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凱旋門賞へ向けて2014-ラスト-

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ここまでどちらかというと悲観的な論調で書いてきたが、最後ばかりは、明るい側面から今年の日本馬の凱旋門賞挑戦を見てみたい。何と言っても、今年は3頭の最強クラスの名馬が無事に出走することができるのだ。スピードシンボリと野平祐二による初挑戦から昨年のオルフェ―ヴルまで、2頭まではあっても、3頭の日本馬が揃って走ったことはない。ここに日本馬にとっての大いなるチャンスがある。毛利元就の三矢の教えのように、3頭が束になって戦えば負けないという意味ではなく、1頭よりも2頭の、2頭よりも3頭の、それぞれに勝とうという明確な意思を持った馬たちがゴールを目指すことで、勝つ確率が圧倒的に高くなるということだ。

実質的にも、日本馬だからといって執拗なマークをされることが軽減され、それぞれが自分の競馬を貫くことができるだろう。あえて戦略的に言えば、ジャスタウェイは先行、あわよくば逃げてみてもらいたい。ゴールドシップは気分に任せて道中は進み、フォルスストレートをも有効に使いながら最後の直線に向くまでに捲り上げてもらいたい。そして、ハープスターは道中、最後方から、馬群から離してポツンと走らせ、最後の直線における爆発的な切れ味を引き出してもらいたい。これは私の願望ではあるが、おそらく陣営もそのように考えているだろう。だからこそ、細かい指示が伝わりやすい日本人ジョッキーが騎乗することが、今年はプラスになる。

最も凱旋門賞の舞台に合うのはゴールドシップだろう。パワーと底なしのスタミナを兼備している同馬は、もしかすると日本よりも欧州の競馬場の方が走りやすいかもしれない。フランスの広大な調教場でリラックスしたゴールドシップが本気になり、直線での消耗戦にもちこめれば、この馬の強靭な身体能力に敵う馬はいない。私がゴールドシップを精神的にムラがある馬と評したのは、本当に理由なくランダムに走る気になったりそうでなかったりするからだ。そう考えると、前走の札幌記念で行きっぷりが悪く、ハープスターに敗れたことは、今回にプラスに出る可能性が高い。今度は走る気になる番である。

ジャスタウェイは2400mの距離が心配されているようだが、全く心配はいらない。そもそも父ハーツクライはステイヤーを出す傾向にあり、今年のオークスでもダービーでも、ハーツクライ産駒が距離延びて勝ったように、距離は長ければ長いほど良い。ジャスタウェイも勝ち鞍こそ2000m前後に集中しているが、その馬体を見れば、はっきりとステイヤーのそれである。首がすらりと長く、手脚も胴部にも十分な長さがあり、決してマッチョではなく胴体が薄い。これまではトモに実が入り切っていなかったため、一瞬の切れ味で勝負していたが、馬体が完成された今、マイル戦でも勝てるだけのスピードと切れ味を秘めたステイヤーとなった。もしこの馬が逃げたとき、そのスピードの持続力についてこられる馬はいない。

ハープスターは前述したように、周りに馬がいると気を遣ってしまい切れ味が削がれるタイプであり、できるだけ馬群から離してポツンと走らせることで、恐ろしい末脚を引き出すことができる。札幌記念のようなレースもできなくもないが、この馬本来の良さを生かすには最後方で馬群の外がベストだ。つまり勝ちにいくのではなく、一発を狙う競馬をするということだ。そもそも競馬はやり直しがきかない一発勝負なのである。もう1度戦ったら勝てるはずのディープインパクトやオルフェ―ヴルも、1度きりの勝負では負けてしまった。裏を返せば、わずか一瞬の勝負に賭けて、勝つこともできるということだ。今年は一発勝負に賭ける馬が3頭もいることが期待であり希望であり、その最も大きな賭けに出られるのが、斤量の恩恵を受けて走る3歳牝馬のハープスターである。

そして、何よりも、全ての馬たちが、無事に戻ってきてくれることを心から願う。

Photo by 三浦晃一

関連リンク
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