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弥生賞を当てるために知っておくべき2つのこと

Yayoi

■1■弥生賞と皐月賞は連動しない
皐月賞と同じ舞台で行われるものの、過去10年間で弥生賞と皐月賞を連勝したのはディープインパクト、そしてヴィクトワールピサという2頭の名馬のみ。その理由について、ラップタイプから考察してみたい。

弥生賞の過去10年間のラップタイムは以下のとおりである。

12.6-11.8-12.1-12.2-12.2-12.3-12.5-11.6-11.3-11.9(60.9-59.6)S
13.0-11.9-12.5-12.3-12.5-12.6-12.5-11.6-11.4-11.9(62.2-60.0)S
12.4-11.3-12.5-12.6-12.4-12.0-12.7-12.3-11.7-11.6(61.2-60.3)S
12.3-10.6-11.6-12.8-12.5-12.6-12.9-11.8-11.7-11.7(59.8-60.7)M
12.2-11.5-12.4-12.8-12.9-12.5-12.3-11.7-11.3-12.2(61.8-60.0)S
12.4-11.3-12.2-13.0-13.1-13.0-12.7-12.2-11.5-12.1(62.0-61.5)M
12.8-11.3-12.2-12.8-12.6-12.4-12.2-11.8-11.2-11.7(61.7-59.3)S
12.5-11.0-12.7-13.5-13.4-13.1-12.3-11.9-11.5-12.0(63.1-60.8)S
12.9-11.4-12.2-12.4-12.7-12.5-11.7-11.6-11.4-12.2(61.6-59.4)S
12.4-11.0-12.2-12.8-12.8-11.9-11.9-12.3-11.9-12.2(61.2-60.2)S

前半3ハロンとラスト3ハロンを除いた中盤のラップに焦点を当ててみると、軒並み12秒台が続いていることが分かる。以前、中山金杯の分析をした際、皐月賞は中盤が緩むという指摘をしたが、それに輪をかけるように弥生賞はその傾向が顕著である。

そこで、今度は、過去10年間の皐月賞のレースラップを見てみたい(東京競馬場で行なわれた2011年は除く)。

12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(61.7-59.5)S
12.5-11.3-12.4-12.9-12.6-12.6-12.2-11.4-11.5-11.8(59.7-58.9)M
12.1-11.0-11.9-12.2-12.4-12.6-12.5-11.8-11.4-11.3(59.6-59.6)M
12.3-11.3-12.0-12.1-12.3-12.0-12.2-11.8-11.7-12.2(60.0-59.9)M
12.2-11.2-12.1-11.6-12.3-12.3-12.3-11.6-12.0-12.3(59.4-60.5)H
12.2-11.5-12.5-12.6-12.6-12.8-12.3-11.2-11.5-12.5(61.4-60.3)S
12.1-10.8-11.9-12.1-12.2-12.1-11.9-11.8-11.7-12.1(59.1-59.6)M
12.1-10.9-12.4-12.1-12.6-12.5-12.3-12.1-11.8-12.0(60.1-60.7)M
12.4-11.1-12.3-11.9-11.4-11.6-12.2-12.7-13.6-12.1(59.162.2)H
12.0-10.6-11.5-11.6-12.3-12.1-12.0-11.9-12.0-12.0(58.0-60.0)H
12.3-11.4-11.9-11.9-12.7-12.1-12.0-11.6-11.7-12.0(60.2-59.4)M

中盤が緩む傾向は同じだが、ひとつだけ弥生賞との相違点がある。それはレース全体のペースである。どちらかというとミドル~ハイペースになる皐月賞に比べ、弥生賞はどちらかというとスローに流れやすい。つまり、弥生賞はスタミナの裏づけがないマイラーでも乗り方次第ではこなせてしまう可能性があり、ラスト3ハロンの瞬発力勝負に強い馬に圧倒的に有利なレースになるということである。過去、サンデーサイレンス産駒の活躍が目立ったのもこれゆえである。

結論としては、弥生賞の勝ち馬を見つけるためには、皐月賞を占うレースであるにもかかわらず、皐月賞では勝てそうにないタイプの馬を探すべきということである。どういう馬かというと、サンデーサイレンスの血を受け継いだ、スピードタイプの瞬発力に優った馬である。

■2■勝ってほしくないレース
弥生賞は勝って欲しくないレースである。このレースを勝つということは、素質や能力、そして完成度が高いということの証明ではある。しかし、今後のクラシック戦線を考えると、敢えて勝たなくても(勝とうとしなくても)良いレースなのではないだろうか。

弥生賞は皐月賞と同じ中山2000mという舞台で行われるが、弥生賞を勝って、そのまま皐月賞をも制する馬は思いのほか少ない。その世代の素質馬が集結するハイレベルの弥生賞を制した馬は、普通に考えて、弥生賞と同じ走りができれば皐月賞はほぼ当確である。それでも、過去10年で弥生賞と皐月賞を連勝した馬は、ディープインパクトとヴィクトワールピサの2頭しかいない。

なぜこのような現象が起こるかというと、以下の2つの理由が考えられる。

1、弥生賞はかなりの状態に仕上がっていないと勝てない
2、弥生賞と皐月賞では馬場状態が異なる

クラシックを狙う有力馬が一堂に会する弥生賞は、当然のことながら、中途半端な仕上がりでは勝つことはできない。弥生賞を勝つためにはかなりの仕上げを施さなければならず、本番前に仕上げられた(仕上がってしまった)馬は、本番に向けて下降線を辿ってしまう。サラブレッドのピークはそれほど長くない。つまり、弥生賞を勝つために仕上げてしまうと、そのあとが続かないということである。また、それまでは楽な相手と楽な競馬しか経験してこなかった馬が、弥生賞で初めて厳しいレースを強いられるので、その肉体的、精神的な反動が次のレースで噴出してしまう。

その典型的な例は、平成12年の弥生賞を制したフサイチゼノンではないか。田原成貴元調教師と関口オーナーの間で一悶着あった馬であるが、フサイチゼノンは弥生賞の時点で既に仕上がってしまっていた。田原調教師はフサイチゼノンにかなりの素質を感じていただろうし、初年度である厩舎を盛り上げるためにも、弥生賞も勝って本番に臨みたかったに違いない。

しかし、その勝ちを焦る気持ちが、フサイチゼノンを追い詰めてしまったのだ。肉体的にも精神的にもピークを過ぎてしまったフサイチゼノンは、もはや皐月賞に出走する状態にはなかった。関口オーナーに相談をしなかったのは田原元調教師の落ち度だが、出走を取りやめたのは英断であったと思う。

もうひとつの理由としては、弥生賞が中山開催が始まってすぐの比較的良い馬場で行なわれる(それでもやや重い)のに対し、皐月賞は見た目こそ悪くなくとも、かなり芝が重くなってきている馬場状態でのレースとなるからである。極端にいうと、弥生賞は軽いスピードと瞬発力を生かした馬が勝ちやすいのに対し、皐月賞はパワーとスタミナが求められるということだ。この1ヶ月間で、勝馬に問われる適性が180度違ってくるのだから、勝ち馬が同じでないことにも納得がいく。

本番のクラシックで力を出し切ってほしいという思いを込めて、弥生賞は勝ってほしくないレースなのである。2009年はロジユニヴァースが弥生賞を勝ち、本番の皐月賞で惨敗をしてしまった。ロジユニヴァースの弥生賞は決して厳しいレースではなかったが、陣営の思いとは裏腹に仕上がってしまっていたのだろう。皐月賞惨敗後、奇跡的なV字回復を遂げてダービーを制したので結果として良かったが、本番のクラシックにおける体調は万全とは言えなかった。

2010年のヴィクトワールピサは弥生賞を勝ち、皐月賞をも制したが、本番の日本ダービーでは不思議な凡走をしてしまった。これも1の理由とつながってくる。弥生賞でかなりの仕上がりにあって、しかも皐月賞も勝つということは、体調のピークが皐月賞にあったということ。たとえ皐月賞を勝つことができても、あくまでも目標が日本ダービーということであれば、弥生賞は勝ってほしくないレースということに変わりはない。

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Comments

治郎丸さん
こんにちは。
新聞とにらめっこしても今日はなかなか予想ができないです。
先程オリエンタルアートが亡くなったとニュースが入りましたが 運命的とゆうのかなぁ
まるでステイゴールドのあとを追いかけていくかのように旅立ってしまいました。
アロマカフェの母カリーナカフェや シニョリネッタの母シニョリーナの話を思い出します。
きっとオリエンタルアートもステイゴールドに恋をしていたんだと…。
この2頭の血を継ぐ馬が50年たっても100年たっても繋がっていてほしいです。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | March 08, 2015 at 01:19 PM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

こんにちは。

シニョリーナを知っているなんて通ですね。

命あるものは有限ですが、無限のつながりがあります。

偶然で1頭の名馬を出すことはあっても、何頭も出したのですから偶然ではなかったのだと思います。

オルフェ―ヴルの産駒たちの活躍は楽しみですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 09, 2015 at 12:16 PM

治郎丸さん
こんばんは
カリーナカフェでなくてカリーノカフェでした。
何がきっかけか忘れましたが アロマカフェについて調べたことがあってその流れでシニョリーナの記事を目にしました。
カリブカフェという馬がいて カリブカフェは種牡馬になるような成績は残してなかったんですが、馬主さんの思い入れもあり 種牡馬入りすることになりました。そして初めてのお嫁さんに選ばれたのがカリーノカフェでした。カリーノカフェも繁殖としてではなく 乗馬に転用するような馬だったそうです。アロマカフェは父こそマンハッタンカフェだが カリブカフェあってこそ いまここに存在しているのだ。というような記事を見て すごく惹かれました。
もしも内村氏が「ヒサトモの血をひく馬をすべて保護しよう」そう思わなければトウカイテイオーはこの世に誕生していなかったかもしれません。もしもトウカイナチュラルでなく トウカイローマンだったら…たとえ同じく内村氏が保護した同じヒサトモの血をひく牝馬であったとしてもトウカイテイオーという馬は存在してないんですよね。
もしもエミネントシチーをクラブの意向にしたがっていたら 彼女はG1馬の母になる前にこの世を去っていたかもしれません。
もちろん いつも起こるのが奇蹟だけとは限りません。
キーストンがもし 阪神大賞典でなく 有馬記念に出走していたら…
人間の優しさにより あえて選んだ道が馬を悲劇に導いてしまうこともあるのが競馬であって それは人生も同じことだと思えてくるのです。
悲劇なんか見たくはないけど 何が起きても それを見届けるのが競馬であり それを生き抜くのが人生だと いまの私は思っています。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | March 09, 2015 at 09:34 PM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

アロマカフェはそんな経緯で誕生したのですね。

トウカイテイオーやメジロマックイーンもそうでしたが、馬主やブリーダーのこだわりやロマンで生産ができた時代には、今にはないドラマが生まれますね。

サラブレッドは経済動物ではありますが、だからといって金太郎飴のような馬ばかりではつまらないですし、奇跡なんて見られるはずもありません。

確かに日本の競馬には古き良き時代というものがあって、それでも今の競馬を生きる私たちは、また新たな競馬の良さを見つけていくしかないのだと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 11, 2015 at 11:27 PM

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