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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第5回)

Hitokuti051

私がヒカルアマランサスの14に出資しようと決めたのは、その馬体の素晴らしさゆえである。これまでも毎年、数々の共有クラブのパンフレットに目を通してきたが、私が納得できるような馬体(立ち写真)の馬はひとつのクラブに1頭いるか、もしくは1頭もいないことの方が多かった。それぐらい1歳馬の馬体というのは物足りなく、アンバランスで、今にも崩れてしまいそうなものなのである。たしかに、この時期の馬体のシルエットや骨格などは成長してからも大きくは変わらないため、その馬の馬体の基礎(土台)ではあるが、その後の筋肉の付き方や成長度合いによって、形やバランスが崩れてしまうこともある。だからこそ、1歳馬の馬体の見極めは困難を極めるのだ。

また、馬体のミスを探す方法にも私は疑問を抱いている。トモが緩くて踏み込みが甘かったり、脚が内向(もしくは外向)していたり、筋肉が硬かったりなど、馬体の悪いところを探すと、ほとんどの馬の馬体にはミスがある。あのサンデーサイレンスの飛節が大きく曲がっていたのは有名な話だし、名牝ベガは左前脚が極端に湾曲していたため競走馬になれるかさえ危ぶまれていた。最近でいうと皐月賞を勝ったイスラボニータはフジキセキ産駒にしてはトモが緩くて、ここまでの活躍は期待されていなかったのではないだろうか。つまり、どんな名馬の馬体にもミスはあり、ミスがあるから走らないのではなく、ミスがあっても他の強い部分が補うことで走っているのである。

競馬の専門家や関係者たちは、つい馬体の欠点を見てしまう(見えてしまう)。他の馬を見るときだけではなく、自分たちの携わる馬に関しても。専門家として、それはある意味において仕方のないことだが、だからこそあえて良い部分を見ようとする視点は必要なのである。良いところを強化していくことで、実は欠点さえもプラスに転じることがある。前述のベガなど、幼少の時期にはあれだけ脚元に不安があったにもかかわらず、無理に負荷を掛けずにゆっくりと調整されたことで、一本の線の上を走るような美しいフットワークの競走馬になった。イスラボニータはもしトモがパンとしていたら、距離はマイルまでしかもたない馬になっていただろう。逆説的ではあるが、トモが緩いからこそ距離がもつのである。

ヒカルアマランサスの14の馬体の良さは、その完成度と力強さである。今年度の「サンデーサラブレッド」と「社台サラブレッドクラブ」、「シルクホースクラブ」のパンフレットの中でもトップクラスである。前駆と後躯にしっかりと実が入っていて、しかも前後のバランスが抜群である。前だけが強い馬はたくさんいるが、後ろも同様に強い馬は少ない。ミスがあるとすれば、膝下が短いということであり、これはつまりヒカルアマランサスの14が芝では短い距離、またはダートに適性があるということを意味する。個人的には、ダート路線での活躍が期待できるのではないかと考えている。

というのは、血統的にも母父にアグネスタキオンがいて、最近はダートに強い馬を出す傾向にあるからだ。種牡馬も年齢を重ねるごとに、産駒の傾向が変わってくることがあり、たとえばブライアンズタイムやスペシャルウィークなどが典型的で、最初は芝の大物を輩出していた種牡馬から晩年はダートの鬼が誕生したりする。アグネスタキオンにもその傾向が感じられ、最近では父としてはノーザンリバー、母の父としてはノンコノユメを出している。同じことはキングカメハメハにも当てはまるだろうし、そもそもキングカメハメハは芝とダートの両方で大物を出す種牡馬である。ヒカルアマランサスの14は両親の実績から見ると芝馬のように見えて、実は血統的にはダート馬なのではないだろうか。もちろん、私の推測が外れて、芝の大レースで活躍してくれても全くかまわないのだが(笑)。

そんなことをつらつらと書き綴っていると、シルクホースクラブから私宛の封筒が届いた。小さい封筒だったので、もし落選していたらどうしようという考えが真っ先に頭に浮かんだ。他に出資したい馬を再び探さなければならないし、果たして見つかるかどうかも分からない。そうなると、まさかの連載中止??私の一口馬主ライフが始まる前に終わってしまうとは、夢にも思わなかった。最悪の結果を予期しつつ、書面を取り出してみると、そこには小さく当選の文字があった。まずは第一関門をクリアできた。入会金を含めて馬代金を振り込むと、今度はシルクホースクラブから会員証が送られてきた。新しい競馬の世界へのパスポートである。

Hitokuti052

(第6回へ続く→)

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Comments

当選おめでとうございました!!
すごく気になっていたのでホッとしました。
また、治郎丸さんでも『新しい競馬の世界』と書かれておられること、本当にそのとおりだと私も実感しています。
引き続き楽しみにしています。

あと、JRA競馬博物館にて今週から「"ミスター競馬"野平祐二展」が始まりましたね。ROUNDERSで野平先生のことを知ってから「君は野平祐二を見たか?」を読んだりして、今回の展示にも興味深々です。
来週あたり何とか仕事に合わせて東京に行けそうですので、時間を作って足を運ぼうと思っています。

Posted by: ダイコウサク | November 08, 2015 at 10:22 PM

ダイコウサクさん

ありがとうございます!

ようやくスタートラインに立てました。

あとはデビューを待ちながら、その過程も楽しんでいけたらと思っています。

野平祐二展は今週からですね。

11月中になんとか競馬場に行けたらと思いますが、そう思いながらも先月は足を運ぶことができませんでした。

もう少し東京競馬場に近いところに住みたいと思う今日この頃です。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 09, 2015 at 09:33 PM

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