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文句なしの最強牝馬

Arima2014
有馬記念2014-観戦記-
どの馬よりもダッシュ良く飛び出したジェンティルドンナをヴィルシーナが内から交わし、まるで歩いているような単騎逃げを打った。前半1000mは63秒0、中盤に1ハロン13秒台のラップが3度も刻まれるという超スローペース。さすがにこれだけ遅いと、少しでも後ろから行った馬や外を回らされてしまった馬たちにとってチャンスはない。今年は中山競馬場の馬場も傷んでおらず、従来のパワーやスタミナが問われる有馬記念ではなく、今年はポジション取りと瞬発力が生きる有馬記念となった。

勝ったジェンティルドンナは、思いつく限りの幸運を引き寄せる形で引退レースを飾った。9月の中山開催が今年は行われなかったことで軽い芝を維持しており、公開枠順抽選会では絶好の4番枠を選ぶことができ、さらにレースは超スローペースに流れ、外枠に入った有力馬たちの末脚が封じ込まれたのみならず、自身は絶好のポジションを確保することができ、武器である瞬発力が最大限に生きた。とはいえ、本当に強い馬とはそういうものなのだろう。実力があるからこそ、運さえも引き寄せる。ジェンティルドンナをここまで育て上げた全ての関係者の方々には心から敬意を表したい。

ジェンティルドンナの強さを表現するのは難しく、私はずっと「並んだときにスッと前に出る一瞬の速い脚の凄さ」と書いてきた。サラブレッドは時速60㎞くらいで走るが、同じトップスピードで競って走っている時、ほんの一瞬で頭だけ前に出るというのは大変なことなのである。ゴール前の直線で、仮に時速60㎞で2頭が競り合っているとすると、単純に考えると、相手が時速60㎞なら、時速61㎞出せば頭くらいは前に出られそうだが、そうはいかない。時速1㎞の差で頭だけ前に出るには、20m近く走らなければならない。一気に抜き去るのではなく、ジェンティルドンナのように馬体が並んでそこからスッと前に出るには、相手を遥かに超えていくスピードを出さなければならないのだ。世界の競馬を見渡しても、これだけのトップスピードを持った馬はおらず、父ディープインパクトの血が凝縮され、ジェンティルドンナの牡馬顔負けの屈強な肉体が支えている。

2着に入ったトゥザワールドは、ダービー以降は距離の長さゆえに力を出せずにいたが、スタミナを要求されないレースになって穴を開けた。基礎能力の高い馬であることは確かだが、春シーズンの疲れが取れて体調が上がってきたところに、内枠で絶好のポジションを走れたことが重なって120%の力を発揮できたということだ。日本の競馬に慣れてきたW・ビュイック騎手も最高に上手く乗っている。

ゴールドシップは、凱旋門賞の疲れを取り、なんとか間に合った形で出走してきたが、このスローペースではさすがに捲り切れなかった。それでも、岩田康誠騎手を含め、できるだけ前にポジションしよう、道中は勝ちに行こうという姿勢が見られて、負けて納得の3着であった。欲を言えば、この馬にとっては、もう少し時計の掛かる、力を要するいつもの暮れの中山競馬場であった方が良かった。父ステイゴールドは晩年でも闘争心を失わなかった馬であり、この馬にもそういった傾向が見られるので、ぜひ来年もまた古馬戦線を盛り上げていってもらいたい。

ジャスタウェイは最後、大外を回りながら良く伸びているが、ここまでが限界であろう。それはこの馬の限界ということではなく、小回りコースと超スローペースと今の中山の馬場において差してくる限界ということだ。それが分かっていながら、後ろから行った福永祐一騎手の罪は重い。外枠発走を考えると、勝ちに行くのであれば、多少強引にでも先行するべきであった。極端に引っ掛かる馬ではないし、昔のジャスタウェイとは違って、前に行ってそこからさらに伸びるほどに肉体が成長を遂げているのだから。それにしても、枠順しかり展開しかり、須貝厩舎の2頭は凱旋門賞以来勝ち運にも恵まれず、因果応報と言おうか、何とも不甲斐ないレースとなってしまった。

ジャパンカップを圧勝し、その勢いを持って臨んできたエピファネイアは、このスローペースにそれほど掛かる素振りを見せることもなく、どちらかというと折り合っているように見えたが、ラストは弾けなかった。道中の走りや騎手とのコンタクトを見ると、折り合っているというよりは、馬の身体が伸び切ってしまっていて脚がたまっていない状態で走っていることが分かる。それに伴い、馬の気持ちも抜けて、前進気勢が削がれてしまったまま。エピファネイアという馬の乗り難しさを象徴しているようなレースであった。

Arima201401

Photo by 三浦晃一

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歴史に残る一騎打ちを

Jiromaru

今年最後のG1レースという意味であれば、ほとんどの競馬ファンにとって、東京大賞典と有馬記念は似ているレースなのでしょう。終い良ければ全て良しではありませんが、最後ぐらいは馬券を当てて今年を締めくくりたい、来年を迎えたいと思うのは誰しもが抱く自然な感情です。しかも東京大賞典は有馬記念のあとに行われる以上、二重の意味において、最後のG1レースとしての機能を果たすことになります。そう、有馬記念が当たらなかった競馬ファンにとって、東京大賞典はラストチャンスのレースなのです。

今年も素晴らしいメンバーが集まりました。ここ最近はJBCクラシック→チャンピオンC(昨年まではJCダート)→東京大賞典という王道が確立されたことで、中央と地方のダート馬たちはローテーションが組みやすくなりました。天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念と同じで、どこのレースを目標とするかによってローテーションが変わってきます。

1着の賞金額を見てみると、JBCクラシック(8000万円)→チャンピオンC(9000万円)→東京大賞典(7000万円)ですから、最も強い馬はチャンピオンCに照準を合わせてJBCクラシックから使い始めるでしょうし、JBCクラシックを狙う馬はその前にひと叩きするかもしれません。東京大賞典は余力で勝負するレースであり、当初からここに照準を合わせる馬はいないはずです。

さて、今年の東京大賞典はホッコータルマエとローマンレジェンドの歴史に残る一騎打ちを期待します。ローテーション論でいうと、ホッコータルマエはドバイ遠征明けで体調のさほど優れなかったJBCクラシックを叩き、一変したチャンピオンCでは見事に勝利しました。体調のカーブは依然上向きですから、ここでもきっちりと実力を発揮することができるはずです。この馬はダート馬としては非の打ちどころのない馬体と気性であり、キングカメハメハ産駒のダート馬としては完成形ですね。幸騎手も安心して騎乗できますし、負ける気がしないというのが正直なところでしょう。

ローマンレジェンドは敢えてレース間隔を開けて、JBCをパスしてチャンピオンCに臨みましたが、最後の直線では休み明けの分、スタミナ切れを起こしてしまいました。馬体を併せてからの叩き合いの中で、ひと叩きされたホッコータルマエとぶっつけのローマンレジェンドの差が出てしまったようです。結果的には、チャンピオンCを叩いた形になったので、3頭の中ではローマンレジェンドが前走からの上積み、つまり上昇度という点においてはいちばんだと思います。それほど数を使われていませんし、ダート馬としては老け込む年齢ではありませんので、ホッコータルマエを逆転する可能性も十分にあります。大井競馬場の2000mはスタートしてから第1コーナーまでが長いですし、馬群を嫌う馬なので外枠はかえって好都合かもしれません。藤原英昭厩舎は今年まだG1レースを勝っていませんので、ここに全力投球してくることは間違いありません。

コパノリッキーは休み明けのJBCクラシックを圧勝しましたが、その反動が出たのか、チャンピオンCでは行き脚がつかず、自分の型に持ち込むことができずに惨敗を喫してしまいました。陣営の思いの外、JBCクラシックで仕上がっていたのだと思います。また、芝でも通用しそうな軽いスピードがある馬ですから、上りが35秒台ぐらいのスピードレースが最も合う舞台です。東京大賞典では、雨でも降らない限り、なかなかそういうレースにはなりませんので、普通に走ってしまうと、ホッコータルマエにマークされて、パワーの前に屈することになるはずです。

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ラストランに相応しい仕上がりジャスタウェイ:5つ☆

エピファネイア →馬体を見る
馬体全体のシルエットはジャパンカップ時と変わらないが、毛艶がくすんできた。
胴部には長さがあるので、距離延長は望むところだが、トモの実の入りが物足りない。
Pad4star

ラキシス →馬体を見る
勝った前走時の方が全身の筋肉が盛り上がり、明らかに力強く見せていた。
時期的なものもあってか、毛艶も冴えず、前走の反動からか馬体が少し萎んで映る。
Pad3star

ジャスタウェイ →馬体を見る
この時期とは思えない毛艶の良さで、前走を叩かれて、ラストランに相応しい仕上がり。
馬体全体のシルエットはステイヤーのそれであり、距離自体は全く問題ない。
Pad5star

ワンアンドオンリー →馬体を見る
コロンとして見せるほど、馬体はふっくらとして、ここに来て毛艶も良化してきた。
日本ダービー激走の反動は癒えてきた印象を受け、来年に向けてここも期待できる。
Pad45star

トゥザワールド →馬体を見る
兄トゥザグローリーに比べて、脚が短く、重心が低い体型であり、この距離は長い。
馬体全体はパワフルで、いつも良く見せるタイプの馬で、今回も問題ない仕上がり。
Pad3star

ゴールドシップ →馬体を見る
全体的に長さのある馬体は、いかにも長距離馬のそれで、有馬記念の舞台は合っている。
海外遠征の疲れは、馬体を見る限りは微塵も感じられず、あとは気持ちの問題だろう。
Pad4star

ウインバリアシオン →馬体を見る
このメンバーに入ると線の細さを感じさせる馬体だが、その分、距離が延びて良さが出る。
とはいえ、昨年時に比べると、筋肉のメリハリにも乏しく、完調一歩手前の仕上がり。
Pad3star

フェノーメノ →馬体を見る
秋3戦の中では天皇賞秋が最も良く見せたが、今回も体調の良さは維持している。
結果が出ないのは、天皇賞春を勝ったことによる、目に見えない疲労が残っているか。
Pad3star

ジェンティルドンナ →馬体を見る
これまでの馬体とは少し変わって、良く言えば重厚感を、悪く言えば重苦しさを感じる。
時期的なものもあるだろうが、牝馬の引退レースらしいふっくらとした仕上げ。
Pad3star

メイショウマンボ →馬体を見る
古馬になってさらに長さが出てきたように、馬体のシルエットは長距離向き。
毛艶が冴えないのと、このメンバーに入ってしまうとパワー不足は否めない。
Pad3star

ヴィルシーナ →馬体を見る
いつも良く見せる馬だが、さすがにこの時期は毛艶も冴えず、メリハリにも乏しい。
それでも気性の素直さが伝わってきて、この馬の力は安定して出し切れそう。
Pad3star

Arima2014wt

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最後まで待つことのできた者が

Jiromaru

思い出の有馬記念と聞かれれば、オグリキャップが奇跡的なラストランを飾った有馬記念、トウカイテイオーの背で田原成貴騎手が涙した有馬記念、ヒシアマゾンが負けて言葉を失った有馬記念、1レース10万円勝負をしていたのにどうしても賭けることができなかった、グラスワンダーがスペシャルウィークをハナ差抑えた有馬記念など、両手でも数えきれない思い出があります。そして、そのほとんどは、馬券は負けて、寒風吹きすさぶ中、人波に揉まれてオケラ街道をただ歩くという身体感覚と密接に結びついています。人生における、辛かったり苦しかったりする思い出ほどしっかりと身に刻まれているのは、私だけでしょうか。

さて、今回は数々の思い出の有馬記念の中でも、上には挙げなかった1997年のそれについて書きたいと思います。私が競馬を始めて7年目が終わろうとしている、ちょうど競馬の何たるかが少しずつ分かってきた頃のこと。その年の有馬記念には、日本競馬史上最強牝馬の1頭であるエアグルーヴ、宝塚記念を勝利してから半年の休み明けで臨んできたマーベラスサンデー、オークスと秋華賞を制した勢いをそのままぶつけてきたメジロドーベル、そして牡馬クラシックで人気になりながらも勝てなかったシルクジャスティスといった、年齢も性別も異なる実力馬たちが出走し、人気を分け合っていました。

実績的には最上位であるエアグルーヴは、天皇賞秋を勝ち、ジャパンカップでピルサドスキーに次ぐ2着し、秋3戦目を迎えていました。この馬が1番人気に推されなかったのは、誰しもが、エアグルーヴの疲れや調子落ちを心配していたからでした。牝馬の調整ノウハウが進化した今とは違い、当時は牝馬が牡馬を相手に秋の王道(天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念)を走り抜くこと自体、にわかに信じられないことでした(そういった時代背景抜きに、最強牝馬はどの馬かを語るのはナンセンスだと思います)。実際に、さすがのエアグルーヴも天皇賞秋をピークにして、調子は下降線を辿っていました。

押し出される形で1番人気になったのは、マーベラスサンデーでした。しかし、この馬も宝塚記念以来であり、何とか間に合ったという状況で、決して本調子にはありませんでした。メジロドーベルも牝馬同士なら一枚も二枚も上の存在ですが、いきなり古馬の牡馬との対戦で通用するのか分かりません。そして、実はシルクジャスティスこそが、私は日本ダービーでも菊花賞でも本命に推したものの、末脚不発の競馬で期待に応えてくれることなく、今回ついに見限ってしまった馬でした。あれだけ長い府中や京都の直線でも届かなかったのに、中山の短い直線で届くはずがないと考えたからでした。

ゲートが開くと、エアグルーヴはペリエ騎手が自信満々に前を攻め、マーベラスサンデーは慎重に控えて後方から、シルクジャスティスは案の定、さらにその後ろから行くことに。レースが動いたのは最終の第4コーナー手前からでした。タイキブリザードが先頭に踊り出ると、エアグルーヴも力で押し切ろうとゴーサインを出し、さらにそれを見た武豊マーベラスサンデーも外をまくる形で動き始めました。この瞬間を狙っていたのが藤田伸二騎手でした。他の有力馬が動く中、ひとり仕掛けを遅らせて脚を溜め、最後の直線に向いてからの末脚に賭けたのでした。ゴール前で見事に2頭を差し切ることができたのは、力の差ではなく仕掛けのタイミングの差でした。背負うものが多い人馬ほど、仕掛けが早くなるという原理を藤田伸二騎手は応用したのです。そして私は、このレースにおいて、直線の長い短いではなく、各馬が一斉に仕掛けることで、届かないものが届くようになることを学んだのでした。

さて、今年の有馬記念には最高のメンバーが揃いました。平成を代表する女傑ジェンティルドンナとワールドランキング1位のジャスタウェイが引退レースとして、充実の4歳秋を迎えたエピファネイアはジャパンカップ圧勝の実力を証明するため、ゴールドシップはグランプリ4勝目の偉業を目指して、そして3歳馬ワンアンドオンリーは日本ダービー馬の威信を賭けて出走してきます。彼ら彼女らの背中には、日本競馬を代表する戸崎圭太騎手、福永祐一騎手、川田将雅騎手、岩田康誠騎手、横山典弘騎手が跨ります。どの馬が勝っても不思議ではありませんね。こういうときこそ、最後まで仕掛けを待つことのできた者が勝利を手にするのではないかと私は思います。

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中山芝2500m

Nakayama2500t

外回りコースの3コーナー直前からのスタート。第1コーナーである3コーナーまでの距離は192mと短く、スタートしてすぐにコーナーに突っ込む感じ。スタンド前を通る前に馬を落ち着かせておきたいので、スタートしてから最初の直線まではポジション争いよりも各馬折り合いに専念する。

スタンドからの歓声によって馬が行きたがることがあるが、馬を前に置けるとそれを防げる。そのため、前の馬を壁にできる内枠の馬は有利になる。1週目はゆっくりと坂を登り1コーナーに差し掛かる。ペースが上がるのは2コーナーを回って丘の下りにかかった地点から。向こう正面から3コーナーまでの間に、ほぼトップスピードに加速する。ここでのペースが極端に速いと最後の坂での逆転劇が待っている。

中山の2500mというコースにおける特徴はコーナーを6つも回るということだ。そのため道中のペースはあまり速くなることはない。ステイヤータイプの馬が活躍しているのは、スローペースでも折り合いに苦労することがないからであろう。スピードだけで押し切れるコースではないが、マイラーでも折り合いがつくタイプであれば克服はできる。

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有馬記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Arima

■1■必ずしも強い馬が勝つとはいえない2つの理由
暮れの大一番、有馬記念。3歳馬と古馬との対決でその年のナンバーワンを決定するのだが、必ずしも強い馬が勝つとは言えないのがこのレース。

その理由として、
1、シーズン最後のレースであるために、強くてもピークを過ぎている馬がいる。
2、コーナーを6つも回るため、展開によって大きくペースが左右される。
という2点が挙げられる。

1については、各馬それぞれ目標としていたレースが違うということである。たとえば3歳馬なら菊花賞、古馬ならジャパンカップ、そして海外の大レースに目標を定めていた馬もいるだろう。しかし、現状としては、暮れの大一番である有馬記念に目標を置いていたという馬はまずいない。よって、秋のどこかの時点でピークに仕上がってしまった馬や、仕上げて勝った馬は、この有馬記念には下降線の決して万全とはいえない体調で臨まざるを得ないということになる。中にはここに来て調子を上げてくる馬もいるので、そういった体調の交錯があって、あっと驚く好走や凡走が繰り広げられるのがこの有馬記念である。

2については、有馬記念が行われる中山の2500mというコースにおける特徴は、コーナーを6つも回るということだ。競馬はコーナーを回ることによって息が入ったり、ペースがアップダウンしたりするので、コーナーの数と展開の不安定性は比例する。2008年はダイワスカーレットが尋常ではないペースでレースを引っ張ったが、いつ超スローペースになってもおかしくない。つまり、展開の紛れによって結果が大きく左右される、荒れやすいレースである。

■2■世代交代が行われるレース
過去10年の年齢別の成績を見ると、3歳馬が3勝、4歳馬が5勝となる。成長著しい3歳馬か、充実から完成に向かう4歳馬のどちらかから勝ち馬が出る可能性は非常に高い。このデータを考えると、5歳と7歳時に連対したタップダンスシチーの凄さが分かる。いずれにせよ、有馬記念は世代交代が行われるレースであり、これからの馬を狙い打つのが本筋である。

■3■牝馬が勝ちきることは難しい
2008年、ダイワスカーレットが驚異的な強さで勝利したものの、牝馬としてはヒシアマゾンの2着、エアグルーヴの3着、ダイワスカーレットの2着が近年では最高であった。理由は2つ考えられて、1つはジャパンカップと同じく、トップレベルのスタミナが要求されること。もうひとつは、牝馬は牡馬に比べて冬毛が生えてくるのが早いように、季節的に休眠に入ってしまい臨戦態勢にないことが挙げられる。これからも牝馬がこのレースを勝ち切ることは相当難しいだろう。

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ひと捲り


朝日杯フューチュリティS2014―観戦記―
武豊騎手に導かれて先頭に立ったアクティブミノルが、前半マイルが47秒3、後半が48秒6というハイペースをつくり出した。道中は馬群が密になって進んだため、それほど速いペースには映らなかったが、レース全体としては淀みなく流れ、前崩れの展開となった。今年から阪神競馬場で行われるようになったことも含め、これぐらいの厳しい競馬になった以上、来年のクラシック戦線へとつながってゆくことは間違いない。スピードとスタミナ、そして底力が問われるレースであった。

勝ったダノンプラチナは、ほぼ最後方からひと捲りで他馬をねじ伏せた。道中はゴチャつく場面も見られたが、早々に先行集団を捉えての完勝。先週に続きディープインパクト産駒の2歳G1連勝となった。ショウナンアデラが究極の切れ味であったのに対し、ダノンプラチナはかなり長く良い脚を使っている。どちらにしても、ディープインパクト産駒のトップギアに入ったときの桁違いの速さを示した形となった。関東からの長距離輸送を経てこの勝ち方だけに、来年のクラシックの主役となる(少なくともダービーまでは)ことは確かである。

蛯名正義騎手も先週に続いてのG1レース連勝となった。さすが百戦錬磨のベテランだけに、思い切りが良く、勢いに乗ると止められない感がある。今回も、内の馬場が悪く、ペースが速くなることを見越してか、スタートしてからすぐに外に出そうとしていたし、3分3厘から動き始めたのもダノンプラチナの脚の長さを掌握していたからだろう。馬が強かったのは確かだが、その馬の力を最大限に引き出せるように、随所において正しい選択をしている。馬を動かす技術だけではなく、豊富な経験から来る瞬時の判断が実に見事である。

14番人気のアルマワイオリが2着に突っ込んで穴を開けた。道中は内で折り合いに苦労していたが、最後まで仕掛けを我慢させたことで、この馬の末脚が生きた。祖母に阪神3歳牝馬S(現阪神ジュベナイルF)を末脚一閃で勝ったスエヒロジョウオーがいる早熟な血統であり、末脚の鋭さが受け継がれた。勝浦正樹騎手も落馬負傷を克服して、久しぶりに穴ジョッキーとしての本領を発揮してくれた。

クラリティスカイはレースの流れに乗り、正攻法で立ち回ったが、そのまま押し切るだけの力はなかった。前走レコード勝ちした反動が少なからずあったか。レースに行っての器用さはこれからも武器になるはずで、母父にスペシャルウィークが入っているだけに、距離はもう少し延びても問題ないだろう。ただ、大きなところを勝つにはもうワンパンチほしい。横山典弘騎手からバトンを受けた岩田康誠騎手も、考えうるかぎり最高の騎乗をしていた。

好枠を生かし、出して行きたかったはずのネオルミエールは、スタートで立ち遅れたことで、内枠がかえって仇となった。道中では内を突いたが前が詰まり通しで、直線でもコース取りもスムーズではなく、あまりにもお粗末な騎乗であった。ロックドゥカンブの菊花賞のときもそうであったが、柴山雄一騎手はここぞという大一番で勝負弱い。ブライトエンブレムは休み明けで、途中から動いていった分、最後は力尽きた。馬格のないアッシュゴールドにとっては、力を要する馬場で切れ味が削がれた形となった。以上の3頭は、必ずしも勝負づけが終わったわけではなく、今後のローテーションや成長力次第ではクラシックでの活躍が期待できる。

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活力に満ちた仕上がりのネオルミエール:5つ☆

クラリティスカイ →馬体を見る
父クロフネの力強さを受け継いで、胴部の長さはスペシャルウィーク譲りか。
表情からは素直な気性が伝わってきて、どんなレースでもでき、安定して走れる。
Pad45star

タガノエスプレッソ →馬体を見る
胴部には長さがないが、前駆が勝って、スピードよりもパワーを感じさせる馬体。
京都のマイル戦ならば押し切れたが、阪神に舞台が変わってスタミナにはやや不安。
Pad3star

アッシュゴールド →馬体を見る
ゴムまりのような柔らかい筋肉を誇り、小さい馬体ながらも大きく見せる。
毛艶も良く、偉大な兄たちの同時期と比べても馬体は引けを取らない。
Pad45star

アクティブミノル →馬体を見る
前後のバランスが悪く、前駆に比べて特にトモの肉付きが物足りない。
胴部には長さがあり、休み明けをひと叩きされて、最後の踏ん張りが利くかどうか。
Pad3star

ナヴィオン →馬体を見る
ハーツクライ産駒らしく胴部が長いが、手脚が短く、マイルがベストなタイプか。
やや余裕残しだが、毛艶は良く、前後のバランスが良く好印象の馬体を誇る。
Pad4star

ブライトエンブレム →馬体を見る
前駆が充実していて力強いが、その分、トモの肉付きが物足りなく踏ん張りが利くか。
顔つきを見ると、気性の激しさをのぞかせており、休み明けでやや気負いがあるかも。
Pad3star

セカンドテーブル →馬体を見る
牡馬にしては線の細さが目立ち、このメンバーに入ると明らかにパワー不足の印象。
手脚がスラリと長く、胴部にも十分な長さがあるため、距離延長は問題なし。
Pad3star

ネオルミエール →馬体を見る
兄も素晴らしい馬体だったが、この馬も全体のシルエットが美しく理想的。
藤沢厩舎の馬らしく、若干の余裕を残しながらも、活力に満ちた仕上げが施されている。
Pad5star

コスモナインボール →馬体を見る
毛艶も良く、筋肉のメリハリはあるが、ややトモが落ちているのが気がかり。
それ以外の点では、顔つきも良く、スムーズに先行して力を出し切ることができそう。
Pad4star

ダノンプラチナ →馬体を見る
柔らかい筋肉がギュッと詰まって、いかにも瞬発力がありそうな馬体。
やや幼さを残している馬体と表情ではあり、良くなるのはもう少し先か。
Pad3star

ペイシャオブロー →馬体を見る
手脚が長く、胴部にもある程度の長さがあるので、マイルの距離は心配ない。
顔つきからも気の良さが伝わってきて、立ち回り次第では一発もある。
Pad4star


Asahifs2014wt

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バースデイ・コントロール

Jiromaru

私は3月が誕生日の、いわゆる早生まれです。1年を区切りとして見るから早生まれですが、学年という区切りで見ると遅生まれになります。つまり、前年の4月に生まれた子どもと、およそ1年近い成長期間の差があるにもかかわらず、同じ学年ということになります。今の私の年齢になればほとんど差はなくなりますが、まだ小さい時期の成長過程における1年の差というものは意外と大きいものです。

だからということではないかもしれませんが、私は小さい頃から何をやっても人並み以上にできたことはありませんでした。幼稚園の駆けっこでは、他の子どもたちが懸命にゴールを目指している中、ほとんど歩いて完走しました。両親いわく、なぜ競争するのかの意味さえ分かっていなかったそうです(笑)。物心つくのも遅く、小学4年生より前の記憶がほとんどありません。6年生の時に入った野球チームでも、5年生のチームに入ってやっとレギュラーの座をもらいました。勉強もそれほどできた方ではなかったと思います。

自分は他の人よりも世の中が分かっていないなあと思うことは多々あり(社会的に幼いという意味合いで)、それは大学生の頃から社会人になってより強く感じるようになり、今になってようやく周りに追いついてきたと思えるようになりました。遅生まれの何が問題かというと、私たちの人間社会は学年で区切られるため、1年もの成長期間の差がある子どもたちが同じ土俵で競争し、評価されるということです。

マルコム・グラッドウェルの著書「天才!成功する人々の法則」の中に、この早生まれ、遅生まれについての記述があります。カナダのアイスホッケーの強豪チームの年鑑を何気なく見ていた著者は、ある共通点に気づきました。それは選抜選手たちの誕生日が1月~3月に集中していることでした。カナダでは1月~12月という学年の区切り方をしているので、1月~3月に早く生まれた子どもたちはその分、成長が早く、身体も大きくなり、身体能力も高くなり、競争に有利になります。そういった状況で選抜が進むことで、早く生まれた子どもたちはより優遇された環境やレベルの高い競争の中で訓練され、さらに高みを目指していきます。一方、遅生まれの子どもたちは早々に競争から脱落し、そこから這い上がってゆくのは困難になるという分かりやすい図式です。これはスポーツの分野において顕著ですが、もちろん勉学の面にも大きく影響しているはずです。

前置きが長くなりましたが、競馬の世界も同じことが当てはまります。基礎能力というものがありますので、早く生まれたらそれで良いということではありませんが、もし同じ能力を持って生まれたとしたら、早く生まれた方が圧倒的に有利ということです。それだけ早くから馴致や育成に入れますし、その分、成長も早く、早くからデビューすることができ、勝って賞金を稼いでおくことで、その後のローテーションを無理することなく、馬の成長を促しながら調整を進めることができます。だからこそ、早生まれの馬はクラシック戦線に乗りやすく、遅生まれの馬は若駒の頃はよほど能力が高くないと厳しい戦いを強いられます。ちなみに、今年の日本ダービー馬であるワンアンドオンリーは2月23日生まれでした。

最近になって、社台グループはこういった発想を意識的に取り入れようとしている、つまり誕生日をコントロールしようと試みています。できるだけ早めに種付けを行い、受胎することで、早く生ませることが可能になるのです。もちろん生き物ですので、完全なバースデイ・コントロールは不可能ですが、有力な種牡馬のほとんどを所有しており、あまたの繁殖牝馬を抱えているからこそできる戦略であり、おそらくかなり有効だと思います。中小牧場の種付けはどうしても後に回されてしまうため、血統構成や配合という話の前に、誕生した月日によって大きな差をつけられてしまうのです。そんなところにも社台グループと日高の中小牧場の差は見え隠れしています。

今年の朝日杯フューチュリティSには、オルフェ―ヴルの全弟アッシュゴールドが登場します。実はオルフェ―ヴルは5月14日と遅生まれであり、それゆえに2歳時はもちろん3歳の皐月賞前までは凡走を繰り返していました。その上であるドリームジャーニーは2月24日生まれですから、朝日杯フューチュリティSの時点で素質を開花させることができました。そういった経緯を含めて、この黄金配合から早生まれを誕生させようという試みが完成したのが1月31日生まれのアッシュゴールドです。最後に、朝日杯フューチュリティSの有力馬の誕生日を挙げると以下のようになります。

アッシュゴールド 1月31日
クラリティスカイ 3月7日
ダノンプラチナ 3月23日
ブライトエンブレム 4月6日
ナヴィオン 4月9日

早く生まれたら勝つということではありませんが、誕生日の早い遅いがレースの結果にどのようにつながるのか、大変興味深いところですね。

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朝日杯フューチュリティSを当てるために知っておくべき3つのこと

Asahihaifs

■1■絶対的能力と完成度が問われる
傾向としては1番人気が強く、過去14年間で【3・4・4・3】という成績である。勝率ほぼ2割、連対率5割、複勝率も高い。1番人気が好走することで有名なマイルチャンピオンシップよりも高い数字である。また、2番人気においても、【4・2・0・6】と1番人気を上回るほどの成績を残している。理由としては、かなり速い時計での決着となるため、実力の有無がはっきりと出てしまうことが考えられる。さらに2014年からは、トリッキーな中山競馬場のマイル戦から阪神競馬場に舞台を移し、この傾向には拍車がかかることが予想される。

また、過去14年の勝ち馬を見ると、平成16年のマイネルレコルト、平成18年のドリームジャーニー、平成19年のゴスホークケン以外、すべての馬が前走1着していることが分かる。これは現時点での絶対的な能力や完成度が問われるレースになることを示している。重賞ならば最低でも3着以内に好走していること、もちろん条件戦で負けているようでは×。

■2■生粋の逃げ馬は通用しない
ここまで逃げて勝ってきた馬がまったく通用していないことにも注目したい。中山1600mのコース形態上、2コーナーまでの位置取り争いが激化するため、ほぼ毎年、前に行った馬には厳しいペースとなる。さらに、最後の直線に急坂があることによって、スピードだけで押し切るのは難しい。この傾向も舞台が阪神1600mに変わっても同じ。中山競馬場で行われていたときよりも、長く良い脚を使えるかどうか、末脚の確実さが問われる。

このレースを逃げ切ったのはゴスホークケンだけ。そもそも、この年はペースがそれほど速くはなかったし、ゴスホークケンはその前走で抑える競馬をしていた。つまり、スピードを武器にした一本調子の馬ではなく、抑えが利いて、終いの脚を生かすような競馬ができる馬でないとこのレースは勝てないということだ。

■3■クラシックへつながるレースへ
このレースはペースが速くなることが多く、スピードこそ絶対だが、スタミナもないと勝ち切ることはできない。そのため、1600m以上の距離のレースを経験していることはほぼ必須条件になってくる。特に、阪神に舞台が変わる以上、中距離をこなせるぐらいのスタミナは必要であり、このレースを勝ち馬が来年のクラシックにおいて有力になってくるはず。そういう意味では、中山競馬場で行われていたときとは一線を画するレースであり、クラシックへつながる未来を見据えて馬券も買うべきだろう。

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軽く飛んだ


阪神ジュベナイルF2014-観戦記-
酒井学騎手に乗り替わったスマートプラネットが押し出されるように先頭に立ち、前後半が全く同じ47秒2というフラットなペースをつくり出した。掛かり気味になっている馬の姿が多く見られ、見た目はスローに映ったが、道中は淀みなく流れていたということ。前に行った馬にとっても、後ろから脚を伸ばした馬にとっても、大きな有利不利のない、実力が素直に反映される展開であり舞台でもあった。

勝ったショウナンアデラは驚くほどの脚を見せて、全馬まとめて差し切った。やや行き脚がつかなかったことで、後方からの競馬に徹したが、特に直線に向いて、馬群の外に出してからの伸び脚は強烈で、他馬が止まって見えるとはこのこと。ディープインパクト産駒特有のというよりは、超G1級の馬の切れ味であった。蛯名正義騎手が「軽く飛んだ」とコメントした、2006年朝日杯フューチュリティSを勝ったときのドリームジャーニーの末脚を彷彿とさせる。他馬とは次元が違う強さであり、来年のクラシックの主役となるのは間違いない。

レッツゴードンキは道中行きたがる素振りを見せていたが許容範囲内。折り合わせるために前に壁をつくろうとする気持ちは分かるが、それによってどうしても馬群の窮屈なところに入ってしまうことになる。レッツゴードンキが精神的な強さを備えているとはいえ、さすがにこの時期の牝馬にとって、馬群の中で揉まれ込んでしまうことによる消耗は激しい。それでも最後は確実に脚を使っており、完成度という点においては他馬を一歩リードしていたが、今回は相手が悪かった。

ココロノアイは内ラチ沿いで我慢して、ラストも内を伸びた。前走のように、行きたがったときに行かせてしまうと、次走以降で抑えが利かなくなることが多いが、さすが横山典弘騎手だけあって、上手く制御してみせた。父ステイゴールド、母父デインヒルは天皇賞馬フェノーメノと同じ血統構成であり、また祖母にはマックスジョリーがいる超良血馬。誰がどう考えてもスタミナの裏付けはある以上、馬体重を増やしつつ、折り合うことを教えていければ、来年に向けて楽しみが広がる馬である。

1番人気のロカは、ゲートから大きく立ち遅れてしまい、そのロスを最後まで覆すことができなかった。パドックではそれほど入れ込んでいなかったので、ゲートのタイミングによる偶然かもしれないし、もしくはキャリアの浅さゆえと言えなくもないが、あまりにももったいなかった。過剰人気していたきらいはあり、素質は確かなのだから、もう1度立て直して、来年に向けて備えてもらいたい。それにしても、ハービンジャー産駒がなかなか2勝目を挙げられないのは不思議である。

コートシャルマンは結果的には前に出して行きすぎた。この馬はゆっくり行って、最後に脚を伸ばす形が合っている。せっかく外枠を引いたのだから、思い切って遅らせ気味に外を走らせてみた方が良かった。川田将雅騎手の今回の騎乗は、積極策というよりは安全策に映った。W・ビュイック騎手が跨ったダノングラシアスは理想的なレース運びであったが、最後の直線では伸びず。このメンバーに入ってしまうと、まだ馬体に緩いところが多く、パワーという点で引けを取ってしまった。この馬が良くなるのはもう少し先だろう。

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素直な気性が伝わってくるレッツゴードンキ:5つ☆

レッツゴードンキ →馬体を見る
手脚や胴部にも適度な長さがあって、阪神のマイル戦でもスタミナは心配ない。
毛艶はあまり良くないが、力強さがあり、何よりも顔つきから素直な気性が伝わってくる。
Pad5star

クールホタルビ →馬体を見る
この時期の牝馬らしく、線の細さは否めず、筋肉のメリハリにも乏しい。
気性が激しそうな顔つきだが、プラスに出れば、この馬の力は発揮できる。
Pad3star

オースミアリス →馬体を見る
夏に活躍した馬だけに、全身を冬毛が覆い、毛艶はお世辞にも良いとは言えない。
馬体全体のシルエットは決して短距離馬のそれではなく、距離はこなせそう。
Pad3star

ロカ →馬体を見る
血統的には長いところが合いそうだが、馬体を見るとコロンとして力強い。
やや腰高で、パワーを感じさせる大型の馬格を生かせれば勝ち負けになる。
Pad3star

レオパルディナ →馬体を見る
冬毛が全身を覆い始めており、決して時期が合っているとはいいがたい。
暖かくなってくれば見栄えのする馬体だろうが、現時点では後躯がやや弱い。
Pad3star

ムーンエクスプレス →馬体を見る
全体的に非力な印象を受ける馬体で、このメンバーに入るとパワー不足か。
毛艶も良く、柔らかい筋肉を維持しているので、体調自体はすこぶる良い。
Pad3star

コートシャルマン →馬体を見る
胴部にはかなりの長さがあるのに対し、手脚が短く、全体的にはややアンバランス。
この時期の牝馬としては圧倒的に力強い馬体を誇り、気の強そうな表情も闘争心の表れ。
Pad4star

ダノングラシアス →馬体を見る
この時期にしては毛艶が素晴らしく、全身の筋肉に柔らかみがあって好印象。
馬体に緩さが残っているのは確かだが、その分、距離延長がプラスに出るはず。
Pad4star

トーセンクラーク →馬体を見る
腰が落ちて見えるように、前躯に比べると後躯の肉付きに物足りなさを感じる。
表情からは気の小ささと幼さが伝わってきて、良くなるのはもっと先の話か。
Pad3star

ショウナンアデラ →馬体を見る
前後躯にゴムまりのような筋肉がきっちりとついていて、パワータイプの馬体。
毛艶が冴えず、胴部が詰まって映る馬体からは、マイル戦はギリギリかもしれない。
Pad3star

ココロノアイ →馬体を見る
気持ちで走るタイプなのだろうか、馬体自体はこれと言って特筆すべき点はない。
敢えて言うならば、前後のバランスの良さで、安定して力を出し切れるはず。
Pad3star

スマートプラネット →馬体を見る
この時期でも毛艶は良く、筋肉にも柔らかみがあって、体調の良さが伺える。
全体のバランスがやや悪いが、前後躯にしっかりと実が入り、パワー勝負なら負けない。
Pad4star


Hansinjf2014wt

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負けた騎手が勝たせる

Jiromaru

ある読者の方から、岩田康誠騎手について、こんなメールをいただきました。ちょうどマイルCSのあと、「そろそろ負けを認めた方がいい」という観戦記を書いたところでしたので、また武豊騎手の威を借りた岩田騎手批判かと内心思ったのですが(笑)、そうではありませんでした。乗馬という視点から、岩田康誠騎手の騎乗技術について書かれていました。私も共感するところが多く、許可を取った上で、こちらに掲載させていただきます。

私は乗るほうも少しかじるのですが、私の馬乗りの師匠はまだ地方騎手だった頃の彼が乗馬用の馬場で乗っているのを実際に見たことのある人で(考えたらものすごく珍しい証人ですねえ。自クラブでのことです)、「岩田はあたりが柔らかい、あんなに柔らかい拳は見たことがない、天才だ」とずーっと絶賛しております。

大方のメディアやそれに同調する世間がバッシングする中、これはかなり意外だったので以来そういう目で見てきて思いました、確かにすごい技術の持ち主でしかし無意識に的確に発揮しているあたりやはり天才肌です。今年のマイルCS、4角~直線の手綱のバランスとハミ受け、重心移動のタイミングなど、すべての馬乗りが理屈ではわかっていても反応できないことを瞬時にやってのけるのは、やっぱり脊髄反射的で、だからなかなか言葉にできないのかもしれません。

手綱がゆるんでいるようで、コンタクトは外れてないというのは、日本においては案外競馬の世界にいるひとより馬術家のほうがわかることかもしれません。私のようなへたくそが見ても、欧米の騎手と比較して、日本の騎手は「馬乗り」の基礎が不足しているのではないかと思うことがよくあります。いわゆる「ぶっぱなして乗る」のがスタンダードになっている。これはレースだけでなく調教でもそうですね。馬術上がりの乗り手が多いといわれる厩舎と岩田騎手の相性が悪くないような感じがしています。

私が観戦記には書かなかったことを書いてくださっていますね。メチャクチャなフォームで乗っているようでいて、実は基本は外していない。むしろそれ以上の乗り方をしているからこそ、非常識だと突っ込まれる部分もあるし、その凄さは分かる人にしか分からない。マイルCSのゴール前のフォームを見ると、もう彼は馬に乗るというよりは、馬と一緒に走って闘っているようです。これぞ人馬一体。あのレスター・ピゴット騎手も野平祐二騎手も、本当に勝たなければならないときには、スタンドの方を向いて馬を追っていました。フォームが美しいことよりも、たとえ鼻差でも勝つことを希求するからです。

岩田康誠騎手ほど誤解され、過小評価されているジョッキーはいないかもしれません。その誤解のひとつとして、どんなレースでも、手段を選ばず、とにかく勝ちに行く、勝利至上主義だというもの。彼は勝たなければならないときには、人目も憚らず、がむしゃらに勝ちに行きますが、そうではないとき、馬を育てるべきときには、勝つことよりも馬を育てることを優先する騎手です。ぶっ放してしまえば勝てるレースでも、馬に我慢して折り合うことを教えることに徹します。その結果、目の前のレースは惜しくも敗れることになってしまったとしても、先々のレースにおいて、馬が上手に走られるようになり、大きな勝利を手に入れることにつながります。そのとき、自分が背にいるかどうかは関係ありません。

たとえば、今回の阪神ジュベナイルFにも岩田騎手によって育てられた2頭の牝馬が出走してきます。レッツゴードンキとダノングラシアス。2頭とも、岩田騎手が乗って、前走の重賞を1番人気で落としていますが、勝とうと思えば勝てたレースでした。スローペースは分かっていても、前に行かず、道中で我慢することを教え込んだからこそ、僅かに届きませんでした。わざと負けたわけではありませんが、本当に勝ちたいところで勝つためには、馬を育てるレースがあるということです。今回のレースでは、岩田騎手は香港に遠征するため、浜中俊騎手とビュイック騎手に乗り替わりますが、2頭はどんな走りをするでしょうか。勝利ジョッキー騎手以上に、前走で負けた騎手が勝たせるというレースがあるのも競馬なのです。

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阪神芝1600m

Newhanshin1600

向こう正面からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとって最適の舞台である。

ただし、キャリア僅か数戦の若駒同士のレースということで、思わぬ馬が思わぬ暴走をしてしまい、ペースが急激に上がってしまうこともあり得る。また、スローが予測されるレースでは、外枠を引いた騎手が外々を回されるのを嫌って、多少強引にでも先行してくることもあり、これでペースが一気にはね上がってしまうこともある。基本的には上述のようにゆったりと流れやすいコースだが、各馬の出方には細心の注意を払いたい。

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阪神ジュベナイルFを当てるために知っておくべき3つのこと

Hjf

■1■2つの経験
平成3年より従来の阪神3歳Sは牝馬限定に変更され、さらに平成13年より名称を「阪神ジュベナイルフィリーズ」と改められた。わずか数戦のキャリアで臨んでくる馬がほとんどで、各馬の力の比較が難しい。実はこれといった傾向はないのだが、以下2つの経験をしている馬にとっては、かなり有利なレースになる。このレースを勝つためには、いずれかを経験していることが望ましい。

1、1600m以上の距離
2、坂のあるコース

「早熟の短距離馬」が多く出走してくるため、このレースに臨むまでのステップとして、1600mよりも短い距離を使ってくる馬が多い。これまでにマイルの距離や直線に坂のあるコースを走ったことがない馬たちが、いきなりG1レースの厳しい流れの中に放り込まれ、直線に坂のある1600mのコースを走ると、確実にスタミナ切れを起こすことになる。1600m以上の距離、もしくは直線に坂のあるようなタフなレースを走った経験がないと、このレースで勝ち切ることは難しい。

■2■抽選をクリアした馬の台頭
これは来週の朝日杯フューチュリティSにも当てはまることだが、抽選をクリアした馬、滑り込み出走が叶った馬たちには着目すべきである。それは運が良いからということではなく、彼ら彼女たちの「ローテーション」と「成長曲線」に秘密が隠されているからだ。

まず「ローテーション」については、抽選をクリアしてきた馬は、これまでの出走過程において無理を強いられていない馬が多いということである。多いと書いたのは、全ての馬がそうではないからである。本番に出走する権利を取るために、何度もレースに出走してそれでも抽選待ちになってしまった馬もたくさんいるはずだ(こういう馬は能力的に疑問符がつく)。そのあたりは1頭1頭を検証する必要があるが、例えば2007年のトールポピーはキャリア3戦、ゴスホークケンは2戦、レーヴダムールに至ってはわずか1戦であった。そして、2011年はキャリア1戦のジョワドヴィーヴルがこのレースを制した。

これが何を意味するかというと、これらの馬たちは、本番であるG1レースに合わせたローテーションを組んで走らされてきたのではなく、自分たちの仕上がりに合わせて大事に使われてきたということである。人間の都合ではなく、馬優先の余裕を持たせたローテーションであったということだ。あくまでもその延長線上に、たまたまG1レースがあったということに他ならない。だからこそ、そこまでの過程において無理をさせてきていないからこそ、馬に余力が十分に残っているということになる。

次に「成長曲線」についても、余裕を持たせたローテーションということとリンクしてくる。馬の仕上がりに合わせるとは、馬の成長に合わせたローテーションということである。特に若駒の間は、レースを使うことによって、成長を大きく阻害してしまうことがある。2歳戦~クラシックにかけて、数多くのレースを使うことは、マイナス材料にこそなれ、決してプラス材料にはならない。レース経験の少なさは、馬の能力と騎手の手綱で補うことが出来る。つまり、本番のレースに出走するために、馬をキッチリ仕上げて勝ってきた馬たちに比べ、成長を阻害しない程度のゆったりとした仕上がりで走ってきた馬たちは、上積みが見込めるばかりではなく、本番のレースへ向けて上向きの成長カーブで出走してくることが可能になるのだ。

これらのことからも、余力が十分に残っていて、上向きの成長カーブを辿っている馬が、もし抽選をクリアして出走することが出来たとしたら、本番でも好走する確率が高いことは自明の理であろう。これが2歳戦からクラシック戦線においては、抽選をクリアして出走してきた馬、滑り込みで出走してきた馬には大いに注目すべき理由である。

■3■関東馬とっては厳しいレース
この時期の牝馬にとって、長距離輸送をしてレースに臨むことは条件的に厳しい。よって、関東馬がこのレースを勝つには、関西に一度遠征した経験があるか、もしくは実力が一枚も二枚も上でなくてはならない。現に過去10年で、初長距離輸送でこのレースを制した関東馬は3冠馬となったアパパネだけである。彼女ぐらいの実力を持っていないと、初めて長距離輸送をして、並みいる関西馬たちを倒すことはできない。逆に言うと、このレースを勝った関東馬は相当な実力の持ち主であるということになる。

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先行力としぶとさ、そして経験


チャンピオンズC2014-観戦記―
行く馬がいないと見てR・ムーア騎手がクリノスターオーを先頭に導き、それにホッコータルマエが蓋をする形で、前半4ハロンが50秒4、後半の4ハロンが48秒7という超がつくスローペースとなった。さすがにここまで遅く流れると、後方から進めた馬や馬群の外々を回らされてしまった馬たちにとってはノーチャンス。ゴール前は、レースの流れに器用に乗れた馬と内々で脚を溜められた馬同士の争いとなった。

勝ったホッコータルマエは、持ち前の先行力としぶとさを最大限に生かした。スタートを決めると、あとは番手でピタリと折り合い、第4コーナーからローマンレジェンドに競りかけられ、ゴール前ではナムラビクターの追撃に遭ったが、全てを振り切ってみせた。前走(JBC)をひと叩きされ、本来のホッコータルマエへと蘇った。いかにもキングカメハメハ産駒らしく、馬体全体に伸びがあって、大きなストライドで走る馬であり、芝でも走れるがダートが合っている。ドバイに渡り、海外の強い馬たちと走った経験がこの馬をさらに強くした。

幸英明騎手は久しぶりの中央G1レース勝利となった。騎乗回数は群を抜いて多いが、最近は重賞勝ちにあまり結びついていなかっただけに、本人にとっても嬉しい勝利であろう。甘いマスクに似合わず、肉体的に頑強なジョッキーだけに、ダート競馬で馬を力強く走らせることに長けている。今回はさすがに直線焦ったのだろう、幸騎手らしい豪快なフォームで馬を追えていなかったが、ダートでバテた馬を最後までもたせる術を心得ている。勝っても驕(おご)ることなく、常に礼儀正しさを失わない姿勢は、馬主から騎乗を依頼される騎手という職業のお手本になるはず。

ナムラビクターは内々で脚をためて、最後の長い直線で爆発させた。スタート前はゲート入りを拒んでみたりと気難しい面があるが、ダートではそれ砂を被ってもひるまない闘争心につながっているのだろう。小牧太騎手も絶好のポジションで、絶妙なタイミングの仕掛けでゴールを目指したが、今回は相手が止まらなかった。

ローマンレジェンドは、馬体を併せると燃える気性を岩田康誠騎手が熟知し、早目からホッコータルマエに目標を絞って一騎打ちに持ち込んだが、最後は肉体的にバテて3着に敗れてしまった。最近のこの馬にとっては、レース間隔を開けた方が、気性的にはフレッシュされて良いが、肉体的にきっちり仕上がらず、そのあたりが難しい。

4着ながらも大健闘といえるのは牝馬のサンビスタである。後ろからの競馬になってしまったが、道中は馬群のポケットに入る形でスムーズに走ることができ、最後は力強く前の3頭に迫った。JBCレディースクラシックを勝ったときもそうだったが、ここに来てさらに強くなってきている。良い調教がここまで馬を強くするという典型的な例だろう。

1番人気のコパノリッキーは、スタートダッシュが悪く、二の脚もつかなかったことで、道中は馬群の外を回らされる最悪の展開となってしまった。これだけのスローで、あんなにも外を回されては惨敗も仕方ない。前走のJBCであまりにも楽に勝ちすぎて、馬も陣営も気持ちが抜けてしまっていたように感じた。地力をつけていることは確かだが、そういう意味では、まだムラがある馬ということなのだろう。

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理想的なシルエットを誇るホッコータルマエ:5つ☆

ホッコータルマエ →馬体を見る
この時期にしては毛艶が良く、ドバイ遠征の疲れは全く感じられない。
筋肉が柔らかく、胴部や手足に長さがあって、理想的なシルエット。
Pad5star

ナムラビクター →馬体を見る
オープン馬としてはごく平均的な馬体をしており、特筆すべき点はあまりない。
あえて言えば、前後のバランスが良く、コンスタントに力を出し切れそう。
Pad3star

ワイルドバッハ →馬体を見る
顔つきからは気性の激しさが伺え、ハマれば爆発力として転換されそう。
トモの実の入りは素晴らしいが、詰まり気味の胴部を見ると、マイルがベストか。
Pad3star

ワンダーアキュート →馬体を見る
この馬の腰高は若駒のころからであり、それで距離をこなしているのだから問題ない。
8歳馬にしては若々しい馬体を維持しており、ひと叩きされて体調も良さそう。
Pad3star

ローマンレジェンド →馬体を見る
連勝をしていた頃の迫力こそ感じられないが、馬体だけを見ると全体的に長さがある。
やや腹回りに余裕はあるが、筋肉のメリハリは十分で、毛艶も良く、体調は文句なし。
Pad4star

二ホンピロアワーズ →馬体を見る
湾膝はこの馬の特徴であり、それで走ってきているのだから、全く問題なし。
むしろ最近の中では最も筋肉が柔らかくて、斑点が浮かんでいるように毛艶も良い。
Pad3star

インカンテーション →馬体を見る
胴部が詰まって映るように、馬体だけを見ると、距離適性はマイルがベストか。
実に利発そうな表情からは、レースで乗りやすそうで、この馬の力は出し切れるはず。
Pad4star

クリノスターオー →馬体を見る
体つきは前走の方が明らかに良く、悪く言えば、使ってきた疲れが表面化しつつある。
トモの肉付きにも物足りなさを感じるが、気持ちで走るタイプだけに、ハマるかどうか。
Pad3star

ベストウォーリアー →馬体を見る
全体的に筋肉量が多く、胴部が詰まっている馬体は明らかに短距離馬のそれ。
距離短縮は好材料だが、このメンバーの1800mではスタミナにやや不安がある。
Pad3star

コパノリッキー →馬体を見る
大型馬にもかかわらず、大きさを感じさせず、いかにもダート馬という馬体ではない。
レースに行ってリラックスして走れる気性の良さとスピードがこの馬の持ち味か。
Pad4star

クリソライト →馬体を見る
腹回りに若干の余裕を残しており、まだ幼さを感じさせる成長途上の馬体。
馬体はフックラとしており、調子落ちは感じられず、あとは相手関係だけ。
Pad3star


Championc2014wt

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強い馬たちと走ることで強くなる

Jiromaru

先日、銀座稲荷町の「一番太鼓」で日高の生産者と話す機会がありました。実は11月に私が北海道に行く予定でしたが、流れてしまい、その代わりに東京でお会いすることになったのです。彼は碧雲(へきうん)牧場の代表であり、ちょうど当日の8Rで生産馬のトウカイビジョン(父ゴールドアリュール)が勝利したこともあって、満面の笑みでの初対面となりました。「1勝するのは本当に難しいですけど、勝つと最高にうれしいです」と語る彼からは、本当に嬉しさが伝わってきて、羨ましいほどでした。

「生産者の仕事はとにかく待ってばかりです」と彼は言いました。母馬から取り出した仔馬が成長し、育成に入り、厩舎での調教を経てデビューするまで、待って、待って、ひたすら待つばかり。ようやくデビューできたら、次は初勝利を挙げるのを待つ。結果が出るまでのスパンが極めて長い仕事ですね。そうして待ちながらも、今、目の前にいる馬たちに愛情を注ぎ、未来へ向けて少しずつ改善を重ねていく毎日。彼は東京でずっとサラリーマンをやってきましたが、最近になって父親の牧場を受け継ぎ奮闘しています。

なぜ社台グループと日高の中小牧場の差がこんなにも開いてしまったのか、これからの日本の競馬の未来、日高の生産者はどう生き残っていくかなどなど、たくさん興味深い話ができて皆さんにもいつかお伝えしたいのですが、今回はあまり生産とは関係のない話をします(笑)。というのも、彼が教えてくれたことの中でも最もなるほどと納得させられた話ですし、もしかすると、今週行われるG1チャンピオンCと多少なりとも関係があるかもしれません。それは中央馬と地方馬のレベルの差の話です。

11月3日に盛岡競馬場に行って、JBCクラシックを観戦したとき、コパノリッキーは圧倒的に強いことと同時に、地方馬があまりにも弱いことに衝撃を受けました。中央馬が参戦できる地方の重賞によくある風景ですが、JBCクラシックも1着から5着までは中央馬で占められました。6着に唯一ナムラタイタンが入って地方馬が健闘したと言いたいところですが、ナムラタイタンも元中央競馬所属馬です。ナムラタイタンも含めると、1~7着までが中央馬で、8~16着までが地方馬と見事に分かれてしまっています。

着順以上に衝撃を受けたのは、道中でコパノリッキーが耳を前に向けて余裕綽々でリラックスして走っているにもかかわらず、地方の馬たちは追走に手間取って、騎手に追っつけられながら走っているのでした。その差はゴールに向けて縮まるどころか広がる一方。最終的にはコパノリッキーと地方馬として再先着したコミュニティとの間には2秒6のタイム差がありました。1秒6馬身として計算すると、16馬身近く離されてゴールしたことになります。これではもう勝負にならないのは明らかです。正直に言うと、同じサラブレッドとは思えない力差でした。

なぜ中央馬と地方馬の間でこんなにも大きな違いが出てしまうのか?コパノリッキーは日高の生産馬ですし、決して高い馬ではありませんでしたので、地方競馬に所属する可能性だってあった馬です。血統もそうですし、今やどの馬も充実した施設で育成をされていますので、その時点でそれほど大きな差があるとは思えません。だからこそ、実際に競馬に携わっている人の生の声を私は聞いてみたかったのです。ちなみに、私の中での答えは、中央と地方のトレセンの施設の差が最大の要因であるというものでた。しかし、彼はまた違う答えでした。彼はこう言ったのです。「走っているレースのレベルの違いだと思います。強くて速い馬たちと一緒に走ることで速く走れるようになり強くなる」と。

言われてみると当たり前のようですが、それまで外的な要因や環境にばかり目を向けていて、高いレベルで競争することで馬も強くなるという視点を失っていました。これは競馬のレースだけではなく、私たちの日常におけるあらゆるケースにも当てはめて考えることができますね。もちろん、それが全てではありませんが、とても的を射た答えだと私は感心しました。それでは、中央の舞台で揉まれている馬がさらに強くなるには、どうすれば良いのでしょうか。そう考えたとき、世界の強い馬たちと世界の舞台で争う意義がまたひとつ見つかりますね。

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チャンピオンズCを当てるために知っておくべき3つのこと

Championsc

■1■スピード&器用さ優先
かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまったのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート、そしてさらに今年から中京1800mダートに移り変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなった。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にも勝つチャンスが訪れるということだ。そして、4つコーナーと小回りコースということを考えると、勝ち切るためには上手く立ち回れる器用さも求められる。

■2■関西馬有利
ただでさえ西高東低の状況が続く中、開催競馬場が関東から関西圏に移った以上、関西馬にとって条件はさらに有利になった。長距離輸送を考えなくてよい分、あと1本追えたり、また手加減なしに攻める調教を施すことが出来るだろう(栗東からは当日輸送、美浦からは前日輸送になる)。ダート競馬はどの馬も最後はバテて、それでもそこからもうひと伸びすることを求められるので、輸送を考慮した軽い仕上げではなく、ビッシリと仕上げられた馬でないと苦しい。

■3■3歳馬にとっては厳しい戦い
阪神競馬場に開催地を移した2008年より、3歳馬の斤量が55kg→56kgとなった。11月から12月に開催時期が変更されたことによる措置だろうが、この1kgが3歳馬にとっては大きな負荷となる可能性は高い。たとえ日々成長著しい3歳馬とはいえ、この時期に歴戦のダート古馬とぶつかるのに1kgの斤量差は少ない。現に2008年はカジノドライブが6着、サクセスブロッケンが8着と大敗した。この2頭が翌年明けのフェブラリーSで1、2着したことからも、3歳冬の時点で古馬と戦うことの厳しさが分かるだろう。注)2013年度は12月1日開催のため3歳馬は55kg

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充実の5歳秋

Japancup201401
ジャパンカップ2014-観戦記-
ジャパンカップの発走時刻にはなんとか間に合った。すでに群集の背中から青い空しか見えないほどの盛り上がり。久しぶりに東京競馬場のホースプレビューに陣取り、実況を耳で聞きながらレースを想像し、私の本命馬であるエピファネイアとC・スミヨン騎手が、1着馬の入るべき枠内に戻ってくることを期待して待つことにした。ファンファーレが鳴り響き、10万人の競馬ファンはもちろん、JRAの職員からテレビ局のカメラマンらの報道陣、そしてジョッキーの身の周りの世話をするバレットたちまで、全員が固唾を飲んで1つのレースの行方に集中する様子は神々しく思えた。

逃げたサトノシュレンをタマモベストプレイが追いかける形で道中は進み、前半1200mが71秒8、後半1200mが71秒3という、淀みのないフラットなペースが刻まれた。極端なペースではないため、前後のポジションによる影響は少ないが、内ラチ沿いを走った馬たちが上位を独占したように、内外のポジションの差が着順を大きく左右した。さらに言うと、内外のコース取りは枠順がほぼ規定してしまう以上、内枠を引いた馬たちにとっては有利な、逆に外枠を引いた馬たちにとっては厳しいレースとなった。

本来であればジェンティルドンナが走るはずのポジションを確保できたことで、エピファネイアはスタートからゴールまで実にスムーズに回ってくることができた。前走はやや余裕残しの仕上がりで道中力みどおしであったが、今回は引っ掛かる素振りを見せたのはほんの一瞬。前進気勢は漲っていても、抑えきれないほどではなかった。ダービーで躓いても2着した世代のトップホースが、菊花賞の疲れも癒え、昔で言うところの充実の5歳秋を迎えてようやく本格化した。母シーザリオ譲りの伸びのある馬体に成長してスタミナは豊富で、父シンボリクリスエスからはパワーを受け継いでいる。普通に走れば、この馬が止まる姿を想像することができない。次走の有馬記念でもおそらく勢いは止まらない。

C・スミヨン騎手は、エピファネイアに跨り、手綱をがっちりと抑えながら、馬場を1周回ってきただけのように見える。本人にとってみれば実際にそうかもしれないが、決して簡単なレースではなかった。勝負所はスタートしてから第1コーナーまでの間。エピファネイアのような前の馬に乗り掛かるほどに引っ掛かる馬をして、あそこまで積極的に馬を出していけたのは、どれだけ行きたがっても御することができるという自信があるからだ。それは肉体的な腕力ではなく、これまで実戦や調教で幾多のサラブレッドを御してきた経験に裏打ちされた確固たる技術があるのだ。故野平祐二先生も言っていたように、日本人騎手と海外のトップジョッキーの最たる違いは、馬を御して、脚を溜める技術である。

海外遠征帰りのジャスタウェイは、フレッシュな馬体に回復しており、凱旋門賞時よりも体調は上向いていた。勝ち馬に離されたのは久々の分で、この馬としては最後まで伸びて、力を出し切った。血統的にも馬体の造りから考えても、2400mの距離自体は全く問題ない。有馬記念に出走してくるとすれば、ひと叩きされて完調で臨めるはずで、エピファネイアに迫る最有力候補になる。福永祐一騎手は自らのお手馬に敗れてしまったが、騎手をしていればそういうこともある。

スピルバーグは非常に強い競馬をして、天皇賞秋がフロックではなかったことを証明した。内ラチ沿いを走らず、後ろから行って掲示板に載ったのはこの馬1頭のみ。その末脚の鋭さと息の長さは、並み居るG1ホースたちの中でも随一である。その分、不器用な面があり、レースの綾や紛れの影響を受けてしまうのは否めないが、来年に向けて楽しみな個性的な馬がまた1頭誕生した。

3連覇がかかっていたジェンティルドンナは、直線で伸びを欠いて4着に敗れた。勝ち馬よりも内の枠を引いていただけに、主張すれば内の2番手が取れたはずだが、珍しく今回はR・ムーア騎手が消極的な騎乗をしてしまった。それだけ昨年と比べるとジェンティルドンナから伝わってくるものが少なく、自信がなかったのかもしれない。さすがのジェンティルドンナも、3年にわたって国内最高峰のレースのひとつであるジャパンカップを勝利することは難しい。

3歳牝馬ハープスターは、最後の直線で外からこの馬らしい末脚を発揮したが届かず5着。冬毛が目立っていたように、決して体調は万全ではなかったし、勝負所で下がってきたトレーディングレザーを交わす際に、リズムを崩してしまったことも悔やまれる。それでも馬群の中でレースができたように、色々と試しながらも成長していて、将来へ向けて明るい材料は多い。

イスラボニータはスムーズなレースができていなかった。惜しむらくは、スタートから第1コーナーまでの間に内に入れるチャンスがあったにもかかわらず、蛯名正義騎手は抑えることに専念してしまった点である。差す競馬をして、仕掛けるポイントをできるだけ遅らせようという意図は見て取れるが、あそこで内に入れつつでも良かったのではないか。天皇賞秋でフェノーメノに乗って負けたときと同じ失敗であり、そのフェノーメノに乗り替わった岩田康誠騎手が今回、隙あらばフェノーメノを内に導こうとしていたのに比べると、たとえ2300勝しているベテランジョッキーでもまだまだ未熟であると言わざるをえない。

Japancup201402

Photo by 三浦晃一

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