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日高まつりだ


菊花賞2015―観戦記―
立ち遅れたスティーグリッツ以外の馬たちは好スタートを決め、外から強引にスピリッツミノルが先頭に立ち、それを1番人気のリアファルが追いかける形でレースは始まった。前半の1000mは60秒2と流れたが、中盤で一気にペースが落ちると(64秒4)、途中から我慢しきれない馬たちが、入れ代わり立ち代わり、外から上がっていくことで大きく隊列が乱れ、最後の1000mは59秒3という上がりの勝負になった。典型的な中緩みのレースであり、中盤で折り合って息を入れられた馬にとっては、2000mほどのスタミナしか要求されないレースであり、乱ペースに対応できる操作性の良さが問われたという意味においては、長距離らしいレースでもあった。

勝ったキタサンブラックは、好スタートを決め、最高のポジションを確保し、道中は手脚をゆったりと伸ばして自分のフットワークで走れていた。さらに他馬が大きく引っ掛かって外を回したことで、内を走っていたキタサンブラックの周りには広々としたスポットができあがった。こうして道中をスムーズに回って来られた運も大きいが、それ以上に、同馬の折り合いの良さが光ったレースであった。母の父がサクラバクシンオーだけに、道中が厳しいペースになっていたらどうだったかは分からないが、道中でスタミナを温存できたことが最後の末脚につながった。馬体的には手脚が長く、スラリとした体型に成長しているだけに、ジャパンカップが行われる2400mぐらいまでは距離は持つだろう。父ブラックタイドはディープインパクトの全兄であり、やはり血は争えない。

北村宏司騎手はこれ以上ない完璧な騎乗で、キタサンブラックを勝利に導いた。藤沢和雄厩舎の調教を手伝う中で、もともと馬に折り合いをつける技術は高く評価されてきた騎手だけに、こうした折り合いが問われる(長距離)レースでこそ北村宏司騎手の良さが発揮されたと言える。また、枠なりに内を進んだが、勝負所でリアファルを前に置けたこともポイントであった。リアファルがバテて下がってくることは考えにくい以上、内が詰まるリスクもなく、しかも最後の直線ではリアファルを目標として追い出せばよいことになる。リアファルを内から交わしたところがまさにゴールであった。

もうひとつ、今年に入ってからの日高生産馬のG1勝利ラッシュは、まるで日高祭りのよう。キタサンブラックの生産牧場であるヤナガワ牧場は最近、コパノリチャードやコパノリッキーなど、日高で最も活躍馬を出している。年間30~40頭しか生産しない中で、これだけG1馬をコンスタントに出せるのは何か秘訣があるはず。ちなみに、コパノリッキーもコパノリチャードも小國ステーブルで育成された。しかも、今年に入ってから日高の生産馬でG1を勝ったレッツゴードンキもストレイトガールも同じく小國ステーブルだという。生産から育成まで、人々の気持ちが同じベクトルに向かってゆくと頂点まで届くということだろうか。いずれにしても、日高の関係者たちにとっては嬉しく励まされるニュースである。

リアルスティールは、体型的にも気性的にも、決して3000m向きのタイプではなく、馬の総合力で連対を確保した。福永祐一騎手も細心の注意を払って乗ってはいたが、ペースが急激に落ちたところで、他馬と接触したことがきっかけとなって馬がハミを噛み、持って行かれてしまった。あそこのロスが最後のクビ差につながったように、ほんの僅かなことではあるが、勝ち馬とリアルスティールの間には適性の違いがあったということ。それはつまり、偶然ではなく、必然の負けなのである。

リアファルはハナを叩かれて逃げられなかったことで、気負って走る面が随所に見られた。それでも最初の1000mは良かったのだが、中盤で急激にスピリッツミノルのペースが落ちたとき、2番手で後続に蓋をする形になったにもかかわらず、結局のところ蓋をできず、自らも折り合いを欠く羽目に。結果論かもしれないが、リアファルの地脚の強さを考えると、あそこは思い切ってスピリッツミノルを抜き去って先頭に立つべきポイントであった。百戦錬磨のC・ルメール騎手にしては珍しい判断ミス。最後の直線では、リアファル自身は止まっていないのだが、スタミナを失っていない切れるタイプの2頭に先着を許してしまった。

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