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キングカメハメハ産駒の最高形

Tennoshoaki15
天皇賞秋2015-観戦記-
逃げると見られていたエイシンヒカリから、内枠を利したクラレントがハナを奪うという波乱の幕開け。武豊騎手があっさりと控えたことで、前半1000mが60秒6、後半が57秒8という、およそ3秒も落差のある超スローペースとなった。ここまで遅くなると、後ろから行った馬、外を回された馬、そして折り合いを欠いてスタミナをロスした馬にとっては苦しく、ラスト3ハロンの瞬発力を問われただけのレベルの低いレースであった。勝った馬も含めて、今年の天皇賞秋の結果がそのままジャパンカップや有馬記念につながるとは考えにくい。

ラブリーデイはG1レース2勝目となり、宝塚記念と天皇賞秋を制したのはタマモクロスとテイエムオペラオーに次ぐ3頭目となった。ローテーション的にも、レースで問われる資質的にも、これら2つのレースを同じ馬が制するのは難しいのだが、それだけ今のラブリーデイが充実しているということ。キングカメハメハ産駒は、父がそうであったように、レコードの出るような速い時計の勝負に強く、またダート戦でも多くの活躍馬が出ているようにパワー勝負も得意とする。ラブリーデイはそんな父の血を色濃く受け継ぎ、宝塚記念では力の要る馬場をこなし、天皇賞秋ではスローの瞬発力勝負をスピードで制した。キングカメハメハの産駒としては最高形であり、後継者の筆頭となる馬だろう。

川田将雅騎手から代打のバトンを受けた浜中俊騎手は、スタートからラブリーデイを出して行き、内の2、3番手という最高のポジションを確保した。強い馬にこれ以上ないポジションを走らせたのだから、最後の直線で他馬に付け入る隙を与えなかったのもうなずける。今回は一発勝負であったことが逆に思い切りの良さにつながったのかもしれないが、秋華賞をミッキークイーンで勝ったときもそうであったように、勝ちに行く競馬をして勝っている。騎手冥利に尽きる勝ち方であり、浜中騎手もジョッキーとして本格化してきたことが伝わってくる内容の勝利であった。

2着に突っ込んだステファノスは、戸崎圭太騎手が道中での折り合いに専念したことが功を奏した。ひと叩きされて体調が上がってきていたこともあって、これだけ遅い流れの中でも、前に馬を置いてキッチリと折り合っていた。ラスト3ハロンの33秒6の末脚はさすがディープインパクト産駒のそれであり、クイーンエリザベス2世Cの2着がダテではなかったことを証明した。この馬の本質はマイラーであり、次走はマイルチャンピオンシップに出走してくれば勝機だろう。

イスラボニータは外枠に泣いた。外を回されたくないため位置取りを下げざるを得ず、道中で馬群に入れるスペースはなく、前に馬を置くこともできず、脚をためられなかった。それでいて、最後までしぶとく伸びて3着を確保したのだから、休養をはさんで完全復調と見てよい。ラブリーデイと枠の内外が逆であれば、勝っていたのはこの馬だったかもしれない。

エイシンヒカリは初めて馬を前に置く形になって、馬自身が戸惑っていた。決して逃げなければならないタイプではないが、大舞台で普段と違うレースを強いられ、持てる力を発揮することなく終わってしまった。いつも前に馬を置いている馬が逃げる形になると戸惑うのと同じで、どこかでそういう経験をさせておくことが重要である。負けたことが少ない馬というのは、案外そういう経験に乏しく、本番ではそれが弱点にもなりえる。

Photo by 三浦晃一

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