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これぞ世界一


マイルチャンピオンシップ2015―観戦記―
内枠からレッツゴードンキが飛び出し、外からクラリティスカイがハナを主張する形となり、流れが速くなるかと思われたがなんのその、前半マイルが47秒1、後半が45秒7という超スローペース。マイラー同士の力のぶつかり合いというよりは、最後の直線における瞬発力勝負となった。結果的には力のある馬たちが上位を占めたが、レースの内容としては決して評価できるものではなく、道中の折り合いとポジションが明暗を分けたレースであった。

そんな中でも勝ち切ったモーリスは強い。この馬自身、レースの流れやポジションが向いたとは言い難く、休み明けで体調も万全とまではいかない中での勝利だけに、このメンバーでは力が一枚上であった。春シーズンの疲れがなかなか回復せず、毎日王冠を回避し、ぶっつけでマイルチャンピオンシップに臨むことになったが、無理に使わずに正解であった。走れないときは使わない、走るからにはきっちり仕上げる。さすが連対率3割を超える厩舎である。カリブソングやリアルバースデーを負かしてアルゼンチン共和国杯やAJCCを勝ったメジロモントレーのスタミナに支えられる奥深い血統に支えられ、どこまで強くなるのか楽しみな馬である。

ライアン・ムーア騎手はメリハリのある騎乗を見せてくれた。スタートはある程度出していき、道中はがっちりと抑えて脚をため、最後の直線では豪快に追い出した。動から静への移り変わりもスムーズであり、さらに静から動への切り替えも実に見事であった。モーリスが口を割るシーンもあったが、馬と喧嘩しているのではなく、制御している。単に抑えるだけではなく、抑えつつ脚をためることができているのだ。追ってからは、馬に一瞬たりとも気を抜かせることなく、あらんかぎりの力を出し切らせた。これぞ世界一のジョッキーの腕である。

フィエロに騎乗したミルコ・デムーロ騎手も序盤から積極的に攻めて、勝ちにいく競馬をしたが僅かに及ばなかった。これだけ最高に乗っても勝てないのだから、相手が悪かったということであり、またこれがこの馬の現時点における実力である。もうワンランク上げなければ、G1レースを勝ち切るのは難しいだろう。

1番人気に推されたイスラボニータは、スタートの出遅れが最後まで響き、3着を確保するのが精いっぱいであった。最後はよく伸びているが、さすがに前も止まらないし、さらに後ろから凄い脚で来られてしまった。上位を占めた馬たちの中では速い脚はないが、地脚が強いタイプだけに、蛯名正義騎手はできるだけ前で競馬を進めたかったはずである。その気持ちが強すぎたのか、馬もそれを察知してしまったのか、痛恨の出遅れであった。酷いとしか表現のしようがない負け方で、最高の状態でレースに送り出した陣営の悔しさは思うに余りある。

サトノアラジンはクリストフ・ルメール騎手が持ち味を十分に引き出した。馬に力がついてくれば、G1級のメンバーに入っても好勝負になることを証明した。3歳牝馬のアルビアーノも力は出し切ったが、及ばなかった。それでも大きな差はなく、この馬の馬格の大きさやスピード、そして気性の素直さを考えると、これから先の活躍が楽しみである。

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