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文句なしの最強牝馬

Arima2014
有馬記念2014-観戦記-
どの馬よりもダッシュ良く飛び出したジェンティルドンナをヴィルシーナが内から交わし、まるで歩いているような単騎逃げを打った。前半1000mは63秒0、中盤に1ハロン13秒台のラップが3度も刻まれるという超スローペース。さすがにこれだけ遅いと、少しでも後ろから行った馬や外を回らされてしまった馬たちにとってチャンスはない。今年は中山競馬場の馬場も傷んでおらず、従来のパワーやスタミナが問われる有馬記念ではなく、今年はポジション取りと瞬発力が生きる有馬記念となった。

勝ったジェンティルドンナは、思いつく限りの幸運を引き寄せる形で引退レースを飾った。9月の中山開催が今年は行われなかったことで軽い芝を維持しており、公開枠順抽選会では絶好の4番枠を選ぶことができ、さらにレースは超スローペースに流れ、外枠に入った有力馬たちの末脚が封じ込まれたのみならず、自身は絶好のポジションを確保することができ、武器である瞬発力が最大限に生きた。とはいえ、本当に強い馬とはそういうものなのだろう。実力があるからこそ、運さえも引き寄せる。ジェンティルドンナをここまで育て上げた全ての関係者の方々には心から敬意を表したい。

ジェンティルドンナの強さを表現するのは難しく、私はずっと「並んだときにスッと前に出る一瞬の速い脚の凄さ」と書いてきた。サラブレッドは時速60㎞くらいで走るが、同じトップスピードで競って走っている時、ほんの一瞬で頭だけ前に出るというのは大変なことなのである。ゴール前の直線で、仮に時速60㎞で2頭が競り合っているとすると、単純に考えると、相手が時速60㎞なら、時速61㎞出せば頭くらいは前に出られそうだが、そうはいかない。時速1㎞の差で頭だけ前に出るには、20m近く走らなければならない。一気に抜き去るのではなく、ジェンティルドンナのように馬体が並んでそこからスッと前に出るには、相手を遥かに超えていくスピードを出さなければならないのだ。世界の競馬を見渡しても、これだけのトップスピードを持った馬はおらず、父ディープインパクトの血が凝縮され、ジェンティルドンナの牡馬顔負けの屈強な肉体が支えている。

2着に入ったトゥザワールドは、ダービー以降は距離の長さゆえに力を出せずにいたが、スタミナを要求されないレースになって穴を開けた。基礎能力の高い馬であることは確かだが、春シーズンの疲れが取れて体調が上がってきたところに、内枠で絶好のポジションを走れたことが重なって120%の力を発揮できたということだ。日本の競馬に慣れてきたW・ビュイック騎手も最高に上手く乗っている。

ゴールドシップは、凱旋門賞の疲れを取り、なんとか間に合った形で出走してきたが、このスローペースではさすがに捲り切れなかった。それでも、岩田康誠騎手を含め、できるだけ前にポジションしよう、道中は勝ちに行こうという姿勢が見られて、負けて納得の3着であった。欲を言えば、この馬にとっては、もう少し時計の掛かる、力を要するいつもの暮れの中山競馬場であった方が良かった。父ステイゴールドは晩年でも闘争心を失わなかった馬であり、この馬にもそういった傾向が見られるので、ぜひ来年もまた古馬戦線を盛り上げていってもらいたい。

ジャスタウェイは最後、大外を回りながら良く伸びているが、ここまでが限界であろう。それはこの馬の限界ということではなく、小回りコースと超スローペースと今の中山の馬場において差してくる限界ということだ。それが分かっていながら、後ろから行った福永祐一騎手の罪は重い。外枠発走を考えると、勝ちに行くのであれば、多少強引にでも先行するべきであった。極端に引っ掛かる馬ではないし、昔のジャスタウェイとは違って、前に行ってそこからさらに伸びるほどに肉体が成長を遂げているのだから。それにしても、枠順しかり展開しかり、須貝厩舎の2頭は凱旋門賞以来勝ち運にも恵まれず、因果応報と言おうか、何とも不甲斐ないレースとなってしまった。

ジャパンカップを圧勝し、その勢いを持って臨んできたエピファネイアは、このスローペースにそれほど掛かる素振りを見せることもなく、どちらかというと折り合っているように見えたが、ラストは弾けなかった。道中の走りや騎手とのコンタクトを見ると、折り合っているというよりは、馬の身体が伸び切ってしまっていて脚がたまっていない状態で走っていることが分かる。それに伴い、馬の気持ちも抜けて、前進気勢が削がれてしまったまま。エピファネイアという馬の乗り難しさを象徴しているようなレースであった。

Arima201401

Photo by 三浦晃一

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Comments

What's up, after reading this awesome article i am also happy to share my experience here with friends.

Posted by: SuzetteQAlexzander | July 02, 2015 at 07:12 AM

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