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これ以上ない仕上がりレーヴミストラル:5つ☆

ドゥラメンテ →馬体を見る
前走、皐月賞時もそうだったが、馬体には薄さが目立ち、決して完成形ではない。
シルエットには長さがあって、筋肉がついてくれば、将来はさらに良くなる。
Pad3star

タンタアレグリア →馬体を見る
幼さを残している馬体だが、全体的にはまとまりがあり、今のところ課題は少ない。
栗毛の馬体が映えるように、毛艶は良く、仕上がりは万全である。
Pad3star

コメート →馬体を見る
アバラが浮いているように、ここに向けて馬体は万全に仕上がってきて文句なし。
顔つきからは、気性面での難しさが伝わってきて、スムーズにレースが出来るかどうか。
Pad3star

リアルスティール →馬体を見る
馬体がコロンと映るように、皐月賞から間隔が開いたことで、胴部には少し余裕あり。
前後躯にしっかりと実が入って、パワフルな馬体かつ胴部の長さもギリギリ範囲内か。
Pad4star

キタサンブラック →馬体を見る
トモの肉付きなど、まだ良化の余地を残しているが、よくここまで走っている。
気性の良さが操縦性に結びついていて、前駆の力強さはさすがである。
Pad3star

ベルラップ →馬体を見る
尾離れが良いことからも分かるが、後躯(特にお尻)の部分の実の入りが素晴らしい。
胴部にはもう少し長さがほしいが、前駆の力強さもあり、筋肉のメリハリは十分。
Pad3star

サトノクラウン →馬体を見る
前後のバランスも良く、背中が少し垂れているように映るほど胴部には長さがある。
距離延長はむしろ歓迎であり、この馬の良さが生きるのは2400mの舞台であろう。
Pad4star

ミュゼエイリアン →馬体を見る
毛艶が良く、馬体のシルエットもしっかりとまとまりがあり、見栄えのする好馬体。
筋肉の質が硬いため、一瞬の切れ味という点では劣るが、持続力で勝負するタイプ。
Pad3star

ミュゼスルタン →馬体を見る
NHKマイルC組ではあるが、馬体だけを見ると、中距離でこそ力を発揮しそうな馬。
血統的にパワーがあるため、馬場が重くなると、この馬にもチャンスが回ってくるかも。
Pad3star

レーヴミストラル →馬体を見る
手脚や胴部には適度な長さがあって、距離は2400mぐらいがベストだろう。
筋肉のメリハリが抜群で、本番に向けて、これ以上ないぐらいの仕上がりにある。
Pad5star

サトノラ―ゼン →馬体を見る
コロンとした馬体に映るように、まだ筋肉のメリハリに乏しく、幼さを残している。
前後躯には筋肉がついているが、もうひと絞りほしく、未完成の馬体。
Pad3star

ポルトドートウィユ →馬体を見る
手脚や首には十分な長さがあり、馬体のシルエットだけを見るとステイヤーらしい。
各パーツに実が入り切っておらず、力強さに欠けるところがあり、良くなるのは先か。
Pad3star

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眠れぬ夜を

Nemurenuyoruha

ダービーの前夜はなかなか寝付けない。仕事で疲れ果てていたとしても、ダービーのことを考えてしまうと夜も眠れないのだ。もしかしたらあの馬が勝つのではないか、などと想像を膨らませているうちに、心臓はドクドクと脈打ち、遠足前の小学生のように居ても立ってもいられなくなる。馬券を買うだけの私でさえそうであるから、ダービーを前にした、もしかしたら自分にも勝てるチャンスがあるのではないかと思っている騎手は、どんな心境でいるのだろうといつも思う。

ダービーを前にしていつも思い出すのは、「競馬学への招待」という本のあるくだりである。騎手にとってダービーを勝つことは、宇宙飛行士が月面を歩くことと、どこか似た内的体験をするのではないかという一節である。この本の中で私が最高に好きな部分なので、長くなるが引用したい。

「宇宙飛行士の中でも月に行った経験を持つ24人と、他の宇宙飛行士とでは、受けたインパクトがまるで違う。さらに、月に行ったといっても、月に到着して、月面を歩いた人間とそうでない人間とでは、また違う。宇宙船の内部しか経験できなかった人と、地球とは別の天体を歩いた経験を持つ人とでは違うのだ。宇宙船の中は無重力状態だが、月の上は六分の一のGの世界で立って歩くことができる。この立って歩くことができるという状態が、意識を働かす上で決定的に違う影響を与えるような気がする。月を歩くというのは、人間として全く別の次元を体験するに等しい。」

上になぞらえて、著者である山本一生はこう言い換える。

「騎手であることと、ダービーに出走経験のある騎手になることでは、受けたインパクトはまるで違うだろうし、さらにダービーに出走することと、ダービーの優勝ジョッキーになることでは決定的に違っていて、「全く別の次元を体験するに等しい」のである。」

騎手にとって、ダービーを勝つことがどれだけの意味を持つかを、これだけ上手く説明した喩えを私は他に知らない。騎手はダービーを勝つことによって、全く別の次元に昇華する。もしかすると、ダービーを勝つことによって得られる内的体験を求めて、人は騎手になるのかもしれない。

偉大な騎手であった父福永洋一でさえ勝てなかったダービーの栄冠が、手を伸ばせばすぐに届きそうなところまで来ている福永祐一騎手は、どのような心境で日曜日の朝を迎えるのだろうか。故郷を離れ、異国のターフで戦うことを選んだM・デムーロ騎手やC・ルメール騎手、日本のダービーを勝つチャンスを胸に秘めた2人の騎手たちは、果たして今夜は眠れるのだろうか。恩師である松田博資調教師の最後のダービーの夢を託された川田将雅騎手は、直線で叩き合いを演じる姿を何度想像するだろう。騎手だけではない。有力馬を出走させる調教師、厩務員、馬主、牧場関係者もまた、ダービー前夜は眠れないだろう。そしてあなたも、ダービー前夜は眠れぬ最高の夜を過ごすに違いない。

Photo by 三浦晃一

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日本ダービーを当てるために知っておくべき3つのこと

Derby

■1■乗り替わりは大きなデメリット
「すべての牡馬は生まれた直後から、ダービーを獲るという目標に向かって育てられる」と言っても過言ではない。すべての馴致、育成、調教という点は、ダービーに向かって線でつながっているのである。その線上において、騎手が実戦のレースにおいて競馬を教えていくという役割は大きい。道中を走るリズム、息を入れるタイミングを教え、馬群の中で走ること、馬群を割ることに対する恐怖を取り除くなど、レースをうまく運ぶためのコツを教えていくのは騎手の役割である。

それゆえだろうか、ダービーで乗り替わりがあった馬は、これまでに勝ったことがない。過去17年間で【0・6・5・92】という散々たる結果である。このデータだけを取っても、デビューから競馬を教えてきた騎手が、本番であるダービーで乗り替わることに、どれだけのデメリットがあるかが分かるはずである。

また、連対に絡んだ6頭の内訳は、平成13年のダンツフレーム、平成14年のシンボリクリスエス、平成16年のハーツクライ、平成18年のアドマイヤメイン、平成19年のアサクサキングス、平成22年のローズキングダムとなる。アドマイヤメインとアサクサキングスを除いて、乗り替わり前の騎手が騎乗する馬に、乗り替わられた馬が先着していないということは面白い事実である。

たとえば、平成14年のシンボリクリスエスは武豊騎手から岡部騎手に乗り替わったが、武豊騎手はタニノギムレットでダービーを制した。また、平成16年のハーツクライは安藤勝己騎手から横山典騎手に乗り替わったが、安藤騎手はキングカメハメハでダービーを勝った。このように、ある騎手が乗り替わる前の馬に、乗り替わった後の馬が先着することは少ない。つまり、ダービーを勝つような馬は、どんなことがあってもジョッキーが手放すことはない、もしくは手を離れることはないということである。注)平成13年のダンツフレームの藤田騎手はダービーに騎乗していない。

■2■経験を積んだベテランジョッキー
過去の勝利騎手のほとんどは、経験を積んだベテランジョッキーである。あの武豊騎手でさえ12年もかかったように、ダービーを勝つことは他のG1レースとは比べものにならないほど難しいことなのである。円熟した騎手が活躍している理由として、

1、ダービーという異様な雰囲気の中で、平常心で騎乗できる精神力が求められる
2、ダービーを勝つためには騎手としてのあらゆる経験を生かさなければならない
ということが考えられる。

それ以前に、ダービーを獲れるだけの器の馬を依頼されなければならないし、多数を依頼された場合には、その中からダービーを勝てそうな馬を選択していかなければならない。つまり、ジョッキーとしてのあらゆる技術や経験が求められることになるのである。だからこそ、ダービーというレースは一朝一夕で勝てるはずはなく、騎手にとっても憧れのレースとなり得るのである。

■3■皐月賞からの直行組
ダービーでは皐月賞からの直行組が好走することが多い。直行組以外としては、以下の2つのパターンが考えられる。

1)皐月賞のあとにトライアルレースをはさんだ馬
2)別路線組

最近の傾向として、1)の皐月賞からダービーの間にレースをはさむ馬は少なくなってきている。ほとんどの有力馬がダービーに直行し余力を残している中で、トライアルを使うということは、それだけで十分なディスアドバンテージになるからである。それでも敢えてトライアルを使うとすれば、本番のダービーでは勝負にならないことを見越した上でのことであり、メンバーが落ちるトライアルで賞金を確実に稼ごうという意図が読み取れる。実力的にも足りず、余力も残っていない馬が、本番であるダービーで好走することが難しいことは想像に難くない。

2)の別路線組では、最近ではNHKマイルカップか青葉賞を勝ってきた馬の活躍が目立つ。NHKマイルカップからはキングカメハメハとディープスカイという大物が出ているように、決して相性の悪いレースではない。府中のマイル戦を勝ち切れるスタミナがあれば、2400mもこなせるということである。今後も注目のステップレースとなるには違いないが、中2週というローテーションを考えると、皐月賞からの直行組に軍配が上がるだろう。また、青葉賞からは古いところではエアダブリンが、最近ではシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、アドマイヤメイン、フェノーメノが本番でも好走している。同条件を勝ってきた馬なので当然といえば当然なのだが、完成度がやっと追いついてきたという素質馬が多い。しかし、まだダービーの勝ち馬が出ていないのも事実である。

結論としては、1)のパターンは本番のダービーでは勝負にならず、狙うとすれば2)のパターンということになる。ただし、勝ち馬に限って言えば、皐月賞からの直行組を狙うのが定石だろう。

■参考データとして
1、前走G1レース(皐月賞かNHKマイルカップ)以外で負けている馬は×
2、2000m以上未経験の馬は×
3、前2走で連対なしの馬は×

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東京芝2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。

以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

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現代のダービーにおいて「運が良い」とは内枠を引くこと

Rensai010

競馬は強い馬が勝つわけではなく、勝った馬が強いわけでもなく、勝つためのポジションを走った馬が勝つ。ほとんどの人は賛成しないかもしれないが、これは大切な真実である。力が抜けている馬であれば、どこのポジションを走ろうとも勝つことができる。後ろから行こうが、大外を回そうが、脚の速さの違いでねじ伏せることができる。しかし、各馬の実力が拮抗する重賞レース、特に世代の頂点に立つ馬を決める日本ダービーには、勝つために走るべき明確なポジションが存在する。

競馬には勝つために走るべきポジションがあることを最初に発明したのは、かつて府中2400mのスペシャリストと呼ばれた嶋田功元騎手であった。日本ダービーやジャパンカップ、オークスなどの大レースが行われる東京競馬場の芝2400mコースにおける勝ち方を、レースを観たり、実際のレースで試したり、とことん研究し、その結果、1972年から74年にかけて、タケフブキ、ナスノチグサ、トウコウエルザでオークスを3連覇するという偉業を成し遂げた。その3つのレースは、ほとんど同じようなポジションを走っての勝利であった。しかも、ナスノチグサの1973年には、翌週の日本ダービーまでタケホープで制してみせたのだ。そう、あのハイセイコーが敗れた日本ダービーでもある。

具体的な府中芝2400mを勝つためのポジションとは、スタートしてから第1、2コーナーは内ラチ沿いピッタリを距離ロスのないように回り、向こう正面で先行集団との差を詰めておく。第3~4コーナーは少しずつ外に出しながら回り、最後の直線では馬場の良い内から3~4頭目のところに持ち出して追い出すというものである。

近年の日本ダービーにおいては、勝つためのポジションを走った馬が勝つという傾向に拍車が掛かっている。過去10年の日本ダービー馬が走ったポジションを見ると、ディープインパクトやオルフェ―ヴルといった圧倒的な能力を誇る3冠馬を除いたほとんど全ての馬たちが、前述の府中芝2400mを勝つために走るべきポジションを走っていることが分かる。昨年のワンアンドオンリーの走りを思い浮かべた方もいるだろうし、メイショウサムソンが2冠に輝いたレース振りを思い出した人もいるだろう。勝つためのポジションを走る馬は、まるで1頭だけ無重力状態にいるかのように、ロスも負荷もなく道中を回ってくることができる。

(続きは週刊Gallopにて)

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女王の強みは、気性。


オークス2015―観戦記―
ノットフォーマルが外枠から切れ込むようにして先頭に立ち、前半の1200mが73秒9、後半の1200mが71秒1というスローにレースは流れた。2ハロン目以外は12秒台(4ハロン目は13秒)のラップが前半はコンスタントに刻まれ、後半は11秒台のラップに転じるという、分かりやすいほどなだらかな後傾ペース。前半はしっかりと折り合えて、後半は長く良い脚を使える馬にとって打ってつけのレースであった。スローペースにもかかわらず、後ろから行った馬たちが上位を占めたのはそういうことだろう。

ミッキークイーンの最大の強みは、決して行きたがることのない穏やかな気性である。どちらかというと、ジョッキーが押してこそ前へ進んでいくタイプ。前走の忘れな草賞でも、ゴール前で浜中俊騎手が追うのをやめるや、すぐに耳を立てて遊んでいた。こういうタイプの馬は、オークスのように距離が一気に延びたりして、折り合いに気をつけなければならないレースにおいてこそ安心して騎乗することができる。久しぶりに忘れな草賞組から勝ち馬が出たが、桜花賞組が弱かったというよりは、ミッキークイーンが強かったということである。430kg台と小柄な馬だが、馬体の完成度は案外高く、今後は現在のシルエットを維持しながらも全体的にパワーアップしていけば、素晴らしい馬に成長するだろう。

浜中俊騎手はミッキークイーンの長所を生かす競馬に徹していた。勝ちに行くというよりは、馬の性格やこれまでの走りを考慮に入れて、ミッキークイーンが自分のレースができるようにサポートしていた。浜中俊騎手は騎手の中でもトップクラスの身体能力を誇り、海外で通用する日本人ジョッキーのひとりである。とはいえ、今回の騎乗に関しては、彼が剛腕や技術を振るったのは最後の接戦のときだけで、それ以外の部分は、馬を良く見て、馬の良さを引き出した感が強い。馬の背から消えるような騎乗であった。

桜花賞に続き1番人気に推されたルージュバックは、今回は積極的なレース運びで力を出し切った。本来はこういうスムーズな競馬ができる器用さのある馬である。道中の折り合いも、仕掛けるタイミングもほぼ戸崎圭太騎手が思い描いていた通りであったはずだが、それでも最後は伸びあぐねてしまった。しかし、この敗戦を見て、ルージュバックを見限ってしまうのは早計である。桜花賞まで無敗できたことで、陣営にも馬にも極限のプレッシャーが掛かり、馬体がしぼんだ状態で大敗したのち、そこからわずか2か月足らずでここまで回復してきたのだから凄い。今回も決して完調ではなく、並みの馬ならば勝ち負けには加われないだろう。大きく崩れていたとしてもおかしくはなかった。馬体は未完成であり、それでもここまで走るのだから将来が楽しみな馬であることは間違いない。

ゲート入りをごねたクルミナルは、やや立ち遅れたが、レースの流れには乗って、ルージュバックをマークする形で、最後はきっちりと末脚を伸ばした。この中間で胴部に伸びが出ていたとしても、前駆の勝ったパワータイプだけに、距離が延びたことがプラスに働いたとは言い難い。エンジンの良さで距離を克服したということだ。桜花賞馬のレッツゴードンキは、道中でハミを噛んでいたように、前走や前々走で逃げてきたことのツケが出てしまった。行かせてしまうと、後のレースで我慢が利かないようになってしまうデメリットがある。ココロノアイはベストポジションで走ることができたが、最後の直線で弾けることなく終わってしまった。良馬場の瞬発力勝負が合わなかったというよりは、この馬自身、昨年の暮れ以降、関西への長距離輸送が続いたこともあって疲れが残っているのかもしれない。

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ふっくらと力強さも出てきたルージュバック:5つ☆

レッツゴードンキ →馬体を見る
2歳時から馬体の完成度は高く、牡馬顔負けのアウトラインと筋肉の入り方。
前走に比べると、筋肉のメリハリという点が今ひとつで平行線というところか。
Pad4star

クルミナル →馬体を見る
桜花賞時に比べて、胴部に長さが出てきて、この感じだと距離はこなせる。
とはいえ、前駆に力強さが漲っているように、パワータイプでマイル向きではある。
Pad4star

ルージュバック →馬体を見る
馬体だけを見ると、桜花賞時に比べてふっくらとして、力強さも出てきた。
前走は陣営の気持ちが入り過ぎ、それが馬に伝わって細くなっていたのだろう。
Pad5star

キャットコイン →馬体を見る
馬体重もさほどない馬であり、馬体全体のシルエットからも線の細さは否めない。
それでも、付くべきところには筋肉がついて、現時点では最高の仕上がりにある。
Pad4star

ノットフォーマル →馬体を見る
背中が垂れているように映るのは、トモの肉付きが物足りないからである。
前駆の力強さに比べて、後躯に実が入っておらず推進力という点ではあと一歩。
Pad3star

ココロノアイ →馬体を見る
休み明けのチューリップ賞時の方が、ふっくらとして、筋肉に柔らかさがあった。
それでも前走の桜花賞よりは体調は上がっており、力強さも出てきている。
Pad3star

ディアマイダーリン →馬体を見る
このメンバーに入ると、特筆すべき点のない平均的な馬体であり、安定はしている。
筋肉が硬い分、パワーはこのメンバーでも上位であり、馬場が重くなれば面白い。
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ミッキークイーン →馬体を見る
420kg台の馬体重の割には、馬体を大きく見せて、線の細さは感じられない。
もう少し筋肉のメリハリが出てくればなお良いが、現時点でも完成度は十分に高い。
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シングウィズジョイ →馬体を見る
背中のラインが腰高に映るように、スピードの勝ったタイプの馬だろう。
血統的にもそうだが、馬体を見ても、距離延長は決してプラス材料ではない。
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コンテッサトゥーレ →馬体を見る
このメンバーに入ると、馬体にまだ幼さが残っていて、完成度の低さが目立つ。
賢そうな顔つきからは、操作性の高さが見て取れて、この馬の力は発揮できるはず。
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クイーンズリング →馬体を見る
450kgそこそこの馬体の馬とは思えない力強さがあり、重馬場は大歓迎のくち。
とはいえ、800mの距離延長がプラスに働くとは思えず、今回は距離が課題か。
Pad3star

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名馬の影に名馬あり

Jiromaru

競馬を30年近く観てきたことで、たくさんの名馬たちと出会いました。G1レースをたくさん勝ったような名馬もいれば、その血を残しつつ繁栄させた名馬もいます。荒削りで個性的な名馬もいれば、優等生的な名馬もいました。その時代を生きた自分の状況とも重ねて私たちは名馬を見ますので、それぞれにはそれぞれの名馬がいるはずです。もちろん私にとっても、私だけの名馬や私なりの名馬がいます。100人の競馬ファンがいたら、5、6人ぐらいが、「ああ、あの馬はいい馬だったよね」と言ってくれるような名馬です。そんな私にとっての名馬の1頭であるユキノビジンについて書きたいと思います。

ユキノビジンは岩手の盛岡競馬場からデビューしました。ちょうど最近、盛岡競馬場に行ってきたところですので、あの競馬場で新馬戦を迎えたユキノビジンを想像してみたりします。おそらくなんの期待も不安も背負うことなく、ダートの850mを走って回ってきたのだと思います。それで5馬身差の圧勝。続くレースでは水沢のトップジョッキー菅原勲元騎手が跨り、またしても5馬身差の楽勝。その後、2戦を経て、ユキノビジンのスピードの絶対値に驚いた関係者たちは、ユキノビジンを中央競馬に移籍させることを決めたのでした。

芝の上を走る栗毛のユキノビジンは、まるで猫のようなバネとか可愛らしさを感じさせ、中央競馬にやってきた地方馬というイメージは全くありませんでした。中央でのデビュー戦(クロッカスS)の走りを見て、私はあっと言う間に彼女のファンになってしまいました。もちろん、桜花賞で私はユキノビジンの馬券を手に握って応援していましたが、ベガに跨った武豊騎手の絶妙の騎乗の前に、わずかの差で栄冠を逃してしまったのでした。ユキノビジンよりも前にベガがポジションしたことに驚き、最終コーナーでは外を回らされてしまったユキノビジンが最後はハナ差までベガを追い詰めたことにも驚きました。今振り返ってみても、もう少しスムーズな競馬ができていれば、ユキノビジンは桜花賞馬になれたのではと思います。

オークスに向けては、正直に言うと、私は半信半疑でした。というのは、桜花賞を勝ったベガは父がトニービンであり、距離が延びて良いタイプの馬であっただけに、父サクラユタカオーであるユキノビジンがオークスの舞台で逆転するとは想像しづらかったからです。一般論としては、さらにユキノビジンの血統には懐疑的であり、2着にはその他の馬たちの台頭を予想する方々も多かったことを覚えています。普段は単勝馬券を買う私も、さすがにこの時ばかりは、ユキノビジンの単勝ではなく、ベガとユキノビジンの馬連を買うことにしました。ユキノビジンが2着に入れるかどうかを問われる馬券ということでした。私は最後の直線で必死になってユキノビジンを応援しました。颯爽と優雅に先頭に踊り出たベガではなく、2番手でもがき苦しんでいるユキノビジンとレースを共にしたのでした。

今思うと、この年の牝馬クラシックやこのオークスには、たくさんの名馬たちが集っていました。あのホクトベガやマックスビューティの仔であるマックスジョリー、ヤマヒサローレル、デンコウセッカ、ワコーチカコなど。名前を聞くだけで、胸が熱くなるというオールドファンもいるかもしれません。ちなみに、今年のオークスに出走するココロノアイの曾祖母はこの年のオークスで3着に敗れたマックスジョリーです。名馬の影に名馬あり。競馬ファンの数だけ名馬がいると言うのも、決して大げさではありませんね。

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オークスは「桜花賞で外を回らされて敗れた馬」が巻き返す

Rensai009

オグリキャップが引退した年に競馬を始めた私が、四半世紀にわたって日本の競馬を見つめてきた中で、大きな潮流の変化のひとつとして、レースのスローペース化がある。その根本の原因は定かではなく、またひとつでもないが、日本の競馬がヨーロッパの薫陶を受けてきたことの影響は大きい。日本の最強馬にとっての最終目標が凱旋門賞であることからも分かるように、日本の競馬関係者はヨーロッパに傾倒し、その傾向はますます強まっている。海外から輸入される種牡馬も繁殖牝馬も欧州の血を含んでいることが多く、M・デムーロ騎手やC・ルメール騎手を筆頭に、日本で騎乗している外国人も欧州のジョッキーがほとんどである。そういった流れの中で、少しずつであるが確実に、日本の競馬はスローペース化してきた。

レースがスローペース化すると、競走馬やジョッキーに問われる資質も違ってくるのはさることながら、実戦のレースにおいては、インのポジションを確保することが極めて重要となる。大前提として、スローペースの競馬においては、馬群が固まり、縦長ではなく横長の隊列になるため、馬群の内を走った馬と外を走った馬の距離ロスの差は大きい。内を走った馬が脚をためられる一方、外を回らされた馬は知らずのうちに脚を失ってしまうことになる。

馬群の内を走ることには、馬の資質や騎手の技術以上に、どの枠順(枠番)を引き当てたかが大きく影響する。どうしても内の枠順を引いた馬は内、外を引いた馬は外のポジションを走る(走らされる)ことが多く、そういった意味では、枠順が走るコースを規定していると考えることができる。上級のレースになればなるほど各馬の力差は拮抗していて、だからこそ余計に、枠順による走るポジションの差が勝敗を決してしまうことが少なくない。つまり、スローペースに流れるレースが増えてきている以上、外の枠順を引き、馬群の外々を走らされてしまったことで、力を発揮できずに敗れてしまう馬もまた増えているということだ。

(続きは週刊Gallopにて)

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オークスを当てるために知っておくべき3つのこと

Oaks

■1■オークスを勝つための条件
牝馬クラシックにおける、桜花賞1600m→オークス2400m→秋華賞2000mという距離の伸縮には少なからず問題点があるだろうが、実際のところ、オークスは2400m戦のレースであっても、内容(実質)的には1600m~2000m程度のものになってしまうことが多い。なぜなら、どの馬にとっても2400mは未知の距離となるため、各騎手に前半大事に乗ろうという気持ちが働き、ペースが遅くなるケースが多いからである。道中はゆっくりと行って、ラストの瞬発力勝負というレースになりがちで、そのため、オークスを勝つために条件となるのは、「スローペースに折り合える」、「瞬発力がある」という2点となる。

■2■桜花賞組が有利
また、桜花賞からの直行組の活躍が顕著なのは、桜花賞組の完成度が高いからである。スローペースに折り合うことができれば、たとえマイラーでもオークスの2400mは十分にこなせてしまう。最終的に問われるのは「絶対能力」であり、桜花賞で勝負になるだけのスピード(瞬発力を含む)、スタミナがあれば、それがそのままオークスでも十分通用してしまう。よって、別路線組よりも完成度(現時点での「絶対能力」)がはるかに高い、桜花賞組が有利になるのである。

■3■桜花賞→オークスの連覇が少なかった理由
なぜ桜花賞→オークスという連覇が少なかったかというと、

1、桜花賞馬はスピードが勝っている傾向があった
2、桜花賞で力を出し尽くしている という2点が考えられる。

1については、阪神競馬場が改修される以前の桜花賞を勝つような馬は、全体的なバランスとしてスピードが勝っている傾向が強かったので、「スローペースに折り合える」「瞬発力がある」のどちらかを満たしていないことが多かった。もちろん完成度が高いため好走はするのだが、それだけではオークスを勝ち切ることは難しい。

2については、桜花賞を勝つために力を出し切ってしまった馬が多く、1ヶ月半後のオークスまで体調を維持することができないことが多い。この時期の牝馬の体調は変わりやすいのである。つまり、余力を残して桜花賞を勝つか、余程能力が他馬と比べて抜けているかでないと、桜花賞→オークスという連覇は難しい。
阪神競馬場が大幅に改修されて以降の桜花賞馬の次走を見てみると、

2007年 ダイワスカーレット→ローズS1着
2008年 レジネッタ→オークス3着
2009年 ブエナビスタ→オークス1着
2010年 アパパネ→オークス1着
2011年 マルセリーナ→オークス4着
2012年 ジェンティルドンナ→オークス1着
2013年 アユサン→オークス4着
2014年 ハープスター→オークス2着

と桜花賞馬とオークスが直結しつつあることが分かる。

阪神競馬場の改修を境として、桜花賞を勝つために求められる条件が一変した。つまり、仕上がりが早く、スピードの勝った馬が有利だったが、今やスローペースにしっかりと折り合えて、瞬発力に秀でていて、クラシックを目の前にしてグンと成長してくる馬が有利になったのだ。しかも、マイル以上の距離を走ることのできるスタミナの裏づけが必要になってくる。これらの条件を満たして桜花賞を勝利した馬は、よほど体調を崩してしまわない限り、距離が延びても同じ適性が問われるオークスで凡走することは考えにくいということになる。

■参考として
1)1600m以上のレースで連対したことのない馬は×
2)たとえ桜花賞であろうとも、前走が着外であった馬は×
3)重賞未経験の馬は×
4)連対率が50%以下の馬は×
5)桜花賞のあとレースを使った馬は×

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これはスローペースではないのか?


ヴィクトリアマイル2015―観戦記―
大外枠からミナレットが大逃げを打ち、ケイアイエレガントがポツンと2番手を進み、そこからさらに大きく開いて後続集団が追走した。ミナレットが刻んだペースは前半マイルが45秒5、後半が46秒4という前傾ラップだが、ケイアイエレガントは平均ペース、そしてレース本体としては超がつくほどのスローペース。後続にとっては前の2頭は見えておらず、全く異なる空間を走っていた2つのレースが最後に1つに交わったような展開となった。レース映像に手を当てて、ミナレットとケイアイエレガントを隠して観てみると、今年のヴィクトリアマイルの実像が掴めるはず。

勝ったストレイトガールは、スローペースの瞬発力勝負を制し、初のG1タイトルを手にした。実質3番手を追走して、自身の上がり3ハロンが33秒ジャストだから、さすがにこれを上回る馬はいなかった。昨年も3着に来ているように、単なるスプリンターではなく、スタミナの裏付けもある馬ではあるが、今回はペースが落ち着いたことで、スタミナをさほど問われなかったことも勝因のひとつ。ヴィクトリアマイルが新設された当初は、各馬が手探りの競馬をして極端なスローに流れることが多く、コイウタやエイジアンウインズが勝利したように、フジキセキ産駒はこういったレースに滅法強い。

戸崎圭太騎手の良さは、自然体で乗ったときにこそ発揮される。スタートが良く、馬のリズムとレースの流れを自然に調和させることができるため、無理をすることなく最適なポジションを走ることができる。頭で考えすぎたり、自ら勝ちに行こうとしたりするタイプではないということだ。直線に向いて、追い出してからはさすがの迫力で、馬に気を抜かせることなくキッチリと最後まで追ってくる。南関東で頂点を極めたことも納得のフィニッシュ。関東に所属しているため、G1レースを勝つときは代打で関西馬に乗ったとき、というパターンはこれからも続くのではないだろうか。

ミナレットとケイアイエレガントはレースの盲点になり、恵まれたことは確かだが、最後までよく粘っていた。それにしても、ラップや時計うんぬんではなく、ノーマークで逃げられることがここまで有利に働くことに改めて驚かされる。クィーンスプマンテとテイエムプリキュアが大逃げを打って、ブエナビスタを負かした2009年のエリザベス女王杯を思い出したのは、私だけではないはずだ。競馬のレースは実に奥が深い。

レッドリヴェールもカフェブリリアントも、スローの流れを前につけて、インコースで脚を溜める最高の騎乗ができたが、勝ち馬の切れ味の鋭さの前に屈してしまった。レースを観る限り、前の2頭を追いかけず、蓋をしてしまったのはC・ルメール騎手であろう。レッドリヴェールのスタミナを生かすには、もう少し積極的に前を追いかけても良かったのではないか。ディアデラマドレはスタートから流れに乗れず、ラストは伸びてはいるものの、さすがに届かない。マイルの流れが合わないというよりは、マイル戦だからという鞍上の意識が馬に伝わって、馬が硬くなり、スタートして気持ちと身体がバラバラになってしまっている。

1番人気のヌ―ヴォレコルトは、勝ち馬のすぐ後ろの位置につけ、展開は向いたにもかかわらず、掲示板にさえ載れなかった。牡馬を凌ぐほどのスタミナを秘めているヌ―ヴォレコルトにとって、今回の究極の瞬発力勝負は明らかに分が悪かった。勝つために求められている適性が全く逆であるということだ。この馬なりに伸びてはいるが、自身の強みを生かせるようなレースではなく、悲観することは全くない。宝塚記念に出走すれば、十分にチャンスはある。

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シルエットが大人びてきたディアデラマドレ:5つ☆

ディアデラマドレ →馬体を見る
昨年は幼さが残っていたが、ここにきて馬体全体のシルエットが大人びてきた。
特に前駆には力強さが出て、スラリとバランス良く伸びる首にも好感が持てる。
Pad5star

メイショウマンボ →馬体を見る
3歳時は線の細さばかりが目立つ中で活躍したが、馬体的には成長をしている。
線の細さは残るが、付くべきところに筋肉がついて、毛艶が冴えて体調は良い。
Pad4star

レッドリヴェール →馬体を見る
2歳時に比べると全体的にしっかりとしてきた印象を受け、馬体にも伸びが出た。
毛艶は良く、体調は申し分ないが、表情からは気性の激しさが伝わってくる。
Pad3star

カフェブリリアント →馬体を見る
いかにも晩年のブライアンズタイム産駒といった馬体で、最高潮の出来にある。
馬体にも伸びがあるように、距離が延びることはプラスに働くし、マイルがベスト。
Pad3star

スマートレイヤー →馬体を見る
古馬になって、馬体はたくましく成長し、この馬にとっては完成期か。
前後のバランスは良いが、手脚がやや短く、府中のマイル戦は若干長いかも。
Pad3star

リトルゲルダ →馬体を見る
前駆が勝っていて、いかにもパワーがありそうなスプリンター体型を誇る。
その分、距離が延長されることはプラスではないが、ペースがスローになれば。
Pad3star

スイートサルサ →馬体を見る
古馬になっても線の細さは変わらず、これがこの馬の特徴なのだろう。
距離は長めでも対応できるが、この体型であれば府中のマイル戦はちょうど良い。
Pad3star

ストレイトガール →馬体を見る
絶好調時のような迫力やメリハリはないが、かといって衰えも感じられない。
海外遠征の疲れを引きずっていた前走よりも、今回の方が体調自体は良い。
Pad4star

ケイアイエレガント →馬体を見る
手脚がスッと伸びて、いかにも中距離でじわじわと脚を使うタイプの馬体。
府中の長い直線をどう生かすかだが、決して大崩はせず、安定して力は出せる。
Pad3star

ヌ―ヴォレコルト →馬体を見る
胴部には十分な伸びがありスタミナ豊富な馬体だが、脚がやや短く重心は低い。
表情からは気性の素直さが伝わってきて、どんなレースでもできる器用さがある。
Pad4star

ショウナンパンドラ →馬体を見る
こちらは前後躯に筋肉がガッチリとついて、筋骨隆々な典型的なマイラー体型。
もうひと絞り必要だが、前走を叩いて体調はアップしていることは確か。
Pad4star


Victoriam2015wt

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死闘

Sitou

イギリスやフランスでは、競馬場にピクニックに行くという。文字通り、たとえばコースの内側の芝生に敷物を広げ、柔らかな陽射しに包まれながら、家族や友だちや恋人と話して過ごす。馬券を買うこともあるが、決してそれが目的ではない。たまたまそこで馬券を売っているというだけであって、その日の重賞の勝ち馬さえ知らずに帰ることも多いという。

ヴェルメイユ賞やオークスなど、女性のためのレースがある日は、競馬場はピクニックから社交場へと様変わりする。目に鮮やかな衣装を身にまとい、とびきり縁の大きな帽子を被った女性が、ハイヒールで競馬場を闊歩する。ひと昔前の日本では考えられなかったこんな風景が、最近では日本の競馬場でも少しずつ見られるようになってきた。私の競馬友だちの女性は、昨年のヴィクトリアマイルの日、JRA主催のドレスアップパーティーに参加して、華やかな衣装を身にまとい、縁の大きな帽子を被って、7階席のベランダから観戦したという。

ヴィクトリアマイルは、古馬牝馬による春の女王決定戦という位置づけで創設された。秋のエリザベス女王杯が3歳馬と古馬の世代交代という意味合いが強いレースであるのに対し、春のヴィクトリアマイルは今まさに成熟した女性だけによる華やかなレースである。ダンスインザムード、コイウタ、エイジアンウインズ、ウオッカ、ブエナビスタ、そしてヴィルシーナ。過去のどの勝ち馬を見ても、今にも踊って歌い出してしまいたくなるような名ばかりだ。

しかし、レースが始まってしまえば、一転、競馬はモノクロの世界に様変わりする。華やかな衣装に身を纏っていたはずの美しいサラブレッドは、500kgの筋肉の塊のアスリートと化す。息遣いは激しく、目をむき出し、互いに体をぶつけ合い、蹄鉄同士が擦り合わさって火花が散る。人生にチャンスはたった一度だけ。女の意地に賭けても負けられない。そんな心意気に応えるように、ジョッキーも必死の形相で馬を追い、鞭を振るう。競馬はピクニックであり、観劇であり、スポーツであり、そして死闘でもある。それでいいのだ。

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ヴィクトリアマイルを当てるために知っておくべきこと

Victoriamile

■1■短距離馬がもってしまうレースから底力勝負へ
府中のマイル戦といえば、字ズラ以上にスタミナが要求されるレースなのだが、ことヴィクトリアマイルに関していえば、そうとは言い切れない結果が出ている。2頭のフジキセキ産駒が勝利しているように、2009年、2010年のウオッカ、ブエナビスタらは別として、どちらかというとマイル以下を得意とする馬が勝ち切っているレースであった。その理由はレース自体のペースにあった。

12.6-11.2-11.6-12.1-12.2-11.4-11.3-11.6(47.5-46.5)S
1:34.0 ダンスインザムード
12.3-10.8-11.7-11.8-11.6-11.2-11.2-11.9(46.6-45.9)M
1:32.5 コイウタ
12.4-11.3-12.0-12.2-12.1-11.2-11.0-11.5(47.9-45.8)S
1.33.7 エイジアンウインズ
12.2-10.8-11.7-12.0-11.9-11.2-10.8-11.8(46.7-45.7)S
1:32.4 ウオッカ
12.2-10.6-11.0-11.7-12.0-11.6-11.3-12.0(45.5-46.9)H
1:32.4 ブエナビスタ
12.0-10.6-10.9-11.1-11.3-11.6-12.0-12.4(44.6-47.3)H
1:31.9 アパパネ
12.2-10.9-11.3-12.0-11.8-11.5-11.2-11.5(46.4-46.0)M
1.32.4 ホエールキャプチャ
12.4-10.8-11.4-11.7-11.9-11.4-11.2-11.6(46.3-46.1)M
1:32.4 ヴィルシーナ
12.4-10.7-11.6-11.5-11.8-11.4-11.2-11.7(46.2-46.1)M

ヴィクトリアマイルが新設されてから最初の4年間は、ほとんどのレースは前半が遅くて、後半が速いという、G1レースのマイル戦では珍しい後傾ラップであることが分かる。道中で引っ掛かることや東京競馬場の長い最後のストレッチを心配して、牝馬同士であることを含め、あまりガンガンやり合うような競馬にならなかったからである。マイル以下に適性があるような短距離馬でも、なんとかもってしまうというレースになりやすかったが、ここ数年は状況に変化が見られる。

2010年からは道中のペースが上がり、スローの瞬発力勝負になるレースが見られなくなった。そのことによって、ブエナビスタに始まり、アパパネ、ホエールキャプチャ、ヴィルシーナと、マイル戦以上のレースで好勝負を繰り広げてきた名牝たちによる、単なるスピードだけではなく、スタミナも問われる底力勝負となっている。

■2■近走で牡馬を相手に好勝負出来ていた馬
過去のほとんどの勝ち馬に共通する条件は、「近走で牡馬を相手に勝ち負けできていた」ということである。第1回の勝ち馬ダンスインザムードは、天皇賞秋3着、マイルCS4着、マイラーズC2着と、牡馬を相手に近走で互角に走っていた。第2回の勝ち馬コイウタも前走はダービー卿チャレンジで2着に入っていた。さらに言えば、ダンスインザムードの2着したエアメサイアも、前々走の中山記念で牡馬の3着と好走していた。ウオッカやブエナビスタ、アパパネは言わずもがなである。牝馬同士のG1レースであるがゆえ、牡馬と好勝負出来ているということの意味は大きい。

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東京マイル攻略の鍵「中山芝千八の実績にだまされるな」

Rensai008

ヴィクトリアマイルの出走登録馬の中にその名前を見て、嬉しく思ったのも束の間、ホエールキャプチャは左前脚に不安を発症してしまい、現役を引退して生まれ故郷の千代田牧場に戻ることが決まった。ホエールキャプチャは今年で7歳、ヴィクトリアマイルへの出走はこれで4年連続となるはずであった。4歳時にヴィクトリアマイルを制してから、その翌年もハナ差の2着、昨年は4着と年齢を感じさせない走りを見せていただけに残念である。ヴィクトリアマイルは、トップクラスの古馬牝馬ができるかぎり長く競走生活を送るための目標となるべく新設されたG1レースであり、ホエールキャプチャのような馬こそが活躍するに相応しい舞台である。

ホエールキャプチャは象徴としてだけではなく、ヴィクトリアマイルというレースの特徴を示唆してくれた馬でもある。2012年、ホエールキャプチャがヴィクトリアマイルを完勝したとき、呆気にとられた競馬ファンも多かったはず。牝馬のクラシック戦線では惜しいところで勝ち切れなかったホエールキャプチャが、いとも簡単にヴィクトリアマイルを勝利してしまったからだ。しかも、その前走の中山牝馬Sでは見せ場なく5着に敗れていただけに、余計にそう思えた。

中山牝馬Sが行われる中山競馬場の芝1800mは、スタミナを問われるコースである。違和感がある人は、上がりの速い競馬にならないコースと解釈してみてほしい。中山競馬場の芝1800mは、コーナーを4つ回る、内回りのコースであり、上がり3ハロンが35秒~36秒も掛かる競馬になりやすい。道中で持続的に脚を使わされるため、ホワイトマズルやオペラハウスを代表とするヨーロッパ型のスタミナ血統が強く、反対にサンデーサイレンスの血を引く、スピードに長けている瞬発力タイプは苦手とする。重馬場や不良馬場になってしまうと、その傾向はより一層強まる。スピードや瞬発力とは正反対の要素である、スタミナと持続力が求められる舞台ということだ。


(続きは週刊Gallopにて)

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馬の気持ちに乗った


NHKマイルC2015―観戦記―
レンイングランドが思い切ってハナを切り、3連勝中の牝馬アルビアーノは抑える競馬となり、前半の800mが47秒2、後半の800mが46秒3というNHKマイルCとしては超がつくスローペースで流れた。カレンブラックヒルやミッキーアイルが逃げ切った2012年と2014年でさえイーブンペースであったことを考えると、前に行った馬にとっては極めて有利、後ろから行った馬ではほとんど勝負にならないレースであった。桜花賞の超スローを筆頭として、G1レースとは思えないレベルの低下であり、この流れは今後も続くはずである。つまり、レースの流れ(展開)を予想するときには、スローに張る方が正解ということだ。

勝ったクラリティスカイは、前走の皐月賞で逃げたことが結果としては吉と出た。行かしてしまう競馬をすると、その後、馬が行きたがる(引っ掛かる)ようになることが多いが、今回に限っては、その前進気勢をなんとか抑え込み、先行できたことを生かしての勝利であった。さすが皐月賞5着馬であり、他の路線から来た馬たちを退けてみせた。父クロフネ譲りの骨量豊な胸前にはパワーが漲り、母父スペシャルウィークから受け継いだスタミナに支えられており、この馬にとっては府中のマイル戦はベストの舞台である。

横山典弘騎手はこれで2週連続のG1勝利となった。天皇賞春のゴールドシップもそうであったように、馬の特徴を把握し、生かすことで、騎乗全体としてはごく自然な振る舞いになっている。ゴールドシップは派手なレースをしたように見えるが、馬の気持ちや個性を尊重した結果であり、クラリティスカイも(文字通り)馬の気持ちに乗って先行したことで勝利を手にした。これぞベテランという騎乗で、難しいことをいとも簡単に見せてしまうのが横山典弘騎手の凄いところだろう。最後の直線で鞭を連打して馬を叱咤激励する姿は、とても47歳のアスリートとは思えない。

アルビアーノはスローペースにも恵まれ、2着に粘り込んだ。あと一歩のところまで走ったが、最後は牡馬クラシックで善戦していた馬にねじ伏せられてしまった。気性が前向きで素直な馬であり、レースに行っても乗りやすくて、力を出し切れる。ムチを使うことなく、最後まで手綱だけで追ってきた柴山雄一騎手にも好感を覚える。大一番のあとひと踏ん張りというところでも我慢して、馬の気持ちを壊さないことを優先していた。こうした細かいことの積み重ねが、将来の大きな勝利につながるのだ。

ミュゼスルタンは休み明けを叩かれ、走れる状態に仕上がって出走してきたが、展開に恵まれず3着まで。もう少しペースが速くなっていれば、突き抜ける脚はあったが、これが競馬だろう。勝てる能力を持っているからといって、必ずしも勝てるわけではない。あらゆる運に恵まれるからこそ、特に大きなレースは勝てるのである。アヴニールマルシェも良く伸びているが、道中のポジションが悪く、休み明けの分、反応が遅かった。ミュゼスルタン同様に身体と心がパンとしてくれば、もっと走って良い馬である。

1番人気のグランシルクは好枠を生かし、この馬としては非の打ちどころのないレースをしていた。前走のように大きく出遅れることもなく、中団のインで流れに乗って、最後の直線も勝ち馬の後ろのポジションという理想的な形で迎えることができた。それでも、勝ち馬を上回る脚を使えなかったのは、まだこの馬が未完成だからである。馬体にも幼さが残り、成長の余地を残している現状では、掲示板に載るのが限界であった。

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典型的なマイラーの馬体アヴニールマルシェ:5つ☆

ヤマカツエース →馬体を見る
手脚が長く、胴部にも十分な長さがあり、府中のマイル戦でも対応できそう。
父キングカメハメハと母父グラスワンダーから力強さを受け継いでいる馬体を誇る。
Pad4star

クラリティスカイ →馬体を見る
前駆の盛り上がりが素晴らしく、いかにもパワータイプといった好馬体。
父から力強さを受け継いでおり、距離はマイルがベストで路線変更して正解だろう。
Pad4star

タガノアガザル →馬体を見る
胴部には長さがあるが、手脚が短く、重心が低いため、マイル以下の距離が合う。
毛艶は良く、筋肉のメリハリもあるので、この馬の力は出し切れる出来にある。
Pad3star

アルマワイオリ →馬体を見る
走っている姿からは想像できない、肩から首回りへの太さと力強さがある。
成長してきている分もあるが、前駆の強さがこの馬の末脚の源になるのだろう。
Pad3star

フミノムーン →馬体を見る
母父サンダーガルチの力強さが加わり、前後にしっかり実が入ってパワー十分。
気性の激しさが顔つきから伝わってくるように、難しいところがある。
Pad3star

マテンロウハピネス →馬体を見る
胴部と手脚には伸びがあり、父ダイワメジャーよりも母系の影響を受けている馬体。
その分、東京のマイル戦は合うはずで、この馬の力を出し切れる舞台ではある。
Pad3star

グランシルク →馬体を見る
立ち姿にやや硬さが残っているように、付くべきところに筋肉がついていない。
馬体のシルエットを見ると、ゆくゆくはマイル以上の距離を得意とする馬になるはず。
Pad3star

アルビアーノ →馬体を見る
前後に豊富な筋肉量があり、牝馬らしからぬ、いかにも外国産馬らしいパワーがある。
筋肉の質も素晴らしく、これからさらに成長してメリハリが良くなれば楽しみ。
Pad3star

グランチャーレ →馬体を見る
このメンバーに入ると線が細く、パワーには物足りなさがあるが、距離は持つはず。
馬体のシルエットが美しく、ゆっくり成長していけば将来的には楽しみな馬。
Pad3star

ヤングマンパワー →馬体を見る
首の位置が高いのは気になるが、胴部にはアバラが浮いており究極の仕上がり。
この時期の3歳馬としては平均的な馬体で、現時点での完成度は高い。
Pad3star

アヴニールマルシェ →馬体を見る
レース間隔を開けたのが吉と出て、馬体がふっくらと、疲れは完全に抜けた。
前後にしっかりと筋肉がつき、詰まった胴部からも典型的なマイラーの馬体。
Pad5star

ニシノラッシュ →馬体を見る
トモの部分に物足りなさは残るが、前駆は力強く、ほぼ完成されている。
顔つきからも素直さが伝わってきて、レースに行って力を出し切れるタイプ。
Pad3star

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祈るように賭ける

Jiromaru

週刊Gallopに「超・馬券のヒント」なんていう連載を持たせていただいている私ですが、馬券ではそれこそ星の数ほどの失敗と敗北を重ねてきました。しかも私の場合は、もう20年以上前から単勝馬券で勝負してきていますので、まさに一か八か、勝つか負けるかしかありません。当然のことながら、勝ったレースよりも負けたレースの方が多くなり、その感覚でいうと、ジョッキーに近いものがあるかもしれません。だからこそ、勝ったときは天にも昇る気持ちですし、負けたときには学ぶ準備ができています。そんな私ですが、NHKマイルCというレースには良い思い出があります。

1999年は私の競馬人生にとってエポックメイキングな年でした。1レース10万円という設定でG1レースの単勝に賭けて、1年間を過ごしたのでした。当時は仕事の給与の手取りが14万円ぐらいでしたので、若かった頃の私がいかに無謀であったかがお分かりかと思います。どのようにしてお金を工面したかは、恐ろしくて情けなくてここには書けませんが、まさに生死の境を行ったり来たりしているような1年でした。なぜここまでしたのかというと、「常に正解はひとつしかなく、私は100円でも10万円でも賭ける馬は同じ」という持論を証明したかったからだと思います。

もちろん、そんな私の自負など、負けが2レースほど続くとあっさりと吹き飛んでしまいました。何としても当てなければならない、負けるわけにはいかないという思考で頭は一杯になり、寝ても起きても競馬のことを考えてはみるものの、あると思っていたはずの絶対的な正解にたどり着くことは結局できませんでした。

1999年のNHKマイルCは、そんな半狂乱の精神状態で迎えたはずです。1番人気は武豊騎手が乗るエイシンキャメロン、そしてザカリア、レッドチリペッパー、マチカネキンノホシと続きました。私の本命候補として最後まで残っていたのは、藤沢和雄厩舎の2頭であるマチカネキンノホシとシンボリインディでした。今思えば、なぜシンボリインディの方を選択したのか分かりませんが、追い詰められた状況の中で、締め切りのベルが鳴った瞬間に私は、珍しくも、奇跡的に、正しい馬に賭けることができたのです。

最終コーナーを回って、内からスパッと抜け出したときの興奮や僥倖を言葉で言い表すことはできません。レース後に観た、内馬場から撮られたレース映像において、シンボリインディがほんとうに一瞬だけ脚を使って先頭に踊り出たことが分かり、競走馬の使える脚が本当に一瞬であることを理解したのもこの時でした。この1年間を通して、私は自分にはギャンブラーとしての資質がないことを知り、そして人間が馬券で勝つ(儲ける)ことが不可能であることを教えてもらったのです。逆に言うと、馬券で負けるということは実に人間的なのです。だから私は、今は祈るように賭けることにしています。

「もし競馬の神様がいらっしゃるのであれば、願わくば私の賭けた馬券が当たりますように」

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東京芝1600m

Tokyo1600t

向こう正面の直線入り口からのスタートで、第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は566mとかなり長い。スタートしてから緩い下りが続くことも加わって、前半から速いラップが刻まれることになる。“向こう正面でスピードが出てしまうこと”、“「直線が長く坂があること”の2つの理由によって、連対馬中の逃げ馬の比率が約12%という、「日本で最も差し馬が有利なコース」である。

コーナーの数が2つしかないことと、複合カーブであることによって、同じ1600mでも、中山競馬場のそれと比べるとごまかしが利かないコース設定になっている。マイル以上の「スタミナ」が要求され、スピードだけで押し切るのは難しいコースである。

ペースによって内外の有利不利が違ってくるコースであり、スローに近いペースであれば内、ハイペースに近ければ外の方が勝ちポジとなる。また、差し馬に有利とはいえ、東京競馬場の馬場状態は絶好であることが多いため、特に上級クラスになればなるほど、前に行った馬もそう簡単には止まらない。ペースやクラスに応じて柔軟に狙ってみるべき。

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NHKマイルCを当てるために知っておくべき3つのこと

Nhkmilec

■1■マイル以上のスタミナと完成度の高さが求められる
過去19年の優勝馬の前走距離と着順を見てみたい。

タイキフォーチュン→ 毎日杯(2000m)1着 
シーキングザパール→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
エルコンドルパサー→ ニュージーランドトロフィー(1400m)1着
シンボリインディ→ マーガレットS(1600m)1着
イーグルカフェ→ ニュージーランドトロフィー(1600m)7着
クロフネ→ 毎日杯(2000m)1着
テレグノシス→ スプリングS(1800m)2着
ウインクリューガー→ 毎日杯(2000m)8着
キングカメハメハ→ 毎日杯(2000m)1着
ラインクラフト→ 桜花賞(1600m)1着
ロジック→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
ピンクカメオ→桜花賞(1600m)14着
ディープスカイ→毎日杯(1800m)1着
ジョーカプチーノ→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
ダノンシャンティ→毎日杯(1800m)1着
グランプリボス→ニュージーランドトロフィー(1600m)3着
カレンブラックヒル→ニュージーランドトロフィー(1600m)1着
マイネルホウオウ→ニュージーランドトロフィー(1600m)7着
ミッキーアイル→アーリントンC(1600m)1着

シーキングザパールとエルコンドルパサー以外の馬は、前走で1600m以上のレースをステップにしている。そして、半数以上の馬は前走でも勝っているということが分かる。

最初に、ほとんどの勝ち馬が前走で1600m以上のレースをステップにしているのは、東京競馬場のマイル戦では、スピードだけではなくスタミナがないと勝ち切ることはできないからである。特にNHKマイルカップはハイペースになることが多く、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。

つまり、マイル戦がギリギリといったスピードタイプの馬ではなく、中距離を走り切ることのできるスタミナを兼ね備えていなくては、NHKマイルカップを制することは出来ない。例外的存在であるシーキングザパールにしてもエルコンドルパサーにしても、1600m以上の距離をこなせる十分なスタミナを兼備していた。このレースに出走してくる以上、どの馬も豊富なスピードを有しているのは当然と言えば当然で、最後に勝敗を分けるのはスタミナの有無なのである。

ほとんどの勝ち馬が前走でも勝っているのは、この時点での完成度の高さが勝ち馬に求められるからである。ポロポロと取りこぼしていたり、アッサリと負けてしまっていたりする馬では勝負にならない。G1レースである皐月賞、桜花賞組は別として、前走をキッチリと勝って臨んで来られないようでは、非常に高いレベルの要求されるこのレースでの好走は厳しい。

■2■ニュージーランドT組で展開が向かなかった馬が狙い
中山のマイル戦に条件変更されて以来、ニュージーランドトロフィーでの着順が、そのまま本番へと結びつかなくなっている。中山のマイル戦と府中のマイル戦ではあまりにも条件が違いすぎて、ニュージーランドトロフィーでの成績をそのまま信用することができないということである。これまでのパターンから述べると、イーグルカフェ、ロジック、マイネルホウオウのようにコース適性の差で追い込み切れず負けてしまった馬、またジョーカプチーノのように前潰れのハイペースに巻き込まれた馬など、極端な展開が向かなかった馬に限っては、本番で巻き返せる可能性があると考えてよい。

■3■1200m戦→マイルのG1は×
東京競馬場の1600mという距離で行われるG1レース(NHKマイルカップ、安田記念、フェブラリーS)を考える上で、前走で1200mのレースを使っていた馬について触れなければならないだろう。たとえば、NHKマイルカップにおいては、前走がファルコンS(中京1200m)という馬が出走してくる。安田記念だと高松宮記念(中京1200m)がよくあるケースだ。このように1200m戦→マイルのG1というローテーションを踏んできた馬は、たとえ前走で好走していたとしても、本番においてはほぼ間違いなく凡走してしまう。

理由としては以下の2つが考えられる。
1)求められるスタミナの違い
2)道中の体感ペースの違い

つまり、1200mのレースとマイルのG1レースとでは、勝ち馬に求められるスタミナとレースでのペースが絶対的に異なる。

1)G1のようなレベルの高いレースを勝ち切るには、スピードだけではなく、最後のひと伸びができるスタミナや底力が問われることになる。1600mのG1レースを勝つには、1600m以上の距離を走り切ることができるだけのスタミナが必要とされるのである。そのため、1200m→1600mという距離にしてみればたった400mの違いであるが、その数字以上に、勝つために要求されるスタミナに開きがあるのである。

2)道中におけるペースが明らかに異なるため、体感ペース(ラップ)が違ってくる。1200mのレースでは、スタートしてから一息でスピードに任せて一気に走り切ってしまえばいいが、1600mのレース、特に東京のマイルでは、道中でタメの利いた走りをしなければ最後の坂で脚が上がってしまう。1200m戦を使った馬は、一気に走り切ろうとするラップを体が記憶してしまい、次のレースでもそういった走りをしてしまうのである。馬の感覚としては、1200m戦のつもりで思いきって飛ばしていると、実は1200m地点でゴールではなく、あと400mの直線が目の前に広がっていたというイメージが分かりやすいだろう。いくら騎手に叱咤激励されても、そこからラストスパートするだけのスタミナや気力はすでに残っていないのである。

このように、1200m戦→1600mのG1(特に東京競馬場でのマイルG1)というローテーションは、あまりにもレースの質や条件が違うために、馬が戸惑い、その力を発揮することなく凡走してしまうことになる。

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NHKマイルCの鉄則は「NZTで負けた馬を狙え」

Rensai007

3歳馬のマイル戦におけるチャンピオンを決めるNHKマイルCと距離が同じであり、本番までの間隔も中3週と最適なニュージーランドT(以下、NZT)には、NHKマイルCを本気で狙う有力馬たちが集まり、互いに力を確かめ合う。しかし、これら2つのレースは条件が違う以上、そこでの着順や着差はあくまでも暫定的であるにもかかわらず、私たちはどうしてもその結果に目を奪われてしまう。

それで良かった時代もあった。1996年にNZTがNHKマイルCのトライアルに指定され、東京競馬場の1400mで行われていた4年間で、シーキングザパールとエルコンドルパサーの2頭がNZTとNHKマイルCを連勝した。本番まで距離が200m延びても全く関係なく、NZTの強さをNHKマイルCにコピーしたような走りを披露した。

しかし、2000年にNZTが中山競馬場に舞台を移してから、この流れはガラリと変わった。NZTの勝ち馬がNHKマイルCで勝てなくなったのだ。NZTでどれだけ強い勝ち方をしても、それがウソのようにNHKマイルCでは凡走してしまう。象徴的であったのは、前述のシーキングザパールの仔であるシーキングザダイヤが1分33秒5の時計でNZTを勝ち、母を超えることを期待されたにもかかわらず、本番のNHKマイルCでは7着に敗れたこと。この16年の間にNZTとNHKマイルCを連勝したのは、わずか2012年のカレンブラックヒルのみ。理由は単純明快で、中山競馬場の芝のマイル戦と東京競馬場のそれでは、コースの設定が全く異なるからである。

(続きは週刊Gallopにて)

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気持ちが不器用な馬


天皇賞春2015―観戦記―
クリールカイザーが強引に先頭に立ち、それにスズカデヴィアスとカレンミロティックが続き、前半の1000mが61秒4という昨年と同様に緩いペースでレースは流れた。道中は適度に緩み、ラスト1000mが59秒ジャストだから、後半にかけての持続力勝負であった。これだけのメンバーで3200mを走るのだから、さすがに豊富なスタミナがなければ勝ち切ることはできない。父ステイゴールド、母父にメジロマックイーンという典型的なステイヤー血統を背景に持つゴールドシップが、ロングスパートをかけ、3度目の正直で天皇賞春の盾を手に入れた。

ゴールドシップの最大の武器は、決して尽きることのないスタミナである。バテて脚が上がることがない以上、できるだけ早めからトップギアに入れて、その勢いで押し切りたいところ。とはいえ、この馬の難しいところは、気分がそぐわないと押しても叩いても前に進んで行かないどころか、耳を絞って反抗することに気持ちが向かってしまう。これまでも体調が優れないときは自らレースをやめようとしていたし、古馬になってからは、全力を出し切って走った次のレースでは続けて走ろうとしなかった。つまり、気持ちが不器用な馬であり、一般に言われるような速い上がりのレースや京都競馬場が苦手ということではない。走ってみなければ走るか分からない馬が、今回はたまたま前走に引き続き走ったということ。ということは、3連覇がかかる次走の宝塚記念も凡走と隣り合わせであることは覚えておきたい。

2着に突っ込んだフェイムゲームは、長距離のダイヤモンドSやアルゼンチン共和国杯を勝ち、ステイヤーとしての資質を示していた。前走からレース間隔こそ開いていたが、馬体はピカピカに輝き、見事な仕上がり。出走馬の中でも最後まで伸び切っていたように、この馬のスタミナがメンバーで随一であることに疑いはない。それにしても、父であるハーツクライの長距離適性には恐れ入る。3着に入ったカレンミロティックにしてもそう。体型的にはステイヤーとは言い難いのに、距離が延びれば延びるほど良さが出る。その産駒に共通しているのは、気性の素直さゆえ、道中で余計なスタミナを使わないこと、そしてもうひとつは我慢強いことである。

1番人気ながらも7着に敗れたキズナは、母父にストームキャットが入っているように、本質的にはステイヤーではない。さらに今年に入ってからは各パーツに実が入り(特にトモの部分)、2000m前後を得意とする馬体へと成長していることが、今回はマイナスに出た。馬体が緩かったこれまでのように、距離にごまかしが利かなくなってきたということだ。もちろん、このまま順調に行けば、距離が短縮される宝塚記念は楽しみである。

サウンズオブアースはどうにもギクシャクした競馬をしてしまった。スタートから積極的に出して行き、いつでもロングスパートをかけられる位置に馬を置いたまでは良かったが、外から来たアドマイヤデウスに外から蓋をされてからは、身動きが取れず、押したり引いたりを繰り返しと無駄なギアチェンジでスタミナをロスしてしまった。内田博幸騎手もあそこまで執拗にマークされるとは思ってもいなかっただろう。それでも最後は力尽きているように、自分の型に持ち込めないと、現状では勝ち切るだけの力がないことも事実であろう。

アドマイヤデウスは、母父サンデーサイレンスの血が影響したのか、スイッチが入ったように引っ掛かってしまった。これが中距離の重賞と長距離G1の違いであり、母父にサンデーサイレンスが入っている馬が天皇賞春を勝つことが難しいことの証明でもある。ただ、今回に限っては、岩田康誠騎手がサウンズオブアースを外に出さないという作戦に溺れ、共倒れになってしまった感も強い。相手の動きを封じ込めることには成功したが、道中ではぶつかり合ったりして消耗し、その横をゴールドシップがするすると上がって行ったのだから目も当てられない。

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自信に満ち溢れた表情のサウンズオブアース:5つ☆

アドマイヤデウス →馬体を見る
筋肉のメリハリという点では物足りなさは残るが、柔らかみがあって好感。
全体のバランスが良く、穏やかな表情からも操作性の高さが見て取れる。
Pad4star

キズナ →馬体を見る
馬体全体ががっしりと力強さが増したが、やや姿勢が高めなのが気になる。
立ち姿に力みがあるだけではなく、顔つきにも少しだけ難しさが混じっている。
Pad4star

ウインバリアシオン →馬体を見る
手脚がスラっと長く、胴部も長く、典型的なハーツクライ産駒のステイヤータイプ。
トモの実の入りの物足りなさはあるが、前駆には力強さがあって衰えはない。
Pad3star

ゴールドシップ →馬体を見る
芦毛ということも手伝って、毛艶の良さや筋肉のメリハリの良し悪しの幅が少ない。
黒みがかっていた全盛期よりも白く映るように、決してパーフェクトとは言えない。
Pad4star

デニムアンドルビー →馬体を見る
このメンバーに入ると、手脚も胴部も短く、馬体的にはステイヤーには及ばない。
それでも、ふっくらとして、柔らかい筋肉は素晴らしく、体調の良さは間違いない。
Pad4star

ラストインパクト →馬体を見る
年齢を重ねるごとに、前後にしっかりと筋肉が付き、力強さを増している。
その分、長距離レースにおけるスタミナ勝負となると、さすがに厳しいか。
Pad3star

サウンズオブアース →馬体を見る
胸が深くて肺活量がありそうな前駆は、スタミナが豊富なステイヤーらしい。
ひと叩きされたことで、毛艶は良く、筋肉には張りが出て、自信に満ち溢れた表情。
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カレンミロティック →馬体を見る
胴部には長さがあるが、手脚が短く、ハーツクライ産駒でも長距離タイプではない。
パワーは十分にありそうな体型だけに、中距離でこその馬体で今回は厳しい。
Pad3star

ラブリーデイ →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入っているため、馬体だけを見ると中距離タイプか。
胴部には伸びがあり、血統的にも長距離はこなせそうなので、このあたりに期待。
Pad3star

ホッコーブレーヴ →馬体を見る
血統的にはステイヤーであり、長距離でこそ末脚を発揮できるタイプの馬。
とはいえ年齢的なものもあってか腹回りに余裕があり、さすがに絞れてこないと。
Pad3star

フェイムゲーム →馬体を見る
実に柔らかい筋肉に覆われていて、リラックスして立てている姿には好感が持てる。
胴部や手脚がステイヤーとしては短く、体型的には疑問だが、気性が合っているのだろう。
Pad4star


Tennosyo15wt

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挑戦する勇気

Jiromaru

今年の天皇賞春の出走馬表を見て、アドマイヤラクティの名前がないことに寂しさを感じたのは私だけではないだろう。コ―フィールドCでは自慢の末脚を炸裂させて勝利し、メルボルンCでは1番人気に推されたものの、最後の直線でズルズルと後退し、レース後に馬房で倒れてしまった。父ハーツクライ、母の父エリシオというステイヤーの血がまさに開花しようとしていたその時、彼の肉体は限界を超えてしまったのでした。たとえ惨敗してしまったとしても、無事に帰ってきてくれてさえいれば、7歳馬となった今年は阪神大賞典を叩いて、天皇賞春ではキズナと1番人気を争っていたかもしれません。

アドマイヤラクティの夢は途中でついえてしまいましたが、2003年から2005年のメルボルンCを3連覇した馬がいます。マカイビーディーヴァという牝馬です。3200mの距離のG1レース、しかも高額賞金がかかっていて世界中から我こそというステイヤーが集う最高峰のレースを牝馬が3年連続で勝利したのですから、驚き以外の何ものでもありません。日本でもメジロマックイーンやライスシャワー、フェノーメノでさえ2連覇止まりですから、牝馬が天皇賞春を3連覇するなんて想像もできませんよね。

マカイビーディーヴァは2005年には日本の天皇賞春に挑戦してきました。残念ながら結果は7着と敗れてしまいましたが、無事にオーストラリアに戻ると、その年のコックスプレートを勝ち、メルボルンCで3連覇を達成したのでした。オセアニアの競走馬の獲得賞金記録を更新し、翌年に殿堂入りを果たしました。彼女が天皇賞春で敗れた理由は、道悪が合わなかったとかオセアニアの長距離レースのレベルが低いとかいうことではなく、異国の地の競馬場では十分に力を出し切れなかったということだと思います。そう考えると、アドマイヤラクティの凄さが改めて分かります。

光と影のようではありますが、マカイビーディーヴァとアドマイヤラクティに共通するのは、挑戦者であったということです。マカイビーディーヴァは最もタフさが問われる長距離戦で牡馬と真っ向勝負を挑み、2年目と3年目は追われる立場になりながらも、ありとあらゆる重圧を跳ね返しました。スタミナだけではなく、その精神力の強さこそがマカイビーディーヴァをマカイビーディーヴァたらしめたものでしょう。アドマイヤラクティも自分を生かせる場を求めてオーストラリアに渡りました。あらゆるリスクは承知の上で挑戦したからこそ、コックスプレートの歴代優勝馬として歴史に名を遺したのです。

挑戦とは、私たちの思考の枠組みから飛び出すことです。牝馬だから長距離戦で牡馬に勝つのは難しいと思ってしまえばマカイビーディーヴァはメルボルンCに挑戦しなかったでしょうし、日本でG1を勝っていないような馬が異国の地に渡ってG1を勝てるわけがないと考えていたらコックスプレートの勝利はなかったことでしょう。ウオッカは、思い込みから逃れて、日本ダービーに挑戦したからこそ日本ダービーを勝てたのです。そして今年は、ウオッカと同じ角居厩舎から天皇賞春に出走するデニムアンドルビーに挑戦する勇気を感じざるをえません。ようやく450kgを超えてきた馬体から、どのような末脚が繰り出されるのか期待しましょう。

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