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充実の5歳秋

Japancup201401
ジャパンカップ2014-観戦記-
ジャパンカップの発走時刻にはなんとか間に合った。すでに群集の背中から青い空しか見えないほどの盛り上がり。久しぶりに東京競馬場のホースプレビューに陣取り、実況を耳で聞きながらレースを想像し、私の本命馬であるエピファネイアとC・スミヨン騎手が、1着馬の入るべき枠内に戻ってくることを期待して待つことにした。ファンファーレが鳴り響き、10万人の競馬ファンはもちろん、JRAの職員からテレビ局のカメラマンらの報道陣、そしてジョッキーの身の周りの世話をするバレットたちまで、全員が固唾を飲んで1つのレースの行方に集中する様子は神々しく思えた。

逃げたサトノシュレンをタマモベストプレイが追いかける形で道中は進み、前半1200mが71秒8、後半1200mが71秒3という、淀みのないフラットなペースが刻まれた。極端なペースではないため、前後のポジションによる影響は少ないが、内ラチ沿いを走った馬たちが上位を独占したように、内外のポジションの差が着順を大きく左右した。さらに言うと、内外のコース取りは枠順がほぼ規定してしまう以上、内枠を引いた馬たちにとっては有利な、逆に外枠を引いた馬たちにとっては厳しいレースとなった。

本来であればジェンティルドンナが走るはずのポジションを確保できたことで、エピファネイアはスタートからゴールまで実にスムーズに回ってくることができた。前走はやや余裕残しの仕上がりで道中力みどおしであったが、今回は引っ掛かる素振りを見せたのはほんの一瞬。前進気勢は漲っていても、抑えきれないほどではなかった。ダービーで躓いても2着した世代のトップホースが、菊花賞の疲れも癒え、昔で言うところの充実の5歳秋を迎えてようやく本格化した。母シーザリオ譲りの伸びのある馬体に成長してスタミナは豊富で、父シンボリクリスエスからはパワーを受け継いでいる。普通に走れば、この馬が止まる姿を想像することができない。次走の有馬記念でもおそらく勢いは止まらない。

C・スミヨン騎手は、エピファネイアに跨り、手綱をがっちりと抑えながら、馬場を1周回ってきただけのように見える。本人にとってみれば実際にそうかもしれないが、決して簡単なレースではなかった。勝負所はスタートしてから第1コーナーまでの間。エピファネイアのような前の馬に乗り掛かるほどに引っ掛かる馬をして、あそこまで積極的に馬を出していけたのは、どれだけ行きたがっても御することができるという自信があるからだ。それは肉体的な腕力ではなく、これまで実戦や調教で幾多のサラブレッドを御してきた経験に裏打ちされた確固たる技術があるのだ。故野平祐二先生も言っていたように、日本人騎手と海外のトップジョッキーの最たる違いは、馬を御して、脚を溜める技術である。

海外遠征帰りのジャスタウェイは、フレッシュな馬体に回復しており、凱旋門賞時よりも体調は上向いていた。勝ち馬に離されたのは久々の分で、この馬としては最後まで伸びて、力を出し切った。血統的にも馬体の造りから考えても、2400mの距離自体は全く問題ない。有馬記念に出走してくるとすれば、ひと叩きされて完調で臨めるはずで、エピファネイアに迫る最有力候補になる。福永祐一騎手は自らのお手馬に敗れてしまったが、騎手をしていればそういうこともある。

スピルバーグは非常に強い競馬をして、天皇賞秋がフロックではなかったことを証明した。内ラチ沿いを走らず、後ろから行って掲示板に載ったのはこの馬1頭のみ。その末脚の鋭さと息の長さは、並み居るG1ホースたちの中でも随一である。その分、不器用な面があり、レースの綾や紛れの影響を受けてしまうのは否めないが、来年に向けて楽しみな個性的な馬がまた1頭誕生した。

3連覇がかかっていたジェンティルドンナは、直線で伸びを欠いて4着に敗れた。勝ち馬よりも内の枠を引いていただけに、主張すれば内の2番手が取れたはずだが、珍しく今回はR・ムーア騎手が消極的な騎乗をしてしまった。それだけ昨年と比べるとジェンティルドンナから伝わってくるものが少なく、自信がなかったのかもしれない。さすがのジェンティルドンナも、3年にわたって国内最高峰のレースのひとつであるジャパンカップを勝利することは難しい。

3歳牝馬ハープスターは、最後の直線で外からこの馬らしい末脚を発揮したが届かず5着。冬毛が目立っていたように、決して体調は万全ではなかったし、勝負所で下がってきたトレーディングレザーを交わす際に、リズムを崩してしまったことも悔やまれる。それでも馬群の中でレースができたように、色々と試しながらも成長していて、将来へ向けて明るい材料は多い。

イスラボニータはスムーズなレースができていなかった。惜しむらくは、スタートから第1コーナーまでの間に内に入れるチャンスがあったにもかかわらず、蛯名正義騎手は抑えることに専念してしまった点である。差す競馬をして、仕掛けるポイントをできるだけ遅らせようという意図は見て取れるが、あそこで内に入れつつでも良かったのではないか。天皇賞秋でフェノーメノに乗って負けたときと同じ失敗であり、そのフェノーメノに乗り替わった岩田康誠騎手が今回、隙あらばフェノーメノを内に導こうとしていたのに比べると、たとえ2300勝しているベテランジョッキーでもまだまだ未熟であると言わざるをえない。

Japancup201402

Photo by 三浦晃一

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