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貫禄のある立ち姿スノードラゴン:5つ☆

★キーンランドC
レッドオーヴァル →馬体を見る
相変わらず馬体重は450kg以上に増えないが、ふっくらと映って良い感触。
尾離れもよく、筋肉のメリハリは十分で、調子は申し分ない。
Pad4star

ローブティサージュ →馬体を見る
黒光りしているように毛艶は素晴らしく、いかにも夏に強い牝馬らしい。
重心はやや低いが、胴部には長さがあって、スタミナ面での心配は全くない。
Pad3star

マジンプロスパー →馬体を見る
本来良く見せる馬体をしている馬だが、年齢的なものかいつもの迫力はない。
全体的に付くべきところに筋肉は付いているが、若干の余裕も感じさせる仕上がり。
Pad3star

スマートオリオン →馬体を見る
高松宮記念時のフレッシュさに比べて、やはり見劣りがするし、メリハリに欠ける。
表情を見ても、目がボーっとして黒くなっているように、夏負けしているかも。
Pad3star

スノードラゴン →馬体を見る
芦毛のため毛艶や筋肉のメリハリは分かりづらいが、それでも貫禄のある立ち姿に映る。
欲を言えばトモにもう少し筋肉がほしいが、全体的なシルエットは素晴らしい。
Pad5star

フォーエバーマーク →馬体を見る
夏がピークになるように仕上げられているのが伝わってくるようで、毛艶も抜群。
腹回りに寂しさは感じさせるが、それだけキッチリと仕上がっていると解釈も。
Pad3star

★新潟2歳S
アヴニールマルシェ →馬体を見る
母父フレンチデピュティの影響が強いのか、全体的にパワータイプの馬体を誇る。
顔つきは実に賢そうで、レースに行って騎手の指示にしっかりと反応しそう。
Pad3star

ニシノラッシュ →馬体を見る
平均的な馬体の馬で、大きなマイナス材料はないが強みも見当たらない。
ややスプリンター寄りの詰まった馬体だけに、マイルの距離には若干の不安も。
Pad3star

ミュゼスルタン →馬体を見る
筋骨隆々のパワータイプであり、前後躯にしっかりと実が入っている。
腹回りに余裕があり、もうひと絞りできそうだが、この馬の力は出せる仕上がり。
Pad3star

ナヴィオン →馬体を見る
父ハーツクライ産駒にしては、脚が短く、重心が低い短距離馬の体型に映る。
その分、距離はマイルが上限かもしれないが、若駒にしてはトモの実の入りも良い。
Pad3star

ワキノヒビキ →馬体を見る
手脚が長く、将来的には中距離以上で活躍しそうな馬だが、まだ馬体に余裕がある。
顔つきを見る限りにおいては、幼さが残っており、精神面での成長が望まれる。
Pad3star

プリクスト →馬体を見る
全体のバランスということでいえば、このメンバーの中では群を抜いている。
各パーツに実が入ってくればさらに良くなるが、現状ではパワー不足は否めない。
Pad4star

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新潟2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Niigata2sais

■1■早熟のマイラーを狙え
マイル戦で行われるようになった過去10年の勝ち馬をみると、朝日杯フューチュリティSの勝ち馬が2頭(マイネルレコルト、セイウンワンダー)と阪神牝馬Sや桜花賞を勝ったハープスターが出ていることが分かる。G1馬を3頭も出しているのだから、新潟2歳Sも十分な出世レースといえるのだが、ハープスターを例外として、どうにもスケールの小ささは否めない。ジャングルポケット、アドマイヤムーン、ロジユニヴァースを出した札幌2歳Sと比べ、わずか200mの距離の違いにもかかわらず、この隔たりはなんだろうか。

気候などの環境が良い札幌には、素質馬やトップジョッキーが集まりやすいという事情はさておき、新潟2歳Sに出走する馬はマイルがドンピシャであることが多い。野芝がびっしりと生え揃った新潟の馬場は、札幌競馬場の洋芝に比べると、圧倒的に軽くて走りやすい。驚くべき好タイムが出るのはそれゆえである。同じ距離を走ったとしても、野芝と洋芝の馬場では要求されるスタミナが違ってくるのだ。

そうは言っても、新潟競馬場の1600mコースは外回りで最後の直線が659mと長く、単なるスピード馬では乗り切れない。ゴールまでスピードを持続させるスタミナが必要とされるのだ。さらに、この時期の完成度も高くなければならない。つまり、簡単に言うと、新潟2歳Sは早熟のマイラーを狙えということである。

■2■牡馬と牝馬は互角
前述したとおり、新潟競馬場1600mコースは外回りで最後の直線が長く、ごまかしの利かないフェアなコースである。コーナーリングの器用さや一瞬の脚だけでは勝ち切れない。最後は激しい叩き合いと追い比べになることだろう。そういった意味でも、牝馬よりも牡馬にやや分があると言ってよいが、過去9年の勝ち馬を見てみても、牡馬の6勝に対し牝馬は4勝と、案外、牝馬も牡馬と互角に戦っている。タフなレースにはなるが、直線が平坦であることからも、非力な牝馬でもパワー不足に泣くことはない。

■3■直線は外に出す
スタートから最初のコーナーまでの距離が長く、コーナーも2つしかないコース形態のため、枠順による有利不利はほとんどないと考えてよい。コーナーの回りがきついことを考慮すると、外枠で外を回されるよりも内の方が良いことは確かだが絶対条件でもない。ジョッキーの腕でいくらでもカバーできる部分である。

しかし、直線では外に出した馬の方が伸びる。いくら絶好の野芝とはいえ、最終週であることは確かなので、使い込まれて傷んだ内よりも外の方が走りやすい。また、直線を走る距離が長いので、その分、良いところを走られる馬とそうでない馬との差が出てしまうのである。まとめると、道中は内を走りながら、直線では外に出して走られる馬が狙い目である。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第20回)

Kettounituite20

血の勢いというものは確かにあって、気がつけば、ある特定の種牡馬の血を引く馬たちがクラシックの上位を独占し、そのまま古馬戦線を席巻していく時代が訪れる。ナリタブライアンの同世代にはチョウカイキャロルがいて、翌年はマヤノトップガンが年度代表馬となり、さらに翌年にはサニーブライアンが2冠を取り、シルクジャスティスが有馬記念を勝利した。その翌年には、ビワハヤヒデとナリタブライアンを従兄に持つファレノプシスが桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯を制した。その他、ダンツフレームやタニノギムレット、ノーリーズンなど多くのG1ホースやクラシックホースが登場した。そう、全てがブライアンズタイム産駒である。

私の大好きだったヒシアマゾンを苦しめたチョウカイキャロルや勝てそうで勝てない歯がゆいシルクジャスティスなど、記憶に残っている個性的な馬が多いが、個人的に最も思い入れのあるのはマヤノトップガンである。菊花賞で期待に応えてくれたときの喜び、有馬記念でのまさかの逃げ切りと田原成貴騎手の投げキッス、阪神大賞典におけるナリタブライアンとの歴史に残る叩き合いなど、片手に余るほどの名勝負を繰り広げてくれた名馬だが、その中でも最も私の心を震わせたのは1997年の天皇賞春である。競馬における、ありとあらゆる綾が散りばめられた、素晴らしいレースであった。

天皇賞春に臨むにあたって、さすがの天才、田原成貴騎手も、宿敵サクラローレルに勝てる方法が見出せなかったという。当時のサクラローレルは、レインボークエストから継ぐ晩成の血が開花した真っ盛りであった。前年の天皇賞春でナリタブライアンをねじ伏せてからというもの、天皇賞秋こそ脚を余して負けてしまったが、有馬記念では圧倒的な力を見せつけて勝利した。確かに天皇賞春はブッツケではあったが、それすら不安に感じさせないほど、まさに付け入る隙のない無類の強さを誇っていたのだ。どう計算しても勝ち目がない、田原成貴騎手がそう感じたのももっともだったと思う(実際に私もサクラローレルに本命を打った)。

そこで、マヤノトップガンの田原成貴騎手はアルパチーノのビデオを、レース前に何度も観たそうだ。えっ、アルパチーノ?と思われる方もいるだろうが、そうあの「ゴッドファーザー」のアルパチーノである。なぜ田原成貴騎手が本番前にアルパチーノのビデオを繰り返し観たかというと、意識を消すためだったという。演技をしているのに演技をしていないように見えるアルパチーノを見て、そこには余計な意識が働いていないことを悟ったそうだ。つまり、ジョッキー(自分)にとっては、何もしない(騎乗技術を使わない)ことが正しい騎乗につながるのであって、今回の天皇賞春をマヤノトップガンで勝つ唯一の方法だと確信したのであった。

スタートしてからわずかにマヤノトップガンは引っ掛かったものの、スタンド前までになんとか折り合いがついた。マヤノトップガンのような首の低い馬は、一旦引っ掛かると抑えるのに苦労するのだが、おそらくこれは田原成貴騎手が技術で抑え込んだわけではなく、意識を消すことに成功したのだろう。スタンド前を走る馬群の中に、田原成貴騎手とマヤノトップガンの気配がスッと消えて行ったのを私は感じた。

実はこれには伏線があり、マヤノトップガンはそれまで逃げ・先行して結果を出してきた馬だったが、前走の阪神大賞典では後ろから行く競馬をしたのである。マヤノトップガンの前進意欲が年齢と共に失われつつあったということもあり、田原成貴騎手はマヤノトップガンの気持ちを尊重する乗り方をした。前哨戦はメンバーも違うので結果を出すことが出来たが、本番の天皇賞春で同じ乗り方をして通用するかどうか、半信半疑なところがあったと思う。しかし、田原成貴騎手は、勝ちたいという意識だけではなく、そういったマイナスの意識も全て消そうとしたのだ。

3コーナーを過ぎ、2週目の下り坂からサクラローレルが動き出した。これは横山典弘騎手の意識というよりも、サクラローレルが休み明けであった分、力んでしまったということだ。その動きにつられて、マーベラスサンデーに乗った武豊騎手が動き出す。武豊騎手はサクラローレルさえ負かすことが出来れば勝てると計算したのだろう。田原成貴騎手が凄かったのは、この時点で全く動かなかったことだ。この時の心境を田原成貴騎手は後にこう語った。

机上の計算では、あの時の馬場状態を考えると、もう少し差をつめておかなければとても届かない差であったと思う。それを私が意識していれば…、今はっきり言えること、それはただひとつ。あの時、もし差を詰めてしまっていれば、あの上がりの脚をマヤノトップガンは使えなかったということ。 しかし、たとえレースがあのように流れても、あそこで動かなければ最後にあの鋭い脚を使う、その思いは私の中に1パーセントもなかった。それが阪神大賞典から天皇賞まで私を悩ませつづけた全て。その思いを消すことが、私がマヤノトップガンを天皇賞馬に導いてやれる全てだった。 (「馬上の風に吹かれて」 田原成貴著)

サクラローレルがマーベラスサンデーを差し返し、私が自分の馬券の勝利を確信した瞬間、外から信じられない脚で飛んで来たのが田原成貴マヤノトップガンだった。視界の外から飛んできたフックパンチに当たった時のように、脳みそがグラっと揺れたのを私は感じた。この感覚は、その時私と共に後楽園ウインズにいた他の競馬ファンも同じだったようで、ゴールが過ぎて数秒の間が空いた後にようやく、「トップガンだ!」という大歓声が起こったことを憶えている。後にも先にも、このレースほど、競馬の凄さを思い知らされ、心が震え、いつまでも鮮明に記憶に残っているレースはない。

Photo by 三浦晃一

(第21回へ続く→)

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キーンランドCを当てるために知っておくべき3つのこと

Keenland

■1■牝馬の活躍
第1回、2回では牝馬が上位(ワンツー)を独占した。牡馬の【3・4・4・59】連対率10%に対し、牝馬は【4・2・3・26】連対率17%と大きく上回っている。この時期の札幌競馬場の芝は、洋芝とはいえ、まだそれほど重くなっていないため、函館で活躍できたパワータイプの牡馬にとっては厳しいレースとなる。また、ゴール前直線が平坦で266mと短く、平坦なコースであるため、一瞬の脚を要求される軽いレースになり、牝馬にとっては有利なレースになる。

■2■外枠が有利
札幌競馬場の1200m戦は、向こう正面を延長したポケットからのスタート。最初のコーナー(3コーナー)までの距離は406mと長く、オープン以上のクラスであればペースは速くなりがち。そして、3~4コーナーは緩やかなスパイラルコースであるため、ここで差を詰めるのは難しく、勝つためには4コーナーである程度の位置にいなければならない。この時期は馬場の内外で大きな差はなく、内外のトラックバイアスはないが、スムーズにレースが運べる分、若干外枠が有利か。

■ある程度前に行くことのできる差し馬
重賞に格上げされてからの8年のラップタイムは以下のとおり。

12.1-10.4-11.0-11.5-11.6-11.8(33.5-34.9)H
12.0-10.7-11.2-11.3-11.4-12.0(33.9-34.7)M
12.1-10.6-11.2-11.3-11.0-11.7(33.9-34.0)M
12.1-10.5-11.2-11.6-11.4-11.6(33.8-34.6)M
12.0-10.6-11.1-11.4-11.6-11.7(33.7-34.7)H
11.8-10.3-10.9-11.5-11.8-12.3(33.0-35.6)H
11.9-10.5-11.1-11.5-11.3-11.3(33.5-34.1)M
12.1-11.0-11.8-12.3-12.0-12.5(34.9-36.8)H

格上げ以前は、逃げ・先行抜け出しが決まり手のほとんどであったが、クラスが上がるやいなや、多頭数になったことで道中のペースが上がり、ようやく差しが決まった。しかし、その後の3年間はミドルペースに終わっているように、3~4コーナーで動きづらいこともあって、本質的には逃げ、先行馬に有利なコースである。一瞬の脚が問われることも含め、このレースに関してはある程度前に行くことの出来る差し馬を狙ってみるのも面白い。

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トレヴを彷彿させる


札幌記念2014-観戦記ー
4万人以上の競馬ファンが集まった札幌競馬場で、凱旋門賞に挑戦する2頭が直接激突した。シンガポール帰りのトウケイへイロ―がすんなりハナを奪い、ロゴタイプが番手を取る形で進んだレースは、前半の1000mが58秒4、後半の1000mが60秒7という極端なハイペースとなった。直線に坂のない、小回り平坦コースとはいえ、さすがにこれだけ流れが速くなってしまうと、先行した馬たちにとっては苦しい展開となった。後ろから行った有力馬2頭にとってはおあつらえ向きの流れになったことは確かで、ハイペースにも後押しされた5馬身差と解釈してよいだろう。

勝ったハープスターは、細江純子元ジョッキーもパドックで解説していた通り、春シーズンの疲れが完全に癒えたという馬体ではなく、これから凱旋門賞に向けて作っていくという段階の発展途上の馬体であった。にもかかわらず、歴戦の古馬たちを捲り切って、ゴールドシップを振り切って勝利したのだから恐れ入る。気持ちで走る馬だけに、オークスと違って、馬群から離れて追走できたことが良かったし、何と言っても、これだけ脚の速い馬に52kgの斤量で走られたら、他馬はなかなか追いつけない。これが斤量の怖さであり、まるで昨年の凱旋門賞でトレヴがオルフェ―ヴル以下をアッと言う間に突き放したレースを彷彿とさせる直線の走りであった。

ハープスターは勝つには勝ったが、もちろん課題もある。まず、陣営にとっては、やや走り過ぎたという感覚があるはずだ。決して仕上がりは良くなかったにもかかわらず、気持ちで走ってしまった。反動がどの程度あるのか心配だが、最後方からとびきりの脚を使って勝ったというわけではないので、なんとか回復できるかもしれない。良く考えれば、調教でしっかりと仕上げていけば、この先、直行で凱旋門賞に出走しても力は出し切れる感触は得られたということだ。

そして、大きな課題としては、ついぞ馬群に入れるレースができなかったということ。凱旋門賞はスローに流れることが多いため、どうしても馬群が凝縮され、密集しやすい。後方から末脚を生かすにしても、外から捲るにしても、道中は馬群の中でじっと脚を溜めている時間が長い方が良い。馬群の中で押し込められたとき、果たしてハープスターはどんな反応をするだろう。オークスのように、周りに気を遣ってハミを噛んでしまうようであれば、思うように脚は溜まらない。夏を越して精神面での成長があるかどうか、この点をテストするためにはもう1度レースを使わなければならないし、もし直行するならば、本番では一か八かの極端なレースをせざるを得ない。

ゴールドシップは、宝塚記念に比べると、馬に覇気がなく、スタートから進んで行こうとはしなかった。横山典弘騎手も、さすが百戦錬磨のベテランらしく、慌てず騒がず、無理に追走させることはしなかった。そうはいっても、さすがに3分3厘からは手が動き始め、ハープスターに食らいついたが結局2着に甘んじた。負けはしたものの、陣営としては文句なしのステップを踏めたと感じているのではないだろうか。走る必要がないときには、それほど走らなくてもよいのだ。ブリンカーに関しても、こういった馬具のほとんどは装着した最初だけ効果があるだけで、馬が慣れてきてしまうと効果が薄れてしまう(先日亡くなったタイキブリザードもそうであった)。周りを気にせずに集中して走るという効果が少ないのであれば、かえってゴールドシップの闘争心を引き出すために、本番ではブリンカーを外して臨むのが得策である。

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ロゴタイプとバーバラが絶好の出来:5つ☆

★札幌記念
エアソミュール →馬体を見る
父ジャングルポケット譲りの胴部の長さで、器用さはないが、いかにも走りそう。
毛艶も素晴らしく、前後躯の実の入りもパーフェクトで好勝負間違いなし。
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ゴールドシップ →馬体を見る
立ち姿における前後の脚の幅が狭く映るのは、後躯にやや物足りなさがあるからか。
宝塚記念を勝って馬体を緩めたのだろう、完調に一歩も二歩も手前の仕上がり。
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ロゴタイプ →馬体を見る
ドバイ遠征帰りではあるが、十分な間隔を開けて、完全に疲れは癒えて戻ってきた。
むしろ皐月賞を勝った絶好調時と遜色ない皮膚の薄さで、顔つきにも活気がある。
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ハープスター →馬体を見る
このメンバーに入ると、3歳牝馬らしく、どうしても幼さを感じさせる馬体。
前駆は力強さが増してきたが、トモが未完成で、いかにも休み明けといった仕上がり。
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ホエールキャプチャ →馬体を見る
年を増すごとに胴部に長さが出てきているように、母系の血が色濃くなっている。
府中のマイル戦が得意な舞台だが、今ならは2000mの距離も全く問題ない。
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ラブイズブーシェ →馬体を見る
前走からの好調をそのまま維持しており、この馬の力は出し切れる仕上がりにある。
後躯がややパワー不足だが、ステイヤーの馬体と考えれば及第点である。
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トウケイへイロ― →馬体を見る
腰高の馬体バランスはいかにもスピード馬であり、2000mは上限距離だろう。
馬体全体に緩さが残っていて、勝った昨年よりも、余裕を残した仕上がりにある。
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★北九州記念
エピセアローム →馬体を見る
相変わらず牝馬離れした骨格の馬体で、全くと言ってよいほど衰えはない。
父ダイワメジャーはそうだったように、古馬になってもうひと成長があるのかも。
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メイショウスザンナ →馬体を見る
こちらも競走馬としてよく鍛え上げられた馬体で、筋肉のメリハリも十分にある。
顔つきから気性も素直そうで、レースに行って安定してこの馬の力を発揮できる。
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バーバラ →馬体を見る
いかにもスプリンターといった好馬体で、1200mがギリギリだが力強い。
毛艶も筋肉の柔らかさも文句なく、顔つきからも気合が乗って絶好の出来にある。
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ベルカント →馬体を見る
3歳牝馬らしく線が細く、パワーが必要な馬場や古馬スプリント戦では苦戦するか。
毛艶は良く、体調は問題ないだけに、どこまでスピード勝負に持ち込めるか。
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ニンジャ →馬体を見る
短距離馬らしく胴が詰まって、筋肉量が豊富で、特に前駆には力強さがある。
とはいえ、表情にとぼけたところがあり、もしかしたら夏負けしているかも。
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スギノエンデバー →馬体を見る
腰高でスピードが豊富であることが伝わってくる馬体だが、スタミナには不安。
毛艶は良く、仕上がりも悪くないので、この馬の力は発揮できそう。
Pad3star

ツルマルレオン →馬体を見る
6歳馬にして胴部が少しずつ伸びて、馬体全体にゆとりが出て来た。
もう少し距離が長くなっても対応できそうで、1200mは忙しいかも。
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凱旋門賞へ向けて2014-その4-

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今週はグランドオープンした札幌競馬場にて、G2札幌記念が行われる。敢えてG2と入れたのは、今年の素晴らしいメンバーを見て、札幌記念はやはりG1にすべきという意見が上がっているからだ。全体的には、札幌記念をG1レースに格上げすることに私も賛成である。世界の競馬では重要な価値が置かれる古馬による2000mのG1レースは、天皇賞秋以外にもう1つあってもよいだろうし、何と言っても、この時期にG1レースがあることで、競馬関係者だけではなく、競馬ファンの気持ちが引き締まるはず。

ただし、細かいことを言うと、真夏のオフシーズンに行われるレースだけに、たとえG1と銘打ったとしても、このレースに向けて本気で仕上げてくる馬は少なく、蓋を開けてみると、G1級のメンバーは揃っても勝ち馬はG1馬とは言い難いという可能性もあるだろう。G1を勝ち切れる力はないG2クラスの馬が、本気で勝ちに来るレースになるかもしれない。つまり、ゴールドシップやハープスターのようなG1馬であり、これから先もっと多くの価値あるG1レースを勝とうと目論む馬たちにとって、札幌記念は実に微妙な位置づけにある難しいレースなのである。

勝つためにキッチリ仕上げてしまっては、本番である秋シーズンにピークアウトしてしまうことになるし、逆にあまりに余裕を残して出走させて大敗してしまっては、G1馬としてみっともないし、馬自信や関係者たちが自信を失ってしまっては元も子もない。余裕残しで勝つのが理想的なのだが、相手が揃ってしまうとそれもなかなか叶わない。そうなると、どの陣営も考えることは同じで、80%ぐらいの仕上げで臨んで、それでも見せ場をつくり、勝ちはしないまでも2、3着の接戦になってくれればそれでいい。もちろん声に出しては言えないが、心のどこかでそう考えているはずである。という前提に立って札幌記念を観るとまた面白い。

ゴールドシップは、精神的なムラがある馬ではないかと最近思い始めている。馬体の立ち写真を見る限りにおいて、どのレースもほとんど変わらない姿を披露してくれていて、肉体的には好不調の波が極めて小さく、安定した体力の持ち主である。にもかかわらず、急に前に進まなくなったり、大きく出遅れてしまったりと、レースに行っての不安定さが目立つ。あてにならないということでもあり、馬券を買うファンだけではなく管理する人間にとっても難しく、横山典弘騎手の言うように「走ってくださいとお願いするぐらいしかできない」ということなのである。こういったムラ駆けタイプは、好走と凡走を繰り返すのが特徴であり、宝塚記念快勝後の今回は凡走の可能性も十分にある。

対するハープスターは、肉体的にも精神的にも繊細すぎるほど繊細な馬である。肉体的な疲労が精神面にも大きく影響するため、陣営にとっては、走るときと走らないときの理由が分かりやすい。ローテーションをきっちり決めて、本番に向けて調整を進めていけば、その通りに仕上がり、仕上がった分だけ力を発揮してくれるはずだ。もちろん、100%からそれ以上に仕上げるのは凱旋門賞だから、その前にもう1レース叩くか、それとも札幌記念か直行するかによって少し違ってくるが、今回は80%~90%の仕上げで構わないし、無理をして勝つ必要もない。変に極限の切れ味を発揮してしまうと肉体的な反動が怖いので、今回は敢えて中団の馬群の中での競馬を試みてはどうだろうか。

Photo by M.H

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北九州記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kitakyuusyuukinen

■1■軽ハンデ馬
北九州記念は2006年より距離が1200mに短縮され、ハンデ戦となった。過去8年間を振り返ってみると、スリープレスナイト、スギノエンデバー、ツルマルレオン以外の勝ち馬が背負った斤量は、いずれも52kg~54kgであった。また、毎年、2着や3着にも50kg前半の軽ハンデ馬が突っ込んでいるように、軽ハンデ馬の活躍が目立つ。

軽ハンデ馬が台頭する理由は、ひとえに北九州記念が行われる時期の馬場状態の悪さにある。Aコース使用10日目(今年は8日目)であり、いくら夏の野芝とはいえ、芝の傷み方は相当なものである。「馬場が重ければ重いほど、斤量増はこたえる」という斤量の考え方があり、これだけ馬場が荒れていると負担重量の重い馬はこたえるのである。重賞で実績のない馬、近走で惨敗している馬を狙うのは気が引けるが、それでも軽ハンデ馬を狙い打ちたい。

■2■外を回す差し馬
11.9-10.1-10.9-11.3-11.5-12.3(32.9-35.1)H
11.5-10.0-10.6-11.4-11.6-12.6(32.1-35.6)H
11.8-10.3-10.9-11.4-11.4-11.7(33.0-34.5)H
11.8-10.3-10.6-11.3-11.4-12.1(32.7-34.8)H
11.6-10.0-10.5-11.2-11.5-12.3(32.1-35.0)H
11.8-10.0-10.6-11.1-11.4-12.3(32.4-34.8)H
11.6-10.1-10.5-11.3-11.6-11.8(32.1-34.7)H
11.6-10.0-10.6-11.1-11.5-11.9(31.2-34.5)H

上は過去8年間のラップタイムである。およそ前半が32秒台で後半が35秒台という、前後半の落差が大きい、いかにも短距離戦らしいハイペースになる。小倉競馬場の直線が短いとはいえ、前に行く馬には厳しい、差し馬に向きの展開になる。

芝の傷み方が相当なものだと書いたが、特に内ラチ沿いの馬場は、走ると土煙が上がるほど極端に悪い。当然のことながら、内側を通らざるを得ない馬よりも、比較的馬場の悪くない外に進路を取れる馬に有利なレースになる。外枠を引いて、外にポジションを取れる馬から狙ってみたい。

*例外として、開催中に雨が降り続いたりして、馬場全体が荒れてしまっているような場合は、外を回す差し馬は届かないため、少しでも前に行くことのできる逃げ先行馬を狙いたい。

■3■牝馬
夏に強い牝馬と言われるが、北九州記念においてはほぼ互角の争い。とはいえ、中央場所に行ったときの連対率と比べると、牝馬の活躍が目立つと言うことができる。

牡馬・せん馬 【4・4・3・62】 連対率11%
牝馬      【4・4・5・45】 連対率14%

理由はたくさん思いつくが、平坦コースでパワーのない牝馬に有利に働くこと、直線が短いため一瞬の切れ味を活きることの2つが主なところ。秋になって、舞台が坂のあるコースに移ると牝馬はなかなか勝てなくなるので、このタイミングで狙っておくべきである。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第19回)

Kettounituite19

ミホノブルボンは、鍛えればサラブレッドは強くなること、鍛えても乗り越えることのできない壁があること、そして隔世遺伝についても私に教えてくれた。父と母から50%ずつの影響を直接受けるのではなく、父や母を飛び越して、一世代前から大きな影響を受けることがある。人間でいうと、父や母には全く似ていないが、実は祖父や祖母の血が濃く出ていたというような話である。

血統評論家の吉沢譲治さんもたとえに挙げていたが、松坂大輔投手の強肩はおじいさん譲りだという。祖父・松坂徳次さんは、戦時中、樺太(現サハリン)の野砲隊にいて、当時55メートルだった隊内の遠投記録を63メートルに塗り替えたそうだ。鳶が鷹を生むという表現があるが、もしかすると一世代前の祖父や祖母からの隔世遺伝であるかもしれない。

1994年の天皇賞秋を勝ったネーハイシーザーという馬がいる。実は、ネーハイシーザーが勝った毎日王冠を私は東京競馬場で観戦している。58kgの斤量を背負いつつも、あり余るスピードを存分に生かし、レコードタイムで逃げ切ってしまった走りを観て、天皇賞秋でも勝負になるという感触は確かにあった。ただし、父サクラトウコウ、母ネーハイテスコという血統を見る限り、G1レースを勝てるようには到底思えなかった。母は全く無名であり、父サクラトウコウも全弟に日本ダービー馬サクラショウリ、半弟にサクラホクトオーがいるとしても実績は皆無の種牡馬であった。G2レースを勝ったことさえ驚きである。

さらにこの年の天皇種秋にはあのビワハヤヒデが出走していた。機械のように精密なレース運びで、他馬を正攻法でねじ伏せる強さを持つビワハヤヒデが、ごまかしの利かない東京2000mで負けるイメージが湧かなかった。ネーハイシーザーも強いことは確かだが、それとはひとつふたつ桁の違う強さがビワハヤヒデにはあったはずである。今となれば、クラシック戦線から古馬の春シーズンのG1路線まで、真面目に走り続けてきたことによる勤続疲労が噴出したのだと分かるが、当時は思いも寄らない、まさかの敗退であった。

茫然自失となりながらも、私はネーハイシーザーの血統表を改めて見てみた。そこで父の父の欄に見たマルゼンスキーの7文字に私は愕然とした。これだ、ネーハイシーザーはマルゼンスキーの血が強く出た隔世遺伝の馬だったのだと。残念ながら、私は現役のマルゼンスキーの走りを知らないが、当時、持込馬であったため日本ダービーに出走することができなかったマルゼンスキーの主戦・中野渡清一騎手が放った、かの有名なセリフは強烈に印象に残っている。

「賞金なんか貰わなくていい。
28頭立ての大外枠でもいい。
邪魔なんかしない。
頼むから出してくれ。
そうすれば、どれが日本一かわかる」

この言葉だけでも、マルゼンスキーがどれほど強い馬だったか想像がつくだろう。結局、後続につけた合計の着差が61馬身という圧倒的な強さを見せ付けて、8戦8勝の戦績で引退していった。引退式の日に、スタンドから上がった垂れ幕には、こんな文字が躍ったそうである。

「さようなら、マルゼンスキー。
語り継ごう、おまえの強さを」

その通りに語り継がれたマルゼンスキーの伝説を私は知り、ネーハイシーザーという快速馬を通してマルゼンスキーを感じることができた。あの天皇賞秋以来、私は血統表を眺めるとき、母の父だけではなく、父の父も必ず見るようにしている。そうすることで、思わぬ隔世遺伝に気づくことがあり、無名の種牡馬の産駒や血統的に軽視されているような馬にも、潜在的な資質を見出すことができる。思いも寄らない穴馬は、実は血統的にも意外なところから現れたりするものなのだ。


マルゼンスキーの衝撃的な強さは必見です。

Photo by 三浦晃一

(第20回へ続く→)

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札幌記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sapporo

■1■G1馬もしくはG1級の馬
過去の勝ち馬を見ると、2つのタイプがいることが分かる。エアグルーヴ、セイウンスカイ、テイエムオーシャン、ファインモーション、フサイチパンドラなど既にG1を勝っていた馬と、ヘヴンリーロマンス、アドマイヤムーン、アーネストリー、トーセンジョーダンなど札幌記念を勝利した後にG1を勝った馬である。つまり、札幌記念はG1級の力がないと勝つのが難しいレースである。

札幌競馬場はヨーロッパの馬場に近いタフな馬場であり、本当に能力がないと勝てない。さらに札幌記念には古馬の一戦級が集まってくるため、このレースを勝つことはG1レースを勝つだけの能力が優にあることの証明でもある。札幌記念はG2レースではあるが、G1馬もしくはG1級の能力がある馬を狙ってみたい。

■2■牝馬
牡馬(セン馬含む)【5・7・8・81】 連対率12%
牝馬         【4・2・1・9】  連対率38%

過去9年間で牝馬が5勝しているだけでなく、連対率も38%と驚異的な数字を残している。平坦コースが牝馬にとってプラスに働くということに加え、前述のようにG1級の能力がなければ勝てないレースに出てくるということは、それだけ体調が良いということである。古馬の一戦級を相手に回して、勝負になる手応えがあるからこそ出走してくる牝馬には要注意。

■3■一瞬の切れを持った差し馬
スタートから第1コーナーまで400mほどの距離があるため、内枠外枠での有利不利はほとんどない。それでも、4つコーナーを回る小回りの競馬場である以上、第1コーナーまでに内のポジションを取れないと、終始外々を回らされる羽目になる。特に外枠を引いた馬は苦しいレースを強いられるだろう。

また、G1級のメンバーが揃うこともあって、道中のペースは速くなることが多い。逃げ・先行馬よりも差し馬を狙いたいのだが、いかんせん最後の直線が短い。よって、最後の短い直線だけで差し切ることのできる、一瞬の切れを持った差し馬が狙いか。

このように、あらゆる意味で札幌競馬場は騎手の技術が問われるレースであり、過去10年で武豊騎手が3勝、横山典弘騎手、福永祐一騎手がそれぞれ1勝しているように、ジョッキーの腕も問われることになる。

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鋭い末脚が期待できるマジェスティハーツ:5つ☆

マジェスティハーツ →馬体を見る
前後躯にしっかり実が入り、筋肉のメリハリも素晴らしい。
トモの肉付きに心配があったが、この仕上がりであれば鋭い末脚が期待できる。
Pad5star

ダノンシャーク →馬体を見る
小柄な馬であり、6歳馬になっても、馬体には幼さを残している。
コンパクトな分、走り続けられるのだろうが、もう少し馬体重が増えてくれば。
Pad4star

エキストラエンド →馬体を見る
馬体は薄く、マイラーというよりは、中長距離を得意とするタイプに映る。
トモの実の入りが物足りないところがあり、あまりペースが速くなると苦しい。
Pad3star

ショウナンアチーヴ →馬体を見る
腹回りに余裕があり、前後躯の肉付きも物足りず、立ち姿のバランスは今ひとつ。
昨年の朝日杯フューチュリティS時が最も良く見えたように、完調には今一歩。
Pad3star

クラレント →馬体を見る
前走時に比べると、皮膚がやや硬く、全体の筋肉のメリハリも落ちている。
相変わらず力強さは十分だが、仕上がりは前走の方が上。
Pad4star

タガノブルグ →馬体を見る
このメンバーに入ると、馬体の線も細く、筋肉の付き方も物足りなさが目立つ。
顔つきからは気性の激しさが伝わってくるように、現時点では気持ちで走っている。
Pad3star

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凱旋門賞へ向けて2014-その3-

前置きはこのあたりにして、現地の有力馬に触れてみたい。英国のブックメーカーによって現時点で1番人気に支持されているのは、イギリスダービー、アイルランドダービーを連勝したオーストラリアである。かのエイダン・オブライエン調教師が「特別な馬」と評価しているように、正直に言って、この馬は強い。両ダービーの走りを見ても、スピードが一枚上であり、勝負所で他馬が動き始めているにもかかわらず、この馬は持ったままでいられるほどである。道中は折り合いがつき、最終コーナーでスッと上がってくることができる反応の良さ(操縦性の高さ)は特筆ものだ。また、父ガリレオ、母はジャパンカップでディープインパクトと好勝負をしたこともあるウィジャボードという超がつく良血も見逃せない。

かといって、モンジュ―やシーザスターズ並みに強いかというと、そうではない。追い出してからの力強さや馬体の重厚さという点において、まだ上記の2頭の名馬の域には達していない、もしくは達しないだろう。個人的には、イギリスダービーを勝った時点で、レース間隔をあけ、肉体的な成長を促した方が良かったのではないかと思う。アイルランドダービーが余計だったのではないかということだ。これらのことを考慮に入れると、日本の超一流馬が決して敵わない相手ではない。付け入る隙はどこかにあるはずだ。

昨年の覇者トレヴは、何といっても、昨年の凱旋門賞の激走による反動から立て直せるかどうかがポイントである。牝馬をあそこまで究極に仕上げてしまったあとは、特に精神的に燃え尽きてしまうことが多く、立ち直ることができる馬は稀である。もし奇跡的に回復を遂げたとしても、再び昨年のような仕上げを施せるかどうか疑問である。それに加えて、斤量も増えるのだから、連覇を遂げるのは至難の業である。

昨年のトレヴと同じ匂いがするのは、フランスオークスを制したアヴニールセルタンか。新種牡馬ルアーヴルの初年度産駒であり、距離が延びてどうか、夏を越しての成長力はどうかといった、未知な部分が多く、そのことがかえってアヴニールセルタンの魅力を高めている。首を低く保ちながら走るフォームも素晴らしく、牝馬らしく、かなり切れるタイプである。このまま順調に行って、凱旋門賞をピークとして渾身の仕上げを施すことができれば、チャンスはある1頭である。

ドイツダービーを制したシーザムーンも未知の魅力がある馬だ。道中はスローの流れを自らつくり出し、最後は外ラチを頼って走り、大差をつけて勝利した。スミヨン騎手の好騎乗が光ったレースでもある。この馬も母父にモンズンがいて、父はあのシーザスターズというように、オーストラリアに負けず劣らずの良血である。まだ4戦4勝と使い込まれておらず、成長の余地を十分に残している。11馬身という着差をそのまま信用することはできないが、この夏の過ごし方次第では最有力候補に名乗りを挙げるかもしれない。

最後に、全体的な展望だけ記しておくと、今年も日本馬にとっては厳しい凱旋門賞になるだろうということ。日本の超一流馬(ジャスタウェイもゴールドシップもハープスターも超一流馬だと私は思っている)が負けるパターンとしての1と3に当てはまるからだ。前述したように、ジャスタウェイとゴールドシップは本番に向けて、自身にとってもピークの出来になるように仕上げていくのは難しいだろう。そして、アヴニールセルタンという3歳牝馬の存在もある。もちろん、オーストラリアやシーザムーンが夏を越して、成長を遂げ、シーザスターズやモンジュ―のような風格を備えてターフに戻ってくるという可能性だって十分にある。そんな厳しい状況で、針の穴に糸を通すように、雨垂れが石を穿つように、勝つチャンスを探すとすれば、後先のことを考えることなく、究極に仕上げられたハープスターが最後方からポツンと競馬をして終いの切れ味に賭けたときだろう。それは私たち日本の競馬関係者たちが、凱旋門賞の呪縛から解き放たれるときでもある。

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凱旋門賞へ向けて2014-その2-

Dubaiworldcup201402

先日、ひと足先に、今年の凱旋門賞に挑戦する3頭の日本馬の活躍を占ってみたが、今回は現時点で出走を予定している外国馬についても触れておきたい。というのも、これまでの日本馬による凱旋門賞への挑戦の歴史を顧みて、やはり相手関係があっての競馬だと思うからだ。当たり前のことだが、日本馬が海外のレースに出走するとなると、どうしても日本馬の状況ばかりに目が行ってしまう。日本馬だけでレースをするわけではなく、むしろ世界から見れば、日本馬は有力馬や伏兵馬の1頭でしかない。相手関係を知らなければ、なぜエルコンドルパサーやディープインパクト、オルフェ―ヴルらが敗れたのか、正確に理解できないのである。

近年、日本馬の競走馬としてのレベルは格段に上がり、日本のトップホースは海外の大レースで一緒に走っても引けを取らない、という前提で話をしたい。まず、そのトップホースの中でも10年に1頭の馬たち、つまりエルコンドルパサーやディープインパクト、オルフェ―ヴルらの超一流馬であっても凱旋門賞を勝てないパターンは3つある。

ひとつは、自身の体調が優れなかったり、仕上がりが悪かったりするパターン。そのほとんどは、その年の春シーズンに3戦して、その3戦目に宝塚記念を勝っている。たとえば、2006年のディープインパクトは宝塚記念からの回復を待って、ぶっつけで本番に臨んだが本来の飛ぶような末脚を発揮できなかった。2012年のオルフェ―ヴルは前哨戦を使ったものの、体調が下降線を辿ってしまい、しかもレースでは大外を回されて、最後は大きく失速してしまった。このパターンは、現地における調教やそこに至るまでのローテーションを見直すことで防げるはずである。

ふたつ目は、勝った相手も歴史に残るような超一流馬であるパターン。これは仕方がないというか、相手が悪かったとあきらめるしかない。具体的に言うと、1999年にエルコンドルパサーが負けたときのモンジュ―である。エルコンドルパサーはこの年、春シーズンからヨーロッパに身を移し、サンクルー大賞とフォア賞を勝ち、今から考えても画期的な、そして完璧な過程を経て、凱旋門賞に臨んだ。個人的な感覚だが、エルコンドルパサーが最も凱旋門賞制覇に近かったのではないかと思う。現地の超一流馬であるモンジュ―に地の利を生かして立ちはだかられては、悔しいかな、わずかに及ばなかった。近年で言うと、シーザスターズやフランケルのような最強クラスと向こうの競馬場で走っては勝ち目はない。

最後の3つ目は、3歳牝馬の大駆けに遭ってしまうということだ。早い時期にサラブレッドとしてのピークを迎えた3歳牝馬が、究極の仕上げを施されて、斤量差を生かし、恐ろしいほどの末脚を発揮するパターンである。たとえば、2013年にオルフェ―ヴルが敗れたときのトレヴがそうである。トレヴは決して弱い馬ではないが、今年に入って勝てていないことからも分かるとおり、あの凱旋門賞では持てる力を120%発揮したような、ある種、異常な走りであった。条件が揃えば、3歳牝馬にはこういった大駆けがあり、古馬の超一流馬の足下を掬うことができる。もちろん、このパターンを逆手に取れば、ハープスターのような3歳牝馬の挑戦には、大きなチャンスがあるということでもある。

Photo by Photostud

関連リンク
ガラスの競馬場:「凱旋門賞に向けて2014-その1-」

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関屋記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sekiyakinen

■1■2000m以上の距離に実績のある中距離馬
スタートしてから最初のコーナーまでの距離、そして最後の直線が圧倒的に長いため、どの馬にとっても息の入らない厳しい流れになる。そのため、スピードよりも、スピードを持続させるためのスタミナがまず問われることになる。全体のタイムや速い上がりタイムが出ることに惑わされることなく、2000m以上の距離に実績のある中距離馬を狙いたい。

■2■ノーザンダンサー系
新潟1600mのコース形態上、スピードの持続を問われることは前述したとおりだが、そのような舞台を最も得意とするのがノーザンダンサー系の馬たち。一瞬の脚で勝負するようなレースでは惜敗を喫してきたノーザンダンサー系の馬たちが、コースを味方にして台頭する。また、ノーザンダンサー系の馬は厳しい気候にも強く、新潟の酷暑にも耐えることが出来ることも、関屋記念を得意とする理由のひとつ。

■3■先行馬もしくはアウトインアウト
2004年 12.5-10.8-11.5-12.0-11.6-11.2-10.6-12.1(46.8-45.5)S
2005年 12.3-10.7-11.6-11.9-12.0-11.3-10.6-11.9(46.5-45.8)M
2006年 12.9-11.0-11.7-11.7-11.7-11.3-10.1-12.1(47.3-45.2)S
2007年 12.8-10.6-11.0-11.2-11.7-11.8-10.3-12.4(45.6-46.2)M
2008年 12.6-11.3-12.1-12.3-11.6-11.0-10.0-11.9(48.3-44.5)S
2009年 12.2-10.8-11.6-12.3-12.1-11.3-10.7-11.7(46.9-45.8)S
2010年 12.7-11.3-12.2-12.0-11.5-10.6-10.3-12.3(48.2-44.7)S
2011年 12.5-10.5-11.5-11.7-11.6-11.8-10.9-12.1(46.2-46.4)M
2012年 12.2-10.9-11.9-12.0-11.7-11.1-10.4-11.3(47.0-44.5)S
2013年 12.3-10.7-11.5-11.7-11.7-11.8-10.8-12.0(46.2-46.3)M

2010年や2012年は極端にしても、前半よりも後半の方が速い、全体としてスローに流れるレースが多い。また最後の直線が659mと長いため、異常なほどに速い上がり3ハロンのタイムが計時される。これだけ上がりが速いと、当然のことながら、前に行っている馬にとっては有利なレースとなる。

新潟競馬場は、押し潰された長円形の形状で、JRAの競馬場では最もコーナーの曲がりのきついコースとなる。新潟のマイル戦では、スタート後の長い直線で勢いがついたままコーナーに突っ込んでいくため、意外とスピードが落ちず、コーナーが曲がりにくい。そのため、減速することなく内ラチに沿ってコーナーを回るのは難しい。外から切れ込むようにしてコーナーを回り、直線では再び外に出すような、アウトインアウトのコース取りが理想的。外枠から発走する馬は、そのようなコース取りがしやすい。

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パワーアップしているサトノノブレス:5つ☆

★小倉記念
メイショウナルト →馬体を見る
前走快勝後に緩めたのか、全体的に余裕があり、もうひと絞りほしいところ。
毛艶は良く、ふっくらとして疲れは皆無なので、連勝も期待できそう。
Pad3star

ニューダイナスティ →馬体を見る
目つきが鋭く、いかにも気性が難しそうな馬だが、その分、ハマると切れそう。
トモがやや薄いが、馬体は全体的にバランスが良く、小回りコースも苦にしない。
Pad3star

マーティンボロ →馬体を見る
黒光りしているように毛艶が素晴らしく、休養を入れて、馬体は完全に回復した。
腹回りにまだ余裕があるが、全体的な仕上がりは良く、休み明けとしては万全。
Pad4star

サトノノブレス →馬体を見る
血統的に長距離向きであるが、ここに来て明らかに馬体がパワーアップしている。
そのことがプラスに働くか分からないが、2000mの距離も対応できそう。
Pad5star

ラストインパクト →馬体を見る
馬体が薄いタイプでスタミナも十分にあるが、筋肉の付き方は物足りなさを感じる。
意図してそういう造りをしているのだろうし、スタミナを生かすレースがしたい。
Pad3star

ダコール →馬体を見る
年齢を重ねるごとに皮下脂肪がついて、よりふっくらと見せるようになってきた。
腰高の馬体は相変わらずで、最後の切れを生かせる展開にはまるかどうかがカギ。
Pad3star

★レパードS
ノースショアビーチ →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入り、3歳馬らしからぬ力強いほぼ完成形の馬体を誇る。
ややトモの位置が低く、スピードに乗るのに時間が掛かるが、さほど問題はない。
Pad4star

アジアエクスプレス →馬体を見る
首がやや高い点を除いては、全体的なバランスも良く、体調自体は悪くない。
顔つきから見て、夏負けしている可能性はあるが、それ以外は問題なし。
Pad3star

カラダレジェンド →馬体を見る
前躯は力強いパワータイプだが、欲を言えばトモの張りが物足りない。
ボーっとして映る表情からもまだ幼さを残しており、良くなるのはもう少し先か。
Pad3star

レッドアルヴィス →馬体を見る
兄よりも線が細い印象を受けるが、胴部や手脚は長く、距離は十分もちそう。
父譲りの気持ちの強さと筋肉の質の良さでダートでこそ走るタイプ。
Pad4star

アスカノロマン →馬体を見る
前走時の立ち写真の方が圧倒的良かったように、今回は全体のバランスが悪い。
もう少しリラックスして立ってほしく、顔つきからも前走の疲れが残っているかも。
Pad3star

ランウェイワルツ →馬体を見る
表情にも立ち姿にも幼さを残しているように、これから先良くなる成長途上の馬。
毛艶も良く、馬体全体のバランスは優れているため、力は出し切れる仕上がり。
Pad3star

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第18回)

Kettounituite18_2

ミホノブルボンは父マグニチュード、母カツミエコー(母父シャレ―)という配合で誕生した。父マグニチュードは代表産駒にエルプス(桜花賞)こそいるが、それ以外にはほとんど実績のない種牡馬であり、母カツミエコーは南関東で1勝を挙げたのみの戦績、さらに母父のシャレ―も無名の種牡馬にすぎなかった。当時、血統のことをほとんど知らなかった私にとっては、わずか750万円で取引されたという事実が、ミホノブルボンのマイナーすぎる血統を物語っているように思えた。はっきりとした低評価であり、血統的な価値は全くもって認められなかったということである。

そのミホノブルボンが朝日杯3歳ステークス、皐月賞、日本ダービーを制し、菊花賞でも2着したという事実が驚きであり、不思議でもあった。競馬はブラッドスポーツであると叫ばれながらも、良血とは無縁の馬が世代の頂点に立ってしまった。私が競馬を始めるひとつのきっかけとなったオグリキャップも、お世辞にも良血とは言えない馬であったが、こういった突然変異が起こる以上、血統とは一体何なのか、という疑問が湧き上がってきたのである。淘汰を繰り返してきたサラブレッドはどの馬も良血であるという論にも、頷けるような頷けないような気がした。血統なんて実は何の関係も意味もなく、強い馬が強いというだけの話なのではと思ったりもした。

ミホノブルボンは隔世遺伝における突然変異だと考えることはできる。ミホノブルボンを管理した故戸山為夫調教師は、仔馬だった頃のミホノブルボンを見て、「まったく走らない馬だとは思わなかったけれども、これほど走るとは思わなかった」と感じたという。しかし、血統的にはひとつだけ閃くところがあったそうだ。それは毛色である。父マグニチュードは鹿毛、母カツミエコーは青毛であったが、ミホノブルボンは栗毛。血統を辿っていくと、ミホノブルボンの祖母にあたるAltesse Royaleが栗毛なのである。英1000ギニー、英オークス、愛オークスを制した名牝であるAltesse Royaleが隔世遺伝したのではないかという仮説である。

とはいえ、ミホノブルボンは血統の良くない馬であっても、安い馬であっても、鍛えれば強くなるという戸山イズムの象徴であったことは確かだ。「欠点のない人間がいないように、ミホノブルボンにも欠点がある。脚に不安があり、頭が高く、走る姿勢が悪い。走る姿勢は馬の骨格で決まるから、それを変えるのは困難だ。人でも馬でも、欠点を補うのは努力である」と故戸山調教師は語り、ミホノブルボンはそれを体現してみせたのだ。サラブレッドの世界において、氏よりも育ち、血統よりも調教ということを、私の目の前で証明したのである。

と同時に、最後の最後に問われるのは血統であることを教えてくれたのもミホノブルボンであった。菊花賞の走りと敗北は、明らかにスピードタイプの馬のそれであり、マグニチュードを父に持つミホノブルボンが本質的には短距離馬であったことの証である。同じくスプリント血統のキョウエイボーガンが先頭を奪って玉砕していった様も、何とか踏ん張ろうとするミホノブルボンを無情にも交わしていったライスシャワーの姿も、サラブレッドにおける血統の物語を彩っている。鍛えれば強くなる、努力すれば欠点を補えることを体現したのはミホノブルボンであり、どれだけ鍛えても、乗り越えることのできない血統の壁(肉体的な壁から気性面での壁まで)が存在することを教えてくれたのもミホノブルボンであった。一見矛盾するように思えるこれらの考え方は、サラブレッドの血統における真実のひとつでもある。

Photo by 三浦晃一

(第19回へ続く→)

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小倉記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kokurakinen

■1■高速馬場に対応できるスピード
サマー2000シリーズ第3戦。2006年から北九州記念が1200m戦となり、小倉記念が7月最終週~8月第1週へとスライドされた。主なステップレースは七夕賞となるが、レースの特徴から考えても、七夕賞と小倉記念は直結しない。

なぜなら、七夕賞が福島競馬場の荒れてきた馬場で行われることに対し、小倉記念は野芝が生え揃った絶好の馬場で行われるからである。野芝は気候の暖かくなる6月くらいから成長し、8月の最も熱い季節に最盛期を迎える。野芝100%で行われる小倉競馬場の馬場は、これ以上ないほどの絶好の高速馬場となる。つまり、七夕賞ではパワーが求められるのに対し、小倉記念は高速馬場に対応できるスピードが求められることになるのだ。

後半からラップが急激に上がるため、スピードの持続力も必要とされることになるところがミソ。速い持ち時計があり、なおかつそのスピードを支えるスタミナを秘めた馬が狙いか。

■2■前走の着順
前走の着順別の小倉記念での成績を見てみたい(過去10年間)。

前走1着    【2・2・3・17】 連対率17%
前走2着    【4・1・1・7】 連対率39%
前走3着    【1・3・1・9】 連対率29%
前走4着    【0・0・1・9】 連対率0%
前走5着以下 【1・2・4・37】 連対率9%
前走10着以下 【2・1・0・38】 連対率7%

前走で勝ち負けになっていた馬の連対率が圧倒的だが、これは夏の上がり馬が活躍していること以上に、北九州記念と小倉記念の結びつきの強さを示していた。1ヶ月前にほぼ同条件で行われていた北九州記念の好走組が、小倉記念でも好走するのは至極当然である。

しかし、上で述べたように、主なスnテップレースが北九州記念から七夕賞へ変わったことにより、前走の着順がそのまま小倉記念へとスライドすることはなくなるはずである。どちらかというと、七夕賞のレースが適性に合わなかった馬の巻き返しというパターンが多くなるはずで、前走の着順はさほど気にしなくてもよいだろう。

■3■内枠の差し馬有利
かつて小倉記念は馬場の内が悪い重賞であった。なぜなら、連続開催の3回小倉が始まる頃、1回小倉以降に張り替えた部分のAコース最内がかなり傷んでくるからである。ちょうどその辺りに小倉記念は位置していたため、馬場の良い所を走られる外枠を引いた馬は有利であった。しかし、2006年からは開催時期がズレたことにより、内外の有利不利がなくなった以上、4つコーナーの小回りコースということを考えれば内枠有利となる。そして、各馬が直線の短さを意識して早めに仕掛けることで、一瞬の脚を持った差し馬にとって絶好の舞台となることも覚えておきたい。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第17回)

Kettounituite17ミホノブルボンは日本ダービーを快勝後、夏の休養に入った。ライスシャワーだけではなく、もう1頭、ミホノブルボンの3冠を阻止せんと密かに牙を研いでいる馬がいた。キョウエイボーガンは、皐月賞にもダービーにも出走せず、ひたすら裏街道を歩みながら力をつけ、中日スポーツ賞4歳S(G3)と神戸新聞杯(G2)を連勝した。ミホノブルボンとキョウエイボーガンが初めて激突したのは、菊花賞の前哨戦にあたる京都新聞杯(G2)であった。

ミホノブルボンとキョウエイボーガンには「逃げ馬」という共通点があった。京都新聞杯を逃げたのはミホノブルボン。圧倒的な地脚の強さでハナに立つと、そのまま春の強さを再現するようにゴール板を走り抜けた。キョウエイボーガンは逃げることができず、2番手に抑える競馬をしたものの、本来の力を出し切ることなく、9着という思わぬ惨敗を喫してしまった。逃げ馬が逃げられなかった時点で終わりという典型的なレースであった。

ミホノブルボンのあまりの強さに、競馬ファンの間では、シンボリルドルフ以来の無敗の3冠馬の誕生はほぼ確定ムードに。春は血統的に距離延長が不安視されていたミホノブルボンが、菊花賞当日1.5倍の1番人気に推されたことからも、その熱狂ぶりがお分かりいただけると思う。ミホノブルボンが無敗の3冠に輝いたときに、競馬場のターフビジョンに映し出すために、詩人の志摩直人さんはこんな詩を用意していたそうだ。

その道に皐月花咲き
その道に青葉かぎろい
その道に菊花の飾り
ただひたすらにおのが道
速いことは美しい
そんな美学に酔いしれた
不敗の三冠、京の秋
ミホノブルボンの眩しさよ

ミホノブルボンの鍛え上げられた栗毛の馬体に、京都競馬場独特の夕陽が反射しながら、このような美しい詩が奏でられるはずであった。誰もがそんな結末を期待していたと思う。

しかし、本番の菊花賞では、キョウエイボーガンと松永幹夫元騎手が逃げた。強い覚悟を持って、ミホノブルボンから先頭を奪ったのだった。2周目の3コーナーまで先頭に立っていましたが、そこで失速し、そのまま後退して16着。ミホノブルボンはいつも通りの逃げが打てず、終始、折り合いを欠き、最後の直線半ばでライスシャワーに抵抗することなく交わされ、惜しくも3冠を逃してしまった。たった1頭の逃げ馬が歴史を変えたのであった。

キョウエイボーガン陣営は、菊花賞で逃げるかどうか、ギリギリまで頭を悩ませていたそうだ。キョウエイボーガンの気性から、逃げなければまず勝てないが、逃げてもバテてしまうだろう。もしレースを壊してまで逃げて、自分の敗北だけならまだしも、ミホノブルボンの3冠をも台無しにすることがあれば、批判は避けられない。自分の馬が勝つためだけのわずかな可能性に賭けるべきなのか、それとも競馬全体の空気を読むべきなのか。今考えてみても、どちらが正しい決断だったかは正直私にも分からない。ただひとつ、「逃げ馬」はひとつのレースにたった1頭しかいないという悲しい宿命を、そして血の恐ろしさを、キョウエイボーガンは私たちに教えてくれたのであった。

Photo by 三浦晃一

(第18回へ続く→)

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牝馬離れした筋骨隆々の好馬体ケイアイエレガント:5つ☆

★アイビスサマーダッシュ
セイコーライコウ →馬体を見る
力強さはないが、前後のバランスが良く、馬体もきちんと仕上がった。
クロフネのパワーよりも、母父サンデーサイレンスの軽さが出たタイプ。
Pad3star

フォーエバーマーク →馬体を見る
6歳馬ながらにして、相変わらず丸みのあるパワーに溢れた馬体を維持している。
年齢的なものもあり、腹回りにはやや余裕はあるが、トモの実の入りは素晴らしい。
Pad3star

アンゲネーム →馬体を見る
牡馬らしくないというか、セン馬らしいというか、無駄な肉のついていない馬体。
やや線の細さを感じさせるが、筋肉の質は良く、直線競馬向きのパワーはある。
Pad3star

リトルゲルダ →馬体を見る
前躯には力強さがあるが、反面、後躯の実の入りには物足りなさを感じさせる。
表情から気性の強さは伝わってくるが、スムーズなレースができるかどうか。
Pad3star

アースソニック →馬体を見る
ふっくらとしてリフレッシュされた馬体だが、まだ随処に余裕がある。
脚が短く、重心も低い、典型的なスプリンター体型だけに、距離はベストか。
Pad3star

シャイニーホーク →馬体を見る
こちらは短距離馬としては脚が長く、スピードに乗るまでに時間を要しそう。
馬体全体のバランスは良く、表情からも安定して走ることができそうな気性。
Pad3star

★クイーンS
ディアデラマドレ →馬体を見る
前走もまだ幼さが残っていたが、今回も成長途上にある馬体で完璧ではない。
腹がやや巻き上がって映るように、前走快勝の疲労が抜けていない可能性も。
Pad3star

スマートレイヤー →馬体を見る
すっとリラックスして立てており、非の打ちどころのないなだらかなシルエット。
芦毛のため毛艶や筋肉のメリハリは分かりにくいが、この馬としては完璧な仕上がり。
Pad4star

ケイアイエレガント →馬体を見る
牝馬離れした筋骨隆々の好馬体は、父キングカメハメハから受け継いだもの。
馬体に硬さはあるが、毛艶は良く、この馬としては絶好調の出来にある。
Pad5star

アロマティコ →馬体を見る
絶好調時に比べると、どうしても馬体が薄く、筋肉のメリハリに欠ける印象。
全体的な長さはあり、スタミナは十分だが、トモが薄いためパワーが感じられない。
Pad3star

オツウ →馬体を見る
少しずつ競走馬らしい肉体になってきているが、まだまだ線の細さは否めない。
パワータイプではない馬だけに、札幌競馬場の力を要する洋芝がどう影響するか。
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マコトブリジャール →馬体を見る
腹目が巻き上がっているように、もう少しカイバ食いの太さがほしいところ。
絞れているかといえばそうでもなく、筋肉のメリハリという点でも今一歩。
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キャトルフィーユ →馬体を見る
トモが流れているため、前躯が勝っているように映るが、トモにも実が入っている。
全体的に長さが出てきているため、スタミナも十分で簡単には崩れない。
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クイーンSを当てるために知っておくべき3つのこと

Queens

■1■スロー必至で先行馬有利
過去12回の脚質別の成績は以下のとおり。
逃げ【6・0・0・8】   連対率43%
先行【4・4・6・4】  連対率44%
差し【2・6・6・52】   連対率12%
追い込み【0・1・2・35】 連対率3%

逃げ馬の連対率が(勝率も)43%という驚異的な数字だけではなく、逃げ、先行馬以外からほとんど勝ち馬が出ていない。とにかく前に行けなければ勝負にならない。

これだけ先行した馬に有利になる理由として、札幌1800mのコース形状が挙げられる。スタートしてから1コーナーまでの距離が185mと短すぎて、かえってポジション争いがなく、スローペースになる。そして、コーナーが4つもあるため、後続がなかなか差を詰めることが出来ないまま3コーナーに突入してしまう。さらに、ゴール前直線も266mしかなく、平坦であることも手伝って、前が止まらない。よほどジョッキーたちが意識して早めに動かない限り、前残りのペースになることは避けられないだろう。

また、札幌競馬場は洋芝100%の芝コースであって、パワーだけではなく底力とスタミナが必要とされる。しかし、このレースに限って言えば、開幕週ということもあって馬場がほとんど傷んでおらず、まず何よりも勝つためには先行できる軽快なスピードが要求される。

■2■4歳馬有利
3歳馬  【3・3・3・22】 連対率19%
4歳馬  【7・3・3・39】 連対率19%
5歳馬  【2・7・6・33】 連対率18%
6歳以上 【1・0・1・18】 連対率5%

連対率こそ違いはないが、4歳馬から勝ち馬が最多の7頭出ている。競走馬としてのピークが短い牝馬の別定戦である以上、最も充実するはずの4歳馬の活躍が目立つのは当然のこと。未完成の3歳馬にとっては、この時期に古馬と3kg差で戦うのはなかなか厳しい。だからこそ、逆に、この時期に古馬相手に好走した3歳馬は高く評価してよい(昨年のアヴェンチュラはクイーンSを勝利したのちに秋華賞を制した)。

また、自身のピークが過ぎてしまっている5歳以上の馬は軽視しても構わないだろう。ただ最近は、調教技術が進歩して、高齢でも力が衰えていない馬もいるので要注意。もちろん個体差はあるが、この傾向はクイーンSがこの時期に行われる限り続いていくはず。

■3■内枠有利
前述のとおり、道中がスローで流れる可能性が高いのであれば、当然のことながら内枠が有利になる。スタートしてから1コーナーまでの距離が185mと極端に短く、1コーナーまでの位置取りは枠順によって決まることが多いので、逃げ・先行馬は是が非でも内枠を引きたい。ロスなく好位を確保できた馬にこそ、勝つチャンスが訪れる。

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