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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第6回)

Kettounituite06

初めてリアルタイムで観戦した日本ダービーはトウカイテイオーのそれであったが、初めてのクラシックレースはといえば、メジロマックイーンの勝った菊花賞。前の週の天皇賞秋がヤエノムテキとメジロアルダンの4枠同士で決まり、ゾロ目の存在をその時に初めて知ったようなズブの素人であったから、菊花賞がクラシック3冠レースの最後の1冠であることや、3000mの長距離戦でスタミナと底力を問われる舞台ということさえも理解していなかった。レースは友達の家のテレビで観た記憶がある。ダービー2着の雪辱を期すメジロライアンと、前哨戦のセントライト記念を勝って勢いに乗るホワイトストーンが人気になっていた。

第4コーナーで黒い帽子の馬が先頭に立ち、そのままゴールまで押し切ってしまった時の、あのなんともいえない感覚は今でも忘れられない。強いというよりも、不気味な感じ。最後の直線に向いて、それまでは存在にさえ気づきもしなかった灰色の塊が、スッと死角から現れたように感じた。メジロライアンの黒子役に徹したように見せかけて、ラストシーンでは主役の座を奪い取ってしまったような、メジロマックイーンと内田浩一騎手の一世一代の名演であった。それ以降は、武豊騎手に乗り替わり、ステイヤーとしての表舞台を歩んだメジロマックイーンであるが、この世に出てきた時の衝撃は相当なものだった。

武豊騎手はこの馬について、「スプリントのG1を勝てそうなくらいスピードがあった」と評する。無尽蔵なスタミナとスプリンター並みのスピードがあったにもかかわらず、「掴みどころがない、強いのか強くないのか分からない馬だった」とも語っている。武豊騎手にとってみれば、オグリキャップやスーパークリークそしてイナリワンという3強世代と比べて、どうしても競走馬としての闘争本能に物足りなさを感じていたようだ。これはメジロマックイーンに良きライバルがいなかったということ以上に、彼の温厚な性格によるところが大きかったのではないだろうか。

現役を引退して種牡馬となっても、メジロマックイーンはマックイーンのままであった。種牡馬になるような馬たちは、先天的にも後天的にも気性のきつい馬が多く、お互いに相容れることは滅多にない中で、メジロマックイーンのような温厚なタイプは稀有な存在であった。あの気性の激しいサンデーサイレンスでさえも、メジロマックイーンにだけは心を許し、彼が近くにいると落ち着きを見せていたそうだ。サンデーサイレンスが亡くなるまで、早来の放牧地で2頭はいつも隣同士であった。この現役当時は物足りないとされた温厚な性格が、のちにブルードメサイヤーとして生きることになるとは、誰もが想像しなかったはずである。

種牡馬としては、クイーンCを勝ったエイダイクインやホクトスルタンぐらいしか活躍馬を出せなかったが、ブルードメサイヤーとしては、特にステイゴールドとの相性の良さを示した。思えば気性の激しい種牡馬との相性の良さは、ホクトスルタン(母父サンデーサイレンス)が走ったことに兆しがあった。激しいサンデーサイレンスと温厚なメジロマックイーンがうまく融合されたのだ。もう少し早くサンデーサイレンス(サンデーサイレンス系)との相性の良さに気づいてあげていたら、メジロマックイーン×母父サンデーサイレンスという血統構成の馬から、父系としてのメジロマックイーンがつながっていた可能性はあったと思う。それでも、母の父として、サンデーサイレンスに最も似ているステイゴールドを受け止めたことで、オルフェーヴルやドリームジャーニー、ゴールドシップという最強馬たちを誕生させたのだから面白い。ステイゴールドが種牡馬として当初はあまり期待されておらず、日高の繁殖牝馬にもチャンスが巡ってきたからこそでもあり、こうして血がつながってゆくのだから、世の中捨てたものではないと思わずにはいられない。

Photo by 三浦晃一

(第7回へ続く→)

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阪急杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Hankyuhai

■1■逃げ・先行馬有利
12.3-10.9-11.4-11.7-11.7-11.8-12.7 (34.6-36.2)H
12.2-10.8-11.3-11.4-11.3-11.2-12.3 (34.3-34.8)M
12.4-11.1-11.2-11.4-11.2-11.4-12.0 (34.7-34.6)M
12.2-10.6-11.3-11.6-11.7-11.6-12.1 (34.1-35.4)H
12.3-11.2-11.5-11.2-11.3-11.5-12.4(35.0-35.2)M
12.0-10.2-11.0-11.6-11.7-11.5-12.1(33.2-35.3)H
12.1-10.3-11.3-12.1-11.9-11.8-12.5(33.7-36.2)H
12.4-10.9-11.1-11.2-11.6-11.6-12.2(34.4-35.4)H

高松宮記念を目指すスプリンターのためのステップレースである、ということがミソ。1400mという距離は少し長い馬が多いが、スプリンターが多く登場してくる以上、前半から飛ばしていく馬もいて、ペースは遅くはならない。しかし、開幕週で馬場が良いため、多少ペースが速くなろうとも、前に行った馬がそのまま残りやすいレースになる。

■2■内枠を引いた馬
阪神1400mコースは、内回りコースを使うため、コーナリングがきつい。全体で180度以上回ることになり、特に最終コーナーはきつい。スピードに乗ってきたぐらいでコーナーが待ち構えているので、外を走る馬は大きく外に振られてしまうため、基本的に内枠を引いた馬にとって有利なレースになる。もちろん、3~4コーナーにかけての直線部分長いため、差し馬は外からでも距離を詰められるのは確かだが、結局は最終コーナーでまた外に振られてしまうことになる。

■3■パワー型の馬を狙え
前述のとおり、先行して粘り込むといったアメリカ型のレースになることが多く、一瞬の切れ味を生かすような展開にはならない。そのため、どちらかというとサンデー系ではない、スピードの持続力で勝負する馬たちにとって有利なレースになる。具体的な血統でいうと、ミスタープロスペクター系やロベルト系のスピード馬が活躍するだろう。

また、開幕週とはいえ、芝が枯れて重くなってくる季節だけに、時計勝負ではなくパワーが問われる舞台となる。つまり、スピードの持続力があって、なおかつパワーに溢れる馬を狙いたい。

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大金星

Febs2014 by K.Miura
フェブラリーS2014―観戦記―
内田博幸騎手がエーシントップをしごいてハナに立ち、それを外から見る形でコパノリッキーとホッコータルマエが追走した。番手のコパノリッキーの折り合いがピタリとついたこともあり、道中のペースはほとんど上がることなく、前半と後半がいずれも48秒0というフラットなペースとなった。フェブラリーSにしてはスローな流れであり、典型的な前残りの競馬。1分36秒0という遅い勝ち時計を考えても、展開が結果を大きく左右したレースであり、後ろから行ったり、引っ掛かったりして力を出し切れなかった馬も多かった。

そんな中、スタートからゴールまで、自身のスピードを余すところなく発揮し、無駄のないレースをしたコパノリッキーが大金星を挙げた。2分の1の抽選をくぐり抜け、展開をも味方につけて、最後まで脚色が衰えることはなかった。もともとはダートの素質馬であったが、骨折明けの2走を凡走していたことで、完全にノーマークとなっていた。骨折をした馬は、たとえ完治していたとしても、自ら手加減して走ってしまうことがある。精神的なトラウマの克服が復活の鍵となる以上、いつ本気で走るようになるのか、タイミングが読みにくいのだ。コパノリッキーの場合は、それが今回だったということだ。

田辺裕信騎手にとっても初めてのG1レース制覇となった。ここ数年でメキメキと力をつけ、今年に入ってからは完全に才能が開花した感がある。思い切りがよく、馬を動かす力もあり、追っても力強い。かといってパワータイプなわけではなく、馬の背に極力負荷をかけずに回ってくる騎乗フォームは美しい。海外や地方競馬からジョッキーが参戦してくる中、負けじと鎬を削ってきた成果が出始めている。蛯名正義騎手が当面のライバルになるはずで、百戦錬磨のジョッキーたちが集う関東のリーディングを今年はどこまで突っ走れるだろうか。新星の誕生を期待したい。

ホッコータルマエは好スタートを決め、展開に恵まれたにもかかわらず勝ち切れなかった。中央競馬のスピードレースになるとあとワンパンチ足りない。説明が難しいのだが、スピードが足りないのではなく、一瞬のパワーが足りない。ドバイへ向けてひとつ大きな課題であり、肉体のレベルをもう1段階上げなければ通用しないだろう。素質は極めて高く、馬体にも成長の余地は残っている。幸騎手はソツなく乗っていた。スローペースと分かっていても、東京競馬場の長い直線を考えると、あれ以上早くは動けない。

1番人気に推されたベルシャザールは後方から伸びたが、3着を確保するのが精一杯。スタート時点の芝はこの馬にとって有利に働くはずであり、もっと前にポジションするつもりが、思いのほか行き脚がつかなかった。前が意外に止まらないフェブラリーSで、このポジションではさすがに厳しかった。JCダートから間隔が開いたことに加え、ドバイを目標にしている分、仕上げが甘かったことが理由である。さらに言うと、6歳馬になって、幾分か前進気勢が落ちてきたこともあるかもしれない。勝ったのが4歳馬であることと対照的である。

とはいえ、ドバイへ向かうホッコータルマエとベルシャザールの2頭が今回敗れたことについては、それほど悲観することはない。ドバイのことを考えると、むしろ負けて良かったとさえ思える。これまでのドバイ遠征の歴史を見ても、アグネスデジタルやアドマイヤドン、ヴァーミリアンなど、フェブラリーSを勝つために仕上げすぎてしまった馬は、ドバイでピークを過ぎて惨敗を喫してきたからだ。フェブラリーSは前哨戦と考えるぐらいで、馬にとってはちょうど良いのである。

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凄みすら感じられるベルシャザール:5つ☆

ホッコータルマエ →馬体を見る
スマートな馬体だが、古馬になって付くべきところに筋肉が付いてきた。
気性の良さが伝わってくるような表情で、この時期でも毛艶は抜群で好調キープ。
Pad45star

ワンダーアキュート →馬体を見る
全盛期のスピードに溢れる馬体にはないが、この馬なりに安定した出来を誇る。
やや毛艶は落ちるが、全体のバランスも良く、力は出し切れるはず。
Pad3star

ベルシャザール →馬体を見る
いかにもパワータイプといった筋骨隆々の馬体からは凄みすら感じられる。
毛艶も筋肉のメリハリも、JCダート時と同じかそれ以上の仕上がりにある。
Pad5star

シルクフォーチュン →馬体を見る
気性の激しそうな顔つきからも、一瞬の切れ味に賭けるタイプであることが分かる。
筋肉の質は硬いが、8歳馬とは思えない強さもあって破壊力は健在。
Pad3star

アドマイヤロイヤル →馬体を見る
馬体全体のラインが美しく、毛艶も良く、とても7歳馬とは思えない瑞々しさ。
力強さという点では物足りないが、各パーツに長さがあり府中のマイル戦はベスト。
Pad4star

ニホンピロアワーズ →馬体を見る
湾膝していることで、どうしても立ち姿のバランスが悪く、評価は低くなる。
今回は毛艶も冴えず、筋肉のメリハリにも乏しいため、このメンバーでは苦しいか。
Pad3star

グランドシチー →馬体を見る
前後躯にはしっかりと実が入っており、安定して力は発揮できるだろう。
とはいえ、胴部がコロンとして長さはないので、一瞬の脚に賭けるしかない。
Pad3star

ノーザンリバー →馬体を見る
後ろ肢のつき方が悪いせいか、どうにも立ち姿がアンバランスに映る。
時期的に仕方ないが、皮膚がまだ厚ぼったく、毛艶も冴えない。
Pad3star

ブライトライン →馬体を見る
前走をひと叩きされて、毛艶がアップして、筋肉のメリハリが出てきた。
馬体は万全の仕上がりだが、表情から神経質な気性が伺えて心配材料もある。
Pad4star

ゴールスキー →馬体を見る
これまでで最も筋肉が柔らかく、毛艶も良く、7歳にして充実してきている。
前走も決してフロックではなく、体調はさらに良くなっており、再度好走も期待できる。
Pad4star

ベストウォーリアー →馬体を見る
筋肉量という点では、この古馬陣に混じってもトップクラスの好馬体を誇る。
筋肉の付き方に無駄は残しているが、気持ちの前向きさが出てきてあっと言わせるか。
Pad4star

Febs2014

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第5回)

Kettounituite05

トウカイナチュラル(トウカイテイオーの母)
 ―トウカイミドリ
  ―トウカイクイン
   ―トップリュウ
    ―ブリューリボン
     ―ヒサトモ(第6回日本ダービー馬)

ヒサトモは日本ダービーを制した初めての牝馬である。下総御料牧場の黄金時代の自家生産馬の1頭であり、父トウルヌソルはイギリスから、母星友はアメリカから下総御料牧場によって輸入された、当時としては超がつく良血であった。ヒサトモは日本ダービーをレコード勝ちし、古馬になっても帝室御賞典を含め6連勝し、立派な競走成績を残して引退した。過去80回行なわれた日本ダービーを制した牝馬は、このヒサトモ(昭和12年)とクリフジ(昭和18年)、そしてウオッカ(平成19年)の3頭だけであるように、たとえ時代が違っても、牝馬が牡馬を従えて日本ダービーを勝利することの難しさが分かる。ヒサトモも、野平祐二氏が最強馬と信じて疑わなかったクリフジやご存知ウオッカと同じ、名牝中の名牝なのである。当然のことながら、繁殖牝馬としての価値も極めて高かったということになる。

ところが、ヒサトモは今では考えられないような不幸な運命を辿ることになった。

第2次世界大戦の敗北によって、農地改革などで下総御料牧場の規模は縮小となり、繁殖牝馬や生産馬などはセリなどで段階的に売られていく中、ヒサトモ自身の受胎も極端に悪く、11年間の種付けでわずか4頭の仔を出したのみであった。その中でも、1頭でも名馬が出ていたら良かったが、ヒサトマンとブリューリボンがそれぞれ5勝したのみで、とてもヒサトモの仔とは思えないレース振りであった。日本ダービー馬とはいえ、厳しい時代背景もあり、ついには繁殖牝馬としては見切りをつけられてしまったのである。馬主であった宮崎信太郎氏は、ヒサトモを連れ戻し、函館近郊にある別荘地で余生を送らせることにした。

そうこうしているうちに、競馬自体は少しずつ復興しつつあった。その中で問題になってきたのは競走馬の不足であった。戦争で多くの馬を失い、生産もほぼ中止されていたため、レースで走る競走馬が足りないという状況が生じていたのだ。そのため繁殖牝馬や農耕馬、馬車馬までが集められ、賭けの対象となってしまうという信じられない競馬が行なわれていたのである。その1頭として、日本ダービーを制したことのある元競走馬であり、かつ繁殖牝馬として見切りをつけられてしまっていたヒサトモが候補に挙がったのは不思議な話ではない。ヒサトモを養うどころか、自宅や別荘を維持することも難しいほど経済的に苦しんでいた宮崎氏は、15歳になる愛馬をついに手放してしまったのだ。

南関東地方競馬の厩舎に運ばれたヒサトモは調教を開始し、戸塚競馬場で11年ぶりのレースを走った。復帰戦こそ5着であったが、2戦目は持ったままの楽勝。さすが日本ダービー馬と誰もが気を良くし、さらに上のレースを目指し、調教における負荷は増していった。11月のある日、強い調教を終えたヒサトモが厩舎に戻る途中、突然崩れるようにして倒れた。心臓麻痺だったという。そして、その亡骸さえも、闇で処分され、行方知らずになってしまったのだ。昔話に聞こえるかもしれないが、たとえばウオッカが同じ運命を辿ったことを想像すると、たとえ戦後の混乱期であったとしても、ヒサトモがいかに悲劇の名牝であるか分かるだろう。

しかし、ヒサトモの血は奇跡的に途絶えなかった。わずか4頭の仔のうちの、最後の1頭の牝馬であったブリューリボンが、繁殖牝馬として11頭の産駒を出し、トップリュウ、トウカイクインとわずかに血がつながったのである。これといった活躍馬が出たわけではなく、むしろ先細りしつつあったにもかかわらず、やはりどこかでヒサトモの復活を願う人々の気持ちが血をつなげたのではないかと想像する。トウカイの冠名の競走馬を走らせる内村正則オーナーもその一人であった。初めて所有した馬がトウカイクインだというから、人と馬の運命は不思議なものだ。内村オーナーはヒサトモの血に注目し、復活させるべく、当時の一流種牡馬であったファバージ、ブレイヴェストローマンをかけていった。トウカイクインとファバージからトウカイミドリが生まれ、そのトウカイミドリとブレイヴェストローマンから産まれたトウカイローマンがオークスを制したのだ。これだけでも十分な復活であるが、ヒサトモの血はこれにとどまらなかった。トウカイミドリの仔トウカイナチュラルに日本最強馬であったシンボリルドルフを配合し、第6回の日本ダービー馬であるヒサトモからなんと6代(54年の歳月)を経て、第58回日本ダービー馬が誕生したのだ。

トウカイテイオーの二面性は、華々しく栄光の道を辿ってきた父系と、絶滅寸前からかろうじて這い上がってきた母系に由来する。トウカイテイオーは貴公子でありお坊ちゃんのようでいて、実はその血脈には恐ろしいほどのルサンチマンと生命力を抱えていた。優しさとプライドだけでは生きていけない世界で、トウカイテイオーの強さの本質はそこにあったのではないだろうか。1年の休み明けで復帰した有馬記念の最後の直線、ビワハヤヒデに並びかけ、馬体を併せてからもう1歩前へグッと出ようとしたあの極限の強さは、トウカイテイオーの内に流れる血を語らずして語れない。サラブレッドの肉体を超越したところに血統があり、競馬がブラッドスポーツであると言われるひとつの所以(ゆえん)はそこにあるのだ。

Photo by 三浦晃一

(第6回へ続く→)

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東京ダート1600m

Tokyo1600d1

ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。ダートコースに入ってすぐの2コーナーは緩く、進路を左に変える程度のもので、実質的な第1コーナーは3コーナーとなる。そのため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。

それでも、フェブラリーSは1分34秒台という芝なみの速い時計で決着することが多く、前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められるため、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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フェブラリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Feb

■1■スピードが求められる
平成14年以降、アグネスデジタル(マイルCS、天皇賞秋、安田記念など)、ゴールドアリュール(ダービー5着)、アドマイヤドン(朝日杯フューチュリティS、菊花賞4着)、メイショウボーラー(皐月賞3着、NHKマイルC3着)など、芝コースで実績のある馬の活躍が目立っていた時期がある。2着馬に目を移しても、平成16年のサイレントディールはシンザン記念を制していて、平成17年のシーキングザダイヤはニュージーランドTを勝っている。ここ数年で、芝のG1戦線でも十分に勝ち負けになる実力馬の参戦、もしくは転戦により、フェブラリーSの勢力図が変化してきていることは見逃せない。

なぜ芝コースで実績のある馬が、畑違いのダートG1レース・フェブラリーステークスでも同じような走りを見せることができるのだろうか。もちろん、芝コースで実績のある馬は能力自体が高いのだが、それ以外の理由として以下の2つが挙げられる。

1)東京ダート1600mのコースは、スタート直後に80mほど芝コースを走るから
2)1分35秒台で決着することが多く、スピードが求められるから

1)のスタート直後の芝コースは、確かに東京ダート1600mコース独特のものである。スタート直後80mの芝部分を利して、芝実績のある馬が先手を取って流れに乗ることが出来るということである。しかし、わずかスタート直後80mの芝部分がレースの勝敗を左右するとは思えない。とすると、2)のスピードが求められるという理由の方が大きいのではないだろうか。

東京競馬場のダートコースは砂が浅いため、冬場の時期でも、それほど力のいる馬場にはならない。平成10年は勝ち時計が1分37秒5と、非常に力の必要とされる馬場であったが、さまざまな原因が重なって起こった例外的なものと考えていいだろう。

標準的な馬場であれば、オープンクラスだとマイルで1分35秒台での決着となる。これくらいの馬場状態だと、ダート戦といってもスピードがないと勝負にならず、パワーだけで勝負する生粋のダート馬にとっては苦しいレースになるだろう。スピードの絶対値が高い馬、つまり芝コースでの実績馬が活躍するのは当然といえば当然の結果である。

■2■4、5歳馬が中心
4歳   【3・4・1・31】
5歳   【5・1・2・18】
6歳   【2・1・4・37】
7歳以上【0・4・3・42】

過去10年の年齢別の成績を見てみると、4、5歳馬から勝ち馬が8頭と、若い世代が高齢馬を圧倒している。ダートは馬が痛まないので高齢まで長く好走できるのだが、極限のスピード能力が要求されるフェブラリーSでは、スピード能力の落ちてきた高齢馬のゴマカシが利かず、ある意味において篩(ふるい)に掛けられてしまうのである。

■3■1600m以上のスタミナが求められる
スタートしてから第1コーナーまでの距離が長いため、息の入らない激しい流れになることが多い。そのため、スピードだけではなく、最後の直線でバテずに踏ん張ることのできるスタミナも必要とされる。1600mという数字以上のスタミナを要求されるのは、過去の勝ち馬を見ても明らかである。前述したスピードと、それを持続するスタミナ、そのどちらを欠いてもフェブラリーステークスを制することはできない。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第4回)

Kettounituite04

ファンファーレに合わせた競馬ファンの手拍子が鳴り終わった後、暮れの寒さを切り裂くような音を立てて、ゲートが開いた。真っ先に飛び出したのはトウカイテイオーであった。1年の休み明けの馬とは到底思えないロケットスタート。しかしまだこの時点では、トウカイテイオーの肉体に有馬記念を勝つだけの力が充満していることに、誰も気づいていなかった。

レースは前年のような大逃げの展開ではなく、馬群は固まって6つのコーナーを回り、スムーズに最後の直線の入り口を迎えました。レース巧者のビワハヤヒデがソツなく先頭に立ち、そのまま押し切ろうとした矢先、外からビワハヤヒデを凌ぐ手応えの馬が並びかけてきた。レース中の各馬のポジションや手応えをかなり正確に把握している自信のあった私でも、一瞬、その馬が誰か分からなかった。このお化けが出たような感覚(と私は呼んでいるの)を味わったのは、オグリキャップとトウカイテイオーの有馬記念のみ。

その時、走馬灯のように、あるシーンが私の脳裏に浮んだ。当時、毎日のように通っていたビリヤード場に置いてあったスポーツ新聞のひとつの記事。有馬記念を惨敗して以来、鹿児島県の牧場でただひたすら復帰を目指して調整を進めているトウカイテイオーに関する、ほんの数行と1枚の写真だけの記事を読んだ記憶が蘇ってきた。強い調教が掛けられないため、脚元の不安の少ない砂浜を歩いている姿であった。目の前のレースだけにこだわっていた私にとって、まるで自分とは無関係のこととして読み飛ばしてしまった。まさかその年の有馬記念において、中363日ぶりのレースで、彼が勝利するなんて夢にも思わなかったのだ。

私は不思議な感覚にとらわれた。私が過ごした1年とトウカイテイオーが過ごした1年。私がこうして東京の日常をあわただしく、時には怠惰に過ごしていたその瞬間にも、鹿児島の広大な浜辺でトウカイテイオーは復活に向けて一歩一歩、冷たい海水に浸りながらも柔らかい砂を踏みしめていた。私たちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、ゆったりと確実に流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそこのことを意識できるかどうか。年の瀬ほど時の流れを感じやすい季節はないが、有馬記念が終わり、トウカイテイオーが見事に復活し、そんなことに思いを馳せた。あの時、トウカイテイオーが私にくれた、「生きろ」という優しいメッセージは、今でもいつまでも私の心に残っている。

そして、私はずっと不思議に思っていた。なぜトウカイテイオーはサラブレッドとしての完全性を失いながらもなお諦めることなく、1年という長い歳月を経て、復活を遂げることができたのだろうか。もっと言うと、お坊ちゃまのように見えたトウカイテイオーのどこにあれほどの生命力が宿っていたのか。馬主の意向や陣営(厩舎)サイドの意図が左右したことは確かだが、このままで終わるはずはない、彼ならば復活できるという言葉にできない生命力をトウカイテイオーから感じたからこそ、馬主は黙って見守り、陣営も復帰に向けて弛まぬ努力をすることができたということだろう。そしてある日、私は知ったのだ。このトウカイテイオーの生命力の源を探っていくと母系に行き着くことを。


何度観ても、ビワハヤヒデに追いつき、抜かそうとする瞬間には鳥肌が立ちます。

Photo by 三浦晃一

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将来性の高さが伝わってくるサトノアラジン:5つ☆

■京都記念
トーセンラー →馬体を見る
最高に仕上がっていたマイルCSと比べると、まだ腹回りに余裕がある。
毛艶は相変わらず素晴らしいので、この時期の休み明けでも体調自体は良い。
Pad4star

ジェンティルドンナ →馬体を見る
厳寒期の牝馬にしては毛艶が良く、ドバイへ向けて良いステップになりそう。
表情からは闘争心が伝わってくるように、ジャパンカップ後も気持ちは保てている。
Pad4star

ラキシス →馬体を見る
いかにもディープインパクト産駒という切れ味を感じさせる好馬体を誇っている。
とはいえ、このメンバーに入ると線の細さが目立ち、有力馬の隙を突いてどこまで。
Pad3star

ヒットザターゲット →馬体を見る
6歳になっても筋肉に柔らか味があり、絞りにくい時期でもきっちりと仕上がった。
ややパワー不足を感じさせるが、だからこそこれぐらいの距離が合うのだろう。
Pad4star

アンコイルド →馬体を見る
腹回りに余裕があるように、仕上がり途上だが、筋骨隆々の好馬体は健在。
力で押すタイプだけに、このメンバーではスピード負けする可能性もあり。
Pad3star

デスペラード →馬体を見る
この馬もゴツさを感じさせるように、瞬発力勝負になると分が悪い。
ジワジワ伸びてゆくタイプがハマるような、上がりが掛かる展開になるか。
Pad3star

■共同通信杯
ピオネロ →馬体を見る
毛艶は素晴らしく、皮膚の張りも十分だが、体型的に幼さを残している。
前躯に力強さがある代わりに、トモ周辺の肉付きが物足りないのが現状。
Pad3star

サトノアラジン →馬体を見る
素晴らしいシルエットをした馬で、勝ち切れないのが不思議なほど。
前後のバランスも優れており、表情も精悍で将来性の高さが伝わってくる。
Pad5star

ガリバルディ →馬体を見る
3歳のこの時期とは思えないほど、隅々まで磨き上げられた好馬体を誇る。
その分、やや筋肉の硬さが残っており、距離が延びてゆくと心配材料はある。
Pad4star

イスラボニータ →馬体を見る
一旦緩めたのか、上記2頭と比べても、筋肉のメリハリが物足りない。
走る素質でカバーしているが、現時点での馬体の完成度は決して高くない。
Pad3star

ショウナンワダチ →馬体を見る
これといって特筆すべき点のない馬体で、良くも悪くも平均点でしかない。
本当に良くなるのはもっと先だろうし、このメンバーに入ると正直苦しいか。
Pad3star

マイネルフロスト →馬体を見る
牝馬かと見間違うほどの顕著な馬体で、パワー不足は否めない。
冬毛も残っていて、体調が良いとは言えないだけに、今回は厳しいだろう。
Pad2star

お詫び
先週に引き続き、延期されてしまったレースの出走馬に5つ☆を打つことになりました。
明日の馬券の参考にしていただくことができず、申し訳なく思います。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第3回)

Kettounituite03

トウカイテイオーには青の時代と赤の時代があると書いたが、私たち競馬ファンの記憶に最も残っているのはやはり赤の時代であろう。日本ダービー後、左後脚の骨折が判明し、父子による3冠制覇の夢をあきらめて休養に入り、彼が私たちの前に再び姿を現したのは、およそ1年後の産経大阪杯であった。鞍上の岡部幸雄騎手のムチは最後まで抜かれることなく、トウカイテイオーは圧勝したのであった。滅多に騎乗馬を褒めることのない岡部幸雄騎手の「地の果てまでも走れそう」というコメントには、誰もが驚かされたものだ。

全てが順調に来ているように見えたが、メジロマックイーンとの一騎打ちが期待された天皇賞春で、トウカイテイオーはまさかの5着に惨敗してしまった。今度は右前脚の剥離骨折。今から思えば、このあたりから波乱万丈の競走生活が始まったのであった。トウカイテイオーは、またもや治療のために休養に入ることになった。

休み明けの天皇賞秋では、殺人的なハイペースに巻き込まれて大敗してしまったが、次走のジャパンカップではナチュラリズムを競り落とし、またもや復活を成し遂げた。レース直後の派手なガッツポーズは故障につながるからダメと若手を諭していた岡部幸雄騎手が、歓喜の余り、思わずゴール後にガッツポーズをしてしまったという逸話も生まれた。

ジャパンカップを制したトウカイテイオーは、当然のことながら、暮れの有馬記念でも1番人気に推された。騎乗停止処分を受けていた岡部幸雄騎手に替わり、田原成貴騎手が手綱を取ることに。当時、大学受験を控えていた私は、さすがにあまり大した予想などせず、中野にあるゲームセンターのテレビで観戦していた。レースはあっと驚く結末で、メジロパーマーとレガシーワールドによる世紀の「行った行った」に終わった。最後の直線では、トウカイテイオーのトの字も呼ばれることがなかった。どの馬が勝つのだろう程度の気持ちで観ていた私だから、トウカイテイオーが負けたことにも、それほどショックは感じなかった。

奇跡的に大学に進学することができた私は、冬眠生活から開放されたクマのように遊び回った。お酒が苦手なのでさすがに飲み歩くことはなかったが、毎晩、ビリヤードに明け暮れ、昼夜逆転の生活を送り、大学の授業に行ったとしても競馬に関する本ばかり読んでいた。競馬界ではビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ナリタタイシンという3強がクラシックを盛り上げ、のちに壮大なドラマを描くことになるベガやホクトベガも登場した。秋になるとナリタブライアンというビワハヤヒデの弟が、兄にも勝る強さで朝日杯3歳Sを制した。私を含め、トウカイテイオーのことなど、誰もがすっかり忘れてしまっていた。

歳月の流れるのは早いもので、その年もあっという間に有馬記念の季節が到来した。菊花賞でようやく最後の1冠を手に入れた、岡部幸雄騎手鞍上のビワハヤヒデが1番人気。2番人気には、コタシャーンのK・デザーモ騎手のボーンヘッドによる漁夫の利はあったものの、ジャパンカップを制したレガシーワールド、3番人気には、その年の日本ダービー馬であるウイニングチケットが続いた。前年の有馬記念から1年ぶりに出走してきたトウカイテイオーは、それでもというべきか、4番人気に支持された。私は後楽園のウインズで、レガシーワールドの単勝を持って応援していた。大学生活に浮かれ、放蕩の限りを尽くしていた私の目を覚ます事件が起こったのは、このあとすぐのことであった。


内から抜けた風車ムチのナチュラリズムを競り落としたとき、馬券は買っていなかったけど、思わず声が出てしまったなあ。

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京都記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotokinen

■1■明け4歳馬が断然
過去13年における、年齢別の勝利数と勝率は以下のとおり。

4歳 【7・3・2・32】 19%
5歳 【4・1・5・26】  9%
6歳 【2・8・4・31】  5%
7歳以上【0・1・2・34】 0%

明け4歳馬が圧倒的な強さを見せている。年齢が高くなるごとに勝率は低くなっていく傾向は顕著であり、7歳以上の馬に至っては勝ち馬が出ていない。春の中距離戦におけるカギとなるレースだけに、勢いと成長力のある明け4歳馬が出走してきたら注目すべきである。

■2■スタミナ豊富な馬を狙え
京都2200m(外回り)は、スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。しかし、高低差は4.3mと、丘をひとつ越えていかなければならないため、スタミナが問われるレースになる。

このコースで結果を出している種牡馬を見ていくと、ダンスインザダーク、ホワイトマズル、スペシャルウィーク、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゼンノロブロイ、そしてディープインパクトなど、2400mを越える距離を得意とするステイヤー型の血統である馬がほとんどである。

■3■前走G1レース組に注目
香港ヴァーズ、香港CなどのG1レースも含め、過去7年で5頭が前走G1レースを経て、京都記念を勝利している。過去12年にデータを広げても、12頭中6頭が前走G1レース組である。前走が昨年末の有馬記念である馬は、一旦少し緩めてから再度仕上げ直すのには最適のローテーションなのであろう。もし前走G1レース(有馬記念)組が出走してこないのであれば、日経新春杯を使って、ここが最高潮の仕上がりにある馬を狙うべきである。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第2回)

Kettounituite02

オグリキャップが引退した年に競馬を始めた私にとって、初めて観戦した日本ダービーはトウカイテイオーが勝ったダービーであった。最後の直線で、トウカイテイオーが踊るように軽やかに走る姿を観て、ダービーを勝つのは意外と簡単なものだと思った記憶がある。極限とか死力を振り絞ってとか、そういう類の言葉が相応しくない、悠然とした勝ち方であった。今から思うと、あれはトウカイテイオーだったからこそ。ハンサムな顔、おしゃれな前髪、気品のある馬体、歩くだけで人々を魅了する柔軟なテイオーウォーク、地の果てまでも伸びていきそうなフットワークなど、これぞサラブレッドという美しさを携えていた。皇帝と称された父シンボリルドルフから、良いところばかりを受け継いだトウカイテイオーが、貴公子と呼ばれたのも相応しいと思えた。

トウカイテイオーには、ダービーを6戦6勝で勝つまでの青の時代と、それ以降の波乱万丈な赤の時代がある。天真爛漫で無垢な青年時代と、傷つきながらも試練を乗り越えていく成年(盛年)時代。私はどちらの時代も好きなのだが、本当にトウカイテイオーが強かったのは、競走馬として完璧な姿を誇っていたのは、骨折する以前の青の時代ではないだろうか。それは日本ダービーだけではなく、デビュー戦から皐月賞に至るまで、弾むように躍動した肉体を見れば分かる。骨折を経て、大人になって体が硬くなってしまう以前の、若者に特有な肉体の柔らかさに、バネの強靭さが加わった強さ。私が初めて観た日本ダービー時点のトウカイテイオーまでは、おそらく歴代のどの名馬と走っても遜色がない。

そんな青の時代のトウカイテイオーの背中を唯一知るのが、安田隆行元騎手(現調教師)である。安田隆行元騎手にとって、ジョッキーとして初めてG1レースを制したのは、実はトウカイテイオーとのコンビであった。小倉の鬼と呼ばれながらも、中央の陽の当たる舞台にはなかなか縁がなく、トウカイテイオーと巡り合うまではローカルのジョッキーであった。トウカイテイオーと巡り合ったことで日本ダービーを制し、安田隆行の名前は全国区に知れわたることになった。残念ながら、ダービー以降は岡部幸雄元騎手に手が渡ってしまったが、安田隆行元騎手は乗り替わりについて、「やっぱり悔しかった」と語る一方、「普通は乗り替わりがあると、ちくしょう、負けちゃえばいいのにっていう気持ちもどこかに付いてくるものなんですが、あの馬についてはそれはなかった。ずっと勝ち続けて欲しかったですね。それだけ愛せる、素晴らしい馬です」と語った。このエピソードからもトウカイテイオーという馬の完璧性が見て取れる。

この完璧性は明らかに父シンボリルドルフから受け継いだものだ。無敗のダービー馬から無敗のダービー馬が誕生したと騒がれたように、競走馬としては、負けて強くなるタイプではなく、最初から完成されたタイプ。闘争心が旺盛と言おうか、競走意欲が満ちていると言うべきか、レースに行って自分のやるべきことが分かっているという大人びた馬。他の馬とは一線を引き、自分は自分という自己を持っていて、その気高さは時として人間をも下に見てしまうという恐ろしさにつながる。岡部幸雄元騎手がシンボリルドルフに競馬を教えてもらったというのは、レトリックでもなんでもなく、ある種、人間を超越した精神性を持っていたということである。トウカイテイオーは、そういった精神性や気高さを父シンボリルドルフから受け継いでいた。

父からは精神面での影響を受けやすいと私は考える。精神面での影響とは、大人しいとか煩いという気性のことだけではなく、素直であるとか、賢いとか、我慢強いといった表面的なことから、プライドの高さや人間との距離感などを含めた精神性のことである。「お父さんに似ている」と関係者が言うとき、走り方や背中の感触といった肉体的なことだけではなく、精神的に、性格的に種牡馬である父を思い起こさせるという意味合いがあると思う。精神面での影響は、良い方向に出ることもあるし、悪い方向に出ることもあるだろう。トウカイテイオーは、父シンボリルドルフから完璧性や気高さを見事なまでに受け継いだ馬であり、またサラブレッドとしての精神性までもが血を通して遺伝することを教えてくれた初めての馬であった。


最後の直線における、こちらの心も弾むようなフットワークは必見。

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共同通信杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyoudoutuusinhai

■1■先行馬有利
東京1800mコースは、ポケットから発走して157mで本線に合流する。第1コーナーまでの距離が極端に短いため、無謀なポジション争いはなく、各馬が出たままの平均ペースに流れることが多い。これが「府中の千八、展開いらず」と言われるゆえんである。とはいえ、このレベルで平均よりも遅めに流れると、前に行った馬は簡単には止まらない。力のある馬であれば差して来られるが、先行馬にとって有利なレースである。

■2■瞬発力ではなく持続力&パワー
上記のように、平均ペースで前に行った馬が粘り込むというレースになりやすい以上、ヨーイドンで瞬発力ではなく、スピードの持続力の勝負になる。ビュっと伸びるのではなく、ジワジワと良い脚をどれだけ長く続けることが出来るかが問われるレースと言ってもよいだろう。先週の東京新聞杯に比べ、サンデーサイレンス系の馬の活躍が目立たないのはそれゆえである。また、時期的に芝はやや重い状態なので、パワーに欠ける馬にとっては苦しいレースになる。スピードの持続力とパワーを兼備した馬を狙いたい。

■3■前走は1800m以上
過去11年の勝ち馬のステップレースを見ると、1600m戦からが3頭に対し、1800m以上のレースからは8頭と圧倒的に多い。ごまかしの利かない府中の1800m戦だけに、前走でマイル戦を走っていたようなマイラーではなく、長めの距離を使われてきたスタミナに支えられた馬が活躍するということだ。具体的に言うと、朝日杯フューチュリティS組ではなく、東スポ杯もしくはラジオNIKKEI杯2歳Sから臨んでくる馬を上に見たい。

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活躍が見込まれるコディーノ:5つ☆

■きさらぎ賞
バンドワゴン →馬体を見る
手脚が長く、胴部にも長さがあるように、距離が伸びて良さが出る馬体。
全体的に筋肉が付き切っていないのも確かで、それでこれだけ走るのだから驚異。
Pad3star

トーセンスターダム →馬体を見る
腹回りに余裕があり、前躯に比べてトモの肉付きも物足りない現状。
顔つきは素直そうで、レースに行ってからの騎手の指示に正確に反応しそう。
Pad3star

エイシンエルヴィン →馬体を見る
もうひと絞りできそうな馬体ではあるが、3歳のこの時期にしては立派な輪郭。
表情からは気性の激しさが見て取れて、この馬のリズムでレースを運ぶことができれば。
Pad3star

サトノルパン →馬体を見る
いかにもディープインパクト産駒らしい、スピードとスタミナのバランスの良い馬体。
時期的に毛艶が冴えないのは仕方ないが、まとまりがあって完成度は高い。
Pad4star

■東京新聞杯
ダノンシャーク →馬体を見る
6歳馬にしてやはり馬体が完成し切らず、馬体の線の細さがこの馬のネック。
昨年のこの時期よりも毛艶が悪いが、走る能力自体は高いので好勝負にはなる。
Pad3star

クラレント →馬体を見る
昨年の秋シーズンを使われてきているにもかかわらず、毛艶が良く、体調は問題ない。
立ち姿も立派で、筋肉のメリハリも素晴らしく、好勝負間違いなし。
Pad4star

ヴィルシーナ →馬体を見る
絶好調時の張りのある馬体には及ばず、立ち姿からは力感が感じられない。
体調自体が下降線を辿っており、ヴィクトリアマイルを目指すならば休養が正解か。
Pad3star

ショウナンマイティ →馬体を見る
体質が弱く、高い素質を鍛え上げるのが難しい馬で、馬体には線の細さがあった。
今回は前後躯共に筋肉が盛り上がり、メリハリの利いた馬体はマイラーに近づいてきた。
Pad45star

エキストラエンド →馬体を見る
マイラーというよりは中距離馬の馬体だが、切れ味を備えている分のマイル寄りか。
立ち姿にも力みがなく、現在の好調と充実ぶりが伺えるように、好勝負必至。
Pad45star

コディーノ →馬体を見る
馬体に若干の厚ぼったさを残すが、この時期の仕上がりとしては文句なし。
顔つきにも落ち着きが感じられ、今年のマイル路線での活躍が見込まれる。
Pad5star

ホエールキャプチャ →馬体を見る
2歳時と体のライン自体はさほど変わらないが、迫力という点では下降線。
胴部も手脚にも長さがあるので、府中のマイル戦が最も適した舞台だろう。
Pad3star

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「馬主の一分」

Banusinoitibun

ご存知、ハナズゴールの外国人馬主であるマイケル・ダバート氏による回想録である。タイトルもそうだし、帯の「外国人馬主が見た日本競馬の現実」というフレーズからも、藤田伸二騎手著の「騎手の一分」のパロディかと思わせておいて、それほど日本競馬界に踏み込んだ言及はない。期待はずれということではなく、競馬ファンでもある著者から見た競馬の世界を誠実に綴ってあり、特に目新しい視点はないものの、共感できる内容になっている。ひと言で言うと、ハナズゴールの馬主も馬券ファンもそれほど変わらないということだ。

彼が馬主として求めることは、騎手には最後まで一生懸命に乗ってくれること、調教師にはコミュニケーション能力という点で、自分が馬主になったことを想像すると、まさにその通りだと思う。チームとして馬を走らせていく中、当たり前といえば当たり前のことを著者が指摘するということは、案外そうではない騎手や調教師が多いということの裏返しでもあろう。彼と同じオーストラリア人の騎手であるC・ウイリアムズ騎手がいかに研究熱心であるかを紹介するエピソードが本書にも出てくるように、これだけの超一流騎手が日々勉強を怠らないのだから、外国人騎手に乗ってもらいたくなる理由があるとする著者の気持ちがよく分かる。

ウイリアムズ騎手の指摘の中で面白いなと思ったのは、香港競馬の日本競馬の違いについて。研究熱心なウイリアムズ騎手も香港競馬で騎乗する際には、それほど馬のデータを研究しないという。なぜなら、レイティングを基にレースが組まれるので、馬の能力差があまりないレースが多いから。だからこそ、全レースでジョッキーの腕が問われて、ジョッキーとして一番早く成長できる競馬だという。レースの展開を読み、ロスなく回って来て、最後の直線で馬を追うスペースを見出す技術は香港で身に付けたとのこと。

それに対し、日本競馬は定量のレースが多く、馬の能力の差が出やすいというのがウイリアムズ騎手の印象。そういう競馬では、能力のある馬に乗ることが第一で、力のある馬に乗ったら無難にゴールまで誘導することが何よりも大切になってくる。実力に劣る馬に乗るときは、ロスなく回り、有利な展開に持ち込むことが重要だとウイリアムズ騎手は説く。なるほど、ウイリアムズ騎手の展開読みの鋭さは香港競馬で身に付けたものであり、日本の競馬で時として極端に前々を攻める騎乗をするのは、騎乗馬が実力に劣ると踏んでいるからなのだと納得する。

途中からウイリアムズ騎手の話になってしまったが、高校生の頃から馬主になりたいと思い続けている私にとっては、この本は随所に楽しく読ませてもらった。新馬戦を勝ったときの喜びやどのレースを使うべきかという苦悩。実は、所有馬が活躍すればするほど悩みは深くなる。また、個人馬主として登録するための高いハードルや馬名審査で冠名を手に入れるまでの手間など、小さいけどもリアルな話は体験した者ならでは。この本を読んで、共同馬主になってみたい、個人馬主を目指したいという想いは少し強まったが、なったらなったで著者のような気苦労も増えるのだろうと想像すると、いつものように二の足を踏んでしまう。

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きさらぎ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kisaragi

■1■1800m以上のスタミナと持続力
ひとつだけラップ構成から垣間見えるレースの特徴がある。勝ち馬や全体のタイムはほとんど関係ないので、過去11年のラップと前後半4ハロンのタイムだけを時系列に並べてみたい(一番下が2012年度のラップ)。

12.8-11.4-12.0-12.6-12.9-12.4-11.8-11.8-11.9(48.8-47.9) 平均ラップ
12.9-11.3-11.5-12.1-12.5-12.5-11.8-11.7-11.7(47.8-47.7) 平均ラップ
12.9-11.8-11.9-12.5-12.4-12.0-11.6-11.4-12.0(49.1-47.0) 後傾ラップ
12.8-11.0-11.5-12.2-12.5-12.5-11.9-11.3-11.7(47.5-47.4) 平均ラップ
12.8-11.3-12.3-12.9-12.4-12.1-11.3-11.4-12.3(49.3-47.1) 後傾ラップ
12.8-11.0-12.3-12.5-12.2-12.1-12.1-11.8-12.0(48.6-48.0) 平均ラップ
13.0-11.5-11.9-12.7-12.6-12.2-11.8-11.1-12.1(49.1-47.2) 後傾ラップ
12.8-11.1-11.4-12.3-12.8-12.4-12.0-11.7-12.1(47.6-48.2) 平均ラップ
12.4-11.3-11.6-12.4-12.5-12.0-11.3-11.8-12.3(47.7-47.4) 平均ラップ
13.1-11.5-11.9-12.5-12.7-11.6-11.3-11.3-11.1(49.0-45.3) 後傾ラップ
12.8-11.6-12.2-13.0-12.6-12.2-11.7-10.9-11.9(49.6-46.7)  後傾ラップ

前後半のラップの差が1秒以上ない場合を平均ラップとして考えると、過去11年中で5レースが後傾ラップとなる。それ以外の年のレースは平均ラップで流れていて、スローペースになりやすい近年の傾向を考えると、中距離としてはかなり珍しい部類のレースに入る。

なぜこのような平均的な流れになるかというと、京都1800m(外回り)というコースの形態に理由がある。京都1800mは、向う正面を延長したポケットの最深部からスタートするため、スタートから最初のコーナーまでの距離がなんと912mという長さになる。この数字を見てピンときた人はさすがだが、つまりレース全体距離の半分が最初の直線に費やされるということだ。

これだけ直線が長いと、どうしても逃げ・先行馬が息を入れずに気分良く行ってしまうため、前半部分が速くなりやすい。しかし、その代わりに後半が遅くなるかというとそうでもなく、3コーナーを回ってからゴールまでは下り一辺倒になるので、後半も同じように速い上がりでの勝負となる。つまり、全体的に淀みのないラップが刻まれ続ける、厳しいレースになるということだ。

よって、このレースを勝ち切るためにまず問われるのは、1800m以上のスタミナである。過去の勝ち馬から菊花賞馬が2頭、ダービー馬が1頭出ていることは、あながち偶然でもないだろう。そして、もうひとつ問われるのは、速いラップを長く刻み続けることの出来る持続力である。マイル戦でスピードを生かす競馬を得意とする馬や、一瞬の差し脚で勝負する馬は狙いを下げた方が賢明である。

■2■前走は500万下組もしくは未勝利戦の素質馬を狙え
過去11年の優勝馬だけではなく、連対馬からもG1ウィナーを輩出しているように、クラシックへ向けての試金石となる一戦。勝ち馬の前走だけを見ると、過去10年でダートG1からが1頭(レインボーペガサス)、G3レースからが3頭(アサクサキングス、リーチザクラウン、タマモベストプレイ)、オープンからが1頭(アグネスゴールド)と、それ以外の6頭は全て500万下レースもしくは未勝利戦を勝った後の連勝となっている。つまり、ここに狙いを定めて出走してくる、2歳時に無理をしなかった素質馬を狙うべき。

■3■キャリア2~5戦の馬
過去11年間の勝ち馬のうち、8頭までがキャリア2~5戦のゾーンであった。上述のように「2歳時に無理をしなかった素質馬」という観点からは、キャリアが6戦以上の馬は外れるだろう。かといって、さすがにキャリア1戦の馬では勝ち切るのは厳しいだろう(2013年のリグヴェーダのように)。つまり、キャリアが少なすぎても多すぎても、このレースを勝つための資質という点からは遠ざかっていくということである。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第1回)

Kettounituite01

血統について語るとき、血統は下部構造なのかそれとも上部構造なのか、という問題から入らなければならないだろう。つまり、サラブレッドの本質は血統が規定しているのか、それともそれ以外の要素なのか、もっと分かりやすく言うと、血統が先なのか馬の個体(個性)が先なのかという問題である。鶏が先か卵が先か、どちらが原因でどちらが結果か、血統を先と見る者を私たちは血統論者と呼んだりする。もちろん、どちらが正しいということではなく、どちらのスタンスを取るかで、その人の血統に対する見方が違ってくるということである。

かつて私の敬愛するジョッキーのひとりであるL・デットーリ騎手がこう語っていた。

「馬のタイプや個性は、跨った時の感触や、実戦に行ってからのレースぶりから掴むものです。競馬が終わって、それから血統を聞いて、その血統ならこういう将来もあるかもしれない、と思うことはありますが、順番を間違えてはいけないと思います」

L・デットーリ騎手はワールドスーパージョッキーズシリーズにおいて、抽選で当たった馬について、どんな馬なのか関係者から情報を得る際に、「競馬に乗る前に血統の説明は要らないよ」と言って、戦績やレース振りは聞いても、あえて血統については耳をふさいだという。自分の家の敷地で繁殖牝馬を飼い、自ら配合を考えて馬の生産も手がけているL・デットーリ騎手が血統に興味がないはずがない。彼は馬を見るときの順番を間違えてはいけないと考えているのだ。馬のタイプや個性が先で血統が後ということである。

私も、いち競馬ファンとして、そして馬券を買う者として、血統は後というスタンスを取っている。同じ配合の馬でも、全く違う本質を持った馬が生まれてくるように、血統がその馬の全てを規定しているわけではなく、育成過程や体験、そして周りの環境(人も含む)などによって、その馬の本質さえも変わってゆくことがある。遺伝的な要素はかなり大きな部分を占めることは認めても、私たちは血統からその馬の本質を見極めることは難しいと考える。しかし、馬の個体(個性)があって、その本質を見極めようと血統を辿っていくと、何かが見えることがある。

と同時に、血統を辿っていくと迷宮に入ってしまうことも往々にしてある。私がこれまで血統について語ることをためらってきた理由はそこにある。おそらく血統については語っても語り尽くせないことを知っているからこそ、血統という大海に飛び込むのが怖くて仕方なかったのだ。正直に言って、この先、どういう方向に筆が進んでいくのか私にも分からないが、こうして語り始めた以上は、今私の考える血統について語ってゆきたい。もし道に迷っていたら声を掛けてほしいし、溺れかけていたら助けてもらいたい。それぐらいの奥深さが血統にはある。

いざサラブレッドの血統の世界へ。

(第2回へ続く→)

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東京新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Tokyosinbunhai

■1■瞬発力のある差し馬
東京競馬場が改修され、最後の直線が僅かに長くなって以来、前半がスローになり、直線に向いたラスト3ハロンでの瞬発力勝負になるケースが多くなった。不良馬場だった2009年を除く、過去9年間の勝ち馬および2着馬の上がり3ハロンのタイムは以下のとおり。

2004年
ウインラディウス 33秒7
クラフトワーク  33秒3
2005年
ハットトリック 32秒9
キネティックス 33秒2
2006年
フジサイレンス 33秒9
オレハマッテルゼ 34秒5
2007年
スズカフェニックス 33秒3
エアシェイディ 33秒3
2008年
ローレルゲレイロ 34秒9
リキッドノーツ 33秒4
2010年
レッドスパーダ 33秒5
トライアンフマーチ 33秒4
2011年
スマイルジャック 33秒9
キングストリート 33秒8
2012年
ガルボ 33秒6
コスモセンサー 34秒2
2013年
クラレント 33秒0
ダイワマッジョーレ 32秒7

開幕週のため時計が速いということもあるが、それにしても速い上がり時計が求められるレースであることが分かる。道中が極端にスローに流れると、逃げ・先行馬にとっても有利になるのだが、それ以上に瞬発力が身上の差し馬にとっては絶好の舞台になる。対照的に、極限の瞬発力を有さない(速い上がりに対応できない)先行馬にとっては力の出せないレースになりやすい。

■2■スプリンター寄りの馬でももってしまう
東京競馬場のマイル戦は1600m以上のスタミナが必要とされるコースと言われているが、東京新聞杯のように道中がスローに流れるケースにおいては、レースの趣向は全く別物となる。これは例えばヴィクトリアマイルにも当てはまるのだが、道中のペースが極端にスローに落ちると、1600m以上のスタミナを保持していないスプリンター寄りの馬でも何とか最後までもってしまうのだ。

2007年の勝ち馬スズカフェニックスは、(のちに高松宮記念を勝ったように)本質的にはスプリンターだが、道中のペースが緩かったからこそ府中のマイル戦でも勝ち切ることが出来た。同じ舞台の安田記念でも人気になったが、道中のペースが厳しい府中のマイル戦ではスタミナ不足を露呈して、勝ち切ることはできなかった。つまり東京新聞杯では、従来の府中マイル戦のイメージを捨てて、上がり勝負に強いスピード馬を狙ってみるのも一計だろう。

■3■サンデーサイレンス系でもフジキセキ
ヨーイドンの上がり勝負になる以上、瞬発力勝負に長けたサンデーサイレンス産駒もしくはその直系の産駒に注目しないわけにはいかない。過去6年で8頭の馬が連対していて、3着馬や母父サンデーサイレンスにも手を広げると、さらにサンデーサイレンス系がいかにこのレースに強いことが分かる。

そして、上記のスプリンター寄りの馬でももってしまうという傾向を考慮すると、サンデーサイレンス系の中でもフジキセキ産駒や最近でいうとダイワメジャー産駒は、このレースにフィットするのではないか。ではないかと書いておきながら、実は2006年にフジサイレンスが11番人気で勝ってしまっていて残念だが、サンデーサイレンス直仔がいなくなる以上、サンデーサイレンス系の中でも切れとスピード寄りのフジキセキ産駒やダイワメジャー産駒が忘れた頃にやって来ることを覚えておきたい。

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オンザブライドル

Prayandoreal

プレイアンドリアルが京成杯を制した際、馬主である岡田繁幸氏が「アルゼンチン式の調教法を取り入れたことが良かった」とコメントしていた。200~300mほど走ってから、一度完全に馬を止め、そこからまた200~300mほど走らせて止める。これを繰り返すことで、馬が走りのメリハリを覚え、騎手の指示に従うようになり、道中で折り合いをつけやすくなるという。アルゼンチンで広く行なわれているこうした調教に対し、馬に我慢することを教えるために、イギリスでは縦列で坂路を駆け上がる集団調教が伝統的に行なわれている。

イギリスの坂路調教では、馬を一杯に追い切ることはしない。馬を縦に並べて5ハロンから7ハロンの自然勾配の坂路を走らせる。集団の中で走るため、いくら自分が速く走ることができようとも、前との間隔を守るために我慢しなくてはならず、逆に自分が苦しくなって集団から遅れそうになっても、最後まで踏ん張り通そうと頑張らなければならない。自分のペースではなく、集団のペースで走ることを求められるのだ。そういった日々の訓練を通して、馬の肉体と精神を鍛え上げていくのである。

騎乗者は基本的にはムチなど使わず、馬がハミを取った状態を保つことに専念する。これをオンザブライドルと呼び、ハミから伝わってくる手応えを通して、その馬の能力や仕上がりや状態を把握する。オンザブライドルの状態で坂路を楽々1本走り切ることができるようになれば、次からは2本に増やす。2本目もオンザブライドルで問題なく上がってくることができるようになれば、その次はレース出走に向けて、リードホースの後ろを追走させ、ラスト2ハロンは併走して目一杯に走らせる。人間の意志で馬に速く走ることを無理強いするのではない。

このような調教法を通して、肉体的には溜めをつくることを教え込むことができる。目一杯走らないため、馬の馬体全体は収縮し、後躯の踏み込みが増し、瞬発力を発揮する溜めのある走法となる。精神的にも走りたくて仕方がないというハッピーな状態を維持することが目的となる。馬は極限まで絞り込まれることがなく、また走りたくないのに走らされているというストレスを抱えることも少なく、どちらかというと我慢することを教えられるため、もっと走りたいという前進気勢が湧いてくる。リラックスしつつも、前向きな気持ちをレースに行って爆発させることができれば、その馬の持っている能力以上の何かが発揮されることになるのだ。

エリザベス女王杯を2連覇したスノーフェアリーは、まさにこのイギリスの伝統的調教法、オンザブライドルで育てられた1頭である。折り合いの素晴らしさと直線での瞬発力は桁違いであった。特に2010年のエリザベス女王杯で、1頭だけ内を突いて、弾けるようにして伸びた一閃の末脚は今でも脳裏に焼きついて離れない。あれこそがヨーロッパの真の一流馬の瞬発力であった。昨年の凱旋門賞を勝ったフランスのトレヴも同じだろう。それぞれの国に独特の調教法があり、どれが正しいということではなく、世界にはたくさんの強い馬たちがいて、それだけ世界は広いということだ。

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