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京都芝3200m

Kyoto3200t

天皇賞春の専用コース。スタートしてから第1コーナーまでの距離は417mと長く、しかも緩やかな上りになっているため、無謀な先行争いはほとんどない。1週目は、ゆっくりと3コーナーを頂上とする坂を上って下りる。そして、スタンド前では馬を落ち着かせて、折り合いをつけることに専念する。もしスタンド前直線のペースが速くなった場合は、向こう正面が遅くなり、スタンド前直線のペースが遅くなった場合は、向こう正面が速くなる。ペース配分が重要になってくるため、騎手の腕の差が如実に表れるコースである。

菊花賞が行われる京都3000mとは距離的には200mしか違わないが、菊花賞がAコース(幅員35m)で行われるのに対し、天皇賞春はDコース(幅員25m)で行われる。そのため、天皇賞春が行われるDコースの方が4コーナーの回りがきつくなり、差し馬は外を回さざるを得ない。よって、菊花賞に比べ、天皇賞春は逃げ・先行馬がペース次第では逃げ残ってしまい、人気の差し馬が届かない可能性が高い。

道中のどこかで一旦息を入れることになるため、坂を下りながらのラストの800mのラップは速く、上がりの競馬になりやすい。それでも実質的には3200mを走るのであって、やはりスタミナがないと勝ち切ることはできない。瞬発力とスタミナの両方を兼ね備えていないと苦しい、紛れの少ない、実力が反映されやすいコースである。

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競走馬のスタミナと人間の薄毛は父よりも母の父の影響大

Rensai006

春の天皇賞はスタミナがなければ勝つことができない。とはいえ、現代の日本競馬では3000m級の距離のレースは数限られており、また古馬のG1級のメンバーで争われるようなレベルの高い長距離レースはほとんどないため、各馬の絶対的なスタミナの有無を見極めるのは案外難しい。実際のレースや走りからは見極めにくいとなれば、私たちに残された手がかりは血統、具体的に言うと、その馬の母の父を見るべきである。なぜなら、スタミナは主に母の父から受け継がれるからである。

スタミナは母の父から伝わることに気づいたのは、私に起こったある2つの非連続な出来事による。ひとつは、2009年の天皇賞春において、アサクサキングス、スクリーンヒーロー、ジャガーメイルといった、母父にサンデーサイレンスの血を持つ人気馬たちが、淀の最後の直線でバタバタと倒れていったこと。勝った馬は父チーフベアハート×母父サッカーボーイという血統構成のマイネルキッツであった。私は2年連続でアサクサキングスに本命を打っていただけに、あまりの無様な負け方に少なからずショックを受けた。そして、サラブレッドの血による支配を感じざるを得なかった。

前述の母父にサンデーサイレンスを持つ馬たちは、馬体だけを見ると、胴部や手脚に伸びがあり、長距離レースを走られそうなスタミナを有しているように思える。だからこそ、人気になったとも言える。実はジャガーメイルは2010年の同レースを制したが、このレースは勝ち馬の上がりが33秒7という、スローペースにおける瞬発力勝負というスタミナを問われない珍しい天皇賞春であった。その翌年は、母父にサンデーサイレンスを持つトゥザグローリーとローズキングダムは1番人気、2番人気に推されながらも、道中で引っ掛かってしまい、直線ではスタミナ切れを起こし、11着、13着と共に大敗を喫した。

日本競馬を席巻し、なお今も産駒の直仔を通して圧倒的な影響を及ぼし続けるサンデーサイレンスだが、唯一の弱点は母父に入ったときのスタミナのなさという点だろう。サンデーサイレンスは基本的にはスピードと瞬発力を伝える種牡馬である。その裏返しとして、母父に入ったときには、ジリジリと走らなければならない、スタミナを問われるレースを苦手とするのだ。

(続きは週刊Gallopにて)

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天皇賞春を当てるために知っておくべき3つのこと

Haruten

■1■真の名馬と真の調教師、そして真の騎手が一体となって
真の王者を目指し、古馬が集結する春の天皇賞。数々の名勝負が演じられ、過去の勝ち馬には歴戦の名馬が名を連ねる。淀の3200mという舞台で勝利するためには、真の実力を持っていなければならない。「スタミナ」はもちろんのこと、高速馬場に対応できる「スピード」、「瞬発力」、そして、「スローペースに折り合える精神力」を備えていることが求められる。このうちのどれか1つでも欠いては、天皇賞春のタイトルを手にすることはできない。もちろん、先天的な資質だけで全てを兼ね備えている馬は滅多にいないので、足りない部分は調教師によって補われる必要も出てくるだろう。

また、長距離戦であるため、騎手の腕も問われる。道中の駆け引き、ペース判断、仕掛けのタイミングまで、騎手がコントロールしなければならない(することができる)要素が多く、騎手の腕の差がレースの明暗を分けてしまうこともある。過去の勝利騎手を見てもらえれば分かるように、いずれも名手と呼ばれるのにふさわしい騎手たちである。

つまり、天皇賞春は「真の名馬と真の調教師、そして真の騎手が一体となって」、初めて勝利することができるレースである。

■2■ステイヤーはピークが長い
ステップレースである阪神大賞典での1着馬と2着馬の、天皇賞春での成績を比較してみると明確な傾向が見て取れる。

阪神大賞典1着馬の天皇賞春での成績【6・0・4・8】
阪神大賞典2着馬の天皇賞春での成績【0・3・1・12】

以下の2点が導き出せるだろう。
1)阪神大賞典での勝ち馬は、本番である天皇賞春の勝ち馬と結びつきが非常に強い
2)阪神大賞典の2着馬が、本番で逆転する(巻き返す)ことは難しい

なぜこのような現象が起こるかというと、「ステイヤーのピークは長い」からである。

ステイヤーはピークの期間が比較的長いため、阪神大賞典での体調を天皇賞春でも維持することができるのである。阪神大賞典を勝った実力馬のピークが続いている以上、力負けしてしまった馬にとって逆転することは難しく、他の路線から余程の有力馬が出て来ない限り、阪神大賞典を勝った馬は本番の天皇賞春をも制する可能性が高いということになる。

■3■極限の仕上がりが求められる
天皇賞春は3200mという距離ゆえに最も苛酷なレースであり、勝つためには極限の仕上がりが求められる。ギリギリまで絞り込むぐらいの調教を施されたピークの状態において、自身の能力を100%発揮することができなければ勝つことはできない。直前の追い切りをさらっと済ませてしまっているような馬では、3200mの長丁場を乗り切ることができるのかどうか不安が残る。もちろん、休み明けの馬にとっても厳しいレースとなるだろう。

■参考として
1、前2走のいずれかで2500m以上のレースを走っていないと×
2、マイネルキッツ、ジャガーメイルを除くと、過去10年間で全ての勝ち馬は4、5歳馬
3、前走成績は5着以内が望ましい

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昨年と比べても力強さが増したディアデラマドレ:5つ☆

★マイラーズC
フィエロ →馬体を見る
海外遠征の疲れを全く感じさせない、ふっくらとした仕上がりで、疲れは癒えた。
やや腹回りに余裕があり、ひと叩きされて良くなるが、現時点でも力は出し切れる。
Pad4star

フルーキー →馬体を見る
まだどことなく幼さを残した馬体で、筋肉のメリハリという点では物足りない。
前駆の力強さに比べて、トモの実の入りが今一歩で、良くなるのはもう少し先か。
Pad3star

ディアデラマドレ →馬体を見る
十分な休養が取れたことで、昨年と比べても力強さが増し、毛艶も良くなった。
精神的にもリフレッシュされたようで、顔つきも精悍になり、ここでも期待できる。
Pad5star

サンライズメジャー →馬体を見る
手脚がスラリと長い割には、胴部には実がしっかりと詰まって、ベストはマイルか。
馬体的にも血統的にもダートが合いそうで、芝でも力の要る馬場になれば。
Pad3star

★フローラS
ディアマイダーリン →馬体を見る
まだ皮膚に厚みが残っているが、いかにもパワーがありそうな重厚な馬体を誇る。
顔つきを見ると、素直な気性の持ち主であることが伝わってきて、距離に不安はない。
Pad3star

リアンドジュエリー →馬体を見る
毛艶も冴えていて、馬体全体のシルエットも素晴らしく、前後のバランスが非常に良い。
胴部がやや詰まっているので、2000mの距離が疑問だが、体調自体は文句なし。
Pad4star

シングウィズジョイ →馬体を見る
前駆が勝っていて、パワーがありそうだが、馬体全体としては未完成なところがある。
やや腰高でもあり、どちらかというとスピードタイプで、距離延長がプラスに働くかどうか。
Pad3star

アスカビレン →馬体を見る
やや頭が高い立ち姿であり、前駆に力強さがあることからも、スピードタイプの馬体。
気性的には大人しいのだろうか、闘争心に欠けるのか、何とも言えない表情をしている。
Pad3star

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ウインズ新白河での思い出

Jiromaru

スティンガーがサンスポ4歳牝馬特別を勝った年ですから、16年も前のことです。この年のゴールデンウィークに、私はゴルフ場に行くのと兼ねてウインズ新白河を訪ねることを計画しました。ウインズが先かゴルフ場が先かはっきりとは覚えていません。おそらく新白河にウインズがあるということで、福島のゴルフ場行きを決めたのだと思います。今であれば、即PATで馬券を先に買い、レースはあとからレーシングビュアーで観ることもありますが、当時は締め切り5分前のチャイムが鳴るまで考え詰め、その場で馬券を買い、リアルタイムでレースを観なければ気が済みませんでした。それぐらい、この時期の私は競馬にのめり込んでいたのです。

その当時、普段は新宿か後楽園のウインズで馬券を買っていた私にとって、初めて足を踏み入れたウインズ新白河はとても広く感じたことを覚えています。面積も広かったですし、人もさほど多くなく空間としてもゆったりとしていました。何といっても、ウインズの中に子どもが遊べるスポット(遊具など)があったことを驚きと共に記憶しています。鉄火場のような新宿や後楽園と違い、のんびりとした雰囲気があり、家族連れで来ている人々も多く見られました。そんな中でも、ひとり私は真剣に予想していました。もちろん、そんな殺気を表に出すことなく(目を血走っていたかもしれませんが)、静かに頭を沸騰させていたのでした。

最後の最後に、私が買ったのはスティンガーの単勝。なけなしの3万円を窓口に入れて、新白河までの新幹線代とゴルフ代をチャラにする算段でした。スタートが切られ、ウインズ内にある大きなオーロラビジョンに映るレース実況を、家族連れの競馬ファンたちと一緒に観戦しました。スティンガーは岡部幸雄騎手を背に最高に上手く立ち回り、いよいよ最後の直線で馬群から抜け出しました。しかし、フサイチエアデールが執拗に食い下がり、勝負のゆくえはゴール寸前まで分からず、激しい攻防が続きました。そして、私の感情がついに爆発したのは、ゴール前で岡部幸雄騎手が右ムチをスティンガーの首に打ち付けるように落としたその瞬間でした。

「オカベ!」

私の身体の奥底から、自分でも知りえなかったマグマのような熱い感情が、ウインズ新白河に響き渡るような大きなひと声として沸き起こったのでした。レースの最高の見どころであったにもかかわらず、周りにいた競馬ファンたちはあまりの大声に驚き、一斉に私の方を振り向きました。時間が1秒ほど止まったのを身体感覚として記憶しています。今から考えてみるとお恥ずかしい話ですが、それよりも感情を表現するのが苦手な私の中にも、あれだけの熱い何かが眠っていたことに、ひそかな嬉しさを感じたものでした。もう時効だと思いますので、ここに告白しておきます。あの日、ウインズ新白河にいた競馬ファンの皆さま、大きな声を出して驚かせてしまい、大変申し訳ありませんでした。

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フローラSを当てるために知っておくべき3つのこと

Floras

■1■前走500万下でキャリア3戦以上
桜花賞よりも距離的にはオークスに近いはずだが、フローラSの勝ち馬は過去10年間でわずか1頭しかオークスを勝ったことがない。桜花賞に間に合わなかった馬たちの最終戦であり、現時点では桜花賞組に比べて完成度が劣るからである。陣営もその辺りは承知で使ってくるはずで、オークス前のトライアルをひと叩きというより、とりあえずここを勝つことに目標を定めてきている馬が多いはず。

そこで狙ってみたいのは、前走が500万下を勝ちあがってきた馬と、フラワーCで惜敗を喫してしまい、目標を桜花賞からオークスに切り替えた馬の2パターンである。ただし、いくら前者の500万下組みであっても、キャリアが浅すぎてはいけず、最低3戦はあるべきだろう。

■2■意外と人気馬が強い
過去10年の人気別のレース着順をみてみたい。

1番人気 【5・1・0・4】 連対率60%
2番人気 【2・2・1・5】 連対率40%
3番人気 【0・1・2・7】 連対率10%
4番人気 【1・2・3・5】 連対率30%
5番人気 【0・0・0・10】 連対率0%

1番人気の馬から人気順に好結果を出しているように、意外と荒れない。3歳牝馬同士のトライアルということで荒れそうなイメージはあるが、人気馬が強い。好素質馬がここを勝つことを目標に仕上げてきたら、たとえ人気でも素直に狙ってみるべき。

■3■内枠を引いた馬
過去10年における枠順(内と外)別の着順は以下のとおり。

1~4枠 【6・7・3・62】
5~8枠 【4・3・7・80】

1~4枠の内枠が外枠よりも好成績を残している。スタートしてからすぐに第1コーナーに至ってしまう東京の2000mというコース設定を考えると、外枠よりも内枠の方がスムーズに先手を取ることができる。このレースの勝ちポジは前から10番手以内のできれば内なので、外枠からだとそのポジションはどうしても走りづらい。逆に8枠からは3頭の勝ち馬が出ているのは、どうせ外なら邪魔されずに自分のリズムを貫ける大外の方が良いということである。

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データも大切だが、ときには人を見てみるのも面白い。

Rensai005

競馬はサラブレッドと人間が織り成すドラマである。主役は馬であり騎手であり、彼らが表舞台に立って演じる数分間のドラマを、私たちは観戦し、馬券を買って応援することができる。私たちの目に焼き付いて、記憶に残るのは、華やかな活躍を見せてくれた名馬や名ジョッキーたち。しかし、その光の陰には、1勝も挙げることなくターフを去った馬たちや名を知られることなく鞭を置いたジョッキーらが存在する。彼らは能力がなかったわけではなく、たまたまチャンスを掴み損ねたにすぎない。騎手としてはむしろ表舞台に立たない、という選択をした者もいるだろう。彼ら裏方の存在に支えられ、名馬や名騎手たちは光り輝くのだ。

平成23年に厩舎を開業した菊沢隆徳調教師と千田輝彦調教師は、その典型である。どちらも表舞台で活躍することはほとんどなかったが、知る人ぞ知る職人ジョッキーであった。かつて本誌上で行われた横山典弘騎手と武豊騎手との対談の中で、彼らが2人について言及したことがある。

横山典弘(以下、敬称略)
「中には職人みたいなオレらより馬を知っているジョッキーはいる。そういう騎手が調教にまたがって『この馬は走る』って言うと、ほとんど走る。菊(菊沢隆徳騎手)なんかそうだし、関西でもチー坊(千田輝彦騎手)とか」
武豊
「彼らの言うことは本当に信頼できる」
横山典弘
「ホントかよ、こんな血統でか?なんて馬が実際に走るんだから。だから競馬で勝っている人間が素晴らしいジョッキーと思われているかもしれないけど、それは違う。そういう表に出ないけど、素晴らしいジョッキーはたくさんいるよ」

菊沢調教師と千田調教師は、競馬学校を同じ時期に卒業している。同期の仲間には、岸滋彦元騎手、内田浩一元騎手、そして故岡潤一郎騎手などもいた。運命に翻弄された世代とも言えるかもしれない。菊沢調教師と千田調教師だけではなく、岸元騎手や内田元騎手も素晴らしいジョッキーであった。ほんの僅かな展開の綾や手綱捌きの違いで、もしかしたらトップジョッキーへと登り詰めていた可能性を秘めていた男たち。

(続きは週刊Gallopにて)

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エアグルーヴからつながる肉体と精神の強さの上に

Satsuki05
皐月賞2015―観戦記―
高速決着を予期してか、ひとつでも上の着順を狙ってか、横山典弘騎手とクラリティスカイが思い切って先頭に立った。逃げ宣言をしていたスピリッツミノルは見せ場なく、キタサンブラックが番手につけ、前半1000mが59秒2、59秒0という平均ラップが刻まれた。馬場を考えると前に行った馬に有利だが、ある程度流れたことで、後ろから行った馬でも力があれば届かなくはないというレース。最高に上手く立ち回ったリアルスティールが抜け出したかと思った瞬間、外を回ったドゥラメンテが規格外の末脚で突き抜けた。

勝ったドゥラメンテは共同通信杯以来という、昨年のイスラボニータと同じローテーションであったが、きっちりと仕上がっていた。中山競馬場の急坂で先行馬たちの脚が上がるところを、この馬はさらに加速したことで、あのような他馬が止まって見えるような驚愕の末脚となった。気性的に難しさを秘めている馬であるが、今回はそれが全て爆発力に転換されたような走り。エアグルーヴからつながる肉体と精神の強さの上に、母父サンデーサイレンスのスピードが載り、それを父キングカメハメハが補強した煌びやかな血統が如何なく発揮された。とはいえ、馬体的には幼さが残るし、これだけの末脚を使った反動も考えると、日本ダービー馬となれるかどうかは未知数である。

M・デムーロ騎手は初騎乗ながらもドゥラメンテの良さを見事に発揮させた。スタートしてから、無理に行かせず、周りに馬がいないスポットを走らせることができたことで、後半の爆発力を引き出した。馬を動かせるジョッキーがきっちりと仕上がった馬に乗ると、ここまで馬が反応するのかという競馬であった。最終コーナーの粗相は確かに危なかったが(もう少しゆっくりと外に出すべきだった)、ドゥラメンテ自身が初めての右回りだったことや競馬ファンの大歓声に驚いて、外に大きく逃げようとしたことから突発的に起こったものであり、故意ではない。周りのジョッキーたちが上手く交わして大事には至らなったが、厩舎サイドとしては後味の悪い勝利となった。

敗れたものの、リアルスティールは次につながる競馬をしていた。前走のスプリングSは、道中で苦しがって、レースから逃げたがっていたが、今回はそういう面が薄れていた。序盤こそ行きたがったものの、レースに集中し、最後までしっかりと走れていた。デビューしてから3戦目ぐらいが競走馬にとっては辛い時期だが、それを乗り越えつつあるということだろう。以前はコロンと映っていた馬体も、ここに来て少しずつ長さが出て、クラシックを迎えて成長してきている。日本ダービーに向けての期間をどう過ごすかで、最高の結果が出る可能性がある。日本ダービーに王手をかけたのは、実はこの馬である。

キタサンブラックは浜中俊騎手の積極的な騎乗に導かれ、力を出し切っての3着。パドックで最も良く見えたのはこの馬であり、手脚がスラリと伸びて、線の細さこそあれ、ここにきて馬体が大きく成長してきている。父ブラックタイドはディープインパクトの全兄であり、この種牡馬にもクラシックを前にグンと力をつける遺伝子が埋め込まれているのだろうか。キタサンブラックは器用なレースができる、レースセンスの高い馬だけに、勝てるかどうかは別にして、日本ダービーでも楽しみな存在ではある。

1番人気のサトノクラウンはパドックからいつになく入れ込んでおり、馬体こそ仕上がっていたが、精神的に追い込まれていた。これが負けていない馬ゆえの怖さであり、中5週というレース間隔の難しさである。先週のルージュバックもそうであったが、人間サイドの負けてはならないという過剰なプレッシャーが知らぬうちに馬にも伝わってしまうということだ。それに輪をかけて、最終コーナーで蛯名正義騎手のダノンプラチナに外に弾かれ、その次にはM・デムーロ騎手のドゥラメンテに進路をカットされて万事休す。トップスピードに乗る時点でこのようなアクシデントに巻き込まれてしまうと、馬に掛かる負担は想像以上に大きく、簡単に脚を失ってしまうものだ。巻き返しが可能かというと難しいだろう。皐月賞に向けてきっちりと仕上げられて(マイナス8kg)敗れてしまった馬を、次までに立て直すのは案外難しい。

最後に、今年の中山競馬場は芝の発育や排水溝の関係上、8日目にしてもパンパンの馬場で行われた。走りやすいのは良いことだが、勝ちタイムや勝ち馬の上がり時計を見ると、やや作り込まれた感が否めない。必要以上に馬場(タイム)をつくることに意味はない。2002年にノーリーズンが勝ったときと同じような違和感を覚えた。つくられた馬場で勝ってしまった馬は、その反動から故障して次のレースに出走できない、もしくは次のレースで凡走してしまうものだ。技術や品種改良の発達は良きことだが、あまり人工的に競馬をいじってはならない。

Photo by 三浦晃一

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重さの中に軽さが同居するサトノクラウン:5つ☆

サトノクラウン →馬体を見る
前走時は馬体に余裕があったが、本番に向けてきっちり仕上がってきた。
重さの中に軽さが同居し、筋肉のメリハリも素晴らしく、文句をつけようがない。
Pad5star

リアルスティール →馬体を見る
共同通信杯時はコロンとして、幼さを残していたが、ここに来て大きく成長してきた。
筋肉量も豊富で、毛艶も素晴らしく、5つ☆に限りなく近い仕上がりにある。
Pad45star

ドゥラメンテ →馬体を見る
同厩のサトノクラウンに比べると、首の位置がやや高く、トモの肉付きが物足りない。
それでもさすが素質馬らしく、筋肉には柔らかみがあって、久々を感じさせない。
Pad3star

ダノンプラチナ →馬体を見る
芦毛ということを差し引いても、筋肉のメリハリが感じられず、成長に乏しい。
2歳時の方が筋肉に弾力感があったし、表情もやや自信を失っているように見える。
Pad3star

ブライトエンブレム →馬体を見る
やや重くごつさが目立つ馬体だが、筋肉に力強さがあって、いかにもパワータイプ。
表情から気性の難しさが伝わってくるように、この馬はスムーズに走れるかどうか。
Pad3star

キタサンブラック →馬体を見る
スマートといえばスマートだが、線の細さが残っていて、やや幼さを感じさせる馬体。
気性の大人しい馬なのだろうが、闘争心が表情から伝わってこないのが気がかり。
Pad3star

グァンチャーレ →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入って、スピードがありそうなマイラータイプの馬体。
毛艶も良く、筋肉のメリハリもあるが、パワーという点ではあと一歩か。
Pad3star

ミュゼエイリアン →馬体を見る
腰が低く映るように、トップスピードに乗るのに時間が掛かるタイプの馬だろう。
それでも筋肉のメリハリや毛艶は素晴らしく、力強さはこのメンバーでも上位の存在。
Pad4star

ベルーフ →馬体を見る
しっかりと立てているが、馬体全体のシルエットには幼さが残り、成長途上の馬体。
顔つきからは賢さと素直さが伝わってくるように、この先が楽しみな1頭になる。
Pad3star

タガノエスプレッソ →馬体を見る
筋肉に十分なメリハリがあり、全体的によく鍛えられていることが伝わってくる。
腹周りはやや寂しいが、胴部には長さがあり、このぐらいの距離に適性があるはず。
Pad3star

クラリティスカイ →馬体を見る
父クロフネの影響が出てきているのか、2歳時に比べると、馬体全体が大きくなってきた。
パワーが増してはいるが、その分、芝の軽さを問われるレースでは不安を残す。
Pad3star


Satsuki05wt

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春のG1戦線を占う(牡馬クラシック路線)後編

Realsteal

以下、スプリングSが終わった直後に書いた内容だが、掲載するタイミングを失してしまっていた。「春のG1戦線を占う(牡馬クラシック編)」を皐月賞の直前にアップするのは気が引けるが、せっかくリアルスティールとダノンプラチナについて述べているので、参考にしてもらえれば幸いである。

スプリングSが終わり、牡馬クラシックの勢力図がほぼ確定してきた。日本ダービー以降は別の話だが、日本ダービーまでのクラシック戦線を勝ち抜くには、現時点で競走馬として完成していなければならず、能力や才能が溢れんばかりに示されていなければならない。その片鱗が見える程度では、日本ダービーを勝つのは難しいということだ。もちろん、今から皐月賞まで、また皐月賞からダービーまでの間に大きく成長を遂げる馬もいるが、この段階においてはっきりとしたベースがあってこそ。そういった意味において、皐月賞や日本ダービーを勝つ馬は私たちのすぐ目の前にいるということである。

スプリングSは例年になくレベルの低いレースであった。最近の傾向としては、弥生賞よりもスプリングSの方がスピードとスタミナの絶対値を問われる、トライアルとしては相応しいレース内容になることが多かったが、今年は逆となった。弥生賞の方がレベルの高いレースであり、少なくとも皐月賞においては弥生賞組を重視して考えるべきであろう。スプリングSを勝ったキタサンブラックは、スローペースの流れに2番手で乗り、絶好のポジションを走って勝利した。北村宏司騎手の好騎乗が光ったものの、再度同じようなレースができるとは言い難く、本番で問われるスピードやスタミナがあることを証明したレースではなかった。馬体に幼さを残している馬であり、レースセンスの高さは評価するとしても、クラシックを勝てるほどの器ではない。

2着に敗れたリアルスティールは負けるべくして負けた、いや負けるべきレースを負けたと言ってよい。八百長ということではなく、陣営としては負けても良いと思っていたレースではないだろうか。日本ダービーという大目標を考えると、この段階で馬を追い詰めて勝っても、最後まで持たない。かといってレース間隔が開きすぎるのも調整が難しいので、レースを使いつつ体調を保ち、なおかつ馬がレースで経験を積むことができれば最高である。そんな思惑が良い形で結果となったレースであり、対外的にはどうコメントするか分からないが、陣営としては負けて納得のレースであったに違いない。さすが矢作調教師という負け方であった。

陣営にとっての唯一の不安材料としては、リアルスティールが道中で苦しがる姿を見せていたことだ。共同通信杯ではスタート直後に少しだけバカついたに済んだが、今回のスプリングSでは随所にレースを嫌がって、首を上げる素振りを見せていた。良い解釈としては、完全に仕上げていない余裕残しの馬体ゆえに馬が苦しがっている、悪い解釈としては、この馬の潜在的に持つ気性がレースを重ねるごとに表面化してきているということだ。今の段階では、どちらとも言えないが、前者であれば、リアルスティールがクラシックホースになる可能性は高く、後者であれば、今後のレースで(能力は高くとm)かなり操縦の難しい馬となるだろう。

2歳王者であるダノンプラチナは好仕上がりで臨み、道中もしっかりと折り合って完璧なレースをしたが、最後のひと伸びを欠いて3着に敗れた。ステップレースとしては最適に思えるが、3歳になっての成長がいまいち感じられず、叩いて大きく変わりそうな印象は受けなかった。もちろん、ひと叩きされて、次の皐月賞に向けて上向いてくるだろうが、ダービーまで突き抜けてしまうような強さが見られなかった。負けて強しという内容ではなかったということだ。今年こそ蛯名正義騎手がダービージョッキーになるかもしれないと考えていたが、一旦白紙に戻さなければならない。陣営にとっても、期待外れの負け方であり、ここからどう巻き返していくのかという難題が残された。

Photo by M.H

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中山芝2000m

Nakayama2000t1

スタンド前の直線からのスタートとなり、第1コーナーまでの距離は405mとやや長め。スタート後150mぐらいの地点から上りにかかり、1~2コーナーの中間まできつい傾斜は続く。そのため、前半はそれほど速いペースにはならない。さらに、2コーナーから向こう正面まではなだらかな下りで、3コーナーからは坂下にかけて急に下る。その勢いをつけて最後の直線の坂を駆け上がるため、先行した馬も容易には止まらず、後ろから行った馬は苦戦を強いられる。

かといって、スピードだけで押し切れるわけではない。皐月賞は開催最終日に行われるため、ある程度馬場が柔らかく力の要る状態になっていることが多く、スタミナとパワーの支えがない馬は、最後の直線で脱落してしまうことになる。

勝負どころの3~4コーナーは、典型的なスパイラルカーブで、後ろから差を詰めるのが難しい。また、ぎゅうぎゅうの団子状態で回ることになるため、下手をすると内で揉まれ込んでしまう馬も出てきたり、外を回された馬はかなりの距離ロスを強いられる。

このように、基本的には内を通った先行馬に有利なコースであるが、小回りのコーナーを4つも回るという設定のため、かなりの紛れが生じるのも事実である。騎手の技量が問われるコースとも言える

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皐月賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Satsuki1

■1■弥生賞の勝ち馬は、皐月賞では勝てない!?
弥生賞は皐月賞と同じ中山2000mという舞台で行われるが、弥生賞を勝って、そのまま皐月賞をも制する馬は思いのほか少ない。その世代の素質馬が集結するハイレベルの弥生賞を制した馬は、普通に考えて、弥生賞と同じ走りができれば皐月賞はほぼ当確である。それでも、私が競馬を始めてからの25年間で弥生賞と皐月賞を連勝した馬は、アグネスタキオンとディープインパクト、ヴィクトワールピサの3頭の名馬しかいない。なぜこのような現象が起こるかというと、2つの理由が考えられる。

ひとつは、弥生賞と皐月賞では馬場状態が全く異なるからである。

皐月賞における、過去12年のラスト3ハロンの上がりタイムを並べてみたい(府中で開催された平成23年は除く)。

平成14年 35.8
平成15年 34.7
平成16年 34.4
平成17年 34.5
平成18年 35.7
平成19年 35.9
平成20年 35.2
平成21年 35.6
平成22年 35.9
平成24年 38.4
平成25年 35.9
平成26年 35.3

平成15年から17年は速い上がりの瞬発力勝負になっているが、それ以外の年は終いが掛かる競馬になっている。これは皐月賞時の馬場によるところが大きい。皐月賞当日の馬場は、最終日ということもあって、全体的に重くなっているのが通常である。特に、最も良く使われる3~4コーナーにかけては、見た目以上に馬場の傷みは激しく、当然力の要る馬場となっている。

つまり、手脚の軽い、瞬発力で勝負したい馬にとっては足かせとなり、逆にダート血統に代表されるようなパワー優先の馬にとっては願ってもいない、ほぼ1ヶ月前に行われた弥生賞当日の馬場とは全くと言ってよいほど異なった重い馬場になってしまうのである。

もうひとつは、弥生賞はかなりの状態に仕上がっていないと勝てない、その上、弥生賞では厳しいレースを強いられるということである。

クラシックを狙う有力馬が一堂に会する弥生賞は、当然のことながら、中途半端な仕上がりでは勝つことはできない。弥生賞を勝つためにはかなりの仕上げを施さなければならず、本番前に仕上げられた(仕上がってしまった)馬は、本番に向けて下降線を辿ってしまう。サラブレッドのピークはそれほど長くない。つまり、弥生賞を勝つために仕上げてしまうと、そのあとが続かないということである。さらに、それまでは楽な相手と楽な競馬しか経験してこなかった馬が、弥生賞で初めて厳しいレースを強いられるので、その肉体的、精神的な反動が次のレースで噴出してしまう。

その典型的な例は、平成12年の弥生賞を制したフサイチゼノンではないか。田原成貴元調教師と関口オーナーの間で一悶着あった馬であるが、フサイチゼノンは弥生賞の時点で既に仕上がってしまっていた。田原調教師はフサイチゼノンにかなりの素質を感じていただろうし、初年度である厩舎を盛り上げるためにも、弥生賞も勝って本番に臨みたかったに違いない。しかし、その勝ちを焦る気持ちが、フサイチゼノンを追い詰めてしまったのだ。肉体的にも精神的にもピークを過ぎてしまったフサイチゼノンは、もはや皐月賞に出走する状態にはなかった。関口オーナーに相談をしなかったのは田原元調教師の落ち度だが、出走を取りやめたのは英断であったと思う。

フジキセキ ダンスインザダーク フサイチゼノン アグネスタキオン

以上は、弥生賞を勝った後に故障を発生した馬たちである。厳しいレースである弥生賞を勝つことは、高い素質、能力を持つことの証明であるが、一方で失うものも大きい。そういう意味で、弥生賞馬はまず疑ってかかるべきである。

■2■皐月賞馬の条件
皐月賞馬に求められる条件は、以下の4つ。

スピード
パワー
器用さ
完成度

まず、「スピード」については、中山競馬場の内回りを使うコースは先行馬に有利であり、前にポジションするために秀でたスピードが求められる。スタミナに関しては、2000mまでこなせるマイラーであれば、十分に勝負になるはず。

「パワー」については、上にも述べたとおり、皐月賞は最終日に行われるため、馬場がかなり重くなっていることが多い。そのため、荒れ馬場をこなせるパワーが必要となる。さらに、1周1666m、直線310mという小さなスケールのトラックで行われるため、上手に立ち回りながら流れに乗ることのできる「器用さ」を備えているかどうかも問われる。

また、「完成度」の高い馬ということも挙げられる。その傾向は年々強くなってきており、この時期においてあらゆる面において完成されていなければ、このレースを勝つことは難しい。素質があり、なおかつ完成度が高いことが求められる。

■3■参考データとして
・前走が1800m未満の馬は×
・2月以降に1400m以下の短距離を一度でも使っていた馬は×
・連対率が50%を超えていなければ×

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弥生賞が皐月賞に直結しにくい3つの理由とは…?

Rensai004

3歳の有力馬たちがこぞって弥生賞をステップレースとし、皐月賞から日本ダービー、菊花賞へと続くクラシックロードを駆け抜けた時代があった。皐月賞と同じ舞台設定で行われる弥生賞が本番前の試走として最も相応しいと考えるのは、当時としては当然のことであり、弥生賞を勝つような馬がその世代の中でも一歩抜きんでた力を持つ存在であることは、誰の目にも明らかであった。たとえば、ウイニングチケットやダンスインザダーク、スペシャルウィークなど、のちにクラシックレースを勝ち、種牡馬としても活躍した名馬たちである。

しかし、ここ15年ぐらいの間に、その傾向は大きく変わってきている。弥生賞に有力馬が集中しなくなり、いつの間にか、弥生賞の勝ち馬もその後の大きなレースで活躍することが少なくなった。なぜ有力馬が弥生賞に向かわなくなったのか。端的に言うと、皐月賞につながりにくいからである。前述した名馬たちだけを見ても、皐月賞を勝った馬はいない。クラシック本番の第一弾である皐月賞と直結しにくいステップレースを、あえて選択する理由はないだろう。

それでは、なぜ弥生賞が皐月賞につながりにくいかというと、以下の3つの理由が考えられる。

A、弥生賞が行われるときの馬場状態と皐月賞が行われるときのそれは大きく異なるから
B、弥生賞から皐月賞までの中5週というレース間隔が適当ではないから
C、弥生賞のレースの内容と皐月賞のそれが乖離してしまうから


(続きは週刊「Gallop」にて)

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勝つためには勝つ気で乗らないこと


桜花賞2015―観戦記―
行き切る馬がいないと見るや、レッツゴードンキが先頭に立ち、前半の半マイルmが50秒ジャスト、後半マイルが46秒ジャストという、恐ろしいほどのスローペースでレースは流れた。当然のことながら、馬群は団子状態の横長になり、各馬折り合いをつけるのに必死であり、馬群の中で揉まれた馬たちの消耗はさらに大きかった。そんな中、1頭だけ馬群から離れた位置を走り、前半は歩くようにして脚を溜め、他馬とは全く違う種類の競馬をしたレッツゴードンキがあっさりと逃げ切った。

勝ったレッツゴードンキを褒める前に、鞍上の岩田康誠騎手を称えたい。逃げ馬不在の内枠という条件であっても、直線の長い阪神のマイル戦で再び逃げを打った勇気には恐れ入る。人気こそ落としていたとはいえ、チャンスのある有力馬に跨って、大一番のここぞというタイミングで先頭に立つのは難しい。思い切った騎乗をすると、負けたときにはジョッキーの責任を問われるからであり、無難に折り合って負ける方を好む騎手も多い。願ってはいないだろうが、負けて降ろされたら仕方がないと心のどこかで割り切れているからこそ、大胆な騎乗ができる。このメンタリティこそが岩田騎手の強さであり、勝つにはこれしかないという究極の逃げ切りであった。

レッツゴードンキは早い時期から完成度の高かった馬であり、どのレースでも確実に伸びてくる肉体と精神の強さを併せ持つ。折り合いにそれほどの心配がなく、気性面でも素直なので操作性が高いため、安定して力を発揮できる。阪神ジュベナイルFやチューリップ賞こそ、勝ち馬の前前に屈してしまったが、この馬の力は出し切っていた。今回は自身の力をコンスタントに出せる強みが勝利に結びついた。もともと完成度の高かった馬だけに、この先の成長という意味では疑問だが、オークスでも好勝負になるだろう。とはいえ、今回の桜花賞はピンポイントで拾った勝利だけに、もう一丁はさすがに難しい。

クルミナルは立ち遅れがもったいなかったが、それゆえに揉まれないスペースを探し、スムーズに流れに乗れた幸運もあった。チューリップ賞では1番人気に推された馬であり、その素質は高く買われていたが、前走の道悪における惨敗によって評価を下げていた。これぐらいの走りができる実力はある馬であり、ディープインパクト産駒らしく春のクラシックに向けて成長曲線を辿ってきた面もある。前駆の発達したパワータイプだけに、距離が延びるオークスは微妙だが、展開やペース次第でチャンスは十分にある。

コンテッサトゥーレはスローペースを内々の2、3番手で追走し、全くロスのない最高の立ち回りで3着を確保した。まだ440kg台とクルミナルと比べるとパワー不足は否めないが、現状の持てる力は出し切った。クイーンズリングも良く走っているが、枠順に恵まれず、後方からの追走で外を回った分の4着。ココロノアイも外々を回されて、末脚が不発に終わった。重馬場のチューリップ賞を勝った反動が少なからずあったかもしれない。次走のオークスまでは時間があるので、巻き返しに期待したい。

最後に圧倒的な1番人気に推されていたルージュバックは、見せ場なく9着に敗れてしまった。こうやったら負ける、もっとはっきりと言うと、これ以上は下手に乗れないという騎乗であった。スローの展開も予測できたはずだし、真ん中の枠を引いて揉まれたくないとも思っていたはず。陣営にも馬にもプレッシャーがかかっていたことで、強い追い切りが1本多く、馬はギリギリであったが、勝てない状態ではなかった。隣のクルミナルが立ち遅れたのだから、レッツゴードンキの後をそのまま付いて行って、ゴール前で交わせば勝てていたレースである。そうした積極的な競馬をするために、前走のきさらぎ賞では前に行く競馬を試したのではないのか。

と、ここまで書いたが、これが中央競馬で圧倒的な1番人気を背負うことのプレッシャーなのだ。地方競馬では頂点を極めた、百戦錬磨の戸崎圭太騎手でさえ、金縛りに遭ったかのように、分かっていても身体が反応できなかったのである。勝とうとするから勝てない、安藤勝已騎手いわく、勝つためには勝つ気で乗らないことなのだ。そして、数々の圧倒的人気馬を勝たせてきた武豊騎手の凄さもよく分かる。戸崎騎手にとっては、悔やんでも悔やみ切れない敗戦だろうが、これを糧にしてさらなる高みを目指してもらいたい。

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前走の大敗を引きずっていないクルミナル:5つ☆

ルージュバック →馬体を見る
前走時よりも少し大人びてきたが、それでも幼さを残している馬体。
良く見せないタイプであり、この馬は走り出しての動きが素晴らしい。
Pad3star

テンダリ―ヴォイス →馬体を見る
首は細くスラっと長いが、胸前の筋肉の付き方は素晴らしくパワーがある。
それに比べるとトモの肉付きが物足りないが、ここに成長の余地を残している。
Pad3star

メイショウメイゲツ →馬体を見る
ふっくらとして、脚が短く、重心が低い馬体であり、距離はマイルが上限だろう。
筋肉のメリハリはあり、前駆が力強いため、前に行けば簡単には止まらない。
Pad3star

ムーンエクスプレス →馬体を見る
このメンバーに入ると、全体的に線が細く、パワーという面で見劣ってしまう。
毛艶は黒光りして、体調の良さは確かなので、あとは馬体にパワーがついてくれば。
Pad3star

アンドリエッテ →馬体を見る
この馬も幼さを残している馬体で、これで良く前走は道悪を最後まで伸びた。
筋肉のメリハリがほしいし、特に後躯に実が入ってくると末脚が生きるだろう。
Pad3star

キャットコイン →馬体を見る
前駆はしっかりと実が入って、立ち姿も堂々としているため、それほど小さく見せない。
それでも後躯には物足りなさがあり、実が入ってくれば、素晴らしいシルエットになる。
Pad3star

クイーンズリング →馬体を見る
胴部には十分な長さがある反面、手脚が短く、重心が低いため道悪は得意とする。
腹回りにやや余裕はあるが、毛艶も良く、筋肉の柔らかみがあって体調は良い。
Pad4star

ベルフィカ →馬体を見る
表情にもあどけなさを残しているように、未完成の馬体で良くなるのはもう少し先か。
馬体全体のシルエットには長さがあるため、あとは全身に実が入ってくれば。
Pad3star

クルミナル →馬体を見る
いかにもパワータイプの力強い馬体で、3歳牝馬のそれとは思えない。
凛とした表情も好感が持て、前走の大敗を馬自身は引きずっているようには見えない。
Pad5star

レッツゴードンキ →馬体を見る
前後のバランスの良さは2歳時からのもので、今回もしっかりと仕上がっている。
2歳時と比べると、手脚に若干の長さが出たようで、阪神のマイル戦がベストだろう。
Pad4star

ココロノアイ →馬体を見る
前走は筋肉に柔らかみがあって最高だったが、今回は胴部が詰まって見える。
一息入れたのか、腹回りに余裕があり、もうひと絞りしなければ好勝負は期待薄。
Pad3star

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それは哀しさではなく

Kanazawa13

東京から金沢に新幹線が開通するというニュースを聞いたとき、すぐに金沢競馬場のことが思い浮かんだ。金沢競馬場のことと言っても、実際に行ったことはなく、確か金沢に競馬場があったはずという程度の認識であった。大変失礼ながら、まさかもう廃止になってしまっていないよなという不安がよぎって、ネットで検索してみると火曜日と日曜日に開催されていることが分かって、ホッとひと安心した。今まで縁もゆかりもなかった競馬場だが、新幹線も開通したことだし、ぜひこの機会に金沢に行ってみようと思ったのだ。そう、競馬場が私を金沢に連れていってくれたのである。

私は小さい頃から旅行というものがさほど好きではなかった。今となっては、旅は自分の世界を広げてくれるひとつのアクションであることは分かるのだが、つい最近まで旅行とは嫌々行くものでしかなかった。家族で行く旅行もそうだし、友人知人と行く旅行もそれほど気乗りがしなかった。なぜかというと、ただ単純に、そこに競馬場がないからである。私は競馬場に行きたいのだ。競馬場こそが目的地であり、その過程に旅がついてくるのだ。競馬場がある場所ならば、地球の裏側でも行けそうな気がする。

東京から3時間。前日入りした私は、金沢駅近くのホテルに宿を取り、海の幸を楽しもうと「とっくりや」へ向かった。4月にもかかわらず金沢はまだ寒く、吐く息が白くなるぐらい。天気が悪かったこともあり、余計に寒く感じます。かなり迷ってようやく到着すると、そこはどこからどう見ても普通の居酒屋。暖簾をくぐって店内に入り、お品書きを見てみると、なんとお値段が書いていない。どれぐらいの量なのかも分からない中、一見さんに見られたくなくて、思い切って刺身の盛り合わせと牛ロースのたたきの2品、そして私はお酒が飲めないのでウーロン茶を注文した。

Kanazawa02

最初に出てきたのは、お目当ての刺身の盛り合わせ。思わず「何人前ですか?」と聞いてしまうぐらいの豪快な盛り合わせが登場しました。お刺身が積み木やジェンガのように見事に積み重なっている(積み上げられている)。写真では分かりづらいかもしれないが、このように綺麗に積み上げられるのは、一つひとつの切り身がかなり大きいからである。私はこれまでこんなにも大きな刺身を食べたことがないし、その味も今までに味わった事のない美味しさであった。これだけでもうすでにお腹いっぱいで幸せを感じていたのだが、続いて出てきた牛ロースの叩きも相当な美味であった。この店にしばらく通うために、あと何泊かしてもいいと思えるほどであり、また今度、金沢に来るときには必ず立ち寄ることになるだろう。

Kanazawa03

翌日は、朝早く起きて、兼六園と金沢城、そして金沢21世紀美術館に足を運んだ。我ながら観光らしい観光をしてしまったわけだが、ちょうど桜も満開宣言が出ていたように、庭園もお城も美術館も最高のおもてなしをしてくれた。主要な観光地が駅の周辺に位置しており、コンパクトにまとまっていて、観光客にとってはありがたい。金沢は駅自体の建物も実に近代的で、平日にもかかわらず、人も多く賑わっていた。といっても外国人が目立っていたように、観光地としての盛り上がりがあったし、これからもそうなのだろう。

Kanazawa04

観光という用事を済ませたあと、いよいよ私の本命である金沢競馬場に行った。金沢駅西口から無料のシャトルバスに乗って、20分ぐらいウトウトしていると競馬場に到着した。入場料を払い、久しぶりの競馬場に胸を高鳴らせながらパドックへと向かっている途中、人がいないことに気がついた。少ないと言うよりは、いないと言った方が正しい。私に見えるのは、パドックの奥の方にポツンと立っているひとりの競馬ファンのみ。いくら平日の開催とはいえ、あまりにも人が少なすぎる。馬券を買おうとスタンド内に入ると、そこには20年前の南関東の競馬場の雰囲気がそのままあった。私が通っていた頃の浦和競馬場や船橋競馬場にタイムスリップしてしまったような錯覚にとらわれた。

懐かしいというよりは哀しい。素直にそう思った。パドックを見て、馬券を買い、レースを観てみたけれど、その感情は変わらなかった。20年前と何も変わらない風景。もしかしたら関係者たちはそうは感じていないのかもしれないが、私には倦怠感が漂っているように思えた。日々、同じようなメンバーによる同じようなレースの繰り返し。同じような調教師の馬に同じような騎手が乗り、いつもと同じように勝つ。それでも競馬ファンがいれば目の前の勝ち負けにこだわれるし、もっと先を見て競馬を考えることもできるが、競馬ファンが競馬場に足を運ばなくなると、競馬は途端に魅力を失い、競馬場は哀しさに包まれる。

私は数レースを観戦したのみで、競馬場をあとにした。帰りのシャトル便の発車時刻には時間がありすぎて、タクシーは1台も待っておらず、歩いて帰るには遠すぎる。結局、競馬場の運営の方にタクシーを呼んでもらって事なきを得たが、サンフランシスコのベイメドウ競馬場から帰られなくなって以来、久しぶりに競馬場で足止めを食らってしまった。帰りがけのタクシーの窓から見える風景は広大な田畑ばかりで、煌びやかに見えた金沢も、一歩離れると現実の世界が広がっていた。

私たちはこれからどうすれば良いのだろう。金沢競馬場に限ったことではなく、私たちはこの哀しさとどのようにして付き合っていけばよいだろう。人口が確実に減少していき、ありとあらゆるものがダウンサイズしていく中、かつての輝きは失われ、哀しさだけはじわじわと増していく。都市部などの中央に集中させてコンパクト化していくのもひとつのアイデアだが、私はその土地に住んでいる、その場所にあることの意味も信じている。それはトーテムポールのようなものではないか。もしかしたら私も誤解していたのかもしれない。それは哀しさではなく、自然なのだ。

その土地に深く関わった霊的なものを、彼らは無意味な場所にまで持ち去ってまでしてなぜ保存しようとするのか。私たちはいつかトーテムポールが朽ち果て、そこに森が押し寄せてきて、全てのものが自然の中に消えてしまって良いと思っているのだ。そしてそこはいつまでも聖なる場所になるのだ。なぜその事がわからないのか。

(「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」星野道夫

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阪神芝1600m

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向こう正面奥からのスタートで、最初のコーナーである3コーナーまでの距離は444mと長い。極端なポジション争いはなく、最後の直線が長いことも意識されるため、前半はほとんど無理をすることなくスムーズに流れる。

新阪神1600mのコースの特徴は、3~4コーナーにある。3コーナーにある残り5ハロン標識を切ってから、非常に緩やかなカーブが4コーナーまで続くため、各馬ゆったりとコーナーリングを開始する。旧阪神1600mのコースであれば、3コーナーから4コーナーにかけての擬似直線で前との差を詰めることができたが、新阪神1600mのコースではそれができない。一度、コーナーを回り始めると、遠心力に身を任せながらゆっくりと4コーナーまで走ることになる。だからこそ、先行馬はここで息を入れて、最後の直線に向くまでにスタミナを温存することができる。

最後の直線は474mもあり、直線に向いてから仕掛けても遅くはない。差し馬にとっては脚を余すということがなくなったが、3~4コーナーで楽をしている分、先行馬も簡単には止まらない。結局は、最後の長い直線での瞬発力勝負で勝敗は決することになる。もちろん、最後に急坂が待ち構えているので、スタミナに欠ける馬はここで脱落してしまうことになる。実力がはっきりと反映されるコースというよりも、ある程度のスタミナに支えられた瞬発力のある馬にとっては最適の舞台となるコースである。

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牡馬相手に1800mの重賞を勝ったという事実が意味すること

Rensai003

サラブレッドの競走は、人間のそれと違い、基本的には女馬と男馬が一緒になって走る。たとえばヴィクトリアマイルやクイーンSなどの牝馬限定のレースもあるにはあるが、JRAの競走でいうと全体の約15%弱程度であって、ほとんどのレースにおいては、新馬戦から有馬記念に至るまで、牝馬と牡馬が鎬を削って競走するのである。

最近ではジェンティルドンナやブエナビスタ、ウオッカ、ダイワスカーレットといった女傑であり名牝が続々と誕生したが、彼女たちは稀有なサラブレッドであり、同条件の下で走るとすれば、総体的には牝馬より牡馬の方が強い。それは性差による肉体的な発達、ときには精神的な性質の違いが理由となる。牡馬の方が骨格は大きく、飼葉も良く食べることが多いため、調教で負荷が掛けやすく、その分、筋肉がつき、馬体も大きく成長し、スピードやスタミナ、パワーに変換されやすい。そういった性差を考慮し、競走における均衡を図るため、負担重量に差をつけるセックスアローワンスがある。

日本の競馬では、牝馬と牡馬との間には2kg、つまり牝馬は牡馬よりも2kg軽い負担重量が課せられることになっている。ただし、2歳の9月までは牝馬も牡馬も同じ、10月から12月までは1kg差と、年齢や時期によって負担重量が微調整されているのも興味深い。年齢が低いうちは、牝馬と牡馬の成長の度合いにおける違いが、それほど顕著ではないということだ。たとえば人間でも、小学校ぐらいまでは女の子の成長の方が早いが、中学の高学年あたりから女の子は女らしく、男の子は男らしい肉体や精神に大きく変化を遂げるのと似ている。どこかで女と男がはっきりと分かれてしまう時点があるということだ。


(続きは「週刊Gallop」にて)

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桜花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

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■1■勝ち馬は「2敗以内」が目安
勝ち馬の条件としては、「2敗以内」であることが挙げられる。最近は、素質馬はあまりレース数を使わない傾向が顕著になってきており、桜花賞でも浅いキャリアで臨んできた馬が活躍している。数を使わない以上、レースに使うからにはきちんと勝てる状態に仕上げられているはずで、それでいて2敗以上しているということは、能力がないか、どこか足りない部分があるかのどちらかということになる。だからこそ、桜花賞を勝てる素質があるかどうかを見極めるためには、「2敗以内」という数字を目安にしたい。

さらに、「新馬戦を勝っている」、「牡馬を相手に勝利している」ことも、素質の有無を問うための材料にしてもよいだろう。

■2■前走の人気に注目
過去12年間で桜花賞を勝った馬の「前走の人気」を見ると、明らかな傾向があることが分かる。なんと12頭中8頭が1人気であり、2番人気が1頭、わずかに4~6番人気が3頭と、それ以下の人気であった馬は1頭も勝っていない。連対馬(2着馬)に目を向けても、8頭までが前走3番人気以内に推されている。

最も桜花賞に直結しやすいとされていたチューリップ賞だけを見ても、その勝ち馬よりも、人気に推されていたが負けてしまった馬の方が、本番での好走率が高い。つまり、前走で何着だったかという「実績」よりも、前走で何番人気に推されたかという「素質」、もしくは「資質」に注目すべきなのである。

■3■瞬発力のある馬が有利
平成19年から、桜花賞は新阪神コースの外回りで桜花賞は行われる。このことによって、勝ち馬に求められる資質が大きく違ってくることが考えられる。かつては器用さとスピードが求められていたが、今年からは「瞬発力」とそれを支える「スタミナ」が要求されることになるだろう。

ステップレースであるチューリップ賞(新阪神1600m外回り)とフィリーズレビュー(新阪神1400m内回り)のレースラップを見てみたい。

平成19年
チューリップ賞   12.4 - 10.9 - 12.1 - 12.2 - 12.2 - 11.1 - 11.0 - 11.8
フィリーズレビュー 12.5 - 10.9 - 11.4 - 11.7 - 11.4 - 11.7 - 12.2

チューリップ賞を見てみると、第1コーナーである3コーナーからガクンとペースが緩み、最終コーナーである4コーナーまで極端なスローでレースが流れていることが分かる。それに対し、フィリーズレビューではコーナーを回ってもペースがほとんど緩んでいない。

この2つのレースの違いは、展開うんぬんではなく、コースの構造に起因する。チューリップ賞が行われる新阪神1600m外回りコースは中盤が緩みやすいコース構造になっているのに対し、フィリーズレビューが行われる新阪神1400m内回りコースはそうではないということである。

つまり、道中が緩むことによって、本番の桜花賞もラスト3ハロンの瞬発力勝負になってしまう可能性が高いということである。

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産経大阪杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Sankeioosakahai

■1■4歳馬が圧倒
過去10年の勝ち馬の年齢を見ると、4歳馬が5頭、5歳馬が3頭、6歳馬が1頭、7歳以上の馬が1頭と、4歳馬が他馬を圧倒している。年齢を重ねるごとに勝ち馬が少なくなっているように、実績や格ではなく、勢いが求められる舞台となる。クラシックで活躍した馬が充電を経てターフに戻ってきたり、また古馬になってから急激に力を付けてきた馬たちにとっては、実力を存分に発揮できるレースである。サラブレッドとして充実著しい4歳馬を中心に考えてみたい。

■2■1番人気が強い
過去10年間における、人気別の着順を見てみたい。

1番人気 【5・2・2・1】 勝率50% 連対率70%
2番人気 【1・2・1・6】 勝率10%  連対率30%
3番人気 【2・0・1・7】 勝率20% 連対率20%

かつてマイルCSは1番人気が最も堅いレースとして有名であったが、今では産経大阪杯がそれに取って代わろうとしている。勝率50%、連対率70%という数字は驚異的である。ひとつの理由としては、超A級の馬たちが、別定戦であるこのレースを狙って出走してくるからである。その傾向は、日本の競馬がスピード化するにしたがって強くなってきている。一昔前まで超A級の馬は阪神大賞典に出走していたが、今は距離適性も含めて産経大阪杯に出てくることが多くなっているということだ。たとえ休み明けであっても、強い馬であれば十分勝ち負けになる。

■3■内を回って先行できる馬
過去10年のラップタイムを見てみたい。

12.7-11.3-11.9-12.0-12.2-12.1-11.8-11.9-11.3-12.4(60.1-59.5)M
12.7-10.4-12.0-12.0-12.1-12.4-12.2-12.0-11.5-11.7(59.2-59.8)M
12.8-11.6-12.5-12.6-12.5-12.4-12.3-12.2-12.3-13.3(62.0-62.5)M
12.8-11.5-13.1-12.6-12.2-12.2-11.9-11.7-11.4-12.0(62.2-59.2)S
12.5-10.8-12.2-12.1-12.0-12.3-12.0-11.5-11.6-11.7(59.6-59.1)M
12.6-11.5-11.9-11.9-12.1-12.8-12.1-11.9-11.2-11.7(60.0-59.7)M
12.1-11.1-12.8-12.3-12.0-12.2-11.6-11.5-11.7-12.2(60.3-59.2)S
12.5-11.0-12.3-12.1-11.4-11.6-11.6-11.3-11.8-12.2(59.3-58.5)M
13.2-12.2-13.7-13.2-12.9-12.7-12.3-11.9-11.2-12.2(65.2-60.3)S
12.6-11.4-12.7-12.2-12.6-12.2-11.6-11.3-10.9-11.5(61.5-57.5)S
12.8-11.3-12.5-12.0-11.9-11.8-11.7-11.5-12.4-12.4(

どのレースも速くともミドルペース、遅ければスローに流れる傾向がある。阪神競馬場の内回りということで、4つコーナーを回る小回りの直線が短いコースで行われるとイメージしてよい。ペースが落ち着きやすいことも考慮に入れると、どうしても内枠の先行馬が有利になる。

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力の違いをみせつけた


高松宮記念2015―観戦記―
香港馬エアロヴェロシティが好スタートを切り、逃げるかに見えたが、それを制してアンバルブライベンがハナに立った。ハクサンムーンがそれを追走し、前半600mが34秒ジャスト、後半が34秒5というラップが刻まれた。やや重の馬場を考慮すると、上りの時計は0.5秒多く掛かるとして、全体のペースとしてはおよそ平均的な流れ。スプリントG1としては、スローペースと考えてよく、後ろからレースを進めた馬たちにとっては厳しい競馬であった。結果的にも、前に行った馬たちのワンツーフィニッシュとなった。

勝ったエアロヴェロシティは、日本にはあまりいないタイプの短距離馬である。特に前進気勢に優れているわけではなく、他馬が来て馬体が併さると、抜かれまいとして伸びる。長距離馬にはよくあるタイプだが、手綱を放すとぶっ飛んでいくような短距離馬にしては珍しい。その分、ジョッキーにとっては、どの馬に併せるかを間違うと致命的であり、今回のレースにおいてミッキーアイルに相手を絞ったZ・パートン騎手の判断は正解であった。着差こそ僅かだが、通ったコースやエアロヴェロシティ自身、手脚が長く、大跳びのため、グリップが悪い馬場は合っていないにもかかわらずの勝利だけに、力の違いをみせつけたと言って良い。この2分の1馬身差はどこまで走っても縮まらないどころか、さらに広がっていくだろう。エアロヴェロシティはこれで17戦9勝とセン馬にしては珍しくキャリアがまだ浅く、昨年の香港スプリントと今年の高松宮記念を制し、いよいよこれから競走馬としてのピークを迎えるだろう。

ハクサンムーンは前走のオーシャンSを叩き、マイナス8kgの馬体重で完璧に仕上がって出走してきた。ロードカナロアと鎬を削った実力は健在であるが、ただ2年前と比べるとどうしてもスピードは落ちてきている分、今回、馬場がやや渋って力を要するようになったのがプラスに働いた。もちろん、思っていたよりもペースが落ち着いたことも、この馬にとっては良かった。レース前から逃げ馬が多いため確実にハイペースになると言われているときほど、逃げ馬が互いにけん制し合って、案外レースが落ち着いてしまうことが多い。酒井学騎手の積極性とコース取りの良さも光った。

ミッキーアイルは前走同様、抑える競馬を試みたが、結果には結びつかなかった。今回のレースを勝つことだけを考えれば、行かしてしまった方が良い着順が出たはず。最後の直線半ばで一瞬は抜け出したように見えたが、エアロヴェロシティに差し返され、ハクサンムーンを捕らえることすらできなかった。とはいえ、1200mでも折り合いを欠くほどだから、この馬のスピードと前向きな気性には感心する。ディープインパクト産駒にしては珍しいタイプであり、この馬のスピードの持続力を生かすには、現時点でのベストの距離はやはり1400mだろう。

1番人気のストレイトガールは少々控えすぎた嫌いはあるが、それにしても伸びなかった。馬体も完全には仕上がっていなかったし、もしかするとピークを過ぎてしまったかもしれない。遅咲きの牝馬ではあるが、あと少しのところで勝てないレースが続き、トップレベルのレースで3シーズンを走り続けてきた疲れが出てしまってもおかしくはない。カレンチャンのような馬は例外であり、短距離馬、特に牝馬のピークは意外に短いものだ。

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ダービー卿CTを当てるために知っておくべき3つのこと

Derbyct

■1■波乱必至!?
ハンデ戦として施行されるようになった2002年以降、1番人気が勝ったのは2009年のタケミカヅチのみ。しかも、単勝670円という押し出された1番人気であった。過去10年の勝ち馬の人気を見てみても、3、11、7、4、1、7、8、3、5、4と上位人気の馬も不振を極めている。当然のことながら、2、3着も順当に決まることはなく、毎年、波乱必至のレースである。

荒れる理由としては、中山1600mというトリッキーなコース設定に加え、G1レースを狙う超一流のマイラーがローテーション的に参戦してこないからである。安田記念を狙うトップマイラーであれば、京王杯スプリングSもしくはマイラーズCを使うはず。谷間にあたるマイルの重賞であるからこそ、どんぐりの背比べであり、しかもハンデ戦となると一筋縄には収まらないのである。

■2■持続力のある血統
中山1600mコースはマイル戦の中でも、最もハイペースが多発するコースである。1000mが58秒を切るような流れになりやすいので、ハイペースに耐えられる血統が必要である。たとえばダンチヒ、ノーザンテースト、ストームキャットなどのノーザンダンサー系やミスタープロスペクター系、レッドゴッド系など。つまり、瞬発力に秀でたサンデーサイレンス系ではなく、ダートの1200m戦で活躍する持続力のある血統の馬を狙ってみたい。

■外枠が極端に不利
中山1600mコースは、1コーナー付近にある小高い丘の頂上からのスタート。第1コーナーとなる2コーナーまでの距離が240mと短いことと下り坂になっていることによって、流れは速くなりやすい。見た目よりもゆったりとした2コーナーを回ると、あとはひたすら下り坂で、その勢いをつけたまま4コーナーを回り直線に突入することになる。勝負の分かれ目は最後に待ち構えている坂で、余力が残っていない馬はここでパタっと止まる。そのため、前残りか前崩れかといった極端な展開になりやすい。

直線が短いためスピードだけで押し切れそうだが、直線に急勾配な坂があることによって、実はスタミナも必要とされる。かといって、ジワジワと伸びていても直線が短く届かないので、一気に坂を駆け上がるような瞬発力も要求される。

外枠が極端に不利なコースである。第1コーナーまでの距離が短いため、外枠の馬は良いポジションを確保するのが難しい。そして、コース全体が大きな円を描いているため、外を回されると内の馬と比べてかなりの距離ロスになってしまう。ペースに緩みがないため、一旦外を回されると軌道修正する前にレースが終わってしまうことも多い。

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見ればその馬のすべてが分かる、ウソをつかない立ち写真

Gallop20150405

馬の立ち写真を見ればすべてが分かる。その馬の肉体的特徴から距離適性、調子の良さ、気性に至るまで、たった1枚の写真の中には実に多くの情報が詰め込まれている。「調子が良いと言われていますが、どうやらピークを過ぎてしまったようです」、「精神的に参っています」など、馬体を通して馬は雄弁に語りかけてくる。私は馬券の予想における大きな部分を、馬の立ち写真を見ることに依っている。どうしても先入観や主観にまみれてしまいがちな私の予想を、立ち写真が矯正してくれると言ってもよい。先週号から大幅にリニューアルされた本誌の誌上パドックでは、今まで以上の頭数の立ち写真が、しかも大きなサイズで見られるようになったのだから嬉しい限り。

立ち写真をパッと見ることで分かるリアルタイムな情報も多いが、時系列に並べて見てみるとさらに伝わってくることもある。かつての立ち写真と今回のレースにおけるそれを見比べてみるのだ。そうすると、調子のアップダウンや馬体の成長の有無を把握できる。その馬が絶好調であったときの馬体を目に焼き付けておくと、今回の体調や仕上がりが手に取るように分かるし、若駒のころの馬体を覚えておくと、古馬になってからの成長の度合いが見て取れるのだ。何と言っても素晴らしいのは、立ち写真はリップサービスをしないし、決してウソをつかないことである。

今週の産経大阪杯に出走してくるキズナは、順調に行けば、今年かなりの活躍が見込める馬である。日本ダービー馬をつかまえて、活躍が見込めるという表現は失礼にあたるかもしれないが、世界を意識できるほどの走りを見せてくれるという意味である。昨年の春の天皇賞春後に骨折が判明し、前走の京都記念でおよそ9か月ぶりにターフに戻ってきたキズナの立ち写真を見て、私は驚きを隠せなかった。なぜなら、長期の休養を取れたことが功を奏し、キズナの馬体は大きな成長を遂げていたからである。

(続きは週刊Gallopにて)

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