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ゴールドシップの気に乗った

宝塚記念2014-観戦記-
スタートの良さを生かしてヴィルシーナが逃げ、それをフェイムゲームとカレンミロティックが追いかけるようにしてレースは淡々と流れた。前半の1000mが62秒4、後半の1000mが59秒4という、前後半の落差が3秒もある超スローペース。明らかに前に行った馬にとって有利な展開であり、後ろから行っては勝負にならない、結果がポジションに大きく左右されるレースとなった。

勝ったゴールドシップは、復活したというよりは、スムーズに先行できたことが最大の勝因である。昨年は他馬を力でねじ伏せる強いレースであったのに対し、今年は展開に恵まれた感は否めない。今年はようやく走る気持ちが戻ってきているのを感じるが、前走・天皇賞春の大出遅れなどを見ると、ムラ駆けするタイプの馬なのだろう。力はあっても、走るかどうかは当日の馬の気分次第ということ。凱旋門賞を狙える馬の1頭だが、環境が大きく変わる海外遠征において、こういう気性の難しい馬はアテにならないところがあることを知っておきたい。また逆に、宝塚記念でステイゴールド産駒が圧倒的な実績を残しているのは、この時期の馬場の悪さを苦にしないからであり、その点においては凱旋門賞の重い馬場でも力を発揮できるはず。

今回の勝利は、横山典弘騎手の勝利と言っても良い。上手く乗った、いやほとんど何もせずに勝ったというべきか、それこそが横山典弘騎手の狙いだから、やはり上手く乗ったのだろう。レースの流れが遅くなることは予測していたはずで、横山典弘騎手に与えられた命題は、ただひたすらにゴールドシップの気持ちに逆らうことなく、かつ前のポジションにつけることであった。外枠を引いたことで、スタートから第1コーナーまで、馬群から離して気分良く走らせることに専念し、気がついたら4、5番手にいたのだから、そこから先は笑みが止まらなかったはず。ゴールドシップの気に乗った見事な騎乗であった。

2着に入ったカレンミロティックは、スムーズに先行し、持ち前のパワーを生かすことができた。阪神の2200mでも、これぐらいの緩いペースであれば、スタミナ不足を露呈することはなかった。ヴィルシーナは前走の勢いをそのままに、自分の型に持ち込み、最後まで渋太く粘ってみせた。この馬の勝負根性には感心させられる。

ウインバリアシオンは道中の行きっぷりが悪く、後方からの競馬となり、万事休す。決してパワータイプではなく、また跳びが大きい馬だけに、こういった馬場が合わなかったことが敗因である。それも含め、ゴールドシップとの実力差であり、パワーの違いということでもあり、G1レースを勝つためにはもうひと回り肉体的な成長が必要ということになる。

ジェンティルドンナは、昨年同様に精彩を欠く走りであった。特に今年はドバイで激走した後だけに、目に見えない疲れが残っている中での出走であった。ドバイに遠征した馬にとって、春を2走で終わらせるか、安田記念もしくは宝塚記念に出走するかの判断は難しい。あのジャスタウェイもドバイの疲れが残っていたからこそ、安田記念では苦戦を強いられたのだ。もちろん、これがジェンティルドンナの実力ではなく、夏はゆっくりと休ませて、ひと叩きしてジャパンカップ3連覇の偉業に挑戦してもらいたい。

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かえって馬体が充実したウインバリアシオン:5つ☆

ゴールドシップ →馬体を見る
堂々とした立ち姿で、ゆったりとしたシルエットの中に力強さが溢れている。
いつも馬体に大きな変化がない馬だが、今回は白く映るように、やや物足りない。
Pad4star

ジェンティルドンナ →馬体を見る
ドバイ帰りだが、毛艶は素晴らしく、筋肉の柔らかさが伝わってくる出来にある。
トモの肉付きが物足りないため、立ち姿のバランスにやや欠けるきらいはある。
Pad3star

ウインバリアシオン →馬体を見る
典型的なステイヤーの馬体であり、筋肉のメリハリに乏しいのは仕方ないと見るべき。
尾離れの良さからも、怪我をして間隔が開いたことで、かえって馬体が充実したことが伝わってくる。
Pad5star

カレンミロティック →馬体を見る
ハーツクライ産駒にしては、胴部が短く、スタミナと距離に不安を抱える馬体。
前後躯にしっかり実が入って力強さはあり、パワー勝負になれば。
Pad3star

トーセンジョーダン →馬体を見る
良かったころのはち切れそうな馬体に戻ってきており、調子はとても良いはず。
あとはこの馬を支えてきた気持ちの強さがレースに行って発揮できるかどうか。
Pad4star

メイショウマンボ →馬体を見る
あまり良く見せないタイプではあるが、このメンバーに入ると馬体的には劣る。
トモのつくりが物足りなく、耳の動きも神経質になっており本調子にはないか。
Pad3star

ヴィルシーナ →馬体を見る
古馬になって馬体はさらに成長し、ヴィクトリアマイルを連勝したのも頷ける造り。
堂々とした立ち姿からは貫禄すら感じ、要するにレースでの気持ちの問題が大きい。
Pad4star

デニムアンドルビー →馬体を見る
ドバイ遠征後、ひと叩きされ、毛艶は良くなったが、トモの肉付きが物足りない。
ギュッと筋肉が凝縮された馬体ではあるが、あと少しボリューム&パワーアップがほしい。
Pad3star

ホッコーブレーヴ →馬体を見る
前走時も素晴らしい仕上がりだったが、今回も毛艶も筋肉のメリハリも申し分ない。
特に前駆の盛り上がりと力強さは特筆もので、阪神の馬場は合うはず。
Pad4star

マイネルラクリマ →馬体を見る
細かい筋肉まで鍛え上げられているが、その分、硬さが目立ち、柔らかみに欠ける。
胴部には長さがあるので、これぐらいの距離がベストだろう。
Pad3star

ヴェルデグリーン →馬体を見る
首が充実して長いのが特徴的で、体型的にはステイヤーだが、首部がやや重いか。
その分、後躯に力強さが欠けており、このメンバーに入ると推進力が物足りない。
Pad3star


Takaraduka2014wt

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「ROUNDERS」vol.4が「優駿」7月号に

Yushun201407

「優駿」7月号にて、「ROUNDERS」vol.4を紹介していただきました。今回は先行発売と同時に声を掛けていただき、編集部の情報取集力の高さに驚かされると同時に、競馬の魅力を伝えたいと志を同じにする者として、とても嬉しく感じます。「優駿」のような規模の大きさはありませんが、私たちにできる仕事を丁寧にやっていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。

さて、いち競馬ファンとしても毎月楽しみに読んでいる「優駿」。7月号は、日本ダービーの詳報と宝塚記念特集、そして2歳戦について。特に、日本ダービーについては関係者のインタビューを交えながら、実に深く掘り下げて振り返っています。その中においても、横山典弘騎手へのロングインタビューは素晴らしいのひと言。レースに向かうに当たっての横山騎手の心理からレースにおける技術論まで、極めてレベルの高い内容がさらっと書いてあります。

当時の東京競馬場の前が止まらない芝の状態を考慮に入れて、好位を取りに行ったのかという問いに対し、横山騎手はこう答えます。

「長年乗ってきた結果、最近は『芝の状態がどうであれ、走る馬は走る』と感じるようになりました。だから芝がどうというより展開です。このメンバー構成なら遅い流れになると思ったから、今までみたいに後方に構えていては届かないかと判断し、ある程度、前へ行かせることを選択しました」

つまり、芝の状態よりも展開がレースの結果を大きく左右するということです。内の馬場が悪いから外が伸びるとか、前が止まりにくい芝の状態だから後ろから行ってはいけないとか、実はあまり関係がないということ。それよりも大切なのは展開であり、競馬ファンが馬券を当てるためにも、芝の状態ではなく展開を読んだ方が良いということになります。

「ドバイミレニアムに載ったフランキー(デットーリ)はスタートで出して行くと、壁なんか作ることなく抑えてみせた」

展開を読んで、スタートからワンアンドオンリーを出して行ったが、道中で引っ掛かる素振りを見せてしまったことについて、デットーリ騎手の手綱さばきを例に挙げ、「結果、勝てたけど、とてもじゃないが上手に乗れたとは思っていません」と自分の至らなさをさらけだすのです。私が横山騎手を好きになったのは、1995年の札幌記念で1番人気のトロットサンダーに乗って負けた後、「下手に乗ってしまって申し訳ない」とコメントした時から。当時は自分の非を認める騎手なんてほとんどいなかったから、とても新鮮に感じたものでした。あの頃から横山典弘騎手は変わっていないと感じるのです。

お知らせ
MARUZEN&ジュンク堂書店の梅田店LIBRO池袋本店においても、今週末より「ROUNDERS」vol.4の販売が開始されます。東京競馬場のターフィーショップはもうすでに売り切れたそうですので、他のターフィーショップ、ジュンク堂書店でお買い求めの予定の方はお早目に!

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第12回)

Kettounituite12

競馬に物心つくということがあるのか分からないが、私が物心ついた頃のクラシックは、ビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ナリタタイシンの3強のそれであった。それまでは無我夢中で競馬を追いかけ、五里霧中に馬券を買っていたような気がする。競馬を始めて3年近くが経ち、ようやく競馬のイロハを覚え、目の前で行われているレースが全体のレース体系の中にあるものだと理解し、点と点が線としてつながり始めた時期でもある。そんな中で登場した3強が織り成すクラシック路線は、今でも脳内でリプレイができるように、それぞれのレースが鮮明に記憶に残っている。

3頭の名馬の中でも、上に記した順番どおり、私にとってはビワハヤヒデが最も好みの馬であった。芦毛の馬体に愛くるしい表情をしており、顔が大きく、脚が太く、まるでぬいぐるみのよう。彼の現役時代を知る人なら分かるはずだが、いざ走り出すと、弾力性に富む走り方に心が躍るようであった。また気性が素直であったからか、レースに行っても実に器用に立ち回ることのできるセンスの高さが光っていた。同じ芦毛のメジロマックイーンをスピード寄りにして、愛嬌を前面に押し出したようなタイプの馬であった。

ビワハヤヒデがデビューして、朝日杯3歳S(今の朝日杯フューチュリティS)で1番人気に推された頃にはまだ、父は無名の種牡馬シャルード、母は競走馬としては活躍できなかったパシフィカスと、他の2頭(ウイニングチケットやナリタタイシン)に比べて、良く言えば突然に現れた彗星、悪く言えばどこの馬の骨か分からないダークホースの1頭でしかなかった。皐月賞で2着し、ダービーでも2着したときにも、やはり血統的な裏付けのない馬はクラシックを勝つのは難しい、実は早熟なのではと評する者もいたほど。たしかに、スッと先行して、直線でも伸びる走りには安定感はあっても、皐月賞を勝ったナリタタイシンやダービーを制したウイニングチケットほどの爆発力がないように思えた。

そんな評価を裏切るように、ビワハヤヒデは夏を境にして大きく成長を遂げ、他の2頭が調子を崩し、モタつくのを尻目に、秋に向けて順調に駒を進めていった。迎えたクラシックレース最後の1冠菊花賞では、2着以下に5馬身の差をつけて大楽勝を飾ったのである。このとき岡部幸雄騎手の口から出た「生き残っていけば、いずれチャンスは訪れる」という言葉は、私の人生訓としても生きている。多少力が劣っていたとしても、突出した能力がなくとも、あきらめることなく、健康に、戦い続けてさえいれば、いつかは必ず順番が回ってくるということである。

その後、ビワハヤヒデは天皇賞春など2つのG1レースを制したが、その中でも最も強かったのは宝塚記念であったと私は思う。菊花賞や天皇賞春にあった距離不安がないことで、全く危なげのないレースであった。他の出走馬には、のちの天皇賞秋馬であるネーハイシーザーやサクラチトセオー、どんなレースでも堅実に走る万年3着馬のナイスネイチャ、名牝ベガなどもいたが、歯牙にもかけない5馬身差の圧勝であった。強すぎるため、やや機械的に映るかもしれないが、強い馬が勝つ見本のようなレースでもあり、ビワハヤヒデらしいレースとも言える。

ダービー馬になれなくてもいい。トウカイテイオーのような華のある馬に敗れてもいい。生き残っていればチャンスは回ってくることを体現してくれたビワハヤヒデの存在は、当時、志ばかりは高くても何も形にできず、自分の無力感に苛まれていた私を大いに勇気づけてくれた。今でもビワハヤヒデがレースで走る姿を見ると、「いつかはチャンスが回ってくるよ」とあの愛くるしい顔で励まされているような気がする。

Photo by 三浦晃一

(第13回へ続く→)

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阪神芝2200m

Hanshin2200t1

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。

3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。

枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

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宝塚記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Takara

■1■天皇賞春組有利へ
平成12年より、6月下旬へと日程が変更された。それまでは天皇賞春からの間隔が開きすぎていたため、調整が難しく、多くの馬は本来の力を出し切れない、もしくはここを使わなかった。

しかし、開催時期の変更後は、一転して天皇賞春組の活躍が目立つ。天皇賞春で1~3着だった馬は【5・3・1・14】、天皇賞馬に限っては【3・3・0・4】と実に堅実に走っている。天皇賞春からの間隔が適度に短くなったことが、天皇賞春組にとって有利になったことは間違いがない。もっとも、天皇賞春を勝つには極限に仕上げられたと考えてよく、その反動を考えると、天皇賞春→宝塚記念という連勝は意外と難しい。

そして、当然のことながら、この変更は安田記念組にはマイナスの影響を与える。特に安田記念を目標にして仕上がっていた馬や、安田記念で激走してしまった馬にとっては、中2週で宝塚記念というローテーションはあまりにも厳しい。安田記念は負けていた馬の方がかえって宝塚記念での成績は良い。

■2■スピードとスタミナの高い次元での融合が求められる
宝塚記念をひと言で表現すると、「スピードとスタミナの高い次元での融合が求められるレース」ということになろうか。これは阪神競馬場の2200m内回りというコース設定に拠るところが大きい。

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。 枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

■3■前走G1レース以外で負けている馬は×
宝塚記念は定量戦であるため、実力の差がはっきりと出てしまうレースである。宝塚記念の連対馬は、ほとんどが天皇賞春か安田記念からの直行組であって、別路線組はごくわずかである。これは、宝塚記念は実力が正直に反映される紛れのないレースであることを意味しており、前走G1以外のレースで敗戦していた馬ではまず勝負にならない。

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疲れは見られないストレイトガール:5つ☆

★ユニコーンS
アジアエクスプレス →馬体を見る
前後のバランスが良く、東京のマイル戦を走るために生まれてきたような馬体。
2歳時より筋肉に硬さが見られるが、ダートを走る分にはマイナスにならない。
Pad4star

アナザーバージョン →馬体を見る
胴部に長さがあるが、立ち姿を見ると、全体的にやや力感に欠ける。
毛艶は良く、前駆は盛り上がっており、ダートでは堅実に走ってきそう。

ニシケンモノノフ →馬体を見る
気性の激しさが伝わってくる顔つきで、砂を被ってもひるむことはなさそう。
やや硬いが、鍛え上げられた筋肉にはメリハリがあり、パワーは十分。
Pad3star

グレナディアーズ →馬体を見る
筋肉の柔らかさからは、ダートよりも、芝でこそ良さを発揮しそうな馬体。
幼さを随所に残しているが、筋肉量は豊富で好勝負を期待できる。
Pad3star

メイショウパワーズ →馬体を見る
全体的に馬体が幼く、筋肉のメリハリにも欠け、現時点での完成度は低い。
顔つきから気の強さが伝わってくるようで、気持ちで走るタイプだろう。
Pad3star

アスカノロマン →馬体を見る
線はやや細いが、馬体全体のシルエットは父アグネスデジタルに似ている。
頭の大きさが走りのスムーズさを邪魔するかもしれないが、馬体は悪くない。
Pad4star

★函館SS
ストレイトガール →馬体を見る
使い詰めで来ているにもかかわらず、馬体はふっくらとして、疲れは見られない。
付くべきところには筋肉がつき、力強く、力の要る馬場でも実力は発揮できる。
Pad5star

ローブティサージュ →馬体を見る
カイバ食いに問題を抱えているのか、線の細さは相変わらずで、パワー不足。
馬体全体のラインも崩れがちで、2歳時の輝きは見られないのが現状。
Pad3star

フォーエバーマーク →馬体を見る
短距離馬にしては胴部に十分な長さがあり、そのことがしぶとさを支えている。
筋肉のメリハリに物足りなさがあり、特に後躯の肉付きが絶好調時のそれではない。
Pad3star

スマートオリオン →馬体を見る
胴部が詰まっていて、典型的なスプリンター体型で、筋肉はしっかり付いている。
力の要る洋芝の方がこの馬のパワーが生きるはずで、好走を期待できる。
Pad3star

セイコーライコウ →馬体を見る
全体的なシルエットは申し分ないが、筋肉に硬さがあり、ギスギスした感は否めない。
前後のバランスは取れていて、大きく崩れる心配はなさそう。
Pad3star

ガルボ →馬体を見る
年齢を重ねても、良い意味でも悪い意味でも、変わらない馬体を維持している。
毛艶は素晴らしく、暑い時期ではあるが、体調自体は申し分ない。
Pad3star

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ひとつの船に乗り込み、旅に出る

どんな仕事や職業にも必ず最初の第一歩があり、その時の経験や出会いがその後の人生を左右することは案外多い。私にとっては、人生で初めて大好きになった競馬が、世の中ではギャンブルとして偏見の目で見られ、大きく誤解されていることを知ったことが、私をここまで導いた原動力になったことは間違いない。競馬が誰からも一目置かれる高尚なものであったり、広く認められているものであれば、こんなにも力を尽くして競馬を語る必要もなかったかもしれない。皮肉にもそうでなかったからこそ、「競馬は文化であり、スポーツでもある」をモットーとした新しい競馬の雑誌「ROUNDERS」も誕生したのだ。

「ROUNDERS」vol.4には、獣医師であるハリケーンドクターの研修時代の原初体験が描かれている。競馬発祥の地である英国ニューマーケットにおける研修初日、彼女は乾いた銃声を聞いた。日本では薬物を使用する安楽死処分が、英国では銃を用いて行われるのだ。彼女は動揺してよろめき、涙した。そうした経験を乗り越え、馬の心を感じ、アスリートとしての肉体に魅了され、獣医師として支え続けてきた。その日以来、安楽死処置をする立場になっても涙を流すことはなくなったという。それは決して諦観したわけではなく、アスリートとして生きてきたサラブレッドの最期に責任を持つ気持ちが強いからである。

こうした雑誌をつくっていると、様々な人たちにインタビューをしたり、原稿を書いてもらって読む機会に恵まれる。それぞれの登場人物たち(執筆者から写真家まで)とひとつの船に乗り込み、旅に出るような感覚である。そうすることで、そのインタビューや原稿や写真の端々から、それぞれの人生が垣間見える。同じように生まれたにもかかわらず、どうしてこんなにもそれぞれの人生は違うのかと思わせられる。私は獣医師としての人生を生きることはできなかったが、彼女の書いた文章を読むことで、獣医師として馬に寄り添う素晴らしき日々に思いを馳せ、追体験することができるような気がするのだ。

ハリケーンドクターが、「ROUNDERS」vol.4について、自身のブログに書いてくださった。二ノ宮調教師とは懇意にされているようで、そんなこと私たちは露知らず、同じ船に乗ってもらい、最後の最期にばったりと出会った邂逅であった。2人のツーショットは私たちにとって奇跡的であり、また二ノ宮調教師が「ROUNDERS」を大事そうに抱えてくださっているのも嬉しい。二ノ宮調教師は調教師会の仕事もしながら、多忙を極める中、私たちの取材に快く応じてくれ、馬の見方を説明する段においては、実際に厩舎の馬を出してきて、私の目の前で説明してくれたのだ。私もあきらめずに競馬について書き続けてきて良かったと思った。

■ハリケーンドクターのブログはこちら
Hurricanedoctor


お知らせ
「ROUNDERS」vol.4が、今週末から全国のターフィーショップに並びます。また、ジュンク堂書店は、池袋本店札幌店難波店千日前店大阪本店福岡店三宮店ロフト名古屋店にて、今週末からお買い求めいただける予定です。お近くにお住まいの方はぜひ。

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ユニコーンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Unicorns

■1■現時点での完成度が問われる
過去10年の人気別の着順を見ると以下のとおり。
1番人気  【6・2・0・2】連対率80%
2番人気  【0・5・2・3】連対率50%
3番人気  【2・1・1・6】連対率30%
4番人気  【1・1・1・7】連対率20%
5番人気以下【1・0・1・8】連対率10%

分かりやすいほどに、人気馬が強く、人気順に連対率も高いという結果が出ている。東京ダート1600m戦というコース設定上、実力に劣る馬が勝ち切るのは難しい。とはいえ、将来的にG1馬となったのは過去10年でカネヒキリぐらいしかおらず、このレースの勝ち馬の将来性が高いとは言えない部分もある。つまり、実力だけではなく、現時点での完成度も問われるレースであるということだ。

■2■関西馬が強い
過去10年の関東・関西馬の成績は以下のとおり。
関東馬 【2・3・3・67】連対率7%
関西馬 【8・7・8・59】連対率18%

関東で行われる重賞レースであるにもかかわらず、関西馬が圧倒的に強い。ダートに適性を見いだされた3歳馬が集結する舞台であり、現時点で最も強いダート馬を決めるレースでもある。また、これまでは関西の競馬場で昇竜S、端午Sといった適切なステップレース(マイルよりも距離が長い)があることも、関西馬がユニコーンSで好成績を残せることにつながっている面もあったはず。もし関東馬が勝とうと思えば、関西に遠征して、互角に渡り合っているような馬でなければ厳しいか。

■3■スタミナが問われる
ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。実質的な第1コーナーは3コーナーとなるため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。それでも、意外と前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められ、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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守りは習性となり、いつのまにか生き方となる

Yasuda2014wt

久しぶりに胸が張り裂けそうになったレースであった。もう20年以上も競馬をたしなんでいると、馬券で負けることには慣れっこになり、悟りの境地に至るものだが、さすがに今年の安田記念ばかりは冷静に見ていられなかった。といっても、ゴール前でジャスタウェイとグランプリボスが激しく叩き合うシーンに興奮したということではなく、極めて個人的な事情で、全身から汗が噴き出したのだ。実は、前記2頭のどちらかの単勝を買うべきか当日の朝まで迷いに迷って、私は前者を選んでいたのである。

馬の体調や仕上がりを判断するとき、私は立ち写真を使っている。レースに出走する馬たちの立ち写真を見て、最も馬体が良く見える馬の単勝に賭けるのだ。だいたい本番1週間前の追い切りの前後に撮られることが多く、その時点で馬体がどれだけ仕上がっているか、疲れが残っていないか、気持ちが安定しているかどうかなどを、馬が立っている姿を映した写真から見て取る。写真1枚からそんなことが分かるのかと訝しがる方もいるだろうが、分かるのである。馬体は語るのである。

今年の安田記念はグランプリボスが良く見えた。私は①胴体②バランス③毛艶④メリハリ⑤目、顔つきの5点を意識して馬の馬体を見ているが、これまでの出走レースと比べても、他の出走馬と比べてみても、グランプリボスの馬体は総合的に際立っていた。特筆すべき点こそないが、筋肉には柔らかみとメリハリがあり、リラックスして立ち、毛艶も申し分ない。レース間隔が開いたことで、馬がかえってリフレッシュできたことが、その顔つき(表情)から伝わってきた。

もちろんジャスタウェイも良く見えたことは確かである。胴部や首がスラリと長い馬体は中長距離馬のそれであり、父ハーツクライ譲り。今回のような道悪でスタミナが問われるレースには適していると思えた。ドバイに遠征し、あれだけ激走をした反動は馬体からは微塵も感じられなかった。やや気がかりだったのは、表情に僅かながら反抗心が見られたことぐらい。さすがのジャスタウェイも、精神的には少し参っていたのかもしれない。

それでは、なぜ私はグランプリボスの単勝を買わなかったかというと、怖気づいたのだ。買わなかったのではなく、買えなかった。「阪急杯を回避したことで、追い切りが1本足りない」という陣営の言葉を聞いて不安になり、ジャスタウェイのここ3戦の圧倒的な強さを観て弱気になったのである。最終的にはジャスタウェイの単勝は1倍台に下がり、グランプリボスのそれは100倍を超えていた。最後の最後に、私はグランプリボスの評価を少しだけ下げ、ジャスタウェイを少しだけ上げて本命に推した。最後の直線でグランプリボスが勢い良く馬群から抜け出したとき、身体が震え、恥ずかしいことに、グランプリボスに負けてほしいと心の底から願ったのだ。

レースが終わったのち、的中馬券を手にしているにもかかわらず、私は大きな敗北感を味わった。自分の馬を見る目を信じられず、最も良く見えた馬に賭けることができなかった。私はジャスタウェイが結果的にハナ差で差し切ることを見切っていたわけではない。目先のわずかな勝ちを取りに行っただけのことだ。それの何がいけないかというと、次に同じような状況に陥ったとき、私は再び守りに入り、今度こそ、千載一遇のチャンスを逃してしまうことになるだろうから。自らの手で自分の限界を狭め、未来における大きな勝利を失うのだ。守りは習性となり、いつのまにか生き方となる。

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函館スプリントSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1、ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2、1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬
過去10年のラップは以下のとおり。

11.8-10.6-11.3-11.8-11.5-12.4 (33.7-35.7)H
12.2-10.4-11.0-11.5-11.6-12.3 (33.6-35.4)H
12.2-10.7-11.2-11.6-11.8-11.6 (34.1-35.0)M
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M
12.0-10.2-10.9-11.6-11.4-12.1(33.1-35.1)H
11.8-10.4-10.9-11.5-11.4-12.0(33.1-34.9)H
12.1-10.8-11.4-11.9-11.4-11.8(34.3-35.1)M
12.0-10.7-11.4-11.6-11.0-11.8(34.1-34.4)M

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
平成24年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制したこともある。過去10年の連対率も28%【7・2・3・20】と、牡馬の10%【3・8・7・91】に比べ圧倒的に高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で活躍するという典型的な例である。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

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利発な表情にも好感が持てるディサイファ:5つ☆

★エプソムC
ディサイファ →馬体を見る
胴部や手脚には十分な長さがあり、毛艶も良く、リラックスして立っている。
前後躯にもきっちりと実が入り、利発な表情にも好感が持てる。
Pad5star

マイネルラクリマ →馬体を見る
余分なところに肉が付いているが、年齢的なものもあって仕方ないか。
よく鍛えられた筋肉は力強く、馬体全体のバランスも申し分ない。
Pad3star

ダークシャドウ →馬体を見る
全盛期の研ぎ澄まされた馬体と比べると、一枚も二枚も落ちる仕上がり。
特にトモの筋肉に物足りなさがあり、勝った条件ではあっても今回は厳しい。
Pad3star

マーティンボロ →馬体を見る
皮膚が柔らかく、馬体全体のシルエットも素晴らしく、走る素質は高い馬。
だが、表情から分かるように気難しさがあり、スムーズに走れるかどうか。
Pad4star

カルドブレッサ →馬体を見る
胴部にもゆとりがあって、細かい筋肉が目立つようも、立ち姿には力感がある。
顔つきや耳の向きからも気の強さが伝わってくるように、力は出し切るタイプ。
Pad4star

マジェスティハーツ →馬体を見る
やや頭が大きいが、休養をはさんだことで筋肉は柔らかく、毛艶も素晴らしい。
ハーツクライの産駒にしては珍しく、前後躯にしっかり実が入って力強い。
Pad45star

★マーメイドS
フーラブライド →馬体を見る
胸が深く、前駆の力強さは牝馬離れしており、パワーに溢れている。
表情からも気の強さが伝わってくるようで、多少体調が悪くても走るタイプ。
Pad3star

ディアデラマドレ →馬体を見る
母ほどのシャープさはなく、全体的に幼さを残した未完成の馬体。
やや腰高の馬体からは、切れ味勝負に強く、どれだけ脚を溜められるかが鍵。
Pad3star

アイスフォーリス →馬体を見る
ステイゴールド産駒の牝馬らしく、食が細いのか、全体的に線が細い。
白さが目立つ芦毛だけに分かりにくいが、もう少しフックラとするとベストか。
Pad3star

サトノジュピター →馬体を見る
こちらは全体的な馬体のメリハリに乏しく、特にトモの肉付きに物足りなさがある。
素直な表情からは闘争心のなさを感じ、馬群に入れるよりも、逃げてみると面白い。
Pad3star

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「ROUNDERS」vol.4の発売を開始します。

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前作からおよそ2年ぶりになりますが、「ROUNDERS」vol.4を公式に発売開始します。アマゾンでは既に発売スタートしており、全国のターフィーショップには来週末から並ぶ予定です(ジュンク堂書店は現在未定)。

「ROUNDERS」は、「競馬は文化であり、スポーツである」をモットーに、世代を超えて読み継がれていくような、普遍的な内容やストーリーを扱った、読み物を中心とした新しい競馬の雑誌です。

vol.4の特集は、「馬見 サラブレッドの身体論」。馬の身体(馬体)を見ることを通して、競馬を見つめ、馬券を考えていきます。調教師、生産者、獣医師、パドックに立ち続ける者というそれぞれの立場において語られる、アスリートとしての馬の身体論は、競馬ファンなら必読の特集です。

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今号はカラーページが増量され、馬体を美しく鮮明に見ていただける仕上がりになっています。私が数えただけでも、馬の立ち写真だけで約70頭をカラーで掲載しています。読み物としてはもちろんですが、馬体の写真集としても永久保存版です。

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【インタビュー】
「わが理想のサラブレッドたち」 二ノ宮敬宇

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北海道の牧場がホースマンとしての原点である二ノ宮調教師は、出産や種付けにも携わった経験から、母の影響がゼロなのがもっとも良い繁殖牝馬であり、だからこそサラブレッドを見るには父(種牡馬)の影響を知らなければならないと説きます。種牡馬を評価するときには肢勢を重視し、普段サラブレッドと接する中では、脚の膝から下の部分だけを見ると言います。同じサラブレッドを見ていても、私たちとは見ているもの、見えているものが全く違うのです。実際のサラブレッドを傍らに、長躯短背について、肩甲骨と腰角の角度からなる三角形の理論、そしてかつて自らが手がけた名馬の理想の馬体について語ってくれました。エルコンドルパサーの馬体写真はお宝ですね。

「馬を観る
当歳から1歳までのサラブレッド種の評価方法」
 吉田直哉

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ウィンチェスターファーム(米国・ケンタッキー州)社主である吉田氏が、専門としている中期育成まで(当歳から1歳)のサラブレッド種の評価方法について解説します。新生子を見て、良いと感じる根拠となるのは、顔つき、馬体のバランス、そして体躯。1歳馬を見るときは、馬体全体のバランスから歩様まで。詳しくは本文を読んでいただきたいのですが、POGや一口馬主にも役立ちそうな話ばかりです。そして最後に、数知れぬサラブレッドを鑑定・育成してきた吉田氏による、馬を観ることにおける結論とは?私はその結論に納得し、深く心を動かされました。

「神の仔たちもみな踊る
産駒が父から受け継ぐ馬体的特徴の考察」
 久保和功

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現在、種牡馬として活躍している10頭のサラブレッドたちの、現役時代のパドックでの様子や馬体を振り返り、その産駒たちが受け継いでいる馬体的特徴を解説します。ディープインパクト、キングカメハメハ、ステイゴールド、シンボリクリスエス、クロフネ、ダイワメジャー、ハーツクライ、マンハッタンカフェなど、現役時代のパドック写真付きで解説します。こうして10頭の名馬がパドックを歩いている姿を見ていると、まるでこれからドリームレースが行われるような錯覚に陥ります。つい最近まで活躍していた馬たちの仔が走っているのも、今の日本の競馬の面白いところですね。

「アスリートとして生きる
獣医師として馬に寄り添う日々」
 ハリケーンドクター

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競馬発祥の地である英国ニューマーケットに滞在し、馬の診療所で学んだ獣医師によるサラブレッド論。アスリートとしての馬を陰で支える獣医師の言葉は重く、そして希望に満ちています。 「こんなスポーツを知った私たちは幸せだと思う。馬にとって常に全力で走ることは試練なのかもしれない。しかし長く生きるために彼らアスリートは速く走らなくてはならない。これは自然界でも同じだ。あの日以来、私は安楽死処置をする立場になっても涙を流すことはなくなった。それはアスリートとして生きてきた馬の最期に責任を持つ気持ちが強いからかもしれない。競馬場を訪れ、馬券を購入し、ファンは馬との時を共有する。獣医師は馬たちが競馬場で活躍する姿を直接観ることはなかなかできない。けれど彼らの誕生の瞬間と最期の時、その時だけはヒーローに寄り添うことができる。私たちの貴重な特権。そう思っていたい」(本文より)

「馬を見る天才になる!
馬見の直感を磨くための実践的レッスン」
 治郎丸敬之

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馬を見る天才は、一瞬にして、その馬が走るかどうかを見分けることができます。「なぜそう簡単に見分けられるのか?」と彼に尋ねると、彼はこう答えるはずです。「勘だよ、勘」。その“勘”の正体とは一体なんでしょうか?馬を見る天才も、必ずある思考プロセスを経て、馬体の評価を行っています。その思考プロセスを意識的に真似ることによって、いつの間にか、私たちは馬を見る天才と同じ馬の見方ができるようになるのです。

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「ROUNDERS」vol.4(全144ページ)を1,900円(税別、送料無料)でお分けいたします。
*大変申し訳ありませんが、振込み手数料は各自でご負担いただきますのでご理解ください。
*消費税が上がったことにより、全体の価格が2,000円を超えてしまうことをご容赦ください。

特典
今回、「ガラスの競馬場」より直接お申し込みいただいた方に限って、2012年9月に開催された「馬を見る天才になる!ライブ」のダイジェスト版CDをプレゼントします。20分という短さですが、私なりのメッセージを込めていますので、「ROUNDERS」vol.4のツマミとして楽しんでいただけるはずです。

プライバシーポリシー特定商取引に基づく表記もご覧ください。

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ご注文方法
Step1メールフォームにてご注文をしてください。
*SSLに対応しておりますので、個人情報の保護も万全です
*個人情報を第三者に開示をすることは決してありません。
Step2ご注文確認メールが届きます。
Step3お届け先住所に「ROUNDERS」が届きます。
*振込み用紙を同封しますので、商品到着から5日以内に指定の銀行口座にお振込みください。
*振込み手数料は各自でご負担いただきます。

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追記
この機会に「ROUNDERS」創刊号やvol.2、vol.3も読んでみたいという方は、申し込みフォームの備考欄に、その旨をご入力ください。これからも創り続けていきますので、応援してください。お読みいただいたご感想やご意見など、教えてくださると嬉しいです。(glassracetrack@ymail.plala.or.jpまで)

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エプソムCを当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■4、5歳馬が中心
4歳   【6・4・4・23】 連対率27%
5歳   【3・5・1・44】 連対率15%
6歳   【1・1・2・42】 連対率4%
7歳以上【0・0・3・35】 連対率0%

5、6歳馬が中心であった先週の安田記念と比べると、明らかに4、5歳馬が強い。これといった理由は思いつかないが、安田記念より距離が200m伸びて、ペースが落ち着きやすいということだろうか。前半3ハロンの平均が35秒8、後半3ハロンの平均が35秒7と、ほぼミドルペースで流れる。その分、スピードに任せて前に行ける若い馬の方が有利になるということだ。

■2■馬場によって適性が180℃変わる
東京の1800mはコーナーが2つで、サンデーサイレンス系のタメて切れる脚質が合う舞台である。ただ、この時期は雨が降りやすく、馬場が変化しやすい。ダービーが終わって、さすがに芝も荒れてくる頃だけに、雨が降ってちょっと時計の掛かる馬場になるとジワジワと脚を使う血統の馬が台頭する。具体的に言うと、キングマンボ、ペンタイア、マヤノトップガン、フレンチデピュティなど、非サンデーサイレンス系の馬である。

■3■マイラーにとっては厳しいレース
ヨーロッパの血を持つ馬が活躍しているように、府中の1800mはスピードだけでは押し切れない、スタミナが問われる舞台である。過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が芝1800m以上の中距離で勝ち星を挙げていたことからも、マイラーにとっては厳しいレースになることが分かる。

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マーメイドSを当てるために知っておくべき3つのこと

Marmaids

■1■スタミナ型を狙え
阪神2000mで行われるマーメイドSは、上がり3ハロンが33秒台のような瞬発力勝負にはならず、この時期の馬場が傷んでいることも加わり、上がりの掛かるレースになることが多い。また、ハンデ戦となった過去4年の勝ち馬の血統を見ても、ステイゴールド産駒が2頭とスペシャルウィーク産駒が1頭と、サンデーサイレンス系の中でもスタミナ寄りの馬が活躍している。字ズラ以上にスタミナを問われるレースとなることは明白で、中距離以上のスタミナを有している馬を狙いたい。

■2■馬体重の少ない軽ハンデ馬の活躍
ハンデ戦となった過去7年間で、トップハンデ馬は【1・1・1・7】と振るわず、1番人気馬に至っては【0・0・1・6】と連対すらしていない。逆に、狙い目は軽ハンデ馬で、1~3着馬の21頭のうち、15頭がハンデ53kg以下という成績を残している。特に、普段は別定戦での斤量を負担に感じている馬体重の少ない馬が、ハンデ戦で軽量となった時にあっと驚く好走をすることもある。

■3■ヴィクトリアマイル組は疑問
ヴィクトリアマイル組は実績上位であるので、出走してくれば人気になるはず。ただし、以下の2つの理由で好走を望むのは難しい。

1)ヴィクトリアマイルで仕上がっているので、体調が下降線を辿っている。
2)ヴィクトリアマイルよりも豊富なスタミナが問われる。

1)はヴィクトリアマイルが目標である牝馬がほとんどである中で、ヴィクトリアマイル後、マーメイドSに出走してくるのは、ヴィクトリアマイルで勝てなかったため消化不良のケースが多い。ただ、当然のことながら、ヴィクトリアマイルに向けて100%に仕上げた馬の体調は、下降線を辿るため、ピークが過ぎた段階での出走となり、力を出し切れない。

2)ヴィクトリアマイルはヨーイドンの瞬発力勝負になることが多く、マイル戦とはいえ、意外とスタミナを問われないレースになりやすい。そこからいきなり阪神の2000m戦でレースをしてしまうと、要求されるスタミナが全く違うのである。求められる要素が違うためヴィクトリアマイルの好走馬が、そのままマーメイドSでも好走するのは難しい。

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WORLD'S BEST RACEHORSE

Yasuda2014
安田記念2014-観戦記ー
ミッキーアイルがダッシュ良く飛び出し、いつも通り、耳を立てながら楽に先頭に立った。前半マイルが47秒1、後半が49秒7という数字を見ると、極端なハイペースに見えるが、そうでもない。最後の1ハロンが13秒8も掛かっており、決して遅くはないペースを追走し、どの馬もバテて最後は脚が上がってしまったという表現が相応しい。あれだけ出走していたディープインパクト産駒が3着以内に入っていないように、スピードや瞬発力とは相反する、スタミナとパワーが要求される不良馬場のレースであった。

勝ったジャスタウェイは、最後まで止まらなかった唯一の馬である。道中は泥を被り、しかもちょうど馬場の悪いところを走らされたが、最後の最後まであきらめずに伸びた。ジャスタウェイの内包するスタミナが生き、また腰がパンとして本格化していた時期だからこそ、苦しみながらも勝つことができた。ドバイで激走した僅か2か月後に、これだけの激戦を制したのだから、さすがワールドランキング1位の馬である。とはいえ、見た目にはない疲れが必ずあるはずで、この後は決して宝塚記念に向かうことなく、ゆっくりと体と心を休めてもらいたい。

柴田善臣騎手は最後ヒヤヒヤしながら馬を追ったはず。もう1頭分、外のコースを走らせたかっただろうが、外から被せられて馬場の悪いところを走らされたばかりか、直線に向いてもジャスタウェイ本来の爆発的な末脚は影をひそめ、追ってもジワジワとしか伸びなかったのだから。こういった不良馬場では馬群がバラけることが多いが、今回は思いの外、窮屈になってしまい、外に出すスペースもタイミングもなかった。最後は馬の力と意地だけで勝たせてもらったようなレースであり、ジャスタウェイの強さに感謝すべきだろう。

惜しかったのは、グランプリボスと三浦皇成騎手。長い休養をはさんだことで、馬がリフレッシュし、うまく表現するのは難しいが、レースから逃げようとして引っ掛かるのではなく、前進気勢に溢れていて抑えるのが大変という行きっぷりであった。惜しむらくは、手応えが良すぎたばかりに、結果的に少し早仕掛けになってしまったこと。スタミナに優るジャスタウェイに勝つには、ジャスタウェイよりも先に動いてはいけなかった。安定した騎乗フォームには定評がある三浦皇成騎手も、さすがに勝ちを焦ってか、馬がヨレたこともあってか、ゴール前はずいぶんと姿勢が崩れてしまっていた。着差がハナ差だけに、悔やんでも悔やみ切れない騎乗だったに違いない。

離れた3着、4着に入ったショウナンマイティとダノンシャークは昨年の2、3着馬。昨年は勝ち馬(ロードカナロア)が強かったし、今年は馬場に泣かされたが、この距離とコースに適性があり、マイラーとしての資質が高いことを証明した。そして、もうひとつ、安田記念はキャリアが問われる珍しいタイプのG1レースであることが分かる。だからこそ、リピーターレースともなる。今年の上位馬がキャリアを重ねた翌年も出走してきたら、人気を問わずに狙ってみても面白い。

ワールドエースは大外枠からの発走に加え、この不良馬場と運に見放された。それでも5着に踏ん張ったあたり、この馬が完全復活する日は遠くない。マイラー寄りの馬体に変わってきているが、本来は距離が延びて良いタイプであり、走る素質という点においては、ジャスタウェイを筆頭とした古馬の超一流馬と比べても引けを取らない。2番人気に推されたミッキーアイルは、馬場を苦にして早々と失速してしまった。馬体が未完成で幼さを残す馬にとって、こういった馬場は特にこたえるものだ。

Photo by 三浦晃一

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ドバイの肉体的疲れはなさそうなジャスタウェイ:5つ☆

ジャスタウェイ →馬体を見る
胴部はゆったりと長く、首の細さは父ハーツクライの現役時に良く似ている。
やや反抗心が出てきている表情だが、ドバイ遠征の肉体的疲れはなさそう。
Pad5star

トーセンラー →馬体を見る
毛艶も素晴らしく、マイラーとしては完成形に近い馬体全体のシルエット。
筋肉量も十分だが、今回は腹回りに余裕があって、もうひと絞りできそうな仕上がり。
Pad4star

ワールドエース →馬体を見る
馬体重が示すように、全体的にパワーアップして、マイラーとしての馬体に成長した。
とはいえ、前走よりも筋肉がやや硬く、トモの肉付きが少しだけ物足りない。
Pad4star

ダノンシャーク →馬体を見る
昨年は悔しい思いをした安田記念だが、1年経って、馬体面での成長は感じられない。
全体的に力感に欠ける立ち姿であり、前躯に比べて後躯に弱さが残っている。
Pad3star

カレンブラックヒル →馬体を見る
前走を久しぶりに勝利して、馬体面においても、良かった頃に戻ってきている。
胴が詰まっている体型のため、府中のマイル戦はペースが速くなってしまうと苦しい。
Pad4star

ミッキーアイル →馬体を見る
このメンバーに入ると、馬体的には幼さが目立ち、ここから先の成長が望まれる。
その段階でここまで走るのは、素質の高さとレースに行っての器用さがあるから。
Pad3star

グランプリボス →馬体を見る
休み明けにもかかわらず、筋肉にメリハリがあり、休養してリフレッシュされた。
前後躯にしっかりと実が入って、好調時と変わらないパワーを感じさせる。
Pad45star

ショウナンマイティ →馬体を見る
力感に欠ける立ち姿は変わらないが、手脚や胴部には長さがあってスタミナは十分。
黒光りする毛艶は良いが、調教でもう少し負荷を掛けて、筋肉にメリハリがほしい。
Pad3star

ホエールキャプチャ →馬体を見る
手脚や胴部が長く、馬体のシルエットも美しく、6歳の年齢を感じさせず衰えはない。
芦毛なので毛艶の良さは見分けにくいが、春3戦目で仕上がりは良さそう。
Pad4star

レッドスパーダ →馬体を見る
年齢的なものもあるが、腹回りに肉が残っていて、もうひと絞りほしい余裕がある。
馬体が仕上がり過ぎて、腹が巻き上がっているよりは良いが、距離延長はマイナスか。
Pad4star

リアルインパクト →馬体を見る
3歳時に勝ったときと遜色ない馬体を保持しているが、あの時の唸るような感じはない。
とはいえ、馬体全体に長さがあって、筋肉のメリハリも素晴らしく、力は発揮できる仕上がり。
Pad4star

Yasuda2014wt

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馬を鍛えるレース

Jiromaru

競馬にはレベルの高いレースと低いレースがあります。もちろん、そのどちらにも当てはまらないレースも。レースのレベルの高さを見極めるためには様々な方法があり、そのひとつとして、レース前半と後半を比べて、前半に負荷が掛かっている方のレベルが高いというものがあります。たとえば、2004年に行われたダービーと2005年のダービーとを比べてみると、面白いことに、勝ちタイムは全く同じであるにもかかわらず、レース前半と後半の構成が全く違います。

2004年 
12.5 - 10.6 - 11.3 - 11.5 - 11.7 - 11.8 - 12.5 - 13.0 - 12.5 - 11.5 - 11.7 - 12.7
(前半69.4-後半73.9) 2:23.3

2005年 
12.5 - 10.9 - 12.1 - 12.1 - 12.3 - 12.3 - 12.3 - 12.1 - 12.2 - 11.9 - 11.0 - 11.6
(前半72.2-後半71.1) 2:23.3

キングカメハメハが勝った2004年は前半の方が圧倒的に速い、殺人的なハイペースです。それとは対照的に、ディープインパクトが勝った2005年は後半の方が速いスローペース。両レースの勝ちタイム2分23秒3はレコードですが、どちらの方がレベルの高いレースかというと前者です。圧倒的に厳しい流れを追走し、最後はどの馬も脚が上がってしまうようなレースでした。

これはキングカメハメハの方がディープインパクトよりも強い、という意味ではありません。ディープインパクトはもっと厳しい流れのレースでも勝てた可能性を秘めているからです。レースレベルを問う際に問題になるのは、勝ち馬ではなく、それ以下の着順の馬たちなのです。もっと分かりやすく言うと、2004年のレベルの高いダービーで負けた馬たちの中にも、強い馬がいる可能性が高いということです。現に2着のハーツクライ、5着のスズカマンボ、6着のダイワメジャー、8着のコスモバルクはのちにG1レースを勝利し、コスモバルク以外は種牡馬としても大活躍しています。対して、ディープインパクト以外の2005年ダービー出走馬は、その後、鳴かず飛ばずの成績で終わっています。

さて、つい最近、同じようにレベルの高いダービーがありました。そう、2012年のダービーです。

2012年
12.8 - 10.8 - 12.0 - 11.7 - 11.8 - 11.7 - 12.2 - 12.4 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 12.4
(前半70.8-後半73.0) 2:23.8


キングカメハメハが勝った年ほどではありませんが、前半と後半の落差が2秒2もある超ハイペースです。非常にレベルの高いレースでした。レース後に骨折などの故障を発生してしまった馬の多さも、このレースの厳しさを物語っています。そういえば、2004年のダービーも、キングカメハメハを筆頭に、脚元を傷めてしまった馬が目立ちましたね。

ここまでレベルの高いレースという表現をしてきましたが、最近では、馬を鍛えるレースと考えることにしています。こういった極限のレースを駆け抜けた馬は、馬が変わるのです。極限体験によって潜在能力が引き出され、覚醒し、もし生き残ることができたとすれば、のちのちにおける活躍が期待できるのです。2012年のダービーに出走して負けた馬の中からも、フェノーメノ、ゴールドシップ、ジャスタウェイというスターが誕生しましたし、ワールドエースやグランデッツァなど、これからの名馬、種牡馬候補もいます。今年の安田記念は、2012年のダービーに鍛えられた馬たちによるマイルG1となりそうですね。

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安田記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Yasuda

■1■外国調教馬の活躍
平成5年から国際競走として行われ、当初は欧州調教馬が大勢を占めていたが、ここに来て香港調教馬の活躍・台頭が目立つ。過去11年で外国調教馬の成績は【1・1・2・22】。香港から1頭の勝ち馬が出ている。もちろん、勝負になると思うからこそ遠征してくるわけで、たとえ人気がなくとも要注意である。

香港競馬はオセアニア産のスピード馬を輸入しながら、全体のレベルも年々上がっている。短距離路線に関して言えば、日本よりは層が厚く、スプリント戦でなかなか歯が立たないというのが現状だろう(それゆえロードカナロアの香港スプリント勝利の価値は高い)。マイル戦では、贔屓目に見てほぼ互角といったところだろうか。府中のマイル戦はスタミナも必要とされるため、サイレントウィットネスやグッドババのような小回りが得意なスプリンターではなく、少し長めの距離を得意とするブリッシュラックのようなマイラーを狙うべきである。

■2■高松宮記念勝ち馬の不振
平成12年 キングヘイロー    3着(3番人気)
平成13年 トロットスター    14着(4番人気)
平成15年 ビリーヴ       12着(9番人気)
平成17年 アドマイヤマックス 12着(4番人気)
平成18年 オレハマッテルゼ  10着(1番人気)
平成19年 スズカフェニックス  5着(1番人気)
平成20年 ローレルゲレイロ  15着(6番人気)
平成24年 ロードカナロア     1着(1番人気)

高松宮記念が3月に施行されるようになった平成12年以降、高松宮記念勝ち馬が安田記念に出走してきた際の成績は上の通り。勝ったロードカナロアはワールドクラスのチャンピオンとして例外として、それ以外の馬たちの中で、キングヘイローの3着が最高着順であり、スズカフェニックスそれ以外の馬は二桁着順に惨敗している。高松宮記念勝ち馬が安田記念で活躍できない理由としては、以下の2つが考えられる。

1、高松宮記念勝ち馬は本質的にはスプリンターである
当たり前のことだが、高松宮記念を勝つような馬は本質的にはスプリンターである。安田記念が行われる府中の1600m戦はマイル以上のスタミナを要求されるため、スプリンターはガス欠を起こしてしまう。また、中京競馬場1200mコース(小回り)と東京競馬場1600m(大回り)では、道中の流れが全く違うため、前走で高松宮記念を勝つようなリズムで走った馬は、安田記念ではリズムの違いに戸惑い、凡走してしまうのである。

2、高松宮記念を目標に仕上げられているため余力が残っていない
高松宮記念はレースを使い込んで仕上げてきた馬が勝つ傾向がある。そのため、2ヶ月後の安田記念までに余力が残っておらず、体調が下降線を辿ってしまう馬が多い。

■3■キャリアを問われるレース
過去10年の年齢別成績は以下のとおり。

3歳 【1・0・0・2】  連対率33%
4歳 【1・3・1・35】 連対率10%
5歳 【2・4・4・52】 連対率10%
6歳 【5・0・5・32】 連対率12%
7歳 【1・3・0・22】 連対率15%
8歳以上【0・0・0.7】 連対率0%

安田記念はキャリアを問われるレースであり、過去10年の勝ち馬の年齢を見ても、6歳馬の5勝に対し、4歳馬と5歳馬はそれぞれたったの1勝ずつ。アドマイヤコジーン、アグネスデジタル、ダイワメジャーなど、紆余曲折を経た古馬たちが、そのキャリアや経験を生かして頂点に立ってきた歴史がある。

しかし、1996年に3歳馬に再開放されて以来、2011年は初めて3歳馬(リアルインパクト)による安田記念制覇となった。それまでは3歳馬が出走することすら稀であり、たとえ挑戦したとしても、ほとんどの馬が2桁着順に敗れてしまっていた。この時期の3歳馬にとって、古馬との戦いが厳しいことは確かだが、逆説的に言えば、キャリア豊富なマイラーを負かせるとすれば、4kgの斤量差を生かすことができた3歳馬ということか。

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ダービーを勝たせるために生まれてきた

Derby2014 by M.H
ダービー2014-観戦記-
エキマエが先頭に立ち、前半1000mが59秒6という引き締まった流れをつくり出した。2番手以下の集団もおよそ平均ペースで流れており、馬群が凝縮して、わずかの隙間もなく、ヨーロッパ競馬のようなタイトな競馬となった。どのジョッキーも道中のロスを最小限に抑えたい、少しでも上の着順に持ってきたいという強い意志を持って騎乗していることが、手に取るように伝わってくる素晴らしいレースであった。今年は力の抜けた馬がおらず、枠順やポジションの差で勝敗が分かれたように、運の良い馬が勝つという言葉を体現したようなダービーであった。

勝ったワンアンドオンリーは、内枠を引いたことが勝利に結びついた。内枠を引いたからこそ、横山典弘騎手もスタートから迷うことなく馬を出してゆく選択をすることができ、道中は引っ掛かりながらも馬を周りに置いて我慢させることができた。外枠を引いて、いつものように中団より後ろから行っていたら、届いていなかったかもしれない。「格好悪い競馬だった」と横山騎手自身も語るように、人馬共に苦しみながらの勝利であったが、ダービーを勝つということはそういうことなのだろう。1着でゴールインしたのち、左前を行く蛯名正義騎手の姿を見て、横山騎手の胸の内にどういった感情が去来したのだろうか。それは単なるダービーを勝った喜び以上の、ベテランジョッキーにしか知りえない、もっと深い何かであった気がする。

それにしても、ワンアンドオンリーに究極の仕上げが施されていたことは間違いない。本来、トモがそれほど強くない(未完成な)馬であったが、ここに来てグンと成長したことを含め、肉体的にも精神的にも前のポジションで競馬ができるよう目一杯に仕上げられていた。橋口弘次郎調教師がダービーを勝ちにきて、勝つべくして勝ったダービーであったと言える。あのダンスインザダークの屈辱を18年後にようやく晴らした橋口調教師の意地と矜持に、最大の拍手を送りたい。新馬戦の凡走からここまでの過程を振り返ると、ワンアンドオンリーはまさに橋口調教師にダービーを勝たせるために生まれてきたような馬に思えてならない。一方で、究極に仕上げられて勝ったダービー馬は、秋以降が鬼門となることも示唆しておきたい。

イスラボニータは負けて強しの競馬であった。勝たなければ意味がないのがダービーかもしれないが、それ以上に、競走馬としての資質の高さを見せつけてくれたレースであった。スタートで他馬と接触したことがきっかけとなり、馬がエキサイトしてしまい、道中ではハミを噛む時間が長かった。それでも最後の直線では、1頭持ったままで先頭に踊り出たように、スピードとスタミナの絶対値が高い。今回はレースの綾が絡み合い、より適性の高い、より仕上がった馬に負けてしまったが、見る人が見ればこの馬の強さは分かるはず。未完成な馬体でここまで走るのだから、もしかすると、総合的な能力の高さという点では父フジキセキを超えているかもしれない。蛯名騎手の「枠順の差(枠順が逆だったら)」というコメントは心の叫びだろう。

マイネルフロストは枠なりで競馬をして好結果に結びついた。松岡正海騎手らしい、絶妙な騎乗であった。対して、2番人気のトゥザワールドは、せっかくの好枠を引いたにもかかわらず、最初から外に出そうと決めていたようだ。跳びが大きく、これまでも外を回って勝ってきた馬だが、さすがにあのポジションでは5着が精いっぱい。馬群の内に入れない気性的な問題があるのか、もしないのであれば、マイネルフロストが走ったポジションを走っていれば3着はあったはず。唯一の牝馬であったレッドリヴェールは見せ場なしの大敗を喫してしまった。休み明けの桜花賞とは打って変って体調が悪く、ステイゴールド産駒の牝馬の仕上げの難しさがここにある。ト-センスターダムは積極的に2番手を追走し、良い形で直線に向いたが、苦しがって内ラチに激突してしまった。同馬にとっては距離が長いことに加え、仕上がりも不十分であったことが原因か。

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輪郭がはっきりと良化してきているワンアンドオンリー:5つ☆

イスラボニータ →馬体を見る
ひと叩きされた分、前走よりも重厚感はなくなり、全体的な軽さは増した。
馬体には幼さを残していて、筋肉のメリハリも少ないが、走らせて良いタイプ。
Pad3star

トゥザワールド →馬体を見る
毛艶も良く、筋肉のメリハリもあり、トモにしっかりと実が入っている。
見た目は申し分なさそうだが、脚が短く、重心が低い分、距離延長はマイナスか。
Pad4star

ショウナンラグーン →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入って、前走を勝ったこともあり、自信満々な立ち姿。
気性が激しそうな表情だけに、道中スムーズに走ることができればチャンスあり。
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マイネルフロスト →馬体を見る
前躯の肉付きに比べて、トモの実の入りが物足りなく、パワー不足に映る。
馬体全体のシルエットは中距離馬のそれであり、距離延長は望むところか。
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ベルキャニオン →馬体を見る
前後躯共にキッチリと実が入って、馬体全体からパワーが伝わってくるのが分かる。
しかし、人目を引く好馬体である分、府中の2400mの距離はやや疑問が残る。
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ワンアンドオンリー →馬体を見る
年明けを2回叩いて、少しずつ馬体の輪郭がはっきりして、良くなってきている。
斑点が浮いているように、毛艶も申し分なく、前後躯の筋肉のメリハリも素晴らしい。
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トーセンスターダム →馬体を見る
もうひと絞りできそうなぐらい余裕があり、馬体は完全なパワータイプ。
母父の影響が出ているとすれば、距離の延長はあまり歓迎できないのでは。
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ハギノハイブリッド →馬体を見る
いかにもタニノギムレット産駒らしい、前躯の勝った、力強さあふれる馬体。
馬体から鍛え上げられていることが伝わってくるように、距離は持つはず。
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レッドリヴェール →馬体を見る
前走はフックラと完璧に仕上がっていたが、今回はやや馬体がギスギスしている。
間隔を開けた方が良いタイプとはいえ、ここまで違いが出るのも珍しい。
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ワールドインパクト →馬体を見る
まだ絞り込めそうな馬体で、ダービーに向けて完璧な仕上がりとはいえない。
前躯がやや勝っているが、全体のバランスは良く、距離適性は高いはず。
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Derby2014wt

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