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人生は宝くじなんかじゃねえ

Staygold

ステイゴールドは最後まで人間の思うようにはならない馬であった。種牡馬としての実績を積み上げ、絶頂を極め、これからさらなる活躍を期待されている最中に、突然、天国に逝ってしまった。彼のことを意外性の馬という人もいれば、人智を超えた馬という人もいる。つまり、表現が違うだけで、よく分からない馬だったということだ。それは理解しがたいということではなく、私たちのサラブレッドを計る尺度において、理解を超えていたということである。少なくとも私は、現役時代には彼がそれほど強い馬だと思っていなかったし、サラブレッドとしての資質の高さも見抜けなかった。

私はステイゴールドのファンでもなかったが、レースの記憶の片隅には彼がいる。サイレンススズカが初めてG1レースに出走し、どれだけ大差をつけて勝つのか胸が張り裂けそうだった宝塚記念にて、エアグルーヴと2着争いを繰り広げたのがステイゴールドであった。また、サイレンススズカが競走を中止した天皇賞秋でオフサイドトラップと接戦を演じたのもステイゴールド。京都大賞典を惨敗し、燃え尽きたかと思われたスペシャルウィークが後方一気で差し切って、見事に復活を果たした天皇賞秋で2着したのもステイゴールドである。私の視線は常にサイレンススズカやスペシャルウィークを追っていたが、その片隅には確かにステイゴールドが映っている。

それでも、ステイゴールドが種牡馬として成功しなければ、それらの記憶は風化してしまっていたに違いない。彼は自らの力で運命を切り開き、私たちの記憶を鮮やかに蘇らせた。サラブレッドは現役時代の成績だけではなく、血を後世に残していくことでこそ、その強さを証明する(される)と私は考えるが、ステイゴールドほど私たちを見返した馬はいないだろう。気性の激しさゆえに、レースでは力を十全に発揮することができなかったが、本当のところは、相当に強い馬だったはずである。ステイゴールドの産駒が競馬で勝てば勝つほど、「おまえの馬を見る目なんて節穴だなあ」と彼に言われている気がする。

サラブレッドが種牡馬として成功するためには、今の日本競馬でいえば、社台スタリオンステーションに繫養され、優秀な繁殖牝馬をあてがわれなければならないと私たちは錯覚していたが、そうでもなかったのである。たしかにアグネスタキオンもディープインパクトもそうして成功したように思えるが、それは物事の一端を見ているにすぎない。ステイゴールドは決して肉体的に恵まれた馬ではなかったし、サンデーサイレンス直仔が鎬を削る、競争相手の多い、厳しい時代に生まれてきた。彼は決して運が良かったわけでも、環境に恵まれていたから成功したわけでもない。

あえて言うならば、彼は父や母から受け継いだ優秀な遺伝子を持ち、どんなレースでも他馬に負けたくないという強い気持ちで最後まであきらめず走った。その積み重ねが50戦7勝という競走成績であり、種牡馬としての成功につながったのだ。生い立ちや肉体的ハンディキャップや身の周りの環境や運のなさを言い訳にし、成功や挑戦を半ばあきらめ、人生をシニカルに見て努力できない私たちに、ステイゴールドは活を入れてくれる。

「人生は宝くじなんかじゃねえ。Stay gold.」


Photo by Scrap

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