« May 2015 | Main | July 2015 »

タフネスとスキル


宝塚記念2015―観戦記―
ハナを主張する馬がおらず、その隙を突いて松若風馬騎手を背にしたレッドデイヴィスが先頭に立った。その外からラブリーデイが狙いすましたように番手を取り、ペースは一気に落ち着いた。その結果、4ハロン目と5ハロン目に13秒台が2度も刻まれる、G1レースとは思えないほどの超スローペースとなり、前に行けなかった馬や馬群の外を回らされてしまった馬たちにとっては厳しいレースであった。これが競馬における展開の恐ろしさであり、スタートしてから最初の2ハロンにおける挙動が、レースの勝敗を分けたと言ってよい。

勝ったラブリーデイは、展開に恵まれたことは確かだが、抜け出してから最後まで脚が止まることはなかった。筋骨隆々の馬体からは決して得意とはいえない長距離のレースを惨敗していたが、これぐらいの距離では力が最も生きる。この馬の凄いところは、昨年の暮れから今年の厳寒期を経て、春シーズンも使い詰めで来ているにもかかわらず、自分の守備範囲の距離のレースでは崩れていないことだ。普通の馬であれば、ピークを越えて、体力が残っていないはず。この馬の卓越したタフネスと、長いスパンにおいて調子を管理・維持し続けた池江泰寿厩舎のスキルの高さがもたらした勝利である。

川田将雅騎手は思い切った騎乗でラブリーデイを勝利に導いた。外枠を引いた時点で、(逃げてもいいぐらいの気持ちで)先行しようと腹を決めていたはずだ。長距離のレースを使っていたことで、スタートから出して行ってもそれほど掛かることはない、と前走のレース振りを見て考えていたのではないか。そもそもは大外枠を引いていなければ、ここまで前に行くことは考えなかったはずで、災い転じて吉と出るというべきか、代打でこの枠順だからこその腹の括り方ともいえる。これだから競馬は難しく面白い。

最も強いレースをしたのはデニムアンドルビーかもしれない。二の脚がつかず、道中は流れに乗ることができずに、仕方なく内ラチ沿いで脚をためる形になったが、最後の直線で外に出してからの伸びが秀逸。溜めて伸びるタイプではあるが、それにしても、もう少し器用な競馬ができればと思わざるをえない。父ディープインパクト×母父キングカメハメハという現代の日本競馬においては最強の血統構成を誇り、底知れぬ馬というか、この先、もっと馬体が大きく成長して、自分で動いて勝ちに行けるようになれば、G1のタイトルにも手が届く。

ショウナンパンドラは内枠を生かして、最大限の力を出し切った。池添謙一騎手の見事な騎乗であった。対照的に、内枠を引きながら、スタート直後に挟まれてポジションを下げてしまったカレンミロティックは、最後まで自分のレースができずに終わってしまった。切れる脚がない馬だけに、このペースでは何としてでも前に行きたかったが、今回は運が悪かったとしか言いようがない。ヌーヴォレコルトは昨年の疲れが完全には癒えていない。オークスの反動を引きずる牝馬は案外多いので、もう少し時間が掛かるだろう。

牝馬ながらも2番人気に推されたラキシスは、外枠発走から終始外々を回されてしまい、道中で脚を使ってしまっていた。C・ルメール騎手にしては珍しく、なされるままに外を回されていた印象を受けた。それでも勝てる自信があったのか分からないが、工夫のない騎乗であった。また、ラキシスにとって長距離輸送がないことは良いのだが、今回のプラス10kgはさすがに成長分というよりも、相手と自分の力の見積もりを誤った仕上げミスではないか。産経大阪杯を勝って、他のレースを見送ってまでこの宝塚記念に狙いを定めてきたのだから、もっときっちり仕上げてもよかったはず。

1番人気に推されたゴールドシップは、ゲート内で立ち上がってしまい、タイミング悪く2度目に立ち上がった瞬間にスタートを切られてしまった。行き脚もつかず、レースに参加したのは最終コーナー手前から。最後の直線に向いても一向に伸びる素振りさえ見せず、なんと15着に惨敗してしまった。このスローペースをあれだけ後ろから行き、コーナーごとに外を回らされてしまえば、さすがにゴールドシップでも苦しい。とはいえ、今回の敗戦については、それ以前の問題でもあり、枠内での駐立不良や行きっぷりの悪さを見ると、3連覇どころか、今回はもはや走る気さえなかったのではないかと思わざるをえない。それをゴールドシップの性格の問題としてしまうのは簡単だが、前走・天皇賞春の反動があったのではないか(ゴールドシップは基本的には2戦続けて走らない馬である)と考えるべきである。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (18)

大きく変わったカレンミロティック:5つ☆

カレンミロティック →馬体を見る
かつては胴部の長さと手脚の短さのアンバランスが目立ったが、大きく変わった。
全体的に伸びが出て、筋肉のメリハリも素晴らしく、毛艶も良く、仕上がりは万全。
Pad5star

ゴールドシップ →馬体を見る
正直に言うと、芦毛ということもあって、毎回、ほとんど変動がなく映る馬体。
それでも敢えて言うならば、前走に比べるとややトモが薄く、力強さには欠ける。
Pad3star

ショウナンパンドラ →馬体を見る
古馬になって、つくべきところに筋肉がついて、力強さが増してきた。
特に前駆の筋肉の盛り上がりは素晴らしく、母系のパワーが表に出てきた印象。
Pad3star

ディアデラマドレ →馬体を見る
このメンバーに入ると、重心が低く映り、馬体的にはマイル戦が最適か。
やや腹回りには余裕があるが、前後躯にしっかり実が入って力強い。
Pad3star

デニムアンドルビー →馬体を見る
ふっくらと映るように、前走で長距離のG1レースを走った反動は感じられない。
前駆が勝って映るように、馬体的には中距離が合っており、距離短縮は良い。
Pad3star

ト-センスターダム →馬体を見る
トモがやや落ちて見えるように、推進力に欠ける馬体で、序盤は置かれそう。
それでもパワーは十分にあるだけに、今の阪神競馬場の馬場はきっと合うはず。
Pad3star

トーホウジャッカル →馬体を見る
特にトモにしっかりと実が入り、前後躯共に力強く、馬体は成長している。
距離自体もこれぐらいが合っているが、まだ腹回りに余裕があるのが現状。
Pad3star

ヌ―ヴォレコルト →馬体を見る
すらりとした立ち姿で、余分なところに筋肉がついていない、スマートな馬体。
パワーは前面に出てこないが、牡馬相手のG1でもスタミナでは引けをとらない。
Pad3star

ラキシス →馬体を見る
間隔が開いたことで、ふっくらはしているが、もう少し筋肉のメリハリがほしい。
昨年のエリザベス女王杯時と比べると、仕上がり度という点では劣るように映る。
Pad3star

ラブリーデイ →馬体を見る
今年は厳寒期から使い詰めできているにもかかわらず、体調は下降線を辿っていない。
皮膚は柔らかく、毛艶も素晴らしく、筋肉のメリハリも十分で走れる体調にある。
Pad4star

ワンアンドオンリー →馬体を見る
日本ダービーを勝ったときほどの仕上がりにはないが、海外遠征帰りを感じさせない。
昨年後半は疲れが馬体にも出ていたが、ここに来て少しずつ回復の兆しが見える。
Pad3star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (15)

こんなものか

Jiromaru

宝塚記念にまつわる思い出はたくさんありますが、今年はなぜかサイレンススズカのことを書きたくなりました。先々週のエプソムCで武豊騎手が乗ってエイシンヒカリが逃げ切ったからでしょうか、それともステイゴールドの仔である3冠馬オルフェ―ヴルのファーストクロップが私たちの目の前に現れ始めたからでしょうか。サイレンススズカが大きな期待を背負って逃げ切ったあの宝塚記念しか、今、私の心に浮かばないのです。最後の直線で追いすがるステイゴールドとエアグルーヴを振り切って、南井克巳騎手の大きなアクションに励まされて、サイレンススズカが初めてG1レースを先頭でゴールしたシーンが、何度も私の脳裏でリプレイされています。

1998年の春、バレンタインSから始動したサイレンススズカは中山記念、小倉大賞典、金鯱賞と4連勝を飾りました。これだけでも凄いのですが、全てが逃げ切り、しかも他馬を大きく離した圧巻の内容でしたから、私たち競馬ファンの目が釘づけになったのも頷けます。その中でも特に金鯱賞は今でも語り継がれるような逃げ切り。同じサラブレッドの競走において、これだけ決定的な差がついてしまうのだという事実。このレースの次が宝塚記念ですから、私たちの期待が高まらないわけがありません。主戦の武豊騎手が先約のあったエアグルーヴに騎乗するため、鞍上が初騎乗の南井克巳騎手に乗り替わっても、1番人気に推されたのは当然のことでした。

果たして、どれぐらい大きく逃げるのだろう、どれぐらいの着差をつけて勝つのだろう、私たちの想像は膨らみました。もしかしたら、宝塚記念においても、金鯱賞の再現のようなレースが観られるかもしれない。他馬が影も踏めないどころか、他馬がテレビ画面からいなくなってしまうような逃げ切りのシーンを、私たちは何度も何度も脳裏でリプレイしたのでした。だからこそ、実際にサイレンススズカが宝塚記念を勝ち、嬉しさはあっても、2着のステイゴールドとの3/4馬身という着差は、正直に言うと、「こんなものか」という思いでした。今から思うと、この軽い失望は、私の無知ゆえだったのです。

この年の宝塚記念のラップを見てみたいと思います。

12.7 - 10.8 - 11.1 - 12.1 - 11.9 - 12.1 - 12.5 - 12.4 - 12.8 - 11.2 - 12.3

前半1000mが58秒6、そして後半1000mが61秒2という超ハイペースでした。このペースを自らラップを刻んで、最後まで止まることなく押し切ったのですから、サイレンスズカは文句なしに強いのです。サイレンススズカを追いかけた馬たちは自滅し、上りのかかる競馬が滅法得意なスタミナのあるステイゴールドが2着に入ったのも納得の厳しいレースでした。一見強そうに見えないけど強いという内容のレースは、たとえば史上最強馬と目されるフランケルが勝った2011年のセントジェームスズパレスSもそう。1998年の私にはサイレンススズカの宝塚記念の強さが分かりませんでしたが、私も競馬のことが少しずつ分かり始め、2011年にはフランケルの強さに身震いしたのでした。ワールド・サラブレッド・ランキングが140のフランケルを引き合いに出すのはおこがましいかもしれませんが、もしサイレンススズカとフランケルが同じレースで走ったら、どれだけ激しいレースになったことだろう、と私は感傷的になるのです。

| | Comments (27)

阪神芝2200m

Hanshin2200t1

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。

3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。

枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

| | Comments (16)

舞台整った!ラキシスがゴールドシップの偉業を阻む

Rensai014

人間に右利きや左利きがあるように、馬にも右利き左利きがある。競走馬でいう右利きとは右手前で走ることが、左利きとは左手前で走ることが得意な馬ということだ。手前という言葉になじみのない読者もいるかもしれないので簡単に説明しておくと、人間は足を交互に前に動かすことによって走ることが出来るが、4本足の馬は左右どちらか2本の脚を軸にして走らなければならない。左脚を軸にする走り方を「左手前」、その逆を「右手前」と呼ぶ。左回りだと「左手前」で、右回りだと「右手前」でコーナーを回るが、実際のレースではスタートからゴールまでずっと一方の手前で走り切ってしまうことはまずない。片一方の脚だけを軸にして走っていると当然負担がそちら側だけに掛かってしまうため、騎手が意識的に手前を変えさせたり、馬が苦しくなって手前を変えてしまったりするからである。

道中を「左手前」で走れば、直線では手前を変えて「右手前」、道中が「右手前」であれば、直線では「左手前」で走る。たとえば、「左手前」で走るのが得意な馬がいるとすると、左回りのコースでは、道中は得意の「左手前」で進むことができるが、直線では「右手前」で走ることになる。左回りの競馬場でも、左手前だけで走るわけではなく、コーナーは左手前で回るが、向こう正面や最後の直線では右手前に替えて、どちらの手前もバランスよく使って走るのである。

今年の安田記念を制したモーリスの祖父にあたるグラスワンダーは、2歳時にG1朝日杯フューチュリティーS(当時の朝日杯3歳S)を勝利した。その後骨折してしまい、10ヶ月に及ぶ休養後、毎日王冠で復帰し5着。次走のアルゼンチン共和国杯では6着に敗れてしまった。ところが、休養後3戦目の有馬記念で見事に復活し、その頃から、左回りは苦手で右回りに強いと言われるようになった。

(続きは週刊Gallopにて)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (18)

宝塚記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Takara

■1■天皇賞春組有利へ
平成12年より、6月下旬へと日程が変更された。それまでは天皇賞春からの間隔が開きすぎていたため、調整が難しく、多くの馬は本来の力を出し切れない、もしくはここを使わなかった。

しかし、開催時期の変更後は、一転して天皇賞春組の活躍が目立つ。天皇賞春で1~3着だった馬は【5・3・1・16】、天皇賞馬に限っては【3・3・0・4】と実に堅実に走っている。天皇賞春からの間隔が適度に短くなったことが、天皇賞春組にとって有利になったことは間違いがない。もっとも、天皇賞春を勝つには極限に仕上げられたと考えてよく、その反動を考えると、天皇賞春→宝塚記念という連勝は意外と難しい。

そして、当然のことながら、この変更は安田記念組にはマイナスの影響を与える。特に安田記念を目標にして仕上がっていた馬や、安田記念で激走してしまった馬にとっては、中2週で宝塚記念というローテーションはあまりにも厳しい。安田記念は負けていた馬の方がかえって宝塚記念での成績は良い。

■2■スピードとスタミナの高い次元での融合が求められる
宝塚記念をひと言で表現すると、「スピードとスタミナの高い次元での融合が求められるレース」ということになろうか。これは阪神競馬場の2200m内回りというコース設定に拠るところが大きい。

スタンド前の直線を延長したポケット地点からの発走。スタートしてから第1コーナーまでの距離は525mと長いため、前半のラップは速くなりがちである。1~2コーナーにかけてペースは落ち着くが、向こう正面から再び速くなる。3コーナーを回ると、擬似直線が待ち構えていて、ここでさらにペースが上がる。このように、全体的にメリハリのない速いペースになるため、スピードの持続力が問われるだけではなく、確かなスタミナの裏付けがなくてはならない。 枠順による差はほとんどないが、1~2コーナーのカーブがきついため、内に入れなかった馬は外々を回されるはめになる。そういった意味では内枠の方がレースはしやすい。

■3■前走G1レース以外で負けている馬は×
宝塚記念は定量戦であるため、実力の差がはっきりと出てしまうレースである。宝塚記念の連対馬は、ほとんどが天皇賞春か安田記念からの直行組であって、別路線組はごくわずかである。これは、宝塚記念は実力が正直に反映される紛れのないレースであることを意味しており、前走G1以外のレースで敗戦していた馬ではまず勝負にならない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (20)

バランスも良くなってきたティーハーフ:5つ☆

★ユニコーンS
ゴールデンバローズ →馬体を見る
いかにも堀厩舎の管理馬といった、メリハリの利いた理想的な馬体を誇る。
ドバイ遠征明けを感じさせない毛艶と筋肉の柔らかさで、走れる態勢にある。
Pad4star

タップザット →馬体を見る
ゴールデンバローズと同じ父だが、こちらは胴部が詰まって距離はベストか。
前駆は力強く、ダート適性は高いが、トモの実の入りには物足りなさを感じる。
Pad3star

アキトクレッセント →馬体を見る
前後躯にきっちりと実が入った力強い馬体だが、背中が短く、距離はギリギリか。
顔つきを見る限りにおいては、気性の激しさがあり、スムーズなレースが希望。
Pad3star

ノンコノユメ →馬体を見る
前駆の筋肉が盛り上がって力強い分、トモの小ささが目についてアンバランス。
成長の余地を残した馬体でこれだけ走るのだから、ダート適性は抜群なのだろう。
Pad3star

アルタイル →馬体を見る
父カネヒキリを彷彿させる毛色だが、馬体はトモに薄さがあり父には及ばない。
全体のシルエットには長さがあるので、もう少し筋肉がついてくれば走るだろう。
Pad3star

タンジブル →馬体を見る
父ディープスカイがそのまま出たような馬体で、芝でこそ良さが出そうな馬。
それでもダートを走るのは、母系から脈々と流れるアメリカ血統の影響だろうか。
Pad3star

★函館スプリントS
コパノリチャード →馬体を見る
いかにも短距離馬といった筋肉量の多さで、パワー勝負ならどの馬にも負けない。
前走に比べると、全体的に余裕のある馬体であり、もうひと絞りできれば。
Pad4star

ローヴティサージュ →馬体を見る
薄く見えるのは撮影している角度のせいで、馬体全体のシルエットは素晴らしい。
耳を後ろに絞り気味であることから、この馬の繊細さが伝わってくる。
Pad3star

セイコーライコウ →馬体を見る
胴部には長さがある割には、手脚が短く重心が低く、アンバランスさを感じる。
胴部にはアバラが浮いているように、仕上がりは万全で、距離はギリギリ持つ。
Pad3star

スギノエンデバー →馬体を見る
7歳とは思えない筋肉の張りと柔らかさで、夏場になると調子を上げるのだろう。
随所に余裕があるのは高齢馬ゆえに仕方なく、それを差し引くと良い状態で臨める。
Pad3star

アンバルブライベン →馬体を見る
高松宮記念のときはさすがにピークが過ぎていたが、ここに来て回復気配にある。
前駆が力強く、馬体がふっくらとしてきた今ならば、そう簡単には止まらない。
Pad3star

ティーハーフ →馬体を見る
5歳を迎えて馬体がさらにたくましくなり、全体のバランスも良くなってきた。
筋肉のメリハリもあり、胴部に長さがあるため、距離はもう少し長くても良い。
Pad5star

マジンプロスパー →馬体を見る
とても良く見せる馬であるが、さすがに8歳を迎えて、馬体に衰えは見られる。
それでも前駆の盛り上がりは素晴らしく、展開に恵まれれば好走のチャンスもある。
Pad3star

| | Comments (0)

オルフェ―ヴルの種牡馬としての挑戦

Orfevre

早くもオルフェ―ヴルの初年度産駒がセレクトセールに登場する。集中連載「血統を語るとき、私の語ること」において、「競馬のレースで圧倒的に強い(強かった)だけでなく、その血を後世まで残して初めて最強馬である。そういった意味においては、キングカメハメハやディープインパクト、ハーツクライらは本当の意味で強く、オルフェ―ヴルもその血を確実に伝えていくことで、自らの最強説を証明していくだろう」と書いた。オルフェ―ヴルが私たちの目の前で見せてくれた3冠制覇や凱旋門賞における2度の2着が、いかに偉大なことだったのかを私たちが知るのは、これからということだ。

オルフェ―ヴルには、キングカメハメハやディープインパクト、ハーツクライと違い、日本の競馬を走った馬たちの血が父系にも母系にも流れている。父ステイゴールド×母の父メジロマックイーンという、いわゆる黄金配合であり、オグリキャップ世代から競馬を始めた世代の競馬ファンにとっては、時の重さと深さを感じることのできる、わびさびのある血統構成。ディープインパクトが21世紀の近代競馬の結晶であるなら、オルフェ―ヴルは日本で走った名馬たちによる最高の創造物といっても過言ではない。むしろ凱旋門賞におけるパフォーマンスを観た世界のホースマンらにとっては、ディープインパクトよりもオルフェ―ヴルの方が種牡馬としての魅力は大きいかもしれない。

そんな期待を込めつつ、今夏のセレクトセールに上場予定のオルフェ―ヴル産駒のリストを眺めていると、あるところで私の目が止まった。上場番号384番の母タイキクラリティの牝馬である。タイキクラリティといえば、今年のNHKマイルCを勝ったクラリティスカイの母であり、その兄のクラリティシチ―も重賞戦線で活躍している。同じことは上場番号454番のラヴインザダークの牡馬でも起こっている。タイキクラリティの父はスペシャルウィーク、ラヴインザダークの父はダンスインザダークなのである。もうピンと来た方も多いはずだが、サンデーサイレンスの3×3のインブリードになる。オルフェ―ヴルクラスの種牡馬であれば、サンデーサイレンスの血が入っていない繁殖牝馬と配合されるのだとばかり思っていたので、不意を突かれた格好となった。

オルフェ―ヴル ステイゴールド サンデーサイレンス
ゴールデンサッシュ
オリエンタルアート メジロマックイーン
エレクトロアート
タイキクラリティ スペシャルウィーク サンデーサイレンス
キャンペーンガール
タイキダイヤ オジジアン
パテントリークリア

どちらもパカパカファームの生産馬であり、よほどオルフェ―ヴルに惚れ込んだのだろうか、かなり実験的で思い切った配合だと思う。これまでもミヤビジャスパー(父アドマイヤムーン、母父スペシャルウィーク)のようなサンデーサイレンスの3×3というインブリードを持つ馬も出るには出たが、まだ数は少なく、配合の常識からはリスキーであると考えるのが一般であろう。そもそもオルフェ―ヴル自身がノーザンテーストの3×4というインブリードを持っており、あの栗毛の美しい馬体を見ると(産駒にも伝わっている気がする)、ノーザンテーストが強く発現しているように思えてならない。まさに日本の近代競馬を支えてきたノーザンテーストとサンデーサイレンスの血を濃く受け継ぐ2頭のオルフェ―ヴル産駒が、2年後にどのような走りを見せてくれるのか、少しの畏れを感じつつも楽しみでならない。

Photo by 三浦晃一

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

人のために走る馬の気持ちを考え、心の声を聞こう

Rensai013

ローブティサージュが京阪杯でゲート入りを拒み、発送委員がムチを数回入れたことが朝日新聞でも取り上げられ、問題になった。この問題について考えるとき、私たちがまず想いを馳せるべきなのは、ローブティサージュの気持ちである。発送委員にムチを入れられたことは問題の一面であり、その背景にはもっと深い闇がありそうな気がするのだ。そもそも、なぜローブティサージュはあれほどまでにゲート入りを拒んだのだろうか。普通にゲートに入っていれば、発送委員もムチを振るってまで馬を追い込むことはしなかったし、あのようなことは起こらなかったはず。順番に考えていくと、ムチを振るわれる前からすでに、ローブティサージュはレースで走りたくなかったことになる。

レースや競走そのものが嫌いな馬もいるし、体調が優れないゆえに今回は走りたくないという馬もいる。肉体を極限まで酷使して走りたい馬など、ほとんどいないと言ってよい。あのメジロマックイーンがでさえ、ライスシャワーに負けた天皇賞春で枠入りを拒んだことは有名な話である。頭が良い馬ほど、これから自分の身に何が起こるのか知っているものだ。苦しい思いをするのが分かっているからこそ、ゲートに入ろうとしない。それは実に分かりやすい意思表示であり、私たちはまず彼ら彼女らの気持ちを理解しようとしなければならない。

世界的調教師にして、人が馬と話すことができることを示してくれたホースマンであるモンティ・ロバーツ氏は、著書「馬と話す男」の中でこう語った。

「忘れないでほしいのは、動物たちを自由にすることだ。押さえつけてはいけない。もしあなたから離れたがっていたら、馬にとって、あなたのそばにいること、仕事を与えられることがすばらしいものになるようにしてあげよう。痛みを与えてはいけない。もしあなたが以上の工程を達成したら、次は、わたしの目標に向かって、わたしとともに歩いてくれると信じている。わたしの求めるもの―それは、この世界が、馬にとって、もっと生きやすい場所となること」

(続きは週刊Gallopにて)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (4)

函館スプリントSを当てるために知っておくべき3つのこと

Hakodatess

スプリント路線は別定条件が実績馬に有利なことが多く、夏のローカルG3であるこのレースにも例年メンバーは揃う。独特の重い馬場とコース形状によって、底力のあるスプリンターでないと勝ち切ることが出来ないレースとなっている。

■1■重い洋芝で構成される特殊な馬場
函館競馬場の最大の特徴は、路盤に野芝のない重い洋芝である。過去ほとんどのレースの勝ちタイムが1分9秒台で、かなり時計の掛かる特殊な馬場あることが分かる。このことによって、勝ち馬に求められる要素は以下の2つ。

1、ダートをこなせるぐらいのパワーがあること
2、1200m以上のスタミナを有していること

1はダート戦で実績のある馬、もしくはダートに強い血統構成の馬ということである。軽快なスピードや切れ味だけでは苦しく、速い時計のレースで強さを見せたことは、かえってマイナス材料になることもある。

2は1200m以上のレースで実績のある馬ということである。直線に坂のない小回りコースとはいえ、これだけ時計の掛かる馬場だと、軽快なスピードを武器にした1200mがギリギリという馬では厳しい。1400m~1600mをこなせる底力が問われる。そういった意味からは、安田記念(好走)組も信頼できる。

そして、こういった函館特有の馬場だけに、函館競馬場で実績を残している馬はもちろん素直に評価したい。

■2■余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬
過去10年のラップは以下のとおり。
12.2-10.4-11.0-11.5-11.6-12.3 (33.6-35.4)H
12.2-10.7-11.2-11.6-11.8-11.6 (34.1-35.0)M
12.0-10.4-11.4-11.7-11.2-12.2 (33.8-35.1)H
11.7-10.2-10.9-11.7-11.9-12.0(32.8-35.6)H
12.1-10.5-11.2-11.5-11.4-11.8(33.8-34.7)M
12.0-10.2-10.9-11.6-11.4-12.1(33.1-35.1)H
11.8-10.4-10.9-11.5-11.4-12.0(33.1-34.9)H
12.1-10.8-11.4-11.9-11.4-11.8(34.3-35.1)M
12.0-10.7-11.4-11.6-11.0-11.8(34.1-34.4)M
11.9-10.8-11.1-11.4-11.3-12.0(33.8-34.7)M

スタートしてから第1コーナーまでの直線は489mと長い。ダッシュを利かせた先行馬がそのままの勢いで行ってしまうので、ペースは自然と速くなる。ほとんどのレースは前が速い前傾ラップとなり、直線が短いことを考慮しても、逃げ馬には厳しいペースとなる。余裕を持って先行できる馬、もしくは差し馬を狙うべきである。枠順の内外による有利不利はほとんどない。

■3■牝馬の活躍
平成24年こそ牡馬同士の決着となったが、平成15年のビリーヴから5年連続で牝馬が制したこともある。過去10年の連対率も23%【5・3・4・23】と、牡馬の10%【4・5・5・76】に比べ圧倒的に高い。直線に坂のある中央のコースに苦しめられていた牝馬がローカルの競馬場で活躍するという典型的な例である。また、総じてスプリント戦は牝馬でも活躍できる舞台でもある。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

完成されたシルエットのバウンスシャッセ:5つ☆

★マーメイドS
ウインプリメーラ →馬体を見る
馬体の小ささが伝わってくるようだが、各パーツには力強さが漲る。
父ステイゴールド産駒らしいメリハリのある馬体で、この先良くなりそう。
Pad4star

アースライズ →馬体を見る
胴部には十分な長さがあるが、手脚が短く、重心が低いアンバランスな馬体。
表情はおっとりしており、安定して走るが、距離は長い方が合っているはず。
Pad3star

メイショウスザンナ →馬体を見る
筋肉のメリハリは合格点を与えられるが、馬体全体としては線の細さが残る。
父から受け継いだのか、筋肉には力強さがあるが硬さもあり、力の要る馬場なら。
Pad3star

パワースポット →馬体を見る
ふっくらとして好感が持てるが、それにしてもまだひと絞りふた絞りほしいところ。
力の要る馬場を得意とするが、今の阪神競馬場の馬場が合うかどうか。
Pad3star

バウンスシャッセ →馬体を見る
3歳時から力強さはあったが、古馬になって、見違えるようにパワーアップした。
馬体全体のシルエットやリラックスした立ち姿も含め、馬体に関しては言うことはない。
Pad5star

マリアライト →馬体を見る
兄は典型的なダート馬であるが、この馬は父ディープインパクトの血が濃く出ている。
筋肉のメリハリという点では物足りなさが残り、将来的に馬体が成長してくれば。
Pad3star

リラヴァティ →馬体を見る
体調に不安があるのか毛艶が今ひとつで、筋肉のメリハリに乏しくパワー不足は否めない。
これからの成長の余地を残して馬体であり、現段階ではこのメンバーでは厳しい。
Pad3star

★エプソムC
エイシンヒカリ →馬体を見る
まだ幼さを随所に残している馬体だが、それゆえにこの馬の走る資質はバネにある。
前駆は力強い割に後躯に物足りなさがあり、トモが成長してくればさらに走る。
Pad3star

サトノアラジン →馬体を見る
手脚が長いのが特徴的な馬体で、同じ血統構成のキズナに馬体のつくりが似ている。
毛艶は素晴らしいが、前半に置かれてしまうのはトモに緩さが残っているからか。
Pad3star

サンレイレーザー →馬体を見る
くっきりとアバラが見えるように、コンスタントに調教が施され、馬体は仕上がった。
年齢的にこれ以上の上積みは望めないが、この馬としては力を出せる出来にある。
Pad3star

フルーキー →馬体を見る
手脚が短く、重心が低い馬体からは、距離の延長はプラスにはならないはず。
良かった頃に比べると、筋肉のメリハリという点で劣り、体調は万全とは言えない。
Pad3star

ディサイファ →馬体を見る
昨年時と同じぐらいにきっちり仕上がって、馬体にも柔らかみと十分な伸びがある。
ひとつだけ、表情に険しさが出ており、間隔が開いたことが精神的にどう出るか。
Pad4star

アーデント →馬体を見る
芦毛にもかかわらず全体的に黒く映るように、毛艶は良く、体調は万全である。
背中が垂れて映るように、前躯の盛り上がりに比べると、トモの肉付きが物足りない。
Pad3star

ヒラボクディープ →馬体を見る
3歳時にはそれほどでもなかったが、古馬になって馬体が成長してきている。
全体のシルエットは美しく、前後のバランスも良く、2000m前後がベストの距離。
Pad45star

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

マーメイドSを当てるために知っておくべき3つのこと

Marmaids

■1■スタミナ型を狙え
阪神2000mで行われるマーメイドSは、上がり3ハロンが33秒台のような瞬発力勝負にはならず、この時期の馬場が傷んでいることも加わり、上がりの掛かるレースになることが多い。また、ハンデ戦となった過去4年の勝ち馬の血統を見ても、ステイゴールド産駒が2頭とスペシャルウィーク産駒が1頭と、サンデーサイレンス系の中でもスタミナ寄りの馬が活躍している。字ズラ以上にスタミナを問われるレースとなることは明白で、中距離以上のスタミナを有している馬を狙いたい。

■2■馬体重の少ない軽ハンデ馬の活躍
ハンデ戦となった過去8年間で、トップハンデ馬は【1・1・2・7】と振るわず、1番人気馬に至っては【0・0・1・6】と連対すらしていない。逆に、狙い目は軽ハンデ馬で、1~3着馬の21頭のうち、15頭がハンデ53kg以下という成績を残している。特に、普段は別定戦での斤量を負担に感じている馬体重の少ない馬が、ハンデ戦で軽量となった時にあっと驚く好走をすることもある。

■3■ヴィクトリアマイル組は疑問
ヴィクトリアマイル組は実績上位であるので、出走してくれば人気になるはず。ただし、以下の2つの理由で好走を望むのは難しい。

1)ヴィクトリアマイルで仕上がっているので、体調が下降線を辿っている。
2)ヴィクトリアマイルよりも豊富なスタミナが問われる。

1)はヴィクトリアマイルが目標である牝馬がほとんどである中で、ヴィクトリアマイル後、マーメイドSに出走してくるのは、ヴィクトリアマイルで勝てなかったため消化不良のケースが多い。ただ、当然のことながら、ヴィクトリアマイルに向けて100%に仕上げた馬の体調は、下降線を辿るため、ピークが過ぎた段階での出走となり、力を出し切れない。

2)ヴィクトリアマイルはヨーイドンの瞬発力勝負になることが多く、マイル戦とはいえ、意外とスタミナを問われないレースになりやすい。そこからいきなり阪神の2000m戦でレースをしてしまうと、要求されるスタミナが全く違うのである。求められる要素が違うためヴィクトリアマイルの好走馬が、そのままマーメイドSでも好走するのは難しい。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

アファームドからアメリカンファラオまで

アメリカンファラオが37年ぶりのアメリカ3冠馬に輝いた。1978年のアファームド以来だというから、誕生しそうでなかなかしなかった待望の3冠馬であり、私も久しぶりにアメリカのクラシック3冠に興味をそそられ、全てのレースを観てみた。アメリカンファラオにとって、最も厳しかったは外枠からの発走となったケンタッキーダービーぐらいで、他のプリークネスSとベルモントSは先頭に立ってそのまま押し切るという楽なレース。アメリカンファラオ1頭の力が抜けていたとみることもできるし、アメリカンファラオを負かすライバルとなるような馬が不在であったとすることもできる。私はどちらかというと後者だが、それはこれまでのアメリカ3冠レースにおける肉と肉がぶつかり合うような壮絶な死闘を見せられてきたからであろう。

アメリカ3冠レースの厳しさは、その苛酷なローテーションもさることながら、アメリカ全土からパワーとスピードを併せ持ったダートの鬼たちが集い、最後は心臓の強さで勝負するようなレースを繰り広げるところにある。タフなローテーションにへこたれない肉体的、精神的な強さが求められつつ、同じように屈強な馬たちをレースで打ち負かさなければならない。自分に克つだけでは足りなくて、相手にも勝たなければならないのだ。少しばかり能力が抜けていたら3つ勝てるわけではなく、誰にも負けることなく、1ヶ月のうちで3つのレースを走り抜ける必要がある。

今年に関していうと、3冠レースすべてに出走したのはアメリカンファラオのみであった。他の馬たちは、ケンタッキーダービーには出走しても、ローテーションのタイトさを嫌い、プリークネスSをパスしてベルモントSへ直行する馬が多かった。つまり、アメリカンファラオ以外の馬たちは3つのレースを走っていない以上、3冠馬になる資格を持っていたのはアメリカンファラオだけだったということである。それでいてプリークネスSは7馬身、ベルモントSは5馬身半も後続を離したのだから、誰もアメリカンファラオを止められなかったということだ。アファームドが3冠を達成したときに執拗に食い下がったアリダーのような馬はいなかった。

たとえ3冠馬になれなかったとしても、未来の血統地図を塗り替えるような名馬もいる。私がアメリカ3冠レースで最も記憶に残っているのは、サンデーサイレンスとイージーゴアの争いである。サンデーサイレンスが直線でヨレながらも勝ったケンタッキーダービーを勝ち、プリークネスSは2頭の歴史にのこる激しいマッチレースの末、サンデーサイレンスが2冠を制し、最後のベルモントSはイージーゴアが圧勝して3冠を阻んだ。この2頭の物語はこれで終わらず、同年のブリーダーズCクラシックでは、サンデーサイレンスが再びイージーゴアを打ち負かしてリベンジを果たしてみせたのだ。特に、プリークネスSの直線の馬体をぶつけ合う叩き合いは、競馬の原点を見ているようで、何度見ても胸が熱くなる。こうしたイージーゴアとの死闘を経て、サンデーサイレンスは日本にやってきて、今があるのだと思うと、競馬がまた違って見えてくるから不思議である。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (2)

エプソムCを当てるために知っておくべき3つのこと

Epsomc

■1■4、5歳馬が中心
4歳   【6・4・3・22】 連対率29%
5歳   【3・4・1・43】 連対率14%
6歳   【1・2・2・39】 連対率7%
7歳以上【0・0・4・39】 連対率0%

5、6歳馬が中心であった先週の安田記念と比べると、明らかに4、5歳馬が強い。これといった理由は思いつかないが、安田記念より距離が200m伸びて、ペースが落ち着きやすいということだろうか。前半3ハロンの平均が35秒8、後半3ハロンの平均が35秒7と、ほぼミドルペースで流れる。その分、スピードに任せて前に行ける若い馬の方が有利になるということだ。

■2■馬場によって適性が180℃変わる
東京の1800mはコーナーが2つで、サンデーサイレンス系のタメて切れる脚質が合う舞台である。ただ、この時期は雨が降りやすく、馬場が変化しやすい。ダービーが終わって、さすがに芝も荒れてくる頃だけに、雨が降ってちょっと時計の掛かる馬場になるとジワジワと脚を使う血統の馬が台頭する。具体的に言うと、キングマンボ、ペンタイア、マヤノトップガン、フレンチデピュティなど、非サンデーサイレンス系の馬である。

■3■マイラーにとっては厳しいレース
ヨーロッパの血を持つ馬が活躍しているように、府中の1800mはスピードだけでは押し切れない、スタミナが問われる舞台である。過去10年の連対馬20頭のうち、18頭が芝1800m以上の中距離で勝ち星を挙げていたことからも、マイラーにとっては厳しいレースになることが分かる。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

逃げ馬が逃げ残るための3つの条件

Rensai012

競馬は前に行ける馬の方が圧倒的に有利である。特に、逃げ馬はレースの主導権を握り、馬場の良いところを通って最短距離で走ることができ、アクシデントに巻き込まれることも少ない。追い込み馬とは比べ物にならないほどのアドバンテージを得て、逃げ馬は走ることができる。その反面、レースのレベルが高くなるほど、逃げて勝つことは次第に難しくなっていく。なぜなら、逃げ馬は自然と他馬の目標になってしまうからである。レースで目標になってしまうと、道中は楽に走らせてもらえないばかりではなく、勝負どころでは手応えのある他の馬が次々と襲い掛かってくる。余程の力差がない限り、逃げ馬は常に厳しいレースを強いられてしまうのだ。

だからこそ、本当に強い馬は逃げて勝つ馬だとも言える。とはいえ、ミホノブルボンやサイレンススズカのような強い逃げ馬ばかりではない以上、逃げ馬のレースにおける勝ち負けは、自分の実力の外にある何かによって支配されることは避けられない。そこで、逃げ馬が逃げ残るための3つの条件を挙げてみたい。

1、人気がない
2、突然逃げる
3、トップジョッキーが乗った人気馬が差し馬

「人気がない」は基本中の基本だが、人気がなければ、他馬から目標とされることが少なく、それだけマークも緩くなるということである。“あの馬を逃がしたら勝たれる”と思われれば、必要以上に競りかけられたり、早めに捕まえに来られたりするが、“どうせ最後までもたない”と思われれば、楽に逃がしてもらえる。逃げ馬の着順は、力の有無というよりは、人気による騎手の共通意識が創り上げていると言っても過言ではないだろう。つまり、人気がないことを確認してから、逃げ馬を狙うべきなのである。

「突然逃げる」は前もって予測するのが極めて難しいのだが、逃げるはずではなかった馬が逃げたり、これまで逃げたことのなかった馬が逃げたりした時ほど、逃げ残る確率が高い。また、今年のヴィクトリアマイルのミナレットのように、あっと驚く大逃げを打ったときも同じである。想定外の馬やペースで逃げた場合、その馬をマークするかどうかという騎手の共通意識が働きにくいからだ。各ジョッキーが他の騎手の動きをうかがっている内に、あれよあれよという間に逃げ粘ってしまうのである。

(続きは週刊Gallopにて)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (0)

あらゆる意味でパーフェクト

Yasuda15 by 三浦晃一
安田記念2015―観戦記―
前走でスプリント戦を走ったミッキーアイルが好スタートを切り、それを制するように押してリアルインパクトが先頭に立った。前半マイルが45秒9、後半のそれが46秒1という平均ペース、むしろG1のマイル戦としては遅い流れといえる。2番手を進んだ牝馬ケイアイエレガントが掲示板に残っているように、全体としては中団から前に行った先行馬たちに有利なレースとなった。そのため、自らのペースを崩すことなく、無理せず好位に取りつけた馬たちが上位を占めた。力と力がぶつかり合うような例年の安田記念とは違い、今年のレースレベル自体はやや低い。

それでも勝ったモーリスは、ここ数戦の追い込み脚質から脱却し、先行してそのまま押し切ったのだから強い。G1レースを正攻法で勝ったということだ。2歳時から馬体の骨格の素晴らしさや末脚の鋭さなど非凡な資質は見せていたが、体質的に弱さがあって、力を発揮できないレースが続いていた。そこで長期の休養を挟んで、堀厩舎に転厩させ、じっくりと馬をつくり直した結果として、馬体に芯が入って今の活躍がある。具体的には、良い脚が長く使えるようになった。まだトモに甘さは残っているが、とにかく前駆の盛り上がりとそれに伴う肺活量には惚れ惚れするようで、どこかで見たと思ったら父の父であるグラスワンダーのそれである。

先週のドゥラメンテに続き、2週連続でのG1レース勝利となった堀厩舎の凄さは時間にある。馬をつくるためにかける時間。馬を歩かせることから始まり、時計の出る調教からクーリングダウンに至るまで。もちろん寝藁を替えたり、ブラッシングやマッサージなども含む、馬とかかわる時間のすべてが堀厩舎の管理馬をつくっている。ブラックと揶揄されるかもしれないが、とにかく時間を掛けて、じっくりとゆっくりと馬をつくる。皐月賞であれだけの脚を使ったドゥラメンテをダービーまでに回復させ、今回のモーリスもダービー卿CTの反動を癒すために、除外の可能性を考慮しつつ、無理をしてステップレースを使うことなく間を開けた。堀厩舎の快進撃を見ると、これまでの西高東低の差は栗東と美浦の施設環境の差ではなく、馬づくりにかけた時間の差であったのではと感じる。

大一番でバトンを受けた川田将雅騎手は、期待以上の形でモーリスを勝たせてみせた。タイミング良くゲートが開かれたことで、ポンと飛び出したモーリスを下げることなく、出たままのポジションで走らせた。負けたときのことを考えると、できそうで案外できないことである。並みのジョッキーであれば、もっと手綱を絞って、馬を下げてしまっていたのではないか。追い出しのタイミングも完璧で、2着馬に迫られたように見えたが、どこまで行っても変わらない差であった。これまで追い込んでいた馬があれだけ前に行けば、力んで掛かるのは当然のことで、それでも川田騎手だからこそ抑え込めたとも言える。何よりも、こういう勝ち方は馬にダメージを残さない。あらゆる意味でパーフェクトな騎乗であった。

ヴィンセンヌは良く追い込んだが届かず。勝ち馬との間にはクビ差以上の力差があるが、この馬自身も1頭だけ33秒台の脚を使って後方から伸びたように、3着以下の馬たちを凌ぐ実力を示した。折り合いに難しさがある馬であり、福永祐一騎手も上手く乗ってはいるが、展開に左右される面があることは否めない。前走の京王杯SCでは折り合いをつけて走ることに専念し、そのリズムが今回の安田記念に生きてはいるが、それでも届かなかった。G1レースを勝ち切る力は持っているので、あとはもう少し自在に動けるように教えていかなければならない。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (36)

3歳時と比べても遜色ないリアルインパクト:5つ☆

モーリス →馬体を見る
3歳時から立派なシルエットであったが、前駆の力強さには惚れ惚れしてしまう。
顔つきを見ても、気性面で難しさがあるとは思えず、安定して力を出し切れるはず。
Pad4star

サクラゴスペル →馬体を見る
斑点が見えるように、毛艶は素晴らしく、ここに来て調子がさらに上がってきた。
メンコと目つきを見る限り、短距離馬特有の難しさがあり、そこをどう克服するか。
Pad3star

サンライズメジャー →馬体を見る
コロンと映る体型であり、やや胴部も短く、マイル戦よりも短い距離を得意とする。
筋肉のメリハリという点においても物足りず、もうひと絞り必要な馬体。
Pad3star

カレンブラックヒル →馬体を見る
ダートに挑戦したのも頷けるほど、馬体全体が力強く、パワーに溢れている。
胴部が詰まっているので、府中のマイル戦は距離が微妙だが、体調は抜群に良い。
Pad4star

ヴィンセンヌ →馬体を見る
前駆が勝って、腰高に映るように、典型的なスプリンター(短距離馬)の馬体。
母系の血が前面に出ているを、ディープインパクトの万能さでカバーしている。
Pad4star

ダノンシャーク →馬体を見る
レース間隔が開いているにもかかわらず、筋肉が柔らかく、メリハリが十分な馬体。
7歳馬とは思えないほどの力強さがあり、昨年時よりもさらにパワーアップしている。
Pad4star

ダイワマッジョーレ →馬体を見る
胴部が詰まっていて、コロンと映るように、1400mがベストでマイルは少し長い。
それでも前後のバランスが良いため、乗り方次第では上位に食い込むことも可能。
Pad3star

フィエロ →馬体を見る
母父デインヒルの血が出てきているのか、胴部に伸びが出てスタミナがアップしている。
その分、腹回りには余裕があるように、もうひと絞りできそうな仕上がり。
Pad3star

レッドアリオン →馬体を見る
全体的に力強い馬体で、トモにも実が入ってきて、前後のバランスも良くなってきた。
筋肉に硬いところがあるため、スタミナを問われる流れになると不安だが、体調は良好。
Pad3star

ミッキーアイル →馬体を見る
このメンバーに入ると馬体が全体的に幼く映るように、まだ成長の余地を残している。
それでもここまで走るということは、天性のスピードとバネの良さがあるということ。
Pad3star

リアルインパクト →馬体を見る
3歳時と比べても遜色ない馬体を保持しており、海外遠征の疲れも癒えている。
腹回りに多少余裕があるが、最終追い切りでしっかり追われて仕上がってくるはず。
Pad5star

Yasuda2015wt

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (8)

競馬発展のために公正であること

Jiromaru

安田記念のレース名は、日本中央競馬会の初代理事長である安田伊左衛門に由来します。それだけを聞くと、ふーんとやり過ごしてしまいますが、この安田氏は「日本競馬の父」と呼ばれるほどの人物であったそうです。もう少し分かりやすく説明すると、明治時代に戦争の影響もあって馬券の発売が禁止になったとき、安田氏が身を粉にして奔走し、自ら衆議院議員になり法案を作成して、ついには馬券発売を政府に認めさせたのです。さらにはイギリス競馬を模範として、ダービーを中心とする5大競走など、現在のレース体系の原形をつくったことでも知られます。そう、私たちがこうして競馬を楽しめているのも、ある意味においては、安田氏のおかげでもあるのです。

安田氏は東京農学部にいた頃から乗馬学校に通っていて、卒業したあとは騎兵隊に志願したほどであり、馬に乗ることが好きだったようです。そのためか、理事長になってからも、「競馬発展のために最も大切なのは公正であること」として、特にレースにおける公正さには厳しかったそう。天皇陛下が観戦されたとあるレースにて、ご皇族は「いいレースを見せてもらった」と満足してお帰りになったにもかかわらず、「いや、あのゴール前の斜行は看過できない」として、勝ち馬を失格処分にしたというエピソードもあります。この話を聞いたとき、一昨年の安田記念において、岩田康誠騎手がロードカナロアに乗って直線で斜行したあれは、安田氏ならば確実に失格処分にしていただろうなと思って可笑しかったです。

さて、今年の安田記念は粒ぞろいのメンバーが揃いましたが、外国馬がいなくて寂しいですね。高松宮記念を勝ったエアロヴェロシティが出てこないため、高松宮記念馬もいないことになります。正直に言うと、1番人気の馬から最低人気の馬まで、どの馬にも勝つチャンスがありそうです。レースを引っ張りそうなケイアイエレガントやカレンブラックヒルから、差し脚にかけるサトノギャラントやヴィンセンヌ、モーリスまで、多様な脚質の馬たちが我こそはとゴールを目指す姿が目に浮かぶようです。

血統的には、ディープインパクト産駒が最多の6頭で、次いで多いのが何とダイワメジャー産駒の4頭です。ディープインパクトとダイワメジャーという種牡馬の産駒たちだけで、出走馬の優に半数以上を占めているのですから驚きです。ディープインパクト産駒はともかくとして、ダイワメジャー産駒はそれだけマイル適性が高いということでしょう。ダイワメジャー自身もこの安田記念を2007年に制していて、あのときの力強い走りと安藤勝已騎手の冷静な仕掛けは忘れられないなあ。どの馬も大して人気にはなりそうもないので、穴を開けるとしたらダイワメジャー産駒かもしれません。ディープインパクトとダイワメジャー産駒たちの、ゴール前の激しい攻防が、今から楽しみですね。あとは安田伊左衛門氏が見ても満足してもらえるような、公正なレースを期待します。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (10)

東京芝1600m

Tokyo1600t

向こう正面の直線入り口からのスタートで、第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は566mとかなり長い。スタートしてから緩い下りが続くことも加わって、前半から速いラップが刻まれることになる。“向こう正面でスピードが出てしまうこと”、“「直線が長く坂があること”の2つの理由によって、連対馬中の逃げ馬の比率が約12%という、「日本で最も差し馬が有利なコース」である。

コーナーの数が2つしかないことと、複合カーブであることによって、同じ1600mでも、中山競馬場のそれと比べるとごまかしが利かないコース設定になっている。マイル以上の「スタミナ」が要求され、スピードだけで押し切るのは難しいコースである。

ペースによって内外の有利不利が違ってくるコースであり、スローに近いペースであれば内、ハイペースに近ければ外の方が勝ちポジとなる。また、差し馬に有利とはいえ、東京競馬場の馬場状態は絶好であることが多いため、特に上級クラスになればなるほど、前に行った馬もそう簡単には止まらない。ペースやクラスに応じて柔軟に狙ってみるべき。

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (9)

前走の派手な追い込みに惑わされることなかれ

Rensai011

競馬において最もインパクトの強い勝ち方は、派手な追い込み勝ちだろう。どう見ても届かない位置から、直線だけで他馬をゴボウ抜きにするシーンは、見ているだけでも爽快である。今や伝説となっているマティリアルのスプリングS、マヤノトップガンの天皇賞春、ダンスインザダークの菊花賞、最近ではハープスターの桜花賞などが思い浮かぶ。派手な追い込み勝ちをした馬は、いかにも強いという印象を与えるが、その反面、次のレースでは力を発揮できずに凡走してしまうことがほとんどである。

最大の理由としては、豪脚を使ったことによる肉体的な負担が大きく、次のレースで反動が出るからである。他馬の上がりを1秒以上も凌ぐ末脚を使うことで、競走馬が被る肉体的な負担は想像以上に大きい。速い時計の出やすい馬場であれば、なおさらである。次走で凡走するならまだましで、脚元に負担が掛かったことにより故障してしまう馬も少なくない。冒頭に挙げた4頭は、いずれも次走で敗退、もしくはそれをきっかけに引退しており、まさにこのケースに該当する。

現代の日本競馬の馬場に当てはめて、より具体的に示すとすれば、ラスト3ハロンを33秒台の脚を使って差し切った次のレースは凡走しやすいと言い換えてもよい。サラブレッドにとって、スタートしてからある程度の速いペースで走り、レースの最後にさらにペースを上げ、1ハロン11秒台前半のラップを続けて3回刻むことは、(脚元を含め)肉体的な限界に近づくことを意味する。時計の出やすい絶好の馬場であるからこそラスト3ハロン33秒台という数字が出るのだが、それゆえに、勝つために能力を出し切った馬、もしくは能力以上のものを出し切った馬にとっては、レース後の反動が大きい。

このことを私に示唆してくれたのは、藤澤和雄調教師の管理馬であったスティンガーという牝馬であった。

(続きは週刊Gallopにて)

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (13)

Crazy Strong!

Derby15

ミュゼエイリアンが果敢に先頭に立ち、外からキタサンブラック、内からコメートが続いた。前半1200mが71秒3、後半71秒9という、やや前半が速い平均ペース、道中淀みなく流れたことで、展開による大きな有利不利はなく、最後は力のある馬が抜け出してくる日本ダービーに相応しいレースとなった。有力馬が外の枠を引いたことで、2着には内枠を生かしたサトノローゼンが割って入ったが、それでもドゥラメンテを筆頭とした3強の能力は抜けていたということだ。3頭ともに成長の余地を残しており、まだ気が早いかもしれないが、古馬になってからも互いに鎬を削ることになるだろう。

勝ったドゥラメンテは、中団から追走し、最後の直線では危なげなく後続を突き放した。皐月賞は折り合いに気をつけて競馬をしていたが、今回はある程度のポジションを取りに行き、ほとんど折り合いを欠く素振りを見せなかった。ドゥラメンテは堀厩舎の管理馬にしては珍しく、筋骨隆々というわけではなく、どちらかというと筋肉のメリハリに物足りなさを残し、随所に緩さを感じさせる未完成な馬体である。ディープインパクトやキングカメハメハ、オルフェ―ヴルといった過去の名馬たちと比べるとまだまだだが、この薄い馬体で日本ダービーを勝ってしまったのだから恐れ入る。終わってみれば勝つべくして勝った、最も日本ダービーに相応しい馬が勝ったということである。血統的には菊花賞の距離はやや長いので、秋は凱旋門賞に向かうのも面白い。

中央競馬所属の騎手として初めて日本ダービーを勝ったM・デムーロ騎手は、ゴール直後に頭が真っ白になったのだろう、さすがに得意のパフォーマンスは見られなかった。終わってみれば楽勝であったが、特に日本ダービーのようなレースにおいて、勝つべき馬を無事に勝たせることは、M・デムーロ騎手ほどの百戦錬磨のジョッキーにとっても簡単ではない。ネオユニヴァースで勝ったときとはまた味が違う、なんとか大仕事を成し遂げたという喜びだろう。特筆すべきは、スタートしてから馬が掛かることを恐れずに、馬を出していったこと。最悪の形になっても、自らの腕で御しきれるという自信があるからこそでもある。リアルスティールやサトノクラウンよりも前の位置を取り、折り合った時点で、他馬に付け入る隙を与えなかった。

サトノラ―ゼンは岩田康誠騎手の好騎乗に導かれ、3強に割って入った。これぞ府中の2400mを勝つための乗り方であり、スタートから道中のポジション、仕掛けるタイミングから最後の叩き合いまで、非の打ち所がない見事な騎乗であった。枠順に恵まれたこともあるし、サトノラ―ゼン自身が力をつけてきていることもあるが、岩田騎手らしい攻めの姿勢がそれらを引き出した。この馬もまだ馬体に幼さを残しており、夏を順調に過ごせば、秋以降はさらに活躍が期待できる。

サトノクラウンは最後まで脚を伸ばしたが、サトノラ―ゼンを捕らえることができなかった。最終コーナーで大外を回らざるを得なかったのが最後に響いた。2着馬とは枠順の差であると言っても過言ではない。皐月賞は2度にわたって外に弾かれ、大きく能力を削がれた結果だけに、もともとはこれぐらい走って当然な馬である。サンデーサイレンスの血が全く入っていないにもかかわらず、日本ダービーでここまでの走りを見せるのだから、実に異能でこの先が楽しみな馬である。血統的な奥の深さはまだ分からないが、秋以降にはさらに強くなった姿を見てみたい。

リアルスティールはドゥラメンテに突き放されたばかりか、2着争いからも離された4着に終わってしまった。外枠発走ということもあり、積極的に攻めていくことができず、レースの主導権を勝ち馬に渡してしまっていた。最後はスタミナ切れしていたように、この馬は体型的には2000mまでの馬だろう。内枠を引くことができ、乗り方次第では勝利を拾うチャンスはあっただけに、馬にとってもジョッキーにとっても運がなかった。それでも、もし勝ちに行くことを狙うとすれば、一か八か馬を出して行き、第1コーナーまでに内に潜り込むべきであった。本番でそれができるように、デビュー戦から手綱を取り、レースを重ねつつ競馬を教え込んできたのではなかったのか。与えられた枠なりに回ってくる者に、ダービージョッキーになる資格はない。対照的に、コメートに騎乗した嘉藤貴行騎手は、枠を生かし、攻めの騎乗に徹していた姿が印象的であった。

Photo by 三浦晃一

現在のランキング順位はこちら

| | Comments (38)

« May 2015 | Main | July 2015 »