« デビュー2、3戦目に訪れる、競走人生を左右する分岐点 | Main | フェブラリーSを当てるために知っておくべき3つのこと »

縮こまることなんてない。

先週は東京新聞杯の最後の直線における落馬事故について、「遅すぎてはいけない」、「譲り合いは観たくない」という2つのエントリーを書いた。岩田康誠騎手は個人的にとても好きなジョッキーであり、今年に入ってから特に精彩を欠いていることを知りつつも、敢えて厳しい書き方をしたつもりである。決して批判をしたかったわけではなく、岩田騎手らしくない中途半端な騎乗が事故を招く遠因となった面もあると伝えたかった。これまでの岩田騎手であれば迷いなく抜け出したはずのところを、なぜタイミングを逸してしまったのか、もしかしたら後進に道を譲ったのではと訝しがってもみた。

しかし昨日、敬愛してやまない安藤勝己元騎手のツイートを読んで、私は胸が締めつけられたように感じた。

Ankatsutweet

安藤勝己騎手らしい、岩田康誠騎手に対する温かい言葉。同じく地方の競馬場からはい上がってきた騎手同士だから分かる、今の岩田騎手の心情や状況を察した上で、「先週の岩田は悪くない」、「縮こまることなんてない」とエールを送ったのである。この発言によって、安藤騎手に矛先が向くこともあることも覚悟した上であろう。この種の問題に触れると、ほぼ確実に、パトロール映像の審議委員会メンバーが独自の解釈を振りかざし、絶対安全神話論者が登場し、岩田騎手を脊髄反射的に叩く輩が現れる。正解はない世界に一歩足を踏み入れようものなら、不毛な論争に巻き込まれる。それでも、安藤勝己騎手は勇気を持って己の信じるところをツイートしたのである。

それに比べて、私はどうだったのか。「遅すぎてはいけない」や「譲り合いは観たくない」とネガティヴな駄文を書き連ね、彼らを励ますことをしなかった。言葉の裏には、岩田騎手らしくない、もっと思い切り乗ってもらいたいというニュアンスを込めたつもりだが、表向きにはそうではなかった。このブログを始めてから、20年近くにわたって、競馬の世界を盛り上げたいと思って書いてきたにもかかわらず、先週のエントリーはあんまりにも情けない。そんなこと書いて、誰がいったい喜ぶのだろうか。誰に何が伝わるというのか。安藤勝已騎手と同じように、岩田騎手は悪くない、縮こまることなんてないと私も素直に書くべきだったのだ。

最近のニュースや報道を見るにつけ、批判されるべき対象とそうではないものとの区別がないことに驚く。世間が悪いと決めた者を正義の名の下に徹底的に叩く。私もそんな時代の風に流されてしまっていたのだろうか。自分の頭で考えて、正しいものとそうではないものをしっかりと見極め、できるだけ人を励ますような、褒めるような、盛り立てるような文章を私は書きたい。「オレからすればまだ41歳。縮こまることなんてない」という安藤勝己騎手のひと言に、私は救われた。私ももうすぐ41歳、まだまだ縮こまることなんてない。

|

Comments

一連の記述ですが、皆さん解っていると思います。岩田騎手を高く買っておられる貴殿一流のエールだと。
私も最近の岩田騎手は「らしくない」と思っておりました。
あえて意地悪な言い方(逆説的な言い方)をすると、常に制裁リーディング争いを演じている言われようが、
必要の無い空気は読まない姿勢が?と言われようが、彼しかない魅力(アンカツさんの言う通り)がある筈です。
今年は現時点で制裁が1回?しかなく、安全運転が過ぎるように思います。
私にとって馬券的に大変あてにしている騎手でもあり、彼に福永騎手や武豊騎手のようになれと言うのも可笑しな話しです。
早く彼らしい思い切った騎乗が観たいものです。

Posted by: 愛知のポルンガ | February 16, 2016 at 09:01 PM

治郎丸さん

ご無沙汰しています。私も治郎丸さんが伝えたかった事を感じている一人です。凄惨な事故だっただけに、また岩田騎手がどう感じたのかな?と気になります。

慎重すぎる騎乗に見えましたし、岩田騎手だったらあの狭い所を突き抜けたのでは?なんて思います。

ジョッキーは命掛かってるわけですから、ギリギリの駆け引きと一瞬の判断、技量、度胸の差が結果につながると思ってます。

そういった面で凌ぎを削った上での結果なのか、中途半端の結果なのかで捉え方も違いますね。私は制裁を食らった浜中騎手の早期の復活と今後に期待します。

Posted by: Nobu | February 17, 2016 at 07:09 AM

愛知のポルンガさん

ありがとうございます。

岩田騎手には他の騎手になり凄さや良さがあるので、それが消えてしまうことを私は恐れます。

誰だって、人を危険にさらしたり、さらされたりしたいわけではありません。

しかし、数多くのレースに乗って、毎レース激しい争いを繰り広げようとすれば、どうしてもそういう局面が出てきてしまうと思います。

そこを避けて乗っても、ある程度の成績や収入は得られるのでしょうが、それは岩田騎手ではないですよね。

政治的な圧力に潰されないで頑張ってもらいたい。かつての輝きを取り戻してもらいたいものです。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 17, 2016 at 10:03 AM

Nobuさん

お久しぶりです。

ご理解いただき感謝しております。

>そういった面で凌ぎを削った上での結果なのか、中途半端の結果なのかで捉え方も違いますね。

その通りだと思います。
今回は中途半端が招いた結果だったようにも思えます。

インの好位を取りに行く岩田騎手のスタイルであれば、前が詰まる状況は避けがたく、そこをどのようにさばいてくるかどうかが勝ち負けに直結します。

そこを最後の直線だけ安全に乗ってしまったら、今回のような結果や事故につながりかねないのではないでしょうか。

周りからの圧力に屈することなく、思い切って乗ってもらいたい、その一心ですね。

岩田騎手はどう思ったのか、私も知りたいところです。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 17, 2016 at 10:07 AM

アンカツの威を借る

Posted by: 510000 | February 18, 2016 at 05:55 AM

510000さん

狐ですね(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | February 18, 2016 at 02:46 PM

先日コメントさせて頂いた者です。この件に関しては、今回のようなストレートな文章を待っていました。ようやくスッキリしました。これからも楽しみに拝読したいと思います。

Posted by: 競馬歴16年 | February 19, 2016 at 01:19 AM

競馬歴16年さん

ありがとうございます。

競馬歴16年にコメントいただいたおかげです。

私なりに色々と見て、考えて、自分の非を悟りました。

Posted by: 治郎丸敬之 | February 19, 2016 at 03:50 PM

Post a comment