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東京芝2000m

Tokyo2000t1

改修前の東京2000mのコースは、スタート地点から最初のコーナーまでの距離が極端に短く、急激に左に曲がることから、外枠に入った先行馬は非常に不利であった。コーナーを回りながらのポジション取りになるため、先へ行こうと思うと遠心力で外へ外へと振られてしまい、1番と10番に入った馬とでは約1秒のタイム差があると言われていたぐらいである。

しかし、平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬がスムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。このことにより、各馬(騎手)が力を出し切れるコースへと一変した。さらにゲートを外目に置くようになったため、外枠の馬も最初のコーナーへゆったりとロスなく入れるようになり、内外の有利不利はほとんどないと考えてよい。そうはいっても、10番手以内のポジションを確保するためには、やはり内の方が乗りやすいのは確かである。

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天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと

Akiten

■1■前から10番手に付けられる馬
平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬が比較的スムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。さらにゲートを外目に置くようになったため、最初のコーナーに各馬が殺到して、馬群が詰まってしまうということが緩和された。

最初のコーナーへの先行争いが緩和されたことにより、ハイペースが常であった天皇賞秋が平均ペースになりやすくなった。サンデーサイレンス産駒のワンツーフィニッシュ(平成16年、17年においてはサンデーサイレンス産駒のワンツースリー)が目立つように、「瞬発力」が求められるレースに様変わりしたということである。牝馬の活躍が目立つようになったのもここに理由がある。

馬場がまだ軽さを保っている時期ということも含め、前に行ける馬でないと、もう少し具体的に言うと前から10番手に付けられなければ、勝つことは難しい。

■2■穴は夏競馬を使ってきた馬から
かつては天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念が古馬の王道であったが、最近は3戦全てに全力投球する馬は珍しくなった。ひとつのG1レースを勝つことによる消耗が激しくなったことに加え、良い意味でも悪い意味でも各路線が分業化されたことにより、それぞれの有力馬がどこかのレースに照準を絞るようになった。

そのため、実績馬であっても天皇賞秋にはビッシリ仕上げてこない馬もいるため、ここがピークになるように夏競馬を使われてきた伏兵馬が台頭することもありうる。たとえば、2005年を制したヘヴンリーロマンスなどはその典型で、2006年のスウィフトカレント、そして2007年のアグネスアーク、2011年のトーセンジョーダンなどが激走して穴を開けた。特に札幌記念はG1の登竜門でもあり、ここを好走してきた馬には注目しておきたい。

■3■宝塚記念とは直結しない
同じ中距離で行われる春と秋のG1レースである宝塚記念と天皇賞秋であるが、意外なことに勝ち馬が直結しない。過去20年でこの2つのレースを連勝した馬はテイエムオペラオーのみである。その理由としては、以下の2つが考えられる。

ひとつは2つのレースで勝ち馬に求められる資質が違うということ。6月の阪神競馬場で行われる宝塚記念は、ほぼ洋芝100%に近い力の要るオーバーシード芝で行われるため、勝利を手にするには何よりもパワーが求められる。それに対し、10月の東京競馬場で行われる天皇賞秋は、ほぼ野芝100%に近い極めて軽い馬場で行われるため、勝ち馬には何よりも軽いスピードが要求される。全く反対のベクトルを持つ資質が問われるだけに、宝塚記念と天皇賞秋を2つとも勝つのは至難の業である。

ふたつ目は、宝塚記念と天皇賞秋との間がわずか4ヶ月しかないということ。シーズンオフに近い宝塚記念を勝つということは、一滴も残らず春シーズンの力を使い果たしてしまったということを意味する。そこからわずか4ヶ月の間で、疲労を回復して、秋のG1シリーズ初戦である天皇賞秋に万全の体調で臨むことはなかなか難しい。見た目は出来ていても、目に見えない疲れが残っていたり、精神的な消耗が回復していなかったりすることは案外多い。

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ステイヤーのための菊花賞


菊花賞2014-観戦記-
サングラスが先頭に立ち、シャンパーニュがそれに続く形ですんなりと隊列が決まり、前半1000mが60秒9、中盤が61秒3、そして後半が58秒8という、実に淀みのない流れ。特筆すべきなのは中盤の61秒3というタイムで、道中でほとんどペースが落ちるところがなく、スタミナの裏付けがない馬たちにとっては厳しいレースとなった。そこからラスト5ハロンを58秒8でまとめているように、最後まで止まることなく伸び切った上位2頭は、極めて優秀なステイヤーであることを自ら証明した。

トーホウジャッカルはスタートから好位を確保し、やや掛かり気味になる場面も見られたが、前進気勢を失うことなくスムーズに走っていた。最終コーナーを回るときには手応え抜群で、追い出されてからは弾けるように伸びた。父スペシャルウィークを彷彿させる、胴部が薄くてヒョロッとした典型的なステイヤーの馬体であり、距離が延びて真価を発揮した。姉トーホウアマポーラはCBC賞を勝った短距離馬であり、この馬は菊花賞を勝ったステイヤー。ここにフジキセキとスペシャルウィークの種牡馬としての大きな違いが表れている。父にはもちろん、母父にスペシャルウィークが入った馬は、今後の菊花賞でも注意が必要であると覚えておきたい。

酒井学騎手の騎乗は見事のひと言に尽きる。1枠を引いたことや、前走で脚を余したこともあって、今回は勝ちに行くために思い切って馬を出して行った。多少行きたがっても抑えられる自信もあったのだろう。勝負どころは、スタートしてから第1コーナーまでの間。あそこで隣枠に入ったサウンドオブアースよりも前のポジションを取れたことが大きかった。最後の直線に向けて外に出しつつ、追い出すタイミングも絶妙で、トーホウジャッカルの瞬発力を生かしてみせた。二ホンピロアワーズやハウサンムーンらに跨って積んできた経験が、大舞台で馬の力を信じ切った攻めの騎乗へとつながった。

惜しくも敗れたサウンズオブアースは、勝ち馬に先に抜けられてしまい、渋太く食い下がったが、最後まで前に出ることができなかった。同じステイヤーでも、トーホウジャッカルが切れるタイプなら、サウンズオブアースはジワジワと伸びるタイプ。血統的には母父DixielandBand(2004年の菊花賞馬デルタブルースの母父)が利いている。蛯名正義騎手としては、最終コーナーを外から捲って、一歩先に引き離しておきたかったはずだが、内枠で馬群に包まれてしまい外に出すタイミングがなかった。もしくはテン乗りで手探りの状態であったことで、サウンズオブアースの良さを引き出せなかったのであれば、藤岡祐介騎手からの乗り替わりが裏目に出たことになる。このあたりが菊花賞であり長距離戦の難しさである。

ワンアンドオンリーの敗因については、こちらに書いたので改めて述べるつもりはない。余程力が抜けている馬でなければ、日本ダービーと菊花賞を勝つことは難しいのである。それだけ日本ダービーは重いということでもある。レースでは苦しがって、終始掛かり通しで、最後の直線に向くころにはすでに手応えがなかった。横山典弘騎手の乗り方云々の問題ではなく、今回は馬の問題である。秋シーズンは決して無理をさせず、下手に凡走すると馬も自信を失うので、十分な間隔を開けて、来春の天皇賞春に備えてもらいたい。

トゥザワールドはワンアンドオンリー以上に大きくバテて、惨敗を喫した。血統的には母父にサンデーサイレンスが入って、さらに全兄のトゥザグローリーに比べて脚が短く重心が低い馬体もあって、明らかに長距離向きではない。最後はガス欠を起こし、自らレースを止めてしまう格好となった。ステイヤーとしての資質が問われる今年のような菊花賞になってしまうと、特に長距離適性のない同馬には苦しかった。兄同様に走る能力は高い馬なので、今後は2000m前後のレースに絞って使うべきである。

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父譲りの脚の長さがあるサウンズオブアース:5つ☆

ワンアンドオンリー →馬体を見る
日本ダービー時には到底及ばないが、休み明けを叩かれて少し上向いてきた。
腹回りに余裕があるのは気になるが、顔つきは凛々しくて、目に見える疲れはない。
Pad4star

ワールドインパクト →馬体を見る
どっしりとした立ち姿で、パワー優先のタイプで距離延長がどう出るか未知数。
筋肉には柔らかみがあり、前後躯にはしっかりと実が入って仕上がりは良い。
Pad3star

ヴォルシェーブ →馬体を見る
胴部と脚に長さがあって、その割には前駆が発達しており、全体的にアンバランス。
もう少し馬体が成長してくると、全体のシルエットが整ってくるが、現状は若い。
Pad3star

トゥザワールド →馬体を見る
毛艶も素晴らしく、前後躯にしっかりと実が入って、本番に向けてきっちりと仕上がった。
筋肉のメリハリも申し分ないが、重心が低い馬体だけに、距離延長がプラスか疑問がある。
Pad4star

ト-センスターダム →馬体を見る
夏を越して、馬体全体に力強さが増してきているのは、母父エンドスウィープの影響か。
馬体的にはもうひと絞りできそうで、皮膚も厚く、表情もあと一歩で完調に近づく。
Pad3star

ハギノハイブリッド →馬体を見る
筋肉量が多く、腰高に映る馬体だけに、3000mの長距離がこの馬には合わないはず。
母父トニービンよりは、サンデーと父タニノギムレットが出ている馬体。
Pad3star

サウンズオブアース →馬体を見る
前後躯に実が詰まっているパワーもあるが、胴部には十分な長さがあり距離はもつ。
父譲りの脚の長さがあり、また尾離れが見えるように、特にトモの筋肉が素晴らしい。
Pad5star

トーホウジャッカル →馬体を見る
脚がヒョロッと長く、馬体も薄そうで、いかにもステイヤーといった馬体を誇る。
距離が延びて良さが出るはずで、顔つきも大人しそうでコントロールが利くタイプ。
Pad4star

タガノグランパ →馬体を見る
夏を越して胴部には長さが出てきたが、今回は前駆に筋肉が付きすぎてゴツさが目立つ。
さらに距離が延長される今回は、馬体的にはもう少し研ぎ澄まされていてもらいたい。
Pad3star

マイネルフロスト →馬体を見る
これと言って特筆すべき点のない平均的な馬体をしているが、仕上がりは悪くない。
表情からも気持ちの強さが伝わってくるように、簡単にはバテないタイプだろう。
Pad3star

ゴールドアクター →馬体を見る
胴部は厚く、中距離向きのパワーを感じさせるが、全体のシルエットには長さがある。
顔つきも精悍で、折り合いもつきそうなタイプなので、将来性は高い立ち姿を誇る。
Pad4star

ショウナンラグーン →馬体を見る
胴部には実が詰まっていて、重心は低く、どっしりと見せる馬体は父譲りか。
その分、距離延長はマイナスで、調子の良さを生かしてどこまで走れるか。
Pad3star


Kikka2014wt

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伝説の新馬戦

Jiromaru

橋口弘次郎調教師は今年、ワンアンドオンリーで初めて日本ダービーの栄冠を手に入れましたが、実は今から18年前に最もダービーの近くまでいった馬がいました。手が届くほどに近くまで。そう、ダンスインザダークです。「あれだけの馬に巡り合うことは、もう二度とないよ」と、今でも自身が育てた馬の中で最強馬だと言って憚りません。それほどの傑出した能力を秘めていたダンスインザダークですが、皐月賞は熱発で回避、日本ダービーはフサイチコンコルドの大駆けに遭い、最後の最後に差し切られてしまったのです。

6月5日生まれのダンスインザダークは、典型的な晩成型のステイヤーでした。ラジオたんぱ杯で3着、きさらぎ賞で2着に敗れたのもそれゆえ、むしろ弥生賞で強い勝ち方をしたばっかりに、無理が祟ったというか、春のクラシックは肉体的にも精神的にも完成されていない中での走りだったと思います。皐月賞に臨む週に熱発を発症してしまったのも、ダービーであとひと踏ん張りが利かなかったのも、この馬としてはまだ本格化していない、成長途上の段階であったからでした。

素質の片鱗は完成されていない時期にこそ見えるものであって、私にとってはダンスインザダークのそれは今でも忘れられない1995年12月3日の新馬戦でした。ディープインパクトやサイレンススズカの新馬戦よりも鮮明に覚えています。なぜならば、同じ日のひとつあとのレースで、同じサンデーサイレンス産駒のロイヤルタッチがデビューを飾ったからです。第5レースのダンスインザダーク、そして第6レースのロイヤルタッチ、この2連続の新馬戦こそが伝説だと私は思うのですが、どちらの馬も素晴らしい勝ち方(走るフォームから折り合いや馬体の収縮性まで)をしたのです。

この時点では、ダンスインザダークとロイヤルタッチの素質は甲乙つけがたいと私は思っていましたので、翌年の春に2頭ともにクラシックのタイトルに手が届かなかったことが不思議で仕方ありませんでした。だからこそ、菊花賞こそはという思いが強く、1996年の菊花賞では意外にも人気がなかった(6番人気)ロイヤルタッチを本命に推しました。決してなめていた訳ではありませんが、その頃はまだダンスインザダークのステイヤーとしての資質や晩成型であることに気づいていなかったのだと思います。

私の本命であったロイヤルタッチもダービー馬であるフサイチコンコルドも、完璧な乗り方で力を出し切りましたが、それをまるで自身の新馬戦のようなレースをして差し切ったのがダンスインザダーク。勝負所で前から下がってきた馬に進路をふさがれて、武豊騎手が思い描いていたとおりのレースが全くできなかったにもかかわらず、最後の直線に向くや上がり33秒8の末脚を繰り出しました。典型的な菊花賞における本命馬の負けパターンでしたが、ダンスインザダークは破壊的な末脚で窮地から脱したのでした。

その末脚が直接の原因になったのかどうか分かりませんが、翌日に屈腱炎を発症し、引退することに。あのまま順調に古馬になっていたら、もしかすると日本の競馬の歴史を塗り替えるような活躍をしたような気がしてなりません。天皇賞春やジャパンカップ、有馬記念は当然として、そうヨーロッパに行ってもそのまま通用しそうな雰囲気を持った、見事なサラブレッドだったのです。今から思えば、そんなダンスインザダークを菊花賞で勝っていないなんて、本当に恥ずかしい限りです。

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京都芝3000m

Kyoto3000t1

京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。

その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。

3コーナーからの勝負所でバテて下がってくる馬がいるため、内を進んだ馬が不利をこうむることがあることにも注意。道中は馬群が縦長になって進むことが多いため、基本的には内枠・外枠発走の差はほとんどないと考えてよい。

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菊花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kikka

■1■再びスタミナの裏づけが必要に
京都競馬場3000mで行われる菊花賞は、前半折り合いをつけながらゆっくりと行き、残り4ハロンからの瞬発力勝負になるレースがほとんどであった。つまり、折り合いさえついてしまえば、瞬発力のある中距離馬でも十分に対応できるレースであった。しかし、ここ最近は、その傾向に少しずつ変化が生じてきている。

過去18年間の菊花賞における、上がり3ハロンのタイムを比較してみたい。

平成8年  34秒4
平成9年  34秒4
平成10年 35秒1
平成11年 34秒2
平成12年 36秒1
平成13年 35秒3
平成14年 35秒4
平成15年 35秒8
平成16年 35秒8
平成17年 35秒7
平成18年 35秒6
平成19年 36秒2
平成20年 35秒3
平成21年 35秒8
平成22年 35秒6
平成23年 35秒1
平成24年 36秒1
平成25年 36秒1

平成11年までの上がりタイムを見ると、とても3000mのレースとは思えない典型的なヨーイドンの競馬であることが分かる。菊花賞を3000mで行う意義が問われ始めたのが、ちょうどこの頃。しかし、時代の流れとは不思議なもので、平成12年に開催が2週間早まったのを境として、最近は35秒台後半の上がりで決着することが常になってきている。

理由としては、道中のペースがそれほど緩まなくなってきているということ以上に、各馬の仕掛けが早くなってきていることが挙げられる。瞬発力勝負では劣るが、スタミナには自信のある遅咲きの馬たちが、春の実績馬を負かすために、一斉に仕掛け出すタイミングが早くなってきているということである。

このことによって、スタミナに不安のある馬たちの台頭は難しくなった。もちろん、この時期の京都競馬場の高速馬場や直線が平坦であることを考えると、ある程度の速い脚は要求されるだろう。しかし、実質3000mを走る上に、ペースが上がるタイミングが早くなってきている以上、スタミナの裏づけがない馬の末脚は不発に終わる可能性が高い。

■2■神戸新聞杯で切れ負けした馬
開催が2週間早まり、スタミナの裏づけが要求されるようになってからの過去10年間で、3着以内に入った馬30頭のうち19頭は神戸新聞杯組である。最大のステップレースであり、勝ち馬も6頭出ているが、なぜか神戸新聞杯→菊花賞と連勝した馬はディープインパクトとオルフェーヴル、ゴールドシップという最強クラスのみ。

これは神戸新聞杯が中距離での資質を問われるのに対し、菊花賞が長距離でのそれを問われたからである。つまり、神戸新聞杯で中距離に対する適性を見せて快勝したような馬は菊花賞で苦戦を強いられるということになる。むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を菊花賞では狙うべきである。

たとえ神戸新聞杯の距離が400m延長されても、その傾向は変わらないだろう。神戸新聞杯は前半1000mと後半1000mの間の400mが緩むレースになり、最後の瞬発力が問われるレースになる。だからこそ、スピードを持続させるスタミナが問われる菊花賞では、むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を狙うべきである。

■3■内枠はリスクあり
京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。そういった意味では、内枠が有利ではある。

しかし、内を進む馬には大きなリスクもある。まだ競走馬として完成していない3歳馬同士のレースであることや、クラシック最後の一戦であることも手伝って、3000mの距離を最後まで完走できない馬が出てくる。その勝負にならなかった馬たちが、急激にペースが上がる2度目の坂越えの時点でバテて下がってくるのである。ズルズルと下がってくる馬たちを上手く捌ければ問題ないのだが、もし上がって行かなければならないタイミングで前が壁になってしまうような事態に陥れば致命傷となるのだ。

過去にもゼンノロブロイやロックドゥカンブといった人気馬たちが、バテて下がってくる馬を捌き切れずに、スパートのタイミングを逸して負けてしまったことは記憶に新しい。ペリエ騎手は菊花賞であれほどバテた馬が下がってくることを知らず、あの位置にいたことを相当に悔いたらしい。柴山騎手はスタートで出負けして後方のインに閉じ込められ、簡単にG1レースを勝たせてはもらえないことを実感したはずである。つまり、ジョッキーとしては2周目の3コーナー手前までには外に出しておきたいレースなのである。

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ディープ産駒らしからぬディープ産駒


秋華賞2014-観戦記―
大方の予想どおりペイシャフェリスが先頭に立ち、前半1000mが58秒ジャスト、後半59秒ジャストというハイペースをつくりだした。ブランネージュまでの先頭集団と、ショウナンパンドラからの後続集団の2つに綺麗に分かれ、最後の直線では見事なぐらいに前と後ろの集団が入れ替わった。見た目以上に、前の集団に位置した馬たちには厳しく、後ろにいた馬たちにはおあつらえ向きの展開となった。

勝ったショウナンパンドラは、その後方集団の先頭に立ち、コーナーでは内を突き、馬の間を割って突き抜けた。夏を越して、見た目以上に成長していたし、馬体を見るとディープインパクト産駒にしては珍しいパワータイプである。重馬場の前走、前々走でもきっちり走っていたように、母系の血が色濃く出ている。瞬発力よりもパワーが要求される秋華賞の舞台で、ディープインパクト産駒らしくないディープインパクト産駒が勝利を収めた。それゆえに、瞬発力や要求される次走のエリザベス女王杯は苦しい戦いを強いられるだろう。

スタートからゴールまで、全くと言って良いほどにロスのない競馬で、浜中俊騎手にとっては渾身の騎乗であり、ショウナンパンドラもそれに応えてみせた。こういうレースのことを、二度と同じことはできない、一世一代の競馬というのだろう。こういうレースをされてしまうと、他の騎手は手も足もでない。日本人騎手の中では潜在能力は随一の存在だけに、これでG1レースは4勝目ではあるが、これからますます勝つことだろう。ただ、日本という枠に収まってしまうよりも、若いうちにぜひ海外の競馬に長期挑戦してもらいたい。

ヌ―ヴォレコルトは内外の進路取りの差で負けたように見えるが、騎乗自体には一点の曇りもなく、よくぞあそこまで追い詰めたという印象を受けた。ペースを考えると、あそこで外を回すのは妥当だし、ギリギリまで待って斜めに外に出しているだけに、距離ロスはほとんどなかった。それよりも、ハイペースを見越して馬を出して行かなかった判断はさすがで(もしかしたら春シーズンの疲れがあって馬が前進気勢になかったのかもしれないが)、岩田康誠騎手のポジション感覚の鋭さにはいつも驚かされる。上がり勝負となったローズSとは打って変わって、淀みのない持続力勝負になったことで馬が戸惑っていた。33秒台の上がりで勝利した馬が次走でコロッと負けてしまう典型であるが、それでも2着を確保したのはヌ―ヴォレコルトの地力の高さの証明であり、岩田騎手の好判断の賜物である。

3着に入ったタガノエトワールのレースぶりは理想的であり、内が詰まるリスクがあった勝ち馬よりも、速いペースを考えると絶好のポジショニングであった。それでも勝てなかったということは、現時点においては、上位2頭には力が及ばなかったということ。キャリア5戦目でこれだけのレースができるのだから、この先も楽しみな馬の1頭である。同じ松田博資厩舎のサングレアルも展開に恵まれて5着に突っ込んだ。レーヴデトワールは勝ちに行き過ぎた。負けた馬の中でも、ブランネージュは先行集団にいたにもかかわらず踏ん張ったように、この先、肉体が成長してきたら楽しみな馬である。バウンスシャッセも結果的に前を攻め過ぎたが、大崩しなかったように、復調してきている。

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惨敗のショックはないバウンスシャッセ:5つ☆

ヌ―ヴォレコルト →馬体を見る
春当時から良く見せるタイプではなく、夏を越してもそれは変わらない。
トモが薄く、いかにも長距離向きで、明らかに心臓の強さで走る馬である。
Pad3star

レッドリヴェール →馬体を見る
3歳になってから今回が最も良く見せているように、休養をはさんで復調した。
毛艶や筋肉のメリハリも素晴らしく、あとは気持ちの強さをどう扱うかだけ。
Pad4star

リラヴァティ →馬体を見る
どう見ても、まだ成長途上の馬体で、これから実が入って強くなってきそうな馬。
線が細く、パワー不足は否めないが、スタミナは十分にありそう。
Pad3star

ブランネージュ →馬体を見る
シンボリクリスエス産駒らしく、前駆が勝っていて力強い馬体を誇っている。
その分、トモの実の入りが不十分に映り、勝ち切るだけの完成度がない。
Pad3star

アドマイヤビジン →馬体を見る
この馬はいつも良く見せる馬だが、今回は逆に馬体がしぼんで、張りに欠ける印象。
血統的には短い距離が合いそうだが、馬体を見ると2000m前後がベストか。
Pad3star

サングレアル →馬体を見る
ブエナビスタの妹らしく、馬体のアウトラインはそっくりで、素質の高さを感じる。
とはいえ、このメンバーに入ると線の細さは否めず、勝ち切るだけのパワーはない。
Pad3star

ショウナンパンドラ →馬体を見る
実に平均的な馬体で、ディープインパクト産駒でなければ、見逃してしまいそうな平凡さ。
母父のフレンチデピュティの血が出ているのか、前駆が勝って、力の要る馬場でも。
Pad3star

オメガハートロック →馬体を見る
馬体全体のシルエットや顔つきは素晴らしく、この先、いかにも走ってきそうな馬。
ただ、現時点では、各パーツに実の入りが物足りなく、パンチ力不足を感じさせる。
Pad3star

マイネグレヴィル →馬体を見る
なるほど、馬体を先に見て、血統を見るとうなずけるほどの、パワー優先の馬体を誇る。
顔つきからも気性は素直そうで、馬体もふっくらとして好感が持てる。
Pad4star

マーブルカテドラル →馬体を見る
実に美しい馬体を誇る馬で、皮膚が柔らかく、春当時から安定して良く見せる。
表情を見ると、やや難しいところが出てきているが、距離はこれぐらいがベスト。
Pad3star

バウンスシャッセ →馬体を見る
脚が短いため重心が低く、オークスで3着していても、距離は短い方が合っている。
牝馬離れした筋骨隆々の馬体で、毛艶も良く、前々走と前走の惨敗のショックはない。
Pad5star

Syukasyo2014wt_2

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凱旋門賞の勝算

今週号の週刊「Gallop」では、凱旋門賞回顧の特集が6ページにわたって組まれている。凱旋門賞における敗戦を冷静な目で検証・分析し、未来へとつなげようとする試みは素晴らしい。私が「文化が足りない」と書いたのは、凱旋門賞をただのお祭りとして消費してしまうのではなく、第三者の視点を交えた建設的で活発な批評や論議がもっと必要であるということが第一義であった。その主役を担うのはマスコミであり、挑戦した関係者への敬意や称賛は当然抱きつつ、それでも勝てなかったのはなぜか、これからどうすべきなのかを意見をぶつけ合わなければならない。お互いを高め合うような対等な関係にまだないのだとすれば、それは日本の競馬に文化が足りないということである。

さて、今年の凱旋門賞における敗因において、大きく分けて2つの分析があったと思う。ひとつは前哨戦を使わなかったことに対するもの、もうひとつは現地のジョッキーではなく日本人騎手をそのまま起用したことに対するものである。前者は表面的なものでしかなく、後者は主にレースにおける位置取りを理由とした机上論でしかなかった。しかもどちらも既に結論が出ていることであって、今さらという感もある。沢田康文氏は週刊「Gallop」誌上にて、「経験と戦略としたたかさが足りなかった」と指摘しているが、それはつまり何もかも足りないということではないのか。

前哨戦を使うことがほぼ絶対条件であるのは、過去の凱旋門賞を好走した日本馬たちが教えてくれた。前哨戦を使うことには多くのメリットがある。本番に向けて、ひと叩きして体調のピークを合わせるのは当然であり、追い切りだけよりもレースを使った方がより仕上げやすい。それ以上に、前哨戦を使うということは、現地に長く滞在するということでもあり、その間に馬と人が環境に慣れることができる。環境とは周りの雰囲気であったり、気候であったり、馬場であったりする。具体的には、スピードシンボリやエルコンドルパサーがそうであったように、馬自身の走り方がヨーロッパの馬場に合わせて少しずつ変わってゆく。つまり、現地の競馬に適応するには、現地にいる時間が長ければ長いほど良いのだ。

今年の日本馬の位置取りが3頭ともに後方だったからといって、もっと前に行っていればと思うのはにわか競馬ファンだけだろう。ハープスターの良さを引き出すためにはほぼベストの騎乗であったし、ジャスタウェイとゴールドシップは体調が万全でなかったがゆえに前に行けなかっただけのことだ。騎手の技術云々の話ではない。今回の3頭に関しては、もし海外のジョッキーが乗っていたとしても、それほど大きく着順は変わらなかったはず。それでも、やはり現地の競馬場を知り尽くしているジョッキーに乗ってもらうのがベストだろう。安藤勝已騎手も指摘していたように、向こうのジョッキーと日本人騎手では馬の動かし方や抑え方がそもそも違う。あえて日本人騎手を乗せるとすれば、武豊騎手や横山典弘騎手ではなく、岩田康誠騎手か川田将雅騎手である。

前哨戦を使うことの重要性はエルコンドルパサーの頃から、海外のジョッキーを乗せるべきなのはディープインパクトのころから分かっていたことである。そういった過去の失敗や反省を全て生かした上で勝ちに行ったのが昨年のオルフェ―ヴルであり、逆に言うと、勝算が十分にあったからこそできたことでもあった。それゆえに、あのレースを負けたことに私は深く絶望したのだ。今年は時計の針が逆に回ったような後戻りをして、エルコンドルパサーの凱旋門賞からすでに15年の時が流れたにもかかわらず、全くと言って良いほどプロセスにおいて前進していなかった。なぜか?

勝算がないからだ。勝算がないからこそ、本気で勝ちに行けない。現地に長期滞在することなく、前哨戦も使わず、日本人騎手をそのまま乗せ続ける。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタで2度2着し、凱旋門賞に最も近いホースマンのひとりである二ノ宮敬宇調教師によると、現地に滞在すると諸々含めて1ヶ月に2000万円ぐらいの費用が掛かるらしい。勝算がなければ、何か月も現地に滞在できないのだ。どうするかというと、勝算のある日本のレース(たとえば宝塚記念や札幌記念)を使って賞金を稼ぎ、できるだけ海外遠征に掛かる経費を相殺した上で、ぶっつけで凱旋門賞に臨むのだ。フォア賞と札幌記念の賞金額を比べれば比べるほど、それは現実的なローテーションに思えてくる。海外のジョッキーに依頼しないのも同じ発想で、今回の3頭は日本に戻ってきてからが本番であり、そこで乗るのは結局のところ日本人騎手だからである。

フランスまで渡って凱旋門賞に出走するからには、勝ちに行っていないホースマンなどいないことは百も承知で厳しいことを言っている。それでも、結果論ではなく、そのプロセスにおいて、本気で勝ちに行っていないことが証明されてしまうのだ。それは関係者の総意として、勝算がない、つまり凱旋門賞を勝つ自信がないと心のどこかで感じている表れだ。全てを捨てて凱旋門賞を本気で勝ちに行ったのか、関係者はもう1度、自問してもらいたいし、マスコミはそう問わなければならないだろう。彼らが挑戦してくれたからこそ、こうした議論も生まれたことは確かであっても、表面的な称賛や慰めや未来への期待だけでは何も生まれないのだ。

最後に、もしもう一度、日本の超一流馬を連れて、本気で凱旋門賞を勝ちに行くならば、守らなければならない3つのルールを書き添えておきたい。

1、宝塚記念は使わない
2、現地に長期滞在し、前哨戦を使う
3、ヨーロッパのトップジョッキーに騎乗してもらう

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京都芝2000m(内回り)

Kyoto2000t

スタンド前の直線の半ばからスタートして、1コーナーまでの距離が最長のAコースでも308.7mとなる。スタートしてから1コーナー、そして1コーナーから2コーナーまでの距離が短いことによって、フルゲートにもなると先行ポジション争いは自然と激しくなる。

しかし、京都2000m内回りコースは「先行ポジション争い激化」という定説がすでに浸透してしまっている今、それゆえの盲点もまたある。つまり、これだけ「先行争い激化」のイメージが先行してしまうと、もちろんジョッキーたちもそれを意識するわけで、1コーナーまでのポジション争いには巻き込まれたくないという意識(または無意識)が働く。その結果、1コーナーから2コーナーにかけて、ゆっくりと安全に回ろうという騎手の総意が“お見合い”を生み、かえってスローペースを形成してしまうこともあるということだ。

また、3コーナーから下りが続くこと、直線が平坦なことによって、ラスト800mの時計は驚くほど速く、前に行っている馬は簡単には止まらない。そして、直線が短いことを含めて、騎手に先行馬有利という意識が強く働くため、3コーナーからすでに各馬の動きが激しくなり、展開を大きく左右することになる。後続の仕掛けどころが遅れると前がそのまま残り、後続が早く仕掛けすぎると前崩れが起きるという現象が起こる。

このように、「1コーナーまでの先行争い」、そして「3コーナーからの仕掛けどころ」という2点において、レース自体の展開におけるアップダウン(緩急)が非常に激しくなってしまうのだ。そして、そのアップダウンが逃げ馬・先行馬に有利になるのか、それとも差し・追い込み馬にとって有利になるのかは、実際のところ走ってみないと分からない。各馬のほんのわずかな動きがペースを大きく左右する、極めて敏感なコースなのである。これが京都2000m内回りコースの真実だろう。

さらに、勝負所である3コーナー入口と4コーナーが狭くなっているため、馬が密集しやすいという特徴もある。この地点でゴチャついて不利を被ってしまった馬は、直線の短さを考えると、余程力が抜けていない限り挽回することは難しい。

だからこそ、強い馬が力を発揮することなくレースが終わってしまうような展開になることも少なくない。騎手の間では、「1番人気の馬に乗っては臨みたくないコース」とされている。レースに行ってからの各馬の出方が展開に大きな影響を与えるため、レース前にどのような展開になるのかも予測しづらいのだ。そのレースごとに極端なハイペースになったり、極端なスローペースになったりするのである。騎乗するジョッキーだけではなく、予想をする私たちにとっても、非常に難解なコースと言える。

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秋華賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Syuka

■1■ジョッキーの腕が大きく結果を左右する
京都の芝2000m(内回り)に変更された年以降、過去12年間の前半5Fと後半5Fのラップを比較してみたい。前傾ペースとは前半のラップの方が速く、後傾ペースとは後半のラップの方が速いレースのことを示す。
平成13年 58.4-60.1 →前傾ペース
平成14年 59.0-59.1 →平均ペース
平成15年 59.8-59.3 →平均ペース
平成16年 59.9-58.5 →後傾ペース
平成17年 60.1-59.1 →後傾ペース
平成18年 58.4-59.8 →前傾ペース
平成19年 59.2-59.9 →平均ペース
平成20年 58.6-59.8 →前傾ペース
平成21年 58.0-60.2 →前傾ペース
平成22年 58.5-59.9 →前傾ペース
平成23年 58.3-59.9 →前傾ペース
平成24年 62.2-58.2→後傾ペース
平成25年 58.9-59.7→前傾ペース
 
ここ数年は前傾ペースに流れているが、平成24年は一転して後傾ペース。それ以前はランダムなペースになっていることが分かる。開幕2週目の絶好の馬場と短い直線を考慮に入れると、基本的には先行馬にとっては非常に有利に働くコースである。しかし、逆にそのことを意識しすぎると、各馬の仕掛けが早くなり、極端なハイペースが創出されることになる。

また、道中のペースの緩急も激しく移り変わる。たとえば2007年の秋華賞では、道中(6ハロン目)でなんと13秒台のラップが刻まれた。スタートから2ハロン目はそれ以前の5年間で最速なだけに、ペースが速いと思わせておいて、急激に遅くなるというアップダウンの激しいレースであった。

2007年 ダイワスカーレット
12.3 - 10.4 - 11.5 - 12.2 - 12.8 - 13.6 - 12.4 -11.3 - 11.1 - 11.5

わずかな展開の綾によって、ペースの緩急が激しく移り変わり、前に行った馬に有利な流れになったり、一転して差し脚が生きる展開になったりする。こういうレースでは、馬をコントロールする技術やペース判断に長けたジョッキーの腕が大きく結果を左右することになる。レースの位置取りや道中での駆け引きなどを含め、騎手が占めるウエイトは大きいのだ。

■2■スピードの持続が求められる
この秋華賞でサンデーサイレンス産駒が苦戦を強いられたのは有名な話である。過去に行われた秋華賞に60頭のサンデーサイレンス産駒が出走して、2003年のワンツーフィニッシュと2005年にエアメサイアの勝利があるが、ほとんどの馬は4着以下に沈んでいる。1番人気に推されたトゥザビクトリーやダンスインザムードというビッグネームすらも惨敗しているのが、この秋華賞である。2006年も1番人気に推されたアドマイヤキッスが4着と凡走した。

【2・2・1・55】 連対率6%

この数字は、サンデーサイレンス産駒の秋華賞における成績である。サンデーサイレンス産駒の秋華賞での連対率は6%という極めて低い数値を示す。他のG1レースと比較してみても、10%を切るのはNHKマイルカップぐらいで、それ以外のG1レースではほとんど20%以上の連対率となる。たとえば、同じ牝馬限定G1レースであるエリザベス女王杯の31%と比べると、サンデーサイレンス産駒の秋華賞での不振は明らかになる。

サンデーサイレンス産駒がこのレースを苦手とした理由はただひとつ。小回りのゴチャつきやすいコースで、スピードの持続が極限まで求められるレースになりやすいからである。サンデーサイレンス産駒は、ゆっくり行って終いを伸ばすレースには滅法強いのだが、スタートからゴールまで速いラップを刻み続けなければならないレースを苦手としたからだ。つまり、秋華賞は瞬発力ではなく、地脚の強さで勝負する馬にとって有利なレースである。

■3■4つコーナーだけに内枠有利
過去5年の秋華賞は全てフルゲートで行われたが、内外に分けた枠順別の勝率、連対率は次頁のとおり。

1~4枠 【3・4・3・38】 勝率6% 連対率15%
5~8枠 【3・2・3・52】 勝率5% 連対率8%

かつては外枠の勝率、連対率が内枠よりも高かったが、近年は少しずつ内枠有利に変化しつつある。前傾ペースが続いている中での内枠有利だけに、やはり4つコーナーの小回りコースである以上、内枠有利が基本と考えてよいだろう。

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これでもかというくらいに実が入ったワールドエース:5つ☆

★京都大賞典
トーセンラー →馬体を見る
若駒の頃から良く見せる馬だが、今回は休み明けらしい余裕のある馬体。
マイルのG1を勝っているが、胴部にも長さがあって2400mぐらいまでなら。
Pad4star

メイショウマンボ →馬体を見る
この馬は逆に良く見せないタイプだが、古馬になって馬体がしっかりしてきた。
腹回りに少し余裕があるが、決して太くはなく、休み明けでも力を出し切れる。
Pad3star

ラストインパクト →馬体を見る
松田博資厩舎の馬らしく、いかにもバネがありそうな体型と筋肉の質を誇る。
全体的にはややアンバランスな面もあるが、毛艶は良く、仕上がり自体は絶好。
Pad4star

デスペラード →馬体を見る
太目に映るぐらいに筋肉量が豊富で、ダートでも走れそうなパワー優先の馬体。
顔つきから気持ちの繊細さがありそうだが、立ち姿自体は文句をつけようがない。
Pad3star

ヒットザターゲット →馬体を見る
キングカメハメハ産駒にしては力感がなく、それゆえに距離が延びて瞬発力が生きる。
表情からは気持ちの難しさが伝わってきて、スムーズに走れて展開がこの馬に向けば。
Pad3star

フーラブライド →馬体を見る
もうひと絞りできそうだが、牝馬とは思えない力強さで、このメンバーでも見劣りしない。
休養の効果があったらしく、表情は凛々しく、立ち姿もリラックスしていて好感。
Pad4star

★毎日王冠
ロサギガンティア →馬体を見る
フジキセキ産駒らしく首回りが太くなってきて、春シーズンに比べ力強さが増してきた。
黒光りする毛艶の良さはそのままだが、筋肉のメリハリという点ではあと一歩か。
Pad3star

ロゴタイプ →馬体を見る
前走の馬体は素晴らしかったが、今回はトモにもう少し盛り上がりがほしい。
ただ、馬体全体には柔らかみがあって、この馬の自身は完全に復調している。
Pad4star

ディサイファ →馬体を見る
エプソムC時は完璧だったが、今回は筋肉のメリハリと張りが物足りない。
とはいえ、休み明けにしては太め感は全くなく、仕上がり自体は悪くない。
Pad3star

ワールドエース →馬体を見る
前後躯ともに、これでもかと言うぐらいに実が入って、パワーに溢れている。
毛艶も良く、筋肉のメリハリもあって、休み明けとしては非の打ちどころがない。
Pad5star_2

エアソミュール →馬体を見る
それほど間隔は開いていないが、一旦緩めたのか、筋肉のメリハリが物足りない。
馬の表情もリラックスしているように、ここを叩かれて次が狙い目だろう
Pad3star

スピルバーグ →馬体を見る
夏場を使ってきた馬らしく、毛艶は冴えて、筋肉にも柔らかみがあって良い。
腹周りに余裕があるのはこの馬の体型だろうが、あとひと絞りできれば最高。
Pad3star

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ハービンジャーはサンデーサイレンスのよう

前回の「素質馬の見極め方」で取り上げたダノンメジャーが、早速、野路菊S(オープン)で2勝目を挙げた。極端なスローペースを後方2番手で進み、最後は上がり33秒1の脚で差し切った。着差以上に強い内容であったし、つきすぎるぐらい折り合いがついたことも、今後のレースにおける選択肢の幅が広がったと考えることができるだろう。2戦目になると、デビュー戦と違って、レースの苦しさや厳しさを馬も少しずつ分かってくるため、レースを早く終えようとして(逃げようとして)、行きたがるようになる馬は多い。その点においては、ダノンメジャーはレースに行くと落ち着いて、冷静に走ることができるのは最大の強みである。

ただ、ラストの3ハロンで33秒台の脚を使ったように、こうした極端な競馬をした後は反動が出ることが多い。楽に勝ったように見えても、実は一気に脚を使った方が肉体的な負担は大きい。2歳戦は得てして超がつくほどのスローに流れてしまうことが多いため、ジョッキーは折り合いをつけることを教えつつ、あまり極端な脚を使わずにすむようなポジション取りが求められる。今回の乗り方は、やや折り合いをつけすぎて、勝つためにダノンメジャーに負担を掛けてしまった印象が強い。このままレースを使うと、次は思いもよらない凡走をする。今は無理をせずに、ゆっくりと立て直して、来年に備えてもらいたい。

さて、その後、新たに2頭の素質馬が登場したので、ここに紹介したい。まず1頭目は、9月14日のメイクデビュー阪神(芝1600m)を勝利したサトノフラムである。終始、余裕のある手応えで追走し、最後の直線で外から他馬に並ばれるとあっと言う間に突き放した。ムチを入れることなく反応したのは素晴らしく、ゴール前では耳が立っているように、騎手が本気で追えば、もっと伸びているはずだ。母の母がウェルシュマフィン(タイキシャトルの母)という良血であり、馬体もがっしりとしていて力強い。父はマンハッタンカフェだが、胴部が詰まっていて、勝気な気性だけに、距離はマイル前後がベストだろう。短距離系の馬を育てるのが上手い安田隆之厩舎だけに、来年のNHKマイルCあたりが面白い。

もう1頭は、10月4日、メイクデビュー阪神(芝1800m)を勝ち上がったスティーグリッツである。ゴール前の写真を観るだけで、大物誕生を予感させてくれる馬だ。手脚が長く、胴部には薄さがある。性格もおっとりしているらしいので、距離はさらに延びて、この馬の良さが出るだろう。これでハービンジャー産駒は8頭目の勝ち上がりになるが、どの馬にも共通して言えることは、手先が軽く、良い意味での緩さが馬体にあって、まるでサンデーサイレンス産駒のようだ。多くのヨーロッパの一流種牡馬が日本では失敗に終わるのは、手先に軽さがなく、馬体に重厚感があるため、日本の軽い馬場に対応できないからである。それがハービンジャーにはない。自身も4歳になって大成したように、晩成型の馬であり、単なる早熟血統ではないことが窺い知れる。だからこそ、この時点で8頭も勝ち上がっていることが末恐ろしい。そのハービンジャー産駒の中でも、最も資質が高い馬の1頭がスティーグリッツであり、順調に行けば、来年のクラシックが楽しみだ。

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勝つときはそんなもの


スプリンターズS2014-観戦記-
ダッシュ良く飛び出したハクサンムーンからダッシャ―ゴーゴーがハナを奪い、前半33秒7、後半35秒1というスプリント戦らしいハイペースで道中は流れた。勝ち時計は1分8秒8と掛かっており、中山競馬場で行われる例年のスプリンターズSが1分7秒台前半で決着するのに比べ、明らかに別物のスプリンターズSであった。夏から使い込まれた新潟競馬場の(特に内側の)芝は傷んでおり、自然と外々を回る形になるため、パワーだけではなく1200m以上のスタミナが問われるレースとなった。その結果、馬場の良い馬群の外を走り、前半はスタミナを温存した馬たちが上位に突っ込んだ。

勝ったスノードラゴンは、ダートでも活躍していたように、力の要る馬場での差し脚勝負には滅法強い。前走は小回りの札幌競馬場で追走に手間取っていたが、今回はスタート直後の直線の長さを生かしてスムーズに中団に位置し、最後の直線では力強い末脚を繰り出した。得意の左回り、時計の掛かる馬場、そして外枠から馬場の良いところを走れたこと、差し脚が生きるハイペースになったことなど、スノードラゴンにとってはこれ以上ない条件が揃った。勝つときはそんなもの。G1レース初勝利となった大野拓弥騎手も、文句のつけようのない会心の騎乗で、同馬を勝利に導いた。

ストレイトガールは勝ち運に見放されている。決してこういった時計の掛かる馬場を苦手とする馬ではないが、本来はパンパンの良馬場でこそ、この馬の切れ味が生きる。今年の高松宮記念もそうであり、今回のスプリンターズSもまた、スピードや瞬発力よりもパワーやスタミナが要求される、この馬の適性と異なるレースになってしまった。それでも高松宮記念は3着、そして今回は2着と好走しているように、スプリンターとしての資質や能力は極めて高い。

適性が異なるといえば、レッドオーヴァルにとっても厳しいレースとなった。この馬こそが、ディープインパクト産駒らしく、良馬場での瞬発力で勝負する馬であり、今回は完全に馬場に殺されてしまった。前走は外々を回らされた分、届かなかったが、今回はハイペースを理想的なポジションで追走できただけに、新潟開催による馬場の悪化が悔やまれる。あと10kg馬体重が増え、ひと回り身体が大きくなってくれば、スプリンターとして大きなところを制するチャンスが広がるはず。

1番人気のハクサンムーンは、最後の直線で力尽きてしまった。決して無理なペースで飛ばしたわけではなく、この馬にとってはマイペースと言ってもよい流れ。自分の型に持ち込めなかったが、それほど戸惑う素振りも見せず、むしろ理想的な直線の向き方をしただけに、ぱったりと止まってしまったのは不可解だ。この馬の武器であるスピードが殺されてしまったことは確かでも、あまりに無抵抗すぎて、拍子抜けしてしまう敗戦であった。ロードカナロアと鎬を削った昨年こそがこの馬の全盛期であり、スプリンターのピークは短いということなのだろうか。

見どころがあったということで言えば、3歳牝馬のベルカントである。馬場の悪いところを通って先行した馬たちに厳しいレースであったにもかかわらず、グランプリボスとハナ差の5着に粘り込んだ。スプリント戦であれば、G1レースでも通用する能力を秘めていることを証明した。この先無理をせずに成長を促すことができれば、来年は面白い存在になる。

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毎日王冠を当てるために知っておくべき3つのこと

Mainitioukann

■1■とにかく逃げ・先行有利
府中の1800展開いらず、どんな展開になっても強い馬が勝つという意味の格言だが、開幕週に限っては当てはまらない。この時期の東京競馬場は、夏の間に十分根を張った軽いオーバーシード芝となる。洋芝はまだ芽が出かけた程度で、ほぼ野芝100%の極めて軽い馬場であるため、前に行った馬が簡単には止まらない。たとえかなりのハイペースになったとしても、とにかく逃げ・先行馬に有利なレースとなる。

■2■前走がG1、もしくは重賞勝利馬
過去13年間の、前走をクラス別で分けると以下のとおり。
G1    【9・8・3・35】
G2    【0・2・2・21】
G3    【3・2・6・48】
OP以下【1・1・1・11】

過去13年の連対馬中で、17頭が休み明けの前走G1組、その他7頭はG2、G3をステップとしている。休み明けにもかかわらず、前走G1組が勝利しているように、この時期になると夏を使ってきた馬よりも実績のある実力馬にとって有利なレースとなる。前走がG1組であれば着順は関係ないが、G2、G3もしくはOP以下のレースをステップとしてきた馬は、前走勝って臨んできている上り馬であることが必須条件となる。

■3■5歳馬中心も3歳馬には注目
世代別の成績は以下の通り。
3歳馬【2・3・0・7】 連対率42%
4歳馬【1・3・4・23】 連対率13%
5歳馬【4・3・0・37】 連対率15%
6歳馬【0・2・4・13】 連対率16%
7歳馬以上【3・1・6・36】 連対率7%

連対率こそ変わらないが、勝ち馬、連対馬共に、夏を越して本格化した5歳馬の活躍が目立つ。秋の中距離G1シリーズに向けてキーとなるステップレースである以上、ひと夏を越しての成長が見込まれる馬を探すべきレースである。

また、3歳馬の連対率が42%と圧倒的に高い。出走頭数こそ少ないが、この時期に古馬にぶつけてくるような素質を見込まれた3歳馬が出走してきたら、かなりの確率で好勝負になるということである。

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文化が足りない


凱旋門賞2014-観戦記-
完敗という言葉しか思い浮かばない。ジャスタウェイ、ハープスター、ゴールドシップという3頭の名馬たちが走っても、あらゆる面において相手の力が二枚も三枚も上であり、レースにすら参加させてもらえなかった。唯一見どころがあったと言えば、最後の直線におけるハープスターの一瞬の切れ味ぐらいで、それもほんの一瞬でしかなかった。挑戦したこと自体には称賛の拍手を送りたいが、これを良い経験と言って片づけてしまうのでは、あまりにも情けない。

ハープスターは末脚に賭ける乗り方に徹し、この馬の力は出し切った。残念だったのは、前半の1000mまでは馬群から離してポツンと追走していたにもかかわらず、途中から内ラチ沿いに進路を変えてしまったことである。ゴールドシップの行きっぷりが悪く、外から被されるような形になったことも影響したのかもしれないが、結局、直線の入り口で外に出すぐらいなら、最後まで気楽なポジションを走って、ハープスターの気を溜めておくべきであった。もしあそこで内に入れたのであれば、内からこじ開けるようにして馬群を抜けてほしかった。この馬は日本では相当な名牝になるだろうが、馬場とポジションに注文がつく以上、海外では厳しい。

ジャスタウェイとゴールドシップについては、ローテーション的に、走る前から負けていた。世界ランキング1位に輝くジャスタウェイは、ドバイデュ―ティーフリーの疲れが抜ける間もなく不良馬場の安田記念を勝利したことで、凱旋門賞までにベストな状態に戻すことができなかった。ゴールドシップは宝塚記念を勝ったことで、凱旋門賞にピークを合わせることが難しくなった。これは何度も書いてきていることだが、もし本気で凱旋門賞を勝ちたいならば、宝塚記念を使ってはならないのだ。6月末にG1レースを勝つ状態に仕上げられた馬が、およそ3か月後の凱旋門賞までに再び完調に戻ることはない。海外遠征による環境の変化が加わればなおさらだ。遠征に掛かる莫大な費用を宝塚記念で補いたい気持ちはよく分かるが、凱旋門賞の栄誉を取りたければ、目先のお金は捨てなければならない。

野平祐二騎手がスピードシンボリに跨って凱旋門賞に挑戦したのは1969年のこと。あれから45年の歳月が流れ、日本競馬のレベルは格段にアップした。エルコンドルパサーやディープインパクト、ナカヤマフェスタ、オルフェ―ヴルらの凱旋門賞での走りを見るまでもなく、日本馬の実力は世界中で認められ、たとえ凱旋門賞でも勝てるだけの力は秘めている。血統レベルの向上だけではなく、生産から育成、調教に至るまで、あらゆる面において、ヨーロッパやアメリカなどの競馬先進国に追いついた、はずであった。しかし、本当にそうなのだろうか。日本の競馬人である私たちは、今年の3頭の敗戦を真摯に受け止めて、真剣に考えなければならない。

何が足りないのか?抽象的で申し訳ないが、文化が足りないと私は思う。これはサッカーのワールドカップのときにも強く感じたことだが、日本のサッカーに足りない、いや、ないのは文化であった。選手からマスコミ、そしてファンの間に文化の蓄積がまるでないのだ。お金の出どころばかりを気にして、サッカーのことを本当に考えている人が少ないということだ。同じことが日本の競馬にも当てはまる。当たり障りのないインタビューや提灯記事ばかりで、ローテーションの不備を突いたり、過去の凱旋門賞における騎乗ミスを振り返ったりした議論はあったのか。凱旋門賞を本当に勝つには、日本の競馬人全員が言葉の粋を尽くして語り合い、互いに高め合わなければならないのではないだろうか。批判されて取材拒否をする関係者などもってのほかで、気を遣ってばかりのマスコミも情けない。悲しいかな、そうして流された表面的な情報ばかりに競馬ファンは踊らされる。だから負けても誰も気づかないのだ。私たちの競馬には文化が足りないことを。

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◎ハクサンムーン

Jiromaru

友人に車を出してもらい、初めて新潟競馬場に行ったのは、もう12年も前のことになります。前日から温泉宿に宿泊し、飲めない私以外は美味しい地酒を飲み、当日は気持ちよく新潟競馬場に向かいました。もちろん、新潟競馬場で初めてのG1レースが行われたことがきっかけです。恥ずかしながら、私は今でも福島競馬場に行ったことがないように、たとえJRAの競馬場であっても、何かの理由がなければフラッとは行けないものですね。この年は、ビリーヴとショウナンカンプ、そしてアドマイヤコジーンという3頭の名馬たちが、私たちを新潟競馬場に導いてくれたのでした。

新潟までの長い車中、どの馬の単勝を買うかで私の頭は一杯でした。どちらを買うかという行ったり来たりではなく、3頭のうちのどの馬を買うかという逡巡。巡り巡って、回り回ってみても、どの馬が勝つかなんて分かりませんでした。結局のところ、1番人気に推されていたビリーヴは休みなく夏場も使い込まれていたことを理由に評価を下げ、前走の安田記念でお世話になったアドマイヤコジーンもマイラーとの理由で勝ち切れないと判断しました。

私が単勝を買ったのは、自分と誕生日が同じショウナンカンプ。そんな下らない理由だけではなく、同年の高松宮記念のスピードを生かした圧倒的な逃げ切りが印象に強かったのです。同じ平坦左回りのスプリント戦なら、高松宮記念が再現できると踏んだのでした。しかし、逃げるショウナンカンプをアドマイヤコジーンが競り落とそうとしたところを、ビリーヴがゴール前で内から少しだけ差すという結果に終わりました。夜の高速を飛ばして帰る車の中、スプリントG1で逃げ馬を買ってしまったことを深く反省し、やっぱり平坦コースは牝馬だよねなどとうんちくを傾けた記憶が鮮やかです。

さて、今年のスプリンターズSも新潟競馬場で行われます。日高町の白井牧場と浦河町の岡本牧場の生産馬に地方出身の騎手が乗る2頭が人気を分け合っていますね。実は今年も性懲りもなく、牡馬の逃げ馬ハクサンムーンに本命を打ちます。12年も経てば、あのときの苦い記憶も美しい思い出です(笑)。馬体評価では4つ星半としましたが、しっかりとしたローテーションを踏んできたという点で、ストレイトガールよりも上に見ました。この馬のスピードと粘り腰の強さはすでにG1級であり、後方からの競馬でも差してきた今年の高松宮記念の走りを見ても、ラストの脚の確かさを感じます。つまり、逃げて粘るというよりも、逃げてそこからさらに伸びることができる馬です。

今年の春シーズンは、昨年度、ロードカナロアと激戦を繰り広げた疲れが噴出してしまいましたが、間隔を十分に開けたことで、肉体的にも精神的にもリフレッシュされました。前走をひと叩きされて、万全の仕上がりで臨んできます。西園調教師の「中山だったら負けないと思う」というコメントに偽りはありません。新潟で牝馬の切れ味に屈することが唯一の心配材料ですが、この馬ならば私の12年越しの鬱憤を晴らしてくれるはずです。

Sprinters2014

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細かい筋肉まで鍛え上げられたストレイトガール:5つ☆

ストレイトガール →馬体を見る
手脚や胴部にも十分な長さがあり、単なるスプリンターの体型ではない。
細かい筋肉まで鍛え上げられており、休み明けを感じさせない仕上がり。
Pad5star

コパノリチャード →馬体を見る
ふっくらとしてリフレッシュされたが、腹回りに余裕があるように太い。
その分、トモの肉付きに物足りなさを感じさせ、ゴールまで息が持つかどうか。
Pad3star

ハクサンムーン →馬体を見る
春シーズンにあった疲れが抜けて、前走の時点でも体調は戻ってきた。
いかにも短距離馬らしく重心は低く、前後のバランスも良く、文句なしの馬体
Pad45star

グランプリボス →馬体を見る
レース間隔を開けても問題なく仕上がっており、今回も走れる状態にある。
とはいえ、表情を見る限り、気持ちの難しさが出ており、そこが気がかり。
Pad3star

マジンプロスパー →馬体を見る
いつも良く見せるタイプの馬体の馬だが、今回は腹回りに余裕があって太い。
体調自体は良いが、高齢になってきて、絞り切れない部分が出てきている。
Pad3star

ローブティサージュ →馬体を見る
夏場に使い込まれても、筋肉には柔らかさがあり、黒光りする毛艶も素晴らしい。
トモにもう少し実が入ってくれば完璧だが、スプリント戦なら力は発揮できる。
Pad4star

マヤノリュウジン →馬体を見る
胴部には長さがあるが、絞り切れていないため、全体としてはバランスが悪い。
それ以外の部分は平均的で、良くも悪くもなく、これといった強調材料はない。
Pad3star

ハナズゴール →馬体を見る
相変わらずというか、馬体には線の細さが残っており、いかにも牝馬らしい造り。
海外遠征明けになるためか、気持ちの難しさを感じさせる表情は心配材料のひとつ。
Pad3star

ガルボ →馬体を見る
いつも同じように見せる馬であり、それだけ体調が安定しているタイプということ。
7歳になった今回も普段通りの仕上がりで、この馬の力は発揮できるはず。
Pad3star

スノードラゴン →馬体を見る
前走の方が全体的な張りが感じられたが、パワーを感じさせる馬体はそのまま。
各パーツにも長さがあり、スタミナを生かした追い込みがどこまで届くか。
Pad3star

セイコーライコウ →馬体を見る
脚が短いため、重心が低く、いかにもスプリンターという体型でスピードは豊富。
7歳馬とは思えない馬体のメリハリだが、距離が延びることはマイナス材料。
Pad3star

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凱旋門賞へ向けて2014-ラスト-

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ここまでどちらかというと悲観的な論調で書いてきたが、最後ばかりは、明るい側面から今年の日本馬の凱旋門賞挑戦を見てみたい。何と言っても、今年は3頭の最強クラスの名馬が無事に出走することができるのだ。スピードシンボリと野平祐二による初挑戦から昨年のオルフェ―ヴルまで、2頭まではあっても、3頭の日本馬が揃って走ったことはない。ここに日本馬にとっての大いなるチャンスがある。毛利元就の三矢の教えのように、3頭が束になって戦えば負けないという意味ではなく、1頭よりも2頭の、2頭よりも3頭の、それぞれに勝とうという明確な意思を持った馬たちがゴールを目指すことで、勝つ確率が圧倒的に高くなるということだ。

実質的にも、日本馬だからといって執拗なマークをされることが軽減され、それぞれが自分の競馬を貫くことができるだろう。あえて戦略的に言えば、ジャスタウェイは先行、あわよくば逃げてみてもらいたい。ゴールドシップは気分に任せて道中は進み、フォルスストレートをも有効に使いながら最後の直線に向くまでに捲り上げてもらいたい。そして、ハープスターは道中、最後方から、馬群から離してポツンと走らせ、最後の直線における爆発的な切れ味を引き出してもらいたい。これは私の願望ではあるが、おそらく陣営もそのように考えているだろう。だからこそ、細かい指示が伝わりやすい日本人ジョッキーが騎乗することが、今年はプラスになる。

最も凱旋門賞の舞台に合うのはゴールドシップだろう。パワーと底なしのスタミナを兼備している同馬は、もしかすると日本よりも欧州の競馬場の方が走りやすいかもしれない。フランスの広大な調教場でリラックスしたゴールドシップが本気になり、直線での消耗戦にもちこめれば、この馬の強靭な身体能力に敵う馬はいない。私がゴールドシップを精神的にムラがある馬と評したのは、本当に理由なくランダムに走る気になったりそうでなかったりするからだ。そう考えると、前走の札幌記念で行きっぷりが悪く、ハープスターに敗れたことは、今回にプラスに出る可能性が高い。今度は走る気になる番である。

ジャスタウェイは2400mの距離が心配されているようだが、全く心配はいらない。そもそも父ハーツクライはステイヤーを出す傾向にあり、今年のオークスでもダービーでも、ハーツクライ産駒が距離延びて勝ったように、距離は長ければ長いほど良い。ジャスタウェイも勝ち鞍こそ2000m前後に集中しているが、その馬体を見れば、はっきりとステイヤーのそれである。首がすらりと長く、手脚も胴部にも十分な長さがあり、決してマッチョではなく胴体が薄い。これまではトモに実が入り切っていなかったため、一瞬の切れ味で勝負していたが、馬体が完成された今、マイル戦でも勝てるだけのスピードと切れ味を秘めたステイヤーとなった。もしこの馬が逃げたとき、そのスピードの持続力についてこられる馬はいない。

ハープスターは前述したように、周りに馬がいると気を遣ってしまい切れ味が削がれるタイプであり、できるだけ馬群から離してポツンと走らせることで、恐ろしい末脚を引き出すことができる。札幌記念のようなレースもできなくもないが、この馬本来の良さを生かすには最後方で馬群の外がベストだ。つまり勝ちにいくのではなく、一発を狙う競馬をするということだ。そもそも競馬はやり直しがきかない一発勝負なのである。もう1度戦ったら勝てるはずのディープインパクトやオルフェ―ヴルも、1度きりの勝負では負けてしまった。裏を返せば、わずか一瞬の勝負に賭けて、勝つこともできるということだ。今年は一発勝負に賭ける馬が3頭もいることが期待であり希望であり、その最も大きな賭けに出られるのが、斤量の恩恵を受けて走る3歳牝馬のハープスターである。

そして、何よりも、全ての馬たちが、無事に戻ってきてくれることを心から願う。

Photo by 三浦晃一

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