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チューリップ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Tulip

■1■前に行ける馬
新装の阪神競馬場の1600mコースで行われるようになって以来、3年連続で逃げ馬が連対した。前哨戦ということもあって、無理をしてペースを上げて厳しいレースにする必要はなく、道中は折り合いに専念する馬が多いため、スローペースになりやすい。また、本番前に脚を測るという意味合いで、有力馬が敢えて後ろから行き、追い出しをギリギリまで我慢させることもある。そのため、前に行ける馬、特に単騎で逃げた馬は、マークされることなく楽に逃がしてもらえることになる。

■2■瞬発力勝負に
道中がスローに流れる以上、最後の直線に向いてヨーイドンのレースになる。阪神競馬場の外回りコースは直線が473mと長いため、ここでどれだけ切れる脚を使えるかが勝負になる。瞬発力に欠ける馬にとっては、苦しい舞台となる。

12.4-10.9-12.1-12.2-12.2-11.1-11.0-11.8(47.6-46.1) S ウオッカ
12.6-11.2-12.3-12.6-12.6-12.0-10.7-11.8(48.7-47.1) S エアパスカル
12.5-11.1-12.4-12.6-12.7-12.2-11.1-11.9(48.6-47.9) M ブエナビスタ
12.7-11.0-12.3-12.3-12.5-11.9-11.3-12.1(48.3-47.8) M ショウリュウムーン
12.5-11.3-11.7-12.2-12.4-11.7-11.1-11.6(47.7-46.8)M レーヴディソール
12.7-10.9-12.1-12.3-12.2-12.2-11.3-11.8(48.0-47.5)M ハナズゴール
12.6-11.3-12.0-12.1-12.2-11.8-10.7-12.2(48.0-46.9) S クロフネサプライズ
12.4-11.0-11.9-12.0-12.1-11.5-11.4-12.0(47.3-47.0)M ハープスター
12.5-11.2-12.2-12.6-12.9-12.2-11.5-12.6(48.5-49.2)M ココロノアイ

■3■意外にも外枠が有利
これは阪神ジュベナイルF、チューリップ賞、そして本番の桜花賞にも通ずることだが、意外にも外枠を引いて、外々を進んだ馬にとってレースがしやすい。理由としては、新装の阪神1600mコースは内と外の差がほとんどなく、だとすれば、キャリアの浅い若駒(特に牝馬)にとっては、馬群に揉まれず、自分のフットワークやペースで伸び伸びと走ることができる外の方が力を発揮しやすいからである。外々を通って、良い脚を長く(3ハロン)使える馬を狙いたい。

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字づらにだまされてはいけない“典型”中山芝1800m

Gallop02

私は総合格闘技を観るのが大好きで、その中でも柔術家マジシャンと称されたアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの試合を手に汗を握りながら観た。彼は千の技を持つと言われ、多彩な寝技を駆使しながら対戦相手をタップアウトさせた。とはいえ一つの試合で千の技を使うわけではなく、そのうちのいくつかを相手や状況に応じて組み合わせることでフィニッシュまで持ち込む。実は競馬の予想も同じであり、数多くのヒントの中からいくつかを組み合わせることで的中に近づけることができる。もちろん競馬は複雑なゲームであり、そう簡単にいかないことも多いが、シンプルな組み合わせによってこそ答えを導き出せることもあるのだ。

第8回
の連載において、競馬場のカラクリとして、「小回り」、「スタートしてから第1コーナーまでの距離が短い」、「4つのコーナーを回る」という3つの要素が合わさることによって、字ズラの距離以上にスタミナを問われる、つまり距離に騙されてはいけない特殊なコース設定が生まれると書いた。たとえば中山競馬場の芝1800mコースはその典型で、道中で持続的に脚を使わされるため、上がり3ハロンが35秒~36秒も掛かる競馬になりやすい。ホワイトマズルやオペラハウスを代表とするヨーロッパ型のスタミナ血統が強く、反対にサンデーサイレンスの血を引く、スピードに長けている瞬発力タイプは苦手とする。重馬場や不良馬場になってしまうと、その傾向はより一層強まる。

私がこの競馬場のカラクリを知ることになった原初体験として、1996年の中山記念がある。1番人気に推されていたのは、皐月賞やのちのマイルCSを勝つことになるジェニュイン。休み明けにもかかわらず仕上がった馬体で登場し、レースの流れにも乗り、勝ったかと思いきや、最後の直線で外から9番人気のサクラローレルに豪快に差し切られてしまった。ジェニュインが霞むような末脚を見て、サクラローレルを中距離馬だと考えたのは私だけではなかったはず。その理屈で考えると、次走の天皇賞・春はサクラローレルにとっては長く、ナリタブライアンやマヤノトップガンを差し置いて本命を打つことなど思いも寄らなかった。


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前駆の力強さは特筆ものサドンストーム:5つ☆

★阪急杯
ミッキーアイル →馬体を見る
手脚に伸びが出て、若駒の頃に比べると、馬体的な距離適性は延びてきた。
それでも、馬体に幼さが残っているのは相変わらずで、素質だけで走っている。
Pad3star

サドンストーム →馬体を見る
7歳馬とは思えない筋肉のメリハリの良さで、特に前駆の力強さは特筆もの。
顔つきからも闘争心が失われておらず、走れる体勢は整っている。
Pad5star

ティーハーフ →馬体を見る
兄と比べると、やや力強さに欠ける立ち姿ではあるが、筋肉のメリハリは良い。
胴部には長さがあるが、前後の筋肉の発達からやはり1200mがベストか。
Pad3star

レッツゴードンキ →馬体を見る
2歳時から馬体の完成度が高い馬であり、古馬になってもその点では成長はない。
1400mの距離はベストであろうが、時期的なものもあって毛艶が冴えない。
Pad3star

ミッキーラブソング →馬体を見る
よくこの馬体で走っているという、トモが弱い、力強さに欠ける馬体ではある。
天性のバネがあるのだろう、顔つきからも素直さが伝わってきて将来性は高い。
Pad3star

ダノンシャーク →馬体を見る
無理をせずに使われてきていることもあり、馬体自体は8歳とは思えない若さがある。
毛艶はさすがに良くはなく、ここを叩かれて、暖かくなってからの良化待ちか。
Pad3star

★中山記念
リアルスティール →馬体を見る
この馬の体型的なものだろう、相変わらずコロンとして、距離は短い方が合っている。
休み明けということもあり、腹回りには余裕があって、ひと叩きされてからか。
Pad3star

フルーキー →馬体を見る
黒光りしている毛艶からは体調の良さが伝わってくるし、いかにもパワータイプ。
筋肉のメリハリという点では今一歩だが、馬体は回復して筋肉が柔らかい。
Pad4star

ラストインパクト →馬体を見る
転厩してから少しリフレッシュされたのだろう、休み明けの分も馬体には余裕がある。
コロンとして映るが、ひと叩きされて絞れてくれば、この馬の良さが出てくる。
Pad3star

ドゥラメンテ →馬体を見る
さすがに昨年の春クラシックシーズン時と比べると、明らかに筋肉のメリハリがない。
それでも馬体の伸びはさすがで、長期休み明けとしてはこれぐらいで問題ない。
Pad3star

イスラボニータ →馬体を見る
コロンとして映る馬体はいかにもマイラーのそれで、古馬になって父寄りになってきた。
暖かくなって、毛艶がもう少し良化してくれば、この馬の強さが発揮できるはず。
Pad4star

ロゴタイプ →馬体を見る
この馬もリフレッシュされたことが伝わってくるような、筋肉の柔らかみがある。
もうひと絞りされたら完璧な仕上がりになるが、この時期はこれぐらいで良い。
Pad3star

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ルメール騎手とデムーロ騎手の対談を読んで

Taidan01

「クリストフ・ルメール×ミルコ・デムーロ 外国人JRAジョッキー対談」を先々週号の週刊『Gallop』にて読んだ。この2人の対談は、つい最近、雑誌『Number』でも読んだことがあり、それはそれで興味深かったが、今回はホスト役を合田直弘氏が務めていることもあってか、より奥深く、多岐にわたった内容となっており、とても読み応えがあった。海外の競馬だけではなく、日本の競馬をも知り尽くした2人による語りの中には、世界から見た日本、日本から見た世界の競馬という視点が交錯している。そのダイナミックさこそが、ルメール騎手が対談中で言う、「競馬はインターナショナルビジネス」ということなのだろう。

まず2人の昨年の成績が素晴らしい。ルメール騎手は昨年、年間112勝を挙げて、勝率0.195という数字で最高勝率騎手に輝いた。2002年の武豊騎手の勝率0.291と比べると大きな違いはあるが(当時の武豊騎手の独占ぶりが良く分かる)、これだけジョッキー間の競争が激化している中でおよそ2割に近い勝率、3割5分の連対率を叩き出したことは驚異的である。ルメール騎手の巧さは、騎乗馬の能力がそのレースや展開の中で最も発揮されやすいポイントにはまり込むことができること。勝つか負けるかという競馬ではなく、その馬にとって100%の競馬をする。その結果がたとえ2着であったとしても(勝てなかったとしても)、関係者は納得し満足するし、それもジョッキーの巧さのひとつなのである。

デムーロ騎手は年間で28億円を超える賞金を獲得し、最多賞金獲得騎手になった。欧州では勝利数よりも賞金のランキングが最も評価される傾向にあるため、デムーロ騎手としては最高の栄誉と感じているのではないだろうか。競馬がG1レースを頂点としたピラミッド型の競走体型になっている以上、最も数多く勝った騎手よりも、大きなレースを勝つ馬に乗って勝利したジョッキーが評価されるのは当然のことだろう。調教師のランキングにも同じことが言えるが、獲得賞金順に並びを替えることで、本当の勝者が見えてくるし、また勝ち星を稼ぐための出走ラッシュも少なくなるかもしれない。デムーロ騎手の凄さは言うまでもなく、勝ちに行く競馬をして勝利できること。その勝利は彼の騎乗技術や知識、経験や感性に支えられている。

そのデムーロ騎手が「ボクはクリストフと一緒に競馬に乗るのが怖い」と語るのは本音だろう。なぜなら、勝ちに行ったデムーロ騎手の足下をすくえるのは、我慢したルメール騎手だからである。勝ちに行く競馬は、もちろんいつも成功するわけではなく、裏目に出てしまうこともある。そんなときに虎視眈々とチャンスを狙って、生かせるのはルメール騎手なのである。今年も勝ちに行くデムーロ騎手、その力を利用して足下をすくうルメール騎手というレースは数多く見られるのではないだろうか。

最後に、日本の若い騎手にはチャンスが多いという話には、私たちの認識を改めざるを得ないと感じた。JRAの若手騎手は、海外や地方から有力なジョッキーたちが参入する中で、土曜日と日曜日にしか競馬が開催されておらず、チャンスのある馬に乗る機会が少ないと考えていたが、そうではないのだ。欧州の方が日本よりも乗るチャンスは少ないという。たしかに言われてみれば、1レースの頭数は6、7頭と少ないため、リーディング上位のジョッキーたちが乗ってしまえば、若手は1日1鞍がやっとになる。若手がそこからはい上がっていくのは、日本人の騎手以上に欧州の方が難しい。それは騎乗機会が増えれば若手が伸びるという話でもないということである。技術を磨くのであれば調教を頑張るべきだし、何よりも2人が強調するのは海外に出ていくということ。

「なかなか海外に出ても競馬に乗るチャンスは少ないかもしれないですけど、そこで見たこと、聞いたことは、必ず自分の中に吸収されます。それを持って帰って日本で乗れば、全然違ってきますよ」(ルメール騎手)

「ボクは17歳のときに米国に行きました。レースにも乗せてもらえましたし、その経験を持ってイタリアに帰ると、乗り方も全然違ってきましたね。3年前に英国に行ったときも凄く勉強になったし、2年前にフランスに行ったときも、香港に行ったときもそうです」(デムーロ騎手)

簡単に言ってしまえば、広い視野を持って、学んで、経験し、吸収するということ。分かっていても、日常に埋没してしまい、半径5メートルぐらいのことしか知らない私たちには耳の痛い話である。そういう視点でいうと、欧州だけではなく世界中の国々から、トップジョッキーたちが来日して騎乗する機会が多くなった現在の日本の競馬は、パイが減ったとかそういうケチ臭い話ではなく、若手ジョッキーからベテランにとっても学ぶ機会が増えてというとであろう。世界は広いのである。それは物理的な世界という意味でもあるし、私たちが極めたいと願う世界もまた広いのだ。

Taidan02


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阪急杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Hankyuhai

■1■逃げ・先行馬有利
12.3-10.9-11.4-11.7-11.7-11.8-12.7 (34.6-36.2)H
12.2-10.8-11.3-11.4-11.3-11.2-12.3 (34.3-34.8)M
12.4-11.1-11.2-11.4-11.2-11.4-12.0 (34.7-34.6)M
12.2-10.6-11.3-11.6-11.7-11.6-12.1 (34.1-35.4)H
12.3-11.2-11.5-11.2-11.3-11.5-12.4(35.0-35.2)M
12.0-10.2-11.0-11.6-11.7-11.5-12.1(33.2-35.3)H
12.1-10.3-11.3-12.1-11.9-11.8-12.5(33.7-36.2)H
12.4-10.9-11.1-11.2-11.6-11.6-12.2(34.4-35.4)H
12.2-10.7-10.9-11.1-11.2-11.8-12.8(33.8-35.8)H
12.2-11.1-11.6-12.1-11.7-12.1-13.0(34.9-36.8)H

高松宮記念を目指すスプリンターのためのステップレースである、ということがミソ。1400mという距離は少し長い馬が多いが、スプリンターが多く登場してくる以上、前半から飛ばしていく馬もいて、ペースは遅くはならない。しかし、開幕週で馬場が良いため(雨が降った2015年度は除く)、多少ペースが速くなろうとも、前に行った馬がそのまま残りやすいレースになる。

■2■内枠を引いた馬
阪神1400mコースは、内回りコースを使うため、コーナリングがきつい。全体で180度以上回ることになり、特に最終コーナーはきつい。スピードに乗ってきたぐらいでコーナーが待ち構えているので、外を走る馬は大きく外に振られてしまうため、基本的に内枠を引いた馬にとって有利なレースになる。もちろん、3~4コーナーにかけての直線部分長いため、差し馬は外からでも距離を詰められるのは確かだが、結局は最終コーナーでまた外に振られてしまうことになる。

■3■パワー型の馬を狙え
前述のとおり、先行して粘り込むといったアメリカ型のレースになることが多く、一瞬の切れ味を生かすような展開にはならない。そのため、どちらかというとサンデー系ではない、スピードの持続力で勝負する馬たちにとって有利なレースになる。具体的な血統でいうと、ミスタープロスペクター系やロベルト系のスピード馬が活躍するだろう。

また、開幕週とはいえ、芝が枯れて重くなってくる季節だけに、時計勝負ではなくパワーが問われる舞台となる。つまり、スピードの持続力があって、なおかつパワーに溢れる馬を狙いたい。


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馬が追えること、それはジョッキーにとっては最大の武器

Febs2016
フェブラリーS2016―観戦記―
スタートダッシュの良さを生かしてコーンベリーが先頭に立ち、前半マイルが35秒3、後半が35秒8という平均ペースでレースを引っ張った。前日の降雨の影響で馬場は水分を含み、最も走りやすい状態になったことで、1分34秒0という芝並みのレコード時計が出た。基本的には先行馬有利だが、後ろから行っても届かないことはない、前後でそれほど有利不利のない展開となった。砂というよりは土に近い、全体時計の速いレースにおいて、アメリカ血統を背景に持つ、スピードに富んだ馬たちが上位を占めたのも頷ける。

まさにアメリカの血統が敷き詰められた米国産馬であるモーニンにとっては、おあつらえ向きの馬場であり、レースであった。外枠から発走したことで、前半に無理することなく外の3、4番手のポジションを確保することができ、あとは仕掛けるタイミングを待つばかり。追い出されてからもしっかりと伸びて、前走の根岸Sの走りを再現したかのよう。クラスが上がっての200mの距離延長を心配していたが、馬場に助けられた面は少なくない。35秒台の砂であれば結果は違ったかもしれない。この馬自身は古馬とのレースで揉まれつつ強くなっており、安定したスピードとパワーと気性を併せ持つ馬だけに、今後もダートの短距離界を引っ張っていく存在になる。

ミルコ・デムーロ騎手は文句なしの騎乗であった。今回は外枠を引いたことで、ほとんど苦労なく走りたいポジションを走れて、本人としては、モーニンに捕まって回ってきただけだと謙遜するかもしれない。それでも、最後の直線でモーニンを追い出してからが、デムーロ騎手の真骨頂であった。騎座がしっかりとしているから、馬が止まらずに伸びる。馬の勢いを邪魔することなく、むしろ加速することができる。おそらく同業の騎手が見ても細かい技術は盗めないはずであり、彼が追うと馬がとにかく最後まで伸びるのである。馬が追えることは、ジョッキーにとっては最大の武器であることを改めて思い知らされた。

同じく米血統の父を持つノンコノユメは届かず2着であったが、あらゆる不利な条件を考えると、この馬の強さが浮き彫りになる。連勝が止まったあとのレースであり、普通の馬ならばあっさり凡走しても不思議ではない。しかも休み明けでもある。C・ルメール騎手が追いだしてからの反応がいつもより鈍かったとコメントしているように、身体の状態は決して万全とは言えない中で、最後まであきらめることなく力を出し尽くそうとする気持ちの強さは素晴らしい。脚質的に展開が向かないこともあるだろうが、今後体調が戻ってくれば、近いうちに必ずや大きなレースを勝つだろう。

アスカノロマンは後ろから行かざるをえず、最後は良く伸びたが3着が精いっぱい。このメンバーに入るとテンのスピードが速い馬がいるため、内枠を引いたことが仇となった。外枠を引いていたら、もっと際どい勝ち負けに持ち込めていたはず。前走の圧勝も含め、この馬も強くなっている。同じく内枠に苦しめられたのが昨年の覇者コパノリッキーだろう。高齢になってきた影響もあってか、テンのスピードが鈍くなり、内で包まれるような形になってしまい、この馬の先行力が生かせなかった。

ロワジャルダンはスタートダッシュこそ良かったが、道中で内と外から揉まれてしまった。それでも直線に向いて勢いはあったにもかかわらず、ゴール前では脚が上がってしまったように、最後までもたせることができなかった。芝はともかくとして、ダートは上体だけではなく下半身を含めた全身の力で推進させないと馬は動かない。誰にも肉体的な衰えは忍び寄るものであり、56歳まで騎乗し続けた岡部幸雄騎手は晩年ほどハードなトレーニングを自身に課していたという。横山典弘騎手には3000勝を目指してもらいたい。

Photo by 三浦晃一

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「超・馬券のヒント」が全文読めるようになりました。

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週刊Gallopにて連載中の「超・馬券のヒント」が全文読めるようになりました。競馬や馬券に関する知識やヒントを得ていただきながら、さらにレースの予想までしてしまうという、これまでになかった新しい予想型コラムです。

「超・馬券のヒント」は失敗から生まれた知恵です。数え切れないほどの失敗を経験して、ようやく手に入れたものです。本命にしていた馬があっさりと負けてしまったり、応援していた馬が勝利を目前にしてハナ差で差されてしまったりと、身銭を切って買った馬券が外れてしまったところからヒントは生まれました。なぜこの馬は負けてしまったんだろう?と考え続けた末、ほとんど、いや全ての敗北には理由があることが分かり始めました。

たとえハナ差で負けてしまった馬にも、ハナ差で負けてしまった理由が存在するのです。その理由が分かるかどうか、それこそが馬券を知るということに他なりません。そして、その理由を分かることが、あなた自身の競馬の世界に対する造詣の深さや、サラブレッドに対する愛情にもつながってくるのだと思います。

ギャロップ誌上に掲載している以上、さすがに無料というわけにはいきませんが、たった100円で最後まで読んでいただくことができます。なんと今回からコラム内で実際の馬券も公開していますので、週刊Gallopを買い忘れた方や「超・馬券のヒント」に興味があるという方はぜひ読んでみてください!また、バックナンバーを読んでみたいとい方には、10のヒントが1つにまとまったお得なマガジンを揃えてあります。現在のところ、vol.1~vol.4まで発行しています。

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全盛期の馬体を取り戻してきたグレープブランデー:5つ☆

モーニン →馬体を見る
幼さを残す部分もあるが、胴部には長さがあって、多少の距離延長は克服できそう。
筋肉のメリハリという点ではあと一歩で、顔つきもやや精悍さに欠ける印象。
Pad3star

ベストウォーリア →馬体を見る
前年に比べても、さらに前駆が盛り上がって、いかにもダート馬らしい馬体になった。
ただ、短距離ならいざしらず、府中のマイル戦でこの馬体では距離に不安が残る。
Pad3star

ローマンレジェンド →馬体を見る
馬体だけを見ると、絶好調時のシルエットと毛艶の良さを取り戻しつつある。
いつ走ってもおかしくない馬体だけに、この馬に関しては気持ちの問題なのだろう。
Pad4star

ノンコノユメ →馬体を見る
まだ先を見据えているのだろう、完璧には仕上げてきていない馬体であることが分かる。
逆にふっくらとしてリラックスしている点は、この馬にとってはプラスに働くのでは。
Pad4star

ロワジャルダン →馬体を見る
前駆の盛り上がりと鍛えられ方は素晴らしく、その分、トモの肉付きが物足りない。
ダート馬らしからぬ腰高で腹が巻き上がっているように見える馬体で、末脚は切れる。
Pad3star

モンドクラッセ →馬体を見る
前走よりもふっくらとして、身体全体に筋肉がついてきたことでパワーアップした。
胴部が詰まって見えるように、距離はマイルかそれ以下が合っているのではないか。
Pad3star

アスカノロマン →馬体を見る
ここに来て馬体全体に筋肉がついて、力強さが増して、ダート馬らしくなってきた。
立ち姿も顔つきもリラックスしていて、本番に向けて調子は万全だろう。
Pad4star

スーザンジョイ →馬体を見る
コロンとして映る馬体だけに、東京のマイル戦は少し長いが、毛艶は冴えて体調は良い。
筋肉がギュッと凝縮されているようで、この馬の持ち味のスピードをどう生かせるか。
Pad3star

ホワイトフーガ →馬体を見る
このメンバーに入ると牝馬らしい線の細さがあり、しかし各パーツに長さがある。
末脚もしっかりとしており、東京の1600m戦はこの馬にとっては最適な舞台だろう。
Pad4star

コパノリッキー →馬体を見る
大型馬に見えないバランスの取れた好馬体で、6歳の年齢を感じさせない。
ややトモの張りが寂しく映ることは確かだが、この馬にとっては展開が全てだろう。
Pad4star

グレープブランデー →馬体を見る
一時期不調に陥ったが、全盛期のような馬体を取り戻してきたことに驚かされる。
8歳馬とは思えない筋肉の柔らかさと、馬体の張りとバランスの良さで文句なし。
Pad5star

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東京ダート1600m

Tokyo1600d1

ポケットからの発走でスタート直後に80mほど芝コースを走る。外枠の方が若干長く芝コースを走ることができ、それを利して外側の馬が内側に圧力をかけながらコーナーに突入するため、内側の馬は窮屈になりやすい。ダートコースに入ってすぐの2コーナーは緩く、進路を左に変える程度のもので、実質的な第1コーナーは3コーナーとなる。そのため、スタートから第1コーナーまでの距離は670mと非常に長く、先行馬にとっては息を入れることのできない速いペースになってしまうことが多い。

それでも、フェブラリーSは1分34秒台という芝なみの速い時計で決着することが多く、前に行った馬も簡単には止まらない。全体的にペースが緩むところがあまりなく、スタートからゴールまでスピードを持続することが求められるため、スタミナがないと克服することが出来ないコースでもある。

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フェブラリーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Feb

■1■スピードが求められる
平成14年以降、アグネスデジタル(マイルCS、天皇賞秋、安田記念など)、ゴールドアリュール(ダービー5着)、アドマイヤドン(朝日杯フューチュリティS、菊花賞4着)、メイショウボーラー(皐月賞3着、NHKマイルC3着)など、芝コースで実績のある馬の活躍が目立っていた時期がある。2着馬に目を移しても、平成16年のサイレントディールはシンザン記念を制していて、平成17年のシーキングザダイヤはニュージーランドTを勝っている。近年は芝のG1戦線でも十分に勝ち負けになる実力馬の参戦、もしくは転戦により、フェブラリーSの勢力図が変化してきていることは見逃せない。

なぜ芝コースで実績のある馬が、畑違いのダートG1レース・フェブラリーステークスでも同じような走りを見せることができるのだろうか。もちろん、芝コースで実績のある馬は能力自体が高いのだが、それ以外の理由として以下の2つが挙げられる。

1)東京ダート1600mのコースは、スタート直後に80mほど芝コースを走るから
2)1分35秒台で決着することが多く、スピードが求められるから

1)のスタート直後の芝コースは、確かに東京ダート1600mコース独特のものである。スタート直後80mの芝部分を利して、芝実績のある馬が先手を取って流れに乗ることが出来るということである。しかし、わずかスタート直後80mの芝部分がレースの勝敗を左右するとは思えない。とすると、2)のスピードが求められるという理由の方が大きいのではないだろうか。

東京競馬場のダートコースは砂が浅いため、冬場の時期でも、それほど力のいる馬場にはならない。平成10年は勝ち時計が1分37秒5と、非常に力の必要とされる馬場であったが、さまざまな原因が重なって起こった例外的なものと考えていいだろう。

標準的な馬場であれば、オープンクラスだとマイルで1分35秒台での決着となる。これくらいの馬場状態だと、ダート戦といってもスピードがないと勝負にならず、パワーだけで勝負する生粋のダート馬にとっては苦しいレースになるだろう。スピードの絶対値が高い馬、つまり芝コースでの実績馬が活躍するのは当然といえば当然の結果である。

■2■4、5歳馬が中心
4歳   【3・2・1・30】
5歳   【5・3・2・14】
6歳   【2・1・5・34】
7歳以上【0・4・2・51】

過去10年の年齢別の成績を見てみると、4、5歳馬から勝ち馬が8頭と、若い世代が高齢馬を圧倒している。ダートは馬が痛まないので高齢まで長く好走できるのだが、極限のスピード能力が要求されるフェブラリーSでは、スピード能力の落ちてきた高齢馬のゴマカシが利かず、ある意味において篩(ふるい)に掛けられてしまうのである。

■3■1600m以上のスタミナが求められる
スタートしてから第1コーナーまでの距離が長いため、息の入らない激しい流れになることが多い。そのため、スピードだけではなく、最後の直線でバテずに踏ん張ることのできるスタミナも必要とされる。1600mという数字以上のスタミナを要求されるのは、過去の勝ち馬を見ても明らかである。前述したスピードと、それを持続するスタミナ、そのどちらを欠いてもフェブラリーステークスを制することはできない。

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縮こまることなんてない。

先週は東京新聞杯の最後の直線における落馬事故について、「遅すぎてはいけない」、「譲り合いは観たくない」という2つのエントリーを書いた。岩田康誠騎手は個人的にとても好きなジョッキーであり、今年に入ってから特に精彩を欠いていることを知りつつも、敢えて厳しい書き方をしたつもりである。決して批判をしたかったわけではなく、岩田騎手らしくない中途半端な騎乗が事故を招く遠因となった面もあると伝えたかった。これまでの岩田騎手であれば迷いなく抜け出したはずのところを、なぜタイミングを逸してしまったのか、もしかしたら後進に道を譲ったのではと訝しがってもみた。

しかし昨日、敬愛してやまない安藤勝己元騎手のツイートを読んで、私は胸が締めつけられたように感じた。

Ankatsutweet

安藤勝己騎手らしい、岩田康誠騎手に対する温かい言葉。同じく地方の競馬場からはい上がってきた騎手同士だから分かる、今の岩田騎手の心情や状況を察した上で、「先週の岩田は悪くない」、「縮こまることなんてない」とエールを送ったのである。この発言によって、安藤騎手に矛先が向くこともあることも覚悟した上であろう。この種の問題に触れると、ほぼ確実に、パトロール映像の審議委員会メンバーが独自の解釈を振りかざし、絶対安全神話論者が登場し、岩田騎手を脊髄反射的に叩く輩が現れる。正解はない世界に一歩足を踏み入れようものなら、不毛な論争に巻き込まれる。それでも、安藤勝己騎手は勇気を持って己の信じるところをツイートしたのである。

それに比べて、私はどうだったのか。「遅すぎてはいけない」や「譲り合いは観たくない」とネガティヴな駄文を書き連ね、彼らを励ますことをしなかった。言葉の裏には、岩田騎手らしくない、もっと思い切り乗ってもらいたいというニュアンスを込めたつもりだが、表向きにはそうではなかった。このブログを始めてから、20年近くにわたって、競馬の世界を盛り上げたいと思って書いてきたにもかかわらず、先週のエントリーはあんまりにも情けない。そんなこと書いて、誰がいったい喜ぶのだろうか。誰に何が伝わるというのか。安藤勝已騎手と同じように、岩田騎手は悪くない、縮こまることなんてないと私も素直に書くべきだったのだ。

最近のニュースや報道を見るにつけ、批判されるべき対象とそうではないものとの区別がないことに驚く。世間が悪いと決めた者を正義の名の下に徹底的に叩く。私もそんな時代の風に流されてしまっていたのだろうか。自分の頭で考えて、正しいものとそうではないものをしっかりと見極め、できるだけ人を励ますような、褒めるような、盛り立てるような文章を私は書きたい。「オレからすればまだ41歳。縮こまることなんてない」という安藤勝己騎手のひと言に、私は救われた。私ももうすぐ41歳、まだまだ縮こまることなんてない。

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デビュー2、3戦目に訪れる、競走人生を左右する分岐点

Rensai47

今でも親によく言われることなのだが、私は幼稚園の駆けっこではいつもビリだったらしい。ヨーイドンの合図で、他の子たちが一生懸命に走り出しても、私だけは一向に走ろうとしなかったという。その頃の私には、誰よりも速くゴールするという競走の意味が分かっていなかったのだ。人としての成長が遅いのは今も同じなのだが(笑)、他の子どもたちに比べて物心がつくのが遅かったのだろう。

競走馬のデビュー戦も幼稚園児の駆けっこのようなもので、訳もわからないうちに終わってしまうことが多い。もちろん、物心がつくのが早い馬と遅い馬がいて、デビュー前の調教から好タイムを連発し、新馬戦を圧勝するような馬は前者である。新馬戦では、身体の完成度が高いだけではなく、気持ちが走るということに向いているかどうかも問われるのである。

しかし、2~3戦目ともなると話は別で、レースでは他馬よりも速く走らなければならないことを、ほとんどの馬は理解し始める。そして、このあたりが競走馬としての分岐点となるのだ。レースや調教というものを理解し、ようやく競走馬としての本能が目覚める馬もいれば、反対に、レースに行くと目一杯に走らされて苦しいことを知るため、走ることを嫌がるようになる馬もいる。もちろん、後者の方が圧倒的に多いのだが、その苦しさを克服しない限り、能力を発揮できるようにはならない。

また、ソエが出たりと、競走馬としての疾病に悩まされ始めるのもこの時期である。ソエは若駒によくある症状で、骨が完全に化骨していない成長途上の馬の管骨に過度な負担が掛かると発症する。昔はソエが出たら赤飯を炊いていたらしいが、重症化すると腫れや痛みを伴って競走能力に大きな影響を与える。ソエが治っていない状態で違和感を抱えたまま出走することになれば、馬は痛がったり、走ることを嫌がったりする。競走馬が入れ込むのは、肉体的な苦痛が原因になっていることも多い。

(続きは週刊Gallopにて)

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京都記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyotokinen

■1■明け4歳馬が断然
過去10年における、年齢別の勝利数と連対率は以下のとおり。

4歳 【5・2・1・21】 24%
5歳 【4・1・5・22】 16%
6歳 【1・7・3・22】 24%
7歳以上【0・0・1・25】 0%

連対率では4歳馬と6歳馬が互角でも、勝率に限って言えば、明け4歳馬が圧倒的な強さを見せている。年齢が高くなるごとに勝率は低くなっていく傾向は顕著であり、7歳以上の馬に至っては勝ち馬が出ていない。春の中距離戦におけるカギとなるレースだけに、勢いと成長力のある明け4歳馬が出走してきたら注目すべきである。

■2■スタミナ豊富な馬を狙え
京都2200m(外回り)は、スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。しかし、高低差は4.3mと、丘をひとつ越えていかなければならないため、スタミナが問われるレースになる。

このコースで結果を出している種牡馬を見ていくと、ダンスインザダーク、ホワイトマズル、スペシャルウィーク、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ、ステイゴールド、ゼンノロブロイ、そしてディープインパクトなど、2400mを越える距離を得意とするステイヤー型の血統である馬がほとんどである。

■3■前走G1レース組に注目
香港ヴァーズ、香港CなどのG1レースも含め、過去10年で7頭が前走G1レースを経て、京都記念を勝利している。前走が昨年末の有馬記念である馬は、一旦少し緩めてから再度仕上げ直すのには最適のローテーションなのであろう。もし前走G1レース(有馬記念)組が出走してこないのであれば、日経新春杯を叩いて、ここが最高潮の仕上がりにある馬を狙うべきである。

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譲り合いは観たくない。

東京新聞杯の落馬事故について、先日、「遅すぎてはいけない」というエントリーを書いた。何でもかんでも、慎重に安全を期して乗ってしまうと、かえって危険になるという主旨である。どこまでが危険で、どこからがそうではないのか、外から見ただけでは分かり得ないことは多く、当事者たちにしか察することのできないこともあるとは百も承知である。それでも私たち競馬ファンは、ある程度の知識や見解を持っていることで、競馬のレースにおいて騎手と馬たちが鎬を削る、ギリギリの闘いの凄さを深く知ることができる。今は誰もがパトロール映像を見ることができ、立体的に競馬の醍醐味を楽しむことができるのだ。

エントリーを書いたあとに、さらに何度もパトロール映像を見返してみると(ほとんど趣味に近い)、私の中に新たな見解が浮かび上がってきた。なぜ勝ち馬の直後にいて、手応えが抜群だった岩田康誠騎手が、抜け出すスペースがあったにもかかわらず、待ってしまったのか。私は岩田騎手の動作を表面的に見て、周囲の状況を鑑みて安全を期することに意識が行ってしまい、躊躇してしまったと考えた。結果的には、その一瞬の判断の遅れが渋滞を呼び起こし、浜中騎手が落馬をするという大事故につながってしまった。だから遅すぎるといけないと書いたのである。

しかし、そうではなかったのかもしれない。直線に向いてから、1度目の左後方確認をしたとき、それは岩田騎手による安全確認のためではなく、後ろから浜中騎手の声が聞こえたからであろう。「岩田さん、内を開けてください!」といった内容の大きな声が左後ろから聞こえ、岩田騎手はその声が浜中騎手のものであることを知り、しかも1番人気の馬に乗っていることも知っているからこそ、内を譲ろうとしたのではないだろうか。そう考えるとしっくりくる。あれだけのスローペースを内で追走し、2番手で直線を向いて、隊列的にもあそこで抜け出せば勝てる。先に抜けた者勝ちであり、普通に考えれば、抜け出さない理由はない。つまり、抜け出さなかったのではなく、抜け出せなかったのでもなく、譲ろうとしたのである。

自身は浜中騎手が抜けた後を追う形で抜け出せば、連対は確保できる。6番人気で2着ならば上々であろう。ところが、ダッシングブレイズが思いの外、スパッと切れずに抜け出すのに時間が掛かっていたところを、外から寄られたことにより、エキストラエンドが少し内に押し込められ、内の進路が狭くなってしまったということである。かつての岩田騎手であれば、自分がどれだけ人気のない馬に乗っていても、がむしゃらに勝ちに行っていたし、今回のように譲ってしまって、みすみす勝ちを逃すこともなかったはずだ。

私は安全や危険という観点で見てしまっていたが、実は勝ちを可愛い後輩に譲ろうとしたということであれば、それはそれでつまらない。M・デムーロ騎手やC・スミヨン騎手ならば、迷うことなく抜けていたであろう。人馬が無事に回ってくることを何よりも願うが、安全がいつの間にか勝ち星の譲り合いにすり替わり、エキサイティングな競馬が観られなくなってしまうことを私は願わない。

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共同通信杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Kyoudoutuusinhai

■1■先行馬有利
東京1800mコースは、ポケットから発走して157mで本線に合流する。第1コーナーまでの距離が極端に短いため、無謀なポジション争いはなく、各馬が出たままの平均ペースに流れることが多い。これが「府中の千八、展開いらず」と言われるゆえんである。とはいえ、このレベルで平均よりも遅めに流れると、前に行った馬は簡単には止まらない。力のある馬であれば差して来られるが、先行馬にとって有利なレースである。

■2■瞬発力ではなく持続力&パワー
上記のように、平均ペースで前に行った馬が粘り込むというレースになりやすい以上、ヨーイドンで瞬発力ではなく、スピードの持続力の勝負になる。ビュっと伸びるのではなく、ジワジワと良い脚をどれだけ長く続けることが出来るかが問われるレースと言ってもよいだろう。先週の東京新聞杯に比べ、サンデーサイレンス系の馬の活躍が目立たないのはそれゆえである。また、時期的に芝はやや重い状態なので、パワーに欠ける馬にとっては苦しいレースになる。スピードの持続力とパワーを兼備した馬を狙いたい。

■3■前走は1800m以上
過去10年の勝ち馬のステップレースを見ると、1600m戦からが2頭に対し、1800m以上のレースからは8頭と圧倒的に多い。ごまかしの利かない府中の1800m戦だけに、前走でマイル戦を走っていたようなマイラーではなく、長めの距離を使われてきたスタミナに支えられた馬が活躍するということだ。具体的に言うと、朝日杯フューチュリティS組ではなく、東スポ杯もしくはラジオNIKKEI杯2歳Sから臨んでくる馬を上に見たい。

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遅すぎてはいけない。

東京新聞杯の最後の直線にて、浜中俊騎手が乗ったダッシングブレイズが内ラチに接触し、人馬ともにターフに放り出された。浜中騎手は内柵を乗り越える形になり、4箇所の骨折と脳震とうで戦線離脱となってしまった。今回の落馬事故の直接の原因は、浜中騎手が狭いスペースにダッシングブレイズを通そうとしたことだが、なぜ前が詰まったのかと遠因を辿っていくと、岩田康誠騎手が待ちすぎて渋滞を引き起こしてしまったこと、さらにスマートレイアーが直線で左右にふらついたことに行き着く。

スマートレイアーについては、吉田隼人騎手が初騎乗であり、馬の癖を掴み切れていなかったためか、もしくは逃げる形になり、先頭で府中の長い直線に向いたことに馬が戸惑ったのか分からないが、直線に向いたところでまず右に大きくよれた。それを修正するために、吉田騎手が右ムチを入れると、それに敏感に反応し今度は左によれた。直後にいた騎手たちから見ると、どちらが開くのか(安全なのか)、次の予測が難しい動きであったように見える。

すぐ後ろにいたのが岩田騎手であった。彼はあの事故以来、ずいぶんと周りに気を遣いながら、目に見えるぐらいに慎重に馬込みを捌くようになった。今回も騎乗馬エキストラエンドの手応えが抜群で、いつでも抜け出せる勢いであったにもかかわらず、ひと呼吸置いて、左後ろを確認する作業までしている。本当は、今回に限っては、スマートレイアーが外(右)によれた瞬間に、迷うことなくその内を抜ければ、安全に勝つことができたはずなのである。かつての岩田騎手ならば、そうしていただろうし、そういった瞬時の判断と行動に極めて優れていた。

そうすることなく、周りの状況を見渡した上で、慎重に後方の確認までしている間に、スマートレイアーが内(左)にササってきて、今度はエキストラエンド自身の抜け出すスペースがなくなってしまった。外の馬たちからも圧力を受けて、エキストラエンドがやや内に押し込められたタイミングと浜中騎手が狭いスペースを突いたそれが運悪く重なったことで、アクシデントは起こった。今回に限っては、岩田騎手が先に抜け出さなかったことが渋滞を巻き起こしてしまったとも言える。

みだりに進路を変えたり、狭いスペースに突っ込んだりすることは確かに危険だが、それ以上に、実は動きや判断が遅いことの方が危ないのである。脚がある馬よりも、脚がない馬の方が危ない。上がっていく馬よりも、下がってくる馬や遅い馬の方が危ない。危険をギリギリで避けてスパッと動く騎手よりも、慎重すぎて何もできずにチンタラしている騎手の方が実は危ないのである。

たとえば、人ごみの中を歩くと分かるだろう。私は歩くのが速い方なので、人と人の間を縫うように抜けていくが、その中で危ないと感じるのは、流れに沿わずにゆっくりと歩いている人もしくは突然立ち止まる人である。良い悪いの問題ではなく、危ないか危なくないかの問題。ものすごく渋滞が起こっていて、誰もが前の人にぶつかりそうに、歩きにくそうに歩いているその先を見ると、そこには必ずものすごく遅く歩いている2人か3人組がいる。街中を歩くことと競馬のレースは違うところもあるが、つまり行くときにはスパッと行くことも大切だし、脚がなくなった馬をきれいに下げていくのもまた技術なのである。

こういう話をすると、必ずと言ってよいほど、人や馬の命がかかっているんですよと批判を受けることもあるが、絶対的な安全などあり得ないと私は思う。その考えを突き詰めていくと、競馬などやらない方が良いという結論になってしまうし、やるとしてもセパレートコースで行う方が安全ということになる。そうではない競走をしているのだから、危険と安全は常に隣り合わせであり、何が安全で何が危険か、どのようにすればより危険で、より安全なのかを知った上で、私たちは競馬やジョッキーたちを盛り上げていくべきなのだ。

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衰えを全く感じさせないエキストラエンド:5つ☆

★きさらぎ賞
サトノダイヤモンド →馬体を見る
胴部には伸びがあって、距離が延びてこそ良さが出るタイプの馬体。
筋肉の付き方のバランスも素晴らしいが、硬さが残っている顔つきだけが心配。
Pad4star

ロイカバード →馬体を見る
やや腰高に映るほど、腹回りが絞れて、余裕のない状態だが、いかにも走りそう。
顔つきを見るだけで、アスリートらしいそれであり、超一流馬であることが分かる。
Pad4star

レプランシュ →馬体を見る
筋肉のメリハリに欠けて、腹回りに余裕がある分、胴部がコロンとして詰まって見える。
上記の2頭に比べると、明らかに完成度は劣り、この馬が良くなるのは先の話だろう。
Pad3star

ロワアブソリュー →馬体を見る
ゼンノロブロイ産駒にしても、胴部が詰まっていて、馬体全体にパワーが漲っている。
前後躯にしっかりと実が入っていて、この時期の3歳馬としては完成度が高い馬体。
Pad4star

ノガロ →馬体を見る
首差しがスラリと長く、馬体は未完成な分、全体のバランスが悪く映るのは仕方ない。
頭部から前駆にかけての盛り上がりは素晴らしく、それに比べて、後躯が物足りない。
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★東京新聞杯
ダッシングブレイズ →馬体を見る
マイラーというよりはスプリンターに近い、筋肉量の多さであり、馬体から力が漲っている。
この時期にしては毛艶も良く、あとひと絞りできれば、完璧な仕上がりになる。
Pad4star

ト-センスターダム →馬体を見る
首差しに力強さが増して、前駆のつくりは実に見事だが、トモの肉付きに物足りなさ。
胴部には長さがあまり感じられないので、距離はマイルあたりがベストだろう。
Pad3star

エキストラエンド →馬体を見る
7歳馬にして馬体の衰えを全く感じさせないし、むしろ馬体の厚みという点では↑。
闘争心に溢れている表情をみても、ここに来て、気持ち的にもリフレッシュされた。
Pad5star

テイエムタイホ― →馬体を見る
線の細さばかりが目立つ馬体だが、その分、バネや癇性の強さで走ってきたのだろう。
馬体全体はスラっとして、余分な筋肉はそぎ落とされて、無駄なところはない。
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ダノンプラチナ →馬体を見る
芦毛のため、毛艶の良さや皮膚の張りは判別がつきにくく、好不調が見分けにくい。
それにしても筋肉のメリハリに欠けており、この馬にとっては好調とは言えないのでは。
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ダイワリベラル →馬体を見る
前駆の力強さが前面に押し出されていて、いかにもダイワメジャー産駒らしい馬体。
安定して先行することができる反面、東京の長い直線で切れ負けしてしまうかも。
Pad4star

グランシルク →馬体を見る
馬体の成長度という点においては、いまひとつで、3歳時とはあまり変わっていない。
迫力という点では物足りなさはあるが、馬体のパーツは長く、府中のマイル戦はOK.。
Pad3star

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東京新聞杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Tokyosinbunhai

■1■瞬発力のある差し馬
東京競馬場が改修され、最後の直線が僅かに長くなって以来、前半がスローになり、直線に向いたラスト3ハロンでの瞬発力勝負になるケースが多くなった。不良馬場だった2009年と重馬場であった2014年を除く、過去10年間の勝ち馬および2着馬の上がり3ハロンのタイムは以下のとおり。

2005年
ハットトリック 32秒9
キネティックス 33秒2
2006年
フジサイレンス 33秒9
オレハマッテルゼ 34秒5
2007年
スズカフェニックス 33秒3
エアシェイディ 33秒3
2008年
ローレルゲレイロ 34秒9
リキッドノーツ 33秒4
2010年
レッドスパーダ 33秒5
トライアンフマーチ 33秒4
2011年
スマイルジャック 33秒9
キングストリート 33秒8
2012年
ガルボ 33秒6
コスモセンサー 34秒2
2013年
クラレント 33秒0
ダイワマッジョーレ 32秒7
2014年
ホエールキャプチャ 34秒3
エキストラエンド 34秒6
2015年
ヴァンセンヌ 34秒6
アルフレード 34秒3

開幕週のため時計が速いということもあるが、それにしても速い上がり時計が求められるレースであることが分かる。道中が極端にスローに流れると、逃げ・先行馬にとっても有利になるのだが、それ以上に瞬発力が身上の差し馬にとっては絶好の舞台になる。対照的に、極限の瞬発力を有さない(速い上がりに対応できない)先行馬にとっては力の出せないレースになりやすい。

■2■スプリンター寄りの馬でももってしまう
東京競馬場のマイル戦は1600m以上のスタミナが必要とされるコースと言われているが、東京新聞杯のように道中がスローに流れるケースにおいては、レースの趣向は全く別物となる。これは例えばヴィクトリアマイルにも当てはまるのだが、道中のペースが極端にスローに落ちると、1600m以上のスタミナを保持していないスプリンター寄りの馬でも何とか最後までもってしまうのだ。

2007年の勝ち馬スズカフェニックスは、(のちに高松宮記念を勝ったように)本質的にはスプリンターだが、道中のペースが緩かったからこそ府中のマイル戦でも勝ち切ることが出来た。同じ舞台の安田記念でも人気になったが、道中のペースが厳しい府中のマイル戦ではスタミナ不足を露呈して、勝ち切ることはできなかった。つまり東京新聞杯では、従来の府中マイル戦のイメージを捨てて、上がり勝負に強いスピード馬を狙ってみるのも一計だろう。

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬
ヨーイドンの上がり勝負になる以上、瞬発力勝負に長けたサンデーサイレンス産駒もしくはその直系の産駒に注目しないわけにはいかない。過去6年で8頭の馬が連対していて、3着馬や母父サンデーサイレンスにも手を広げると、さらにサンデーサイレンスの血を引く馬たちがいかにこのレースに強いことが分かる。

そして、上記のスプリンター寄りの馬でももってしまうという傾向を考慮すると、サンデーサイレンス系の中でもフジキセキ産駒や最近でいうとダイワメジャー産駒は、このレースにフィットするのではないか。ではないかと書いておきながら、実は2006年にフジサイレンスが11番人気で勝ってしまっていて残念だが、サンデーサイレンス直仔がいなくなる以上、サンデーサイレンス系の中でも切れとスピード寄りのフジキセキ産駒やダイワメジャー産駒が忘れた頃にやって来ることを覚えておきたい。

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その後の反動がないことも願いつつマッチレースを期待

Rensai46

きさらぎ賞の出走登録馬を見たとき、私は目を見張った。わずか5頭。その理由はすぐにわかった。厳寒期のレースということもあり、毎年多頭数にはならないのだが、今年はあの評判馬サトノダイヤモンドがいるからということだろう。さらにそのサトノダイヤモンドに新馬戦で敗れたものの、その後、負け知らずで連勝してきたロイカバードもいる。購買価格を合わせて約5億円対決と話題を呼んだだけではなく、この2頭は強い。ありえないことではあるが、他の登録馬たちが畏れをなして回避することがあれば、2頭のマッチレースが実現するかもしれないという妄想が膨らんだ。

18世紀以前の競馬では、同じ組み合わせの馬たちで複数回競走を行い、勝ち馬を決定するヒートレース(Heat race)という方式が採られていた。1回の競走を1ヒートと呼び、同じ馬が2回もしくは3回と続けて勝つまでレースは行われたという。18世紀以降は、主にアメリカにおいて、企画に賛同した馬主が、スタートからゴールまで協定条件下で2頭を競わせる1対1形式の競走をマッチレースと呼ぶようになった。古くは映画「シービスケット」で知られているシービスケットとウォーアドミラルの対決など。最近では、多頭数のレースであっても、2頭の馬が抜け出して、抜きつ抜かれつを繰り返し、勝敗を決することを広義にマッチレースと呼ぶようになった。

私が生で観た有名なマッチレースは1996年の阪神大賞典である。ナリタブライアンとマヤノトップガンが火の出るような追い比べを演じたレースである。このレースはデッドヒート(同着)にこそならなかったが、3着以下の馬との差がなんと9馬身もあったように、まさにマッチレースであった。ナリタブライアンの単勝馬券を手にしていた私は、いつものレースよりも長い、最後の直線における至福の時の流れを味わうことができた。それはマヤノトップガンの単勝を握っていた人も同じだったのかもしれない。

この話には続きがあって、当然のことながら、次走の天皇賞春において、ナリタブライアンは1.7倍、マヤノトップガンは2.8倍と、圧倒的な人気に推された。しかし、阪神大賞典で後続に9馬身もの差をつけたはずのナリタブライアンとマヤノトップガンが、本番の天皇賞春であっさりと負けてしまったのだ。ナリタブライアンは、最後の直線で先頭に立ったものの、サクラローレルに外から交わされると、すでに抵抗する力は残っていなかった。マヤノトップガンも、阪神大賞典で相手にしなかったはずのハギノリアルキングにも後ろから差されて5着と惨敗してしまった。

(続きは週刊Gallopにて)


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きさらぎ賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kisaragi

■1■1800m以上のスタミナと持続力
ひとつだけラップ構成から垣間見えるレースの特徴がある。勝ち馬や全体のタイムはほとんど関係ないので、過去10年のラップと前後半4ハロンのタイムだけを時系列に並べてみたい(一番下が2015年度のラップ)。

12.8-11.0-11.5-12.2-12.5-12.5-11.9-11.3-11.7(47.5-47.4) 平均ラップ
12.8-11.3-12.3-12.9-12.4-12.1-11.3-11.4-12.3(49.3-47.1) 後傾ラップ
12.8-11.0-12.3-12.5-12.2-12.1-12.1-11.8-12.0(48.6-48.0) 平均ラップ
13.0-11.5-11.9-12.7-12.6-12.2-11.8-11.1-12.1(49.1-47.2) 後傾ラップ
12.8-11.1-11.4-12.3-12.8-12.4-12.0-11.7-12.1(47.6-48.2) 平均ラップ
12.4-11.3-11.6-12.4-12.5-12.0-11.3-11.8-12.3(47.7-47.4) 平均ラップ
13.1-11.5-11.9-12.5-12.7-11.6-11.3-11.3-11.1(49.0-45.3) 後傾ラップ
12.8-11.6-12.2-13.0-12.6-12.2-11.7-10.9-11.9(49.6-46.7) 後傾ラップ
13.0-11.5-11.3-11.6-12.5-12.2-11.9-11.6-12.0(47.4-47.7) 平均ラップ
13.0-11.6-11.7-12.6-12.7-12.1-11.7-11.6-11.6(48.9-47.0) 後傾ラップ

前後半のラップの差が1秒以上ない場合を平均ラップとして考えると、過去10年中で5レースが後傾ラップとなる。それ以外の年のレースは平均ラップで流れていて、スローペースになりやすい近年の傾向を考えると、中距離としてはかなり珍しい部類のレースに入る。

なぜこのような平均的な流れになるかというと、京都1800m(外回り)というコースの形態に理由がある。京都1800mは、向う正面を延長したポケットの最深部からスタートするため、スタートから最初のコーナーまでの距離がなんと912mという長さになる。つまりレース全体距離の半分が最初の直線に費やされるということだ。

これだけ直線が長いと、どうしても逃げ・先行馬が息を入れずに気分良く行ってしまうため、前半部分が速くなりやすい。しかし、その代わりに後半が遅くなるかというとそうでもなく、3コーナーを回ってからゴールまでは下り一辺倒になるので、後半も同じように速い上がりでの勝負となる。つまり、全体的に淀みのないラップが刻まれ続ける、厳しいレースになるということだ。

よって、このレースを勝ち切るためにまず問われるのは、1800m以上のスタミナである。過去の勝ち馬から菊花賞馬が2頭、ダービー馬が1頭出ていることは、あながち偶然でもないだろう。そして、もうひとつ問われるのは、速いラップを長く刻み続けることの出来る持続力である。マイル戦でスピードを生かす競馬を得意とする馬や、一瞬の差し脚で勝負する馬は狙いを下げた方が賢明である。

■2■前走は500万下組もしくは未勝利戦の素質馬を狙え
過去の優勝馬だけではなく、連対馬からもG1ウィナーを輩出しているように、クラシックへ向けての試金石となる一戦。勝ち馬の前走だけを見ると、過去12年でダートG1からが1頭(レインボーペガサス)、G3レースからが3頭(アサクサキングス、リーチザクラウン、タマモベストプレイ)、オープンからが2頭(アグネスゴールド、京都2歳S)と、それ以外の6頭は全て500万下レースもしくは未勝利戦を勝った後の連勝となっている。つまり、ここに狙いを定めて出走してくる、2歳時に無理をしなかった素質馬を狙うべき。

■3■キャリア2~4戦の馬
過去10年間の勝ち馬のうち、8頭までがキャリア2~4戦のゾーンであった。上述のように「2歳時に無理をしなかった素質馬」という観点からは、キャリアが5戦以上の馬は外れるだろう。かといって、さすがにキャリア1戦の馬では勝ち切るのは厳しい(2013年のリグヴェーダのように)。つまり、キャリアが少なすぎても多すぎても、このレースを勝つための資質という点からは遠ざかっていくということである。

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春のクラシック戦線を占う(牡馬編)

Classicspring

続いて、牡馬クラシック戦線を占いたい。今年は誰がどう見ても混戦であり、団栗の背比べというよりは、極めてハイレベルな争いになりそうだ。その理由のひとつとして、ディープインパクト産駒の素質馬が早い段階から軌道に乗り始めてきているということが挙げられる。サトノダイヤモンドやハートレー、マカヒキ、ロイカバード、プロディガルサン、何が大きく変わったということはないのだが、生産や育成、調教の過程における少しずつの改善を経て、ディープインパクト産駒が続々と花開いたということだろう。それに対して、キングカメハメハも昨年に続いて大物を出し、まさに両者とも一歩もあとに引かないという白熱した状況だ。

その中でも、ディープインパクト産駒のサトノダイヤモンドを今年の横綱として考えている。2戦2勝の戦績や圧巻の勝ち方を見るだけでも、この馬の強さは伝わってくるが、私の個人的に評価しているのは、その馬体であり顔であり身体の使い方である。この馬の馬体は誰が見ても最高品質のものであり、これまでのディープインパクト産駒の中でも最も伸びがあって、ゆったりとした造りであり、その意味ではディープインパクト産駒らしくない馬体である。顔つきには気品が溢れており、彼の肉体のバランスの良さがそのまま顔にも凝縮されている。ただ単なるグッドルッキングホースでなはく、実際に走らせてみても力強い走りをする。特筆すべきは、しっかりと上体を起こして(胸を張って)走れるという点だろう。サクラローレルがこういうフォームで走っていたことを思い出す。距離が延びてさらに良さが出るだろうし、騎手も乗りやすいタイプである。この馬が未来のダービー馬である。

朝日杯フューチュリティSを勝ったリオンディーズも、超がつく大物であることは間違いない。スローペースをほぼ最後方から差し切った朝日杯FSの勝ち方は尋常ではなかったし、2着のエアスピネルもかなり良い馬ではあるが、格の違いを感じさせるものであった。しかも、あの時点において、馬体は幼く、成長途上であったことが末恐ろしい。エアスピネルの完成度の高さに対して、リオンディーズはまだ半分ぐらいの成長の余地を残したままの馬体で勝利してしまったのだ。母父スペシャルウィークであるからスタミナは豊富であり、父シンボリクリスの兄エピファネイアがジャパンカップを勝ったのだから、この馬はさらに距離が延びても大丈夫であろう。兄と違って折り合いに苦労するような面も今のところ見られないし、レースを勝ちながら、道中でリラックスして走ることを教えていることも素晴らしい。とはいえ、いつまでも後ろから行って外を回すような競馬は通用しないので、どのあたりから勝つための競馬を始めるかが難しい。その切り替えが上手く運べれば、サトノダイヤモンドの上にくるだけの器である。

ホープフルSを勝ったハートレーは、上記の2頭に比べると、小粒というか器が小さい印象を受ける。ディープインパクト産駒特有の脚の速さやバネの強さが武器であり、はまると強い競馬ができる反面、真っ向勝負になるとやや不安が残る。相手の隙を突いて、一気に差し切るような奇襲が合っているが、どこまでその戦法が通用するだろうか。乗り方が難しい馬であり、騎手の選択がこの馬の命運を分けるかもしれない。それ以外の馬たちもレベルは高いのだが、何だかんだ言っても上の3頭は強いだろう。この馬たちが順調にクラシック戦線を歩むことができれば、1冠ずつを分け合うかもしれないし、もしくはどの馬かが3冠を独占するかもしれない。そんな想像をするだけで、今年もまた1年生きていけるという幸せな気持ちになる。

もう1頭、伏兵といおうか、現時点の完成度では上記3頭に劣るが、将来が楽しみな1頭を挙げておくとメートルダールである。初戦はもっさりとしていて3着に敗れたが、少しずつレースというものを覚えてきて、身体に気持ちがついてきて2連勝を挙げると、前走の京成杯では後方から猛烈に追い込んで3着に入った。上位2頭よりも、私にとっては、強い印象を残したレースであり、その素質の片鱗を垣間見た気がした。血統的には奥手のステイヤーだろうから、夏以降かまたは来年の春あたりに本格化するとしても、春のクラシック戦線でもある程度のところまでは食い込んでくるかもしれない。イメージが似ているのは同じ戸田厩舎のフェノーメノである。

Photo by M.H

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