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名門復活の兆し

Tennosyoaki2014 by 三浦晃一
天皇賞秋2014-観戦記-
カレンブラックヒルが悠々とハナを切り、前半60秒7、後半が59秒0という極端なスローペースに落ち着いた。先行馬たちが外枠から切れ込むようにして第1コーナーに進入したことで、馬群が密集して窮屈な格好になり、ほしい位置を取れなかった馬たちもいた。改修前の魔の府中2000mと呼ばれた頃に似た序盤であり、そこを上手く乗り切れたかどうかが着順を大きく左右した。基本的には前、そして馬群の内にポジションできた馬にとっては有利なレースであった。

勝ったスピルバーグは、メンバー中随一ラスト3ハロン33秒台の、桁違いの末脚を繰り出した。脚質的に前につけることができず、前半は馬群の内に入れて脚をため、最後の直線に全てを賭けた。前走は完全に脚を余して負けただけに、今回はスピルバーグの能力を十全に発揮することができ、関係者の鬱憤も晴れたことだろう。決して楽な競馬ではなく、直線の坂を駆け上がって、勝敗が決したと思われたところから差し切った脚は、いかにもディープインパクト産駒しい見事なものであった。こういう極端な競馬をすると肉体的に負荷が掛かり、次走では凡走することが多々あるので、ジャパンカップに関しては半信半疑というところ。

これだけの脚を使ったスピルバーグも凄いが、天皇賞秋に照準を絞ってキッチリと仕上げ切った陣営も素晴らしい。藤沢和雄調教師にとっては久しぶりのG1制覇となった。今年は厩舎も絶好調であり、いよいよ名門復活の兆しが見えた。北村宏司騎手もダンスインザムードのヴィクトリアマイル以来、8年ぶりにG1レースを勝ったことになる。肉体の強靭さと馬を折り合わせる技術は折り紙つきなだけに、岡部幸雄元騎手が去った後の藤沢和雄厩舎の主戦として、数々の名馬に跨ってきた経験が合わさって、熟成されつつある。

ジェンティルドンナは最後の最後でイスラボニータを競り落とした。ドバイ遠征を経て宝塚記念からのぶっつけで完璧な状態ではなかったが、並んでからスッと前に出る瞬間的な脚と勝負強さは健在である。スタートから絶好のポジションを取ってレースを進めていた戸崎圭太騎手もさすが。休み明けのジェンティルドンナにできるだけ負担を掛けずに、勝たせることに専念していた。勝ち馬の強烈な末脚に屈してしまったが、ひと叩きされた次走のジャパンカップにおける史上初の3連覇の偉業も夢物語ではない。

3歳馬のイスラボニータはスピードを生かして積極的な競馬を試みたが、ゴール前で力尽きてしまった。ペースと枠順を考えると、スタートしてからのポジショニングは申し分なく、ゴチャつく内の馬たちを横目にむしろスムーズなレース運びができたと言って良い。スピードがあり余っているために、手応え抜群の持ったままで最後の直線に向き、ルメール騎手も追い出しを待ってから仕掛けたが、それでもゴールまでは持たなかったのは、現時点での完成度の違いということだ。これはロードカナロアが2012年の高松宮記念で3着に敗れたときにも感じたことで、つまりそれだけの素質をイスラボニータにも感じるし、遅生まれだけに焦ることはない。来年は凄い馬になっているはずだ。

天皇賞春を2連覇して臨んできたフェノーメノは、見せ場なく惨敗を喫してしまった。スタートから第1コーナーまでの間にポジションが取れず、スローペースの外を回すことになり、この馬の良さをひとつも発揮できなかったように、蛯名正義騎手としては最悪とも思える騎乗であった。もちろん、中間の乗り込みは豊富で外見上も素晴らしかったが、馬の中身ができていなかったことが最大の敗因であろう。それほど天皇賞春を勝つことは負担が大きいということでもある。とはいえ、馬体は完成期を迎えているので、きっかけひとつでジャパンカップや有馬記念ではチャンスはある。

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