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「競馬場の風来坊」を読み解く(その2)

Keibajyonohuuraibou

日本の競馬におけるスローペース症候群について言及され始めて久しい。私が競馬を始めてから20年以上が経ち、サンデーサイレンスの血の影響や調教技術の進歩、外国人ジョッキーの参戦など、あらゆる要素が複雑に絡み合い、スローペース化は少しずつ進行してきた。そうなると必然的に最後の数ハロンにおける瞬発力勝負が多くなり、速い上がりに対応することが勝利へとつながる。できるだけ前に位置できる馬にとっては有利となり、スタートが上手く、馬を巧みに御してポジションを確保できる騎手は安定した成績を残すことができるようになった。

そんな中、仕掛けのタイミングに対する騎手の考え方も、少しずつ変わってきている。かつてはゴール前で馬が止まってしまい、何とか持たせようとして騎手バタバタするのは恥とされた。ゴールした瞬間に馬のスタミナがゼロになるような仕掛けが理想であり、馬が歩いてしまうのは、手応えから残っている脚を測ることができず、勝負を焦って仕掛けてしまったジョッキーが悪いということである。だから、脚を余して負けるよりも、早仕掛けで負けることで師匠に怒られるケースの方が圧倒的に多かったはずである。

そして、そのことは転じて、一流と呼ばれる騎手たちの美学にもなっていった。どこまで仕掛けを我慢できるかという我慢比べ。能力が同じ馬であれば、少しでも早く仕掛けた方が差される、という騎手の感触といおうか、直感といおうか、哲学のようなものがその根底に流れていた。勝ちたいという気持ちが馬に伝わり、動いてしまった者から負けてゆく。この仕掛けのタイミングの葛藤の中にドラマがあり、私たち競馬ファンもそれを楽しんだ。武豊、岡部幸雄、田原成貴らによって、我慢に我慢を重ねて仕掛けられた馬が、ゴール前で他馬をハナ差で差し切るシーンに私たちは痺れたものだ。

騎手というものは仕掛けて出るときの勇気より我慢するときの勇気の方が数段重い。その想い胸が締め付けられるがごとし!!それに耐え切れぬ者はゴール前の僅か10メートルに泣く、その苦しさに耐え切れる勇者だけがゴール前の10メートルに笑うことができる。我慢の時間長くて5秒、短くて、手綱を握りし拳に神経を持っていく、時間に表すことのできない僅かな時間、しかしそれが騎手にとっての一生の重さの時間でもある。私とて、その勇気を出せなくて泣いたこと数知れず、騎手人生泣いた多さと重たさの分だけ、仕掛けの我慢時間は長くなる…。
(「競馬場の風来坊」より)

私はサクラチトセオーという馬に、ジョッキーの仕掛けのタイミングの機微を教えてもらった。走る能力は極めて高いけれど、使える脚が短く、人間が急かしてしまうと一気にリズムを崩して脚を失ってしまうような繊細な牡馬であった。馬券を買って、早仕掛けで伸び切れないレースを何度見せられたことか。主戦の小島太騎手も試行錯誤を重ね、最後のチャンスであった天皇賞秋でようやく渾身の仕掛けで全馬を差し切ってみせたのである。小島太騎手は基本的には強気の仕掛けで負けることが多かったが、このレースは文句の付けようのない美しさであった。田原成貴はこの仕掛けを満点の仕掛けと絶賛し、私もそうだと思った。

時代は移り変わり、今は少し早く仕掛けて、ゴール前で馬の脚が上がって不格好になっても、最後まで粘らせる乗り方が主流になってきている。早仕掛けで負けてしまう方が、仕掛けを我慢して脚を余して負けてしまうよりも納得してもらえる。その変化には、冒頭に挙げたスローペース化が大きく影響していることは間違いない。我慢しているだけでは負けてしまう、脚を余してしまうレースが増えてきたということであり、自ら動いて勝ちにいかなければならなくなった。どちらが正しいとか、どちらが美しいという問題ではなく、その時代に合った乗り方であり、哲学の変化でもあるのだ。


第4コーナーを直線的に回った小島太騎手の騎乗に脱帽

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Comments

 札幌2歳S
 10-3・8・9・1

 あんまりよく分かりません。

Posted by: 玉ちゃん | August 31, 2013 at 05:55 AM

玉ちゃん

こんにちは。

札幌2歳Sは雨が降って凄いレースになりましたね。

勝馬はえらく強かったですし、
クラシック路線に乗ってくる大物だと思います。

今日のレースも楽しみですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | September 01, 2013 at 02:06 PM

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