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ステイヤーのための菊花賞


菊花賞2014-観戦記-
サングラスが先頭に立ち、シャンパーニュがそれに続く形ですんなりと隊列が決まり、前半1000mが60秒9、中盤が61秒3、そして後半が58秒8という、実に淀みのない流れ。特筆すべきなのは中盤の61秒3というタイムで、道中でほとんどペースが落ちるところがなく、スタミナの裏付けがない馬たちにとっては厳しいレースとなった。そこからラスト5ハロンを58秒8でまとめているように、最後まで止まることなく伸び切った上位2頭は、極めて優秀なステイヤーであることを自ら証明した。

トーホウジャッカルはスタートから好位を確保し、やや掛かり気味になる場面も見られたが、前進気勢を失うことなくスムーズに走っていた。最終コーナーを回るときには手応え抜群で、追い出されてからは弾けるように伸びた。父スペシャルウィークを彷彿させる、胴部が薄くてヒョロッとした典型的なステイヤーの馬体であり、距離が延びて真価を発揮した。姉トーホウアマポーラはCBC賞を勝った短距離馬であり、この馬は菊花賞を勝ったステイヤー。ここにフジキセキとスペシャルウィークの種牡馬としての大きな違いが表れている。父にはもちろん、母父にスペシャルウィークが入った馬は、今後の菊花賞でも注意が必要であると覚えておきたい。

酒井学騎手の騎乗は見事のひと言に尽きる。1枠を引いたことや、前走で脚を余したこともあって、今回は勝ちに行くために思い切って馬を出して行った。多少行きたがっても抑えられる自信もあったのだろう。勝負どころは、スタートしてから第1コーナーまでの間。あそこで隣枠に入ったサウンドオブアースよりも前のポジションを取れたことが大きかった。最後の直線に向けて外に出しつつ、追い出すタイミングも絶妙で、トーホウジャッカルの瞬発力を生かしてみせた。二ホンピロアワーズやハウサンムーンらに跨って積んできた経験が、大舞台で馬の力を信じ切った攻めの騎乗へとつながった。

惜しくも敗れたサウンズオブアースは、勝ち馬に先に抜けられてしまい、渋太く食い下がったが、最後まで前に出ることができなかった。同じステイヤーでも、トーホウジャッカルが切れるタイプなら、サウンズオブアースはジワジワと伸びるタイプ。血統的には母父DixielandBand(2004年の菊花賞馬デルタブルースの母父)が利いている。蛯名正義騎手としては、最終コーナーを外から捲って、一歩先に引き離しておきたかったはずだが、内枠で馬群に包まれてしまい外に出すタイミングがなかった。もしくはテン乗りで手探りの状態であったことで、サウンズオブアースの良さを引き出せなかったのであれば、藤岡祐介騎手からの乗り替わりが裏目に出たことになる。このあたりが菊花賞であり長距離戦の難しさである。

ワンアンドオンリーの敗因については、こちらに書いたので改めて述べるつもりはない。余程力が抜けている馬でなければ、日本ダービーと菊花賞を勝つことは難しいのである。それだけ日本ダービーは重いということでもある。レースでは苦しがって、終始掛かり通しで、最後の直線に向くころにはすでに手応えがなかった。横山典弘騎手の乗り方云々の問題ではなく、今回は馬の問題である。秋シーズンは決して無理をさせず、下手に凡走すると馬も自信を失うので、十分な間隔を開けて、来春の天皇賞春に備えてもらいたい。

トゥザワールドはワンアンドオンリー以上に大きくバテて、惨敗を喫した。血統的には母父にサンデーサイレンスが入って、さらに全兄のトゥザグローリーに比べて脚が短く重心が低い馬体もあって、明らかに長距離向きではない。最後はガス欠を起こし、自らレースを止めてしまう格好となった。ステイヤーとしての資質が問われる今年のような菊花賞になってしまうと、特に長距離適性のない同馬には苦しかった。兄同様に走る能力は高い馬なので、今後は2000m前後のレースに絞って使うべきである。

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