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ブラックホークはもういない。

ブラックホークのような男に私はなりたい。プロフィールにも書いているように、私の大好きな馬の1頭だが、好きと言うよりはむしろ憧れていると言ってよい。尊敬するという意味でもある。頭がおかしくなったのかと思われるかもしれないが、本当にそうなのだから仕方ない。憧れたり、尊敬する人がいるように、憧れたり、尊敬する馬がいてもいいだろう。うまく言えないが、たとえば空手をやっている人がアンディ・フグをそうするように、テニスプレイヤーが錦織選手をそうするように、私はブラックホークに憧れて、ブラックホークを尊敬する。

そんなブラックホークが心臓発作で亡くなった。現役引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りしたが結果を出せず、ブリーダーズスタリオンステーションから最後は熊本の牧場に移って種牡馬生活を続けていたそうだ。種牡馬入りした当初は、母父サンデーサイレンスの繁殖牝馬との間に大物が生まれるのではと期待していたが、キングカメハメハを筆頭とした非サンデーサイレンス系の種牡馬が続々と誕生し、現実はそう上手くはいかなかった。客観的に考えると、ブラックホークの血にはスタミナが足りなかったと思う。スピードもスタミナもある他の種牡馬たちに総合力で負けてしまい、その血を広く残すことは叶わなかった。

それでも、ブラックホークは記憶に残る馬であったことは間違いない。日本の競馬が最も盛り上がった時代の名マイラーであり、アグネスワールドやトロットスターらとの死闘は記憶に新しい。個人的にも、1レースに10万円の単勝を賭けていた時代であり、負けが続いて大変な借金を背負った苦しい過去でもあるが、だからこそブラックホークがスプリンターズSを勝ってくれたときの爆発的な喜びやひと時の安堵感は忘れようがない。あの頃は、私も命がけで競馬や馬券と向き合っていたからこそ、ブラックホークと心からつながり合えたのかもしれない。

ブラックホークに教えてもらったのはとにかく前へ進めということ。苦しい事から逃げずに、楽しんで走ること。あきらめずに走っていれば、チャンスは巡ってくること。思い出を語ればきりがなく、あの時代の心境と共にたくさんのブラックホークのレースが蘇ってくる。そして、ブラックホークがいなくなって思うのは、あれはもうずいぶん昔の話なのだということ。ブラックホークに励まされ、彼のように前に前に進んできたつもりだが、振り返ってみるとちっとも前に進んでいない気もする。彼に会わせる顔がないし、合わせようと思っても彼はもういないのだ。


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Comments

次郎丸さん
こんにちは。
次郎丸さんにとってブラックホークがそうであるように ウオッカが私にとっての憧れです。
そして競馬ファンなら誰にでも忘れられない馬が1頭や2頭は必ずいるはずです。
好きと憧れはまた別のものなんでしょうね。
ウオッカ以上に好きな馬はいるけど 彼女への想いは他の馬にはない特別なものがあります。
次郎丸さんに対抗して 「こんな女に私はないりたい。」とウオッカのことを尊敬しています。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | July 30, 2015 at 01:43 PM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

そうでしたね。

私も競馬を始めた時代が違えばウオッカのような女(男)になりたいと思っていたかもしれません。

そんな男らしい女性でしたね、ウオッカは(笑)

私にとってはジャパンカップのあのハナ差の勝利が忘れられない瞬間でした。

掲示板にウオッカの番号が出たときの場内の盛り上がりと言ったら涙が出ました。

またあんな競馬やレースが観たいですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | July 31, 2015 at 12:17 PM

次郎丸さん
こんにちは。
私がウオッカに憧れるのは自分が女であるからでしょうね。
男だったらきっと牡馬に憧れていたと思います。
私が男だったらオグリキャップですね。

私はウオッカとダイワスカーレットの天皇賞・秋が好きです。
あのレースは最後までダイワスカーレットはウオッカに交わされることなくゴールしてるんです。
なのに最後のあの瞬間だけほんの少しウオッカの鼻が前に出ていた。
たったそれだけで結果は天と地ほどかわってしまうんですよね。
ダイワスカーレットにとってあれ以上に悔しいレースもなかったのかもしれませんね。
力の差で行けばダイワスカーレットのほうが強いと答えるほうが正しい答えなのかもしれません。
美しくて強いダイワスカーレットも好きですが 私にはウオッカなんですよね。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | July 31, 2015 at 01:09 PM

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