動画をアップしてくれました。昨年の日本ダービーで、私の本命であったディープブリランテが勝った直後、「おめでとう!」と電話してくれたことは、今でも忘れません(実際はあまりの興奮で電話に気づかず留守電を聞いたのですが)。重ね重ねありがとうございます。

「CLASSIC REPORT」では、その名のとおり、クラシックへとつながる若駒戦を中心に、予想&回顧をされています。最近は、なにやら一口馬主を始めたようで、初出資馬である東京サラブレッドクラブのレッドアルヴィスがデビューするとのことで、随分と盛り上がっておられました(笑)。結果は2着と新馬勝ちこそ逃してしまいましたが、資質の高い走りを見せてくれて、将来が非常に楽しみですね。カレンブラックヒルの半弟という良血ですし、馬体や走りを見る限りにおいては、こっちの方が奥深そうな気がします。もちろん、このまま順調に全てが運べばの話ですが。その辺りが一口馬主の醍醐味でもあるので、いきなりこんな馬を引き当てるなんて、羨ましく思います。

最後に、「競馬場の達人」の中ではカットになっていましたので、この場を借りて、「ROUNDERS」誕生の最大の貢献者である荒木さんにも謝辞を送ります。荒木さんは分かっていたことなのかもしれないけど、金銭的には何の見返りがないにもかかわらず、ここまで一緒に「ROUNDERS」をつくってくれてありがとう。これからもお互いのライフワークとして創りつづけていきましょう!そして、これまで「ROUNDERS」に力を貸してくださった方々、共に切磋琢磨してくださった皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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■「CLASSIC REPORT」
Classicreport

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札幌記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sapporo

■1■G1馬もしくはG1級の馬
過去の勝ち馬を見ると、2つのタイプがいることが分かる。エアグルーヴ、セイウンスカイ、テイエムオーシャン、ファインモーション、フサイチパンドラなど既にG1を勝っていた馬と、ヘヴンリーロマンス、アドマイヤムーン、アーネストリー、トーセンジョーダンなど札幌記念を勝利した後にG1を勝った馬である。つまり、札幌記念はG1級の力がないと勝つのが難しいレースである。

札幌競馬場はヨーロッパの馬場に近いタフな馬場であり、本当に能力がないと勝てない。さらに札幌記念には古馬の一戦級が集まってくるため、このレースを勝つことはG1レースを勝つだけの能力が優にあることの証明でもある。札幌記念はG2レースではあるが、G1馬もしくはG1級の能力がある馬を狙ってみたい。

■2■牝馬
牡馬(セン馬含む)【6・8・8・96】 連対率12%
牝馬         【4・2・2・9】  連対率35%

過去10年間で牝馬が4勝しているだけでなく、連対率も35%と驚異的な数字を残している。平坦コースが牝馬にとってプラスに働くということに加え、前述のようにG1級の能力がなければ勝てないレースに出てくるということは、それだけ体調が良いということである。古馬の一戦級を相手に回して、勝負になる手応えがあるからこそ出走してくる牝馬には要注意。

■3■一瞬の切れを持った差し馬
スタートから第1コーナーまで400mほどの距離があるため、内枠外枠での有利不利はほとんどない。それでも、4つコーナーを回る小回りの競馬場である以上、第1コーナーまでに内のポジションを取れないと、終始外々を回らされる羽目になる。特に外枠を引いた馬は苦しいレースを強いられるだろう。

また、G1級のメンバーが揃うこともあって、道中のペースは速くなることが多い。逃げ・先行馬よりも差し馬を狙いたいのだが、いかんせん最後の直線が短い。よって、最後の短い直線だけで差し切ることのできる、一瞬の切れを持った差し馬が狙いか。

このように、あらゆる意味で札幌競馬場は騎手の技術が問われるレースであり、過去10年で武豊騎手が3勝、横山典弘騎手、藤田伸二、福永祐一騎手がそれぞれ1勝しているように、ジョッキーの腕も問われることになる。

注)今年は函館競馬場で行なわれるが、基本的には馬場、コース設定ともに札幌競馬場に似ており、知っておくべき考え方は同じである。

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心身共に充実しているレオアクティヴ:5つ☆

ドナウブルー →馬体を見る
5歳になって、余計な部分が削ぎ落とされ、馬体が枯れてきた印象。
体調は安定しているが、さすがに筋肉のメリハリは全盛期のそれではない。
Pad3star

フラガラッハ →馬体を見る
絶好調であった昨年と比べると、前走もやや落ちる気配だったが好走したように力はある。
今回もトモの肉付きに物足りなさは残すが、この馬の得意な流れになればチャンスあり。
Pad3star

ミッキードリーム →馬体を見る
6歳馬にしては馬体に力強さが溢れ、さすがキングカメハメハ産駒といった好馬体。
顔つきを見ても気性も強そうなので、夏負けは考えにくく、体調は問題ないだろう。
Pad3star

ジャスタウェイ →馬体を見る
このメンバーに入ると、胴部には長さがあり、馬体の器としては一枚上の存在。
ただ、今回は間隔が少し開いたこともあり、ぼんやりとした表情からも叩いてからか。
Pad4star

レオアクティヴ →馬体を見る
古馬になって、馬体が研ぎ澄まされており、前後躯ともにしっかりと実が入っている。
黒目がちで集中力に溢れている表情からも、心身共に充実していることが伝わってくる。
Pad5star

レッドスパーダ →馬体を見る
長期休養を挟みつつ、胴部に伸びが出て来て、今は2000mぐらいまでこなせそう。
筋肉のメリハリという点においてはもう一歩だが、毛艶は良く、力は出し切れる。
Pad4star

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もっと熱い競馬を見せてくれ

昨日、ニュージーランドで牧場関係の仕事をしている日本人の方と会ってきた。彼が休暇で日本に帰ってきているということで声を掛けてもらったのがきっかけで、お互いに初めてであったが、まるで何年も前に知り合った友人のような感覚で話すことができた(行き過ぎた失礼があればお許しください笑)。馬産の最前線で働いている彼から伝わってくる空気は新鮮であり、話を聞けば聞くほどに、私が知っている競馬の世界の狭さを思い知らされた。

かつて私も、社会に出ようとしたとき、競馬関係の仕事に就こうと探してみたが、どこにもそんな仕事は見つからず、藁をも掴む気持ちでオーストラリアの競馬学校に問い合わせをしたことがあった。競馬の世界に身を置くにはどうすればよいのか、とにかく誰でもいいから教えてほしかった。そのときに親切に答えてくれたハイランド真理子さんとは今でもお付き合いさせてもらっているし、昨日会った彼はその学校の卒業生であった。私は勇気がなくて踏み出せなかったが、もしかしたら私もその道を歩んでいたかもしれないと思うと、彼と私は同じ人間であるような気すらした。

そんな私たちが競馬について熱く語り合ったのだ。ロックドゥカンプが彼の牧場に種馬として来ていること。そのファーストクロップの牝馬をセリで競り落とそうと思ったら負けてしまったこと。彼は血統(特に母系)が大好きで、牧場のマネージャークラスと英語で対等に血統談義ができること。ノーザンファームで働いていたときのこと。藤田伸二騎手の著作のこと。柏木集保さんのこと。コディーノのこと。連闘してもへこたれないオーストラリアの馬がタフなこと。最も盛り上がったのは、世界で活躍しているジョッキーたちのことであった。

彼と話しながら、私の中ではっきりと感じたのは、もっと熱い競馬が見たいということ。名手と名手がゴール前で鎬を削るような熱いレースが観たい。私の思い違いかもしれないが、最近はハナ差で勝敗が決するような激しいバトルが少ないのではないだろうか。どうしても勝ちたいと思うジョッキーたちがムチを振り上げて、全身全霊の力を込めて馬を追う。絶対にあきらめない、あきらめさせない。そんなテンションの高いレースが見たい。そういえば、将棋の羽生善治がこう言っていた。勝負強さとは、テンションの高さと自分への信頼、そして分が悪いときに踏みとどまる根性だと。

熱い競馬を見せてくれるジョッキーとして、私たちが真っ先に挙げたのはデットーリ騎手であった。ヤングジョッキーズワールドチャンピオンシップで初めてデットーリ騎手の騎乗を見たときの衝撃から、イーグルカフェとファルブラヴでJCダートとジャパンカップを2日連続で勝利した伝説の騎乗、そしてアルカセットを駆ってゼンノロブロイとハーツクライを退けたジャパンカップ。日本でのG1レースの勝利は全てハナ差という勝負強さである。もしかすると、日本の競馬に決定的に欠けてしまったのは、勝負強さであり、熱い競馬なのではないだろうか。外国人と日本人ジョッキーとか、エージェント制度とか、どっちでもいいし、どうでもいいんだ。もっと熱い競馬を見せてくれ。


このときデットーリ騎手の出現に誰もが衝撃を受けた。


デットーリ騎手の勝負強さが際立った伝説のレース。

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福永祐一騎手のインタビュー番組を観て

Fukunagayuiti先日放映されたSWITCH「福永祐一×渡辺明」を観た。福永祐一騎手が「昔は馬の邪魔をしない騎乗が良しとされていたけど、今は違う。馬を動かしていかないと、海外のジョッキー達には勝てない」と言い切っていて、ドキッとさせられた。どの騎手もが気づいていたが、表立って言えなかったことだ。地方出身の騎手が言うならまだ許容されるが、福永祐一騎手がそう言い切ったことに意味があると思う。それは中央競馬の伝統的な、つまり大先輩たちが培ってきた騎乗法を否定することにもなるからだ。否定という言葉が誤解を生むとすれば、更新と言い換えてもいい。強烈な危機感から生まれた言葉だと思った。

あらゆる競技やスポーツ、ビジネスからアートに至るまで、あるときルールが大きく(もしくは少しずつ)変化し、それまでの常識が非常識に、非常識が常識になることがある。たとえば、かつて囲碁の世界で日本は圧倒的な強さを誇り、韓国や中国からわざわざ日本まで学びに来る棋士たちが多くいたが、今ではトップの棋士たちは中国であり韓国から輩出されるようになった。競技人口の問題以上に、囲碁の主流が「美しさから、スピードや強さ」に移り変わったのである。日本の棋士の囲碁は美しいが、中国や韓国の棋士のスピードや強さといったスポーツのような囲碁の前に敗れてしまう。ひと昔前まであれば、そんな囲碁は美しくないと一喝して終わっていたはずが、勝ち負けという現実的な尺度には抗えなくなっている。

遅かれ早かれ、ルールが変わったことに気づかない人はほとんどいない。ルールが変わったことに気づいたときに、それに対する反応が違うだけだ。新しいルールに合わせて自分が変化するのが、合理的に見えて案外難しいのは、人はそう簡単に変われないからである。それまで自分が信じてきた思想や培ってきた技術を捨てたり、否定したりするのは極めて難しい。それは一個人としてだけではなく、受け継がれてきた伝統を無に帰するような行為にも思えるからだ。一大決心をして変えようとすると、周りから強烈な非難を受けることもあるだろう。

自己を犠牲にしてでも、美しい(と思われている)やり方を貫く生き方もある。一部の突出した例外を除けば、ほとんどの場合、成績は目に見える形で下降していき、それに伴い騎乗依頼も先細ってゆく。たとえ依頼があったとしても、それは昔からの馴染みや縁故であったり、義理や人情の世界である。ごくまれに自分の乗り方を貫いたことが好結果につながることもあるが、確率としては極めて低い。上記以外の方法としては、新しいルールを徹底的に批判するという反応もあるだろう。今まで幸運にも守られてきた自分を棚に上げ、新しいやり方を危ない、美しくないと批判する。

福永祐一騎手は変わらなければならないと思った。最大のきっかけは、ワールドエースに騎乗して臨み、差し届かなかった2013年のダービーであろう。勝ったのは、引っ掛かるディープブリランテを見事に御し、最後まで粘りこませた岩田康誠騎手であった。福永祐一騎手に欠けている勝負強さを、まざまざと見せつけた騎乗であった。ひとりの騎手のダービーにおける騎乗が、トップトレーナー藤沢和雄調教師の選択ばかりでなく、トップジョッキーの心を動かしたのである。ジョッキーにおける勝負強さとは、すなわち一瞬の決断力とそれを実行する技術である。それは目に見えないものであり、掴んだと思えばスルリと逃げてしまうような儚いものだが、とにかく膨大な学習と準備(練習)に加え、勝負強いジョッキーたちとの実戦を重ねることでしか身に付かない。それまでのやり方を固持したり、新しいやり方を批難している時間などないのである。

Photo by fakePlace

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関屋記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sekiyakinen

■1■2000m以上の距離に実績のある中距離馬
スタートしてから最初のコーナーまでの距離、そして最後の直線が圧倒的に長いため、どの馬にとっても息の入らない厳しい流れになる。そのため、スピードよりも、スピードを持続させるためのスタミナがまず問われることになる。全体のタイムや速い上がりタイムが出ることに惑わされることなく、2000m以上の距離に実績のある中距離馬を狙いたい。

■2■ノーザンダンサー系
新潟1600mのコース形態上、スピードの持続を問われることは前述したとおりだが、そのような舞台を最も得意とするのがノーザンダンサー系の馬たち。一瞬の脚で勝負するようなレースでは惜敗を喫してきたノーザンダンサー系の馬たちが、コースを味方にして台頭する。また、ノーザンダンサー系の馬は厳しい気候にも強く、新潟の酷暑にも耐えることが出来ることも、関屋記念を得意とする理由のひとつ。

■3■先行馬もしくはアウトインアウト
2004年 12.5-10.8-11.5-12.0-11.6-11.2-10.6-12.1(46.8-45.5)S
2005年 12.3-10.7-11.6-11.9-12.0-11.3-10.6-11.9(46.5-45.8)M
2006年 12.9-11.0-11.7-11.7-11.7-11.3-10.1-12.1(47.3-45.2)S
2007年 12.8-10.6-11.0-11.2-11.7-11.8-10.3-12.4(45.6-46.2)M
2008年 12.6-11.3-12.1-12.3-11.6-11.0-10.0-11.9(48.3-44.5)S
2009年 12.2-10.8-11.6-12.3-12.1-11.3-10.7-11.7(46.9-45.8)S
2010年 12.7-11.3-12.2-12.0-11.5-10.6-10.3-12.3(48.2-44.7)S
2011年 12.5-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-10.9-12.1(46.2-46.4)M
2012年 12.2-10.9-11.9-12.0-11.7-11.1-10.4-11.3(47.0-44.5)S

2010年や2012年は極端にしても、前半よりも後半の方が速い、全体としてスローに流れるレースが多い。また最後の直線が659mと長いため、異常なほどに速い上がり3ハロンのタイムが計時される。これだけ上がりが速いと、当然のことながら、前に行っている馬にとっては有利なレースとなる。

新潟競馬場は、押し潰された長円形の形状で、JRAの競馬場では最もコーナーの曲がりのきついコースとなる。新潟のマイル戦では、スタート後の長い直線で勢いがついたままコーナーに突っ込んでいくため、意外とスピードが落ちず、コーナーが曲がりにくい。そのため、減速することなく内ラチに沿ってコーナーを回るのは難しい。外から切れ込むようにしてコーナーを回り、直線では再び外に出すような、アウトインアウトのコース取りが理想的。外枠から発走する馬は、そのようなコース取りがしやすい。

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古馬らしく成長してきたエクスペディション:5つ☆

■小倉記念
エクスペディション →馬体を見る
幼さを残していたが、筋肉にはメリハリが出て、全体のバランスが良くなった。
表情も堂々としており、ここに来てようやく古馬らしく成長してきた。
Pad5star

ラブリーデイ →馬体を見る
毛艶が良く、夏場の暑い時期でも、体調を崩さず、状態は安定している。
まだ前躯が強く、それに比べて後ろが弱く、もうワンパンチ足りないか。
Pad3star

マックスドリーム →馬体を見る
筋肉の量は素晴らしいが、馬体全体のシルエットを見るとアンバランスな感が。
大型馬らしくやや鈍重な部分もあるが、体調の良さでどこまでカバーできるか。
Pad4star

マイネルラクリマ →馬体を見る
前走に引き続き、首を低く構えて、前進意欲の高さを維持している。
毛艶も素晴らしく、馬体は研ぎ澄まされており、再度の好走は十分可能。
Pad4star

ダコール →馬体を見る
やや腰高の馬体で、開催序盤の高速馬場で切れ味を生かす競馬が合いそう。
使い詰めで来ているが、毛艶も良く、筋肉の柔らか味もあり体調は万全。
Pad4star

タガノエルシコ →馬体を見る
8歳馬とは思えない、堂々とした立ち姿で、夏負けも全く感じさせない。
やや首の位置が高く、力みがあるので、道中リラックスして脚が溜まれば。
Pad3star

■レパードS
サトノプリンシパル →馬体を見る
まだ幼さを感じさせる体型ではあるが、軽さも備えていて、将来性は高い。
表情からも幼さを感じるので、スムーズにこの馬のリズムで運ぶことが鍵か。
Pad3star

インカンテーション →馬体を見る
これといって特筆するところがない平均的な馬体だが、この時期にしては完成度が高い。
顔つきを見ても落ち着いていて、今回もこの馬の力は出し切れるはず。
Pad3star

アムールポエジー →馬体を見る
胴部には十分な長さがあり、距離は長ければ長いほど、この馬には有利になる。
表情からも気性面でも安定しているはずで、牡馬に混じっても好走は間違いない。
Pad4star

ケイアイレオーネ →馬体を見る
前走の馬体は素晴らしく、それに比べてやや落ちた感はあるが、全体のバランスは良い。
胴部や手脚の長さを考慮に入れても、1800mという距離はベストの舞台だろう。
Pad3star

ジェベルムーサ →馬体を見る
3歳馬とは思えない筋骨隆々の馬体で、いかにもダートのパワー勝負に強そう。
馬体のまとまりから切れる脚を使う馬ではないので、持続力を生かしてどこまで。
Pad3star

オメガインベガス →馬体を見る
腹が巻き上がっているように映り、シルエットだけを見ると、ダート馬には見えない。
きっとそれ以外の部分で適性があり、胴部の長さからもスタミナ豊富で心強い。
Pad4star

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集中連載:「複雑系の競馬」第5回

Hukuzatukei05

■複雑系における計算不可能性
さらに、『複雑』な現象における特徴として、計算不可能性ということがある。

たとえば、打ち出されたパチンコの玉がどこの穴に入るか予測することは不可能である、という問題である。月食や日食が何年の何月何日何時何分何秒に起こるかを予測できる現代科学をもってすれば、パチンコの玉がどの穴に入るかなど、いとも簡単に割り出すことができるのではないか、と考えるのは当然であるが、実はそうではない。なぜなら、パチンコ台はそれ自体が『複雑』なシステムとして成立しているからである。

パチンコ玉の描く軌跡の『複雑』さは、それが打ち出される時の速さと方向に原因がある。ほんの少しの速さ、方向の違いによって、釘に当たるか当たらないか、玉同士がぶつかるかぶつからないかが変化してしまい、打ち出された玉が穴に入るころまでには、無限の変化が繰り返されることになる。たとえ同じ穴に入った玉でも、そこに至るまでの過程(軌跡)は違うはずで、2度と同じ運動をして穴に入る玉が現れることはないのである。

これが『複雑』な現象において見られる、初期条件(パチンコ玉の打ち出される速さ、方向)のわずかな違いが、その現象プロセスの結果(パチンコ玉がどういう動きをして、どこの穴に落ちるか)に極めて大きな影響を与える、という特徴である。北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンが生じるというたとえから、「バタフライ現象」と呼ばれることもある。

打ち出される時の速さと方向を数値化し、無限に広がっていく玉の動きを、運動方程式を使って計算していくことは、理論としては可能であるが、物理的には不可能である。複雑な対象においては、仮に全体を要素に分解できたとしても、その要素が無限に広がりを持ってしまうため、計算が不可能になってしまうという状況が生じるのである。

■レースは生き物である
初期条件のわずかな違いが結果に大きな影響を与えることや、そのための計算不可能性といった『複雑』な現象の特徴は、競馬という『複雑』なゲームにも当てはめて考えることができる。

たとえば、ある逃げ馬がスタートにおいて出遅れたとする。このことによって、道中のラップは大きく変わってくるであろうし、出遅れた馬はもちろんのこと、代わりに逃げることになってしまった馬なども、当初の予定とは違ったレースを強いられることになる。それにしたがって、各馬のコース取りも変わってくるだろう。仕掛けのポイントも当然変わってくる。

このように考えていくと、わずか1頭の馬のわずかな挙動が、全体のレースそして結果にも影響を大きく及ぼすことになる。たとえ全ての部分(要素)を数値化できたとしても、一旦レースが始まってしまうと各部分(要素)が大きく変化してしまうため、レース全体としての結果は、無限の広がりを持ってしまう。そのため、計算自体が不可能となることは明白なのである。「レースは生き物である」と言われるゆえんはここにあるのだ。

■競馬の複雑性
つまり、以下の2点において、競馬が『複雑』なゲームであることを説明できるのではないだろうか。

①各要素間の<関係>が認識できない以上、全体(レース結果)を正確に予測することはできない
②初期条件のわずかな違いが、全体(レース結果)に大きく影響を及ぼしてしまうため、全体としては無限の広がりを持ってしまう

複雑な現象には様々な面があり、以上の2点だけでは語り尽くすことは到底できないのだが、競馬における『複雑さ』を理解していただけるには充分であると考える。これらのことから、競馬という『複雑』なゲームにおいて、そこで起こるであろう未来を正確に予測することが、ほとんど不可能であるとことが分かる。

(次回へ続く→)

Photo by 三浦晃一

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