« June 2014 | Main | August 2014 »

凱旋門賞へ向けて2014

Totheprix_de_larc_de_triomphe

今年は過去最多の3頭の日本馬が、凱旋門賞に出走することになりそうだ。宝塚記念を連覇したゴールドシップ、国際クラシフィケーションランキング1位のジャスタウェイ、そして桜花賞を勝って3歳馬して挑戦するハープスター。3頭の父はそれぞれステイゴールド、ハーツクライ、ディープインパクトと異なり、競走馬としてのタイプや性格も全くもって違うが、秘めている潜在能力や資質の高さという点では一致する。これだけ多士済々なメンバーで挑めるのは初めてのことであり、まるでステイゴールドとハーツクライとディープインパクトが揃って凱旋門賞で走るような感慨と興奮を覚えるのは私だけだろうか。少し気が早いが、凱旋門賞に向けて展望してみたい。

まず凱旋門賞で問われるはずのスタミナとパワーを最も備えているのはゴールドシップだろう。父ステイゴールドの産駒は軽い芝コースでも十分に走るが、他馬が苦にするような力を要する馬場を滅法得意とする。とにかく、筋肉の質が強いということだ。ダートを走らないのは、ただ単に砂を被ってしまうと走る気を失ってしまうような気性の難しい馬が多いからである。凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場の深い芝、かつアップダウンの激しいコースを最後まで伸びるのは、現在の日本の主流となっている血統としてはステイゴールドの血が相応しい。ただし、コインの裏として、ステイゴールド産駒は気難しさがあることも事実である。

ジャスタウェイは父同様に、トモが完成したことによって、どんなポジションで走っても確実に爆発的な末脚を使えるようになった。それまでは好位を取りに行くと末脚を失い、脚をためるとポジションを悪くしてしまい届かないのジレンマがあった。今ならば、先頭に立ってそこからさらに伸びて引き離す芸当も可能であろう。切れる印象がある馬だけに、距離適性が疑われることもあるが、血統的にも馬体的にも2400mぐらいで失速する馬ではない。ハーツクライの産駒はステイゴールド以上に長距離を得意とし、距離が延びれば延びるほど良さが出る。さらにジャスタウェイの馬体は首も細く、胴部から手脚などの各パーツが長く、まるでステイヤーのそれである。

実は、この牡馬2頭には大きな弱点もある。何度も書いてきたので詳しくはこの記事を読んでもらいたいが、つまりは宝塚記念(や安田記念)を勝つローテーションを組んだ馬は凱旋門賞を勝てないということだ。勝てないと宣言するのは早急すぎるとしても、凱旋門賞で100%の仕上がりにもっていくことは極めて難しい。本気で凱旋門賞を取りに行くならば、宝塚記念や安田記念は捨てなければならない。宝塚記念や安田記念を勝ったら挑戦するではなく、凱旋門賞を勝つためには宝塚記念や安田記念をパスする勇気が必要なのだ。

最も可能性がある(勝ち目がある)馬は、実はハープスターではないかと私は考えている。血統的には母父ファルブラヴでパワーが補強されている反面、スタミナに不安を感じさせるのは確かであるが、そこは末脚に賭ける競馬をするしかない。オークスは変に馬群に入れようとして末脚を削いでしまったが、この馬はポツンと走らせた方が圧倒的に切れるはず。3歳牝馬は斤量も軽いので、見たこともないほど切れるかもしれない。オークスを無理をして勝たなかったのも結果的には良かった。札幌記念は80%程度の仕上げで、勝っても負けても、凱旋門賞に向けて仕上げていけば良い。

Photo by 三浦晃一

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

アイビスサマーダッシュを当てるために知っておくべき3つのこと

Aibisu

■1■牝馬の活躍が目立つ
牡馬・せん馬  【3・6・5・87】 連対率9%
牝馬       【7・4・5・47】 連対率18%

過去10回行われたレース中、牡馬が勝ったのはわずかに3回。しかも、そのうち2回は、あのスプリンターズSを制し、直線1000mコースのスペシャリストであったカルストンライトオであり、ロードカナロアを倒したこともあるハクサンムーンによるもの。G1レースで勝ち負けできるぐらいの牡馬でないと、このレースで牝馬に勝つのは難しい。連対率を見ても圧倒的な差が生じている。

理由としては、以下の3つが考えられる。
①平坦コースで牝馬特有の切れ味を生かせる
②揉まれない
③牝馬は気を抜かずにガムシャラに走る

■2■ダート短距離血統の馬に注目
過去の連対馬を見ると、カリスタグローリー、サクラバクシンオー、Capote、スターオブコジーン、ウォーニング、フジキセキなど、ダートの短距離に強い血統の馬が並んでいる。このことからも、一気にアクセルを全開にしてトップギアに入ることのできる、後輪駆動のパワータイプが強いことが分かる。芝のスピードよりも、ダッシュするためのパワーが必要ということである。

■3■外枠有利というよりも
新潟直線1000mは外枠有利と言われるが、本当にそうだろうか。開催が進んで馬場の内側が傷んでくれば、外が走りやすいトラックバイアスが生まれることは確かだが、開幕週であれば馬場の内外は気にすることはない。それよりも、馬は埒(らち)を頼った方が走りやすいということである。直線だけの競馬は馬群が大きくバラけることが多く、他馬との間隔が開きすぎると、馬はフラフラして走りにくい。だからこそ、早めに埒(らち)を味方につけて突っ走った馬が有利ということになる。そういった意味では、手応えの良い馬が集まってくる外枠の方がレースはしやすい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (5)

週刊「Gallop」にて、vol.4を紹介していただきました。

Gallop

先々週号の週刊「Gallop」にて、「ROUNDERS」vol.4を紹介していただきました。実はいつも掲載までに少し時間が掛かるので、うっかり見落としていました。読めていなかったコラムなどを読み直そうと思っていたところ、初めて気がついた次第です。こんなに大きく綺麗に表紙を掲載していただいているのに…、すいません。また、皆さまにご報告が遅れたこともお詫びします。そして、素早く対応してくださった編集部の方々、ありがとうございます!

週刊「Gallop」は、私が競馬を始めてから3年目の1993年に創刊されました。カラーページや写真が多く、馬柱が縦に組まれていることも含め、とても読みやすい競馬の雑誌が誕生したというのが当初の感想だったと思います。毎朝、西武新宿線の駅の売店で買って、満員電車の中で押し潰されそうになりながらも、つり革に掴まれずに倒れそうになりながらも、むさぼるようにして読んだ記憶があります。

当時は、個人的にもたっぷりとした時間があり、また深く競馬の世界にはまり込んでいったちょうどその時期でしたので、文字が書いてあるところは全て読んだのではないでしょうか。どんな知識や知恵も見逃すまいという覚悟で、競馬のイロハを学び、吸収しました。週末の実戦に向けて、週刊「Gallop」を片手に延々と考え続けました。外から見れば、同じ週刊誌をずっと眺めている変な若者だったと思いますが、私の世界は無限に拡がっていたのでした。

砂漠の砂が水を吸い込むように読んだコラムや連載の中でも、私が最も好きだったのは、故野平祐二氏のコラム「口笛吹きながら」。毎週、コンビニや駅の売店で『週刊Gallop』を買うと、そのページを急いで探して読んでいました。まるでキリスト教徒にとっての聖書のように、何度も何度も祐ちゃん先生の言葉を読み返したものです。「競馬は文化であり、スポーツである」という「ROUNDERS」のモットーも、祐ちゃん先生の影響を強く受けています。

その「口笛吹きながら」の聞き書きをされていたのが、週刊「Gallop」の現・編集長である鈴木学さんです。私はずっと野平祐二先生が直接に書かれているのだとばかり思ってきましたが、そうではなかったそうです。それは残念という意味ではなく、それぐらい野平祐二先生の優しさや温かみ、繊細さ、権威に屈しない強さが、文章から見事に伝わってきたということです。鈴木学さんは「あとから読んでみても、自分が書いた文章とは思えない。野平祐二先生が憑依していたようだった」と謙遜しておっしゃりますが、それだけ一心同体であった素晴らしい連載でした。そんな人が編集長としてつくっている雑誌が素晴らしくないわけがありません。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (245)

全体のバランスが素晴らしいジェベルムーサ:5つ☆

★中京記念
クラレント →馬体を見る
前後躯にバランス良く実が入っており、リラックスした立ち姿も申し分ない。
大敗後ではあるが、光り輝くような毛艶も素晴らしく、体調自体も問題なし。
Pad45star

ダイワマッジョーレ →馬体を見る
胴部が短く、コロンと映るように、距離はマイルがギリギリといったところ。
前後にバランス良く筋肉がついて、表情からも気持ちの前向きさが伝わってくる。
Pad4star

マジェスティハーツ →馬体を見る
しっかりとした前躯に比べて、後躯の筋肉量が物足りなく、完成はもう少し先か。
とはいえ、身体には丸みがあり、柔らかい筋肉を維持しており好調を示している。
Pad3star

フラガラッハ →馬体を見る
暑い夏が合うのだろうか、毎年、この時期の毛艶や仕上がりは素晴らしい。
一昨年よりも昨年、昨年よりも今年と少しずつ後躯の実の入りが落ちている。
Pad3star

サダムパテック →馬体を見る
腹回りに余裕があるように、この時期でも太目に映り、もうひと絞り必要な仕上がり。
年齢を重ねることで、力強さが出てきているので、ダートの方が走るかもしれない。
Pad3star

サトノギャラント →馬体を見る
シンボリクリスエス産駒らしい、全体的に長さがあって、バランスの良い好馬体。
やや腰高で、馬体に薄さがあるように、マイルぐらいの距離で切れ味を生かすタイプ。
Pad4star

★エルムS
ジェべルムーサ →馬体を見る
手脚がスラリと長く、芝でも十分に走れそうだが、これでダートを走るのは父の血。
胴部にも十分な長さがあり、馬体全体のバランスも素晴らしく、スタミナもありそう。
Pad5star

グレープブランデー →馬体を見る
良かったころの立ち姿のバランスの良さはなく、全体の形がやや崩れている。
毛艶は良く、筋肉にも柔らかみがあるので、近いうちに良くなってくるはず。
Pad3star

ソロル →馬体を見る
筋肉のメリハリはあと一歩だが、全体的な力感はあってダート馬らしい。
表情からは気持ちの強さも伝わってくるようで、砂を被ってもびくともしない。
Pad4star

エーシンモアオバー →馬体を見る
8歳馬とは思えない皮膚の柔らかさと毛艶で、体調自体は申し分ない。
余分な筋肉は残っているが、顔つきも素直そうで力は存分に出し切れるはず。
Pad4star

ローマンレジェンド →馬体を見る
全盛期のローマンレジェンドと同じ馬とは思えないほど、全体の形が変わっている。
能力は極めて高い馬なので、トモの肉付きが回復してくるのを待つしかない。
Pad3star

ブライトライン →馬体を見る
トモの実の入りが物足りず、ドバイ遠征帰りらしい、いかにも疲労が残っている馬体。
表情からもいつもの覇気が感じられないが、使いつつ良化していくはず。
Pad3star

| | Comments (7)

中京記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Tyukyokinen

■1■関西馬有利
過去10年間の中京記念における、関東馬、関西馬別の成績は以下のとおり。

関東馬【1・2・3・31】 連対率8%
関西馬【9・8・7・101】連対率14%

関西馬が9勝を挙げており、勝ち馬はほぼ関西馬、そして連対率も関西馬が関東馬を圧倒している。これには長距離輸送の理由があるはず。栗東トレーニングセンターから、各競馬場までの所要時間は以下のとおり。東京競馬場は約6.5時間、新潟競馬場は約7時間、小倉競馬場は約8.5時間かかるのに対し、中京競馬場は約2時間である。京都競馬場までの約1時間、阪神競馬場までの約1.5時間と近く、長距離輸送によってサラブレッドが消耗することなくレースに臨めていることが好成績を生んでいるのである。

■2■ハンデ=実力と考える
中京記念はハンデ戦であり、過去10年間の連対馬のハンデを見ると、57kg以上が10頭連対している。53~54kgの中程度のハンデ馬からは5頭連対しているが、52kg以下になってくると全馬が4着以下に惨敗している。ハンデが重いほど好走の傾向があるが、これはハンデが重いから走るのではなく、重いハンデを課せられていることは実力を認められていることを意味する。実力のある馬が、そのまま力を発揮しやすい舞台であり、ハンデ=実力と考えて狙って見ても面白い。

■3■差し、追い込み馬が有利
2012年からマイル戦で行われるようになり、より差し、追い込みが決まりやすくなった。中京1600m戦のデータは以下のとおり。

逃げ【2・1・0・8】   連対率27%
先行【2・2・3・40】  連対率9%
差し【3・4・4・42】  連対率13%
追い込み【4・4・4・41】 連対率15%

逃げ馬の連対率が高いのは当然として、先行馬よりも差し馬、差し馬よりも追い込み馬の方の勝ち星が多く、連対率も高いという珍しい傾向がある。これは中京競馬場のマイル戦は差し・追い込みが利きやすいからであろう。これまでは差して届かなかった馬たちのゴール前での大逆転が見られるレースと考えても良いかもしれない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (8)

集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第16回)

Kettounituite16ちょうど私が競馬を始めた今から25年ほど前、栗東の坂路コースにひとり立ち続けていた調教師がいた。故戸山為夫調教師。今となっては関西馬躍進の起爆剤となった栗東の坂路コースだが、その頃までは誰にも見向きもされなかったことは意外と知られていない。そもそも最初は長さが270mしかなかったのだから、当然といえば当然か(現在は1085m)。のちに渡辺栄調教師が加わり、2人は栗東坂路の名物調教師となった。「変な調教師が2人、坂路コースで何かやっている」と揶揄されたこともあったそうである。

それでも、2人は坂路調教の可能性に賭け、1日に何本も坂路を駆け上がらせて、馬を鍛えていったのであった。その結晶が、ミホノブルボンでありフジキセキである。故戸山為夫調教師が育てたミホノブルボンは、わずか700万円で取引された安馬であったが、1日に4本もの坂路調教をこなしたとされている。それゆえ、「坂路調教の申し子」と呼ばれた。たとえ血統的にはスピード優先の馬でも、鍛えて心肺機能を高めていけば距離も克服できる、という戸山為夫調教師の信念の代弁者であった。

今でも鮮明に思い出すことができる。1991年、朝日杯3歳S(現在の朝日杯フューチュリティS)でのミホノブルボンとヤマニンミラクルの火花の出るような追い比べ。ミホノブルボンは新馬→500万下と圧勝し、その勝ちっぷりと坂路コースでのハードトレが評価されて、圧倒的な1番人気に推されていた。対するヤマニンミラクルは前走で京成杯3歳Sを勝ち、4戦3勝の実績で対抗馬として評価されていた。その当時は戸山為夫調教師とミホノブルボンのマッチョさがあまり好きではなく、仕事人・田島良保騎手が乗るヤマニンミラクルの方に私は賭けていた。

ヤマニンミラクルが直線で外からミホノブルボンを追い詰めた時、「差せ!」と思わず声が出た。明らかに脚色が違い、勝ったと思いながら声援を送ったのだが、ヤマニンミラクルが並んだその瞬間、ミホノブルボンがグッとまた前に出た。そこから先は絶対に抜かせないという意志がこちらまで伝わってくるような粘り腰を見せ、ミホノブルボンがヤマニンミラクルをハナ差で制したのであった。あと少しだったのになあ、次にもう一度走ったら、今度はヤマニンミラクルが勝てるかもしれない、というのがまだ競馬を始めて2年目の私の正直な感想であった。でも、そうではなかったのだ。

「馬を信じて乗らんかい!」

朝日杯3歳Sのレース後、ミホノブルボンの鞍上の小島貞博騎手は戸山為夫調教師にこう怒鳴られた。最近では、たとえ負けてもジョッキーを責めたりする調教師は少なくなり、勝ったのにジョッキーが怒られるという話は稀だろう。故戸山為夫調教師は、ミホノブルボンを2番手に付け、綺麗な競馬をしようとした小島貞博騎手の騎乗に腹を立てたのであった。小島貞博騎手は先を見据えて折り合いをつける練習をしようと試みたのだと思うが、そのことがミホノブルボンの長所であるスピードを殺し、ヤマニンミラクルに影を踏ませることにつながってしまったのだ。坂路であれだけ鍛えているというのだからという自信が、戸山為夫調教師にはあった。

それからというもの、ミホノブルボンの小島貞博騎手は吹っ切れたように逃げた。逃げに徹したミホノブルボンは、圧倒的な強さで皐月賞とダービーを制した。1ハロン12秒のラップをどこまでも刻み続けるサイボーグのような走りに、どの馬もついていけるはずがない。皐月賞で初めてクラシックを制した時の小島貞博騎手の涙は美しい。馬を信じ、自分を信じ、調教師を信じ、あらゆる全てを信じたからこその勝利であった。そう考えると、このミホノブルボンという馬は、あらゆる人の信じるという強い気持ちが乗り移った馬であった。戸山為夫調教師はミホノブルボンがダービーを制した1年後にガンで亡くなり、小島貞博騎手も今でも戸山イズムは関西の調教師たちに受け継がれ、ミホノブルボンにたずさわった男たちの信念もこうして語り継がれてゆく。

Photo by 三浦晃一

(第17回へ続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (9)

本当に大事なことは何度でも

Jiromaru

私のツイッター上で、ナリタトップロードの菊花賞で馬券が買えなかった話(手の汗でインクが消えてしまった)を書いたところ、ちょうどその週末の土曜日に函館競馬場でスペシャルウィークとグラスワンダーのお披露目式が行われました。この2頭が一緒に姿を見せると、あの有馬記念のことを多くの競馬ファンは思い出してしまうはずです。あの有馬記念は、私にとっても、最も熱く競馬に燃えていた時代であり、1レース10万円という無謀な勝負をしていた時期でもあり、いつでも思い出してしまうレースです。

この話は何度も書いてきていますが、何度でも語りたいと思います。作家の池澤夏樹さんが、私の大好きな写真家である星野道夫さんについて、こう書きました。「彼は本当に大事なことしか言わなかった。そして本当に大事なことは何度でも言った。大切な事は何度も何度も繰り返し語られる。そうするうちに言葉が本当に魔法のように胸に沁みてくる。まるで語り部が繰り返し同じ話を語るように。まるで昔話が同じ話を繰り返してきたように。何度も何度も同じ話を聞くうちにそれが聞く者のなかで継承されていくような本当に大切なことだけを彼は語った」。私は大事なこと以外もたくさん書きますが(当たらない予想とか)、大事なことは何度も繰り返して語りたいと思います。まるで昔話を語り継ぐように。

今から15年前、1レース10万円という勝負をしていた年、私に残された最後のチャンスは有馬記念でした。当時、手取り14万円だった私にとって、1年間では返しきれないほどの借金を背負って臨んだレースでした。実は前の週のスプリンターズSでブラックホークの単勝を買っていた私は、ほんの少しだけ負債を減らし、ほんの少しだけ気が楽になっていました。もしこの有馬記念が当たれば、逆転勝利の可能性も残されていたのでした。

しかし、この年の有馬記念には、スペシャルウィークとグラスワンダーという超一流馬が2頭出走してきました。スペシャルウィークはこの秋、天皇賞秋→ジャパンカップと連勝し、最後の大一番に臨んできました。特にジャパンカップでの強さは圧巻で、さらに調子を上げて来ているとの陣営のコメントもあり、全く隙のない馬に見えました。対するグラスワンダーも、辛勝した毎日王冠から間隔を開け、この有馬記念に向けて完全に仕上げ直してきました。しかも前年の覇者でもあります。この2頭のどちらが勝利するのかが焦点であり、圧倒的な人気を分け合うのは明らかでした。

私の選択肢は2つありました。ひとつは、この2頭以外の馬を買うこと。候補として考えていたのは、3歳馬のテイエムオペラオーでした。ミスター競馬こと故野平祐二さんが「ヨーロッパの馬みたいだ」と絶賛していたほど、力強いピッチ走法で駆けるテイエムオペラオーにとって、暮れの中山の時計の掛かる馬場が合っていないはずはありません。しかし、菊花賞で僅差の2着後、ステイヤーズSを使ってまさかの2着に敗れていました。前走、G3レースで負けていた馬が有馬記念で勝つということに少々無理があるのではと感じていました。

もうひとつは、賭け金を増やすこと。スペシャルウィークもグラスワンダーも2倍台の単勝オッズでしたので、たとえ当たったとしても、1レース10万円では逆転は不可能です。詳しくは書きません(書けません)が、○○万円を賭ければチャラ、それ以上賭けて当たれば、この年の大勝負を勝って終われる計算です。悪魔のささやきが聞こえてきました。「もうここまで負けているんだから、○○万円も○○万円も変わらないよ。男なら思い切って勝負しな」と。

悩みに悩んだ末、私は後者を選びました。いや、選んだというよりは、スペシャルウィークとグラスワンダーのどちらかが勝つのが必然と思ったのです。そうなると、賭け金を増やすしかありませんよね。私は腹を決めました。あとはどちらに賭けるかです。年始から単勝のみで勝負をしてきた私にとって、2頭の馬連という結論はありえませんでした。スペシャルウィークか、それともグラスワンダーか。まさに究極の選択でした。

この時ほど、切実に未来を知りたいと思ったことはありません。もしどこかに答えがあるならば、どんな手段を用いても手に入れたい。そんな気持ちでした。まるで頭から湯気が出るような気がしました。パドックを見ては考え、返し馬を見ては考え、競馬新聞を見ては考え。スペシャルウィークで間違いないと確信した次の瞬間には、グラスワンダーが勝利するイメージが浮かびます。レースの投票が締め切られる1分前まで、私は延々と考え続けました。

今思い返してみると、実は答えなんてどこにもなかったのです。それはレースを見てもらえば分かると思います。それまでの私は、競馬のレースは何度やっても同じ結果になると考えていましたし、その結果は科学的に証明できると信じていました。ひとつのレースにはひとつの答えがあって、その答えに至るまでの過程さえ正しければ、どんなレースでも必ず勝てると公言していました。たとえハナ差であっても、そこには確実にそうなるべき理由や過程があると考えていました。恥ずかしい限りです。この薄氷を踏むような経験を通して、競馬は分からないということが分かったのでした。

競馬場の締め切りのベルが鳴って、心臓が止まりそうになりながら、マークシートにどちらの馬の番号を塗りつぶしたのか、私は10年以上にわたって誰にも話すことなく秘密にしてきたのです。正直に言うと、結局、私はどちらの馬にも賭けませんでした。グラスワンダーにもスペシャルウィークにも。ただそれだけのことです。私にはどうしても馬券を買うことができなかったのです。

それは恐れであったと思います。お金を失ってしまう恐れというよりも、もっと怖かったのは、誤った未来を選択してしまうかもしれないという恐れ。間違ってしまうことが怖かったのです。賭けなければ、少なくとも選択を誤ってしまうことはありません。それまで散々誤った選択をし、大金を失ってきたにもかかわらず、最後の最後に(最後の最後だからということもあったかもしれませんが)、間違うことや失うことが怖くなったのです。私は茫然とファンファーレを聞き、この年の有馬記念を観ました。一旦先頭に立ったテイエムオペラオーを、グラスワンダーとスペシャルウィークの2頭が交わし、同時にゴールしたシーンも、私にはまるで幻のようでした。

これほどの敗北感を味わったのは初めてでした。いや、賭けていないのですから、馬券で負けたわけではありません。見(ケン)をしたと自分に言い聞かせることもできたかもしれません。しかし、どう考えても私は完全に負けたのです。もしどちらかに賭けていたら、馬券は当たっていたかもしれませんし、外れていたかもしれません。当たっていれば多少はプラスになっていたでしょうし、外れていたらさらに借金は膨らんだはずです。それはタラレバの世界であり、賭けなかった私には生きられなかった世界です。今から思えば、どちらの選択をしていたとしても、勝っていたとしても負けていたとしても、その先の私の人生に大きく影響することはなかったと思います。今でも心に残っているのは、どちらにも賭けなかったという後悔だけです。そう、賭けることは生きることなのです。


何度見てもスペシャルウィークが差し切っているように見え、
武豊騎手がウイニングランをしてしまったのも仕方ないと思えますね。

| | Comments (5)

前駆の力強さは父譲りトウカイパラダイス:5つ☆

★函館記念
ダークシャドウ →馬体を見る
7歳馬とは思えない若々しさを保った馬体で、前走を叩いて体調はアップしている。
全盛期に比べてトモの肉付きが物足りないが、前躯は完全に戻ってきている。
Pad4star

バウンスシャッセ →馬体を見る
3歳牝馬らしく、このメンバーに入ると線の細さが目立ち、パワー不足は明らか。
立ち姿に力みはなく、気性も素直で、安定して能力を発揮するタイプであろう。
Pad3star

ナカヤマナイト →馬体を見る
休み明けとしては毛艶もよく、きっちり仕上がっていて、いきなりでも力を出せる。
前駆が勝っているタイプで、そういった意味では、平坦の洋芝は合うはず。
Pad4star

アンコイルド →馬体を見る
特に前駆が強く、首から肩にかけて筋肉が盛り上がり、いかにもパワータイプ。
とはいえ、あばらが見えすぎているように、胴部はガレ気味で、ギスギスしている。
Pad3star

トウカイパラダイス →馬体を見る
手脚が長く、ゴールドアリュール産駒らしからぬ、ステイヤータイプの馬体を誇る。
細身の馬体ではあるが、前駆の力強さは父譲りで、洋芝を苦にしないはず。
Pad5star

グランデッツァ →馬体を見る
前駆は相変わらず力強いが、それに比べて後躯の肉付きが物足りなく映る。
表情から気性の難しさが伝わってくるし、尾がやや短く、全体のバランスもあと一歩。
Pad3star

アドマイヤタイシ →馬体を見る
コンパクトにまとまっていて、胴部もコロンとして、距離は2000mがベスト。
毛艶は良いが、もうひと絞りできそうな馬体で、それが最後の詰めとしてどうでるか。
Pad4star

ラブイズブーシェ →馬体を見る
このメンバーに入ると線が細く映るが、ステイヤーらしく、距離短縮はマイナス。
決してパワーがあるタイプではなく、力を要する洋芝に対する適性も疑問あり。
Pad3star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (7)

函館記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatekinen

■1■上がり馬が狙い目
G1       【0・2・2・14】 連対率11%
G2       【2・0・2・10】 連対率14%
G3       【3・0・2・26】 連対率7%
オープン特別 【8・11・4・71】 連対率20%
条件戦    【0・0・3・10】 連対率0%

過去13年で前走がG2レースから2頭、G3レースから3頭、オープン特別から8頭の勝ち馬が出ているように、これまでに実績のある馬ではなく、この夏に力を付けてきた(調子を上げてきた)馬が狙い目である。また、前走がオープン特別であった連対馬19頭中、16頭が巴賞出走馬である。函館記念1本に狙いを定めてきた上がり馬に注目すべき。

■2■2000m以上のスタミナが必要
トニービン、ニジンスキー、ノーザンダンサーなどの血を引く馬たちが活躍しているように、函館競馬場独特の洋芝によって、パワーはもちろんのこと、字ヅラ以上のスタミナが必要とされる。また、速い上がりが求められるレースになることはほとんどないので、瞬発力勝負では分が悪かった馬の巻き返しにも期待したい。

■3■内を通って差を詰めることの出来る差し馬
12.3-11.2-11.7-12.1-12.1-12.1-12.3-12.4-12.2-12.2(59.4-61.2)H
12.8-11.2-11.8-12.4-12.5-12.2-12.1-11.9-11.8-12.0(60.7-60.0)M
12.6-11.3-11.6-12.4-12.6-12.8-12.4-13.0-13.0-13.4(60.5-64.6)H
12.6-11.8-12.7-13.0-12.9-11.9-12.0-11.9-11.7-12.3(63.0-59.8)S
12.2-11.2-11.4-12.1-12.1-12.4-12.0-12.1-12.1-12.7(59.0-61.3)H
12.4-11.6-12.1-12.4-12.3-12.3-12.0-11.7-11.5-12.3(60.8-59.8)S 札幌競馬場
12.3-11.0-11.2-11.5-11.8-12.1-12.6-12.4-11.4-12.2(57.8-60.7)H
12.2-11.0-11.5-12.2-12.8-12.4-12.3-12.0-11.8-12.1(59.7-60.6)M
12.5-10.8-11.6-12.0-12.2-12.4-12.4-12.3-11.8-12.4(59.1-61.3)H
12.2-11.0-11.7-11.8-12.1-12.1-12.0-12.0-11.6-12.1(58.8-59.8)H

過去10年間のラップ構成を見ると、毎年異なった展開で流れていることが分かる。そのため、レースレベル自体は違ってくるのだが、前半が遅く流れた場合は、3コーナー手前から速くなりやすい傾向は毎年同様である。ジョッキーが262mと短い直線を意識するため、向こう正面から既に動き出すからである。そのため、ペースや競馬場のコース形態のわりには逃げ馬が残りにくく、先行馬、そしてさらに、内を通って差を詰めることの出来る差し馬にとって有利なレースになる。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (8)

集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第15回)

Kettounituite15

もうひとつ、ビワハヤヒデとナリタブライアンの強さの秘密として、血統的なニックスがあった。ニックスとは、サラブレッドを生産する上で、優秀な競走馬が生まれる可能性が高い配合ということである。もう少し分かりやすく説明すると、相性の良い血統的な組み合わせということ。ちょうどこの時期に発売された「ダービースタリオン2」において、ニックスの概念が用いられるようになり、競馬ファンのみならず、一般のプレイヤーの間にも、その概念は浸透していった。

ビワハヤヒデは、父シャルードがグレイソブリン系、そして母パシフィカスはノーザンダンサー系であり、「ノーザンダンサー系牝馬×グレイソブリン系の種牡馬」というニックスになる。同世代のライバルでありダービー馬のウイニングチケットも、父トニービン、母父がマルゼンスキーという、「ノーザンダンサー系牝馬×グレイソブリン系の種牡馬」というニックス配合であった。クラシックを争った3強のうちの2頭が同じ組み合わせの配合だったことは決して偶然ではないだろう。

ナリタブライアンは、父ブライアンズタイムがロベルト系である。もう少し遡っていくと、ロベルトの父はヘルトゥリーズン(系)であり、その父はターントゥ(系)である。「ノーザンダンサー系牝馬×ロベルト系の種牡馬」というニックスであり、このニックスもたとえばライスシャワーに見られる。ライスシャワーの父はロベルト系のリアルシャダイであり、母の父はノーザンダンサー系のマルゼンスキーである。ナリタブライアンもライスシャワーも共に菊花賞を制しているように、同じニックスでも、「ノーザンダンサー系牝馬×グレイソブリン系の種牡馬」よりもややスタミナ寄りに出ている。

なぜビワハヤヒデとナリタブライアンの強さの秘密が母父ノーザンダンサーだけによるものではないかというと、母パシフィカスが生んだ他の仔たちに理由がある。実はパシフィカスがイギリスに残してきた3頭の産駒がいて、最初の仔はネアルコ系の種牡馬ハイトップであったが7戦1勝、第2子はボナビスタ系のドミニオンで46戦3勝、第3子はハイぺリオン系のプレコシアスで24戦3勝という成績であり、いずれも振るわなかった。当時の日本とイギリスの競馬のレベルの違い、種牡馬のランクの違いなどは考慮に入れても、あまりにも産駒の出来が違いすぎるのだ。

ニックスは時代によって異なることもあるし、国によって異なることもある。歳月の経過によって求められる資質が移り変わればニックスも変化し、各国の競馬で求められている資質が違う以上、ニックスも異なって当然である。

たとえば、かつては「ノーザンダンサー系の種牡馬にターントゥ系の繁殖牝馬」というのが世界の潮流であったが(このニックスから誕生した名馬にサドラーズウェルズ、ダンシングブレーヴ、ロドリゴデトリアーノ、トリプティックなど)、今は時代が移り変わって、「ノーザンダンサー系の繁殖牝馬にターントゥ系の種牡馬」という組み合わせから日本でも多くの名馬が誕生した。

最近でいうと、ステイゴールド×父メジロマックイーンを持つ繁殖牝馬などもニックスのひとつであろう。血液型の相性と同じく、科学的な根拠には乏しいのだが、これだけ多くのパターンから相性の良い組み合わせが如実に浮かび上がってくる以上、たしかにニックスというものは存在する。それは片方の系におけるスタミナ不足をもう一方の系が補うといった簡単なことから、ステイゴールド×母父メジロマックイーンのように、ステイゴールドの激しい気性をメジロマックイーンの血を引いた繁殖牝馬の寛容さが中和するといった働きもある。ニックスひとつをとっても、血統の奥深さと難しさを知ることができることを、ビワハヤヒデとナリタブライアンの兄弟の活躍は教えてくれたのである。

Photo by 三浦晃一

(第16回へ続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (10)

函館2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodate2s

■1■ますます牝馬が有利に
牡馬・せん馬 【3・4・5・66】連対率9%
牝馬      【7・6・5・45】連対率21%

パワーとスタミナを要求される洋芝100%の函館競馬場は、開催が進み、馬場が傷むことによって、ますますその傾向は強くなっていく。しかし、2011年までは8月上旬に開催されていたが、2012年から3週間繰り上がって7月となった。函館戦が開幕して8週目であったのが5週目となり、馬場の痛みが少ない状態で行なわれるようになるため、これまで以上にスピードと完成度に優る牝馬が活躍する舞台となるだろう。

■2■1番人気は危険!?
1番人気は過去10年で【2・3・1・4】と、2着こそあれ、さほど勝ち切れていない。函館開催当初に、新馬戦を好タイムで圧勝したスピード馬が1番人気になるからである。上にも書いたように、開催が進むにつれ、素軽いスピードだけではなく、パワーとスタミナも問われる馬場へと変貌する。これによって、スピードを武器に圧勝して1番人気に祭り上げられた馬は苦戦するのだ。ただ、開催が早まったことにより、スピードと完成度の高い馬が勝利する可能性は高まったのも事実。

また、ラベンダー賞を勝った馬も人気に祭り上げられることがあるが、よほど早熟でない限り、この時点で2戦、しかも2勝しているということは、ローテーション的に余力が残っていない可能性が十分に考えられる。ラベンダー賞と函館2歳Sを連勝した馬が地方馬に偏っているのは、身体に負担の掛かりにくいダートを走ってきたからであろう。中央で芝のレースを2戦使ってきた馬は疑ってかかるべき。

■3■外枠有利
函館1200mはスタートから第1コーナーである3コーナーまでの距離が長いため、内枠と外枠での有利不利はほとんどない。あえて挙げるとすれば、開催が進むにつれ、内の方の馬場が悪くなってきているケースが多いので、馬場の良いところを走ることが出来る外枠を引いた馬が有利か。

また、キャリアわずか1、2戦の馬たちによる争いとなるため、馬群の中で揉まれてしまうよりは、多少のコースロスがあろうとも、馬群の外をゆったりと走られる方が力を出し切ることが出来るだろう。そういった意味においても、外枠からスムーズにレースを進められた馬が有利となる。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

週刊「競馬ブック」にて、vol.4を紹介していただきました。

Keibabook

週刊「競馬ブック」にて、「ROUNDERS」vol.4を紹介していただきました。これで創刊号からの全号を掲載してもらったことになり、本当にありがたく思います。さらにvol.4においては、数多くのサラブレッドの立ち写真を提供していただきました。もし立ち写真がなかったら、サラブレッドの馬体を見ることにこだわった今回の特集は色あせてしまっていたことでしょう。そういった意味においても、感謝以外の言葉が見当たりません。

「競馬ブック」の今週号には、宝塚記念をゴールドシップで勝った横山典弘騎手のインタビューが掲載されています。平松さとしさんの筆によるもので、横山典弘騎手の人物像を描きつつ、相変わらず深いインタビューになっています。宝塚記念におけるゴールドシップの返し馬について、横山典弘騎手はこう語ります。

「歩かせた後、止まるように合図をしたらしっかり止まってくれた」

「ガーッとすっ飛んでいかなかった。それで充分」

私たち競馬ファンはパドックを中心に馬を観るが、騎手の仕事はパドックよりも返し馬にあります。パドックから地下馬道を通って馬場に入場し、(特にG1レースともなると溢れんばかりの観衆の前で)スムーズに返し馬に入らせるのは案外難しいのです。厩務員さんが手綱を離すと飛んで行くようにスタンド前から逃げようとする馬もいて、騎手としては、興奮している馬をとりあえず行かせてしまった方が楽な場合もあります。そこを横山典弘騎手は妥協せず、馬を一旦止めることにこだわります。それはパートナーとコンタクトを取るための儀式のようなものであると言います。そのような視点で各ジョッキーの返し馬を観るのもまた面白いですね。

「自分は何もしていない。良いタイミングで乗せてもらっただけで、今回のゴールドシップなら誰が乗っても勝てていたと思う」

「自分は調教で3回乗っただけ。たった3回乗っただけ。競馬は馬場状態とか枠順の後押しもあって勝たせてもらった。自分としては本当に何もしていないんだ」

どちらも宝塚記念におけるゴールドシップでの勝利に対する横山騎手の弁だが、彼は決して謙遜しているわけではなく、本心でこう語っているのでしょう。そして、心のどこかに、ゴールドシップの主戦ジョッキーであった内田博幸騎手に対する配慮も含まれているのではないでしょうか。内田博幸騎手がミスをしたのでもなく、乗り方に問題があったわけでもない。ゴールドシップの手が合わなくなったのでもない。負けたレースに関しては、(ほとんどはゴールドシップの精神的な問題ですが)それぞれに理由や敗因があったのです。それを横山典弘騎手は分かっているからこそ、自分は何もしていないという言葉が出てきたのです。飾らず、偽りのない、素直な言葉だと思います。インタビュー全文は、ぜひ「競馬ブック」にて読んでみてください。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

完璧な仕上がりで臨むマイネルラクリマ:5つ☆

★プロキオンS
ベストウォリアー →馬体を見る
筋肉量が多く、胴部が詰まっているので、距離適性はマイル以下か。
表情からは気性の難しさが伝わってくるので、スムーズなレースができるかどうか。
Pad3star

シルクフォーチュン →馬体を見る
8歳になっても、筋肉の強さは相変わらずで、量ではなく質の筋肉を誇る。
父ゴールドアリュールの産駒らしく、前駆が強いが、後躯には物足りなさも。
Pad3star

ノーザンリバー →馬体を見る
胴部には十分な長さがあるが、巻き上がって見えるように、後躯には課題あり。
首から前駆にかけての造りは素晴らしく、いかにもダート向きの馬体。
Pad3star

キョウワダッフィー →馬体を見る
リラックスした立ち姿ではあるが、やや背中が下がって見えるように力強さに欠ける。
毛艶は良く、表情からは素直さが伝わってくるので、安定して力を出し切れるはず。
Pad4star

ゴールスキー →馬体を見る
池江厩舎の馬らしく、7歳になっても瑞々しい筋肉が豊富について、非常に力強い。
とはいえ、全体のバランスを考えると、トモの肉付きに若干の物足りなさがある。
Pad3star

ダノンカモン →馬体を見る
この馬も8歳馬とは思えない若々しい馬体を誇るが、前駆が勝っている馬体。
耳をこちらに向けているように、集中できない面は若い頃から変わっていない。
Pad3star

★七夕賞
コスモバルバラ →馬体を見る
毛艶も良く、あばら骨も見えるように、仕上がり自体はほぼ満点に近い。
牝馬らしくやや線の細さがあり、力の要る馬場でどこまで力を発揮できるか。
Pad3star

マイネルラクリマ →馬体を見る
前後のバランスが良く、筋肉にもメリハリがあり、柔らかみも伝わってくる。
力強い中にもリラックスした立ち姿で、この馬としては完璧な仕上がりで臨む。
Pad5star

ダイワファルコン →馬体を見る
背垂れに映るのは父ジャングルポケットからの遺伝であり、特に問題はない。
むしろ7歳馬にして皮膚の薄さが伝わってくる馬体には、衰えを全く感じない。
Pad4star

ラブリーデイ →馬体を見る
あとひと絞りできそうな、余裕のある馬体だが、リフレッシュされた。
重厚な血統からくる重厚な馬体で、小回りの福島コースが合うかどうか。
Pad4star

ダコール →馬体を見る
かつてほどの力強いトモのつくりがなくなり、今では線の細ささえ感じさせる。
好調時には遠く及ばない馬体で、良くなるのはもう少し時間がかかるはず。
Pad3star

アドマイヤブルー →馬体を見る
ガレているのかと見まがうぐらい、馬体には細さが目立ち、力強さは感じない。
胴部には長さがあるので、スタミナ勝負になれば、この馬の台頭もあるか。
Pad3star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第14回)

Kettounituite14_2ビワハヤヒデとナリタブライアンは兄弟であったにもかかわらず、似ても似つかない馬であった。強いという点においては同じであったが、その強さの質やそれ以外の毛色や顔つき、馬体、気性などあらゆる面において、全く違う個性を持った馬同士であった。それまでの私は、血統同士の比較をしたことがなかったのであまり気にしていなかったが、父(種牡馬)が変わるだけで、こんなにも違った個性を持つ馬が誕生することに驚いた。そして何よりも驚かされたのは、同じ母から(しかも2年連続で)、超一流馬が2頭生まれたということであった。

ビワハヤヒデとナリタブライアンの強さの秘密として、血統的に2つの要素が見事に絡み合ったものと考えることができる。ひとつは、母の父の影響である。パシフィカスの父であるノーザンダンサーの血の強力さということだ。もちろん、シャルードもブライアンズタイムも素晴らしい種牡馬であるが、ビワハヤヒデとナリタブライアンに共通しているのは母であり、母系である。パシフィカス自身は、イギリスで3~4歳時を走って11戦2勝と、競走馬としては目立った成績を収められなかっただけに、その母系の最も近いところにあるノーザンダンサーに目を引かれるのは当然である。

ノーザンダンサーは、ヨーロッパでもなくアメリカでもない、カナダの生産馬であった。馬産家として有名なE・P・テイラーによって配合されたものであり、さすがかなり用意周到に、目的を持って配合がなされている。父二―アクティックは、イギリスのセリ市で購入したレディアンジェラ(父ハイハイぺリオン)にネアルコを2度かけてうまれた2頭目の産駒であった。母ナタルマ(父ネイティブダンサー)はアメリカのセリ市で購入された良血であり、ケンタッキーオークスを目指すほど能力も高かったが、骨折を機に早めに繁殖に上げられた。カナダの馬産家ではあるが、世界中から優秀な血を集めてきていることが分かる。カナダ国内だけの血で強いサラブレッドをつくろうとしたこともあったが挫折を味わい、ヨーロッパやアメリカに目を向けるようになったsその結実が、E・P・テイラーにとってのノーザンダンサーであった。

ノーザンダンサー自身は、2歳時はカナダで、3歳時はアメリカの競馬場で走った。ケンタッキーダービーとプリークネスSを連勝し、3冠に王手をかけたが、最後の1冠ベルモントSは距離が長く3着に失速してしまった。競走馬としても能力の高さを証明したが、ノーザンダンサーの凄さはやはり種牡馬になってからの活躍である。産駒が走り始めた1996年以降、瞬く間に世界の競馬の血統に影響を及ぼし、ニジンスキー、リファール、ノーザンテースト、ビーマイゲスト、ザミンストレル、ダンチヒ、ヌレイエフ、サドラーズウェルズといった後継種牡馬としても活躍した産駒たちの力によって、世界の血統を完全に支配下におさめるようになった。イギリス競馬界の大オーナーであったロバート・サングスターいわく、「種牡馬にはふたつのタイプがある。つまりノーザンダンサーとそれ以外である」。それぐらい、ノーザンダンサーの血を直接に引いていることは、この時代において世界的に価値が高かったのだ。

ナリタブライアンがクラシックを席巻した1994年の春シーズン、イギリス、フランス、アイルランド、アメリカ、日本という5ヶ国で行われた13のビッグレースのうち、6レースを制したのはノーザンダンサー系の種牡馬の産駒であり、残る7レースのうちの5レースを制したのはノーザンダンサー計の繁殖牝馬の仔であった。つまり、ノーザンダンサーの血を持っていないビッグレースの勝ち馬はたった2頭しかいなかったということになる。そのノーザンダンサーを直接父に持つパシフィカスの仔であるビワハヤヒデとナリタブライアンの兄弟がブレイクしたのは、世界の競馬の潮流の中でも、当然と言えば当然の結果だったのである。

Photo by 三浦晃一

(第15回へ続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

プロキオンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Prokions

■1■1番人気が圧倒的に強い
過去12年間で1番人気は【3・4・5・0】と連対率58%、複勝率100%という圧倒的強さを誇る。これはが実績馬に有利な別定戦であることが最大の理由である。だからといって1番人気を買えばよいというのは早計で、実績馬がそれほど重い斤量を背負わされないため、力のある馬が順当に勝つというのが本当の意味である。

■2■結局のところ前に行った馬にとって有利なレース
12.0-10.3-11.1-12.1-12.3-12.5-12.7(33.4-37.5)H
12.3-10.5-11.5-12.0-11.8-11.6-12.6(34.3-36.0)H
12.2-10.6-11.1-11.7-11.9-12.1-12.3(33.9-36.3)H
12.0-11.0-11.5-11.7-11.6-12.0-12.2(34.5-35.8)H
12.3-10.1-11.0-11.9-12.1-12.4-12.9(33.4-37.4)H
12.0-11.0-11.6-11.8-11.6-11.7-12.3(34.6-35.6)H
12.3-10.8-11.5-11.8-12.1-11.8-12.4(34.6-36.3)H
12.1-10.9-11.4-12.1-12.0-11.4-11.9(34.4-35.3)M
12.0-10.7-11.3-11.6-11.5-11.9-13.6(34.0-37.0)H
12.1-11.0-11.0-11.5-12.0-11.8-12.5(34.1-36.3)H

過去10年のうち、阪神ダート1400mで行なわれた7レースは、ほぼ例外なくハイペースに流れていて、前に行く馬にとってはかなり厳しいレースとなっていた。なぜなら、阪神1400mダートコース(内回り)の最後の直線は352mと短く、前に行った馬にとって有利という意識がジョッキーに共通に働くため、どの馬もとにかく前に行きたがるからである。それでも先行馬が活躍していたのは、最後の直線が短いからである。後ろから行く馬向きの展開になるにもかかわらず、意外と直線が短くて差し切れないという現象が起こっていた。この傾向は2012年から行なわれている中京ダート1400mコースでも変わらず、ハイペースにはなっても、結局のところ前に行った馬にとって有利なレースになる。

■3■外枠がやや有利
中京ダート1400mコースはスタート地点が芝となっていて、外枠から走る馬の方が芝を走る距離が長い。そのため、外枠に入った馬(特に先行馬)は、内枠に入った馬に比べ、スピードに乗りやすいという利点が生じる。先行・差し馬向きのレースと前述したが、特に外枠に入った先行馬には要注意である。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

七夕賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tanabata

■1■上がり時計不問
12.8-11.4-12.1-12.5-12.6-12.3-11.6-11.6-12.2-12.6(61.4-60.3)S 
上がり3ハロン36秒4
12.5-11.2-11.6-11.4-11.9-12.0-12.5-12.5-12.3-12.5(58.6-61.8)H 
上がり3ハロン37秒3
12.4-11.5-11.8-11.6-11.7-11.7-11.8-12.0-12.1-12.7(59.0-60.3)H 
上がり3ハロン36秒8
12.3-11.1-12.1-12.2-12.1-11.9-12.0-12.0-12.1-12.5(59.8-60.5)M 
上がり3ハロン36秒6
12.5-11.3-11.9-12.1-12.5-12.0-11.7-11.9-11.7-12.2(60.3-59.5)M 
上がり3ハロン35秒8
12.5-11.5-12.2-12.3-12.6-12.0-11.8-11.7-11.3-12.3(61.1-59.1)S 
上がり3ハロン35秒3
12.5-11.4-12.1-12.2-12.8-12.0-11.7-11.8-12.0-11.9(61.0-59.4)S
上がり3ハロン35秒7
12.3-11.1-12.4-12.4-13.2-12.0-11.7-11.5-11.7-12.2(61.4-59.1)S
上がり3ハロン35秒4
12.3-11.2-12.0-12.3-12.5-12.4-11.8-12.0-12.2-12.4(60.3-60.8)M
上がり3ハロン36秒6
12.1-10.7-10.9-12.3-12.6-12.3-12.1-12.1-11.7-12.1(
上がり3ハロン35秒9

最近はスローに流れる競馬が多く、上がりが速くなる傾向が出てきているが、それ以前は上がりが35秒を切るレースの方が圧倒的に少なかった。馬場の劣化と、息の入らないペースによって、上がり時計が不問になりやすい。軽い瞬発力ではなく、その対極にある、パワーとスピードの持続力が求められるレースである。当然のことながら、こういう上がり時計不問のレースでは前に行った馬が有利になる。

■2■マイラーでもステイヤーでも厳しい
直線の短い小回りコースということもあって、スタート直後からガンガン飛ばしていく速い流れになりやすく、最後は底力の勝負になり、豊富なスタミナが要求される。そのため、純粋なマイラーにとっては厳しいレースとなる。かといって、ステイヤーに向くかというとそうでもなく、ステイヤーは道中の速く厳しい流れに戸惑ってしまうことになる。どちらかに偏っていない、中距離馬を狙い打つべきである。

■3■ハンデがハンデにならない!?
斤量         成績       連対率
51kg以下     【0・0・0・12】   0%
52kg        【2・0・0・10】  17%
53kg        【1・2・1・13】  18%
54kg        【0・1・1・21】   4%
55kg        【1・2・5・18】   12%
56kg        【1・2・2・22】   11%
57kg        【4・1・1・13】   26%
57.5kg以上   【1・2・1・8】   25%

ハンデ戦にもかかわらず、ハンデが重くなるにしたがって連対率が上がる傾向がある。そして、勝ち馬は55kg~57kgのゾーンに集中している。ハンデキャパ―に評価された実力馬が、そのまま素直に力を発揮して結果を出す舞台と考えてよい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第13回)

Kettounituite13

ビワハヤヒデが突然変異の馬ではなかったことは、それからしばらくして証明されることになった。ブライアンズタイムを父に持つ弟のナリタブライアンが、兄をも凌ぐ活躍を見せ始めたのだ。朝日杯3歳S(現在の朝日杯フューチュリティS)を圧勝して頭角を現したと思いきや、翌年は皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制して3冠馬となったばかりか、暮れの有馬記念では古馬をも一蹴してしまう強さであった。ナリタブライアンが勝ったレースはどれも強烈だったが、特に衝撃を受けたのは皐月賞であった。

12.2 - 11.1 - 11.5 - 12.2 - 11.8 - 11.9 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 12.0(58.8-60.2) 1:59.0

逃げたサクラエイコウオーをアイネスサウザーとメルシーステージが追いかけ、その直後の内をナリタブライアンは追走した。上のラップを見てもらえば分かるように、あきらかに淀みのないハイペースを、ナリタブライアンと鞍上の南井克巳騎手は迷うことなく先行したのだ。最後の直線に向くまでは強引にも思えた騎乗だったが、そこからさらに突き放した走りを見て、底知れぬ強さを感じたのは私だけではなかったはず。

ナリタブライアンの主戦であった南井克巳騎手は、その追ってから体の前部分が沈み込んでゆく走りをオグリキャップのそれと似ているとし、これまでの馬とは違うと語った。野平祐二氏も、皐月賞は「大人と子供の戦い」、日本ダービーは「1頭だけ次元が違う」と評し、自らが育てたシンボリルドルフと比較して、「現時点ではルドルフよりも上」と絶賛した。

私は兄ビワハヤヒデの方が好みのタイプであり、同世代のナムラコクオーに少しばかりの思い入れもあり、そして何よりも、同世代の牝馬に愛すべきヒシアマゾンがいたこともあって、ナリタブライアンに対しては、強すぎて応援する気にならないという感情を当時は抱いていた。どうにかして上の3頭でナリタブライアンを負かすことはできないだろうかと想像を膨らませ、友人らと語ってみたりもしたが、本音を言えば、ナリタブライアンの強さには隙がなかった。展開や距離や馬場、枠順の内外など、些細なことに思えるほどに、走る能力において他馬を凌駕していたのであった。

ナリタブライアンに対する私の認識が180度変わったのは、彼が引退してからのことだ。内国産馬としては史上最高額の20億7000万円でシンジケートが組まれ、種牡馬としても順風満帆なスタートを切ったかと思いきや、翌年(1998年)に疝痛を起こし、腸閉塞を発症していることが判明した。いったんは快方にむかったものの、再び疝痛を起こし、診療センターに運び込まれた際にはすでに胃破裂を起こしており、開腹手術を行うもすでに手遅れて安楽死の処分が取られてしまったのだ。あまりにも突然な、早すぎる死であった。

新冠町のCBスタッドの場長であった佐々木功氏の「我慢強い馬で頑張り屋だから、痛くても無理をしていたのかもしれない」という言葉を聞いたとき、私ははっと理解したのだ。その圧倒的な強さに覆われて気がつかなかったが、ナリタブライアンは繊細な馬だったのだと。そういえば、あのトレードマークであったシャドーロールも、自分の影を気にする臆病なナリタブライアンが走りに集中できるように装着されたそうである。サラブレッドとして走る資質の高さゆえに、周りの人間から大いなる期待を一身に受け、厳しいトレーニングを課され、極限のプレッシャーと戦っていたに違いない。ほとんどのサラブレッドは胃潰瘍があると言われるが、ナリタブライアンの場合はその強さとは裏腹な繊細さゆえにストレスを溜めこみ、現役晩年には股関節炎や屈腱炎という形で表出し、引退してからは腸閉塞や胃破裂という病につながったのかもしれない。ターフで輝いているように見えたナリタブライアンは本当に幸せだったのだろうか、今でも分からない。

Photo by 三浦晃一

(第14回へ続く→)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

パワー勝負も望むところミヤジジャスパー:5つ☆

★CBC賞
ルナフォンターナ →馬体を見る
立ち姿に力みがなく、前後のバランスも良く、コンパクトにまとまっている。
迫力という点ではあと一歩だが、顔つきからは気性の良さが伝わってくる。
Pad4star

トーホウアマポーラ →馬体を見る
やや腹回りに余裕はあるが、毛艶は良く、特に前駆の盛り上がりが素晴らしい。
気性の激しそうな表情はスプリンターらしく、スムーズに走ることができれば。
Pad3star

マヤノリュウジン →馬体を見る
胴部と手足が長く、距離はマイルぐらいまで延びても問題なさそう。
筋肉のメリハリという点では、年齢的なものもあってか、物足りなさが残る。
Pad3star

ベルカント →馬体を見る
若駒らしく、他の古馬と比べると線の細さが目立つが、筋肉の質はフレッシュ。
顔つきから激しさが伝わってくるため、この馬も自分の型に持ち込めるかどうか。
Pad3star

スギノエンデバー →馬体を見る
コロンとした体型はいかにもスプリンターらしく、パワー勝負も望むところ。
年齢的に腹回りに余分な肉が付いている分、完璧な仕上がりとは言えない。
Pad3star

エピセアローム →馬体を見る
馬体だけを見ると、各パーツに伸びがあって、とても短距離馬とは思えない。
美しいシルエットは相変わらずだが、全盛期ほどのメリハリがないのも事実。
Pad4star

★ラジオNIKKEI賞
クラリティシチ― →馬体を見る
キングカメハメハ産駒らしく、筋肉量が豊富で、パワータイプの馬体を誇る。
もうひと絞りできれば、全体的なメリハリも増して、仕上がってくるはず。
Pad3star

ショウナンワダチ →馬体を見る
筋肉量は落ちていないが、立ち姿に力強さがなく、絶好調とまでは言えない。
全体的に黒っぽく見えるように、毛艶は素晴らしく、筋肉には柔らかみがある。
Pad3star

ピオネロ →馬体を見る
特に前駆には筋肉が詰まっていて、馬体全体から力強さが伝わってくる。
胴部は短く詰まっているので、スタミナが心配であり、気性の難しさも抱えている。
Pad3star

ミヤビジャスパー →馬体を見る
アドマイヤムーン産駒にしては胴部や手足が長く、母父の影響が出ているのだろう。
とはいえ、前後躯にはしっかり実が入っていて、パワー勝負も望むところ。
Pad5star

| | Comments (0)

「うまレター」7月号にエッセイを書きました。

Umaletteressay

「うまレター」7月号にて、エッセイを書かせていただきました。「ケイバノミカタ うまレターリレーエッセイ」ということで、5月号の原良馬さん、6月号の守永真彩さんからのバトンを受け取り、次の走者へと良い形で渡さなければなりません。テーマは自由ということで、これが逆に難しく、いちど書き上げた原稿を完全に没にして、再度書き直したものがこの「競馬場に来てくれて、ありがとう」です。私にとっては久しぶりに、競馬に対する愛情をストレートに書いた、ど真ん中、直球勝負の内容になっています。

「うまレター」は競馬場やウインズ等で配布されているフリーペーパーです。執筆陣も実力派ばかりで、中央競馬から地方競馬まで網羅されており、とても無料とは思えない充実した内容になっています。7月号はアスカクリチャンの生まれたつつみ牧場を訪ねる企画、函館記念を勝ったワコーチカコ(右回りコースに強かったなあ)にまつわる小説、プレイアンドリアルの挑戦を描いたドキュメント連載、種牡馬になったネヴァブションの紹介、そして「幻の馬」と呼ばれたトキノミノルと作家・吉屋信子さんの話など満載です。

特に、プレイアンドリアルが日本ダービーに出走できなかったことについて、岡田繁幸さんの放った言葉が熱いです。

「記者会見で橋口調教師さんが『ラストチャンスに近いので切羽詰ってる』と表現されていましたけども、このレースを目標にして、ずっと人生賭けてきましたので、僕も同じ気持ちですね。チャンスはもうそんなに残されていませんので」

トキノミノルが日本ダービーを勝って17日後にこの世を去ったことについて、作家・吉屋信子さんの表現もまた素晴らしい。

「トキノミノルは天から降りて来た幻の馬だ。競馬界最高の記録をうちたて、馬主にこの上ない栄光を与えたまま天に帰って行った。強く後世まで印象に残るだろう」

勝っても負けても、日本ダービーにはさまざまなドラマがあるのですね。

最後に、「うまレター」の素晴らしいところは、北海道ではありとあらゆる場所で手に入ることではないでしょうか。公共の施設やAIBA(ばんえい競馬のウインズ)にも置いてあります。中央の競馬場やウインズにいると何気なく手に取って、レーシングプログラムと同じような感覚でさっと読んでしまいますが、北海道の周りに何もない地域に赴いたとき、「うまレター」を見つけたときの喜びといったらありません。砂漠を歩いている途中で井戸を見つけたときのように、貪るようにして読んでしまいます。皆さんも競馬場やウインズで「うまレター」を見つけ、手に取って、ぜひ読んでみてください。

Umaletterimg

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

「黄金の旅路」人知を超えた馬・ステイゴールドの物語

Ougonnotabiji

ずっとこういう本を待っていた気がする。今から20年前、書店で手を伸ばせばこうした競馬本を掴むことができ、つまらない大学の講義中に貪るようにして読んだ記憶が蘇り、久しぶりに最後まで一気に読んでしまった。馬事文化賞を獲るために書かれたのではなく、競馬界の裏側を暴くようなゴシップでもなく、人気騎手に便乗して売らんとするでもなく、ただひたすら誠実に、関係者へのインタビューと綿密な取材を通し、競馬の魅力を紡いだ本である

前半部分は、私自身の記憶を辿りながら読んだ。ステイゴールドが現役で走っていたのは、1996年から2001年にかけて。競馬の最盛期と言ってもよい。興行的にも頂点に達し、日本競馬のレベルが急激に上がった時期と重なる。メジロブライト、サイレンススズカ、エアグルーヴ、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイ、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、メイショウドトウ、アグネスデジタル、ジャングルポケットなどなど、ステイゴールドが鎬を削った面々を見ると、この時代の凄まじさが分かるj。

ブロンズコレクターと呼ばれていたように、ステイゴールドは50戦して勝ったのは7回だったのに対し、2着が12回、3着が8回という典型的な勝ち切れない馬であった。相手がどれだけ強くても、または弱くても、少しだけ負けてしまう。それには様々な理由があるのだが、そのひとつとして、左、左へとヨレてしまい、前へ進まなくなってしまう癖があった。ラチを頼らせて走らせてみたり、制御力の強いハミを使ってみたりしたが、結局大きな変化はなかった。そこで、当時ステイゴールドの調教助手を務めていた池江泰寿(現調教師)は、英国のM・スタウト厩舎で研修した時代に学んだことを思い出したという。

「同じレベルの能力を持つ馬がレースで戦ったら、従順な馬のほうが先着する。要は能力が互角なら、乗りやすい馬のほうが強いというわけです。だから普段の調教では、トレーニングによって肉体を鍛える、心肺機能を強化するという目的もさることながら、人間との主従関係をしっかりと築いて、従順でコントロールのしやすい馬に育てていくことも大事なんだよと教わりました」

そこで池江調教助手は、調教のやり方、馬との接し方を変えてみた。それまでは人間と馬の主従関係が崩れて、「こうしたい」というステイゴールドの意志に人間が屈してしまっていたところを、あえてステイゴールドに「こうなってもらいたい」という人間の意志を伝えたのだという。これがステイゴールドにとっての引退レースであり、初めてのG1タイトルを獲得したレースでもある香港ヴァーズにおける勝利につながっていったのだ。改めてステイゴールドという馬の道程を振り返ってみると、サラブレッドをレースで勝たせることの難しさが手に取るように伝わってくる。

後半部分におけるステイゴールドの種牡馬としての活躍や母父メジロマックイーンとの黄金配合のエピソードも面白い。まさか小柄な馬体で見栄えはせず、レースでもなかなか勝てなかったステイゴールドから、オルフェ―ヴルやナカヤマフェスタ、フェノーメノ、ゴールドシップといった超一流馬が誕生するとは誰が想像しただろうか。さらに言うと、ステイゴールドがディープインパクトやハーツクライと違うのは、種牡馬として、自身を超える産駒を誕生させていること。まさに人知を超えた馬なのである。そういったステイゴールドの魅力であり、競馬の魅力を、社台グループの吉田照哉氏はこう語っている。

「だけどそういうことが起きるのが競馬の世界なんだよ。最初は大して期待されていなかった馬がトップサイヤーになった例なんて、世界にはいくらでもある。子供が走ればいずれは分かるんだよね。まったく見向きもされない馬では無理だけど、ある程度の頭数を種付けされるレベルの馬なら、『この種馬、走るな』ということが段々とみんな分かってくる。そうやって這い上がってくる馬は本物なんだ。

反対に、みんなが最初から力んで、期待していた馬がいい種牡馬になるとも限らない。ディープインパクトみたいな馬はむしろ例外的で、競走成績がよくて産駒の成績も素晴らしい馬なんて、そうはいない。鳴り物入りで種牡馬になったのに(産駒が)まったく走らなかった馬なんて、いくらでもいるんだから。だけどそれは仕方ないよね。そんなこと、最初から分かっていたら競馬にならない。分からないからこそ、競馬が成り立つともいえるんだ」

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

CBC賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Cbc

■1■パワータイプの短距離馬
3月の開催からそれほど期間が開いておらず、この時期の中京競馬場の芝は傷んでいて、力を要する馬場となっている。新設されたばかりでも、年を追うごとにこの傾向は強くなるはず。スプリント重賞のわりには時計が掛かるはずで、当然のことながら、スピードだけではなくパワーが勝つためには要求される。

また、ダート上級条件戦が手薄になる時期でもあり、前走がダート戦という馬の参戦も多い。パワーが求められる舞台だけに、意外な好走をして穴を開けるはこういったタイプだろう。たとえば2008年の勝ち馬スリープレスナイトは前走のダート戦を快勝してきた馬で、父クロフネ譲りのパワーとスピードを生かして、秋のスプリンターズSまで制してしまった。

■2■スピードの持続力が問われる
旧中京の1200mは最後の直線が318mと短く、平坦であることも手伝って、前に行ける先行馬にとって有利なレースとなりやすかったが、新設の中京競馬場の1200mは、412mに延長された最後の直線や高低差2mの急坂が手伝って、先行馬と差し馬がほぼ互角の舞台となった。それだけ条件が変わったにもかかわらず、切れる馬ではなく、ハミをしっかりと噛みながら前へ前へと推進し、スピードの持続力が問われることは変わらないだろう。

■3■前走1400m組の巻き返しに注目
開催時期が6月に移行してからの8年間で、前走が1400mだった馬が4勝している。しかも平成18年のシーズトウショウは6着、平成19年のブラックバースピンは12着、平成20年のプレミアムボックスは5着からの巻き返しである。ちなみに、2008年の3着であったテイエムアクションも前走1400m組であった。時計の掛かる馬場であることを含め、1200mの字ズラよりも粘りこむスタミナを要求されるということだろう。1200mがギリギリという馬よりも、少し距離適性が長めの馬を狙うのがベター。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

« June 2014 | Main | August 2014 »