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世界の果てまで

Japancup2013 by M.H
ジャパンカップ2013―観戦記―
まさかのエイシンフラッシュが逃げ、前半の1000mが62秒4、後半が58秒1だから、昨年以上の究極のスローペース。まるでヨーロッパの競馬のようであり、馬には我慢できる精神力、そしてジョッキーには馬をガッチリと抑えて脚を溜める技術が問われることになった。馬の力や体調如何はあるにせよ、R・ムーア騎手、W.ビュイック騎手、C.ウィリアムズ騎手、J.スペンサー騎手といった外国人ジョッキーが、混戦の中で上位を占めたのはそういうことだ。浜中俊騎手は日本人として唯一食い込んでおり、肉体的にも技術的にも、海外に通用する若手騎手であることを図らずも示してみせた。

勝ったジェンティルドンナは、好スタートからエイシンフラッシュを見る形で追走し、最後の直線に向くと早め先頭で押し切った。欲を言えば、もう1頭分、内のポジションを走りたかったはずだが、トーセンジョーダンが思わず先行してきたことで、少し外を回る形になった。それでも、エイシンフラッシュを交わすときに久しぶりに見せた、あのスッという一瞬の脚は健在であった。今年の春シーズンは、昨年秋の激走の反動が少なからずあったが、疲れが抜けて、気力が戻ってくれば、牡馬さえも横綱相撲で退けてしまう世界レベルの実力の持ち主である。内外離れたことで際どくなったが、馬体が併さっていれば、世界の果てまで行っても抜かれることはなかった。

R・ムーア騎手は、なんとか仕事をやり遂げたという気持ちだろう。最後は冷や汗ものではあったが、これだけのスローペースに惑わされることなく、道中はガッチリと馬を抑え込んで、最後の直線で力を爆発させた。簡単そうに見えても、並のジョッキーであれば持っていかれていたかもしれないし、馬とケンカして脚を溜めることができなかったかもしれない。そういった意味では、(これだけのスローになることを予測していたわけではないだろうが)乗り替わりはプラスに転じた可能性はある。さすが世界の名手という手綱さばきであった。

デニムアンドルビーは斤量が好走の主な理由である。もともと今年の3歳牝馬世代の中では、メイショウマンボに引けを取らない、もしくはそれ以上の走力の持ち主だが、小さい馬体がネックとなってきた。今回は53kgという(馬体重の12%をやや超える程度の)斤量に恵まれたおかげで、このメンバーに入ってのパンチ力不足を補うことができた。もちろん、浜中俊騎手の馬を抑える技術、追う技術が高い次元にあることもデニムアンドルビーの好走に貢献したことも確か。今後、G1レースを勝ち切るためには、もう少し馬体重を増やしてパワーアップする必要がある。

ゴールドシップは気持ちが走る方に向いていない。馬群から離れて追走し、内田博幸騎手に追っつけられても反応しなかった。さすがにここまで動かないと、ジョッキーとしては成す術がない。気持ちで走るタイプだけに、気力が戻ってくれば、有馬記念はあっさりということもあるはず。エイシンフラッシュはまさか逃げることになるとは思わなかったが、それはM・デムーロ騎手も同じだろう。いつもより前のポジションを取ろうと思ったことが裏目に出てしまった。レース全体としては、この馬向きの展開になっただけに、最初からガッチリ抑える競馬に徹していればチャンスは大きかったはずである。関係者にとっては悔やんでも悔やみきれないレースだろう。

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