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世界へ飛び出せ、若手騎手たちよ。

Totheworld

今年も外国人ジョッキーが大いに活躍した年であった。桜花賞のデムーロ兄弟のワンツーに始まり、M・デムーロ騎手による皐月賞、R・ムーア騎手によるジャパンカップと朝日杯フューチュリティS、C・ルメール騎手によるJCダートまで、多くのG1レースを海外から来たジョッキーが制したことになる。O・ペリエ騎手が本格的に来日し始めた2000年前後の衝撃から10年以上が経ち、外国人ジョッキーが中央競馬に騎乗し、勝利するのは日常の風景となった。

これだけ外国人ジョッキーの活躍が目立つと、それに対して異を唱える者も出てくる。このままでは未熟な若手騎手を中心に騎乗機会が奪われてしまうことで、日本人騎手が育たなくなってしまう、というのがおおよその論である。また、外国人ジョッキーばかりでは競馬ファンが離れてしまう、という見方もある。週刊「Gallop」の創刊20周年記念企画のひとつとして、吉田照哉氏(社台ファーム代表)と吉田勝己氏(ノーザンファーム代表)と前田幸治氏(ノースヒルズ代表)による超BIG対談が掲載され、その中で前田氏はこのように語っていた。

前田(以下、敬称略)
「外国といえば、実は私、お2人にお願いがあるんです。少し外国人騎手を使うことを控えていただきたいのです。相撲界を見ていて、つくづく感じます。外国人力士が多くなりすぎて人気がなくなったように、外国人騎手ばかりが勝つと相撲と同じようになりかねません。それに、同じ勝負服ばかりというのもファンに飽きられます。…」

私はこの手の考えがどうしても理解できない。競馬人気がなくなってきた理由が、なぜ外国人ジョッキーが多くなったことや同じ勝負服が増えたこととつながるのだろうか。1998年をピークとして中央競馬を始めとする競馬産業が縮小しつつあるのは、人口動態の変化や経済状況といった大きな流れの中で、あらゆる要因が複雑に重なり合って起こっている現在進行形の事象であって、外国人ジョッキーや勝負服の問題はそのひとつにすぎない。馬と人のドラマがなくなったという面は確かにあるが、昔だって良い馬は一握りの一流騎手に乗り替わりになるのが必然であった。外国人だと思い入れができないというのは、最終的には個人の思想に帰結する問題である。勝負服に関していえば、もし気になるならば(必要ならば)、馬ごとに勝負服を変えてもよい制度にすればよいだろう。よく考えていくと、問題の本質はそこにはない。

前田氏の提案に対して、吉田勝己氏はこう答えている。

吉田勝己
「ですが、日本のジョッキーにも、もっとうまくなってもらわないと…」

前田
「それはそうです。若手のなかには、芸能人と勘違いしている騎手もいます。それについては、本人たちが自覚を持って改めてほしいです。それに今の若い日本人騎手には、外国人騎手が持っているようなハングリー精神が足りないですね」

吉田勝己
「技術差もありますよ」

前田
「それもそうですが、勝てばいいと外国人騎手ばかり乗せるのも…。ファン離れの一因になっていると思います。お二人には、ぜひこの2点を理解していただきたいです。

吉田勝己
「馬を走らせなきゃ、私らはやっていけませんから。生産馬を売るためには、すべてにおいて最善を尽くさないといけません。技術に優れた外国人騎手が入ることで日本人騎手の腕も上がるはずです。それに、海外の一流騎手が来て、その技術が見られるのは日本の競馬ファンにとって幸せなことですよ」

ここまで言われてしまうと、反論の余地はない。前田氏と吉田勝己氏の対話から、彼らに見えているものの違いが浮かび上がってくる。吉田勝己氏には「技術」が見えているが、前田氏には見えていないのである。正直に言うと、それは私も含めた競馬ファンも同じで、日本人騎手と外国人ジョッキーの技術の違いが見えないのである。私たちは吉田氏ほど命がけで騎手の技術を見ていないし、海外のあらゆる競馬場であらゆるジョッキーたちの技術を目の当たりにしていない。分からなくて当然なのであるが、だからこそ外国人ジョッキーを巡る議論は平行線を辿って交わることはない。ビジネスライクなんて言葉で片付けてしまうのは、自分たちの無知をさらけ出しているようなものなのだ。

吉田勝己
「日本の競馬がトップになるというのが一番なんです。トップになりますよ。なれると思います。トップにしないと、私らは生きていけないですよ」

日本の競馬が頂上を目指して、これからも生き残っていくのであれば、技術が高いところに騎乗の依頼が行く流れには抗いようがない。M・デムーロ騎手は今年、騎手免許の一次試験に落ちてしまったが、いずれは年間を通して騎乗する外国人ジョッキーが現れ始めるだろう。そうなったとき、日本人騎手はどうすればよいのだろうか。地方と中央競馬の垣根を取り払い、貪欲さがあればできる限り多くの騎乗機会を得られるシステムにするのは当然として、もっとも大切なことは、(できるならば)才能のある若手騎手たちが、海外の競馬で腕を磨くために長期間にわたって世界へ飛び出すことだ。磨かれれば輝くダイヤの原石は、実は日本人騎手の中にもたくさん眠っているはず。今年、藤岡佑介騎手が1年近くフランスに遠征したことには大きな意味があるし、もっと欲を言えば、活躍するまで帰ってくるなという気持ちで私たちも送り出さなければならない。吉田勝己氏の言葉を借りれば、誰かがトップにならないと、日本の騎手たちは生きていけないのだ

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京都金杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotokinpai

■1■マイル戦に実績があり、マイル以上のスタミナを持つ馬を狙え
主なステップレースは、朝日CC(1800m)と阪神カップ(1400m)になり、マイル以上のスタミナを持つ馬とマイル以下の距離でスピードを発揮する馬とが、マイル戦の舞台で激突することになる。京都のマイル戦というコース設定を考えると、どちらかといえば朝日CC組を上に取るべきだが、33秒台の速い時計で決着することが常なので、スピード勝負にも対応できる裏づけがないと厳しい。そういった意味では、マイル戦での実績(勝ち鞍)は必要で、マイルCSで好走してきた馬が出走してくれば間違いなく好勝負になる。

■2■勝つはずの馬が勝つべくして勝つレース
前半3ハロンの平均タイムが34秒9、ラスト3ハロンの平均が35秒1と、京都のマイル戦らしく、極めて平均ペースでレースは流れる。つまり、どんな脚質の馬でも勝負になり、展開に左右されて負けるということが稀なレースである。また、スタートから最初のコーナーまでの距離も694mとかなり長いため、枠順の有利不利もほとんどない。勝つはずの馬が勝つべくして勝つレースといえる。

ただし、開幕週ということもあって、直線が平坦な絶好の馬場では前もなかなか止まらないことに注意すべき。過去10年のラップタイムの中でも、前半800mのタイムに注目してみたい。

平成16年
12.2-11.0-11.2-11.6-11.6-11.8-11.5-12.4(46.0-47.3) 1:33.3Hマイソールサウンド
平成17年
12.7-10.8-11.5-11.7-11.7-11.6-11.8-12.2(46.7-47.3) 1:34.0Mハットトリック
平成18年
12.2-11.1-11.8-12.2-11.8-11.2-11.4-12.3(47.3-46.7) 1:34.0Sビッグプラネット
平成19年
12.3-11.2-11.7-12.2-11.6-11.0-11.6-12.3(47.4-46.5) 1:33.9Sマイネルスケルツィ
平成20年
12.5-11.4-11.4-12.3-11.4-11.3-11.2-12.1(47.6-46.0) 1.33.6S エイシンデピュティ
平成21年
12.6-10.7-11.2-11.8-11.6-11.9-11.4-11.7(46.3-46.6)1.32.9M タマモサポート
平成22年
12.0-10.6-11.6-12.2-11.8-12.3-11.3-12.3(46.4-47.7)1.34.1H ライブコンサート
平成23年
12.3-11.3-11.8-12.0-11.4-11.2-11.4-12.0(47.4-46.0)1:33.4S シルポート
平成24年
12.2-10.5-11.1-11.9-11.9-12.0-11.5-11.8(45.7-47.2)1.32.9H マイネルラクリマ
平成25年
12.4-11.2-11.7-12.1-11.6-11.5-11.2-11.8(47.4-46.1)1.33.5S ダノンシャーク

前半の800mが47秒台に落ち着くと、完全に前が有利になっていることが分かる。出走メンバーを見渡してみて、どの馬がどのように逃げるのかをイメージする作業をする際には、この47秒という数字を頭に置いておきたい。

■3■あまりハンデ戦であることを意識しなくてよい
平成8年からマイル戦へと距離が短縮され、高松宮記念や安田記念へ向かうというよりも、昨年の秋シーズンを消化不良で終わったマイラーたちの最終戦的な色合いが濃い。とはいえ、一戦級落ちの実力のあるマイラーが揃うため、ハンデ戦ながらもレベルの高い争いが期待できる。

そのため、勝ち馬の平均ハンデが約56kgと、力のある馬であれば、少々重いハンデを背負ったとしても軽量ハンデ馬に足元をすくわれることはほとんどない。あまりハンデ戦であることを意識せずに、基本的には各馬の力の比較を優先すべきレースである。

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ジャパンカップを世界最高のレースへ

Japancupasnumberone

21世紀の最強馬であるオルフェーヴルが引退した。日本の3冠馬でありながら、ヨーロッパの最強馬を決める凱旋門賞を2年連続で2着したのだから、当然の称号と言えるだろう。決して身びいきではなく、外国の競馬評論家でも(少しでも競馬について知っていれば)そう考えるはずだ。過去10年ではシーザスターズかフランケルが文句なしに強いと感じさせられたが、オルフェーヴルはそれ以上である。想像してみてほしい、シーザスターズやフランケルがジャパンカップや天皇賞秋に出走して、2年連続で2着を確保できるだろうか。オルフェーヴルはそれをやってのけたのである。

それだけの馬が結局のところ凱旋門賞を勝てなかった(しかも今年に限っては、完璧なローテーションと仕上がりで臨んでも勝てなかった)のだから、もう日本馬が凱旋門賞を勝つことはできないと考える方が賢明である。いわゆる無理ゲーというやつである。野平祐二さんの頃から凱旋門賞にあこがれ、高い目標を自らに課して、馬づくりに励んできたからこそ、今の日本の競馬の発展があることは間違いない。しかし、そのシンボルである凱旋門賞が今となっては呪縛である以上、いつまでも自虐的に振舞うのではなく、私たちはそろそろ新しい物語を紡ぐべきなのである。

もちろん、種牡馬としての価値を高めるため、日本競馬のレベルの高さを世界に示すためという目的があっての出走はありだろう。その場合は、勝つことだけが至上命題ではなく、負けたから日本の競馬は世界に及ばないという結論にもならない。たとえばオルフェーヴルのように2年連続で2着することができれば、そのサラブレッドとしての資質の高さは分かる人には分かる。もし凱旋門賞というレースを勝つことだけに一点集中するのであれば、ブエナビスタやウオッカのような牝馬を3歳時に連れていくしかない。オークスやダービーを勝ってしまうと疲れが残るので、桜花賞を使ってすぐに海外に移動させて秋に備える。でもそんなこと現実的ではない。

話を戻すと、ひとつの提案はジャパンカップを世界最高のレースにという新しい物語である。いつまでも海外のレースに出向くばかりでなく、世界の最強馬たちにジャパンカップへと挑んでもらうように向きを変えるのだ。ドバイワールドカップがそうなりつつあるように、ジャパンカップを勝った馬こそが最強という価値観の転倒を起こすのだ。夢のような話ではなく、実は茨(いばら)の道である。賞金をさらに高くしたり、1日にジャパンカップ以外の複数のG1レースを開催すればなんて、そんな単純な問題ではない。ジャパンカップを世界最高のレースにするためには、日本の競馬そのものにメスを入れなければならなくなるからだ。

たとえば、検疫の問題。臼井の競馬学校で検疫を受けてから、東京競馬場に移動するのに5日間もかかるなんて、あまりにも長すぎる。そして馬場の問題。日本のターフは管理のしやすさを優先してか、あまりにも硬すぎる。たとえばジャパンカップを勝ったジェンティルドンナの今年の上がり3ハロンは33秒9、昨年は32秒8である。ドンナレースダヨ!と外国のホースマンに言われても返す言葉もない。レースの時計が速すぎるという以上に、馬場が硬すぎることが嫌われているのである。それから厩舎の問題。外国人調教師にも厩舎を開放すべきである。今年の凱旋門賞ではフランスに厩舎を開業している小林智調教師がいたからこそ、オルフェーヴル陣営は万全の出走態勢を整えることができた。日本における調教のノウハウを身に付けた自国の調教師がいれば、なおさら日本における滞在は楽になるはずだ。他にもたくさんあるが、総じて言えば、日本競馬はもっと開かれていかなければならなくなるということだ。それこそが、今後、真の意味での日本の海外への挑戦ということになるのではないだろうか。

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東京大賞典を当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■武豊騎手と内田博幸騎手の独壇場
過去11年の勝利騎手を見てみると、武豊騎手が5勝、そして内田博幸騎手が3勝と、ほぼこの中央と地方競馬の看板を背負ってきた2人による独壇場となっている。武豊騎手はゴールドアリュール、スターキングマン、ヴァーミリアン、スマートファルコン、内田博幸騎手はアジュディミツオーとサクセスブロッケンに乗って勝った。同じ馬で2度制しているのはスマートファルコンとアジュディミツオーだけで、様々なタイプの馬を暮れの大一番で勝利に導いていることが分かる。

良い馬を任されるという面はあるにせよ、これだけ同じ騎手によって独占されているG1レースも珍しく、この2人が東京大賞典を勝つための、何かコツのようなものを知っていると言っても過言ではないだろう。今後も武豊騎手と内田博幸騎手が騎乗してくるようなら狙ってみたい。今年は武豊騎手の騎乗こそないが、内田博幸騎手にはハタノヴァンクールの依頼が転がりこんできたので、その手綱捌きには注目してみるべきである。

■2■高齢馬は割り引き
過去11年の勝ち馬の年齢を見てみると、以下のようになっている。

3歳 → 2勝
4歳 → 4勝
5歳 → 2勝
6歳 → 3勝

どの年齢かに偏っていることはなく、かなり平均的に勝ち馬が出ている。しかし、7歳以降の馬からは勝ち馬が出ていないことや、6歳にして東京大賞典を勝ったブルーコンコルド、カネヒキリ、スマートファルコンのその後の走りを考えると、高齢馬は割り引きをして評価したほうがよいのではないかと思える。いくらダート馬の現役期間が芝馬のそれに比べて長いとはいえ、もうすぐに7歳馬とならんとしている6歳馬はギリギリのラインに立たされていて、積極的に狙うのは気が引ける。

■3■大井2000m
地方競馬場は得てしてスタートから第1コーナーまでの距離が短いコース設定が多いが、大井競馬場の2000mは最初の直線が長い。それによって、内外(内枠と外枠)の差が小さく、枠順によって大きな不利をこうむる馬が少ないため、力のある馬が勝ちやすい舞台となる。まさにダートのチャンピオンディスタンスであるといえる。最後の直線も長いので、後ろから差しても届くと思われがちだが、ここに出走してくるようなダートの猛者たちは簡単には止まらないので、勝つためには最終コーナーをほぼ先頭ぐらいの勢いで回ってこなければならない。

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衰えたなんて誰が言った?


有馬記念2013-観戦記-
ルルーシュが果敢に先頭に立ち、カレンミロティックがそれを追いかける形で、前半1000mが60秒2(最初の100mは除く)、後半60秒8という平均ペースでレースは流れた。特に速くも遅くもないペースではあったが、オルフェーヴルが早めに捲くり切ったことで、先行した馬たちは早々に飲み込まれ、2着争いは後ろから行った馬たちにやや有利に働いた。その中でも、豊富なスタミナに支えられたウインバリアシオンとゴールドシップの2頭の末脚が僅かに勝った。オルフェーヴルが2、3着馬につけた差は8馬身。別世界を走るサラブレッドのようであった。

引っ掛かるのを恐れたのか、オルフェーヴルは後方からのレースとなったが、勝負所で上がっていくときの勢いが他馬とは違った。選ばれしサラブレッドたちがトップスピードに乗る有馬記念の最終コーナーを、折り合いを欠いてではなく、ジョッキーが引っ張りながら捲くるのだから凄い。最後の直線に向いて、後続との差を拡げてゆく姿は圧巻のひと言。これが2年間にわたって世界に挑み続けてきた馬とそうでない馬との差ということだ。昨年に比べて衰えがあるとも評されていたが、年を重ねてさらに成長、進化していることを証明した。父ステイゴールドも晩成型の馬であり、その力の源は決して衰えることのなかった闘争心にあった。オルフェーヴルはその長所を余すところなく受け継ぎ、肉体面では父を遥かに凌駕し、日本競馬史上でおそらく最も強い馬となった。

私たちがもう1度考えなければならないのは、このオルフェーヴルでさえも凱旋門賞を勝てなかったということだ。しかも2度挑戦して。昨年のオルフェーヴルは体調が下降線を辿っていたことで最後に失速し、今年はさらに成長し、仕上がりも完璧であったにもかかわらず、斤量差を生かした3歳牝馬の後塵を拝した。おそらく昨年の相手が今年の相手であったら、もしくは今年の体調(状態)で昨年走れていたら、勝っていたはずである。まさにタラレバの世界であり、取り返しのつかない過去の話である。私たちに残されたメッセージは、もう凱旋門賞を勝つチャンスは限りなく“ない”、ということだ。決して悲観しているわけではない。日本古来の血統から生まれ、日本で育成・調教された馬が海を渡って凱旋門賞で2度も2着したのだから、このことはもう十分に誇っていい。ただ、私たちはそろそろ新しい物語を見つけてもよいのではないだろうか。

ウインバリアシオンは、同世代にオルフェーヴルがいたことを恨むしかない。しかし、この馬の持つ堅実な末脚は、オルフェーヴルが先団を捲くり切ってくれるからこそ発揮されるとも考えられる。オルフェーヴルがいないこれからの課題は、自ら動いて、自らの脚力で差し切るレースをすることだ。岩田康誠騎手もこの馬の特性を活かし、見事に2着を拾った。技ありの騎乗であった。

昨年の覇者ゴールドシップは、オルフェーヴルには格の違いをみせつけられ、ウインバリアシオンは足元をすくわれて3着。宝塚記念を無理して勝った反動から、この秋は精神的に走れる状態にはなかったが、それでも少しずつ復調の兆しを見せている。この馬は気持ちで走るタイプなので、この冬はゆっくりと休ませて、気持ちを癒して、来年の春に備えてもらいたい。そうすれば、天皇賞春を勝てる馬である。

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賭けることは生きること

Jiromaru

私に残された最後のチャンスは有馬記念でした。今からちょうど10年前、1レース10万円という勝負をしていた1999年最後のG1レース。当時、手取り14万円だった私にとって、1年間では返しきれないほどの借金を背負って臨んだレースでした。実は前の週のスプリンターズSでブラックホークの単勝を買っていた私は、ほんの少しだけ負債を減らし、ほんの少しだけ気が楽になっていました。もしこの有馬記念が当たれば、逆転勝利の可能性も残されていたのでした。

しかし、この年の有馬記念には、スペシャルウィークとグラスワンダーという超一流馬が2頭出走してきました。スペシャルウィークはこの秋、天皇賞秋→ジャパンカップと連勝し、最後の大一番に臨んできました。特にジャパンカップでの強さは圧巻で、さらに調子を上げて来ているとの陣営のコメントもあり、全く隙のない馬に見えました。対するグラスワンダーも、辛勝した毎日王冠から間隔を開け、この有馬記念に向けて完全に仕上げ直してきました。しかも前年の覇者でもあります。この2頭のどちらが勝利するのかが焦点であり、圧倒的な人気を分け合うのは明らかでした。

私の選択肢は2つありました。ひとつは、この2頭以外の馬を買うこと。候補として考えていたのは、3歳馬のテイエムオペラオーでした。ミスター競馬こと故野平祐二さんが「ヨーロッパの馬みたいだ」と絶賛していたほど、力強いピッチ走法で駆けるテイエムオペラオーにとって、暮れの中山の時計の掛かる馬場が合っていないはずはありません。しかし、菊花賞で僅差の2着後、ステイヤーズSを使ってまさかの2着に敗れていました。前走、G3レースで負けていた馬が有馬記念で勝つということに少々無理があるのではと感じていました。

もうひとつは、賭け金を増やすこと。スペシャルウィークもグラスワンダーも2倍台の単勝オッズでしたので、たとえ当たったとしても、1レース10万円では逆転は不可能です。詳しくは書きません(書けません)が、○○万円を賭ければチャラ、それ以上であれば勝ってこの年を終われるはずです。悪魔のささやきが聞こえてきました。「もうここまで負けているんだから、○○万円も○○万円も変わらないよ。男なら思い切って勝負しな」と。

悩みに悩んだ末、私は後者を選びました。いや、選んだというよりは、スペシャルウィークとグラスワンダーのどちらかが勝つのが必然と思ったのです。そうなると、賭け金を増やすしかありませんよね。私は腹を決めました。あとはどちらに賭けるかです。年始から単勝のみで勝負をしてきた私にとって、2頭の馬連という結論はありえませんでした。スペシャルウィークか、それともグラスワンダーか。まさに究極の選択でした。

この時ほど、切実に未来を知りたいと思ったことはありません。もしどこかに答えがあるならば、どんな手段を用いても手に入れたい。そんな気持ちでした。まるで頭から湯気が出るような気がしました。パドックを見ては考え、返し馬を見ては考え、競馬新聞を見ては考え。スペシャルウィークで間違いないと確信した時もありましたし、グラスワンダーが勝利するイメージが浮かんだこともありました。結局、レースの投票が締め切られる1分前まで、私は延々と考え続けました。

今思い返してみると、実は答えなんてどこにもなかったのです。それはレースを見てもらえば分かると思います。それまでの私は、競馬のレースは何度やっても同じ結果になると考えていましたし、その結果は科学的に証明できると信じていました。ひとつのレースにはひとつの答えがあって、その答えに至るまでの過程さえ正しければ、どんなレースでも必ず勝てると公言していました。恥ずかしい限りです。この薄氷を踏むような経験を通して、競馬は分からないということが分かったのでした。

実は、ここまでの内容は、今から4年前の有馬記念で書いたことです。しかし、この有馬記念の結末を私は書けず(書かず)にいました。競馬場の締め切りのベルが鳴って、心臓が止まりそうになりながら、マークシートにどちらの馬の番号を塗りつぶしたのか、今まで誰にも話すことなく秘密にしてきたのです。でも、もうそろそろ時効かもしれませんね。正直に言うと、私はどちらの馬にも賭けませんでした。グラスワンダーにもスペシャルウィークにも。ただそれだけのことです。私にはどうしても馬券を買うことができなかったのです。

それは恐れであったと思います。お金を失ってしまう恐れというよりも、もっと怖かったのは、誤った未来を選択してしまうかもしれないという恐れ。間違ってしまうことが怖かったのです。賭けなければ、少なくとも選択を誤ってしまうことはありません。それまで散々誤った選択をしてきたにもかかわらず、最後の最後に(最後の最後だからということもあったかもしれませんが)、間違うことが怖くなったのです。私は茫然とファンファーレを聞き、この年の有馬記念を観ました。一旦先頭に立ったテイエムオペラオーを、グラスワンダーとスペシャルウィークの2頭が交わし、同時にゴールしたシーンも、私にはまるで幻のようでした。

これほどの敗北感を味わったのは初めてでした。いや、賭けていないのですから、馬券で負けたわけではありません。見(ケン)をしたと自分に言い聞かせることもできたかもしれません。しかし、どう考えても私は完全に負けたのです。もしどちらかに賭けていたら、馬券は当たっていたかもしれませんし、外れていたかもしれません。当たっていれば多少はプラスになっていたでしょうし、外れていたらさらに借金は膨らんだはずです。それはタラレバの世界であり、賭けなかった私には生きられなかった世界です。どちらの選択をしていたとしても、勝っていたとしても負けていたとしても、今から思えば、その先の私の人生に大きく影響することはなかったと思います。今でも心に残っているのは、どちらにも賭けなかったという後悔だけです。そう、賭けることは生きることなのです。

有馬記念の予想を忘れていました。もちろん、今年の本命は◎オルフェーヴルに打ちます。有馬記念が行なわれる中山2500mはコーナーを6つ回るため、どうしても内ラチ沿いを走れる馬にとって有利になります。小回りコースであることも加わり、勝ちポジは内の2、3番手という基本ポジションです。2度にわたる海外遠征を経て、ある程度前の馬群の内で我慢できるように成長したオルフェーヴルは、6番枠という好枠を引き、勝ちポジを走れるはずです。これだけでは面白くないという方は、同じく勝ちポジを走れるであろう○カレンミロティックとの馬単はいかがでしょうか。前走の金鯱賞はハイペースを追走して、後続を突き放したように強いレースでした。

Arima09

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ラストランにして完成されたオルフェーヴル:5つ☆

オルフェーヴル →馬体を見る
それほど良く見せるタイプではなかったが、随分と馬体が立派になった。
ふっくらとして柔らかな筋肉に覆われており、ラストランにして完成された。
Pad5star

ゴールドシップ →馬体を見る
調子の良し悪しが馬体には反映されないタイプで、今回もいつもどおりの馬体。
全体のバランスも良く、立ち姿も堂々としており、あとは気持ちの問題か。
Pad4star

ウインバリアシオン →馬体を見る
父ハーツクライに似て、首が細く、いかにもステイヤーという馬体を誇る。
距離延長は望むところではあるが、今の馬場を考えるとパワー不足は否めない。
Pad3star

カレンミロティック →馬体を見る
この馬は父には似ておらず、胴部が短く、どちらかというと短距離馬の馬体。
その分、筋肉量も多く力強い馬体で、パワー勝負になると良さが発揮されるはず。
Pad3star

デスペラード →馬体を見る
ステイヤーズSを勝っているように、脚も長く、馬体のシルエットは長距離馬のそれ。
トモの肉付きが物足りない印象を受け、このメンバーに入るとややパワー不足か。
Pad3star

トーセンジョーダン →馬体を見る
徐々に良かったころの馬体の張りを取り戻してきつつあり、前走の好走も納得がゆく。
冬場にしては毛艶も良く、前走よりもさらに調子はアップしており侮れない仕上がり。
Pad4star

トゥザグローリー →馬体を見る
馬体の大きさを全く感じさせない、全体的にバランスの取れた好馬体。
絶好調時と比べると、トモの筋肉の実の入りが物足りないが、少しずつ良くなっている。
Pad3star

ダノンバラード →馬体を見る
馬体全体のバランスが優れていて、湾膝である以外は、理想的な馬体を誇る。
前走の敗因は分からないが、前後躯にしっかりと実が入り、この馬の力は出し切れる。
Pad45star

アドマイヤラクティ →馬体を見る
毛艶が冴えないだけではなく、筋肉のメリハリに欠け、臨戦態勢が整ったとは言いがたい。
立ち姿のバランス自体は悪くないので、本番までにどこまで仕上げていけるか。
Pad3star

ルルーシュ →馬体を見る
脚が短いため、どうしても重心が低く映ってしまうが、距離はこなせるタイプである。
間隔を開けて使ってきたので、昨年のこの時期よりも毛艶が良く、筋肉に疲れもない。
Pad3star

ナカヤマナイト →馬体を見る
堂々とした立ち姿は、力強さに溢れ、今年の中では一番良い仕上がり。
毛艶も素晴らしく、筋肉のメリハリも十分で、この馬の本領を発揮できそう。
Pad45star

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中山芝2500m

Nakayama2500t

外回りコースの3コーナー直前からのスタート。第1コーナーである3コーナーまでの距離は192mと短く、スタートしてすぐにコーナーに突っ込む感じ。スタンド前を通る前に馬を落ち着かせておきたいので、スタートしてから最初の直線まではポジション争いよりも各馬折り合いに専念する。

スタンドからの歓声によって馬が行きたがることがあるが、馬を前に置けるとそれを防げる。そのため、前の馬を壁にできる内枠の馬は有利になる。1週目はゆっくりと坂を登り1コーナーに差し掛かる。ペースが上がるのは2コーナーを回って丘の下りにかかった地点から。向こう正面から3コーナーまでの間に、ほぼトップスピードに加速する。ここでのペースが極端に速いと最後の坂での逆転劇が待っている。

中山の2500mというコースにおける特徴はコーナーを6つも回るということだ。そのため道中のペースはあまり速くなることはない。ステイヤータイプの馬が活躍しているのは、スローペースでも折り合いに苦労することがないからであろう。スピードだけで押し切れるコースではないが、マイラーでも折り合いがつくタイプであれば克服はできる。

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有馬記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Arima

■1■必ずしも強い馬が勝つとはいえない2つの理由
暮れの大一番、有馬記念。3歳馬と古馬との対決でその年のナンバーワンを決定するのだが、必ずしも強い馬が勝つとは言えないのがこのレース。

その理由として、
1、シーズン最後のレースであるために、強くてもピークを過ぎている馬がいる。
2、コーナーを6つも回るため、展開によって大きくペースが左右される。
という2点が挙げられる。

1については、各馬それぞれ目標としていたレースが違うということである。たとえば3歳馬なら菊花賞、古馬ならジャパンカップ、そして海外の大レースに目標を定めていた馬もいるだろう。しかし、現状としては、暮れの大一番である有馬記念に目標を置いていたという馬はまずいない。よって、秋のどこかの時点でピークに仕上がってしまった馬や、仕上げて勝った馬は、この有馬記念には下降線の決して万全とはいえない体調で臨まざるを得ないということになる。中にはここに来て調子を上げてくる馬もいるので、そういった体調の交錯があって、あっと驚く好走や凡走が繰り広げられるのがこの有馬記念である。

2については、有馬記念が行われる中山の2500mというコースにおける特徴は、コーナーを6つも回るということだ。競馬はコーナーを回ることによって息が入ったり、ペースがアップダウンしたりするので、コーナーの数と展開の不安定性は比例する。昨年はダイワスカーレットが尋常ではないペースでレースを引っ張ったが、いつ超スローペースになってもおかしくない。つまり、展開の紛れによって結果が大きく左右される、荒れやすいレースである。

■2■世代交代が行われるレース
過去10年の年齢別の成績を見ると、3歳馬が3勝、4歳馬が6勝となる。成長著しい3歳馬か、充実から完成に向かう4歳馬のどちらかから勝ち馬が出る可能性は非常に高い。このデータを考えると、5歳と7歳時に連対したタップダンスシチーの凄さが分かる。いずれにせよ、有馬記念は世代交代が行われるレースであり、これからの馬を狙い打つのが本筋である。

■3■牝馬が勝ちきることは難しい
2008年、ダイワスカーレットが驚異的な強さで勝利したものの、牝馬としてはヒシアマゾンの2着、エアグルーヴの3着、ダイワスカーレットの2着が近年では最高であった。理由は2つ考えられて、1つはジャパンカップと同じく、トップレベルのスタミナが要求されること。もうひとつは、牝馬は牡馬に比べて冬毛が生えてくるのが早いように、季節的に休眠に入ってしまい臨戦態勢にないことが挙げられる。これからも牝馬がこのレースを勝ち切ることは相当難しいだろう。今年、ジェンティルドンナが出走していたら、どんな走りを見せてくれていただろう。

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日本人騎手には見当たらない

Asahihaifs2013 by Scrap
朝日杯フューチュリティS2013-観戦記-
牝馬であるベルカントが好枠から飛び出し、前半4ハロンが46秒8、後半が47秒9という、朝日杯フューチュリティSとしては通常のハイペースでレースを引っ張った。最終コーナーまで淀みない流れが続き、最後の直線で先行勢が失速するのを尻目に、道中は中団で脚を溜めていた馬たちの差しが決まった。スピードの持続力が問われる展開となり、軽い芝を滅法得意とするサンデーサイレンス系よりも、ダートに適性がありそうな非サンデーサイレンス系の血統馬たちの好走が目立った。

驚くべきことに、勝ったアジアエクスプレスはこれが初芝のレース。どれだけ芝の方が合いそうな手脚が長く、筋肉の柔らかい馬体をしていたとしても、初めての芝のレースがG1となれば話は別である。レースの流れから求められる走法まで、全てが初めての経験の中で勝ち切ったことは、この馬の潜在能力の高さを物語っている。マイナス8kgと、厩舎としても渾身の仕上げであったことも確か。それでも、全てがこの馬の強さかというとそうではないだろう。鞍上がR・ムーア騎手だからこそ勝ち切れたのだ。逆に言えば、アジアエクスプレスは能力以上のものを出し切ってしまったということであり、R・ムーア騎手が乗らなくなる(だろう)来年こそが試金石となる。

R・ムーア騎手は、ジャパンカップに引き続き、今季G1レース2勝目となった。きっちり仕事を果たしたジェンティルドンナのジャパンカップとは違い、今回はR・ムーア騎手にしかできない芸当を見せてくれた、というのが正直な感想である。特筆すべきは、勝負所で馬にハミを掛けて追い出してからの力強さ。昔、日本でよく言われていた剛腕という表現が恥ずかしくなるほどの力強さで、馬をプッシュしていくその姿には凄みを感じざるをえない。おそらく日本人騎手は口には出さないだろうが、この馬をこのような形で持ってこられてしまうと、もうグウの音も出ない。同じように勝たせることのできるジョッキーを探してみても、残念ながら日本人騎手には見当たらない。

ショウナンアチーヴは、レースの流れにスムーズに乗り、自身の力はきっちりと出し切った。33秒台の速い上がりになると厳しいが、ラストはコンスタントに脚を使う馬だけに、道中の流れが厳しく上がりが掛かったことがプラスに働いた。後藤浩輝騎手にとっても、思い描いていたとおりの騎乗だったのではないだろうか。勝ち馬とは、外に出して脚を使い始めたタイミングの差だけであったが、早めに動いて押し切るスタイルを貫いての敗北だけに、自身も納得がゆくはずだ。勝ちたくて仕方がなかったはずだが、R・ムーア騎手を祝福する後藤騎手を見て、ジョッキーとしてだけではない人間としての成長を感じた。

1番人気のアトムは中団を追走したが、直線では思ったほど伸びず。448kgの馬体重が示しているように、このメンバーに入ると現時点ではパワー不足は否めない。地方馬のプレイアンドリアルは先行して押し切りを計ったが、厳しい展開になってしまい、さすがに後続の勢いに飲み込まれてしまった。地方に所属していることで、環境が変わったり、調整が難しいことを含め、能力が一枚は抜けていないと中央のG1を勝ち切ることは難しい。牝馬ベルカントはラスト200mぐらいまで粘っていたように、牡馬に混じっても見劣りしないスピードとパワーがあることを証明してみせた。耳の動きを見ていると、まだ真剣に走っていないようなところもあるので、精神面での成長があれば将来が非常に楽しみになってくる。

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◎ショウナンアチーヴ

Asahihai_2私の好きな馬の1頭にアドマイヤコジーンという馬がいます。アドマイヤコジーンとの出会いは、朝日杯3歳S(今の朝日杯フューチュリティS)でした。出会いといっても、ただ単勝を買ったというだけなのですが、鞍上のロバーツ騎手のダイナミックな追い方による叱咤激励に応え、人気を分け合ったエイシンキャメロンとの叩き合い制したシーンは今でも脳裏に焼きついています。芦毛の馬体に宿る筋肉は柔らかく、追われれば追われるほど伸びて行きそうで、将来有望な馬として大きな期待をしていました。レース後、すぐに骨折が判明してしまうまでは。

その存在さえも忘れてしまいそうになっていた頃、1年7ヵ月後に、アドマイヤコジーンは私の前に戻ってきました。そのとき、アドマイヤコジーンの脚にはボルトが埋め込まれていたのです。復帰後のレースには、かつての面影はありませんでした。4、6、11、8、8、11…と2桁着順に落ち込んでしまうこともありました。古馬になったからかもしれませんし、脚に入っているボルトを気にしていたのかもしれませんが、アドマイヤコジーンの長所であった筋肉の柔らか味が失われてしまったように見えました。年齢的にも、このまま終わってしまうのかと誰もが思ったはずです。

ところが、6歳になったのを境として、脚元の不安がなくなってきたことが大きかったのでしょうか、アドマイヤコジーンはかつての輝きを取り戻し始めたのでした。2歳時のような馬体の瑞々しさはありませんが、骨折を乗り越えた気持ちの強さと持ち前のスピードを武器に、鞍上に後藤浩輝騎手を迎えて、先行して押し切るスタイルを手に入れたのでした。府中の直線を2番手追走から堂々と押し切った2002年の安田記念は忘れられません。4年越しのG1を制したアドマイヤコジーンの凄さはもちろん、後藤浩輝騎手にとっても初めての中央G1制覇となりました。あのときの後藤騎手の涙は印象的でしたね。

後藤騎手もあれから紆余曲折がありましたが、騎手として復帰を果たしました。騎手として馬に乗ることが使命だと思っているからこそ、頚椎等の骨折にも負けることなく、再びターフに戻って来られたのだと思います。アドマイヤコジーンが背中を通して教えてくれたように、最後まで諦めない強い気持ちを持ち続けていれば必ずチャンスは巡ってくるのです。本命は後藤浩輝騎手騎乗の◎ショウナンアチーヴに打ちます。朝日杯フューチュリティーSの勝ちポジは、中団よりやや前の真ん中です。ペースは速くなりやすいので、内ラチ沿いを走らなくても問題ありません。馬群の真ん中にいて、流れ次第で外に出しても良いでしょう。後藤騎手ならショウナンアチーヴを勝ちポジに導けるでしょうし、ショウナンアチーヴ自身、どんなペースでも上がり34秒台で上がってきそうな馬なので、ペースが速くなるG1の方がレースはしやすいのではないでしょうか。

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2歳馬とは思えない立ち姿ショウナンアチーヴ:5つ☆

ツィンクルソード →馬体を見る
牡馬らしからぬ線の細さを残しているが、筋肉の質は柔らかそう。
表情からは気性の素直さが伺え、この馬の現時点での力は出し切れるはず。
Pad3star

ベルカント →馬体を見る
2歳牝馬とは思えない力強い馬体を誇り、ここに出走してくるのも頷ける。
とはいえ、牝馬らしく、さすがに毛艶は悪くなってきており絶好調には至らない。
Pad3star

ウインフルブルーム →馬体を見る
栗毛の2白流星と派手な馬体で、筋肉のメリハリも十分にあり力強い。
毛艶もこの時期にしては良く、前走の好調をそのまま保って出走できるはず。
Pad3star

プレイアンドリアル →馬体を見る
首や胴部の長さから、マイルよりも距離はさらに延びた方が良いタイプか。
細かい筋肉まで鍛え上げられており、現時点での完成度は高い。
Pad3star

ショウナンワダチ →馬体を見る
胴部が詰まって映るように、距離はマイルがベストで限界か。
筋肉のメリハリにやや欠けるように、馬体全体から幼さが伝わってくる。
Pad3star

ショウナンアチーヴ →馬体を見る
この時期にしては毛艶が素晴らしく良く、新陳代謝の良さが伝わってくる。
馬体の完成度も高く、賢そうで、2歳馬とは思えない見事な立ち姿を誇っている。
Pad5star

アポロスターズ →馬体を見る
胴部に長さがあるように、マイルの舞台でも距離の心配はないだろう。
毛艶も良く、筋肉の柔らか味もあって、この馬の能力は十分に発揮できる。
Pad3star

アジアエクスプレス →馬体を見る
皮膚が柔らかく、そういった意味では、芝でも十分に走れそうな馬体。
筋肉にメリハリもある好馬体だが、気性が激しそうな表情だけは気がかり。
Pad3star

マイネルディアベル →馬体を見る
手脚がスラっと伸びて、馬体全体にも伸びがあるように窮屈さはない。
前後躯にはしっかりと実が入って、現時点での馬体の完成度は高い。
Pad4star

エルカミーノレアル →馬体を見る
時期的に毛艶が冴えないのは仕方なく、筋肉のメリハリという点でもあと1歩。
これといった強調材料はなく、将来的に実が入ってくればという馬体。
Pad3star

アトム →馬体を見る
前後躯にしっかりと筋肉がついて、スピードというよりはパワーの勝った馬体。
気の強さが伝わってくる表情で、スムーズにレースが運べるかどうか。
Pad4star

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中山芝1600m

Nakayama1600t1

1コーナー付近にある小高い丘の頂上からのスタート。第1コーナーとなる2コーナーまでの距離が240mと短いことと下り坂になっていることによって、流れは速くなりやすい。見た目よりもゆったりとした2コーナーを回ると、あとはひたすら下り坂で、その勢いをつけたまま4コーナーを回り直線に突入することになる。勝負の分かれ目は最後に待ち構えている坂で、余力が残っていない馬はここでパタっと止まる。そのため、前残りか前崩れかといった極端な展開になりやすい。

直線が短いためスピードだけで押し切れそうだが、直線に急勾配な坂があることによって、実はスタミナも必要とされる。かといって、ジワジワと伸びていても直線が短く届かないので、一気に坂を駆け上がるような瞬発力も要求される。

外枠が極端に不利なコースである。第1コーナーまでの距離が短いため、外枠の馬は良いポジションを確保するのが難しい。そして、コース全体が大きな円を描いているため、外を回されると内の馬と比べてかなりの距離ロスになってしまう。ペースに緩みがないため、一旦外を回されると軌道修正する前にレースが終わってしまうことも多い。

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勝負強さとして

Hanshinjf2013 by M.H
阪神ジュベナイルF2013―観戦記―
ニホンピロアンバーが逃げ、ダイヤモンドハイ、スイートガーデンにホウライアキコが続く形で、前半の半マイルが46秒3、後半が47秒6というハイペースでレースは流れた。前後半の落差が2秒4もあった昨年ほどではないが、後方から追走した差し馬にとってはおあつらえ向きの展開となり、直線半ばで先行集団と後方の有力馬たちの形勢が一気に逆転した。最後は3頭の激しい叩き合い。わずかにレッドリヴェールに軍配が上がった。

レッドリヴェールはマイナス8kgと完璧に仕上がった馬体で、最高の走りを見せてハナ差の勝負を制してみせた。新馬戦の上がりが33秒3、札幌2歳Sの上がりが41秒3という、(馬場こそ違え)勝ち馬に求められる資質が全く異なる2つのレースを連勝した時点で、この馬がG1級の力の持ち主であることは明らかであり、今回は究極の仕上げも加わって、その能力を証明してみせた。ステイゴールドの産駒は気性的に激しいところがあり、それがレースに行っての勝負強さとして現われたが、今後は飼い葉食いが落ちないように精神面を十分にケアしていく必要がある。

戸崎圭太騎手は、中央競馬に移籍してから初めてのG1制覇となった。もはや時間の問題であった感はあるが、今回は関西の須貝厩舎からのオファーに見事一発で応えてみせた。ラストのハナ差は戸崎圭太騎手だからこそ残せたと言っても過言ではなく、さすが百戦錬磨のジョッキーである。南関東出身の先輩である内田博幸騎手よりも馬への当たりが柔らかく、地方のダート競馬よりもむしろ中央のレースの方が合っているのではないか。これを機に、関西馬への騎乗は増えてゆくはずで、戸崎圭太騎手が関西馬に乗り替わるタイミングには注目していきたい。

1番人気を裏切る形となったハープスターだが、この馬自身の力は出し切った。前走のような上がりの極端に速い競馬ではなく、G1らしくスタミナも問われる流れになったことで末脚はやや鈍ったものの、それでも脚色が最も良かったのはこの馬であった。あえて言えば、スタートが良かったこともあり、優等生的な競馬をしてしまっていた。もう少し後ろから馬群の外を走らせて、ゆったりとエンジンを掛けていけば、もっと切れたはず。走ったコースの内外の問題ではなく、こういうタイプの馬は馬群に入れるよりも、1頭でポツンと走らせた方が切れ味を引き出せる。と言うのは簡単だが、大一番で、最後方からポツンと大外を回すことは案外難しい。

フォーエバーモアは、思っていたよりも走ったというのが正直なところだろう。まだ緩さがあり、体を持て余しているところはあるが、それでもここまで走るのだから将来性は高い。上位3頭と同じく、距離が延びてさらに良さが出そうなタイプだけに、来年の桜花賞やオークスに向けて馬体を成長させていけば、実に楽しみな馬が登場した。

ホウライアキコは大外枠からの発走も影響なく乗り切り、引っ掛かることもなくレースの流れに乗っていた。追い出すタイミングも申し分なかったが、前走とはレースのレベルが違うため、道中で身体が伸び切って追走していた分、ラストの伸びを欠いてしまった。最後の直線の急坂も応えたかもしれない。とはいえ、決して単調なスピード馬ではないので、今後、NHKマイルCに照準を絞っていけば巻き返せるチャンスはあるはず。

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朝日杯FSを当てるために知っておくべき3つのこと

Asahihaifs

■1■絶対的能力と完成度が問われる
傾向としては1番人気が強く、過去13年間で【3・4・4・2】という成績である。勝率ほぼ2割、連対率5割、複勝率もほぼパーフェクトに近い。1番人気が好走することで有名なマイルチャンピオンシップよりも高い数字である。また、2番人気においても、【4・2・0・5】と1番人気を上回るほどの成績を残している。理由としては、かなり速い時計での決着となるため、実力の有無がはっきりと出てしまうことが考えられる。

また、過去13年の勝ち馬を見ると、平成16年のマイネルレコルト、平成18年のドリームジャーニー、平成19年のゴスホークケン以外、すべての馬が前走1着していることが分かる。これは現時点での絶対的な能力や完成度が問われるレースになることを示している。重賞ならば最低でも3着以内に好走していること、もちろん条件戦で負けているようでは×。

■2■生粋の逃げ馬は通用しない
ここまで逃げて勝ってきた馬がまったく通用していないことにも注目したい。中山1600mのコース形態上、2コーナーまでの位置取り争いが激化するため、ほぼ毎年、前に行った馬には厳しいペースとなる。さらに、最後の直線に急坂があることによって、スピードだけで押し切るのは難しい。

このレースを逃げ切ったのはゴスホークケンだけ。そもそも、この年はペースがそれほど速くはなかったし、ゴスホークケンはその前走で抑える競馬をしていた。つまり、スピードを武器にした一本調子の馬ではなく、抑えが利いて、終いの脚を生かすような競馬ができる馬でないとこのレースは勝てないということだ。

■3■スタミナがないと勝ち切ることはできない
このレースはペースが速くなることが多く、スピードこそ絶対だが、スタミナもないと勝ち切ることはできない。そのため、1600m以上の距離のレースを経験していることはほぼ必須条件になってくる。ということからも、もし東京スポ-ツ杯(G3 東京1800m)のレースを勝った馬が順調に出走してくれば、間違いなく勝ち負けになるだろう。

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◎ハープスター

Hansinjf_2

かつてのおむすび型の阪神コースとは違い、今の阪神ジュベナイルFの勝ちポジは、後方の外になります。勝ちポジの基本ポジションとは対極にありますが、それなりの理由があってのことです。ひとつはキャリアの浅い若駒、しかも牝馬にとって、馬群の内で走って揉まれるよりも、外をリズム良く走る方が力を発揮できるから。もうひとつは、阪神のマイル戦のコース形態は直線が長く、タフなコースなので、後方から最後の直線に向きながらギアを上げてゆくような馬の方が合っているからです。

馬群の外を走りながら、息の長い脚を使って差してくるレースができる馬としては、ハープスターとレッドリヴェールが候補として挙げられます。

ハープスターの末脚は新潟2歳Sで実証済みです。何度観ても、あの直線での切れ味は素晴らしく、まるで他馬が止まって見えました。騎乗している川田雅将騎手もゾクッと来たのではないでしょうか。あの時、歯牙にもかけなかったイスラボニータが東スポ杯を制したことからも分かるように、決して相手が弱かったわけではありません。レース間隔が開きましたが、逆に吉と出るのではないでしょうか。32秒台の脚を使った後ですから、2歳牝馬の肉体にはかなりの反動があったのではないでしょうか。その疲れを癒すためには、必要な間隔だったと思います。本命◎はこの馬に打ちます。

レッドリヴェールは新馬戦で阪神1600mを走っており、そのときからウイリアムズ騎手が抑えて、馬群の外を回して追い上げていく予行演習をしましたね。岩田康誠騎手からさらに戸崎圭太騎手に手が替わりますが、レースに行くと乗りやすい馬ですので、全く問題はありません。上がり33秒3の新馬戦と上がり41秒3の札幌2歳Sという、勝ち馬に求められる資質が全く違う2つのレースを連勝したことの価値は極めて高いです。この馬も前走で道悪馬場を走り切ったことで、肉体的に疲れが出たはずですから、ゆったりとしたローテーションは良い方向に考えてよいですね。ハープスターとの追い比べで、どこまで食らい付くことができるでしょうか。

最後にホウライアキコは、ヨハネスブルグ×サンデーサイレンスという確変配合です。搭載しているエンジンと、競走馬としての気性の強さが桁違いである可能性が高いですね。つまり、外見上では分かりにくい部分に強さがある馬ということです。これまでのレースを見る限り、1200m戦は追走でやや手間取っており、マイルの前走が最も良いレースでしたので、距離が延びて良いタイプですね。阪神のマイル戦でもスタミナ面では全く心配はなく、かえってレースはしやすいはずです。この馬の二の脚があれば、大外枠もほとんど気にする必要はありません。個人的には、この恐ろしい配合がどこまで恐ろしいのか、怖いもの見たさでホウライアキコがどこまで走るか見てみたい、そう思っています。

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筋肉が柔らかいレッドリヴェール:5つ☆

ホウライアキコ →馬体を見る
前躯が発達していて、腰高に映るようにスピード感に溢れる馬体を誇る。
毛艶が冴えないのは仕方ないとして、牝馬らしからぬ馬体はこのメンバーでも上位。
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ハープスター →馬体を見る
同厩舎の先輩マルセリーナと立ち姿が似ていて、この時期にして完成度が高い。
冬毛が生えてきて毛艶は良くないが、どっしりしていて非の打ち所がない。
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レッドリヴェール →馬体を見る
線の細さは残しているが、筋肉が柔らかく、ほぼパーフェクトな仕上がり。
表情からは気性の激しさは伝わってこないが、このまま順調に行ってくれれば。
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マーブルカテドラル →馬体を見る
現時点では後躯の実の入りが物足りないが、馬体全体のシルエットは将来性が高い。
顔つきからは素直さが伝わってきて、レースに行っても力は出し切れるはず。
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グランジュエリー →馬体を見る
腹が巻き上がって映るように、典型的な短距離馬の馬体でスピードがありそう。
目につくのは筋肉の柔らかさと頭の小ささで、距離はギリギリもつのではないか。
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モズハツコイ →馬体を見る
重心が低く、いかにもクロフネ産駒という、スピードとパワーが優先された馬体。
特に胸前の筋肉の盛り上がりは素晴らしく、先行力を生かしてどこまで。
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ニホンピロアンバー →馬体を見る
き甲が発達して、胸が深く、馬体全体の線の細さをそれがカバーしている印象。
この時期にして毛艶が素晴らしく良く、体調の良さが見てとれる。
Pad3star

フォーエバーモア →馬体を見る
この時期の牝馬らしい、全体的に線の細い、パワー不足が伝わってくる馬体。
後躯の肉付きも物足りなく、このメンバーで阪神のマイル戦では苦しいか。
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クリスマス →馬体を見る
馬体全体のシルエットは短距離馬のそれだが、かといって筋骨隆々でもない。
気持ちの強さで走っているのだろうか、スムーズにレースを運ぶことができれば。
Pad3star

マジックタイム →馬体を見る
線の細さが前面に出ていて、いかにも2歳牝馬らしい成長の余地がある馬体。
現時点では、スピードにもパワーにも物足りなさがあって苦しい。
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阪神芝1600m

Newhanshin1600

向こう正面からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとって最適の舞台である。

ただし、キャリア僅か数戦の若駒同士のレースということで、思わぬ馬が思わぬ暴走をしてしまい、ペースが急激に上がってしまうこともあり得る。また、スローが予測されるレースでは、外枠を引いた騎手が外々を回されるのを嫌って、多少強引にでも先行してくることもあり、これでペースが一気にはね上がってしまうこともある。基本的には上述のようにゆったりと流れやすいコースだが、各馬の出方には細心の注意を払いたい。

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静と動


JCダート2013―観戦記―
これといって逃げを主張する馬もおらず、内枠からスタートを切ったエスポワールシチーが自然と先頭に立ち、前半の800mが49秒2、後半800mが48秒8という、ほぼフラットなペースを作り出した。前に行ったと後ろから追走した馬の間に大きな差はなく、レースの綾や展開による有利不利のない、最後は実力が素直に反映される力勝負となった。

勝ったベルシャザールは、芝よりもダートに適性があることを証明してみせた。松田国英厩舎の先輩であるクロフネほどの圧倒的な力はないが、ダート戦であれば、どんなレースをしても確実に伸びてくる末脚がある。芝からダートに舞台が変わったことで、それまでは重さとしてマイナスに働いていた雄大すぎる馬体が、パワーとして十全に発揮されるようになった。そして、この馬がダート馬であることの何よりの証明は、前走の武蔵野Sのレースにて、馬群の内で砂を被りながらも怯むところが全くなかったこと。ダートを走るパワーやスピードはあっても、意外と砂を被るとダメという馬は多いのだ。

C・ルメール騎手にとっては、日本での久しぶりのG1勝利となった。よほど嬉しかったのだろう、ゴールしてからも、何度も、ガッツポーズを繰り返していた。それだけ、ベルシャザールで勝てる、勝ちたいという手応えを感じていたとも言える。今回の騎乗に関しては、2008年のJCダートでカネヒキリを勝たせたときに見せた、いつの間にか内に入れるという神がかったコース取りがあったわけではないが、道中はきっちり馬を抑えて脚を溜め、追い出してからは最後まで真っ直ぐ伸ばすという、静と動のメリハリが利いていた。

好騎乗ということで言えば、2着に突っ込んだワンダーアキュートの武豊騎手である。和田竜二騎手から手が替わって、3戦とも先行して味がないレースを繰り返していただけに、今回は脚をためる作戦にシフトしてみせたことが功を奏した。こういった大きなレースで、失敗を覚悟で思い切った乗り方ができるのは武豊騎手ならでは。敗れはしたものの、普通に乗っていたらホッコータルマエには先着していなかっただろう。今年に入って、武豊騎手の凄さが垣間見えるレースが少しずつ増えてきて、素直に嬉しい。

3着に敗れたホッコータルマエは、圧倒的な1番人気を背負っていたことで、無難な乗り方をしてしまった。レースの流れに乗り、極めて無難なポジションで、無難なタイミングで仕掛け始めた。決して幸英明騎手の乗り方が悪いということではなく、無難に乗って勝てるほどにはホッコータルマエの力は抜けていなかったということだ。連勝が途切れた反動があったはずの前走を勝ってしまったことで、今回は目に見えない疲れが残っていたという敗因もある。負けて悲観するべきではなく、ゆっくりともう1度立て直していけば、どんなレースからでも抜け出せるダートの鬼になれるはずの馬である。

ローマンレジェンドはどうしたものだろう。道中は最高のポジションでレースを進めていたが、3分3厘から、岩田康誠騎手がゴーサインを出して上がっていこうにも、既に手応えがなかった。手脚が長く、フットワークの大きな馬が窮屈な走りを強いられたせいもあるが、根本的な敗因としては、馬が重かったということに尽きるのではないか。アメリカ馬であるパンツオンファイアは、スタートから見せ場なく最下位。アメリカの土と日本の砂の差はかくも大きい。

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「プロフェッショナル馬券戦術ライブ」CDの申込み締切りました。

「プロフェッショナル馬券戦術ライブ」CDの申し込みを締め切りました。お申込み頂きました皆さま、ありがとうございました。順次、発送させていただきます。このライブでお話している内容が、これから先の競馬に向けて、何らかの刺激やヒントになれば幸いです。まずは楽しんで聴いてみてください。また、質問メールも受け付けておりますので、ライブCDを聴いて頂いて、分からなかったこと、もっと知りたいこと等、私宛のメールにて遠慮なくドシドシ質問してください。喜んでお答えいたします。皆さまからのご感想もお待ちしております。

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阪神ジュベナイルFを当てるために知っておくべき3つのこと

Hjf

■1■2つの経験
平成3年より従来の阪神3歳Sは牝馬限定に変更され、さらに平成13年より名称を「阪神ジュベナイルフィリーズ」と改められた。わずか数戦のキャリアで臨んでくる馬がほとんどで、各馬の力の比較が難しい。実はこれといった傾向はないのだが、以下2つの経験をしている馬にとっては、かなり有利なレースになる。このレースを勝つためには、いずれかを経験していることが望ましい。

1、1600m以上の距離
2、坂のあるコース

「早熟の短距離馬」が多く出走してくるため、このレースに臨むまでのステップとして、1600mよりも短い距離を使ってくる馬が多い。これまでにマイルの距離や直線に坂のあるコースを走ったことがない馬たちが、いきなりG1レースの厳しい流れの中に放り込まれ、直線に坂のある1600mのコースを走ると、確実にスタミナ切れを起こすことになる。1600m以上の距離、もしくは直線に坂のあるようなタフなレースを走った経験がないと、このレースで勝ち切ることは難しい。

■2■抽選をクリアした馬の台頭
これは来週の朝日杯フューチュリティSにも当てはまることだが、抽選をクリアした馬、滑り込み出走が叶った馬たちには着目すべきである。それは運が良いからということではなく、彼ら彼女たちの「ローテーション」と「成長曲線」に秘密が隠されているからだ。

まず「ローテーション」については、抽選をクリアしてきた馬は、これまでの出走過程において無理を強いられていない馬が多いということである。多いと書いたのは、全ての馬がそうではないからである。本番に出走する権利を取るために、何度もレースに出走してそれでも抽選待ちになってしまった馬もたくさんいるはずだ(こういう馬は能力的に疑問符がつく)。そのあたりは1頭1頭を検証する必要があるが、例えば2007年のトールポピーはキャリア3戦、ゴスホークケンは2戦、レーヴダムールに至ってはわずか1戦であった。そして、2011年はキャリア1戦のジョワドヴィーヴルがこのレースを制した。

これが何を意味するかというと、これらの馬たちは、本番であるG1レースに合わせたローテーションを組んで走らされてきたのではなく、自分たちの仕上がりに合わせて大事に使われてきたということである。人間の都合ではなく、馬優先の余裕を持たせたローテーションであったということだ。あくまでもその延長線上に、たまたまG1レースがあったということに他ならない。だからこそ、そこまでの過程において無理をさせてきていないからこそ、馬に余力が十分に残っているということになる。

次に「成長曲線」についても、余裕を持たせたローテーションということとリンクしてくる。馬の仕上がりに合わせるとは、馬の成長に合わせたローテーションということである。特に若駒の間は、レースを使うことによって、成長を大きく阻害してしまうことがある。2歳戦~クラシックにかけて、数多くのレースを使うことは、マイナス材料にこそなれ、決してプラス材料にはならない。レース経験の少なさは、馬の能力と騎手の手綱で補うことが出来る。つまり、本番のレースに出走するために、馬をキッチリ仕上げて勝ってきた馬たちに比べ、成長を阻害しない程度のゆったりとした仕上がりで走ってきた馬たちは、上積みが見込めるばかりではなく、本番のレースへ向けて上向きの成長カーブで出走してくることが可能になるのだ。

これらのことからも、余力が十分に残っていて、上向きの成長カーブを辿っている馬が、もし抽選をクリアして出走することが出来たとしたら、本番でも好走する確率が高いことは自明の理であろう。これが2歳戦からクラシック戦線においては、抽選をクリアして出走してきた馬、滑り込みで出走してきた馬には大いに注目すべき理由である。

■3■関東馬とっては厳しいレース
この時期の牝馬にとって、長距離輸送をしてレースに臨むことは条件的に厳しい。よって、関東馬がこのレースを勝つには、関西に一度遠征した経験があるか、もしくは実力が一枚も二枚も上でなくてはならない。現に過去10年で、初長距離輸送でこのレースを制した関東馬は3冠馬となったアパパネだけである。彼女ぐらいの実力を持っていないと、初めて長距離輸送をして、並みいる関西馬たちを倒すことはできない。逆に言うと、このレースを勝った関東馬は相当な実力の持ち主であるということになる。

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