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凡走か巻き返しか…連勝がストップした馬の次走は危険

Rensai28

連勝をしてきた馬が、突如としてあっけなく負けてしまうことがある。その理由は2つあって、ひとつは勝利を重ねていくうちに相手が強くなってくるから、もうひとつは体調を維持することが難しいからである。そんな中でも、4連勝、5連勝できる稀な馬もいる。高い能力を秘めていることの証明であり、真似しようと思ってもできない芸当だろう。こうして何連勝もできる馬は間違いなく強い。

しかし、そんな強い馬でも、一度連勝が途切れてしまうと、その後が続かないことが案外多い。それまでの連勝がまるでウソのように、勝てなくなってしまったり、再び力を発揮できるようになるまで多大な時間が掛かったりする。

このことを初めて思い知らされたのは、今から25年前に遡る、1990年の天皇賞秋。実は私が競馬を始めた年でもあり、初めて競馬場に足を運んだ日であった。この年の天皇賞秋にはあのオグリキャップが出走していて、どのスポーツ新聞を見ても「オグリキャップ!」の文字が躍っていた。宝塚記念以来のぶっつけで臨んできたオグリキャップが、どのように劇的に復活するのか、そこに競馬ファンとマスコミの焦点は集まっていた。そんな逆らいがたい雰囲気に流されつつも、私には1頭だけどうしても気になる馬がいた。

マキバサイクロンという馬である。父オランテ、母の父テューダーペリオットという地味な血統(当時はそんなこと知る由もないが)ながらも、天皇賞秋の前哨戦である毎日王冠まで4連勝してきた馬であった。900万下条件を2度勝ち、安達太良Sを勝ち、返す刀で関屋記念を制した。4連勝の勢いで臨んだ毎日王冠は負けてしまったものの、勝ち馬とは僅差の2着。この強さは本物で、天皇賞秋でも勝つチャンスは十分にあると思えた。何よりも、競馬を始めたばかりの私にとって、競馬新聞の馬柱がほとんど1着で埋め尽くされていることと、竜巻という雄々しい名の響きに魅力を感じてしまったのだ。

ところが、私の期待に反して、マキバサイクロンは13着に大敗してしまった。オグリキャップが負けたことで騒然とする競馬場で、ただひとり、私は競馬新聞の馬柱をもう一度見直していた。あれほど強かったマキバサイクロンが、なぜこうもあっさりと惨敗してしまったのだろう。マキバサイクロンから、連勝していたときの輝きはなぜ失せてしまったのだろう。考えてみたものの、当然のことながら、その当時は答えに至ることはなかった。マキバサイクロンは、その後、1勝もすることなくターフを去った。マキバサイクロンの謎は謎のまま私に残った。

(続きは週刊Gallopにて)

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中山芝1200m

Nakayama1200t

スタート時点から、第1コーナーである3コーナーまでは275m、そこからもさらに100mほど直線が続く。3~4コーナーにかけて、きついカーブになっているように見えるが、中間に直線が入っているため、実はスピードをほとんど落とすことなく回ることができる、全競馬場の中で屈指の高速コーナーである。またスタート時点が坂の頂上にあるため、ゴール前の残り200mの時点までは緩やかに下りながらレースが進むことになる。そのためペースは速くなりがちで、馬場さえ良ければ、かなりの速いタイムが出ることになる。

ゴール前の直線は310mと短いが、高低差2.3mの急坂が待っているため、ハイペースで飛ばした先行馬が末脚をなくし、中団待機の差し馬に交わされるという逆転劇が起こり得る。特にG1レースにおいては、道中が速く厳しいペースになりやすいので、前に行って粘り込むためには、相当な実力が必要とされる。ただし、差し馬はあまり後ろすぎても届かないため、ある程度前に行くことのできる先行力は必要とされる。

スタートからコーナーまでの直線距離が長く、コーナーも比較的緩やかであるため、内外の枠順で基本的には差はない。しかし、あまりにも内枠すぎると、インぴったりに閉じ込められ、かえってスピードに乗れないこともある。多少の距離損があったとしても、中~外枠の方がレースはしやすい。

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スプリンターズSを当てるために知っておくべき3つのこと

Sprint02

■1■サマースプリントシリーズの最終戦として
1990年にG1レースに昇格し、それ以降、師走のスプリント決戦として定着していたが、2000年から秋の中山開催へと時期が変更された。この変更によって、夏に行われるサマースプリントシリーズとの結びつきが強くなった。夏競馬を使ってきた勢いを、ほとんどそのまま持ち込めるようになったということだ。そういう意味において、スプリンターズSはサマースプリントシリーズの最終戦と考えて良いだろう。

とはいえ、サマースプリントシリーズで目一杯走り切ってしまった馬は苦しい。2007年のサマースプリントチャンピオンに輝いたサンアディユがそうであったように、夏に3走もしてしまっていると、最後のスプリンターズSではガス欠を起こしてしまうことになる。また逆に、なんらかの事情があって、ここがブッツケになってしまった馬では、余程力が抜けていないとこのレースを勝つことは難しい。つまり、サマースプリントシリーズを使いつつ、スプリンターズSを最終目標に定めてきた馬を狙うべきである。

■2■基本的には差し馬が有利も
中山1200mのコースは先行馬にとって有利な形態となっているが、これだけハイペースになってしまうと、前に行けるだけのスピード馬にとっては苦しいレースになる。「短距離の差し馬」という格言もあるように、ハイペースについて行けて、なおかつ末脚もしっかりとしている差し馬が狙いとなる。

ただし、雨が降って道悪になった際は、考え方を180℃変えなければならない。平成12年のダイタクヤマトや平成16年のカルストンライトオ、平成18年のテイクオーバーターゲット、平成19年のアストンマーチャンが逃げ切ったように、道悪になると先行できる馬が圧倒的に有利になる。

スプリンターズSはパンパンの良馬場で行われても、重・不良馬場で行われても、前半の800mのタイムは実はほとんど変わらない。たとえば、平成17年に良馬場で行われたスプリンターズS(勝ち馬サイレントウィットネス)と、平成19年に不良馬場で行われたアストンマーチャンが逃げ切ったスプリンターズSのラップをご覧いただきたい。

平成17年 12.1-10.1-10.7-11.1-11.5-11.8 良馬場 
平成19年 12.0-10.3-10.8-11.1-12.0-13.2 不良馬場

これほど異なる条件下で行われた2つのスプリンターズSだが、テンの4ハロンのラップタイムはほとんど同じであることが分かる。平成17年がスローペースで流れたわけではない。どちらかというとハイペースで道中は進み、中団から進出したサイレントウィットネスが最後の急坂で差し切り、2着には最後方からデュランダルが32秒の脚で追い込んできた。パンパンの良馬場をハイペースで流れたスプリンターズSと、ドロドロの不良馬場のスプリンターズSの前半800mがほぼ同じラップなのだ。これはどういうことだろう?

これこそが雨のスプリンターズSは800mのレースであるということに他ならない。つまり、スタートしてから800mで究極のラップを刻むため、ラスト400mはどの馬もバテてしまい、レースどころの騒ぎではないということである。

また、競走馬はスタミナが切れたところを追い出されるとフォームを崩してノメるという特性があるため、4コーナー手前からはどの馬も真っ直ぐ走らせるだけで精一杯という状況にもなる。勝負は最初の800mで決まってしまうのだ。雨が降った場合は、スタートよく飛び出して、ハミをしっかりと噛みながらガンガン前に行ける馬を狙うべきである。

■3■1200m以上のスタミナ
スピード自慢の馬たちが揃うため、前半3ハロンは32秒~33秒前半というハイペースになり、さらに直線に急坂が待ち受けていることも加わって、後半3ハロンは35秒台の消耗戦となる。前半と後半で2秒以上の落差が生まれることによって、一本調子のスピード馬にとっては厳しいレースになり、このレースを勝ち切るためには1200m以上のレースを走るだけのスタミナが要求される。

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馬体が充実しているロゴタイプ:5つ☆

★神戸新聞杯
リアルスティール →馬体を見る
春当時から成長しているかと問われると、否と答えざるをえない馬体。
力強さは相変わらずだが、表情には気性的に難しいところをのぞかせている。
Pad3star

キロハナ →馬体を見る
ディープインパクト×キングカメハメハらしい、3歳馬離れした力強い馬体。
胴部には長さが欠けているため、2400mの距離はギリギリだろう。
Pad4star

マッサビエル →馬体を見る
やや幼さを残した体つきで、このメンバーの牡馬の中に入ると線の細さを感じる。
顔つきからは気性の素直さが伝わってきて、レースに行くと操縦しやすいタイプか。
Pad3star

アルバートドック →馬体を見る
使われつつきっちりと鍛え上げられているのが伝わってくる、筋肉のメリハリがある。
ややトモが薄いのが欠点だが、闘争心に溢れた表情で、この馬の力は発揮できる。
Pad4star

ティルナノーグ →馬体を見る
ふっくらとして、やや余裕残しの馬体だが、特に前駆には力強さが溢れている。
トモ高の馬体からは、スピードはあるがスタミナには若干の不安要素がある。
Pad3star

リアファル →馬体を見る
全体的に長さのあるシルエットで、距離が延びてこそ良さが出るのではないか。
顔つきを見ると、気持ちの面でも気合が乗ってきており、仕上がりは万全か。
Pad3star

タガノエスプレッソ →馬体を見る
幼さを残している未完成の馬体で、胴部には長さが足りず、距離には不安あり。
気性的には激しい部分がありそうで、スムーズにレースを進めることができるかどうか。
Pad3star

★オールカマー
ヌ―ヴォレコルト →馬体を見る
相変わらず牝馬らしいシルエットで、線の細さを残した、だが力強さには欠ける馬体。
おっとりとした気性が顔つきから伝わってきて、それゆえに距離は延びて力を出せる。
Pad3star

ロゴタイプ →馬体を見る
2歳、3歳の絶好調時は別にして、ここ最近では最も馬体が充実して、盛り上がっている。
やや余裕があることは確かだが、馬体からは疲労が完全に抜けて、リフレッシュした。
Pad5star

マイネルミラノ →馬体を見る
流星の感じや表情から、この馬の気性の強さ(激しさ)と扱いの難しさが伝わってくる。
前駆に力強さはあるが、それに比べてトモが薄く、瞬発力勝負になると分が悪い。
Pad3star

サトノノブレス →馬体を見る
この馬も馬体が完全に回復して、リフレッシュされたが、まだ馬体には余裕がある。
ひと叩きされて完調に至りそうだが、現時点でも筋肉の量が豊富で力強い。
Pad4star

ショウナンパンドラ →馬体を見る
前髪を横にしているため顔つきが分かりやすく、意外にも気性の難しさを秘める馬。
この馬も前駆に比べて後躯が弱いため、末脚勝負になると分が悪いかもしれない。
Pad3star

ミトラ →馬体を見る
シンボリクリス産駒らしく、馬体全体にまとまりがあるが、尾の短さが気がかり。
全体的にやや余裕があるが、80%までは仕上がって、力は出し切れる出来にある。
Pad3star

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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第2回)

Hitokuti02

さっそく、一口馬主クラブの資料を取り寄せてみることにした。どのクラブもホームページ上に募集馬を公開しているので、それらを徘徊しつつも、最終的にはパンフレットで馬の写真等を見て決めたいからだ。やはりインターネット上の写真とパンフレットのそれでは、同じ写真であっても、受ける印象が異なることがある。情報量が違うということだ。それは毎週拙ブログ上で立ち写真の評価を行ってきて分かったことでもあり、できれば紙の媒体で見る方がよい

さすがにありとあらゆるクラブの募集馬を全て検討するのは時間的に難しいため、まずはクラブで絞り込みをかけることにした。私が資料請求したのは「サンデーサラブレッド」と「社台サラブレッドクラブ」と「シルクホースクラブ」の3クラブである。なぜこの3クラブを選んだかというと、信頼が置けるからだ。一口馬主をやっていく上で、おそらく良いことも悪いことも起こるだろうし、走ったり走らなかったりもするだろう。そういう紆余曲折のある長い道程において、クラブと側の理念や運営から対応に至るまで、信頼できるかどうかは極めて重要になってくると思うからだ。

きわめて個人的な理由ではあるが、「ROUNDERS」をより多くの競馬ファンに届けたいと思い、一口馬主クラブの会報誌に掲載をお願いに回ったことがあり、その中で縁があって、人間的な対応をしてくれたのが社台グループとシルクホースクラブであった。どこの馬の骨かもわからない私たちの話を聞いてくれ、自らの会報誌に載せてくれたことに今でも感謝している。全く利害関係のない、いち競馬ファンでしかない私たちを人間的に扱ってくれたことが嬉しかった。私が逆の立場であったら、同じようにできただろうか。

特に、シルクホースクラブの代表を務める阿部幸也さんに、中山競馬場でお会いしたことは今でも忘れられない。阿部さんは時間が許す限り、開催日には競馬場に足を運び、自らのクラブの馬たちを応援しているのだという。その日も中山競馬場にいらっしゃっていて、レースが終わったあと、競馬場内のカフェで「ROUNDERS」の話を聞いていただいた。ミスター競馬と呼ばれた野平祐二さんを特集したvol.3を発売した直後であり、阿部さんのお父さまが野平祐二さんと知己があったことを懐かしく話してくれたりした。まだ社台グループと提携する前であり、「今日は1勝もできませんでしたよ」と少し疲れた顔を見せてくれたのが印象的であった。苦しい時期だったのだと思う。この人にとっては、クラブの馬はすべての馬が愛馬なのだと感じた。

その後、社台グループとの提携が発表され、新しいシルクホースクラブとして一歩を踏み出すことになった。これで阿部さんの笑顔が見られることが多くなるのでは、と私は心から祝福した。

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G1のステップ=非根幹距離のレースはマイナー種牡馬の子を狙え

Rensai27

競馬には、根幹距離と非根幹距離という概念がある。根幹距離とはマイル(約1600m)を中心として、1200m、2000m、2400m、3200mと、400mごとに区切られる、世界のレース体系において中心的かつ重要な競走が行なわれる距離のことである。非根幹距離とは、それ以外の距離、1000m、1400m、1800m、2200m、2500m、3000mと考えてよい。

そして俗にいう、根幹距離では走るが非根幹距離では走らないという馬(その逆も然り)はたしかに存在する。しかし、結論から先に述べておくと、ほとんどの場合において、それは根幹距離、非根幹距離の問題ではなく、レース体系によるものなのである。

日本の競馬のレース体系を見ると、G1レースは根幹距離を基本としていることが分かる。非根幹距離で行なわれるG1レースは、宝塚記念(2200m)、菊花賞(3000m)、エリザベス女王杯(2200m)、ジャパンCダート(1800m)、有馬記念(2500m)の5つしかない。これら5つのレースにおいても、コースの設定上、たまたま非根幹距離になってしまっただけで、あえてそうしたものは少ない。もう一歩踏み込んで考えると、G1レースは根幹距離で行われ、それ以外のステップレースは非根幹距離でも行なわれるということである。

G1レースが根幹距離で行なわれる以上、生産の段階からすでに根幹距離を意識した配合がなされ、根幹距離で実績のあった種牡馬や繁殖牝馬が重視される。育成の段階においても、その馬の特性に合わせて調教が重ねられてゆき、この馬はスプリンター(1200m)、この馬はマイラー(1600m)、中距離馬(2000m)~クラシックディスタンスを得意とする馬(2400m)、ステイヤー(3200m)とある程度の区分けがされて、レースに送り出される。だからこそ、強い馬や能力の高い馬は必然的に根幹距離を得意とする馬となるのであって、元々、根幹距離を得意とする馬と非根幹距離を得意とする馬に分かれているわけではない。

それではなぜ非根幹距離を得意とする(ように見える)馬が出てくるのかというと、

(続きは週刊Gallopにて)

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産経賞オールカマーを当てるために知っておくべき3つのこと

Allcomer

■1■前に行ける馬が圧倒的に有利
12.2-11.9-12.6-12.4-12.4-11.7-11.5-11.6-11.8-11.4-12.6(61.5-58.9)S
12.6-11.5-12.4-12.3-12.2-12.6-11.8-11.8-11.3-11.4-12.6(61.0-58.9)S
12.3-11.8-13.0-12.4-12.3-12.4-11.6-11.4-11.2-11.8-11.8(61.8-57.8)S
12.5-11.5-12.4-12.3-12.3-12.2-12.1-12.0-11.3-11.2-11.6(61.0-58.2)S
12.4-11.1-12.2-11.9-12.4-11.9-12.0-12.2-11.7-11.7-11.9(60.0-59.5)M
12.3-11.3-12.6-12.2-12.1-11.7-11.9-11.6-11.8-11.4-12.3(60.5-59.0)S
12.6-11.3-12.4-12.5-12.6-12.9-12.6-12.6-12.0-11.7-12.3(61.4-61.2)M
12.8-11.1-12.1-11.7-11.9-11.8-12.2-12.1-12.4-11.8-12.1(59.6-60.6)H
13.0-11.0-11.4-12.2-12.9-12.2-12.4-12.1-12.0-11.4-11.6(60.5-59.5)S

前半が上りで、後半が下りという競馬場のコースのアップダウンの影響も大きいのだが、過去10年間のラップタイムを見るだけで、オールカマーというレースが必然的に極端なスローペースになることが分かる。開幕3週目の絶好の馬場も手伝って、前に行ける馬が圧倒的に有利になる。これだけの速い上がりを求められる以上、前に行ける馬にとって圧倒的に有利になることは間違いない。

■2■夏を使ってきた馬
これは9月競馬全体に言えることだが、まだこの時期においては、休み明けの実績馬よりも夏競馬を使ってきた上がり馬の方が優勢である。この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しく、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。ところが、休み明けの馬は実績のある馬であることが多いため、たとえ仕上がりが悪くても、どうしても人気になってしまう面は否めない。私たちは春競馬での強い姿を覚えているので、ある程度の期待と幻想を持って、休み明けにもかかわらず実績馬を人気に祭り上げてしまうのだ。

過去10年の勝ち馬を見ても、7月以降のレースを使っていた馬が5頭に対し、春以降ぶっつけで臨んできた馬が4頭とほぼ互角だが、出走馬の実績を考えると、休み明けの馬にとっては苦しいという結果が出ている。特に、春シーズンを最後まで戦い抜き、出がらしの状態で休養に入った馬にとっては、9月の段階で本調子に仕上げ直すのは非常に難しい。

■3■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが恐ろしく速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、バランスオブゲームしかり、3連覇したマツリダゴッホしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

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神戸新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Koubesinbunhai

■1■とにかく前走ダービー上位組
過去10年のうち、前走ダービー組から9頭の勝ち馬が出ている。連対馬にまで対象を広げても、20頭中16頭が前走ダービー組である。さらに日本ダービー優勝馬は【4・2・0・0】連対率100%、2着馬は【2・2・0・3】連対率57%以上と抜群の成績を残している。紛れのない府中2400mで行われるダービーで勝ち負けになった馬は、たとえ休み明けでも確実に勝ち負けになる。とにかく、ダービー上位組を狙うべきレースである。

■2■瞬発力があり、先行できる馬に有利
阪神2400mはスタートしてから最初のコーナーまでの距離も長く、休み明けの馬が多いこともあってスローペースは否めない。そして、緩やかな3~4コーナーをゆっくり回るため、どうしても直線に向いてからのヨーイドンの競馬になる。当然のことながら、先行できる馬にとって有利になり、「折り合いに不安のある馬」、または「瞬発力のない馬」にとっては苦しくなる。枠順としては、スローになる分、どちらかというと内枠有利。

■3■さほどスタミナは問われない
2007年から距離が400m延長されたが、この時期の芝は軽いことや、阪神2400mコースの特性上、さほどスタミナを問われるレースにはならない。よって、前走ダービー上位組以外を狙うのであれば、夏を越して力をつけてきたステイヤーを狙うのではなく、ただ単純に夏の上がり馬を狙うだけでよい。上がり馬だけに、前走で勝っていることは最低条件になるだろう。

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素直な気性が伝わってくるディープジュエリー:5つ☆

★ローズS
ミッキークイーン →馬体を見る
オークス以来の休み明けらしく、やや余裕残しで、ひと叩きされてこその馬体。
厳しいオークスを勝っただけに、疲労が心配だが、杞憂に終わるかも。
Pad3star

クイーンズリング →馬体を見る
こちらも馬体がふっくらとして、春当時の疲れは抜けて、回復が著しい。
馬体のつくりには幼さが残り、距離適性が分からないが、短くなる分には良いはず。
Pad4star

アンドリエッテ →馬体を見る
手脚が長く、背も高くなり、これから先まだまだ成長しそうな美しいシルエット。
血統的には短いところでも力は出せるが、馬体的には距離が延びて良さが出そう。
Pad4star

レッツゴードンキ →馬体を見る
2歳時から完成度が高かったが、ここに来て成長度という点ではイマイチか。
休み明けを感じさせずに馬体は仕上がっていて、力は出し切れるはず。
Pad3star

ショウナンアデラ →馬体を見る
2歳時に比べて、馬体の成長分と休養明けの分が含まれて、まだ太目残り。
それでも毛艶は素晴らしく、さすがG1ホースという存在感を示している。
Pad3star

ディープジュエリー →馬体を見る
しっかりとした立ち姿で、後躯に比べて前駆が勝っていて牡馬のような力強さ。
顔つきから素直な気性が伝わってくるように、レースでも堅実に走るはず。
Pad5star

★セントライト記念
タンタアレグリア →馬体を見る
どことなく子どもっぽさを残しているが、馬体全体のバランスは素晴らしい。
手脚が長くスラリと延びて、2400m前後の距離でこそ、この馬の良さは出る。
Pad3star

ブライトエンブレム →馬体を見る
前駆が力強く、パワータイプであるが、その分、つなぎや筋肉に硬さを感じる。
気の強そうな顔つきからは、休み明けからいきなり力を出せる気性が窺える。
Pad3star

ミュゼエイリアン →馬体を見る
いつも良く見せる馬であり、今回も休み明けにも関わらず、きっちり仕上がった。
トモの位置がやや低いため、血統の字ズラ以上に距離は長くても良いのかもしれない。
Pad3star

サトノラ―ゼン →馬体を見る
休み明けでふっくらしているのを差し引いても、余裕があって、脂肪分が残っている。
胴部がコロンとして映るように、実は2400m以下の方が距離は合うのではないか。
Pad4star

ベルーフ →馬体を見る
休み明けをひと叩きされて、前走よりも筋肉にメリハリが出てきた。
前駆の力強さに比べると、トモの肉付きが物足りない分、前半は置かれるだろう。
Pad4star

キタサンブラック →馬体を見る
他馬の馬体の成長に比べて、この馬は夏を越してまだ線の細さが残っている。
疲労から回復していないか、もしくは成長力に欠けるのか、今回は見送りたい。
Pad3star

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セントライト記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sentolite

■1■夏の上がり馬に注目
9月競馬全般に言えることだが、この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しいため、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。セントライト記念も最近の傾向として、夏にレースを使っていた馬が強く、ダービー以来の休み明けで勝った馬は、2002年のバランスオブゲーム、2009年のナカヤマフェスタ、2011年のフェイトフルウォー、2012年のフェノーメノ、2014年イスラボニータであるように、よほど力が抜けている、もしくはダービー後も体を緩めずに仕上げてきたということでない限り、いきなり勝利というわけにはいかないのだ。2010年は夏にレースを使ってきた馬がワンツーフィニッシュを決めたように、夏の上がり馬にまず注目すべきレースである。

■2■切れよりも地脚の強い馬
中山2200mは、2コーナーが丘の頂上となっていて、そこからゴールまで緩やかな下りが続く。3コーナーが軽く舵を切るだけで曲がれるため、2コーナーから4コーナーまでは500mの擬似直線と考えることも出来る。そのため、3コーナー付近からロングスパートのレースになりやすく、距離以上のスタミナを要求されることになる。一瞬の切れを武器にする馬ではなく、良い脚を長く使える地脚の強い馬を狙うべきである。

■3■前に行ける馬を狙え
これも9月競馬全般に言えることだが、この時期だけは夏の間にしっかりと養生されたことで、芝がしっかりと根を張った野芝100%の状態になっているため、多少のハイペースで行ってもなかなか前の馬は止まらない。これに中山競馬場の直線の短さが加わって、差し・追い込み馬にとってはかなり苦しいレースになる。ただし、ロングスパートでスタミナが問われることがこたえるのか、逃げ切りも意外と難しい。つまり、前に行ける先行馬、もしくは3~4コーナーまでに好位を確保できる馬にとって有利なレースになる。

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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第1回)

Hitokuti01_2

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてすなり」として紀貫之は土佐日記を書き始めたように、現代のコアな競馬ファンが愉しむといわれている一口馬主というものを、私もやってみようと思う。別に大上段に構えているわけではなく、もちろん女性になりすまして馬主になるということでもない。そこにあるのは、そこはかとない興味であり、大いなる野望であり夢である。この1歩を踏み出すことで、未来がどう変わってゆくのか、ぼんやりと分かるようでいて分からない。ひとつだけ言えるのは、新しい競馬の世界が待っている、ということである。

競馬と共に20年以上の歳月を過ごしてきた私が、いよいよ一口馬主になろうとしているわけだが、一口馬主を意識し始めたのはかなり昔のこと。社台レースホースやサンデーレーシングの馬たちが、ダイナースクラブの会員でなければ手に入らなかった時代といえば分かりやすいだろうか。その頃は、クレジットカードなど持てる身分ではなく、いくら共有馬主とはいえ、社台グループの生産馬を所有することは、貧乏人にはとても手の届かないお金持ちの遊びであった。

それ以外には、友駿ホースクラブや東京サラブレッドクラブの前身であるユーワホースクラブなどの資料を取り寄せ、学校をさぼって近くの喫茶店で穴が開くほど眺めたりもしたが、結局これぞという馬が見つからず、来年こそはと思い、いつの間にか20年が経ってしまった。おそらく当時の私の友人は、「一緒に共同馬主やろうぜ」という誘いを嫌というほど聞いたはずだし、あれだけ熱弁をふるっていたにもかかわらず、いまだに一口馬主にすらなっていない私のことを冷めた目で見ていたはずである。

私が馬主というものに憑りつかれていたことを示すエピソードを紹介したい。かつて国立競技場でアルバイトをしていたことがあった。たとえば、ラグビーやサッカーなどの大きな試合があるとお呼びがかかって、チケットのもぎりや競技場内での案内を行う。このアルバイトの良いところは、運が良ければ、仕事中にスポーツ観戦が無料でできることだ。運が悪いと、競技場の外にある駐車場に配属させられることもある。車でやってくる入場者を誘導し、適切な場所に駐車してもらうのだ。

ある日、私は初めて駐車場の係に任命された。試合が観られないことを残念に思いつつ、新しい場所での仕事を覚えようと、背筋を伸ばして駐車場の入口に立った。次々と入ってくる車を空いているスペースに導いていると、あっと言う間に時間が経つ。しばらくしてホッとひと息つき、ふと目を上げたところ、フロントガラスの右上に「馬主」と書かれたステッカーのようなものが貼られた車が私の前を通り過ぎた。ああ、馬主か、今日は競馬場に行かず、ラグビー観戦に来ているのだな、まあ毎週自分の馬が出走するわけでもないし、などと思った。

ところが、次にやってきた車にも同じ「馬主」のステッカーが。何という偶然だろう、こういうところに車で観戦に来るような人はお金持ちで、馬主の人が多いんだなあ、うらやましい、と心の中で独り言を言う私。しかし、次の車もまた同じ。駐車場の入口のところで並んで待っている4、5台の車を見渡してみると、すべての車に「馬主」のステッカーが貼ってあるではないか!目をこするとはまさにこのことで、さすがにこんなにも全員が馬主であるはずがないと私は自分を疑った。しばらく冷静になって考えてみると、そのステッカーに書かれていた文字は、「馬主」ではなく「駐」であったのだ。私以外の誰が見ても間違わないと思うのだが、それは駐車場に入るための専用のステッカーであった。駐車場の「駐」かよ!と気づいたとき、私は己の愚かさを恥じるとともに、自分の心がいかに馬主というものに支配されていることを思い知らされたのである。

どれほどまでに私が馬主になることに恋焦がれてきたか、分かっていただけただろうか。正真正銘の馬バカなんて言わないでほしい。そう、私は遅れてきた大物一口馬主なのだから。

(第2回へ続く→)

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9月は夏競馬に出走していた逃げ・先行馬に妙味あり

Rensai26

夏競馬が終わり、ようやく中央に開催が戻ってきた。もう来月にはG1シリーズが始まるのだから、サラブレッドたちも忙しい。この9月いう時期は、秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期にあたるシーズンである。そこで、期間限定ではあるが、9月競馬の攻略法について考えてみたい。

9月競馬で大切なポイントは2つある。ひとつは、休み明けの馬よりも夏競馬を使ってきた馬を狙うということだ。この時期はまだまだ暑く、休み明けの馬にとっては調整が難しく、レースに行っていきなり能力を発揮しづらい。ところが、休み明けの馬は実績のある馬であることが多いため、たとえ仕上がりが悪くても人気になってしまう。私たちは春競馬での強い姿を覚えているので、ある程度の期待と幻想を持って、休み明けにもかかわらず実績馬を人気に祭り上げてしまうのだ。

実績馬がひと叩きされた後(10月以降)は、夏競馬を使ってきた馬との力関係は逆転する。夏に酷使された馬たちは力を使い果たし、夏を休養にあてていた実績馬たちの体調が上向いてくるからだ。つまり、9月という時期は、秋のG1シリーズに向かうにあたっての過渡期であり、夏競馬の延長線上にあるということになる。確かに休み明けの実績馬の取捨は難しいが、人気的な妙味を考慮すると、夏競馬を使ってきた馬を狙う方が妙味だろう。夏競馬を使ってきた馬とは、厳密に言うと、8月にレースを走った馬のことを指す。

もうひとつは、前に行くことの出来る逃げ・先行馬を狙うということだ。普段は酷使されることの多い阪神競馬場や中山競馬場の芝だが、この時期だけは夏の間にじっくりと養生されたことで、芝がしっかりと根を張った野芝100%の状態になっている。どの馬にとっても走りやすい絶好の馬場であり、それゆえ速い時計が出やすい高速馬場でもある。マイル戦で1分32秒台の時計など当たり前で、全馬の上がり3ハロン時計が33秒台であるレースも珍しくない。

(続きは週刊Gallopにて)

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ローズSを当てるために知っておくべき3つのこと

Roses

■1■前走オークス組と夏の上がり馬がほぼ互角
過去10年の勝ち馬の前走を見ると、G1オークスもしくは桜花賞以来の馬が10頭、条件戦からは1頭もいない。休み明けでも実績馬に分がある。連対馬に手を広げても、G1オークス(もしくはNHKマイル)以来が5頭、条件戦(もしくはG2・3)からが5頭と、こちらはほぼ互角となる。

これは、牝馬は総じて仕上がりが早いということに理由があるだろう。この時期であれば、基本的には夏にレースを使っていた馬が有利なのだが、たとえ休み明けであっても、春の実績馬がある程度までキッチリと仕上がって出走してくるということである。つまり、春のクラシックを走ってきた実績馬が夏の上がり馬と五分に戦える舞台となっている。

■2■紛れが少なく、内枠有利なコース設定
改修後の阪神1800mは、スタートしてから最初のコーナーまでの距離が長く、直線も長いため、
激しい先行争いもなく、極めて紛れの少ないコースといえる。別の言い方をすると、ごまかしが利かないため、スタミナのないマイラーでは苦しい。また、コーナーを緩やかに回るので、馬群が固まりやすく、外枠を引いた馬は外々を回されやすい。内枠を引いた馬が有利である。

■3■瞬発力勝負に強い馬
改修後の阪神1800mコースの特性上、どうしても道中がスローで、最後の直線に向いての瞬発力勝負になりやすい。そういった意味では、前に行ける先行馬にとって有利となるが、後方からでも瞬発力に優れていれば差し切れる。

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大きなエンジンを搭載しているリトルゲルダ:5つ☆

★セントウルS
ウリウリ →馬体を見る
牝馬らしい線の細い馬体で、ひと息入った様子を全く感じさせない仕上がり
トモの肉付きは物足りなさを残しているが、前駆は力強く、力を出し切れるはず。
Pad4star

ストレイトガール →馬体を見る
年齢的なものもあってか、さすがに全盛期のような迫力は感じさせない。
それでも、付くべきところには筋肉が付いて、パワーとスピードが伝わってくる。
Pad3star

リトルゲルダ →馬体を見る
牡馬と間違ってしまうほどの前駆の力強さがあり、大きなエンジンを搭載している。
毛艶や馬体のメリハリは芦毛のため分かりにくいが、ひと叩きされてアップしているはず。
Pad5star

ハクサンムーン →馬体を見る
良かった頃の立ち姿は首を水平に保っていたが、今回はやや集中力に欠ける気がする。
仕上がりは悪くはないが、筋肉のメリハリはあと一歩で、ここは本番に向けての叩き台か。
Pad3star

アースソニック →馬体を見る
しっかり食わせ込んでから調教し、レースで走っているのだろう、使い減りしていない。
夏場を使われているにもかからず、むしろ太目に映るほどで、調子の良さが伝わってくる。
Pad3star

バーバラ →馬体を見る
やや手脚が短く重心が低い馬体ではあるが、全体のバランスや立ち姿は素晴らしい。
毛艶も良く、いかにも夏場に強い牝馬という仕上がりで、好走が期待できる。
Pad4star

★京成杯AH
アルビアーノ →馬体を見る
馬体に大きな成長は見られないが、休養をはさんで春当時の疲れは癒えている。
さすがにステップレースだけあって、万全の仕上がりではないが、力は出せる。
Pad3star

スマートオリオン →馬体を見る
前走に比べると力感が戻ってきたが、それでも立ち姿からは調子落ちが感じられる。
夏負けなのだろうか、顔つきにも冴えがなく、体調が良いとは思えない。
Pad3star

グランシルク →馬体を見る
いかにも3歳馬らしい、成長途上の馬体で、かつ休み明けで仕上がりも不十分。
能力は高い馬なので好走が期待できるが、勝ち負けを期待するのは難しいか。
Pad3star

ヤングマンパワー →馬体を見る
この馬の良さは手脚が長く、胴部にも長さがあることだが、首の高さが気になる。
贅肉が付きにくいタイプなのか、太目感は全くなく、きっちり仕上がっている。
Pad3star

レッドアリオン →馬体を見る
前後のバランスが良く、勝った前走時よりも、馬体はパワーアップしている。
やや太く映るのはこの馬の体型であり、今回も好走が十分期待できる出来にある。
Pad45star

エキストラエンド →馬体を見る
夏場よりも冬場の方が良いタイプなのだろうか、馬体に張りと毛艶に冴えがない。
前後の実の入りも物足りず、勝ち切るだけの力強さを感じさせない。
Pad3star

アルマディヴァン →馬体を見る
牝馬らしい線の細さを残しているが、馬体の随所からバネの良さが伝わってくる。
顔つきを見ると素直な気性が分かるように、レースセンスが高い馬なのだろう。
Pad4star

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さらば藤田伸二

Photo_3騎手の世界で綺麗に乗るということは、騎乗フォームやアクションが美しいだけではなく、フェアに乗るということを意味する。自分が勝つために、他の騎手や馬の危険を顧みず、レース全体の調和を乱してしまうような乗り方をするのではなく、競馬というスポーツが誰にとってもスムーズかつ公正に行われるように乗るということだ。ただ馬につかまってジッとしているだけであれば、それは安全安心ではあっても、勝利からは遠ざかってしまう。逆に、他の人馬を妨害したり、無理な進路変更やポジション取りをしたりすれば、自分の馬が勝つ可能性が高まることもある。「綺麗に乗る」と「勝つ」、どちらか一方だけを選択するのだとすれば、さほど難しいことではない。両方を同時に行うことが難しく、騎手として最高の技術と英知が求められるのである。

「特別模範騎手賞」を2度受賞した藤田伸二騎手は、綺麗に乗りながら勝つことを最も体現した騎手のひとりであろう。「特別模範騎手賞」とは、勝利数か獲得賞金、勝率のいずれかの部門で全国リーディング5位以内に入る優秀騎手賞を手にし、なおかつ制裁点数が0でなければ取れない賞である。1980年に創設されて以来、この賞を獲得したのは、藤田伸二騎手以外には、柴田政人元騎手と河内洋元騎手だけなのである。これだけを見ても、綺麗に乗りながら人より多く勝つことがどれだけ難しいかが分かる。

藤田伸二騎手の騎乗で印象に残っているのは、逃げて勝ったレースであり、その中でもローレルゲレイロで制した2008年の高松宮記念と2009年のスプリンターズSは彼の真骨頂であった。スタートしてから大胆なアクションでハナに立ち、道中は馬と喧嘩することなくキッチリと抑え込み、最後の直線ではムチを豪快に振るう。レース前からの口撃のようなものがあるとは思わないが、絶対にハナを取ってやる、下手に絡んでくる奴は許さないぞ、という無言の圧力がほとばしっているような逃走劇であった。誰にも迷惑をかけず、邪魔をしない、綺麗な勝利でもあった。

その藤田伸二騎手が中央競馬界を引退する。派手な外見や言動とは裏腹に、繊細さを秘めたジョッキー。競馬場の外ではなくターフの上でもっと暴れてほしいと思った時期もあったが、藤田伸二騎手のこだわりが見えてくるにつれて、彼がターフの上では自らを厳しく律していることが分かった。レースに行って、ソツなく乗らせたら、右に出る者はいない。彼のミスをしない騎乗スタイルを考えると、人気のある実力馬に乗ってこそのタイプであり、良い馬が回ってこなくなった時期は苦しかったはずだ。

とはいえ、晩年のJRAやエージェント制に対する批判から始まり、後輩ジョッキーたちに向けた辛辣な苦言やダメ出しに至るまでの一連の言動には、藤田伸二騎手を昔から知る競馬ファンですら興ざめせざるを得なかったはず。藤田伸二騎手が大活躍していた時代には強力なエージェントに支えられていたことなど、競馬関係者なら誰もが知っている話であり、外国人ジョッキーや地方出身の騎手に良い馬が回るのは、彼らの騎乗技術や人間性が磨かれて、より光っているからである。平日にゴルフ三昧をする暇もなく、彼らは1年365日、馬に乗り続けてきたからこそ今があるのだ。日本競馬のレース自体のレベルも、かつてに比べると格段に高くなっている。世の中、上には上がいるのだ。藤田伸二騎手が心配する、一生懸命に調教を頑張っている騎手たちには、いつかチャンスが巡ってくるから安心してほしい。本来はそういう時期を乗り越えてこそ、本物のジョッキーになれるのだから。

「元々いいものを持っている騎手なんですからね。31歳のいま、それに気付いたとしてもそれは少しも遅くはないんです。若いときに多少の無茶をしたり、あるいは人生経験の拙さから自分自身をいびつな木に育ててしまったとしても、ある瞬間に本人の危機感や自覚のハサミできちんと剪定し直したなら、一瞬にして素晴らしい木に変わるんです。」

かつて藤田伸二騎手のことを高く買っていた伊藤雄二元調教師の言葉である。彼が偉大な調教師に愛されていたことが伝わってくるだろう。言動は支離滅裂であり、矛盾を抱え、裏腹なことも多くあったが、彼は偉大な騎手になる可能性を秘めていたのである。愛すべき部分と憎らしい部分が共存していたのは、彼が正直な人間であったことの証ではないかとも思える。おそらく一緒にいたら楽しくて、清々しい人間なのだろう。でも時折めんどうくさくて、厄介で、憎たらしいところもある。あなたの周りにもそんな友だちいないだろうか。さらば藤田伸二。

Photo by fakePlace

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京成杯AHを当てるために知っておくべき3つのこと

Keiseihaiautumnh

■1■内枠を引いた逃げ・先行馬有利
過去10年のレースラップを見てみると、道中で速いラップを刻み続けるだけではなく、前が止まりにくいことを意識して各馬が良いポジションを取りに行くため、前半が後半に比べて速い前傾ラップになることが多いことが分かる(下記)。

12.9-11.2-11.6-11.5-11.6-11.6-11.0-11.4(47.2-45.6)S
12.1-11.2-11.1-11.3-11.5-11.7-11.5-12.9(45.7-47.6)H
12.4-11.1-10.8-11.0-11.4-11.8-11.6-11.9(45.3-46.7)H
12.7-10.9-11.5-11.2-11.5-11.5-11.6-11.7(46.3-46.3)M
12.2-10.1-10.5-11.2-11.9-11.9-12.2-12.1(44.0-48.1)H
12.7-10.5-10.9-11.2-11.5-11.6-11.8-11.9(45.3-46.8)H
12.4-11.6-11.4-11.7-11.4-11.2-11.3-11.8(47.1-45.7)S
12.0-11.0-11.0-11.1-11.5-11.7-11.8-11.8(45.1-46.8)H
12.2-10.9-10.9-11.1-11.1-11.2-11.5-11.8(45.1-45.6)M
12.6-10.6-10.8-11.2-11.5-11.5-11.9-11.7(45.2-46.6)H
*新潟競馬場で行われた2014年は除く

前傾ラップになって前に行った逃げ・先行馬にとっては苦しい展開になるにもかかわらず、逃げ・先行馬が残って上位を占めることが多い。それだけ馬場が絶好であるため、前が簡単には止まらないということである。ペースが速くなることを承知で、それでも逃げ・先行馬を狙うべき。もちろん、中山の1600mコースは内枠有利が定石で、逃げ・先行馬が内枠を引けば大きく有利になることは間違いない。

■2■瞬発力ではなく持続力が問われる
4月以降の開催となるため、野芝の養生期間が長く、根がしっかりと張った野芝100%の極めて軽い馬場で行われる。そのため、スタートからゴールまで速いラップが刻まれ、一瞬の脚ではなく、どれだけスピードを維持できるかという持続力が問われるアメリカ型のレースになりやすい。アメリカ血統の馬、ノーザンダンサー系(特にノーザンテースト、ダンチヒ)の馬が、意外な好走を見せるものここに理由がある。

■3■牡馬優勢
同じ日に阪神で行われるセントウルSとは対照的に、牡馬が【10・10・10・97】と牝馬【2・2・2・24】を数の上で圧倒し、勝率・連対率でもやや優勢となっている。過去12年で牝馬の勝ち馬はキストゥへヴンとザレマのみで、連対馬に拡げてみてもシャイニンルビーとアプリコットフィズにすぎない。前述のとおり、どれだけスピードを維持できるかという持続力が問われるアメリカ型のレースになりやすいため、一瞬の脚で勝負したい牝馬にとっては苦しい戦いになる。

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馬の走りのリズムは出走レースの傾向に合致しているか?

Rensai25

競走馬にはリズムがある。どれぐらいのスピードで走るか、という体内時計と言い換えてもよい。気性が前向きな馬は他馬よりも前へ前へと、のんびりとした性格の馬はゆったりと走るように、それぞれの馬が持って生まれたリズムがある。一方では、調教で教え込まれたり、競馬のレースを経験するうちに自然と身に付いてしまうリズムもある。それらのリズムが相まって、競走馬のリズム(体内時計)は刻々と変化してゆく。

競走馬の後天的なリズムは、デビューしてから2、3戦目までのレースに大きく影響される。特に新馬戦でどのような距離のレースを使ったかは、その馬の将来を決めてしまうと言っても過言ではない。もし同じ素質を持った馬が1200m戦でデビューしたとすればスプリンターかマイラー、1800m戦でデビューしたとすれば中長距離馬へと成長するのではないだろうか。それぐらい走るリズムが刷り込まれやすい時期であり、関係者たちはレース選択には気を遣うべきである。単にメンバーが弱そうだからといって、スタミナを内包している馬を1200m戦でデビューさせるなんてことをしてはならないのだ。

あのシンボリルドルフが1000m戦でデビューする際に、故野平祐二先生が「距離は1000mだけど、1600mのつもりで」と告げ、岡部元騎手も「分かりました」と答え、実際にシンボリルドルフをマイル戦のリズムで走らせ、見事に1000mのデビュー戦を勝たせてしまったという。これはシンボリルドルフだからこそ出来た芸当である。

ほとんどの馬にとって、デビューしてから2、3戦目まで、特に新馬戦における、調教ではなく本番における極限の体験の影響は大きい。肉体的にも、精神的にも、走るリズムが深く刻み込まれるのである。若駒の頃に目先の勝利を優先してしまったばかりに、その馬の距離適性を狭めてしまったケースも少なくない。

もちろん、競走馬のリズムは、短期的には前走のレースに影響される。

(続きは週刊Gallopにて)

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セントウルSを当てるために知っておくべき3つのこと

Centauruss

■1■内枠の逃げ、先行馬
阪神の開幕週ということもあり、馬場の傷んでいない内の経済コースを通られる馬は当然ながら有利になる。また、馬場が軽くて前が止まらないことや、下記のようにあまり速いペースにならないことが原因となって、阪神1200mコースは最後の直線が356mと比較的短く、逃げもしくは先行馬にとって有利なレースとなる。内枠に入った逃げ・先行馬がいたら、とりあえず狙ってみるのも面白い。

11.8-10.5-11.1-11.1-11.4-11.9(33.4-34.4)H
12.3-11.1-11.2-11.4-10.5-11.7(34.6-33.6)S
12.2-10.8-10.9-11.0-11.2-12.2(33.9-34.4)M
12.0-10.2-11.1-11.7-12.0-11.6(33.3-35.3)H
12.2-10.5-10.7-10.9-11.1-11.7(33.4-33.7)M
12.0-10.7-11.2-11.5-10.8-11.8(33.9-34.1)M
12.2-10.6-11.3-11.3-11.0-12.1(34.1-34.4)M
12.0-10.3-10.9-11.0-11.2-11.9(33.2-34.1)M
12.0-10.9-10.9-11.0-10.9-11.8(33.8-33.7)M
11.8-10.3-10.8-11.0-11.2-12.3(32.9-34.5)H

■2■牝馬の活躍
過去10年間において、牡馬(セン馬含む)が【3・5・5・67】と3勝に対し、牝馬は【6・2・4・34】と6勝を挙げ、圧倒的な成績を残している。サマースプリントシリーズの最終戦であり、スプリンターズSの前哨戦でもあるという、複雑な思惑の絡んだレースではあるが、夏競馬の勢いそのままに牝馬の活躍が目立つ。開幕週で馬場が軽いということが理由のひとつであろう。

■3■夏場に使っていた馬
        勝ち馬          前走時期
平成17年 ゴールデンキャスト   8月28日
平成18年 シーイズトウショウ   8月27日
平成19年 サンアディユ       8月12日
平成20年 カノヤザクラ       7月20日
平成21年 アルティマトゥーレ   7月19日
平成22年 ダッシャーゴーゴー   8月15日
平成23年 エーシンヴァーゴウ   8月14日
平成24年 エピセアローム     8月19日
平成25年 ハクサンムーン     7月28日
平成26年 リトルゲルダ      8月24日

過去10年の勝ち馬は、全て7、8月の夏場にレースを使っている。9月のこの時期は、中央開催に戻ってきてはいるものの、まだまだ暑く、休み明けの馬は調整が難しい。どれだけ力のある実績馬であっても、仕上がり途上の段階で、重い斤量を背負いながら、いきなりトップギアでの走りを期待するのは難しい。ここをステップにスプリンターズSに向かう馬VS夏競馬を使ってきた馬という構図になるが、このレースに限っては後者が有利。実績馬よりも、夏場を使っていた馬の方に妙味がある。舞台が阪神に移ったとはいえ、夏競馬の延長線上にあると考えるべきである。

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古馬相手でも遜色ないミュゼスルタン:5つ☆

★新潟記念
ミュゼスルタン →馬体を見る
この時期の3歳馬にしては筋肉の付き方が力強く、古馬相手でも遜色ない。
アバラが浮いているように、きっちりと仕上がって、力を出し切れる出来にある。
Pad5star

アヴニールマルシェ →馬体を見る
腹回りを始めとして全体的に余裕があるが、馬体から疲れは抜けて回復している。
春先は馬が苦しがっていたが、十分な休養を挟めたことで秋は期待できそう。
Pad3star

アルフレード →馬体を見る
3歳時に比べると胴部が拳ひとつ分ほど伸びたように、2000mの距離もこなせる。
つくべきところに筋肉が付いて、表情も良くて、この馬の力は発揮できる。
Pad4star

マイネルミラノ →馬体を見る
全体的に筋肉の量が豊富で、ごつい印象を受けるほどの力強さに溢れた馬体。
洋芝から野芝の新潟に変わって、軽さを問われるレースになると苦しいか。
Pad3star

ダコール →馬体を見る
この馬は良い時の形が他馬と違って見極めが難しいが、全体のシルエットは悪くない。
毛艶は冴えて体調は良さそうなだけに、重心がやや浮ついた立ち姿をどう解釈するか。
Pad3star

メドウラーク →馬体を見る
血統的には距離が短い方が良さが出そうだが、馬体だけを見ると長い距離が合いそう。
まだ成長過程にある馬体ゆえの線の細さがあり、現時点では2000mがベストか。
Pad3star

マジェスティハーツ →馬体を見る
相変わらず力強さに溢れる胴部だが、前走の仕上がりに比べるとやや落ちる印象。
欲を言えば、もう少しトモに実が入って、筋肉のメリハリが出てくると良い。
Pad3star

★小倉2歳S
シュウジ →馬体を見る
いかにも短距離馬らしい胴部の短さと筋肉量の豊富さで、距離短縮はプラスに働く。
パワーがあって、気性面も素直そうな顔つきなので、安定して力を出せるはず。
Pad3star

レッドカーペット →馬体を見る
馬体の将来性だけで言うと、この馬は群を抜いており、特に前駆が力強い。
手脚が長いため、この先の成長過程において、長い距離でも活躍できそう。
Pad4star

コウエイテンマ →馬体を見る
コロンとした胴部から手脚が伸びて、ナスに楊枝を差したようなシルエット。
完成度は低い段階で勝ち上がってきている以上は、走る資質が高いのだろう。
Pad3star

レッドラウダ →馬体を見る
この馬も馬体全体のシルエットが幼く、他馬と比べると完成度が低い。
毛艶も冴えず、それでも好走すれば、この先が楽しみになること間違いない。
Pad3star

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小倉2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Kokura2sais

■1■外枠有利
過去14年の枠順別の成績を見てみると、内枠(1~4枠)に入った馬が【6・3・5・80】、外枠(5~8枠)が【8・11・9・87】と、連対率にしておよそ10%の差がある。これには大きく2つの理由が考えられる。

1)開催最終週となるため馬場の内側が荒れている
2)キャリアが浅いため、馬群の外の方がスムーズにレースができる

1)に関しては説明するまでもないだろう。2ヶ月近くにわたる開催期間だけに、さすがの小倉競馬場の野芝も相当に荒れてきているということだ。特に3~4コーナーにかけての内側の芝は、見た目以上に痛んでいるはずである。

2)については、多くても3戦、少なければたった1戦のキャリアの出走馬が多いレースである。いきなりレベルの高いレースにおいて、馬群の中で揉まれてしまうと、最後まで自分の走りが出来ずに終わってしまう馬が多いということである。キャリアが浅い馬にとっては、多少の距離ロスがあったとしても、外枠からスムーズに自分のリズムで走られるメリットの方が大きい。

■2■牝馬の活躍
過去13年の性別の成績を見てみると、牡馬のわずか4勝に対し、牝馬が9勝と圧倒的に牝馬の方が強いことが分かる。この時期の牡馬と牝馬では、同斤量であってもほとんど走る力に差はなく、完成度の高い牝馬に軍配が上がることが多い。とにかく前に行って押し切るスピードが問われるので、最後まで集中して前向きに走り切る牝馬の方が、この時期は信頼が高い。

■3■ハイペース必至だが先行馬有利
過去10年の前半後半のタイムを比べてみたい。

        前半   後半
平成17年 33.6-35.5 ハイペース
平成18年 32.5-35.9 ハイペース
平成19年 33.5-35.8 ハイペース
平成20年 33.2-35.9 ハイペース
平成21年 33.8-35.2 ハイペース
平成22年 33.1-35.6 ハイペース
平成23年 33.4-35.4 ハイペース
平成24年 32.7-35.2 ハイペース
平成25年 33.1-35.7 ハイペース
平成26年 33.0-35.4 ハイペース

いずれの年も、前半後半の落差が2秒以上もしくは近くあるように、ハイペース必至であることが分かる。スピードを武器に行きたい馬が揃うため、スローはもとより、ミドルペースでさえ望めない。これだけ前半が速いと、差し馬にとって有利なレースになりやすいのだが、意外にも先行馬が活躍している。これは小倉1200mというコース形態ゆえであり、さすがに逃げ馬にとっては厳しいが、直線の短さを考慮すると、ハイペースを追走できてバテない先行馬を狙うべき。

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Monopoly,or die.

Sweeptousho

トウショウ牧場の閉鎖が発表された。来るときが来たというか、メジロ牧場のときと同じ、時代の移り変わりを感じざるをえない。紫の下地に黄色のダイヤが散りばめられた、あの勝負服をもう見ることができないのは寂しい。オールドファンたちが語ってやまないトウショウボーイ、私にとって初めての桜花賞を勝ったシスタートウショウ、エリザベス女王杯の末脚が目に焼きついて離れないスイープトウショウなど、競馬ファンの記憶に今も深く残る名馬たち。私たちは彼ら彼女らの名前と共に、トウショウ牧場についても語り継いでいくだろう。

トウショウ牧場のオーナーである藤田正明氏やメジロ牧場の北野豊吉氏は、日本ホースメンクラブの一員であった。日本ホースメンクラブは、昭和47年に野平祐二騎手(当時)と9名の馬主が共同出資して結成され、ヨーロッパ競馬への第一歩を踏み出した。このクラブが購入した馬に野平祐二騎手が騎乗し、本場のダービーやオークスを制覇するという大きな夢を抱えて発足したのである。当時の日本競馬界の状況を考えると、それはそれは壮大な計画であり、「外国かぶれ」などと揶揄されても何ら不思議はなかったが、かつて隆盛を極めていた彼らの夢や遊びや気取りがなければ、もしかすると日本の競馬はずっと閉鎖的なままであったかもしれない。

一時代を築いた牧場の閉鎖が伝えられると、どうして社台グループ一辺倒の現在の状況を危惧したり批難したりする声が聞こえてくる。同じ勝負服の馬ばかり走っていてもつまらないとか、社台の運動会などと言われるが、別に勝負服で競馬を観ているわけではなく、たとえ同じ系列の牧場で生産されたとしても1頭1頭の馬はそれぞれに全く違う個性を持っているのだから、それで競馬がつまらなくなったなんて屁理屈にしか聞こえない。もちろん、私だって知り合いの牧場の生産馬が勝てば嬉しいが、ほとんどの競走馬に生産者の顔が見えているわけではない。競馬の世界においては、やはり速くて強い馬を生み出すことでしか生き残っていけない。

そして、私は独占が悪いとは決して思わない。不法な行為をしたり、相手を攻撃したりして独占を築くようなケースは除き、ある競争原理の下での独占は良いことである。なぜなら、目先のお金や利益しか見えない非独占グループや牧場と、目先のお金や利益以外のことも見える独占グループや牧場との間には大きな違いがあるからだ。後者は新しい挑戦ができるし、未来へ向けての投資ができる。大きいところでは、凱旋門賞など海外の競馬に挑戦することができる。海外の繁殖牝馬を買い求め、血統のレベルを向上させ更新することができる。小さいところでは、施設環境を整備し、育成者や騎乗者などのホースマンを育てることができる。独占することができず、ギリギリの競争にさらされてしまうと、できないことがあまりに多いのだ。

独占に至るまでの過程には、地道な努力や実力だけではなく運の要素も大きい。社台グループでいうと、ノーザンテーストやサンデーサイレンスを導入できたことが、ひとつの独占のきっかけとなった。とはいえ、そこから先は、独占ゆえの産物と考えることができる。ディープインパクトもオルフェ―ヴルも、ジェンティルドンナもヴィクトワールピサも、社台グループによる独占があったからこそ誕生し、海を渡って、新しい地平を切り開くことができた。私たちに大きな夢を見させてくれたのである。そして毎年のように、凱旋門賞に挑戦し、勝つか負けるかのレースを期待できるのも独占のおかげである。私だってトウショウやメジロの馬が消えてしまうのは悲しいが、それ以上に社台グループの功績には拍手を送りたいし、その社台グループですら10年後は他の牧場やグループの独占に取って代わられているかもしれない。いつだって私たちは、悲しみを乗り越えて、この先へと進んでいかなければならないのだ。

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8歳でG1制覇も…キンシャサノキセキの本質は早熟馬

Rensai24

スプリンターはピークが短い、と第1回の連載で書いた。スプリンターにとって絶好調の期間を2シーズン保つことはなかなか難しく、まして1年以上となるとさらに難しい。しかし、キンシャサノキセキだけは例外中の例外、稀有な存在であった。2005年にデビューしたキンシャサノキセキは、5戦目にしてNHKマイルCに出走し、僅差の3着に好走するや、それ以降、5年以上にもわたってトップレベルのスプリント競走を走り続けたことになる。その間、何度か調子を崩したり、精神的に参ってしまったりしたこともあったが、その度に立ち直った。

2009年のスワンSから10年の高松宮記念までの4連勝には、誰もが目を見張った。堀宣行調教師の息長く馬を走らせる手腕に脱帽しつつも、キンシャサノキセキの生命力の高さにも驚かされる。これだけ長く、闘争心を維持できるスプリンターも珍しい。その軌跡だけを見ると、キンシャサノキセキは晩成のスプリンターであるように思えてしまう。なんと8歳まで走り続け、しかもラストランの高松宮記念を連覇して花道を飾ったのだから。

キンシャサノキセキが長く走り続けることができた最大の理由として、南半球生まれ(オーストラリア産馬)であったことが挙げられる。キンシャサノキセキの誕生日は9月24日。日本で誕生した同世代の馬たちと比べ、およそ半年遅れで競走馬としてのスタートを切った。いわゆる遅生まれということだ。

「天才!成功する人々の法則」(マルコム・グラッドウェル著)の中に、この早生まれ、遅生まれについての記述がある。カナダのアイスホッケーの強豪チームの年鑑を何気なく見ていた著者は、ある共通点に気づく。それは選抜選手たちの誕生日が1月~3月に集中していること。カナダでは1月~12月という学年の区切り方をしているので、1月~3月に早く生まれた子どもたちはその分、成長が早く、身体も大きくなり、身体能力も高くなり、競争に有利になる。そういった状況で選抜が進むことで、早く生まれた子どもたちはより優遇された環境やレベルの高い競争の中で訓練され、さらに高みを目指していける。一方、遅生まれの子どもたちは早々に競争から脱落し、そこから這い上がってゆくのは困難、という分かりやすい図式である。

(続きは週刊Gallopにて)

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札幌2歳Sを当てるために知っておくべき3つのこと

Sapporo2sais

■1■字ズラ以上のスタミナ
過去12年の勝ち馬から、2頭のダービー馬(ジャングルポケット、ロジユニヴァース)とジャパンカップ馬(アドマイヤムーン)、阪神ジュベナイルF馬(レッドリヴェール)、また2着馬から秋華賞馬のアヴェンチュラ、皐月賞馬のゴールドシップが出ているように、クラシックからその先を目指す素質馬たちにとっては、まさに登竜門となるレースである。

開幕最終週の洋芝で行われるからこそ、勝ち馬には字ズラ(1800m)以上のスタミナが要求されることになる。当然のことながら、前走で1800m戦を経験していることが望ましいが、たとえ前走が短距離戦だったとしても、距離延長がプラス材料になる馬であれば問題ない。キャリアの浅い馬が多いため、距離適性の見極めが大切である。

■2■牡馬
過去10年を振り返ってみても、牝馬がわずか1勝しか出来ていない。2013年はワンツーとなったが、連対率にしても10%前後と、牡馬の17%と比べると明らかに低い。小倉2歳Sと比較すると一目瞭然だが、スプリント戦に比べて底力が問われる中距離戦では、この時期でも牡馬が優勢ということである。2000年にはのちのG1馬テイエムオーシャンも出走して1番人気に推されたが、惜しくも3着に敗れてしまった。逆に、このレースを牝馬が勝つことができれば、かなり強いと考えることができるはずで、レッドリヴェールが阪神ジュベナイルFを勝っても何ら不思議はなかったといえる。

■3■内枠の馬
スタートしてから第1コーナーまでの距離が185mと極端に短い。小回りコースのため、外枠から発走する馬が馬群にもぐり込むことができなければ、コーナーを回るたびに外々を回されることになる。そのコーナーが4つもある以上、外枠を引くことによる距離ロスは少なくない。また、外枠を引いた差し馬にとっては、コーナーを回っているとすぐにその次のコーナーがやってくるので、前の馬との距離を縮めるのが難しい。内枠が良いというよりも、外枠を引いてしまった馬は苦戦を強いられるだろう。

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