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拝啓 後藤浩輝様

Haikeigotouhirokisama

拝啓 後藤浩輝様

「Gallop2014」のレース回顧における、アドマイヤコジーンに対する愛情溢れる手紙を読んで、思わず筆を執りました。実は私もあなたと同じような想いで、あのレースを振り返っていたのです。新潟競馬場で初めて行われたG1レースを現地まで観に行き、あなたとアドマイヤコジーンに本命を打ち、武豊騎手とビリーヴのあまりの強さに完膚なきまでに叩きのめされました。東京まで帰る車中の苦々しい空気は、今でも鮮明に覚えています(笑)。おそらくあなたたちも同じ気持ちだったと思います。今となっては良い思い出ですね。

私はあなたの中央競馬における初G1レース勝利(安田記念)に立ち会うことができ、しかもあなたたちの単勝馬券を手に握っているという幸運を得ました。馬群の外を綺麗に回って、直線で早目に先頭に立ち、そのまま押し切ったレース運びは見事のひと言でした。直線では、何度あなたの名を叫んだことでしょうか。ただでさえ長い府中の直線が、いつもに増して長く感じたのは、あなたたちだけではありませんでしたよ。

あの安田記念は、後藤浩輝とアドマイヤコジーンの真骨頂であり、あなたたちらしいレースでした。スタンドに帰ってくるアドマイヤコジーンの背で、あなたが涙を隠そうとせず喜ぶ姿を見て、私も胸が熱くなりました。あなたの競馬に対する一途な想い(少し不器用なところはありますが)や向こう見ずな挑戦、そして乗り越えてきた数々の試練や誤解を、僅かばかりですが知っていたつもりでしたので、長い冬を越してようやく春が来たのだと感じました。ピンク色のヘルメットがそれを象徴していました。その後もマイネルレコルト、アロンダイトなどでG1レース勝利を重ね、たまにしか予想が当たらない私もなぜかあなたとは馬券の相性が良く、勝った嬉しさを共有させてもらいました。

ミスター競馬こと故野平祐二さんも、あなたのことを随分と買っていたと記憶しています。デビューして5年目にアメリカに武者修行に行った勇気を称え、その成長に驚き、さらに上を目指してほしいと苦言を呈しもしました。あなたが2007年には関東でのリーディングジョッキーに登り詰めたことを知ったら、さぞ喜んでくれたことでしょう。

しかし、成功とは一筋縄ではいかないものですね。2008年に内田博幸騎手が中央競馬に移籍して、関東に所属することになったことをはじめ、短期免許を得た外国人ジョッキーたちの活躍や若手騎手たちの台頭、2013年には戸崎圭太騎手が中央競馬の関東を主に乗るようになり、大いなる逆風が吹いています。そんな中、2度の落馬事故にも巻き込まれ、もうこのまま引退してしまおうかと思ったことも一度や二度ではなかったはずです。それでもあなたが今こうして馬の背に跨って、レースに乗れているのは、あなたの競馬に対する激しい情熱と負けず嫌いと少しの運、そしてあなたが騎乗する姿を見たいと応援するファンの存在があったからだと思います。

あなたと最後にお会いしたのは、2010年の伊藤正徳調教師の忘年会でした。可愛らしい奥さまを伴い、関係者ひとり1人に挨拶をして回られていた姿を見て、その物腰の低さと爽やかさもあなたの一面なのだと見直しました。他人が自分をどう見ているのか良く分かっている。あなたが過剰なまでにファンサービスをするのも、自分の言動のひとつ1つが見られていて、それが競馬と一括りにして語られることを自覚しているからですよね。あなたがFACEBOOKのページにアップした、岩田康誠騎手とのツーショットの写真は最高の一枚でした。幾多の試練を乗り越えて成長した後藤浩輝と岩田康誠いうふたりの偉大な人間の素顔が映し出されていました。

私の大好きな写真家であり冒険家である星野道夫さんが、アラスカの冬についてこんなことを書いています。

僕はアラスカのそれぞれの季節が好きだ。もちろん冬もである。マイナス50度まで下がる寒い季節だが、冬は、この土地が一番アラスカらしい顔をするときなのだ。

アラスカの一年は、きっと冬を中心に動いていると思う。半年もの長く暗い冬とのかかわりで、ほかの季節を感じてゆく。

それを別の言葉で言えば、人の暮らしを含めたアラスカの自然は、太陽とのかかわりで動いてゆくということだ。この土地ほど太陽の存在を感じ、その位置を見つめながら暮らしてゆく人はいないだろう。

暗黒の冬、その季節でさえ人々は太陽を見つめている。この土地で冬を越すつらさは、決してその寒さではない。あまりにも短い日照時間だ。その中で、12月の冬至は人々の気持ちの分岐点になる。冬至を過ぎれば日照時間が少しずつ伸びてくるのだ。本当の寒さはこれからなのに、人々は1日1日春をたぐり寄せる実感を持つ。

(中略)

アラスカに暮していると、人も自然も、太陽にただ生かされているということをストレートに教えられる。暗黒の冬、太陽が沈まぬ白夜の夏、そしてつかの間の春と秋、自然の営みは太陽の動きとともにドラマチックに進行し、ある緊張感を持っている。人々の暮らしも、動き続ける自然を見つめずには成り立たない。

アラスカの自然は、結局、人間もその大きな秩序の中に帰ってゆくという、当たり前のことを語りかけてくる。アラスカ体験というものがあるならば、きっとそういうことなのだろう。
(「THE GOLD」より)

アラスカの冬が辛いのは、決してその寒さではなく、太陽が当たらないことだと星野道夫さんは言います。ここでいう太陽を、希望と言い換えても良いし、支えてくれる家族や応援してくれるファンと考えても良いかもしれません。逆に考えると、どれだけ寒くても、太陽の存在さえ感じることができれば、私たちはその寒さや冬の辛さをしのぶことができるということです。私はあなたがたくさんの太陽を感じられる人であると思いますし、あなたこそが、多くの人々にとっての太陽となるのです。落馬事故による再起不能とも言われた怪我から、2度もターフに返り咲いた記憶に残るジョッキーとして。そして近い将来、あなたが再びG1レースのゴールを先頭で駆け抜けるときには、私の手にあなたたちの単勝馬券が握られていることを願います。

敬具

Photo by fakePlace

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シルクロードSを当てるために知っておくべき3つのこと

Silkroads

■1■差し追い込み馬を狙え
開催時期が2月上旬に変更になって以降、過去10年間のラップタイムは以下のとおり。

12.3-10.7-10.9-11.2-11.3-11.7 (33.9-34.2)M
12.2-11.1-11.1-11.0-11.5-12.0 (34.4-34.5)M
12.0-10.7-10.8-10.7-11.2-12.4 (33.5-34.3)M
12.3-10.6-10.8-11.2-11.9-12.3 (33.7-35.4)H
11.9-10.8-10.9-11.0-11.7-12.2(33.6-34.9)H
12.2-11.1-11.1-11.2-11.0-11.5(34.4-33.7)M
12.5-11.0-11.3-11.1-10.9-11.4(34.8-33.4)S
12.0-11.0-11.1-11.0-11.3-11.9((34.1-34.2)M
12.4-11.4-11.2-11.1-10.9-11.6(35.0-33.6)S
12.2-11.0-10.9-10.8-11.0-11.5(34.1-33.3)M

スプリント戦にしては意外にもハイペースになっておらず、どの年も前半と後半がほとんどイーブンなペースで流れていることが分かる(ここ2年は前半の方が遅いペース)。京都の1200mコースは、スタートから最初のコーナーまでの距離が316mと長くも短くもない。3コーナーの丘を越えると、あとはゴールまで下り坂が続く。

一見、先行馬に有利な短距離戦に思えるが、実はそうでもない。前半が遅く見えるのは、スタートしてから第1コーナーまでが登り坂になっているから。ここで少しでもオーバーペースで行ってしまった先行馬は、最後の直線で脚が止まるのだ。2010年は前半よりも後半の方が速い、スローに極めて近いペースになったため、先行馬が押し切ってしまったが、基本的には中団よりやや後方で脚を溜める馬が有利になる。

■2■休み明けの馬は割引
厳寒期の始動戦という意味合いもあって、休み明けの一流馬たちは無理をして仕上げてはこない。その上、重いハンデを課せられるので、苦戦を強いられることになる。対して、2ヶ月以内にレースを使っている馬たちは、コンディションを維持しており、ハンデもそれほど重くはないはずで、一流馬相手にも好走が可能となる。ちなみに、開催時期が1月下旬~2月上旬に変更になって以来、過去10年の連対馬でアルティマトゥーレとロードカナロア、ドリームバレンチノ、ダッシャーゴーゴー以外の馬は、前走を前年の12月以降のレースに使われていた。G1級の馬は別として、前走からの間隔が開きすぎている馬は割り引いて考えた方が賢明か。

■3■淀短距離S組は負けた馬に妙味あり
番組のローテーション上、淀短距離Sが最も有力なステップレースとなる。ところが、淀短距離S→シルクロードSという連勝は、2008年のファイングレイン以外にはない(それまでは2着が最高)。それは淀短距離Sが別定戦で、シルクロードSがハンデ戦であることと関係があるだろう。淀短距離Sで負けて、ハンデが軽くなったシルクロードSで勝つというパターンはこれからも続くだろうし、その逆もまた然りである。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(最終回)

Kettounituite27

私がスペシャルウィークこそ最強だと考えるのは、その血を確実に残しているからである。他の2頭と比べると、種牡馬として、仔から孫まで血脈を伸ばしつつある。サンデーサイレンス系だからということではなく(むしろサンデーサイレンス系だからこそ配合が難しい場合もある)、種牡馬として、自身の資質の高さを証明しているということだ。もちろん、繁殖牝馬の質に大きく左右される面もあるが、それでも本当に有能な種牡馬は何らかの形で頭角を現すものだ。たった数戦のレースで走っただけでは分からない、サラブレッドとしての本当の強さは、血を残すことによって証明されてゆくのである。

数々の名馬を育てた橋田満調教師の言葉が忘れられない。橋田調教師の父・橋田俊三氏が書いた競馬小説「走れドトウ」を「ROUNDERS」創刊号とvol.2に掲載したく、依頼のために幾度もお宅に伺った際、いろいろな話をしてくださった。伝統的な調教師から直接、聞かせてもらえる競馬論や血統論は刺激的で、砂漠の砂が水を吸収するように、私はそのひと言ひと言を胸の内に刻んだ。その中で最も私の記憶に鮮明に残っている言葉は、「競馬のレースは、サラブレッドの選抜競走である」というものだ。

つまり、優秀なサラブレッドの血を選抜するために、競馬のレースは行われるということである。競馬のレースに勝てる馬をつくるために、優秀な血を残し、繁栄させていくのではなく、その逆である。私たちが目の前で見ているレースは、競馬全体の世界から見るとごく一部に過ぎず、その背景には過去から綿々とつながってきた血の歴史があり、先には果てしない未来が広がっている。レースの勝ち負けと血を残すことのどちらが主でどちらが従かというと、圧倒的に後者が主なのである。もう少し見方を変えると、競馬のレースは血を残すという偉業の前哨戦にすぎないのだ。

だからこそ、競馬のレースで圧倒的に強い(強かった)だけでなく、その血を後世まで残して初めて最強馬であったと私は考える。そういった意味においては、キングカメハメハやディープインパクト、ハーツクライらは本当の意味で強かった。シンザンやシンボリルドルフといったあまりに世代が違いすぎる名馬たちとの比較は難しいが、ここ最近の間に日本の競馬の血統レベルが格段に上がり、世界で活躍するようになってからの名馬の中でも、血を残している馬たちこそが最強である。もちろん、まだこれから先の見えない未来の話ではあるが、オルフェ―ヴルもその血を確実に伝えていくことで、自らの最強説を証明していくだろう。

ここまで血統について語ってきたが、語れば語るほど話は尽きず、私の血統に対する空想は広がっていく。知れば知るほど、さらに分からないことが増えていくように、血統の話には出口が見つからない。血統は迷宮なのである。これこそが最も恐れていたことであり、だから私は、競馬を始めてから20年以上にわたって、血統の世界に深入りすることを避けてきた。それでも結局、競馬とはサラブレッドの血の世界のことであり、競馬に携わっている以上、血統の迷宮に足を踏み入れているのであって、私たちは決してそこから逃れられないのだ。(了)

Photo by 三浦晃一

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生涯最高の仕上がりで挑むエアソミュール:5つ☆

★AJCC
フェイムゲーム →馬体を見る
ふっくらとしており、毛艶も素晴らしく、馬体全体のシルエットも美しい。
あえて言うならば、筋肉のメリハリがもう少し出てくれば完成に近づくだろう。
Pad4star

ディサイファ →馬体を見る
昨年時に比べると、特に胴部に長さが出てきて、今ならばこの距離ももちそう。
前後のバランスも取れて、メリハリも増し、馬体が成長してきたのが見て取れる。
Pad4star

ミトラ →馬体を見る
線が細いため、力強さという点でこのメンバーに入ると見劣りする。
手脚と胴部には長さがあるため、2000mを超える距離自体は問題ない。
Pad3star

ゴールドシップ →馬体を見る
芦毛の馬体は毛艶が掴みづらく、馬体の出来も安定している馬だけに評価は難しい。
とはいえ、弾力のある筋肉がついて、凱旋門賞遠征の疲れは全く感じられない。
Pad45star

エアソミュール →馬体を見る
この時期のものとは思えない毛艶の良さで、内臓面での調子の良さが伝わってくる。
前後躯にきっちりと実が入って、この馬としては生涯最高の仕上がりで挑む。
Pad5star

ダークシャドウ →馬体を見る
良く見せるタイプの馬ではあるが、さすがに8歳にもなると勢いという点では劣る。
腹回りにやや余裕があるが、この馬としては力を出し切れる仕上がり。
Pad3star

★東海S
コパノリッキー →馬体を見る
圧勝したJBCクラシックを含めても、ここ最近では最も良いシルエットを誇る。
線の細さがあった馬だが、ようやく馬体に芯が入ってきて、今年の活躍が期待できる。
Pad45star

二ホンピロアワーズ →馬体を見る
年齢的にも時期的にも、さすがに毛艶は冴えず、体調が良くは見えない。
いつものことながら、馬体のシルエットにも問題があるが、それでも力は出せる。
Pad3star

ソロル→馬体を見る
血統的にはダートの申し子であり、馬体も筋肉量が多く、いかにもパワータイプ。
顔つきからも、砂を被ってもひるまない闘争心が伝わってくる。
Pad3star

インカンテーション →馬体を見る
チャンピオンCは凡走してしまったが、相変わらず筋肉が盛り上がり、力強い。
表情を見ると、気持ちの強さがあって、巻き返しは十分に考えられる。
Pad3star

ナムラビクター →馬体を見る
好走した前走の反動も見られず、毛艶と筋肉のメリハリは維持している。
胴部が詰まっている馬体だけに、距離は1800mぐらいまでがベストか。
Pad3star

マイネルクロップ →馬体を見る
手脚が長く、馬体に軽さがあるシルエットだけに、芝の方が走りそうな印象。
馬体はふっくらとしており、立ち姿にも自信がみなぎって絶好調。
Pad4star

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京都牝馬Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotohinbas

■1■成長期に入る4歳馬が中心
過去10年の年齢別の成績は以下のとおり。
4歳馬【7・2・1・39】
5歳馬【2・6・3・38】
6歳馬【1・3・4・31】
7歳以上【0・0・1・13】

年が明けて古馬の仲間入りをした4歳馬が、ここから競走馬としての成長期に入る。牝馬の場合、4歳の秋を越すと精神的に充実期を過ぎてしまうことが多く、牡馬に比べてピークが4歳の春から秋までと早い。年の頭に行なわれるレースであるからこそ、ピークアウトしてしまった5歳馬よりも、ここから成長期に入る4歳馬を狙うべきである。

■2■前走G1組は敬遠が妥当
過去10年の前走クラスごとの成績は以下のとおり。
G1【0・0・0・7】       連対率0%
G2【1・0・2・15】      連対率6%
G3【5・6・1・35】      連対率24%
オープン【1・3・4・36】   連対率9%
1600万~下【2・2・2・26】 連対率13%

前走G1レースを走った馬が思わぬ凡走を繰り返しているのは、その馬自身の仕上がりや体調の問題である。前走でG1を使うような馬であったにもかかわらず、冬場を休養にあてずに、この時期の重賞を使ってくるということは、それなりの理由がある。昨年の秋のG1で思っていたような結果が出なかったため、本来は休養に入れたいが、その穴埋めをするために出走してくるケース。もしくは、賞金が足りないため、一流馬のほとんどいないこのレースで何とか賞金を加算しておこうという意図があるケース。いずれにせよ積極的な理由ではない。しかも前走のG1レースできっちりと仕上がっていただけに、ここに使ってくる前走G1馬は体調が下降線を辿っているか、あまり仕上げられずに出走してくることが多いはず。

■3■瞬発力勝負に強い馬
過去10年の前半3ハロンの平均タイムが35秒7、後半が34秒8であり、前半よりも後半の方がおよそ1秒速い後傾ラップになりやすい。京都のマイル戦にありがちな、ラストの直線に向いての瞬発力勝負になるレースということであり、当然のことながら、牝馬の中でもさらに末脚が切れる牝馬にとって有利になる。血統でいうと、やはりサンデーサイレンス系の種牡馬を父に持つ馬、その中でもさらに言うと、瞬発力勝負には滅法強いディープインパクト産駒ということになるだろう。クラシックを戦っていたような好素材のディープインパクトは、この時期のレースにはなかなか出てこないだろうが、出走してきたときには狙ってみても面白い。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第26回)

Kettounituite26

昨年末、競馬好きのためのあるイベントに、いち競馬ファンとして参加させてもらった。企画のひとつとして、「最強世代のどの馬が強いか?」というテーマについて、3名の競馬予想家(評論家)がトークを繰り広げるというものがあった。つまり、エルコンドルパサーとスペシャルウィークとグラスワンダーのどの馬が最強なのかという問いである。冒頭で参加者たちにも意見投票が求められたのだが、私は自分がそれと思う馬に手を挙げられなかった。そうこうしているうちに、票はエルコンドルパサーとグラスワンダーに分かれ、なんとスペシャルウィークには誰一人として手が挙がらなかった。

なぜ手を挙げられなかったかというと、頭の半分で他のことを考えていたということもあるのだが(笑)、3強と言われる馬たちがどの3頭を指すのか分からなかったのだ。当時を知る者としては、皐月賞と菊花賞を勝ったセイウンスカイがそのメンバーに入っているのか(さすがにキングへイロ―は入っていないことは分かっていた)、もし入っているとしたら残りの2頭は?と頭がおかしな方向に回ってしまったのだ(よく考えれば、3頭と言えば、エルコンドルパサーとスペシャルウィークとグラスワンダーに決まっているのだが)。そのわずかな心の迷いの隙を突かれ、私はスペシャルウィークに手を挙げることができなかったのである。そう、その世代の3強の中では、私の最強馬はスペシャルウィークなのである。

この3頭に限らず、どの馬が最強かという問いは永遠のテーマであり、その難解さゆえに最後には水掛け論に終わってしまうことも多い。今回のトークでも、エルコンドルパサーが強いという意見も、グラスワンダー最強という主張も痛いほどよく理解できる。エルコンドルパサーとグラスワンダーに意見が二分するのは、サイレンススズカが逃げ切った毎日王冠を境として、この2頭が全く別の道を歩むことになったからである。凱旋門賞を目指してヨーロッパに渡ったエルコンドルパサーと、国内に専念したグラスワンダー。新しい環境に適応し、ヨーロッパの競馬でも結果を出したことを高く評価するか、マイルから2500mまで距離を問わず、国内のグランプリG1レースを勝ちまくったことを上に取るか、ほとんど同じレースで走ったことのない2頭の比較は確かに難しい。

それに対し、グラスワンダーとスペシャルウィークは同じレースで何度か走ったことがあり、特に宝塚記念では前者が後者を完膚なきまでに負かしているため、グラスワンダー最強説はこのレースが根拠になりやすい。確かにグラスワンダーは強かったのだが、あの宝塚記念におけるスペシャルウィークは、前走の天皇賞春で体力を使い果たして、決して万全の状態にあったわけではない。当時、外国産馬であるグラスワンダーも使えるレースが限られていたため、調整が難しかったのも確かだが、その分、消耗が少なく、ひとつのレースで限界を超えて力を出し切る同馬にとって、かえって良かったのではないかとさえ思える。

さらに、サンデーサイレンス産駒であるスペシャルウィークは切れ味を持ち味とするのに対し、グラスワンダーは筋骨隆々のパワータイプであり、宝塚記念や有馬記念のようなシーズンオフに近い時期に行われる、芝が傷んできて、力を要する馬場で行われるG1レースに適性があった。つまり、一緒に走ったレースを物差しにするにしても、どちらも万全の体調や仕上がりで走ったとは限らず、どちらにとっても得意とする舞台であったわけではなく、完全にフェアな条件下での比較にはなりえないのである。何を基準(拠りどころ)にするか、またどのレースを物差しにするか、そして強さの定義によっても、最強馬というのは異なってくるということである。

Photo by 三浦晃一

(最終回へ続く→)

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AJCCを当てるために知っておくべき3つのこと

Ajcc

■1■やっぱり前に行ける馬が有利
12.7-11.3-11.9-11.6-11.7-11.9-11.8-12.1-12.0-12.2-12.2(59.2-60.3)H
13.0-11.6-12.5-12.0-12.2-12.0-11.9-12.1-12.0-11.6-12.3(61.3-59.9)S
13.0-11.3-12.3-11.9-11.7-11.7-11.8-12.1-12.0-12.0-13.0(60.2-60.9)M
12.7-11.3-12.7-12.3-12.2-12.1-12.1-12.2-11.8-11.9-12.3(61.2-60.3)S
12.3-11.8-12.5-12.2-12.7-12.4-12.0-12.1-11.6-11.7-12.6(61.5-60.0)S
12.3-11.3-12.7-12.2-12.0-12.4-12.4-12.2-11.9-11.2-12.0(60.5-59.7)M
13.0-11.9-13.0-12.8-12.7-12.5-11.8-11.4-11.5-11.3-12.3(63.4-58.3)S
12.6-11.3-13.4-13.2-13.3-12.5-12.4-12.3-12.1-12.0-12.2(63.8-61.0)S
12.3-11.5-12.2-11.6-12.1-12.2-12.4-12.5-12.1-11.5-12.7(59.7-61.2)H
12.5-11.1-12.9-12.2-12.4-12.3-11.9-12.3-12.4-11.9-12.1(61.1-60.6)M

前半が上りで、後半が下りというアップダウンの影響も大きいのだが、過去10年間のラップタイムを見るだけで、スローペースになりやすいことが分かる。同じ条件で行われるオールカマーほど極端ではないが、それでもやっぱり前に行ける馬が有利になる。

■2■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、マツリダゴッホしかり、ネヴァブションしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

■3■イマイチくんを狙え
古くはマチカネタンホイザやマチカネキンノホシから、最近ではエアシェイディなど、大レースではあと少しパンチ力が足りない馬たちが、AJCCでは見事に勝ち切ったケースが多い。時期的にG1級の馬が出走してこないことで出番が回ってくること、そして、現代の主流の瞬発力とスピードではなく、スタミナとパワーという反対のベクトルを問われるレースになりやすいことが理由として挙げられる。他のレースではなかなか勝ち切れなかったイマイチくんをここで狙ってみるのも面白い。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第25回)

Kettounituite25

スペシャルウィークの血統を語るにおいて、母系について触れないわけにはいかないだろう。スペシャルウィークの母系を辿っていくと、4代母にシラオキ(父プリメロ)、9代母にフローリスカップという、日本競馬の礎を築いた牝馬たちに行き着く。「ビューチフルドリーマー系」、「アストニシメント系」、「フラストレート系」、「ヘレンサーフ系」など、いわゆる小岩井牝系と呼ばれる牝系の代表のひとつである「フローリスカップ系」である。近年、競馬の世界も完全にボーダレス化し、外国から超一流の種牡馬や繁殖牝馬が続々と輸入され、その産駒たちが活躍している中で、日本の在来血統から出たスペシャルウィークという超大物の存在は貴重である。

日本の在来血統といっても、決して古くて劣っていたわけではなく、むしろ当時としては破格のマネーを積んで、三菱財閥の威信をかけて、イギリスから超一流の繁殖牝馬と種牡馬を買い求めた経緯がある。小岩井牧場に最初に導入された繁殖牝馬20頭の中に、前述のフローリスカップやビューチフルドリーマー、アストニシメント、ヘレンサーフらがいて、第二次世界大戦やその後の財閥解体、農地改革などの影響を大きく受け、各地に散り散りになりながらも、それぞれに血を繁栄させていったのである。同様に、シラオキの父であるプリメロも、アイルランドダービーやセントレジャーを勝ち、血統的にも文句をつけようがない、小岩井牧場が輸入した種牡馬であった。

これら日本の在来血統や小岩井牝系に特徴的なのは成長力とスタミナである。種牡馬の血統イメージ以上に距離をこなし、かつ古馬になってからの成長力に富み、衰えを知らずにタフに走り続ける。サンデーサイレンス産駒の中でも、のちに登場するディープインパクトのような突き抜けた存在を除き、日本ダービーを勝ち、クラシックで活躍しながらも、古馬になってからさらに強くなったのはスペシャルウィークぐらいのものである。サンデーサイレンスは基本的には早熟で仕上がりが早く、軽い馬に適応できるスピードと瞬発力に長けた種牡馬であるからこそ、サンデーサイレンス産駒の中におけるスペシャルウィークの異質さが母系に依ることは間違いがない。

サンデーサイレンスの種牡馬としての資質を小岩井牝系が下から支えていると考えることもできるし、逆に小岩井牝系の眠っていた資質をサンデーサイレンスの目覚ましい遺伝子が刺激し、活性化させたと考えることもできる。いずれにせよ、スペシャルウィークはサンデーサイレンスと小岩井牝系の見事な融合であり、その現役時代の強さだけではなく、種牡馬としてもシーザリオやブエナビスタ、トーホウジャッカル、ローマンレジェンドという名馬を誕生させ、ブルードメサイヤー(母の父)としてもエピファネイアなど多数の重賞ホースや活躍馬を出し(これからも出るはず)、成功を収めたのは当然といえる。

スピードと早熟さが要求される現代の競馬において、日本在来の血統の持つスタミナと成長力を伝えていくことの価値は極めて高い。時代に求められているものと反する血が、淘汰されることなく生き残っていくことは、簡単なことではないからだ。時代の流れと逆行するために、たとえ父としては目立った活躍馬を出せずにいても、生き残ってさえいれば、母の父として血を繁栄させていくことはできる。なぜならば、スタミナは主に母の父から受け継ぐため、スタミナに偏った種牡馬は母の父に入ったときにこそ、その影響を産駒に最大限にもたらすことができるからである。メジロマックイーンが、母の父としてオルフェ―ヴルという名馬を誕生させたように。そう考えると、あのブエナビスタからどのような名馬が生まれるのか、今から楽しみでならない。

Photo by 三浦晃一

(第26回へ続く→)

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さらに研ぎ澄まされたコスモナインボール:5つ☆

★日経新春杯
サトノノブレス →馬体を見る
やや余裕を残しているが、筋骨隆々の馬体で毛艶も素晴らしい。
もうひと絞りされてくれば、この馬のスタミナが生きてくるはず。
Pad4star

ダコール →馬体を見る
馬体全体から手脚の長さに至るまで伸びはあるが、ややパワー不足に映る。
前躯に比べてトモの肉付きが物足りず、持ち味の末脚が不発に終わるかも。
Pad3star

アドマイヤデウス →馬体を見る
血統的には短距離が合いそうなイメージだが、手脚が長く、馬体は中距離向き。
後躯の実の入りが発展途上にあり、これから成長してくれば強くなりそう。
Pad3star

ハギノハイブリッド →馬体を見る
胸の深さがあり、特に前駆が力強く、パワー勝負には滅法強そうな好馬体。
力強さが前面に出ている分、瞬発力勝負になるとやや分が悪い。
Pad3star

フーラブライド →馬体を見る
6歳馬らしくふっくらとしているが、牝馬らしからぬ力強さがある。
前後のバランスも良く、毛艶もこの時期にしては良く、力は出し切れる仕上がり。
Pad4star

タマモベストプレイ →馬体を見る
腹回りには余裕があり、コロンとした馬体に映るが、距離延びた方が走る馬。
胴部には長さが出てきており、母系に流れているスタミナの血が開花しつつある。
Pad3star

ホーカーテンペスト →馬体を見る
首が高いのがネックだが、長くスラリと伸びて、馬体全体には十分な長さがある。
時期的なものはあるにしても毛艶はややくすんでおり、絶好調とは言いがたい。
Pad3star

★京成杯
コスモナインボール →馬体を見る
朝日杯フューチュリティS時も良かったが、今回はさらに研ぎ澄まされた馬体。
筋肉のメリハリも良く、表情からも素直な気性が伝わってきて、好レースを期待できる。
Pad5star

マイネルシュバリエ →馬体を見る
胴部の長さに比べて手脚がやや短く、重心が低いため、距離は2000mが限界か。
毛艶も今一歩で、胴部には余裕があり、この馬が良くなるのはもう少し先か。
Pad3star

バルビエール →馬体を見る
腹回りがしっかりしていて、3歳馬らしからぬ重厚感があるが、やや太めに映る。
顔つきにも幼さがあり、肉体的にも精神的にももう少し研ぎ澄まされてくれば。
Pad3star

ベルーフ →馬体を見る
この時期にしては毛艶が素晴らしく、柔らかい筋肉がついて、仕上がりは良好。
前駆に比べると後躯の実の入りが物足りなく、全体のバランスはあと一歩か。
Pad4star

ブラックバゴ →馬体を見る
やや腰高の馬体からは、スピードは伝わってくるが、距離は2000mぐらいまでか。
筋肉のメリハリもなかなかで、前後のバランスが良いので、安定して力を発揮できる。
Pad3star

イーデンホール →馬体を見る
これと言って特筆すべき点はないが、逆に言うと全体的には良くまとまっている馬体。
筋肉が硬くパワーがあるので、冬場の力を要する馬場のレースは向いているだろう。
Pad3star

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日経新春杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Nikkeisinsyunhai

京都の2400mはスローの瞬発力勝負になりやすい典型的なコースである。スタートしてから最初のコーナーまでが597mとかなり長いため、無理な先行争いもまずなく、1コーナーに入るとひと息入る。最後の直線が長いことを考えると、向う正面で自ら動く馬もさほどおらず、通常、各馬が動き始めるのは丘の坂下から。そこからラスト4ハロンの上がり勝負になる。

実際に過去10年間の日経新春杯のラップタイムを見てみると、その傾向がよく分かる。

2005年 サクラセンチュリー 
13.0-12.2-12.2-13.8-12.9-12.9-13.2-12.9-11.8-11.5-10.8-11.8(77.0-72.0)S
51.2-51.9-45.9
2006年 アドマイヤフジ
12.6-10.9-11.3-12.7-12.4-12.5-12.7-12.7-12.2-11.7-12.0-12.6(72.4-73.9)H
47.5-50.3-48.5
2007年 トウカイワイルド
12.5-11.2-11.0-13.0-12.8-13.0-13.8-12.8-11.7-11.7-11.6-12.3(73.5-73.9)M
47.7-52.4-47.3
2008年 アドマイヤモナーク
12.5-11.4-11.3-12.7-12.8-12.6-12.5-12.3-11.9-12.2-12.2-13.0(73.3-74.1)M
47.9-50.2-49.3
2009年 テイエムプリキュア
12.7-11.3-11.7-12.7-12.7-12.6-12.6-12.1-11.6-11.9-11.9-12.8(73.7-72.9)M
48.4-50.0-48.2
2010年 メイショウベルーガ
12.7-10.3-11.0-12.4-12.5-12.4-12.3-12.9-12.1-11.9-12.1-11.8(71.3-73.1)H
46.4-50.1-47.9
2011年 ルーラーシップ
12.6-10.8-10.8-12.7-13.2-12.6-12.6-12.9-11.9-11.1-11.6-11.8(72.7-71.9)M
46.9-51.3-46.4
2012年 トゥザグローリー
12.3-11.0-11.3-12.2-12.3-12.5-12.4-12.8-11.8-11.5-11.7-11.9(71.6-72.1)M
46.8-50.0-46.9
2013年 カポーティスター
12.5-11.6-11.8-12.2-12.3-12.3-12.5-12.5-12.1-11.9-11.6-11.7(60.4-59.8)M
48.1-49.6-47.3
2014年 サトノブレス
13.1-11.5-11.3-12.3-12.0-12.8-12.5-12.2-12.0-11.9-11.0-11.8(60.2-58.9)S
48.2-49.5-46.7

前後半のラップタイムから判断すると、ハイペースとなったのは2006年と2010年だけで、それ以外の年は、ミドル~スローペースとなっている。何よりも注目すべきは、前半中盤後半に分けた800mずつのラップタイムである。京都2400m外回りで行われる日経新春杯の特徴的な流れとして、「速緩速」もしくは「緩緩速」というリズムのレースが多く目立ち、典型的な上がり4ハロンの競馬になっていることが分かる。

以上のことから、3つのポイントが導き出される。

①内枠有利
②上がりの競馬に強い馬
③サンデーサイレンス直仔の産駒

①の内枠有利は言うまでもない。道中がこれだけスローに流れやすい以上、4つのコーナーで外々を回されてしまう外枠を引いた馬はロスが大きいということである。すんなり前に位置できる脚質の馬であれば大した問題ではないが、ギリギリまで脚を溜めて瞬発力勝負に賭けたい差し馬にとっては、内枠は願ったり叶ったりの枠になる。

3コーナーの丘の坂下から一気に動き始めるレースになりやすい以上、追っつけて伸びるような馬ではなく、一気にトップギアに入り、②上がりの競馬(ラスト4ハロンのスピード勝負)に強い馬にとって有利になる。スタミナよりも、折り合いさえつけばスピードの爆発力の方が問われるということである。

そういった意味において、③のサンデーサイレンス産駒が得意とする舞台であることが分かる。サンデーサイレンス直仔がいなくなった以降のサンプルは少ないが、それ以前の4年間では勝率15%、連対率26%という圧倒的な数字を残していた。今後は父から瞬発力を受け継いだ、サンデーサイレンス直仔の産駒、または母の父がサンデーサイレンスという血統の馬にも期待が出来るだろう。

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京成杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Keisseihai

仕上がりが遅くて重賞路線に乗り切れなかった馬や、あと一歩のところで賞金を加算できなかった馬たちが出走してくるレース。勝ち馬エイシンフラッシュはダービー馬となったが、時期が時期だけに、今後のローテーションを考えて止む得なく出走してきた馬がほとんどで、基本的にはクラシックにはつながりにくい。

■1■先行馬にとって有利なレース
12.9-11.8-13.8-12.7-13.0-12.8-12.8-12.5-12.2-12.9(64.2-63.2)S
12.6-11.1-13.1-13.0-13.0-12.2-12.5-11.9-11.4-12.4(62.8-60.4)S
12.6-11.6-13.4-12.2-12.5-12.1-12.2-11.4-11.4-12.2(62.3-59.3)S
12.5-10.7-12.6-12.0-13.0-12.6-12.9-12.0-12.4-12.2(60.8-62.1)H
12.1-11.5-12.6-12.6-13.2-12.6-12.6-11.7-11.6-12.2(62.0-60.7)S
12.5-11.1-13.6-12.7-13.3-12.6-12.6-12.4-11.4-11.4(63.2-60.4)S
12.6-11.0-12.4-12.0-12.3-11.9-12.1-12.1-12.1-12.4(60.3-60.6)M 2011年
12.4-10.8-11.9-12.3-13.0-12.7-12.3-11.8-11.7-11.7(60.4-60.2)M
12.6-11.0-12.6-11.8-13.0-13.1-12.7-11.9-11.6-12.0(61.0-61.3)M
12.4-11.0-12.9-11.7-12.6-11.7-12.0-11.9-12.3-12.6(60.6-60.5)M 2014年

過去10年のラップを見てみると、2011年と2014年以外のほとんどのレースにおいて、13秒台のラップが続出しており、一様に、序盤、中盤が緩んでいることが分かる。4つコーナーを回る中山2000m戦のコースの形態上、仕方のないことではあるが、これだけ緩むと前に行った馬にとっては明らかに有利なレースになる。スッと先行できない、器用さに欠ける馬にとっては厳しいレースとなる。

■2■パワー優先
上がり時計も掛かっていることからも分かるように、この時期の中山競馬場の馬場は、通常に比べて重く、力を要する状態になる。そのため、当然のことながら、2000mという字ズラ以上のスタミナも問われる。アドマイヤベガ、マーベラスサンデー、ステイゴールド、ブライアンズタイム、マヤノトップガンなど、ダートや長距離戦にも実績のある種牡馬の産駒が、このレースで活躍しているのも頷ける話である。つまり、スピードや瞬発力という要素ではなく、パワーとスタミナを有しているタイプの馬を狙うべきである。

■3■意外や外枠有利
道中が緩む小回りコースにもかかわらず、真ん中よりも外から発走し、馬群の外を回った馬の方に軍配が上がっている。これは時期的に馬場の内側が傷んで(荒れて)きているということだけではなく、まだキャリアの浅い馬たちが大勢を占めているため、外枠から外を回ってスムーズに走られた方が力を出し切りやすいということを意味している。ダービーを豪快に差し切ったエイシンフラッシュでさえも、このレースでは2、3番手の外に付けて、スッと抜け出す競馬をしていたことを忘れてはいけない。

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世の中は思い込みに満ちている

Omoikomi01

ジェンティルドンナが有馬記念でラストランを飾ったとき、やられたという悔しさとやっぱりという既視感が交錯した。実はその思いの根っこは同じで、他の有力馬が揃いも揃って外枠を引いていた(今年は選ばされた)のに対し、ジェンティルドンナだけは絶好の枠順を得て、思いつく限り最高のポジションでレースを進めることができていたからだ。馬の脚質やジョッキーの技量を含め、走るポジションとそれを規定する枠順が勝敗を大きく左右してしまう現代の日本競馬を象徴しているようなレースであった。レースレベルが上がれば上がるほど、その傾向はさらに強まる。そのことは良く分かっていた。

それでは、なぜ私はジェンティルドンナを買えなかったのだろうか。自分に問うてみると、答えはすぐに見つかって、ジェンティルドンナは昨年よりも力が衰えていると考えていたからだ。その根拠は単純で、2013年の天皇賞秋はハイペースを前で受けての2着だったにもかかわらず、2014年の天皇賞秋はスローを先行して(しかも内できっちり脚を溜めて)の2着であったからだ。同じ2着でも内容が全く違った。2013年のジェンティルドンナであれば、休み明けでも2014年の天皇賞秋は勝っていた(もしくはもっと踏ん張っていた)はず。力が落ちてきていると見込んだからこそ、3連覇がかかっていたジャパンカップでも本命には推さず、さらに4着の結果を見て、ジェンティルドンナは競走馬としては終わりを迎えたと確信を深めた。石坂調教師やR・ムーア騎手が馬場の悪さを敗因に挙げても、たしかにそれも一因だが、ジェンティルドンナに衰えが来ているのがそもそもの要因だと見限った。

それがどうだろう。こうしてジェンティルドンナに勝たれてみて、枠順の利があったのは確かではあるが、少なくとも力が衰えた牝馬にはできない芸当であったことも認めざるを得ない。そう思いつつも、有馬記念の数日前に届いた雑誌「優駿」の有馬記念特集ページに、もう一度目を通してみた。そこには確かに読んだはずの、しかし私の記憶には全く残っていない、ジェンティルドンナの調教助手のコメントが載っていた。

「今秋は3歳時のように元気なんですよ。天皇賞前、僕が振り落されたほど」

私はこのコメントを読んだとき、息を飲み、自分が思い込んでいたことを思い知った。2013年の天皇賞秋と2014年の天皇賞秋の走りを比較して、かつてオルフェ―ヴルを競り落としたり、ドバイで世界の強豪をねじ伏せたときのジェンティルドンナはもういないと思い込んでいたが、そうではなかったのだ。調教助手が言うように、3歳時ほどの勢いがあったかどうかは定かではないが、少なくとも衰えているわけではなく、今年は天皇賞秋からジャパンカップへという良化のスピードが遅くなっている程度のものであったのではないか。そう考えていたとしたら、有馬記念でジェンティルドンナは本来の力を出し切れるはずだし、枠順に恵まれたら勝つチャンスは十分にあると判断できたはずだ。

私の周りにも、ジェンティルドンナに対する思い込みはたくさんあった。ジェンティルドンナは右回りが走らないと思い込んでいる者、有馬記念では牝馬は勝てないと思い込んでいる者、今年の最終目標であったジャパンカップであの負け方を喫した時点で終わったと思い込んでいる者など。特に、右回りが走らないという思い込みは結構多く、おそらく桜花賞や秋華賞を見ずして、宝塚記念での大敗を見てそう思い込んでいるのだろうが、あれはまさに力の要る(ジェンティルドンナの最大の武器である一瞬の脚が生きない)馬場が合わないということであり、右回りとは全く関係がない。こうは言ってみても、残念なことに、他人の思い込みは分かるが、自分の思い込みは分からなかった。

世の中は思い込みに満ちている。競馬に限った話ではない。私たちの生きている世界は思い込みだらけだ。自分で勝手に思い込んで、自分の世界を狭くして、間違った選択をしてしまっている。思い込みがゆえに、ますます不自由になり、身も心も病み、経済的にも精神的にも貧しくなってゆく。私はつい最近まで、そういう思い込みに囚われて、世の中には1本しか道はないと信じ込んでいたが、ようやく今になって、押し付けられていた思い込みから逃れ、自分の枠を拡げつつあるが、それでもまだ思い込みが激しい。

ただ私が幸せなのは、競馬をやっているがゆえに、こうして自分の思い込みに気がつかせてもらえることだ。残酷ではあるが、競馬は私たちが思い込みに満ちていることを教えてくれる知的なスポーツなのだ。競馬をやっていない人は、よほどのことがない限り、自分の思い込みに気がつかずに人生が終わる。競馬のレースも1回きりだが、人生も1回きり。今年もできるかぎり自分の思い込みに気づき、意識的に自分の思い込みとは違った情報を公平に取り入れ、そして、思い込みから自由になるために、もっと学んでいきたいと思う。私たちの世界は、おそらく私たちが思い込んでいるようなものではない。

Omoikomi02

Photo by 三浦晃一

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ハーツクライ産駒らしいナヴィオンとコートシャルマン:4つ☆半

★シンザン記念
ダッシングブレイズ →馬体を見る
前後躯にバランス良く筋肉がついて、全体的なシルエットもまとまっている。
胴部に伸びはないため、マイルがベストだろうが、スタミナには不安あり。
Pad4star

ナヴィオン →馬体を見る
胴部には長さはあるが、脚が短いため重心が低いというハーツクライ産駒らしい体型。
毛艶は良く、つくべきところに筋肉がついており、現時点では完成度は高い。
Pad45star

グァンチャーレ →馬体を見る
筋肉のメリハリに乏しく、馬体全体のシルエットを見ても幼さが残っている。
この時期にしては毛艶が良いので、この馬の力を出し切れるだけの体調にはある。
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メイショウマサカゼ →馬体を見る
手脚が短く、前駆が勝っているマッチョな体型で、いかにも短距離馬らしい。
前でレースを進められればチャンスはあるが、距離自体はやはり長いだろう。
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★フェアリーS
テンダリーヴォイス →馬体を見る
まだ馬体には幼さを残している、ディープインパクト産駒らしいバネを感じさせる。
現時点では何とも言い難いが、馬体の成長と共にパワーとスピードが生きてくるはず。
Pad4star

トーセンラーク →馬体を見る
背中が落ちているように映るように、トモの実の入りが物足りなくパワー不足か。
手脚は短いが胴部には長さがあって、マイルの距離自体はぎりぎり守備範囲だろう。
Pad3star

コートシャルマン →馬体を見る
松永厩舎らしい毛艶の良さと筋肉の付き方をしていて、ハマれば切れるタイプ。
胴部の長さと対照的に手脚が短く重心が低いため、京都コースに替わるのはプラス。
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オースミアリス →馬体を見る
スラっとした馬体で、決してスプリンターではなく、毛艶も冴えて体調は良い。
顔つきからは気性面で難しいところがあり、それが守備範囲を狭くしているかも。
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クイーンズターフ →馬体を見る
ディープインパクト産駒だが、冬毛に覆われていて、走る体にはなっていない。
耳をこちらに向けているように、気性面でも繊細なところのある牝馬であろう。
Pad3star

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シンザン記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sinzankinen

■1■朝日杯フューチュリティS好走組優位
この時期に行われる3歳重賞ということもあって、朝日杯フューチュリティSで結果を出せなかった居残り組みと、これから上を目指す素質馬のぶつかり合いという図式となる。過去12年の戦績から見ると、完成度が高い朝日杯フューチュリティS組が6勝とやや有利で、特に朝日杯フューチュリティSで好勝負していた馬が順調に出走してくれば、ほぼ間違いなく勝ち負けになる。

■2■前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬
同じ時期の同条件で行われる京都金杯と比べ、頭数が少なくなることもあって、ペースはスローに落ちることが多い。開幕2週目で前が止まりにくい馬場であることも含め、前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬にとってはレースがしやすい。

また、この時期の3歳馬にとって、京都の外回りマイル戦は厳しいレースである。よって、1600mの距離を走ったことのない馬にとっては苦しいレースとなることは避けられない。ちなみに、連対馬24頭中23頭に1600m以上の出走経験があった。

■3■素質馬が集まるジョッキーに変化あり
武豊騎手が1997年から2006年までの10年間で6勝と圧倒的な勝率を誇っていた。2007年も武豊騎手から岩田騎手に乗り替わったもののアドマイヤオーラが勝ったように、武豊騎手にこの時期の素質馬が集まりやすかったと考えられる。しかし、2007年、2008年と岩田康誠騎手と安藤勝己騎手のワンツーが連続したように、この年を境として流れが大きく変わった。もう少し生々しく言うと、各陣営の武豊離れ(武豊騎手一辺倒ではなくなってきているということ)が進んだ。ここ最近で勢いのあるジョッキーに乗ってみるのもひとつの手かもしれない。

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集中連載:血統について語るとき、私の語ること(第24回)

Kettounituite24

サンデーサイレンス産駒は初年度のフジキセキやタヤスツヨシ、ジェニュインだけではなく、2年目はバブルガムフェローやダンスインザダーク、3年目はサイレンススズカといった大物を出し続け、ついに種付け頭数が年間100頭を超えた。そしていよいよ4年目の産駒から、これまでの大物に輪をかけたようなスペシャルウィークが誕生することになった。

スペシャルウィークが他のサンデーサイレンス産駒と一線を画していた点は、もちろんその極めて美しいシルエットの伸びやかな馬体だけではなく、気性的に激しいところや難しいところがほとんどなかったということだろう。母キャンペンガールもその産駒たちも気難しい面があり、競走馬としては大成できなかったが、スペシャルウィークだけはそうではなかった。それもただ大人しいというのではなく、武豊騎手がスペシャルウィークを評して、「飄々としていて、明るい未来しか想像できない」と語っていたように、気高い精神のようなものを感じさせてくれる馬であった。出産時に母が亡くなり、乳母に育てられたことが大きかったのかもしれない。

新馬戦を快勝したスペシャルウィークは、2戦目に500万下のレースを狙っていた。ところが、1997年暮れから1998年初めにかけて、異常ともいえるほどの除外ラッシュが起こっていた。これは小倉競馬場の改修工事によって、例年よりも開催が少なかったことが大きな理由であり、どの馬も抽選に通らなければ出走が叶わないという状況に置かれていた。

そこで、ほとんどの陣営はどうしたかというと、一度除外されると、次の抽選では有利になるシステムを利用し、とりあえず登録だけするという作戦を採っていた。当然、スペシャルウィーク陣営も、とりあえずという気持ちで500万下の白梅賞に登録した。除外される確率の方が圧倒的に高いのだから、まずは除外されてから、次はどこを狙うか考えようということになっていた。

ところが、なんと抽選に通ってしまったのだ。白梅賞に出走できるようになったものの、除外を前提に考えていた陣営は、スペシャルウィークの体をキッチリとはつくっていなかったのである。どう贔屓目に見ても、あと1本は追い切りの本数が足りないというのが本音であった。その証拠に、白梅賞の馬体重は8kgも増え、さすがのスペシャルウィークの能力を持ってしても、最後はハナ差で差し切られてしまい、2着まで来るのが精一杯であった。

完全に予定が狂ってしまった陣営は、なんとかクラシックに間になんとか合わせるため、少しでも賞金を加算しようと考えた。次走は手堅く自己条件のつばき賞(500万下)を選んだ。ところが、皮肉なことに、今度は抽選に落ちてしまい、つばき賞に出走することが出来なくなってしまったのだ。そんな折、管理していた白井寿昭調教師は、もしかしたらスペシャルウィークは運に見放された馬なのかもしれないと思ってしまったそうである。というのも、前述したように、スペシャルウィークは産まれてすぐに母親を失くし、乳母に育てられたという過去があったからであった。

しかし、そうではなく、スペシャルウィークは実に幸運な馬であった。つばき賞を除外された結果、きさらぎ賞(G3)に出走することができ、そのきさらぎ賞で堂々の勝利を収めたのだ。競馬の世界にタラレバはないが、もし白梅賞に勝っていたら…、もしつばき賞を除外されていなかったら…、スペシャルウィークは果たしてダービーを勝つことが出来たのだろうか。答えは誰にも分からないが、勝負の世界には運も必要だということは確かである。

スペシャルウィークに調教で初めて跨った武豊騎手と白井調教師の間に、こんなやり取りがあったそうだ。面白いエピソードなので紹介しておきたい。

白井調教師(ニヤリと笑みを浮かべて)
「どうや、豊君。あの馬、ダンスパートナーに似て…」

武豊騎手(少し興奮気味に)
「先生、あの馬、ダンスインザダークにそっくりですよ!」

白井調教師(意表を突かれた感じで)
「えっ、いや、ダンスパートナーに似てへんか?」

武豊騎手(極めて冷静に)
「全姉弟ですからね。でも男馬ですから、ダンスインザダークに似ていますよ。」

スペシャルウィークという1頭の新馬を評するにあたって、白井調教師がダンスパートナーの名を口に出し、武豊騎手がダンスインザダークの名を挙げ、どちらも譲らなかったところが面白い。ダンスパートナーとダンスインザダークの2頭は全姉弟なので、どちらのイメージも正しかったのだと思うし、スペシャルウィークがそれほどに素晴らしい馬だったということだ。白井調教師にしてみれば、かつて自分の厩舎にいたサンデーサイレンス産駒の大物ダンスパートナーの後継者と考え、武豊騎手にしてみれば、その前年に惜しくも取り逃がしてしまった日本ダービーで騎乗したダンスインザダークのリベンジを夢見たのだろう。

Photo by 三浦晃一

(第25回へ続く→)

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フェアリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Farys

■内枠から前に行ける馬が有利
2012年の1~3着馬を見てみると、全て内枠の馬であることが分かる。中山マイル戦は外枠不利という定説があるように、スタートしてからすぐに右へ急激にコーナーを曲がるコース形態のため、外であればあるほど距離ロス(スタミナロス)は大きい。力の付き切っていない3歳牝馬だけに、ちょっとしたロスがゴール前でこたえる可能性は高い。また、2009年の3着に10番人気のグッデーコパ、2012年の2着に14番人気のマイネエポナ、2013年は10番人気のクラウンロゼが粘り切ったように、直線が短いコース形態を考えると、やはり前に行ける馬が有利である。内枠から前に行ける馬を狙いたい。

■1600m以上の経験馬(スタミナも問われる)
過去の1~3着馬を見てみると、前走で1600m以上のレースを走っている馬が多いことが分かる。フェアリーSが1600mに変更されて、クラシック(桜花賞やオークス)を睨む素質馬が出走してくる以上、スピードタイプの牝馬は苦戦を強いられる。ごまかしの利きやすいコースではあるが、スピードだけで押し切ることは難しい。急坂を登って、最後に問われるのはスタミナと底力というレースになるだろう。

■牡馬を相手に勝ち上がってきた馬
同じ新馬戦を勝つにしても、牝馬同士ではなく、牡馬を相手に勝ち上がってきた馬の方が強いのは当然である。牡馬と戦うことには、時計やラップには表れない厳しさがある。クラシックを見据えての厳しいレースとなる以上、牝馬同士の新馬戦を選んで勝ち上がってきた馬よりも、牡馬を相手に勝ちあがってきた、もしくは好レースをしてきた馬を狙いたい。

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「世界一の馬をつくる」

Sekaiitinoumawotukuru

キズナとワンアンドオンリーで日本ダービーを連覇し、オーナーブリーダーとしての高みに登り詰めた前田幸治氏による著書。武豊騎手が推薦文に寄せているように、「馬づくりの奥深さと、ノースヒルズの強さの理由がよくわかる本」であり、ノースヒルズや大山ヒルズにおける牧場・チーム運営のノウハウと未来への夢が込められている。前田氏は全くの素人として牧場経営を始めたこともあって、プロの意見や情報をしたたかに集め、そこに独創的な発想を試してみることをためらわなかった。もちろん、オーナーブリーダーだからできたのかもしれないが、世界一の馬をつくるために、やれることを全てやるという挑戦の姿勢は、あらゆるホースマンにとっての見本になるはずである。

最後まで読み通してみて、ここまで書いてしまって良いのだろうかというのが正直な感想である。本の途中で、社台ファームの吉田照哉氏がノースヒルズを見学に訪れ、そのことをグループ誌に「企業秘密の部分もあるやもしれず…」と冒頭に書いたように、競馬関係者にとっても目からウロコのアイデアやノウハウが惜しげもなく提供されている。簡単に真似できることは隠していても真似されてしまう、というオープンな気持ちでいるからであろう。たしかに、「手づくりの高級時計」をつくるように、「馬育ては人育てから」取り組んでいる。簡単には真似されそうにもない。

個人的にオーナーブリーダーには憧れがあり、最近は馬の生産や育成にも非常に興味が湧いてきたこともあって、前田氏の競馬に対する思想には共感するところや学ぶべき点が多い。その中でも、「育つのを待つ―馬も人も10年がワンスパン」という章には感銘を受けた。少し長くなるが、とても重要な部分なので引用してみたい。

私は、イギリス、アメリカなどから毎年3、4頭の名血の牝馬を購入している。「これはいい」と思って買ってきたそれらの名血牝馬がレースで好成績を収めたとしても、繁殖牝馬として重賞勝ち馬を出すのは1割程度だ。G1馬を出す確率はもっと下がる。宝くじよりは率は高いが、全部が成功するわけではない。

だが、ひとつ気づいたことがある。それは、先に記したような、世界で成功しているオーナーブリーダーは、1歳で牝馬を買い、競馬を使ったあと繁殖にしている、ということだ。最初から繁殖牝馬として買って成功している例というのはめったにない。

馬は10年をワンスパンとして考えなくてはならない。

アメリカで1歳の牝馬を買ってきたとする。2歳で競走馬としてデビューし、5歳まで走って引退。6歳のときに種付けし、7歳のときに初出産。その仔馬がデビューするのは早くても2年後だから、ほぼ10年。

馬だけでなく、人も10年をワンスパンとして育てていくべきなのだろう。

以前、確かフェデリコ・テシオ(リボー、ネアルコなどを生産し一時代を築いたイタリアの馬産家)の著作だったと思うのだが、それを読んでいても、ここに記したようなやり方をした生産者が成功している。

海外から優秀な繁殖牝馬を輸入してきても、日本の地に慣れるまでに時間がかかるからかもしれないし、実際に競馬で走らせてみた上で、その牝馬の長所を伸ばし、欠点を補うような配合を試すことができるからかもしれない。定かな理由は分からないが、成功するオーナーブリーダーは、そういった一貫性のあるやり方を好むということである。馬づくりも人づくりも、つまり待たねばならないということだ。

その他、通年の夜間放牧に踏み切ったエピソードや外国人騎手偏重に対する想い、ミスを責めないことなど、前田氏の勇敢で寛容な人となりが伝わってくるようだ。そして、彼のチームがつくった名馬たち、ファレノプシス、スティルインラブ、ビリーヴ、ヘヴンリーロマンス、トランセンドなど、不思議なことに、その背に乗ったジョッキーたちと共にあの名シーンが蘇ってくる。このあたりにも、人も大事にする前田氏らしさが表れていると言ったら言い過ぎだろうか。ノースヒルズの生産馬を応援したくなるような気持ちになった。

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馬体全体のバランスが良化したウインフルブルーム:5つ☆

★京都金杯
シェルビー →馬体を見る
この時期としては抜群の毛艶で、体調の良さが全身から伝わってくる。
筋肉のメリハリという点ではあと一歩だが、今年は活躍が見込めそうな好馬体。
Pad4star

フルーキー →馬体を見る
父の力強さが前面に出ており、特に前駆の筋肉の盛り上がりが素晴らしい。
もうひと絞りできる体つきだが、毛艶は良く、力は発揮できる仕上がり。
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グランデッツァ →馬体を見る
3歳時に比べると、筋肉の柔らかみが物足りず、トモの肉付きもあと一歩か。
それでも馬体のシルエットには長さが出て、スタミナ豊富な馬体へ成長した。
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エキストラエンド →馬体を見る
腰角が垂直近くまで立っているように映るように、トモの実の入りが素晴らしい。
前駆にも力が漲っていて、ディープインパクト産駒にしてはパワータイプ。
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ウインフルブルーム →馬体を見る
脚が短く、重心が低いように、母系のサクラユタカオーの血が濃く出ている。
3歳時に比べると、馬体全体のバランスが良くなってきて、安定して力を出せる。
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マイネルメリエンダ →馬体を見る
全体的にスッキリとしており、いかにもスタミナがありそうな馬体を誇る。
冬場にしては毛艶も良く、柔らかい筋肉を保っており、この馬の力は発揮できる。
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★中山金杯
ロゴタイプ →馬体を見る
絶好調時の迫力はないが、昨年からの数戦は馬体的にはほぼ復調している。
あとは気持ちの問題であり、外見上からは、闘争心は伝わってこない。
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マイネルミラノ →馬体を見る
腹回りには余裕はあるが、この時期だけに絞り切れないのだろう。
毛艶は良いが、馬体全体からはパワーが伝わってこず、力感に乏しい仕上がり。
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マイネルフロスト →馬体を見る
いかにも4歳頭の馬らしい、筋肉の柔らかい、みずみずしさを残した馬体。
母父グラスワンダーの影響か、前駆のパワーは素晴らしく、中山コースは合う。
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ラブイズブーシェ →馬体を見る
腹袋はあるが、全身のシルエットはすっきりしており、仕上がりは良い。
重心が低い馬体で、長い距離よりも、ミドルディスタンスがベストか。
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メイショウナルト →馬体を見る
夏場に強い馬らしく、寒い時期には毛艶が冴えず、トモの肉付きも薄い。
展開に恵まれてどこまで粘れるかだが、この馬の力を出し切れる出来にはない。
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ラブリーデイ →馬体を見る
時期的に絞り切れないこともあって、やや重厚感を残した仕上がりにある。
パワーは十分な馬なので、あとはどこで一瞬の脚を生かせるかどうかが鍵となる。
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デウスウルト →馬体を見る
胴部や手足には十分な長さがあって、馬体的には距離は長い方が良さが出そう。
母系は気難しいタイプが多いだけに、顔つきをみるとこの馬も繊細そうな表情。
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中山金杯を当てるために知っておくべきこと

Nakayamakinpai

中山金杯には面白いラップ傾向があり、人気馬から人気薄まで、“差し馬”の活躍が目立つのはそれゆえである。まずは、中山金杯の過去10年間のレースを振り返ってみたい。

平成17年 クラフトワーク
12.6-11.5-12.7-12.0-11.4-11.0-11.6-11.7-12.0-12.5(60.2-58.8)S
平成18年 ヴィータローザ
12.7-11.5-12.9-11.9-11.6-11.4-11.4-11.6-11.7-12.7(60.6-58.8)S
平成19年 シャドウゲイト
12.6-10.8-12.6-11.6-12.2-12.1-12.5-12.6-12.2-13.2(59.8-62.6)M
平成20年 アドマイヤフジ
12.4-11.4-13.3-12.5-12.4-11.9-11.9-11.4-11.0-12.5(62.0-58.7)S
平成21年 アドマイヤフジ
12.3-10.9-13.0-11.4-12.1-11.4-11.6-11.7-11.5-12.6(59.7-58.8)S
平成22年 アクシオン
12.4-11.1-13.1-12.6-12.7-11.7-11.2-11.7-11.6-12.7(61.9-58.9)S
平成23年 コスモファントム
12.2-11.0-13.0-12.1-12.7-12.1-12.1-11.6-11.2-11.8(61.0-58.8)S
平成24年 フェデラリスト
12.5-11.3-13.1-12.0-12.4-11.7-11.8-11.7-11.4-11.5(61.3-58.1)S
平成25年 タッチミーノット
12.3-10.9-12.8-12.1-12.5-12.1-11.8-11.6-11.6-11.8(60.6-58.9)S
平成26年 オーシャンブルー
12.2-10.5-12.4-11.8-12.5-12.1-12.0-12.2-12.1-12.3(59.4-60.7)H

レースラップの後ろにカッコで括っているのは、前後半1000mのタイムである。平成26年は珍しくハイペースに流れたが、過去10年のほとんどのレースは後半の方が遅いスローペースでレース全体は流れている。にもかかわらず、シャドウゲイトが逃げ切った平成19年や好位置から差して連覇したアドマイヤフジを除き、前に位置した馬が苦戦を強いられ、差し馬が台頭しているのはなぜだろうか?

その鍵はレースの中盤にある。前後半3ハロンを除いた中盤の4ハロンに注目してみると、11秒台のラップが多く並んでいることが分かる。平成18年においては、中盤4ハロン全てが11秒台である。これだけでは分かりにくいかもしれないので、同じ中山2000mで4月に行われる皐月賞(平成15年~21年)のレースラップと比較してみたい。

平成15年 ネオユニヴァース
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(61.7-59.5)S
平成16年 ダイワメジャー
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(59.7-58.9)M
平成17年 ディープインパクト
12.1-11.0-11.9-12.2-12.4-12.6-12.5-11.8-11.4-11.3(59.6-59.6)M
平成18年 メイショウサムソン
12.3-11.3-12.0-12.1-12.3-12.0-12.2-11.8-11.7-12.2(60.0-59.9)M
平成19年 ヴィクトリー
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12-12.3(59.4-60.5)H
平成20年 キャプテントゥーレ
12.2-11.5-12.5-12.6-12.6-12.8-12.3-11.2-11.5-12.5(61.4-60.3)S
平成21年 アンライバルド
12.1-10.8-11.9-12.1-12.2-12.1-11.9-11.8-11.7-12.1(59.1-59.6)M

中盤の4ハロンに着目してみると、ほとんどが12秒台であることが分かる。つまり、皐月賞は中山金杯に比べ、中盤だけを取ると遅いラップ構成となりやすいのである。それゆえ、皐月賞は前が残りやすいレースになりやすく、中山金杯は前崩れが起こるレースになりやすい。

もう少し厳密に言うと、全体としては皐月賞の方がレベルの高いレースになりやすいが、中山金杯は中盤が意外に緩まない分、上がりの掛かる、前崩れのレースに強い差し馬にとって絶好の展開となるのである。

ここまではっきりとした傾向があるのであれば、皐月賞は前に行ける馬、中山金杯は後方からレースを進める差し馬から狙うのが得策ではないだろうか。

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京都金杯を当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■マイル戦に実績があり、マイル以上のスタミナを持つ馬を狙え
主なステップレースは、朝日CC(1800m)と阪神カップ(1400m)になり、マイル以上のスタミナを持つ馬とマイル以下の距離でスピードを発揮する馬とが、マイル戦の舞台で激突することになる。京都のマイル戦というコース設定を考えると、どちらかといえば朝日CC組を上に取るべきだが、33秒台の速い時計で決着することが常なので、スピード勝負にも対応できる裏づけがないと厳しい。そういった意味では、マイル戦での実績(勝ち鞍)は必要で、マイルCSで好走してきた馬が出走してくれば間違いなく好勝負になる。

■2■勝つはずの馬が勝つべくして勝つレース
前半3ハロンの平均タイムが34秒9、ラスト3ハロンの平均が35秒1と、京都のマイル戦らしく、極めて平均ペースでレースは流れる。つまり、どんな脚質の馬でも勝負になり、展開に左右されて負けるということが稀なレースである。また、スタートから最初のコーナーまでの距離も694mとかなり長いため、枠順の有利不利もほとんどない。勝つはずの馬が勝つべくして勝つレースといえる。

ただし、開幕週ということもあって、直線が平坦な絶好の馬場では前もなかなか止まらないことに注意すべき。過去10年のラップタイムの中でも、前半800mのタイムに注目してみたい。

平成17年
12.7-10.8-11.5-11.7-11.7-11.6-11.8-12.2(46.7-47.3) 1:34.0Mハットトリック
平成18年
12.2-11.1-11.8-12.2-11.8-11.2-11.4-12.3(47.3-46.7) 1:34.0Sビッグプラネット
平成19年
12.3-11.2-11.7-12.2-11.6-11.0-11.6-12.3(47.4-46.5) 1:33.9Sマイネルスケルツィ
平成20年
12.5-11.4-11.4-12.3-11.4-11.3-11.2-12.1(47.6-46.0) 1.33.6S エイシンデピュティ
平成21年
12.6-10.7-11.2-11.8-11.6-11.9-11.4-11.7(46.3-46.6)1.32.9M タマモサポート
平成22年
12.0-10.6-11.6-12.2-11.8-12.3-11.3-12.3(46.4-47.7)1.34.1H ライブコンサート
平成23年
12.3-11.3-11.8-12.0-11.4-11.2-11.4-12.0(47.4-46.0)1:33.4S シルポート
平成24年
12.2-10.5-11.1-11.9-11.9-12.0-11.5-11.8(45.7-47.2)1.32.9H マイネルラクリマ
平成25年
12.4-11.2-11.7-12.1-11.6-11.5-11.2-11.8(47.4-46.1)1.33.5S ダノンシャーク
平成26年
12.4-11.0-11.3-11.9-11.5-11.3-11.4-11.7(46.6-45.9)1.32.5M エキストラエンド


前半の800mが47秒台に落ち着くと、完全に前が有利になっていることが分かる。出走メンバーを見渡してみて、どの馬がどのように逃げるのかをイメージする作業をする際には、この47秒という数字を頭に置いておきたい。

■3■あまりハンデ戦であることを意識しなくてよい
平成8年からマイル戦へと距離が短縮され、高松宮記念や安田記念へ向かうというよりも、昨年の秋シーズンを消化不良で終わったマイラーたちの最終戦的な色合いが濃い。とはいえ、一戦級落ちの実力のあるマイラーが揃うため、ハンデ戦ながらもレベルの高い争いが期待できる。

そのため、勝ち馬の平均ハンデが約56kgと、力のある馬であれば、少々重いハンデを背負ったとしても軽量ハンデ馬に足元をすくわれることはほとんどない。あまりハンデ戦であることを意識せずに、基本的には各馬の力の比較を優先すべきレースである。

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