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ローブティサージュの気持ち

Robetissageローブティサージュが京阪杯でゲート入りを拒み、発送委員がムチを数回入れたことが朝日新聞でも取り上げられ、問題になった。あの映像だけを見て、動物虐待だとまで叫ぼうとは思わない。人間よりも10倍ほど大きい馬に対して、ある程度は毅然とした姿勢を持って接するべき役割の人がいることを一般のファンはもう少し知っておくべきだが、今回はメンコを被せれば素直にゲートに入るはずのローブティサージュに対する発送委員の対応がまずかったことも確かである。ムチを使うことで言うことを聞く馬もいれば、メンコを被せることで従順になる馬もいるということ。そして、映像に見事に収められてしまった最後のひとムチは余計だった。

この問題について考えるとき、私たちがまず想いを寄せるべきなのは、ローブティサージュの気持ちである。発送委員にムチを入れられたことは問題の一面であり、表面でしかなくて、その背景にはもっと暗い闇がありそうな気がするのだ。そもそも、なぜローブティサージュはあれほどまでにゲート入りを拒んだのだろうか。普通にゲートに入っていれば、発送委員もムチを振るってまで馬を追い込むことはしなかったし、今回のようなことは起こらなかったはず。順番に考えていくと、ムチを振るわれる前からすでに、ローブティサージュはレースで走りたくなかったことになる。

レースや競走そのものが嫌いな馬もいるし、体調が優れないゆえに今回は走りたくないという馬もいる。肉体を極限まで酷使して走りたい馬など、ほとんどいないと言ってよい。あのメジロマックイーンがでさえ、ライスシャワーに負けた天皇賞春で枠入りを拒んだことは有名な話である。頭が良い馬ほど、これから自分の身に何が起こるのか知っているものだ。苦しい思いをするのが分かっているからこそ、ゲートに入ろうとしない。それは実に分かりやすい意思表示であり、私たちはまず彼ら彼女らの気持ちを理解しようとしなければならない。

ローブティサージュはたまたま京阪杯でゲート入りを拒んだのではなく、普段は馬場入りもゴネるそうだ。そういう話を聞くと、そもそもローブティサージュは競馬をすること自体に嫌気が差していたということだと思う。そういう反応を示し始めたのはいつ頃からなのか。そもそも原因は何なのか。もし原因があるとすれば、それを取り除いてあげることはできないのか。普段からの接し方を変えたり、調教の強弱を調整することで改善することもあるし、適度に休ませることで、肉体的にも精神的にもリフレッシュさせることもできる。

ムチを使って強制的に馬をゲートに誘導することは動物虐待であって、嫌がる馬を無理に走らせ続けることが動物虐待ではないという理はない。その線引きは実に難しく、サラブレッドが経済動物でもある以上、私たちは常に人間のエゴと馬の気持ちとのバランスを取っていく必要がある。競馬を愛することと馬を愛することがイコールで結ばれるのが理想であり、そのためにも私たちは、目に見える一面からだけではなく、その背景にあるものも含めて、馬が人間に語りかけてくる心の声に耳を傾けなければならないのだ。

Photo by M.H

参考エントリ
「ガラスの競馬場」:馬を止めるのも騎手の仕事

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