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「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」

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凱旋門賞が行われる前に読んでおきたい本ではあるが、凱旋門賞が終わってからでも楽しめるだろう。いや、やはり凱旋門賞のスタートが切られる前に読んでもらいたい。1969年スピードシンボリに始まった日本馬による凱旋門賞挑戦の黎明期から、エルコンドルパサー、ディープインパクト、ナカヤマフェスタ、ヴィクトワールピサ、そしてオルフェ―ヴルまで、日本馬が出走しなかった凱旋門賞も現地に足を運んできた平松さとし氏だからこそ知る舞台裏が描かれている。最後まで本書を読み進めてみると、私たち競馬ファンの中にも、凱旋門賞制覇に向けた情熱が熱く脈打っていることが分かるはず。

実はスピードシンボリとメジロムサシから、日本馬として3頭目の挑戦となったシリウスシンボリとの間には13年の間隔が開き、そしてそこからエルコンドルパサーに至るまで、さらに14年の歳月が流れている。こんなにも毎年のように日本馬が凱旋門賞に出走するようになったのは、つい最近のことなのだ。それはスピードシンボリやメジロムサシの挑戦がいかに革新的であり前衛的であったかを物語っているとも言え、エルコンドルパサーの2着が凱旋門の重い扉をこじ開けたとも言えるだろう。あとはどの馬が日本馬として初めて凱旋門賞馬に輝くのか、といった段階にすでに来ている。たとえ勝てなかったとしても、それぞれの激闘はこうして私たちの記憶にはっきりと残っているのだから、凱旋門賞に挑戦する価値は極めて高い。

こうして凱旋門賞挑戦の歴史を一望してみると、やはりあのディープインパクトが勝てなかったことが今もって悔やまれる。あの時、ディープインパクトは完璧に仕上がっていなかったし(その後の2戦の走りを観てもそれは分かる)、内に包まれるのを嫌って外に出そうとした武豊騎手の手綱さばきは最善ではなかったと個人的には思う。武豊騎手もそう語っていたように、ディープインパクトを知る誰もがあの時勝てると思っていて、それを慢心と言うべきかどうかは分からないが、だからこその安全策がことごとく裏目に出てしまったのだ。競馬とはそういうものだし、凱旋門賞はそんなに甘くはないということだ。それでも、と思う。武豊騎手があの凱旋門賞のレースが今でも夢に出てくるという気持ちは痛いほど分かる。もしできることならば、タイムマシーンであのときに戻ってやり直したい。

著者は心外に思われるかもしれないが、巻末にある武豊騎手のインタビューに凱旋門賞のすべてが凝縮されているような気がしてならない。日本人にとっての凱旋門賞とは、ミスター競馬と呼ばれた野平祐二氏によって始まり、武豊騎手に受け継がれているDNAのようなものだ。

「日本とフランスの競馬のズレというのはあると思うんです。それはどちらの国の馬が強いというのではないんです。日本で勝つ馬はフランスのレースにマッチするのが難しく、フランスで強い馬は日本では勝ちづらいというか。なかなか両方のレースをこなせる馬は少ない気がするんです」

という武豊騎手の発言は本質を突いている。そして、「最低限の能力は必要だけど、最強クラスでないとダメということではないでしょう」と提案する。今年はゴールドシップ、ジャスタウェイ、ハープスターという3頭の最強クラスの馬たちが挑戦するが、もしそれでも勝てなかったとすれば、今後は凱旋門賞に合う馬を見つけて連れていくという発想に本気で切り替えることが必要になるのではないだろうか。

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スプリンターズSを当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■サマースプリントシリーズの最終戦として
1990年にG1レースに昇格し、それ以降、師走のスプリント決戦として定着していたが、2000年から秋の中山開催へと時期が変更された。この変更によって、夏に行われるサマースプリントシリーズとの結びつきが強くなった。夏競馬を使ってきた勢いを、ほとんどそのまま持ち込めるようになったということだ。そういう意味において、スプリンターズSはサマースプリントシリーズの最終戦と考えて良いだろう。

とはいえ、サマースプリントシリーズで目一杯走り切ってしまった馬は苦しい。2007年のサマースプリントチャンピオンに輝いたサンアディユがそうであったように、夏に3走もしてしまっていると、最後のスプリンターズSではガス欠を起こしてしまうことになる。また逆に、なんらかの事情があって、ここがブッツケになってしまった馬では、余程力が抜けていないとこのレースを勝つことは難しい。つまり、サマースプリントシリーズを使いつつ、スプリンターズSを最終目標に定めてきた馬を狙うべきである。

■2■今年は牝馬!?
過去10年の牡馬・牝馬別の成績を見てみたい(セン馬は牡馬に含む)。
牡馬【7・8・8・102】 連対率12%
牝馬【3・2・2・ 27】 連対率15%

牝馬の出走数が少ないのは確かであり、連対率にしてみれば牝馬の方が上ではあるが、それにしても牝馬の勝ち馬が少ない。カレンチャンやスリープレスナイト、アストンマーチャンとさかのぼっていくと、わずかに平成14年にビリーヴが勝利したのみで、それ以外の年は全て牡馬もしくはセン馬が勝利した10年間もある。最後に急坂が待ち受ける中山競馬場のスプリントG1戦では、最後に物理的なパワーが要求されるということだろう。ちなみに、ビリーヴが勝った年は平坦の新潟競馬場での開催であった。新潟競馬場で行われる今年は牝馬の活躍を期待してよいだろう。

■3■1200m以上のスタミナ
スピード自慢の馬たちが揃うため、前半3ハロンは32秒~33秒前半というハイペースになり、さらに直線に急坂が待ち受けていることも加わって、後半3ハロンは35秒台の消耗戦となる。前半と後半で2秒以上の落差が生まれることによって、一本調子のスピード馬にとっては厳しいレースになり、このレースを勝ち切るためには1200m以上のレースを走るだけのスタミナが要求される。

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現在絶好調のクランモンタナ:5つ☆

★神戸新聞杯
ワンアンドオンリー →馬体を見る
良くも悪くも春シーズンと変わらぬ立ち姿で、臨戦態勢は整っている。
馬から覇気が伝わってこないのは、休み明けのせいか、それとも反動か。
Pad4star

ハギノハイブリッド →馬体を見る
やや太めだが、休み明けでリフレッシュされ、筋肉に柔らかみが戻ってきている。
前駆が勝っていて、腰高に映るように、2400mの距離は体型的に少し長い。
Pad4star

ウインフルブルーム →馬体を見る
前後にバランス良く筋肉がついて、各パーツにもそれなりに長さがある。
本質はスピードタイプだが、自分の型に持ち込めれば、こなせない距離ではない。
Pad4star

サトノアラジン →馬体を見る
夏場を使ってきた割に、馬体はふっくらとして、フレッシュな感じは保っている。
前後に均等に実が入って、春当時よりもパワーアップしているが距離がどうか。
Pad4star

ト-センスターダム →馬体を見る
休み明けにしては筋肉に硬さが残っており、本調子にはひと叩き必要か。
表情からは気の強さが伺え、大崩はしないだろうが、本格化はまだ先。
Pad3star

サウンドオブアース →馬体を見る
他のメンバーに比べると、脚が短く、重心が低く、スパッと切れる馬体ではない。
ジワジワと脚を使う鈍足タイプだから、距離はこれぐらいがベストだろう。
Pad3star

★オールカマー
マイネルラクリマ →馬体を見る
使い込んできているが、毎回、良く見せるため、正直走りどころが分かりにくい。
今回も研ぎ澄まされた馬体を誇っており、疲れは微塵も感じさせない。
Pad4star

マイネルメダリスト →馬体を見る
コロンとした体型だが、ステイゴールド産駒らしく、距離に関わらず気持ちで走る。
もうひと絞りできそうな余裕のある仕上がりで、今回はどこまで走るか。
Pad3star

フェイムゲーム →馬体を見る
この馬はいかにも休み明けといった馬体で、腹回りにかなりの余裕を残している。
リフレッシュされたことは確かで、今回のレースを叩かれて、次以降が狙い目か。
Pad3star

サトノノブレス →馬体を見る
休み明けだった前走の方が迫力という点では上だが、絞れて安定して走れる馬体。
尾がやや短いのがバランス上気になるが、いかにも距離延びて良さそう。
Pad4star

クランモンタナ →馬体を見る
馬体全体の中で首のラインが細く、長いため、距離が延びて良さが出るタイプか。
毛艶は分かりにくいが、黒く見えるように、現在絶好調の出来にあるはず。
Pad5star

カレンブラックヒル →馬体を見る
腰高に映る馬体のアウトラインはそれほど変わらないが、リフレッシュされている。
筋肉に柔らかみがあり、ボリュームも増しているように、秋シーズンは復活あるかも。
Pad4star

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オールカマーを当てるために知っておくべき2つのこと

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■1■夏を使ってきた馬
これは9月競馬全体に言えることだが、まだこの時期においては、休み明けの実績馬よりも夏競馬を使ってきた上がり馬の方が優勢である。この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しく、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。ところが、休み明けの馬は実績のある馬であることが多いため、たとえ仕上がりが悪くても、どうしても人気になってしまう面は否めない。私たちは春競馬での強い姿を覚えているので、ある程度の期待と幻想を持って、休み明けにもかかわらず実績馬を人気に祭り上げてしまうのだ。

過去13年の勝ち馬を見ても、8月以降のレースを使っていた馬が8頭に対し、春以降ぶっつけで臨んできた馬が4頭と、休み明けの馬にとっては苦しいという結果が出ている。特に、春シーズンを最後まで戦い抜き、出がらしの状態で休養に入った馬にとっては、9月の段階で本調子に仕上げ直すのは非常に難しい。

■2■勝ち馬は差し脚質から
今年は新潟競馬場で行われる以上、これまで中山競馬場で行われたオールカマーの傾向がほとんど当てはまらないだろう。そこで、今年の新潟競馬場2200mで行われた8つのレースにおける、脚質別の成績を見てみたい。

逃げ   【1・0・1・7】連対率12%
先行【  2・5・1・20】連対率25%
差し   【5・1・4・35】連対率14%
追い込み【0・2・2・28】連対率6%

逃げ馬や追い込み馬のような極端な脚質の馬にとっては有利に働かないレースであり、連に絡む馬は先行、差し脚質から出ている。ところが、勝ち馬と2着馬を分けて考えると、勝ち馬は差し脚質から、2着馬は先行脚質からとはっきりとした傾向がある。勝ち馬を探すとすれば、末脚の確かな差し馬を狙うべき。

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なぜ日本ダービー馬は好発進するも、その後不振に陥るのか?

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過去の日本ダービー馬を思い返してみると、その年の秋シーズンは、不振に陥っている馬が多いことに気づく。ディープインパクトやオルフェ―ヴルといった3冠を獲るような馬は別にして、ほとんどの普通のダービー馬は、極度の疲労から回復するのに時間が掛かって秋シーズンを棒に振ってしまったり、ひどいケースだとさっぱり走らなくなったり、怪我をしてそのまま引退してしまうこともある。日本ダービーで極限のレースを強いられ、肉体的にも精神的にも燃え尽きてしまうからである。

そんな中でも、なぜか秋初戦だけは走る馬が多い。スペシャルウィーク、アドマイヤベガ、キングカメハメハ、ディープスカイは、秋初戦(神戸新聞杯や京都新聞杯)だけは勝利した。その後のレースにおける走りを見ても、なぜ初戦だけは走ったのか不思議である。秋初戦のレースの方が、その後のG1レースよりもメンバーが弱いということは確かにあるが、そういう問題を抜きにしても、あまりにも秋2戦目以降のふがいなさが目立つ割には、秋初戦は好発進したかのように見せる日本ダービー馬が多いということである。

たとえば、スペシャルウィークは、菊花賞で圧倒的な1番人気に推されながらもセイウンスカイの影も踏めず、続くジャパンカップでは最後の直線でフラつく素振りを見せてエルコンドルパサーに一瞬にして突き放された。アドマイヤベガも同じで、菊花賞で見せ場なく6着に惨敗し、再び走ることはなかった。キングカメハメハは故障してしまい早々に引退し、ディープスカイは天皇賞秋、ジャパンカップと古馬に挑むも勝ち切れなかった。昨年の日本ダービー馬であるキズナをこのパターンに当てはめるべきかどうかは難しいところだが、二エル賞を快勝し、凱旋門賞では4着に敗れた。

なぜ秋初戦だけは走って、その後のレースでは凡走するかというと、日本ダービー馬を負けさせるわけにはいかないという陣営の意識が、ダービー後も馬体をあまり緩めることなく、疲労を表に出さないように引っ張ってこられる限界が秋初戦ということなのだろう。さすがにそれ以降は馬も耐えられず、それまでの疲労が一気に噴出してしまい、本来の走りができなくなってしまう。どれだけ調教技術が進歩しても、究極に仕上げられたレースの後は体調が下がり、落ちるところまで落ちてからまた回復してゆくという体調のバイオリズムに抗うことはできないのだ。

ワンアンドオンリーはこのパターンに当てはまるのではないか。日本ダービー馬であることは確かだが、決してディープインパクトやオルフェ―ヴルのような超一流馬ではない。実力でいえばイスラボニータの方が一枚もしくは二枚上であり、日本ダービーは枠順の良さと究極の仕上げによってなんとか勝つことができた。目に見えない疲れは当然あるはず。調教であまり動かない馬だけに、もしかしたら神戸新聞杯も負けてしまうこともあるかもしれないが、勝ち負けには持ち込んでくるだろう。そして、私が最も杞憂しているのは、いかにも好発進したように見えるワンアンドオンリーが菊花賞で惨敗してしまうシーンなのである。

Photo by 三浦晃一

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神戸新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■とにかく前走ダービー上位組
過去13年のうち、前走ダービー組から11頭の勝ち馬が出ている。連対馬にまで対象を広げても、26頭中18頭が前走ダービー組である。さらに日本ダービー優勝馬は【4・2・0・0】連対率100%、2着馬は【4・3・2・3】連対率50%以上と抜群の成績を残している。紛れのない府中2400mで行われるダービーで勝ち負けになった馬は、たとえ休み明けでも確実に勝ち負けになる。とにかく、ダービー上位組を狙うべきレースである。

■2■瞬発力があり、先行できる馬に有利
阪神2400mはスタートしてから最初のコーナーまでの距離も長く、休み明けの馬が多いこともあってスローペースは否めない。そして、緩やかな3~4コーナーをゆっくり回るため、どうしても直線に向いてからのヨーイドンの競馬になる。当然のことながら、先行できる馬にとって有利になり、「折り合いに不安のある馬」、または「瞬発力のない馬」にとっては苦しくなる。枠順としては、スローになる分、どちらかというと内枠有利。

■3■さほどスタミナは問われない
2007年から距離が400m延長されたが、この時期の芝は軽いことや、阪神2400mコースの特性上、さほどスタミナを問われるレースにはならない。よって、前走ダービー上位組以外を狙うのであれば、夏を越して力をつけてきたステイヤーを狙うのではなく、ただ単純に夏の上がり馬を狙うだけでよい。上がり馬だけに、前走で勝っていることは最低条件になるだろう。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第23回)

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フジキセキはサンデーサイレンスに似ていると書いたが、もちろん似ていない面もある。同じ青鹿毛ゆえに生き写しのように誤解されてしまうこともあったが、気性の激しさと勝負根性の良さという精神面においては似ていて、馬体全体や各パーツという肉体的特徴においてはほとんど似ていなかった。サンデーサイレンスのように見えて、実はそうではなかったのだ。むしろ今から思えば、フジキセキは母系に脈々と流れるミルリーフの血を色濃く受け継いでいた。

ミルリーフは生涯14戦して12勝、2着2回という圧倒的な強さを誇った名馬である。何よりも、勝つときの着差が凄まじく、英ダービーの2馬身差から始まり、エクリプスSでは古馬のカロを4馬身離してレコード勝ち。キングジョージでは6馬身差、続く凱旋門賞では3馬身差、しかもコースレコード。古馬になってからも、ガネー賞では後続を10馬身千切ったように、まともに走ったらこの馬の影を踏むことができる馬はいなかったと言われる。

そんなミルリーフでも2回だけ負けたレースがあり、ひとつはデビュー3戦目にフランスに初めて空輸した際に激しく入れ込み、カイバを24時間もの間、全く食べなかったことによるもの、もうひとつは1971年の2000ギニーで、イギリスの国民的アイドルホースであるブリガディアジェラード(18戦17勝)に得意のマイル戦で敗れたものであった。この2000ギニーは歴史に残る名勝負であったが、人気とレースの結果、そしてその後の種牡馬としての成功も、それぞれに異なる珍しいレースであった。

人気
1番人気 マイスワロー
2番人気 ミルリーフ
3番人気 ブリガディアジェラード

結果
1着 ブリガディアジェラード
2着 ミルリーフ
3着 マイスワロー

人気と結果が見事に逆転している。たった6頭立てのレースだけに、光と影、明暗がはっきりと分かれたレースであった。そして、この3頭の中で、種牡馬として結果的に成功したのはミルリーフのみ。実は、ミルリーフが登場する前年にあのニジンスキーが英国3冠を達成している。2年連続で名馬が誕生したことになり、たとえば日本で言うとキングカメハメハとディープインパクトのように、2頭の比較が盛んに行われたという。当時における最高のハンデ作成委員会は、競走馬としてはミルリーフが2ポンド(約1kg)の優位と評価していた。ただし、ニジンスキーは種牡馬としてはミルリーフのさらに上を行く大成功を収めたのだから競馬は面白い。

話しをサンデーサイレンスとフジキセキに戻すと、これはしばらくしてから分かることなのだが、サンデーサイレンスという種牡馬は、母系の良さを引き出すことに長けていたのである。いかにもサンデーサイレンスらしい外見の産駒であったため、フジキセキもそして種牡馬としてのサンデーサイレンスもまだこの時期は大きく誤解されていた。フジキセキが早々に種牡馬入りしたものの、当初これといった活躍馬を出せなかったのは、もちろん父サンデーサイレンスが健在であったからということは確かだが、それ以上に、生産者サイドがフジキセキをサンデーサイレンスの代用品と考えていたことが大きい。

「サンデーサイレンスをイメージして配合し、育成、調教してしまったことが大きな間違いでした。サンデーサイレンスは重厚感のある欧州系のステイヤー牝馬と合い、重たさを解消してシャープな馬を出しましたが、フジキセキは筋肉質で身体のボリュームもある馬です。サンデーサイレンスは全体に細身でつなぎが長く、クッションのいい馬が多いのですが、フジキセキは前脚がかために出るタイプで、かき込む走法になる。だから、どうしても脚元に負担が掛かってくるのです。産駒はただでさえ大きくなるから、余計に負担が掛かって故障馬が出ました」『優駿』2008年8月号

フジキセキは日本初のシャトル種牡馬として、オーストラリアで種付けを行っている。結果から言うと、フジキセキの豪州での産駒はさほど振るわなかった。105頭の牝馬、しかも一流牝馬を集めてもらっていただけに、オーストラリアの競馬関係者らの失望は深かった。向こうの競馬は短距離が中心で、しかもスタートしてからすぐにトップスピードに乗り、どこまでバテずに走り続けられるかを問われる典型的なスプリント戦になりやすい。道中はスタミナを温存しながらゆったりと走り、最後の直線で瞬発力が問われる日本の競馬に適性を見せたフジキセキの産駒は、オーストラリアの競馬には合わなかったのである。

Photo by 三浦晃一

(第23回へ続く→)

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休み明けとしては完璧イスラボニータ:5つ☆

★ローズS
レッドリヴェール →馬体を見る
ふっくらとしてきて復調気味だが、まだ線の細さがあり物足りない。
気持ちの強さで走るタイプだけに休み明けは問題ないが、大きな成長はない。
Pad4star

ヌ―ヴォレコルト →馬体を見る
成長が感じられないという点ではこの馬も同じで、春の疲れがまだ残っている。
夏負けがあったかもと思わせる表情で、休み明けにしてはリフレッシュされていない。
Pad3star

ブランネージュ →馬体を見る
脚がやや短く、重心が低いため、距離はこのぐらいが上限となるだろう。
馬体全体を見ても、これといって強調材料はなく、尾が短いのが逆に気がかり。
Pad3star

サングレアル →馬体を見る
この馬も春当時と変わらず、馬体の線が細く、パワー不足を感じさせられる。
手脚や胴部が長く、将来性は非常に高い馬体のラインだが、肉付きが物足りない。
Pad3star

ディルガ →馬体を見る
特に前駆に筋肉がぎゅっと詰まっており、馬体全体のメリハリもなかなかのもの。
顔つきを見ると、幼い表情をしており、あまり揉まれるレースになると苦しいか。
Pad3star

アドマイヤビジン →馬体を見る
貼る当時から馬体を良く見せるタイプの馬で、夏を越してもその形は崩れていない。
馬体全体に伸びがあって、筋肉も十分について力強く、あとひと絞りで完璧な仕上がり。
Pad4star

★セントライト記念
イスラボニータ →馬体を見る
夏を越してリフレッシュされた馬体は生気に満ちていて、筋肉の柔らかみが素晴らしい。
毛艶も良く、トモには十分に実が入っており、休み明けとしては完璧な仕上がりにある。
Pad5star

マイネルフロスト →馬体を見る
ごく平凡な馬体であり、欠点は見当たらないが、ややトモの筋肉が乏しいのが残念。
芦毛ながら黒光りしている部分も見えるように、毛艶は良く、体調は万全である。
Pad3star

トゥザワールド →馬体を見る
春にも指摘してきたが、馬体全体と比べると脚が短く、全体のバランスとしては良くない。
休み明けで馬体自体はフレッシュしているので、この馬の力は出し切れるはず。
Pad4star

ショウナンラグーン →馬体を見る
力強い立ち姿で、春当時と比べて、パワータイプにシフトしてきた印象。
特に前駆のつくりは中距離馬のそれで、2200mの距離はギリギリか。
Pad3star

ステファノス →馬体を見る
春シーズンに無理をしなかったことが吉と出たか、実に柔らかい筋肉を誇る。
前駆に比べてトモが物足りないが、とても休み明けとは思えない仕上がり。
Pad45star

タガノグランパ →馬体を見る
胴部は十分に伸びがあって、母父スペシャルウィークの影響が出てきている。
1400m戦を勝ってはいるが、実は隠れたステイヤーとなる可能性も。
Pad4star

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ローズSを当てるために知っておくべき3つのこと

Roses

■1■前走オークス組と夏の上がり馬がほぼ互角
過去10年の勝ち馬の前走を見ると、G1オークスもしくは桜花賞以来の馬が9頭、条件戦(500万下)からが1頭と、休み明けでも実績馬に分がある。連対馬に手を広げても、G1オークス(もしくはNHKマイル)以来が6頭、条件戦(もしくはG2・3)からが4頭と、こちらはほぼ互角となる。

これは、牝馬は総じて仕上がりが早いということに理由があるだろう。この時期であれば、基本的には夏にレースを使っていた馬が有利なのだが、たとえ休み明けであっても、春の実績馬がある程度までキッチリと仕上がって出走してくるということである。つまり、春のクラシックを走ってきた実績馬が夏の上がり馬と五分に戦える舞台となっている。

■2■紛れが少なく、内枠有利なコース設定
改修後の阪神1800mは、スタートしてから最初のコーナーまでの距離が長く、直線も長いため、
激しい先行争いもなく、極めて紛れの少ないコースといえる。別の言い方をすると、ごまかしが利かないため、スタミナのないマイラーでは苦しい。また、コーナーを緩やかに回るので、馬群が固まりやすく、外枠を引いた馬は外々を回されやすい。内枠を引いた馬が有利である。

■3■瞬発力勝負に強い馬
改修後の阪神1800mコースの特性上、どうしても道中がスローで、最後の直線に向いての瞬発力勝負になりやすい。そういった意味では、前に行ける先行馬にとって有利となるが、後方からでも瞬発力に優れていれば差し切れる。

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天に唾を吐き続けた騎手

Satotetsuzo佐藤哲三騎手が現役復帰を断念し、引退する声明を発表した。2012年11月の落馬事故により全身に大けがを負い、それでも6度の手術を乗り越え、リハビリを続けてきたが、ついに鞭を置く決断をした。「待ってくれている人たちもいる」と語っていたように、まだやり残したこともあったはず。ジョッキーとして、これから円熟期に入ろうとしている矢先の、無念のリタイアとなってしまった。競馬において落馬や事故は避けられないとはいえ、何とも惜しい。できることならば、まだその騎乗を観ていたかった。

佐藤哲三騎手は26年間の騎手人生の中で、6つのG1レースを勝利した。タップダンスシチ―、アーネストリー、エスポワールシチ―とのレースは記憶に新しく、またいずれも名コンビであった。とはいえ、佐藤哲三騎手が勝ったレースよりも、敗れたレースの方が記憶に刻まれているのは私だけだろうか。印象に残っている佐藤哲三騎手の騎乗を挙げると、私の場合、13番人気のタップダンスシチ―に乗って惜敗した2002年の有馬記念であり、インティライミでディープインパクトの前に砕け散った2005年の日本ダービーである。

いずれも2着に敗れたレースであるが、共通しているのは、大本命馬を負かさんと立ち向かい、私たち競馬ファンをあっと言わせたという点である。2002年の有馬記念は、牝馬ながらも1番人気に推されていたファインモーションから道中でハナを奪い、そのまま粘り込もうとした寸でのところをシンボリクリスエスに差し切られてしまった。2005年の日本ダービーは、あのディープインパクトよりも前を積極的に攻め、直線ではあわや押し切ろうかという勢いで先頭に立ったが、最後は力尽きてしまった。本命馬に乗ることが少なかったせいもあるだろうが、そう簡単には負けないという気迫や気概を感じさせる数少ないジョッキーであった。

実はもうひとつだけ、佐藤哲三騎手の忘れがたい騎乗がある。2008年にインティライミを背にして挑んだ宝塚記念である。2度にわたる落馬骨折の末、ようやく完全に復帰した時期のレースであった。インティライミは11番人気に過ぎなかったが、好枠を引いて、スタートしてから最後の直線に向くまで、佐藤哲三騎手の思い描いていた通りの騎乗であった。最初から最後まで佐藤哲三騎手とインティライミだけを観ていた私には、「勝てる」という無言の想いが彼の背から伝わってきたのだ。ところが、ゴール前で馬群から抜け出そうと思ったその瞬間、見事にパッチンを食らってしまったのだ。インティライミはスパッと切れるタイプの馬ではないので、あのタイミングでの不利は痛かった。やっとの思いでターフに帰ってきたのに、ここぞという場面で神に見放された彼の無念が痛いほどに分かった。

競馬は2着や3着では意味がないというのは正論であり、勝ち馬や勝利ジョッキー以外の人馬の名は人々の記憶からも消えていくというのはある意味正しい。ほとんどのレースや馬や騎手の場合は、実際にその通りであるからだ。しかし、佐藤哲三騎手が騎乗して敗れたいくつかのレースや馬の名は忘れたくても忘れられない。正直に言って、勝ち馬や勝利ジョッキーよりも記憶に残っている。それは彼らが敵わないはずの相手に真っ向勝負を挑んだからであろう。お金を探して下を向いてばかりいる騎手が多い中、佐藤哲三騎手は天に向かって唾を吐き続けたのである。それを良かれと思わない人もいただろうし、熱狂的な支持者もいたはずだ。あの有名なインタビューは、彼の挑戦者としての負の側面だと私は考えている。そして、彼の吐いた唾が天に届くのではと思う瞬間があって、そんな時、私たち競馬ファンはいつもの予定調和的なレースのつまらなさにハッと気づき、ついには心を動かされるのである。佐藤哲三がいなくて、私は寂しい。

Photo by M.H

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セントライト記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sentolite

■1■夏の上がり馬に注目
9月競馬全般に言えることだが、この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しいため、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。セントライト記念も最近の傾向として、夏にレースを使っていた馬が強く、ダービー以来の休み明けで勝った馬は、2002年のバランスオブゲーム、2009年のナカヤマフェスタ、2011年のフェイトフルウォー、2012年のフェノーメノであるように、よほど力が抜けている、もしくはダービー後も体を緩めずに仕上げてきたということでない限り、いきなり勝利というわけにはいかないのだ。2010年、2013年は夏にレースを使ってきた馬がワンツーフィニッシュを決めたように、夏の上がり馬にまず注目すべきレースである。

■2■切れよりも地脚の強い馬
中山2200mは、2コーナーが丘の頂上となっていて、そこからゴールまで緩やかな下りが続く。3コーナーが軽く舵を切るだけで曲がれるため、2コーナーから4コーナーまでは500mの擬似直線と考えることも出来る。そのため、3コーナー付近からロングスパートのレースになりやすく、距離以上のスタミナを要求されることになる。一瞬の切れを武器にする馬ではなく、良い脚を長く使える地脚の強い馬を狙うべきである。

■3■前に行ける馬を狙え
これも9月競馬全般に言えることだが、この時期だけは夏の間にしっかりと養生されたことで、芝がしっかりと根を張った野芝100%の状態になっているため、多少のハイペースで行ってもなかなか前の馬は止まらない。これに中山競馬場の直線の短さが加わって、差し・追い込み馬にとってはかなり苦しいレースになる。ただし、ロングスパートでスタミナが問われることがこたえるのか、逃げ切りも意外と難しい。つまり、前に行ける先行馬、もしくは3~4コーナーまでに好位を確保できる馬にとって有利なレースになる。

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良血がようやく開花したサトノギャラント:5つ☆

★セントウルS
ハクサンムーン →馬体を見る
春シーズンは明らかに馬体が枯れていたが、ようやく復調気配を見せている。
毛艶は抜群に良く、前駆も力強く、トモにさらに実が入ってくれば万全。
Pad45star

マヤノリュウジン →馬体を見る
7歳馬とは思えない毛艶の良さで、使われつつ体調がアップしてきている。
手脚が短く、重心が低いにもかかわらず、胴部が長いため、ややアンバランス。
Pad3star

ダッシャーゴーゴー →馬体を見る
全体的な力強さは増しているが、全盛期の筋肉の柔らみが失われている。
表情を見る限り、気の難しいところが出てきているようで、どこまで走るか。
Pad3star

リトルゲルダ →馬体を見る
アメリカ血統らしく、前駆の盛り上がりが素晴らしく、ダートも走りそうな力強さ。
先行してパワーで押し切るようなレースができる今回の舞台も合いそう。
Pad4star

エピセアローム →馬体を見る
もともと良く見せる馬であり、今回もふっくらとして、全体のバランスも良い。
手脚が長く、本来はもう少し長い距離の方が良さが出る馬であることは確か。
Pad4star

トーホウアマポーラ →馬体を見る
この馬は手脚がやや短く、重心が低く、距離は短い方が合っているはず。
前走時に比べると、筋肉のメリハリという点で劣るように、少し楽をさせたか。
Pad3star

★京成杯AH
サトノギャラント →馬体を見る
無理をせずに使われてきた甲斐もあって、力強さと自信にあふれた馬体を誇る。
表情も凛々しく、藤沢ブランドの良血がようやく開花したといえる。
Pad5star

エクセレントカーヴ →馬体を見る
牝馬らしい線の細さは見られるが、少しずつ一時期の不振を脱しつつある。
トモに実が入ってくれば完璧で、顔つきからは気性の激しさが伝わってくる。
Pad3star

ショウナンアチーヴ →馬体を見る
最高の出来にあった朝日杯フューチュリティSの馬体を取り戻しつつある。
もう少し筋肉のメリハリが出てくれば、G1クラスでも勝ち負けになる馬体。
Pad4star

サダムパテック →馬体を見る
普段は馬体を良く見せないタイプの馬だが、今回は毛艶も良く、馬体も映えている。
いかにも新潟コースが合いそうな、手脚の長い馬体で、舞台は整ったといえる。
Pad4star

クラレント →馬体を見る
前々走から少しずつ筋肉のメリハリが乏しくなり、馬体に迫力が失われてきている。
それでも表情は素直そうなので、今回もレースに行けば器用に立ち回れるだろう。
Pad3star

エキストラエンド →馬体を見る
黒光りしているように毛艶は素晴らしく、筋肉量も増えて、馬体は良くなっている。
表情を見ると、気性面で難しいところもある馬なのだろう、出遅れさえなければ。
Pad45star

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第22回)

Kettounituite22ブライアンズタイムと時代を重ねるようにして登場したのは、同じくヘイルトゥリーズンの血を引くサンデーサイレンスであった。今となっては、サンデーサイレンス系と言われるぐらいの影響力を誇るが、初年度産駒がターフに姿を現したときは、ここまで日本の競馬の勢力図を大きく変えるとまでは思わなかった。決して過小評価していたわけではない。私たちの前に現れたサンデーサイレンス産駒は暴力的な強さを誇ったが、それでもまさか1995年から2007年までの13年間にわたってリーディングサイアーとなるような、太くて長い活躍を見せるとは想像できなかったということである。それもそのはず、私はノーザンテーストの全盛期を知らないため、1頭の種牡馬による破壊的な影響力についてピンと来なかったのは当然であろう。

初年度産駒のうち、ファーストインパクトとして最も印象に残っているのはフジキセキである。当時、まだ海のものとも山のものとも分からないサンデーサイレンス産駒を預かることになった渡辺栄調教師は、戸山式のスパルタ調教を受け継ぎながらも、入厩当初のヒ弱なフジキセキを鍛え上げていった。幸いなことに、フジキセキは食欲の旺盛な馬だったため、どれだけ苛酷な調教を課してもカイバの量が落ちたことは全くなかったという。だからこそ、坂路で猛特訓を受けながらも、デビュー戦では472kgだった馬体重が朝日杯3歳Sでは492kgにまで増えていた。
フジキセキは全くの無駄のない素晴らしいフォームで走る馬であった。坂路を駆け上がってくるところを真正面から見るとよく分かるのだが、脚を外に振り回しながら上がってくる馬もいる。これは無駄のある走り方で、フジキセキはどれだけ速いタイムで上がってくる時にも、脚を真っ直ぐに伸ばして駆け上がってきた。それまでの日本馬とは違ったレベルの脚力であり、また馬体が急激に成長を遂げたため、さすがに脚元に掛かる負担は少なくはなかった。坂路コースがなければ、フジキセキもあれだけの強さを発揮することもなかったかもしれない。

フジキセキのレースはどれも強烈に覚えているが、朝日杯3歳Sの走りは忘れられない。朝日杯3歳Sの勝利ジョッキーインタビューにて、フジキセキの主戦を務めた角田晃一騎手は、ゴール前で武豊騎手が乗るスキーキャプテンに迫られたことを指摘されるや、「こっちはムチを一度も使っていませんから」と言い放った。あなたたちはヒヤヒヤしたかもしれないけど、俺とフジキセキは余裕だったんだよ。俺たちに触ると火傷するぜ、という激しさがヒシヒシと伝わってきた。フジキセキの強さに対する自負とジョッキーとしての矜持が、思わず言わせたひと言だったのだろう。レースを観てみると、確かにムチを使っていないのだ。もっともフジキセキの気性の激しさを考えると、ムチを使ってしまうと、どこに飛んで行ってしまうか分からないという危うさがあったからなのだろう。

残念ながら、フジキセキは弥生賞を圧勝した後に屈腱炎を発症し、幻の3冠馬になってしまったが、最後のレースとなった弥生賞も凄いレースであった。外からホッカイルソーがもの凄い脚で強襲してきたのを一旦受けて、そこからエンジンをふかして3馬身ほどチギってしまったのだ。フジキセキはその漆黒の馬体やレースぶりや気性からも、サンデーサイレンスに最も似ている馬と言われるが、私もそう思う。暴力的な強さと気性の激しさ、そして勝負根性の良さ。鋭敏な馬が多いサンデーサイレンス産駒の中でも、最も鋭気を感じさせる馬でもあった。サンデーサイレンスにとって、フジキセキは名刺代わりのような産駒であったと思う。


4戦4勝、その走りの全てを目に焼き付けておくべき。

Photo by 三浦晃一

(第23回へ続く→)

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素質のある若駒の見分け方

夏競馬が終わりを告げ、いよいよ秋競馬が始まろうとしている。すでに多くの2歳馬がデビュー戦を迎え、勝ち上がった馬もいれば、そうでない馬もいる。札幌や新潟、小倉競馬場まで輸送してでも、できるだけ早めに賞金を獲得しておくことを念頭に、前倒しで調教は進められる。まだデビューできていない馬は、体質が弱かったり、アクシデントや怪我があったりして、これまでの過程で一頓挫あった馬だろう。つまり、現時点でデビューできて、しかも勝ち上がっている馬たちは、素質があり、なおかつ健康であることを意味する。

そんな健康で素質がある馬たちの中でも、飛び抜けて走る能力を持った馬がいる。これから先、クラシック戦線に乗って、同世代のピラミッドの頂点を目指していく素質馬である。そういった馬は、比較的早い段階で、素質の片鱗を見せることが多いため、メイクデビュー戦や未勝利戦などをしっかりと観ておくことで、いち早く才能を見抜くことができる。いわばクラシックホースの青田買いである。

ところが、これだけレース数が多いと、さすがに全てのレース(若駒戦)を観るわけにはいかないという競馬ファンも多いだろう。そんな忙しい競馬ファンにも可能な、素質馬の見分け方がある。それはゴール前の写真を見ることだ。「Gallop」でもいい、「競馬ブック」でもいい、特に最近は、メイクデビュー戦や若駒戦のレース写真は大きく掲載される傾向にある(カラーの場合もある)。勝負が決するゴール前は、その勝ち馬の本質が最も出やすい場面だけに、よく観察する必要がある。

見るべきポイントは、耳と表情と脚の使い方である。耳は前方に向けて立っている方が良い。馬が遊んでしまっている(物見をしてしまっている)と解釈する人もいるだろうが、基本的には、余力があるからこそだと考えるべきである。たとえ僅差であっても、耳が前方に立っている場合は余力があるので、着差以上の力があると見てよい。その逆も然りで、引き離して勝っていても耳を後ろに絞っていれば全力を出し切っての着差である。

ゴール前の表情を観れば、その馬の性格や気性がある程度分かる。目が血走っていたり、口から泡を吹いていたり、舌が出ていたりなどがあれば、どこかに苦しいところがあるのか、もしくは精神的に余裕がない馬のかもしれない。凛とした表情で、大きく輝く瞳でフィニッシュしていれば、騎手の指示に素直に従う素直さがあり、馬群に包まれても我慢できる賢い馬だと考えることができる。

脚の使い方に関しては、前脚が前方に良く出ていて、後ろ脚の踏み込み(着地点)が深いかどうかを観る。一枚のゴール写真では分からないこともあるが、才能のある馬の走りは写真から伝わってくることが多い。たとえば、昨年はいちょうSにおけるイスラボニータのゴール前の走る姿(フィニッシュ)を見て、この馬の素質を見極めることができた。前脚が実に遠くまで伸びて、収縮性の高い、才能のある馬にしかできない走りであった。*いちょうSのゴール前写真ではないが、イスラボニータの前脚の伸びの素晴らしさが分かる写真はこちら

今年の2歳馬の中で、ゴール前の写真を見てあっと思わせられたのは、今のところ、レトロロック、ポルトドートウィユ、ダノンメジャー、レッツゴードンキの4頭である。どの馬たちも耳を前方に立ててフィニッシュしており、実に賢そうな表情をしていて、気性面での問題もなさそう。脚の使い方については、レトロロック、ポルトドートウィユ、ダノンメジャーの3頭は素晴らしい。特にレトレトロロックとポルトドートウィユの踏み込みは、育成段階からの訓練の賜物であろう。実は札幌2歳Sで狙っていたレッツゴードンキはいきなり負けてしまったが、牡馬に混じっての3着だけに好走と考えたい。全てのレースを観なくても、ゴール前の写真を観るだけで分かることはたくさんある。素質馬の見分け方のひとつとして、知っておいて損はないだろう。

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セントウルSを当てるために知っておくべき3つのこと

Centauruss

■1■内枠の逃げ、先行馬
阪神の開幕週ということもあり、馬場の傷んでいない内の経済コースを通られる馬は当然ながら有利になる。また、馬場が軽くて前が止まらないことや、下記のようにあまり速いペースにならないことが原因となって、阪神1200mコースは最後の直線が356mと比較的短く、逃げもしくは先行馬にとって有利なレースとなる。内枠に入った逃げ・先行馬がいたら、とりあえず狙ってみるのも面白い。

11.8-10.5-11.1-11.1-11.4-11.9(33.4-34.4)H
12.3-11.1-11.2-11.4-10.5-11.7(34.6-33.6)S
12.2-10.8-10.9-11.0-11.2-12.2(33.9-34.4)M
12.0-10.2-11.1-11.7-12.0-11.6(33.3-35.3)H
12.2-10.5-10.7-10.9-11.1-11.7(33.4-33.7)M
12.0-10.7-11.2-11.5-10.8-11.8(33.9-34.1)M
12.2-10.6-11.3-11.3-11.0-12.1(34.1-34.4)M
12.0-10.3-10.9-11.0-11.2-11.9(33.2-34.1)M
12.0-10.9-10.9-11.0-10.9-11.8(33.8-33.7)M

■2■牝馬の活躍
過去10年間において、牡馬(セン馬含む)が【4・8・7・82】と4勝(勝率4%)に対し、牝馬は【6・2・3・35】と6勝(勝率17%)を挙げ、圧倒的な成績を残している。サマースプリントシリーズの最終戦であり、スプリンターズSの前哨戦でもあるという、複雑な思惑の絡んだレースではあるが、夏競馬の勢いそのままに牝馬の活躍が目立つ。開幕週で馬場が軽いということが理由のひとつであろう。

■3■夏場に使っていた馬
        勝ち馬          前走時期
平成12年 ビハインドザマスク   8月20日
平成13年 テネシーガール     7月1日
平成14年 ビリーヴ          8月17日
平成15年 テンシノキセキ      8月10日
平成16年 ゴールデンキャスト   8月29日
平成17年 ゴールデンキャスト   8月28日
平成18年 シーイズトウショウ   8月27日
平成19年 サンアディユ       8月12日
平成20年 カノヤザクラ       7月20日
平成21年 アルティマトゥーレ   7月19日
平成22年 ダッシャーゴーゴー   8月15日
平成23年 エーシンヴァーゴウ   8月14日
平成24年 エピセアローム     8月19日
平成25年 ハクサンムーン     7月28日

過去14年の勝ち馬は、全て7、8月の夏場にレースを使っている。9月のこの時期は、中央開催に戻ってきてはいるものの、まだまだ暑く、休み明けの馬は調整が難しい。どれだけ力のある実績馬であっても、仕上がり途上の段階で、重い斤量を背負いながら、いきなりトップギアでの走りを期待するのは難しい。ここをステップにスプリンターズSに向かう馬VS夏競馬を使ってきた馬という構図になるが、このレースに限っては後者が有利。実績馬よりも、夏場を使っていた馬の方に妙味がある。舞台が阪神に移ったとはいえ、夏競馬の延長線上にあると考えるべきである。

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前後のバランスが良くなったユールシンギング:5つ☆

★新潟記念
ユールシンギング →馬体を見る
前後のバランスが良くなり、前駆の筋肉のメリハリ、尾離れが特に素晴らしい。
凛とした表情からも、落ち着いた気性が窺い知れるように、安定して走りそう。
Pad5star

アロマカフェ →馬体を見る
前駆の力強さは特筆もので、父というより母父ハートレイクの影響が出ているのだろう。
それに比べ、トモの肉付きが物足りなく、それが最後の詰めの甘さにつながっている。
Pad4star

アドマイヤタイシ →馬体を見る
いつも安定して良く見せる馬ではあるが、今回は腹回りが寂しくパワー不足。
毛艶も良く、表情は落ち着きがあるので、この馬の力は発揮できそう。
Pad3star

ラストインパクト →馬体を見る
長距離を使っていたときは、もっと薄く見えたが、今回は筋肉量が豊富で力強い。
やや立ち姿に力みを感じさせるが、距離に合わせた身体づくりはさすが。
Pad4star

メイショウナルト →馬体を見る
コンパクトにまとまった馬体は、軽さが目立ち、今回もすんなり先行できそう。
顔つきに気性面での難しさを感じるので、スムーズに逃げられないと苦しい。
Pad3star

マーティンボロ →馬体を見る
前走から間隔が開いていないにもかかわらず、腹回りに余裕があり、やや太め残り。
馬体重を増やすことを念頭に置いているのだろうから、パワーとしてプラスに出れば。
Pad4star

★小倉2歳S
レオパルディナ →馬体を見る
2歳牝馬らしく、全体的な線の細さはあるが、細かい筋肉は鍛え上げられている。
特に前駆の盛り上がりは特筆すべきで、現時点での完成度が高く、仕上がりは良い。
Pad4star

タガノヴェルリー →馬体を見る
随処に余裕があり、まだまだ絞り込めるが、全体としてはふっくらとして力強い。
各パーツにも伸びがあり、単なる短距離馬ではない、将来性の高い馬体。
Pad4star

スノーエンジェル →馬体を見る
線の細さが目立つように、いかにも2歳牝馬らしい、バネだけで走っている馬体。
顔つきから気持ちの強さと幼さが同居しており、スムーズに走れるかどうか。
Pad3star

デイドリーム →馬体を見る
ふっくらとした栗毛の馬体は見栄えがして、いかにも走りそうな感触を受ける。
腰高の馬体はスピード優先であり、余裕残しではあるが、好レースを期待できる。
Pad4star

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Photostud初の写真集「Retrospect」

Retrospect

Photostudによる初の写真集「Retrospect」が遂に発売された。写真集について語る前に、まずは彼らと私の関係から話を始めさせてもらいたい。私たちは高校の同級生であり、その当時から彼らは競馬の写真の道を志し、私は競馬を書くことに没頭し、お互いに切磋琢磨していた。と言いたいところだが、実はそうではなく、私たちが出会ったのは高校を卒業して10年以上経ってから、インターネットを介してのことであった。

競馬の写真鑑賞が趣味のひとつである私は、ありとあらゆる競馬写真サイトをサーフィンし、どこをどう巡ってか覚えていないが、彼らの写真にたどり着いた。そのときの衝撃を言葉にするのは難しい。凄いという以上に、今までに見たことのない、見てはいけない世界を見たような気がしたが、好奇心には勝てず、私は思い切って彼らにメールを送った。彼らが高校の同級生だと分かったのは、そのあとの話である。

出会ったころの彼らはまだプラザエクウスでの写真展も開催しておらず、「優駿」での連載もスタートしておらず、これからブレイクする直前の無名の新人でしかなかった。それでも、西武新宿駅近くの小さな展示スペースを共同で借りて行われた写真展に足を運び、初めてその写真を生で観たとき、私はすでに彼らの才能を確信していた。そのときに観た写真の中で、最も印象に強く残っているのが、「Retrospect」の表紙を飾っているグラスワンダーの神々しい写真であった。彼らと組んで何か新しいことをしてみたい、私がそう思ったのは自然であろう。

その第一弾が、「ガラスの競馬場」で行った壁紙プレゼント企画であった。もしディープインパクトが菊花賞を勝って3冠を達成したら壁紙を無料でプレゼントする、という賭けに私たちは勝ち、ディープインパクトの圧倒的な人気のおかげもあって、数百人の競馬ファンに壁紙を届けることができた。そして、この企画は私のその後の人生を変えることになった。

このとき私は、壁紙というデータのやり取りを通して、誰も読んでいないと思って書き始めたブログの向こうには、本物の競馬ファンたちがいることを知ったのだ。彼らの写真というツールの力を借りて、私はつながることができた。パソコンの向こう側には誰かがいるという信頼は、私にとって大きなパラダイムシフトとなったのである。この体験がなければ、ライブもやっていなかっただろうし、「ROUNDERS」も創刊していなかったはずで、そういった意味で、私にとって彼らは人生の恩人なのである。

彼らはその後、競馬カメラマンの階段を一直線に駆け上がっていった。もう今や「優駿」で彼らの写真を見ない号はない。Photostudの写真は、人間の目ではない視線で撮られているようで、彼らのものであることが一目瞭然である。その作品になると、彼らの独自性はさらに際立つ。それだけで素晴らしい写真に、デザインを加えて、作品にするのだ。いや、加えるというよりは掛け合わせる。写真×デザインが彼らの真骨頂である。

今回の写真集「Retrospect」には、2002年から2014年まで12年間分の作品が詰まっている。Photostudにとって、ちょうどその頃に競馬を始めたもしくは黄金期を迎えた私たち競馬ファンにとっても、ひとつの歴史であり集大成である。ページをめくるごとに、あのときの感情が蘇ってくるようだ。もちろん良かったことばかりではない。それでもやはり私の心を占めるのは、この12年間あっという間であったけど、楽しかったということ。競馬があってくれて、Photostudがいてくれて、今の私がある。後悔はなにひとつない。

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新潟記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Niigatakinen

■1■血統の偏りが見られるレース
過去13年間の新潟記念の勝ち馬の父もしくは母父は以上のとおり。

サンプレイス(父トニービン)
トーワトレジャー(父トニービン)
ダービーレグノ(父トニービン)
スーパージーン(父サッカーボーイ)
ヤマニンアラバスタ(父ゴールデンフェザント)
トップガンジョー(父マヤノトップガン、母父ゴールデンフェザント)
ユメノシルシ(母父トニービン)
アルコセニョーラ(父ステイゴールド)
ホッコーパドゥシャ(父マヤノトップガン)
ナリタクリスタル(父スペシャルウィーク)
トランスワープ(父ファルブラヴ)
コスモネモシン(父ゼンノロブロイ)

驚くべきことに、トニービンを父もしくは母父に持つ馬が4頭も勝利している。また、トニービンと同じグレイソブリン系のゴールデンフェザントを父もしくは母父に持つ2頭もいる。さらに、実はサッカーボーイとステイゴールドは近親にあたる。これだけ血統の偏りが見られるレースも珍しく、新潟記念が行われる舞台(コース、馬場、距離)があらゆる意味で最適であるということに他ならない。

■2■トップハンデ馬は疑ってかかれ
新潟競馬場が新装となった2001年以来、トップハンデ馬は【1・0・2・12】と、勝ったのは2011年のナリタクリスタルのみ。速いタイムの出る軽い馬場だけに、斤量がこたえているということではないだろう。ただ単に、トップハンデを振られた馬たちが、それに相応しい走りが出来ていないだけのことである。

なぜかというと、トップハンデ馬が好走した近走と今回の新潟記念では、全く条件が違うからである。パワーや瞬間的な脚が要求された七夕賞や小倉記念などで好走してきた馬が、重いハンデを強いられ、スピードの持続力を問われる新潟記念で凡走してしまうのは当然といえば当然と言える。全てのトップハンデ馬が適性を欠くということではないが、まずは疑ってかかった方が得策か。

■3■スピードを持続させるスタミナが問われる
過去11年間のレースラップは以下のとおり。

12.7-11.1-11.7-12.0-12.4-12.2-11.8-11.5-10.8-12.5(59.9-58.8)S
12.9-10.8-11.3-11.6-12.5-12.6-11.8-11.7-10.4-12.1(59.1-58.6)M
13.2-11.8-12.2-12.2-12.8-12.5-11.4-11.3-10.4-12.3(62.2-57.9)S
12.6-10.9-11.5-11.5-11.8-12.3-11.9-11.7-10.6-12.4(58.3-58.9)M
12.8-11.2-11.1-11.1-11.9-12.3-11.9-11.8-10.9-12.8(58.1-59.7)H
13.0-11.1-11.6-11.1-12.0-12.4-12.0-11.6-10.8-11.9(58.8-58.7)M
13.1-11.4-12.1-12.2-13.0-12.6-11.7-10.9-10.4-12.2(61.8-57.8)S
12.9-11.4-11.9-12.0-12.4-12.1-11.4-11.1-11.0-12.2(60.6-57.6)S
13.2-11.0-11.9-12.0-12.8-12.4-11.7-11.2-10.9-12.0(60.9-58.2)S
12.8-11.2-11.8-12.1-12.5-12.4-11.7-10.9-10.3-11.9(60.4-57.2)S
13.0-11.1-11.5-12.0-12.3-12.4-11.9-11.4-10.8-12.5(59.9-59.0)M

最後の直線が659mと長いため、道中はスローに流れ、異常なほどに速い上がり3~4ハロンのタイムが計時される。このようなレースでは、スピードを持続させるスタミナが問われることになる。トニービンやサッカーボーイ、ステイゴールド、スペシャルウィーク、リアルシャダイの血を持つ馬の活躍が目立つのはそういう理由でもある。

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小倉2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Kokura2sais

■1■外枠有利
過去13年の枠順別の成績を見てみると、内枠(1~4枠)に入った馬が【5・3・5・74】、外枠(5~8枠)が【8・10・8・79】と、勝率にしておよそ3%、連対率にしておよそ10%の差がある。これには大きく2つの理由が考えられる。

1)開催最終週となるため馬場の内側が荒れている
2)キャリアが浅いため、馬群の外の方がスムーズにレースができる

1)に関しては説明するまでもないだろう。2ヶ月近くにわたる開催期間だけに、さすがの小倉競馬場の野芝も相当に荒れてきているということだ。特に3~4コーナーにかけての内側の芝は、見た目以上に痛んでいるはずである。

2)については、多くても3戦、少なければたった1戦のキャリアの出走馬が多いレースである。いきなりレベルの高いレースにおいて、馬群の中で揉まれてしまうと、最後まで自分の走りが出来ずに終わってしまう馬が多いということである。キャリアが浅い馬にとっては、多少の距離ロスがあったとしても、外枠からスムーズに自分のリズムで走られるメリットの方が大きい。

■2■牝馬の活躍
過去13年の性別の成績を見てみると、牡馬のわずか4勝に対し、牝馬が9勝と圧倒的に牝馬の方が強いことが分かる。この時期の牡馬と牝馬では、同斤量であってもほとんど走る力に差はなく、完成度の高い牝馬に軍配が上がることが多い。とにかく前に行って押し切るスピードが問われるので、最後まで集中して前向きに走り切る牝馬の方が、この時期は信頼が高い。

■3■ハイペース必至だが先行馬有利
過去13年の前半後半のタイムを比べてみたい。

        前半   後半
平成13年 33.7-36.9 ハイペース
平成14年 33.3-36.5 ハイペース
平成15年 32.9-36.4 ハイペース
平成16年 33.4-34.8 ハイペース
平成17年 33.6-35.5 ハイペース
平成18年 32.5-35.9 ハイペース
平成19年 33.5-35.8 ハイペース
平成20年 33.2-35.9 ハイペース
平成21年 33.8-35.2 ハイペース
平成22年 33.1-35.6 ハイペース
平成23年 33.4-35.4 ハイペース
平成24年 32.7-35.2 ハイペース
平成25年 33.1-35.7 ハイペース

いずれの年も、前半後半の落差が2秒以上もしくは近くあるように、ハイペース必至であることが分かる。スピードを武器に行きたい馬が揃うため、スローはもとより、ミドルペースでさえ望めない。これだけ前半が速いと、差し馬にとって有利なレースになりやすいのだが、意外にも先行馬が活躍している。これは小倉1200mというコース形態ゆえであり、さすがに逃げ馬にとっては厳しいが、直線の短さを考慮すると、ハイペースを追走できてバテない先行馬を狙うべき。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第21回)

Kettounituite21

ブライアンズタイム産駒には、ナリタブライアンのような突き抜けた3冠馬やマヤノトップガンのような晩成型のステイヤーもいたが、最も得意とする舞台は皐月賞であったように、スピードとパワーを伝えた種牡馬であった。1997年のサニーブライアンとシルクライトニングのワンツーフィニッシュを皮切りに、ノーリーズン、ヴィクトリーと伏兵が皐月賞を制し、宝塚記念を勝ったダンツフレームは皐月賞を2着している。のちに登場することになるサンデーサイレンスの牙城を崩すことができたのは、ブライアンズタイム産駒であり、その皐月賞であった。なぜ皐月賞かというと、他のクラシックレースと比しても、力を要する馬場で行われるレースであるからだ。晩年にはダートの一流馬を多く出したように、ブライアンズタイムは産駒にパワーを確実に伝えた。

そして、忘れてはならないのは、仕上がりの速さである。昔から「皐月賞は速い馬が勝つ」と言われてきましたが、この時期のクラシックレースを制するには、スピードだけではなく、仕上がりの早さが不可欠である。他馬に先んじて、早くから能力を発揮できるという早熟性。クラシックレースは3歳のこの時点での完成度を問われるレースでもあり、もちろんサンデーサイレンスもそうだったように、クラシックに強い血統というのは早熟でなければならないということだ。

スピードと早熟性を極端に重視する傾向は、今からおよそ100年前にアメリカで生まれ、その後、ナスルーラやネイティブダンサーやロイヤルチャージャーの血を引いた馬たちが大活躍したことで発展した。その中でも、ロイヤルチャージャーの血を受けたヘイルトゥリーズンという馬は、まさにスピードと早熟性の権化のような馬であった。そう、サンデーサイレンスとブライアンズタイムが共通して父の父に持つヘイルトゥリーズンである。

1958年に生まれたヘイルトゥリーズンがデビューしたのは、わずか2歳の1月のこと。カリフォルニアのサンタアニタ競馬場でデビューし、初勝利を挙げるのに6戦を要したが、そこをレコード勝ちするや、ホープフルS、グレートアメリカンSなど2歳の主要重賞レースを勝ちまくった。2歳の9月の時点では、なんと18戦9勝というキャリアを誇っていた。ほとんどのレースがスプリント戦であった。ヘイルトゥリーズンという馬がどれだけ早熟でスピードに秀でていたか分かる。

残念なことに、ヘイルトゥリーズンは調教中に怪我をしてしまい、そのまま引退してしまったのだが、種牡馬としては大成功を収めた。1970年には2歳部門のリーディングサイヤーと総合部門のリーディングサイヤーの両方に輝いた。サンデーサイレンスの父ヘイローやブライアンズタイムの父ロベルトが生まれたのもその頃である。つまり、サンデーサイレンスの産駒にも、ブライアンズタイムの産駒にも、2歳の1月にデビューしたヘイルトゥリーズンからの早熟性の血が脈々と受け継がれており、両者がクラシック血統として成功した最大の理由のひとつになっているというわけである。

「昔とは違い、じっくりと秋から始動などと悠長に構えていられない時代」と藤澤和雄調教師が言うように(週刊Gallop8月31日号)、今は2歳の夏にデビューして初勝利を挙げ、秋に大きなレースで好走するもしくは2勝目を挙げて賞金を稼いでおかないと、使いたいレースにも出走できなくなるなど、翌年のクラシックに向けての道が極めて厳しいものになる。早熟性が問われ、求められる傾向は、ヘイルトゥリーズン系の血が猛威を振るい始めてから瞬く間に顕著になり、十数年の歳月をかけて完成したといえるだろう。晩成型のステイヤーが出にくくなってしまったのは非常に残念だが、スピードと早熟性が勝つ時代が逆行することはもうないのだ。

Photo by 三浦晃一

(第22回へ続く→)

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札幌2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Sapporo2sais

■1■字ズラ以上のスタミナ
過去12年の勝ち馬から、2頭のダービー馬(ジャングルポケット、ロジユニヴァース)とジャパンカップ馬(アドマイヤムーン)、また2着馬から秋華賞馬のアヴェンチュラ、皐月賞馬のゴールドシップが出ているように、クラシックからその先を目指す素質馬たちにとっては、まさに登竜門となるレースである。

開幕最終週の洋芝で行われるからこそ、勝ち馬には字ズラ(1800m)以上のスタミナが要求されることになる。当然のことながら、前走で1800m戦を経験していることが望ましいが、たとえ前走が短距離戦だったとしても、距離延長がプラス材料になる馬であれば問題ない。キャリアの浅い馬が多いため、距離適性の見極めが大切である。

■2■牡馬
過去12年を振り返ってみても、牝馬がわずか1勝しか出来ていない。2012年はワンツーとなったが、連対率にしても10%前後と、牡馬の17%と比べると明らかに低い。小倉2歳Sと比較すると一目瞭然だが、スプリント戦に比べて底力が問われる中距離戦では、この時期でも牡馬が優勢ということである。2000年にはのちのG1馬テイエムオーシャンも出走して1番人気に推されたが、惜しくも3着に敗れてしまった。逆に、このレースを牝馬が勝つことができれば、かなり強いと考えることができるはずで、レッドリヴェールが阪神ジュベナイルFを勝っても何ら不思議はなかったといえる。

■3■内枠の馬
スタートしてから第1コーナーまでの距離が185mと極端に短い。小回りコースのため、外枠から発走する馬が馬群にもぐり込むことができなければ、コーナーを回るたびに外々を回されることになる。そのコーナーが4つもある以上、外枠を引くことによる距離ロスは少なくない。また、外枠を引いた差し馬にとっては、コーナーを回っているとすぐにその次のコーナーがやってくるので、前の馬との距離を縮めるのが難しい。内枠が良いというよりも、外枠を引いてしまった馬は苦戦を強いられるだろう。

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