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誰かの願いが叶うころ

Japancup2015
ジャパンカップ2015―観戦記―
カレンミロティックが積極的に引っ張ったことで、前半1200mが71秒6、後半が73秒1という、近年のジャパンカップにしては珍しい淀みのない流れとなり、スピードとスタミナの融合が求められるレベルの高いレースとなった。前傾ペースである以上、後ろから行って脚をためた馬たちに有利になるのだが、それと共に、最後の直線では瞬発力(一瞬のスピード)も要求され、ジャパンカップに相応しい実力が問われる舞台。ゴール前は横一線となり、ハナや首差の勝負となったように、実に見応えがあった。このような激しいレースを世界は求めている。

勝ったショウナンパンドラは、3歳時から馬体重こそ変動はないが、誰が見ても分かるほどに馬体が大きく成長した。今年の春までは線の細さや牝馬らしさを引きずっていたが、ここに来て馬体がパワーアップしている。前走の天皇賞秋では、外枠からスローペースの外を回らされて末脚が不発に終わったが、今回はレースが流れたことで、この馬の差し脚が最大限に生きた。瞬発力勝負で牡馬を交わしたのではなく、真っ向勝負で世界の馬たちも負かして頂点に立ったのだから、文句なしに強い牝馬である。想像を絶する成長力の源を考えてみたとき、やはり行き着くのはゴールデンサッシュ(ステイゴールドの母)、ダイナサッシュ(サッカーボーイの母)と綿々と続く母系の血である。

池添謙一騎手は絶妙な手綱さばきでショウナンパンドラを勝利に導いている。ペースが速くなったことが功を奏した面はあるが、道中は外から馬群のゴチャつきを避けて追走することができ、ショウナンパンドラの脚をためることに専念していた。秀逸だったのは、第4コーナーを回る勝負所で、他馬よりもひと呼吸置いて、直線に向くのを待ってから追い出したことだ。そして、前が開かずも焦らず、冷静にレース全体を見られていた。これだけの高額賞金が懸かった大レースで、あそこまで肝の据わった騎乗ができるのは、スイープトウショウやオルフェ―ヴルに跨ってきた経験があるから。今回は自分の腕で手に入れた勝利である。もし叶うならば、来年はこの馬と一緒に凱旋門賞に行ってもらいたい。

内ラチ沿いの経済コースを終始走り、内を突いて2着に突っ込んだラストインパクトも渾身のレースをしている。究極の仕上げとR・ムーア騎手の壮絶なライディングに後押しされて、自身の持てる力を最大限に発揮した。ムチを手放してしまったのは話のおまけであって、それで馬が気を抜いたわけではなく、大きな影響はなかった。勝った馬が一枚上であった。私は天皇賞秋でこの馬を買っていたので、より実感が湧くのは、きっちりと仕上げられた馬に超一流のジョッキーが跨ると走るということ。

1番人気のラブリーデイは積極的にポジションを取りに行き、横綱相撲をして敗れたのだから、負けて強しと考えてよいだろう。僅かに負けてしまった理由としては、ペースが速く前に行った馬にとっては厳しいレースであったこと、その分、2400mの距離が最後にこたえたこと、そしてもうひとつ、春シーズンから使い詰めで来ている(肉体的というよりは)精神的な疲れが見え始めていることが挙げられる。それでもこの馬は強くなったし、よく走っていると。決して歴史に名を残すような最強馬にはなれないかもしれないが、よくまとまっていて、隙がないタイプのサラブレッドである。

ゴールドシップはペース的にはハマって、この馬なりによく伸びているが、切れ味勝負では分が悪かった。休み明けをひと叩きされて、次走の有馬記念では体調はアップするはずだが、それ以上にこの馬の場合は気持ちの問題が大きく、掴み切れないところがある。ミッキークイーンは初の古馬との対戦で激しいレースを強いられ、好走は叶わなかった。私たちの期待が大きすぎただけで、これがこの馬の今の力であろう。まだ馬体が幼く、線の細さが残っている馬だけに(かつてのショウナンパンドラがそうであっったように)、肉体的に成長すれば来年以降はさらに強い馬になるはずである。

最後に海外馬で再先着を果たしたフランスのイラプトは、最後の直線であわやという伸びを見せた。3歳馬にして初の長距離輸送でもへこたれておらず、精神的にも安定して強く、道中も鞍上の指示をしっかりと聞ける賢さもある。第1コーナーと最終コーナーの両方のゴチャつきに巻き込まれてしまった上でのこの走りだけに、しかも日本のスピードトラックに対応したことを考えると、この馬の将来性は高い。このまま無事に成長すれば、来年度は欧州のトップホースとなり、日本馬を迎え撃つ最大の敵となるだろう。

Photo by 三浦晃一


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筋肉のメリハリが素晴らしいラブリーデイ:5つ☆

ラブリーデイ →馬体を見る
毛艶が良く、前後躯にしっかりと実が入って、筋肉のメリハリという点で素晴らしい。
ただ胴部には長さがないため、400mの距離延長はプラスにはならない。
Pad5star

ゴールドシップ →馬体を見る
胸前の筋肉の力強さは相変わらずだが、休み明けもあってかトモがやや寂しく映る。
顔つきから闘争心は失われていないが、若かりし頃の迫力は感じさせない。
Pad3star

ミッキークイーン →馬体を見る
馬体の幼さを残しながらも勝ち続けてきているように、素質の高さはダントツ。
それでも前走よりは馬体に実が入り、成長のあとが感じられ、ここでも好勝負になる。
Pad4star

カレンミロティック →馬体を見る
つい最近までは胴部がコロンと映り距離はもたない馬体であったが、胴が伸びてきた。
父ハーツクライの血が色濃く出てきた以上、2400mの距離自体はベストだろう。
Pad4star

ヒットザターゲット →馬体を見る
キングカメハメハ産駒にしては、線が細く映り、その分距離が長い方が合っている。
この時期にもかかわらず毛艶が良く、皮膚も薄く、体調の良さが表出している。
Pad3star

ショウナンパンドラ →馬体を見る
腹回りに余裕があるように映るほど、しっかりとカイバを食べて実が入っている。
昨年時とは別馬のような成長力であり、さらに負荷を掛けて、もうひと絞りほしい。
Pad4star

サウンズオブアース →馬体を見る
典型的なステイヤーの馬体であり、重さはあるが、無尽蔵のスタミナを感じさせる。
ひと叩きされて、筋肉のメリハリも出てきて、さらに表情に闘争心が戻って来た。
Pad4star

アドマイヤデウス →馬体を見る
筋肉量が多い馬体を見ると、長距離馬というよりは、中距離でこそ活躍できそう。
2400mの距離はベストであり、前走をひと叩きされて、この馬としては完調に近い。
Pad3star

ラストインパクト →馬体を見る
胴部がコロンとして詰まって映るように、現時点ではやや腹回りに余裕がある馬体。
前走が好仕上がりであっただけに、今回は距離が延びて、さらに絞られないと苦しい。
Pad3star

ダービーフィズ →馬体を見る
夏場の好調時に比べると、毛艶も冴えなくなっており、筋肉の盛り上がりも足りない。
とはいえ、調子が落ちているということではなく、良い意味で平行線の馬体。
Pad3star

ペルーサ →馬体を見る
さすがに8歳馬だけに、腹回りに余裕があるように、絞り切れないところもある。
それでも前駆の力強さは若駒の頃に比べると増しており、どこまで走れるか。
Pad3star

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ルドルフの敗北

Jiromaru

今でこそジャパンカップを日本馬が制することは当たり前のようになり、日本馬が掲示板を独占しても誰も驚かなくなりましたが、1981年にジャパンカップが創設された当初はそんなことは全くありませんでした。第1回はアメリカのG1すら勝ったことのなかった牝馬メアジードーツに勝たれ(しかもジョッキーは20歳にもなっていないキャッシュ・アスムッセン騎手)、第2回も第3回も同じく無名のハーフアイストとスタネーラに栄冠を持っていかれました。この結果を受けて、内国産馬が海外の馬に勝つなんて100年早いと考えた競馬関係者やファンも多かったはずです。

そんな弱気を打ち砕くべく、第4回のジャパンカップには日本からミスターシービーとシンボリルドルフという3冠馬の2頭が揃って出走しました。最近でいえば、ディープインパクトとオルフェ―ヴルの2頭がジャパンカップに顔を出すようなものです。にもかかわらず、かろうじてミスターシービーが3倍台で1番人気を確保したものの、シンボリルドルフはなんと4番人気にしか推されませんでした。2番人気は英国のベッドタイム、3番人気は米国のマジェスティ―ズプリンス。日本馬を応援したいのは山々だけど、馬券的には海外の馬を買わざるをえない、という競馬ファンの正直な心境が映し出されています。

しかし、シンボリルドルフ陣営だけは、全く異なる視点でこの年のジャパンカップを見ていました。ある時点から、調教師の野平祐二と騎手の岡部幸雄、そしてオーナーの和田共弘は、シンボリルドルフという馬が他の馬と比べてどうこうという次元ではない、完璧なサラブレッドであることに気づいていたのでした。

菊花賞の前には、和田オーナーと私の関心は、すっかり外に向いてしまいました。3冠の獲得を前提として、いつ海外に出て、どのレースに挑戦させようかという胸はずむ会話が、毎日のように2人の間で交わされていました。ジャパンカップは、その小手調べとして、どうしても外せないレースです。地元の日本で、海外の強い馬と勝負にならなければ、海外挑戦といっても勝算は薄くなります。(「騎手伝」より)

菊花賞を勝って3冠を達成する前から、すでに海外を見ていたのです。それは彼ら3人の世界の競馬に対する見識が深かったということであり、シンボリルドルフがそれだけの器であったということでもあります。日本馬が勝ったことすらなかったジャパンカップでさえも、彼らとシンボリルドルフにとってみれば、通過点に過ぎなかったのです。世界を変えてゆく人たちは、私たちには見えない未来が見えているのでしょう。彼らが胸を弾ませて夢を語っている姿が目に浮かぶようです。

しかし、シンボリルドルフは3着に敗れてしまいました。3000mを走った菊花賞から2週間しか間隔が開いていない厳しいローテーションが影響したのか、レース当日の朝、シンボリルドルフは下痢をしたのでした。ここまで来て取り消すことはできないと走らせた結果、カツラギエースを捕らえられなかったばかりか、ベッドタイムにも先着を許してしまうことになったのです。海外の馬ならまだしも、日本馬に敗れてしまい、しかも日本馬として初のジャパンカップ制覇の栄誉も奪われてしまったのですから、忸怩たる思いであったことは間違いありません。その証拠に、次の有馬記念でシンボリルドルフは、カツラギエースを徹底的にマークして競り潰して勝利したのです。このジャパンカップにおけるルドルフの敗北は、展開の綾と言われることもありますが、私はどれだけ強い馬でも体調が優れないときには負けるということを端的に示していると思います。

ジャパンカップというレースだけを取り上げてみても、この30年で世界の競馬と日本競馬の関係性や私たちの視点が大きく変わってきたことが分かります。そして、何かが大きく変わるときには、野平祐二氏のような未来を見て行動するビジョナリーが必ずいるということも。野平先生が亡くなってもう14年が経ちましたが、昨今のジャパンカップを見て、何とおっしゃるでしょうか。たしかテイエムオペラオーが勝った年までしか観ていらっしゃらないので、ここまで日本馬が勝ち続けている現状に対して、「日本馬は強くなったね。どんどん海外の競馬に出て行きなさい」と手放しで称賛されるかもしれませんし、もしかしたら「あまりにも日本馬が勝ちすぎるのもつまらないね。相手が強いからこそこちらも反骨心が燃えるのであって、もっと強い海外の馬に来て、頑張ってもらいたいね」と苦言を呈されるかもしれません。私は後者ではないかと想像しています。

追記
東京競馬場内にある競馬博物館で開催されている「野平祐二展」に行ってきました。祐ちゃん先生の大きな写真が飾られていて、「どうだ、最近頑張っているか?」とはっぱをかけられました。パンフレットの裏には、参考文献として「ROUNDERS」vol.3の名が記されていて、ようやく私たちの仕事が野平先生にも認めてもらえたような気がしました。
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ジャパンCの外国勢は凱旋門賞で負けた馬を狙え

Rensai36

ほとんどと言ってよいほど季節感のない私が、11月も末になると底冷えのする寒さになることを知っているのは、1995年のジャパンカップの日、朝から東京競馬場のスタンドに座り続けていたからである。ヒシアマゾンという牝馬を応援するために、いやジャパンカップを勝つ場面に何としても居合わせたいという熱い想いを秘めて、始発の電車に乗り、開門と同時に門をくぐったのであった。

あの日は午前中からすでにたくさんの競馬ファンが詰めかけており、凄まじい熱狂ではあったが、寒風が吹きすさぶスタンドにいると、ジッとしていられないほどの寒さ。それでも私は、まるで金縛りにあったかのように、その場から一歩たりとも動かなかった。ヒシアマゾンが目の前で勝つ瞬間が、待ち遠しくて仕方がなかったのだと思う。

そんな私の想いを打ち砕くかのように、女傑ヒシアマゾンの前を1頭だけ走る馬がいた。最後の直線、追っても差が縮まらない、むしろ少しずつ離されていくよう。ゴール板を過ぎるまで、声を枯らして声援を送ったが、結局、ヒシアマゾンは届かず1馬身半差の2着に敗れてしまった。まさかヒシアマゾンが負けるとは思わず、私は茫然自失になりながらも、わずかに残っていた意識の助けを借りて馬柱を探し、勝った馬がランドという名前の外国馬であり、その年の凱旋門賞で4着、ブリーダーズCターフで12着と敗れてからジャパンカップに出走してきたことを知った。

ジャパンカップを予想するときに問題となってくるのが、外国馬と日本馬の比較である。近年は完全な日本馬の優勢であり、日本馬が掲示板を独占することがあっても驚かなくなってきた。ここ十数年で、血統や生産・調教の技術が飛躍的に向上したことによって、日本の競走馬のレベルそのものは、海外のそれと比較しても同等かそれ以上のところまで上がってきている。

(続きは週刊Gallopにて)

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東京芝2400m

Tokyo2400t

スタンド前からの発走で、スタート地点から第1コーナーまでの距離は349mと平均的な長さ。第1コーナーまでの距離が十分にあるため、無理な先行争いはあまりなく、1コーナーまでには大方の位置取りは決する。コース幅も広く、コーナーも複合カーブであり、直線も長いという全くごまかしの利かないタフなコース設定となっているため、力がなければ勝ち切ることはできない。

直線が長いという意識が各騎手に働くため、どの馬も道中無理をせず折り合いに専念する。そのため、スローペースになり、最後の直線での瞬発力勝負になりやすい。瞬発力に欠ける馬では苦しく、末脚に自信のある差し馬にとっては十分に能力が発揮される舞台である。

以上のことから、東京の2400mを勝つためには、「折り合いがつくこと」「瞬発力があること」「スタミナがあること」という3つの条件を満たしていることが望ましい。まさに、2400mがチャンピオンディスタンスと呼ばれるゆえんを体現しているコースと言えるだろう。

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これぞ世界一


マイルチャンピオンシップ2015―観戦記―
内枠からレッツゴードンキが飛び出し、外からクラリティスカイがハナを主張する形となり、流れが速くなるかと思われたがなんのその、前半マイルが47秒1、後半が45秒7という超スローペース。マイラー同士の力のぶつかり合いというよりは、最後の直線における瞬発力勝負となった。結果的には力のある馬たちが上位を占めたが、レースの内容としては決して評価できるものではなく、道中の折り合いとポジションが明暗を分けたレースであった。

そんな中でも勝ち切ったモーリスは強い。この馬自身、レースの流れやポジションが向いたとは言い難く、休み明けで体調も万全とまではいかない中での勝利だけに、このメンバーでは力が一枚上であった。春シーズンの疲れがなかなか回復せず、毎日王冠を回避し、ぶっつけでマイルチャンピオンシップに臨むことになったが、無理に使わずに正解であった。走れないときは使わない、走るからにはきっちり仕上げる。さすが連対率3割を超える厩舎である。カリブソングやリアルバースデーを負かしてアルゼンチン共和国杯やAJCCを勝ったメジロモントレーのスタミナに支えられる奥深い血統に支えられ、どこまで強くなるのか楽しみな馬である。

ライアン・ムーア騎手はメリハリのある騎乗を見せてくれた。スタートはある程度出していき、道中はがっちりと抑えて脚をため、最後の直線では豪快に追い出した。動から静への移り変わりもスムーズであり、さらに静から動への切り替えも実に見事であった。モーリスが口を割るシーンもあったが、馬と喧嘩しているのではなく、制御している。単に抑えるだけではなく、抑えつつ脚をためることができているのだ。追ってからは、馬に一瞬たりとも気を抜かせることなく、あらんかぎりの力を出し切らせた。これぞ世界一のジョッキーの腕である。

フィエロに騎乗したミルコ・デムーロ騎手も序盤から積極的に攻めて、勝ちにいく競馬をしたが僅かに及ばなかった。これだけ最高に乗っても勝てないのだから、相手が悪かったということであり、またこれがこの馬の現時点における実力である。もうワンランク上げなければ、G1レースを勝ち切るのは難しいだろう。

1番人気に推されたイスラボニータは、スタートの出遅れが最後まで響き、3着を確保するのが精いっぱいであった。最後はよく伸びているが、さすがに前も止まらないし、さらに後ろから凄い脚で来られてしまった。上位を占めた馬たちの中では速い脚はないが、地脚が強いタイプだけに、蛯名正義騎手はできるだけ前で競馬を進めたかったはずである。その気持ちが強すぎたのか、馬もそれを察知してしまったのか、痛恨の出遅れであった。酷いとしか表現のしようがない負け方で、最高の状態でレースに送り出した陣営の悔しさは思うに余りある。

サトノアラジンはクリストフ・ルメール騎手が持ち味を十分に引き出した。馬に力がついてくれば、G1級のメンバーに入っても好勝負になることを証明した。3歳牝馬のアルビアーノも力は出し切ったが、及ばなかった。それでも大きな差はなく、この馬の馬格の大きさやスピード、そして気性の素直さを考えると、これから先の活躍が楽しみである。

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完成形の馬体イスラボニータ:5つ☆

フィエロ →馬体を見る
胴部に長さがあり、距離は延びて良さそうな印象だが、どこか緩さが残る。
ワンパンチ足りないのはそのあたりが理由で、もうひと絞りほしいところ。
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ダノンシャーク →馬体を見る
昨年時に比べても馬体が細く映るように、迫力とパワーという点で下降線を辿る。
毛艶もあまり良くはなく、昨年の覇者とはいえ、このメンバーに入るとパンチ不足。
Pad3star

イスラボニータ →馬体を見る
若駒の頃に比べて、明らかに馬体にメリハリが出てきて、古馬らしい体つきになった。
毛艶も素晴らしく、前後にバランスよく実が入って、完成形の馬体を誇る。
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モーリス →馬体を見る
堀厩舎の管理馬らしく、彫刻のような好馬体の馬だが、今回はややガレている。
特にトモの筋肉のづき方が物足りなく、春シーズンの疲れが抜け切っていない。
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リアルインパクト →馬体を見る
7歳馬にして迫力のある好馬体を維持しており、まだまだ力は発揮できるだろう。
それでも全盛期の好馬体と比べると、腹回りに余裕がって、ひと絞り足りない。
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サトノアラジン →馬体を見る
ディープインパクト×母父ストームキャットいう夢の配合だが、馬体は並の評価か。
手脚は長いが、馬体にはメリハリが足りず、ごく平均的な馬体の持ち主。
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クラリティスカイ →馬体を見る
この馬も休み明けを叩いたが、まだ春シーズンの疲れから抜けきっていない様子。
もう少しがっちりした胴部が望ましく、物足りなさは否めない。
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ヴァンセンヌ →馬体を見る
胴部が詰まって映るように、気性の激しさを含めマイル以下のレースで生きる。
腰高の馬体は相変わらずだが、今回は腹が薄く見えるほど絞り込んでいる。
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アルビアーノ →馬体を見る
想像していたよりも胴部に長さがあって、単なるスプリンターの馬体ではない。
3歳牝馬ゆえの線の細さは否めないが、これから先の走りが楽しみなシルエット。
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レッツゴードンキ →馬体を見る
2歳時からかなり完成度が高かった馬であり、現時点でも力強さがある。
前駆がかなり勝っているため、その分、トモの肉付きが悪くみえる。
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ロゴタイプ →馬体を見る
光り輝く黒鹿毛の馬体で、いつも良く見せるタイプだが、今回はすっきりした。
仕上がりの良さが伝わってくる立ち姿であり、この馬の力は出し切れる。
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Milecs2015wt


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心震える瞬間を

Jiromaru

シンコウラブリイは私が最初に好きになった馬でした。競馬を始めておよそ2年が経とうとしている頃に、私は彼女に巡り会ったのでした。彼女の走りを心から応援し、勝利をひたすらに願っていました。私はいまだになぜある特定の馬を好きになってしまうのか、自分のことながらも解き明かすことができずにいます。単に強いから好きになるわけではなく、単に美しいから好きになるわけでもありません。私の場合、牝馬に惚れ込んでしまうという傾向はありますが、人によってそれは地方出身の馬であったり、また勝ち切れない馬であったりするのでしょう。とにかく、気がつくとその馬のことばかり考えているのです。

そして、ふと、いつから私はこの馬のことが好きになったのだろうと考えることがあります。この時というはっきりした瞬間はないような気がします。それでも、前後の経緯をつぶさに思い起こしてみると、だいたいこのあたりからと絞られてきます。私がシンコウラブリイを好きになったのは、おそらく1992年のマイルチャンピオンシップからではないかと思います。それまではシンコウラブリイという馬をただの速い牝馬の1頭としか見ていませんでしたが、この年のマイルチャンピオンシップの最後の直線にて、3歳牝馬のシンコウラブリイが牡馬たちの間を割って伸びてきたシーンは鮮明に覚えているからです。

1992年のマイルチャンピオンシップ。前走の富士Sを馬なりで楽勝し、その勢いを駆って、シンコウラブリイは連闘で臨んできました。3歳牝馬が古馬相手のマイルチャンピオンシップに出走すること自体が珍しい時代でしたし、さらに連闘に加えて長距離輸送を克服しなければならないのですから、当時の私には無謀な挑戦に思えました。シンコウラブリイのスピード能力と素質は認めつつも、いくらなんでも条件が厳しすぎるし、ダイタクヘリオスやナイスネイチャ、ヤマニンゼファーらの牡馬を相手にマイルの舞台でガチンコ勝負をするには時期尚早であると考えていました。

私が本命にしていたのは当時、マイル戦線では無敵の強さを誇っていたダイタクヘリオスでした。特に京都のマイル戦は彼の主戦場であり、得意のまくり戦法が決まってしまうと、直線が平坦なことも手伝って、ダイタクヘリオスを捕まえられる馬はいません。この年のマイルチャンピオンシップもまさにそんな展開となり、ダイタクヘリオスの勝利を確信したその瞬間、私は馬券も買っておらず、評価を落としていた3歳牝馬が歯を食いしばりながら、ナイスネイチャの横をグイッと抜け出してきた姿に目が釘付けになってしまいました。黒い勝負服が2着を確保したとき、彼女がただの速い3歳牝馬ではないことを悟ったのでした。

競馬を観ていると、心が震える瞬間があります。競馬を始めたころに比べ、そんな瞬間を味わえることは(悲しいかな)少なくなってきてしまいましたが、それでも心が震えた瞬間の記憶は、私の身体にしっかりと刻まれることになります。そして、それらの記憶が私たちの人生をつくり、支えてくれるのです。シンコウラブリイの見せてくれた走りの数々を私は一生忘れることはないでしょう。そして今年、シンコウラブリイを彷彿とさせてくれる3歳牝馬が現れました。姿かたちこそ違え、前へ前へと進もうとする気持ちの強さは同じです。さすがに勝つまでは厳しいかもしれませんが、古馬や牡馬たちの間を割って抜け出してくるような可憐な走りが再び観られることを心待ちにしたいと思います。

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京都芝1600m

Kyoto1600t1

向こう正面の直線を2コーナー側に延長したポケットからのスタート。第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は711mと長く、逃げ馬が気分よく行ってしまうとオーバーペースになりやすい。しかし、3コーナー過ぎてからは下り坂となるため、多少のハイペースで行ったとしても、前もなかなか止まらない。結果として、平均ペースのレースになりがちで、実力どおりの決着となることが多い。力さえあれば、展開にはあまり左右されることのないコースといえる。

京都の1600mコースには内回りと外回りがあり、G1であるマイルチャンピオンシップは外回りを使って行われる。外回りコースは、4コーナーで内回りコースと合流するため、内にポッカリとスペースが開きやすい。そのため、直線で前が詰まる心配がほとんどなく、差し馬にとっては安心して乗れるコースである。

第1コーナーまでの距離が長いため、枠順による有利・不利はほとんどない。あるとすれば、最初の直線において、ポケットの直線から本線に入る際、わずかに内の馬が窮屈になることぐらいか。とはいえ、1番枠でない限り、ほとんど気にする必要はないだろう。

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サラブレッドの距離適性は年齢とともに変化する

Rensai35

サラブレッドには距離適性がある。距離適性は各馬の体つきや筋肉の質、また気性によっても異なる。短い距離を得意とするスプリンターから、長距離でこそ良さが生きるステイヤーまで、それぞれに適した距離で走ることで自身の持つ能力を最大限に発揮することができる。馬は自分で距離適性を主張することができないため、競走馬にたずさわる関係者たちの重要な仕事のひとつに、距離適性を見極めることがある。しかし、競走馬の距離適性は実は一定ではなく、時間の経過に伴って変化していくのである。

「以前は薄手の体形でしたが、成長するにつれて筋肉が付いてガッシリとした短距離向きの体に変わってきました」とは、2005年の高松宮記念を勝ったアドマイヤマックスを管理していた橋田満調教師の弁である。

アドマイヤマックスの戦歴を振り返ると、まず1600mの新馬戦を勝ち上がり、2戦目にして1800mの東京スポーツ杯2歳Sを快勝した。続いて2000mのラジオたんぱ杯2歳Sで惜敗(3着)した後、骨折が発覚して3歳の春を全休した。秋は2200mのセントライト記念で復帰し(2着)、3000mの菊花賞にも出走して2番人気に支持されたこともある。

3歳までの戦績だけを見れば中長距離馬の使われ方であるが、4歳になってからは1600mの安田記念を皮切りに、マイル以下の距離を使われ、6歳にして1200mの高松宮記念で念願のG1タイトルを手に入れた。

このように、成長するにつれアドマイヤマックス自身の距離適性が変化していることが分かる。短距離向きの筋肉が付いてきたことにより、持久力が必要とされる中長距離のレースには向かなくなってしまったのである。2、3歳時のアドマイヤマックスと古馬になってからのアドマイヤマックスでは、同じ馬でも違う馬なのである。

(続きは週刊Gallopにて)

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マイルCSを当てるために知っておくべき3つのこと

Milecs

■1■マイルの連対率は重要な目安
マイルのチャンピオン決定戦である以上、1600mのレースにおける連対率が50%を割っているような馬はチャンピオンとして相応しくない。1600m戦での連対率は、その馬のマイル戦に対する適性を顕著に表すからだ。

大荒れとなった平成7年は、出走馬18頭中、1600mのレースにおける連対率が50%を超えている馬がわずか2頭しかいないというレベルの低いレースであった。その2頭が、安田記念も勝ったトロットサンダーと、なんと大穴のメイショウテゾロである。このことからも、マイルチャンピオンシップにおいて、マイルの連対率がどれだけ重要なデータとなるかが分かる。マイルの連対率が50%を切っている馬は軽視すべきである。

■2■勝つためにはスタミナが必要
京都1600m外回りコースで行われるため、スピードだけでは押し切れないレースである。前4走ともに1600m未満の距離を使っていたスプリンタータイプの馬では、最後の直線でスタミナ切れすることになる。スプリンタータイプの馬では勝ち切ることは難しい。勝つためには、中距離を走り切れるだけのスタミナが必要とされる。1600m以上の中距離レースでの実績は必要。 

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬?
過去10年のレースラップ(下参照)を見ても、昔は前半から飛ばす馬がいてハイペースになることが多かったが、ここ最近は、さすがにスローにはならなくても、全体的にフラットな落ち着いた流れになる傾向が強い。1分32秒台後半から33秒前半という全体時計は変わらないということは、前半が厳しい流れになる昔のレースの方がレベルは高かったということになる。

そのため、ズブズブのスタミナ勝負になることは少なく、スッと先行して4コーナーを持ったまま先頭で押し切れるぐらいスピードに富んだ馬、もしくは瞬発力勝負に長けた馬にとっては競馬がしやすいレースになる。デュランダル、ハットトリック、ダイワメジャーと、サンデーサイレンス産駒が5年連続でこのレースを勝ったのも、そういう特性(軽さと瞬発力)こそが問われるからである。もし血統的に狙いを絞るとすれば、ありきたりではあるが、サンデーサイレンスの血を引く馬ということになる。

12.2-10.6-11.4-11.5-11.4-11.5-11.3-12.2(45.7-46.4)M
1:32.1 ハットトリック
12.3-10.6-11.1-12.0-11.5-11.6-11.2-12.4(46.0-46.7)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.6-10.6-11.2-12.0-11.6-11.5-11.3-11.9(46.4-46.3)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.5-10.6-11.3-11.9-11.6-11.4-11.6-11.7(46.3-46.3)M
1.32.6 ブルーメンブラッド
12.1-10.9-11.8-12.4-11.5-11.4-11.2-11.9(47.2-46.0)S
1.33.2 カンパニー
12.1-10.7-10.9-11.6-11.4-11.1-11.9-12.1(45.3-46.5)H
1.31.8 エーシンフォワード
12.4-10.8-11.2-12.3-11.9-11.8-11.6-11.9(46.7-47.2)M
1.33.9 エイシンアポロン
12.5-11.1-11.4-11.9-11.3-11.3-11.5-11.9(46.9-46.0)M
1.32.9 サダムパテック
12.5-11.1-11.5-11.7-11.5-11.2-11.4-11.5(46.8-45.6)S
1.32.4 トーセンラー
12.0-10.4-11.3-11.6-11.4-11.5-11.3-12.0(45.3-46.2)M
1:31.5 ダノンシャーク


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母の父に支えられて


エリザベス女王杯2015―観戦記―
ウインリバティがレースを引っ張り、リラヴァティが続いたが、それ以下の集団はひと固まりとなって進んだように、前半1000mが60秒7、後半が61秒4という時計にもかかわらず、道中はスローペースで流れたと考えてよい。特に勝負所の最終コーナー付近から馬群が横に広がったことで、後ろから行った馬たちはどうしても外を回さざるをえず、道中のわずかな位置取りの違いが、ゴール前でのわずかな差となって現れたレースであった。

勝ったマリアライトは道中でスルスルとポジションを上げて行き、第4コーナーでは無理なく先行勢を射程圏に捕らえることができた。こういった馬場が得意というのは、パワーがあるということではなく、スタミナを要する馬場になっても苦にしない、むしろ良さが出るということである。兄のクリソライトはダート重賞で活躍し、弟のリアファルは菊花賞で3着したように、万能性が高く、活力のある母系であり、母父エルコンドルパサーのスタミナの血がそれを支えている。今回のエリザベス女王杯はマリアライトにとって最適の舞台となった。

蛯名正義騎手はベテランらしい手綱さばきを見せ、マリアライトを勝利に導いた。勝つときはそういうものだろうが、スタートからゴールまで、これ以上は望めない、完璧な騎乗であった。特に絶妙だったのは、馬の行く気に乗って、コースの直線部分を利用して前との差を詰めたこと。これによって、道中で外を回すことなく、ポジションを押し上げることができた。最終コーナーまでにつくった有力馬たちとの位置取りの差がアドバンテージとなり、最後はクビ差だけ凌いでみせた。決して派手さはないが、分かる人には分かる、いぶし銀の騎乗であった。

ヌ―ヴォレコルトは外枠が仇となった。18番枠から先行しようとすれば、スタートから出して行かざるをえない。しかし今回は、ヌ―ヴォレコルト自身がパドックから入れ込んでいたため、馬を出して行けばかなりの喧嘩を強いられることが岩田康誠騎手の脳裏に浮かんだはずである。よって仕方なく後ろからコースロスを最小限に抑えて回ってくるレースを選択したが、それでもやはり最終コーナーでは外を回らざるをえず、その分、勝ち馬を捕えることができなかった。スタミナを問われるレースはこの馬には合っていたにもかかわらず、実に運のない敗戦であった。

3歳馬タッチングスピーチも上記2頭と同じく、無尽蔵のスタミナを有し、今回の距離と馬場のレースでそれが生きた。現状ではトモが甘く、跳びが大きいため、エンジンのかかりが遅く、前走の秋華賞のような芋を洗うような流れでは忙しすぎるが、ゆったりと行けるレースでは自分のリズムで走ることができる。このまま順調に成長すれば、来年のエリザベス女王杯は、この馬が戴冠に最も近い存在かもしれない。

ルージュバックは出が悪く、第1コーナーまでにポジションを下げてしまったことが最後まで響いた。戸崎圭太騎手としては、この馬の良さを生かしながら勝つためには先行したかったはずだが、休み明けで馬が気負っていたのだろう。あれだけ後ろから行くと、どうしても勝負所では外を回されてしまうことになり、距離ロスが大きかった。1~3着までをスタミナ系の牝馬が独占した中、それでもスピードタイプの同馬が僅差に詰めてきたのは資質の証明であり、私は今回のレースで初めてルージュバックの本当の強さを知った気がする。

ラキシスは見せ場なく11着に沈んだ。世界一のジョッキーの腕を持ってしても、連覇は叶わなかった。5歳の秋を迎え、競走馬としてのピークを越えてしまったのだろう。今年の産経大阪杯でキズナを負かした強さを見て、大きな成長を感じたものだが、思い返せば、あの時がこの馬のピークであったということだ。牝馬は好調期間が思っているよりも短く、気がついた頃にはお母さんの目になっている。

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馬体はふっくらとしているルージュバック:5つ☆

ヌーヴォレコルト →馬体を見る
若駒のころからの線の細さは相変わらずで、これがこの馬の馬体の特徴だろう。
毛艶はそれほど良くはなく、筋肉のメリハリも乏しく、特に強調材料はない。
Pad3star

ルージュバック →馬体を見る
春シーズンの肉体的、精神的な疲れはほぼ回復して、馬体はふっくらとしている。
あとはぶっつけ本番になる分、肉体面よりは内面が仕上がっているかどうか。
Pad5star

マリアライト →馬体を見る
いかにもディープインパクト産駒らしく、バランスが取れて、筋肉が柔らかい馬体。
好馬体ではあるが、前駆に比べるとトモの肉付きが薄いところだけが物足りない。
Pad3star

ラキシス →馬体を見る
力強さが馬体に漲っていた昨年時に比べると、どうしても迫力に欠けるのは否めない。
とはいえ、どこが悪いという箇所もなく、この馬の力は発揮できる仕上がりにある。
Pad4star

タッチングスピーチ →馬体を見る
手脚が長く、胴部にも長さがある馬体を見る限り、距離が延びてこそ良さが出そう。
前走のようなハイペースだとトモの甘さが出るので、スローに流れたらチャンス。
Pad4star

クイーンズリング →馬体を見る
胴部は実が詰まっていて、ここに来て、馬体に力強さが前面に出てきた。
そういう意味では、2000mまでがギリギリで、距離が延びてプラスはない。
Pad3star

フーラブライド →馬体を見る
6歳馬ではあるが、馬体的な衰えは全く感じさせず、コンスタントに力は出せる。
顔つきを見ても、気の強さが伝わってきて、馬体を併せたら良さが出るだろう。
Pad3star

スマートレイヤー →馬体を見る
胴部にやや余裕があるように映るのは、馬体がマイラーにシフトしてきたから。
府中のマイル戦まではこなせても、この馬にとって京都の2200mはやや長い。
Pad3star

ノボリディア―ナ →馬体を見る
手脚が長く、首がスラリと伸びているように、2200mの距離は問題ない。
血統的にはマイル前後を得意としそうだが、表情も穏やかでこれぐらいがベスト。
Pad3star

シャトーブランシュ →馬体を見る
あばらが浮いて映るように、仕上がりは良く、力は出し切れる出来にある。
馬体だけを見ると、ここといって秀でている部分がなく、マイナスもない。
Pad3star

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男勝り

Jiromaru

男勝りという言葉を聞いて私が連想するのはスイープトウショウのことです。名牝としては、エアグルーヴやウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナなどが挙げられますが、彼女たちは生まれたときから資質が他馬とは違ったというか別格の馬たちであり、オスとかメスとかいう範疇を超えている存在であったように思えます。そういう意味では、スイープトウショウは牝馬特有の難しさを秘めながらも、牝馬ながらにして牡馬に打ち勝った、まさに男勝りの牝馬でした。

私にとって、スイープトウショウの一番の思い出のレースといえば、やはり宝塚記念になります。ハーツクライ、ゼンノロブロイ、タップダンスシチーという歴史的名馬たちを力で捻じ伏せたあの強さは、言葉では言い表せないほどの衝撃でした。力の要る馬場で行われ、スピードとスタミナとパワーの融合が要求される阪神2200mの宝塚記念を、牝馬が優勝したのはスイープトウショウただ1頭という事実が、その強さを如実に物語っています。牝馬特有の切れだけではなく、一流の牡馬にもヒケをとらない高い身体能力を兼ね備えていました。

気の強さもまた魅力的でしたね。調教拒否、返し馬やゲート難など、人間を困らせること数知れず。自分が納得しないことは、頑としてやらない、競走馬の枠に収まらない馬でした。サレブレッドはギャンブルの駒でないことを、私たちに教え続けてくれていたのではないでしょうか。

牝馬限定のG1レースに男勝りの馬が出走したら負けないと私は考えていますので、2005年のエリザベス女王杯では、スイープトウショウの単勝を自信を持って買いました。そうは言っても、脚質的に安心してレースを観ていられるタイプではないので、果たして届くのか、届いてくれと思いながら応援したものです。

それにしても凄まじい末脚でした。逃げたオースミハルカの型になったにもかかわらず、前年の覇者であるアドマイヤグルーヴを置き去りにして伸びた別次元の末脚は、私たちに鮮烈な印象を与えました。確かフジテレビだったと思うのですが、このレースの最後の直線を別のアングルから捉えた映像が流れ(スイープトウショウ専用カメラのような)、後肢のキックが生み出す迫力に圧倒された記憶が残っています。まさに全馬を一掃(スイープ)したという表現が適切な、最後の直線での走りでした。

勝ち星にこそ恵まれませんでしたが、その後、2年間走り続け、スイープトウショウらしさを最後まで失うことなく、たくさんの人たちに愛された競走生活を終え、生まれ故郷であるトウショウ牧場へ戻ったのです。そのトウショウ牧場は今年で閉鎖されることになり、ノーザンファームへ売却されることになりました。故郷を失ったことは悲しいことですが、スイープトウショウにとってこの移籍はプラスになるかもしれません。サンデーサイレンスの血が入っておらず、サンデー系の種牡馬と配合しやすいからです。ここ数年はステイゴールド、ディープインパクト、オルフェ―ヴルという偉大な種牡馬の血を得て、おそらく近いうちに歴史に名を残す名馬を誕生させるのではないかと私は見ています。

さあ、今年のエリザベス女王杯はどの男勝りの馬が勝つのでしょうか。

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京都芝2200m

Kyoto2200t1

スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。かと思えば、前半から飛ばす馬がいて意外に前半のペースが速くなったりするため、折り合いの難しい馬や器用に立ち回ることの出来ない馬にとっては、勝ち切ることが難しいコースである。

道中がスローの団子状態で流れた場合、外々を回されてしまうと、かなりの距離ロスになってしまう。外を回されやすい外枠よりも、経済コースを進むことができる内枠を引いた馬の方が有利になる。

外回りコースでは、4コーナーの出口で内回りコースと合流するため内柵がなくなり、内にポッカリとスペースができる。そのため、内埒沿いを走っていても前が詰まることが少なく、脚さえ残っていれば確実に馬群を割ることができる。よって、脚を余して負けるということが極めて少ない、実力が正直に反映されるコース設定となっている。

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斤量の影響を考えるとき「馬体重の12%」がひとつの目安になる

Rensai34

凱旋門賞3連覇を狙ったトレヴは3歳馬ゴールデンホーンの前に力尽き、そのゴールデンホーンは史上初の凱旋門賞とブリーダーズカップターフの両制覇に挑んだものの、同じく3歳馬である牝馬ファウンドに敗れてしまった。3連覇や両制覇の難しさを感じると共に、大レースにおける3歳馬の強さを思い知らされた。

特に凱旋門賞は3歳馬にとって有利なレースとされ、実際に最も優勝回数が多く、過去10年間においても7勝を挙げている。その理由のひとつとして、斤量の問題がある。3歳馬が56㎏であるのに対し、4歳以上の古馬は59.5㎏を背負わされる。牝馬は1.5㎏減となるから、3歳牝馬であれば54.5㎏の斤量で出走できることになる。

万国共通のモノサシとして、芝のマイル戦では1㎏の斤量(負担重量)増は1馬身のロスになるとされる。たとえば、マイル戦で54.5㎏を背負った馬と59.5㎏の馬が同着したとすると、本来であれば、この2頭の馬の間には5馬身の力差があるということになる。もちろん、各馬の個体差があるので一律には扱えない部分はあるが、あくまでも一般的な統計として、芝のマイル戦では1㎏の斤量増=1馬身のロスということである。

実を言うと、この斤量についての考え方には応用編がある。たとえ同じ1㎏の斤量増でも、条件の違いによって、馬にとっての斤量増に対するこたえ方が違ってくるのだ。条件の違いとは以下の4つ。

(続きは週刊Gallopにて)

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エリザベス女王杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Elizabeth

■1■秋華賞→エリザベス女王杯の連勝は難しい
秋華賞→エリザベス女王杯という路線が3歳の有力馬にとって自然な選択となってきているが、秋華賞→エリザベス女王杯という連勝は難しい。秋華賞馬はエリザベス女王杯でもほぼ1番人気になるが、人気に応えられているとは言い難い。

平成13年 テイエムオーシャン(1番人気)→5着
平成14年 ファインモーション(1番人気)→1着
平成15年 スティルインラブ(1番人気)→2着
平成16年 スイープトウショウ(1番人気)→5着
平成17年 エアメサイア(1番人気)→5着
平成18年 カワカミプリンセス(1番人気)→12着(1位降着)
平成19年 ダイワスカーレット(1番人気)→1着
平成20年 ブラックエンブレム(不出走)
平成21年 レッドディザイア(不出走)
平成22年 アパパネ(1番人気)→3着
平成23年 アヴェンチュラ(2番人気)→2着
平成24年 ジェンティルドンナ(不出走)
平成25年 メイショウマンボ(2番人気)→1着
平成26年 ショウナンパンドラ(4番人気)→6着

秋華賞とエリザベス女王杯の連勝が難しい理由としては、やはり秋華賞とエリザベス女王杯が違った性格のレースになるからだろう。秋華賞は京都2000m小回りコースで行われ、スピードの持続が求められるレースになりやすい。それに対し、エリザベス女王杯は京都2200m外回りコースで行われるため、折り合いとスタミナが要求される緩急のついたレースになりやすい。

また、小回りコースの高低差が3.1mに対し、外回りコースは4.3mと、外回りコースは丘をひとつ越えていかなければならない。そのため、秋華賞とエリザベス女王杯では、200mの距離以上に要求されるスタミナの量が異なってくるのである。

■2■世代交代について
エリザベス女王杯において、世代交代の問題は避けて通れない。一般的に、牝馬は牡馬に比べ、現役の競走馬として活躍できる期間が短いとされる。それは牝馬には血を繋ぐという役割があるからであって、肉体的そして精神的にも競走馬から繁殖牝馬へと変遷していく時期が自然とあるからだ。

ダイイチルビーは4歳時にスプリンターズステークスを制したが、5歳となった翌年は目を覆いたくなるような惨敗を繰り返しそのまま引退していった。その時に、伊藤雄二調教師が言った、「ルビーはもうお母さんの目になっているね」というセリフが印象的であった。肉体的には走れる状態にあったが、精神的にはレースを走り抜くだけの闘争心がすでに失われていたのであろう。

もちろん、馬それぞれにおいてピークは異なってくるので、この年齢以上では走れないというような線引きはできない。ただし、あと2ヶ月も経てばもう6歳馬となってしまう5歳の秋は、牝馬にとって非常に微妙な時期なのではないだろうか。明日にでも、まるで坂を転げ落ちるように競走馬としての能力が衰えてしまう、ギリギリのラインに立っているのである。

衰えゆく5歳馬から、充実の4歳馬、そして更なる上昇が期待される3歳馬への世代交代というクロスオーバーが行われるのがこのエリザベス女王杯である。平成12年から秋華賞が1週間繰り上げられ、エリザベス女王杯までが中3週となった。これにより勢いのある3歳馬の挑戦も増えることからも、5歳馬にとってはさらなる苦戦を強いられることになるであろう。

■3■牡馬と勝負になっていた馬でないと×
牝馬の中でチャンピオンを決める戦いではあるが、牝馬限定戦でずっと戦ってきたような馬では、このレースは勝てない。牡馬との厳しいレースで揉まれ、牡馬を相手に好勝負になっていた馬を狙うべきである。もちろん3歳馬については、牡馬混合戦に出る機会もなかっただろうから、この条件は当てはまらない。

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前後躯にしっかりと実が入ったレーヴミストラル:5つ☆

★アルゼンチン共和国杯
ゴールドアクター →馬体を見る
馬体のシルエットはゆったりとしていて、長距離馬としての資質が伝わってくる。
まだ馬体が緩く、付くべきところに筋肉が付いていないが、将来性は高い。
Pad4star

マイネルフロスト →馬体を見る
胴部の長さは中距離馬のそれであり、2500mの距離は馬体的にはやや長い。
芦毛のため毛艶は分かりにくいが、筋肉には柔らかみがあり、仕上がりは良さそう。

ヒラボクディープ →馬体を見る
ディープインパクト×ストームキャットという理想的な配合であり、馬体にも長さがある。
筋肉が付き切っていないというよりは、やや線が細く映るのはこの馬の体型的な特徴か。
Pad3star

レーヴミストラル →馬体を見る
いかにもキングカメハメハ産駒らしい力強さが漲っていて、瞬発力もありそうな馬体。
やや腰高で2500mの距離はギリギリだが、前後躯にしっかりと実が入っている。
Pad5star

サトノノブレス →馬体を見る
腹回りに余裕があるように、もうひと絞りもふた絞りも必要な太目残りの馬体。
顔つきからも覇気が伝わってこず、最終追い切りでどこまで変わってくるか。
Pad3star

フラガラッハ →馬体を見る
ここに来て胴部に少しずつ伸びが出ているように、母父トニービンの影響が出ている。
それでも前後の筋肉の付き方をみると、2500mの距離はギリギリだろう。
Pad3star

★みやこS
ダノンリバティ →馬体を見る
いかにもパワータイプで、馬体がコロンとして映るように、距離は2000mが限界。
筋肉のメリハリが増して、前後躯にしっかりと実が入り、ダート馬らしくなってきた。
Pad4star

マイネルクロップ →馬体を見る
前駆が勝っているように、前輪駆動のパワーに任せた走りは、ダートには合っている。
顔つきからは気性の良さが伝わってきて、砂を被っても難しさを見せることはない。
Pad3star

モンドグラッセ →馬体を見る
さすが3連勝中の馬だけあって、馬体には張りがあり、毛艶も良く、パワーが漲っている。
手脚が長く、芝のレースでも走れそうだが、血統的にはダートに強い血が入っている。
Pad3star

クリノスターオー →馬体を見る
良かった頃の馬体と比べると、どうしても全体のシルエットがアンバランスに映る。
筋肉のメリハリはあるが、前駆の力強さに比べて、トモが薄いのが欠点だろう。
Pad3star

ローマンレジェンド →馬体を見る
ここ最近は肉体的にも精神的にも参っていたが、ようやく全盛期の馬体に近づいてきた。
あとはひと叩きされて、もう1枚皮膚が薄くなり、柔らかくなってくるとベストか。
Pad3star

ソロル →馬体を見る
腰高の馬体が象徴しているように、本来はパワーとスピードで押していくタイプ。
胴部には長さが十分にあってスタミナに心配はないが、表情から難しいところがあるかも。
Pad3star


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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第5回)

Hitokuti051

私がヒカルアマランサスの14に出資しようと決めたのは、その馬体の素晴らしさゆえである。これまでも毎年、数々の共有クラブのパンフレットに目を通してきたが、私が納得できるような馬体(立ち写真)の馬はひとつのクラブに1頭いるか、もしくは1頭もいないことの方が多かった。それぐらい1歳馬の馬体というのは物足りなく、アンバランスで、今にも崩れてしまいそうなものなのである。たしかに、この時期の馬体のシルエットや骨格などは成長してからも大きくは変わらないため、その馬の馬体の基礎(土台)ではあるが、その後の筋肉の付き方や成長度合いによって、形やバランスが崩れてしまうこともある。だからこそ、1歳馬の馬体の見極めは困難を極めるのだ。

また、馬体のミスを探す方法にも私は疑問を抱いている。トモが緩くて踏み込みが甘かったり、脚が内向(もしくは外向)していたり、筋肉が硬かったりなど、馬体の悪いところを探すと、ほとんどの馬の馬体にはミスがある。あのサンデーサイレンスの飛節が大きく曲がっていたのは有名な話だし、名牝ベガは左前脚が極端に湾曲していたため競走馬になれるかさえ危ぶまれていた。最近でいうと皐月賞を勝ったイスラボニータはフジキセキ産駒にしてはトモが緩くて、ここまでの活躍は期待されていなかったのではないだろうか。つまり、どんな名馬の馬体にもミスはあり、ミスがあるから走らないのではなく、ミスがあっても他の強い部分が補うことで走っているのである。

競馬の専門家や関係者たちは、つい馬体の欠点を見てしまう(見えてしまう)。他の馬を見るときだけではなく、自分たちの携わる馬に関しても。専門家として、それはある意味において仕方のないことだが、だからこそあえて良い部分を見ようとする視点は必要なのである。良いところを強化していくことで、実は欠点さえもプラスに転じることがある。前述のベガなど、幼少の時期にはあれだけ脚元に不安があったにもかかわらず、無理に負荷を掛けずにゆっくりと調整されたことで、一本の線の上を走るような美しいフットワークの競走馬になった。イスラボニータはもしトモがパンとしていたら、距離はマイルまでしかもたない馬になっていただろう。逆説的ではあるが、トモが緩いからこそ距離がもつのである。

ヒカルアマランサスの14の馬体の良さは、その完成度と力強さである。今年度の「サンデーサラブレッド」と「社台サラブレッドクラブ」、「シルクホースクラブ」のパンフレットの中でもトップクラスである。前駆と後躯にしっかりと実が入っていて、しかも前後のバランスが抜群である。前だけが強い馬はたくさんいるが、後ろも同様に強い馬は少ない。ミスがあるとすれば、膝下が短いということであり、これはつまりヒカルアマランサスの14が芝では短い距離、またはダートに適性があるということを意味する。個人的には、ダート路線での活躍が期待できるのではないかと考えている。

というのは、血統的にも母父にアグネスタキオンがいて、最近はダートに強い馬を出す傾向にあるからだ。種牡馬も年齢を重ねるごとに、産駒の傾向が変わってくることがあり、たとえばブライアンズタイムやスペシャルウィークなどが典型的で、最初は芝の大物を輩出していた種牡馬から晩年はダートの鬼が誕生したりする。アグネスタキオンにもその傾向が感じられ、最近では父としてはノーザンリバー、母の父としてはノンコノユメを出している。同じことはキングカメハメハにも当てはまるだろうし、そもそもキングカメハメハは芝とダートの両方で大物を出す種牡馬である。ヒカルアマランサスの14は両親の実績から見ると芝馬のように見えて、実は血統的にはダート馬なのではないだろうか。もちろん、私の推測が外れて、芝の大レースで活躍してくれても全くかまわないのだが(笑)。

そんなことをつらつらと書き綴っていると、シルクホースクラブから私宛の封筒が届いた。小さい封筒だったので、もし落選していたらどうしようという考えが真っ先に頭に浮かんだ。他に出資したい馬を再び探さなければならないし、果たして見つかるかどうかも分からない。そうなると、まさかの連載中止??私の一口馬主ライフが始まる前に終わってしまうとは、夢にも思わなかった。最悪の結果を予期しつつ、書面を取り出してみると、そこには小さく当選の文字があった。まずは第一関門をクリアできた。入会金を含めて馬代金を振り込むと、今度はシルクホースクラブから会員証が送られてきた。新しい競馬の世界へのパスポートである。

Hitokuti052

(第6回へ続く→)

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“勝つためのポジション″を走った馬が勝つ

Rensai33

競馬には勝つためのポジション(以下、勝ちポジ)が存在する。競馬は強い馬が勝つわけでも、勝った馬が強いわけでもなく、勝ちポジを走った馬が勝つということである。そして、ダートレースは、芝のレースに比べて、勝ちポジが限定される。芝のレースよりもダートレースの方が勝つために走らなければならないポジションが少ないということだ。そのため、ジョッキーたちは勝ちポジを走らせようとしてポジション争いが激化し、当然のことながら、勝つチャンスがある馬も限られてしまう。走る能力の差というよりは、道中をどこのポジションで走られたかによって、勝つチャンスがある馬とない馬に分かれてしまうのだ。

勝ちポジという概念を私が発見したのもダートレースにおいてであった。2008年の平安Sで、角田晃一元騎手が騎乗した6番人気のクワイエットデイが、まるでそこに一本のライン(道)があるかのようにスタートからゴールまで駆け抜けた姿を見て、競馬には勝つためのポジションがあることを確信したのである。それ以来、京都1800mダート戦において何度も勝ちポジを走って勝つ馬を見続けてきた。人気馬であれ、人気薄の大穴であれ、勝つ馬はほとんどいつもと言ってよいほどに勝ちポジを走っているのだ。勝った馬がそのポジションを走っているのではなく、そのポジションを走ったからこそ勝ったのである。

笠松競馬場から中央競馬に移籍した安藤勝己元騎手は、中央競馬の特に芝のレースのバリエーションの豊富さについて語っていた。地方競馬に所属していた時代は、ほとんどのレースにおいて勝ちポジが同じであり、馬の競走能力の高低や騎手同士の駆け引きというよりは、どうやってそのポジションを目掛けて馬を走らせるかに集中しなければならなかった(するだけで良かった)。そういう競馬を何十年も続けていると、さすがに飽きてくる。対する中央競馬のレースでは、コース設定や道中の展開が多様であり、レースごとに勝ちポジが異なってくる。道中には騎手同士の駆け引きがあり、乗り方次第では騎乗馬の未知の能力を引き出したりすることもできる。安藤勝己元騎手にとって中央競馬のレースが新鮮に映ったのもうなずける。

(続きは週刊Gallopにて)

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ファンタジーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Fantasys

■1■キャリアは2、3戦が理想的
キャリア別の成績は以下のとおり。
1~3戦 【7・8・7・93】 連対率14%
3戦以上【3・2・3・30】 連対率10%

キャリアが豊富な馬よりも少ない馬の方が、僅かながらも連対率が高い。ファンタジーSの時点で3戦以上のキャリアがあるということは、素質がないため出走したレースで順当に勝ち上がれなかった、もしくは将来を見据えて大事に使われていないことの証明でもある。キャリア3戦以内の素質馬を出来れば狙いたい。

とはいえ、キャリアがあまり少なすぎる(1戦)のも怖い。キャリア1戦でこのレースを勝った馬は、プリモディーネ、スイープトウショウ、ラインクラフトと、後にG1レースを制した名牝たちのみである。逆に言えば、このレースをキャリア1戦で勝つような馬は、かなりの素質と将来性を秘めていると考えて間違いない。

■2■スプリント的な要素が求められる
この時期の京都は、成長は止まっても野芝の状態が良いため、軽さが維持される馬場である。そのため、1400mの距離ではあっても、短い距離を一気に走り抜けることの出来るスプリント能力がまず問われる。過去10年間で、前走から距離を短縮して臨んできた馬の成績は【0・1・1・19】と意外に振るわないのはここに理由があって、前走ゆったりとしたマイル戦で好走した馬は人気になるが、このレースに関しては疑ってかかるべき。

■3■先行馬有利
京都1400m外回りコースは、最初のコーナーまでの距離が512mと長く、緩やかな登り坂になっていることもあり、先行争いが激化することはほとんどない。そのため、前半3ハロンの平均タイムは34秒8、後半のそれが35秒2と、ほぼ平均ペースに近い流れになる。軽さが維持されているオーバーシード芝であることも加わって、前が止まりにくく、先行した馬にとっては有利になる。

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キングカメハメハ産駒の最高形

Tennoshoaki15
天皇賞秋2015-観戦記-
逃げると見られていたエイシンヒカリから、内枠を利したクラレントがハナを奪うという波乱の幕開け。武豊騎手があっさりと控えたことで、前半1000mが60秒6、後半が57秒8という、およそ3秒も落差のある超スローペースとなった。ここまで遅くなると、後ろから行った馬、外を回された馬、そして折り合いを欠いてスタミナをロスした馬にとっては苦しく、ラスト3ハロンの瞬発力を問われただけのレベルの低いレースであった。勝った馬も含めて、今年の天皇賞秋の結果がそのままジャパンカップや有馬記念につながるとは考えにくい。

ラブリーデイはG1レース2勝目となり、宝塚記念と天皇賞秋を制したのはタマモクロスとテイエムオペラオーに次ぐ3頭目となった。ローテーション的にも、レースで問われる資質的にも、これら2つのレースを同じ馬が制するのは難しいのだが、それだけ今のラブリーデイが充実しているということ。キングカメハメハ産駒は、父がそうであったように、レコードの出るような速い時計の勝負に強く、またダート戦でも多くの活躍馬が出ているようにパワー勝負も得意とする。ラブリーデイはそんな父の血を色濃く受け継ぎ、宝塚記念では力の要る馬場をこなし、天皇賞秋ではスローの瞬発力勝負をスピードで制した。キングカメハメハの産駒としては最高形であり、後継者の筆頭となる馬だろう。

川田将雅騎手から代打のバトンを受けた浜中俊騎手は、スタートからラブリーデイを出して行き、内の2、3番手という最高のポジションを確保した。強い馬にこれ以上ないポジションを走らせたのだから、最後の直線で他馬に付け入る隙を与えなかったのもうなずける。今回は一発勝負であったことが逆に思い切りの良さにつながったのかもしれないが、秋華賞をミッキークイーンで勝ったときもそうであったように、勝ちに行く競馬をして勝っている。騎手冥利に尽きる勝ち方であり、浜中騎手もジョッキーとして本格化してきたことが伝わってくる内容の勝利であった。

2着に突っ込んだステファノスは、戸崎圭太騎手が道中での折り合いに専念したことが功を奏した。ひと叩きされて体調が上がってきていたこともあって、これだけ遅い流れの中でも、前に馬を置いてキッチリと折り合っていた。ラスト3ハロンの33秒6の末脚はさすがディープインパクト産駒のそれであり、クイーンエリザベス2世Cの2着がダテではなかったことを証明した。この馬の本質はマイラーであり、次走はマイルチャンピオンシップに出走してくれば勝機だろう。

イスラボニータは外枠に泣いた。外を回されたくないため位置取りを下げざるを得ず、道中で馬群に入れるスペースはなく、前に馬を置くこともできず、脚をためられなかった。それでいて、最後までしぶとく伸びて3着を確保したのだから、休養をはさんで完全復調と見てよい。ラブリーデイと枠の内外が逆であれば、勝っていたのはこの馬だったかもしれない。

エイシンヒカリは初めて馬を前に置く形になって、馬自身が戸惑っていた。決して逃げなければならないタイプではないが、大舞台で普段と違うレースを強いられ、持てる力を発揮することなく終わってしまった。いつも前に馬を置いている馬が逃げる形になると戸惑うのと同じで、どこかでそういう経験をさせておくことが重要である。負けたことが少ない馬というのは、案外そういう経験に乏しく、本番ではそれが弱点にもなりえる。

Photo by 三浦晃一

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