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凱旋門賞へ向けて2014-その3-

前置きはこのあたりにして、現地の有力馬に触れてみたい。英国のブックメーカーによって現時点で1番人気に支持されているのは、イギリスダービー、アイルランドダービーを連勝したオーストラリアである。かのエイダン・オブライエン調教師が「特別な馬」と評価しているように、正直に言って、この馬は強い。両ダービーの走りを見ても、スピードが一枚上であり、勝負所で他馬が動き始めているにもかかわらず、この馬は持ったままでいられるほどである。道中は折り合いがつき、最終コーナーでスッと上がってくることができる反応の良さ(操縦性の高さ)は特筆ものだ。また、父ガリレオ、母はジャパンカップでディープインパクトと好勝負をしたこともあるウィジャボードという超がつく良血も見逃せない。

かといって、モンジュ―やシーザスターズ並みに強いかというと、そうではない。追い出してからの力強さや馬体の重厚さという点において、まだ上記の2頭の名馬の域には達していない、もしくは達しないだろう。個人的には、イギリスダービーを勝った時点で、レース間隔をあけ、肉体的な成長を促した方が良かったのではないかと思う。アイルランドダービーが余計だったのではないかということだ。これらのことを考慮に入れると、日本の超一流馬が決して敵わない相手ではない。付け入る隙はどこかにあるはずだ。

昨年の覇者トレヴは、何といっても、昨年の凱旋門賞の激走による反動から立て直せるかどうかがポイントである。牝馬をあそこまで究極に仕上げてしまったあとは、特に精神的に燃え尽きてしまうことが多く、立ち直ることができる馬は稀である。もし奇跡的に回復を遂げたとしても、再び昨年のような仕上げを施せるかどうか疑問である。それに加えて、斤量も増えるのだから、連覇を遂げるのは至難の業である。

昨年のトレヴと同じ匂いがするのは、フランスオークスを制したアヴニールセルタンか。新種牡馬ルアーヴルの初年度産駒であり、距離が延びてどうか、夏を越しての成長力はどうかといった、未知な部分が多く、そのことがかえってアヴニールセルタンの魅力を高めている。首を低く保ちながら走るフォームも素晴らしく、牝馬らしく、かなり切れるタイプである。このまま順調に行って、凱旋門賞をピークとして渾身の仕上げを施すことができれば、チャンスはある1頭である。

ドイツダービーを制したシーザムーンも未知の魅力がある馬だ。道中はスローの流れを自らつくり出し、最後は外ラチを頼って走り、大差をつけて勝利した。スミヨン騎手の好騎乗が光ったレースでもある。この馬も母父にモンズンがいて、父はあのシーザスターズというように、オーストラリアに負けず劣らずの良血である。まだ4戦4勝と使い込まれておらず、成長の余地を十分に残している。11馬身という着差をそのまま信用することはできないが、この夏の過ごし方次第では最有力候補に名乗りを挙げるかもしれない。

最後に、全体的な展望だけ記しておくと、今年も日本馬にとっては厳しい凱旋門賞になるだろうということ。日本の超一流馬(ジャスタウェイもゴールドシップもハープスターも超一流馬だと私は思っている)が負けるパターンとしての1と3に当てはまるからだ。前述したように、ジャスタウェイとゴールドシップは本番に向けて、自身にとってもピークの出来になるように仕上げていくのは難しいだろう。そして、アヴニールセルタンという3歳牝馬の存在もある。もちろん、オーストラリアやシーザムーンが夏を越して、成長を遂げ、シーザスターズやモンジュ―のような風格を備えてターフに戻ってくるという可能性だって十分にある。そんな厳しい状況で、針の穴に糸を通すように、雨垂れが石を穿つように、勝つチャンスを探すとすれば、後先のことを考えることなく、究極に仕上げられたハープスターが最後方からポツンと競馬をして終いの切れ味に賭けたときだろう。それは私たち日本の競馬関係者たちが、凱旋門賞の呪縛から解き放たれるときでもある。

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