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馬が追えること、それはジョッキーにとっては最大の武器

Febs2016
フェブラリーS2016―観戦記―
スタートダッシュの良さを生かしてコーンベリーが先頭に立ち、前半マイルが35秒3、後半が35秒8という平均ペースでレースを引っ張った。前日の降雨の影響で馬場は水分を含み、最も走りやすい状態になったことで、1分34秒0という芝並みのレコード時計が出た。基本的には先行馬有利だが、後ろから行っても届かないことはない、前後でそれほど有利不利のない展開となった。砂というよりは土に近い、全体時計の速いレースにおいて、アメリカ血統を背景に持つ、スピードに富んだ馬たちが上位を占めたのも頷ける。

まさにアメリカの血統が敷き詰められた米国産馬であるモーニンにとっては、おあつらえ向きの馬場であり、レースであった。外枠から発走したことで、前半に無理することなく外の3、4番手のポジションを確保することができ、あとは仕掛けるタイミングを待つばかり。追い出されてからもしっかりと伸びて、前走の根岸Sの走りを再現したかのよう。クラスが上がっての200mの距離延長を心配していたが、馬場に助けられた面は少なくない。35秒台の砂であれば結果は違ったかもしれない。この馬自身は古馬とのレースで揉まれつつ強くなっており、安定したスピードとパワーと気性を併せ持つ馬だけに、今後もダートの短距離界を引っ張っていく存在になる。

ミルコ・デムーロ騎手は文句なしの騎乗であった。今回は外枠を引いたことで、ほとんど苦労なく走りたいポジションを走れて、本人としては、モーニンに捕まって回ってきただけだと謙遜するかもしれない。それでも、最後の直線でモーニンを追い出してからが、デムーロ騎手の真骨頂であった。騎座がしっかりとしているから、馬が止まらずに伸びる。馬の勢いを邪魔することなく、むしろ加速することができる。おそらく同業の騎手が見ても細かい技術は盗めないはずであり、彼が追うと馬がとにかく最後まで伸びるのである。馬が追えることは、ジョッキーにとっては最大の武器であることを改めて思い知らされた。

同じく米血統の父を持つノンコノユメは届かず2着であったが、あらゆる不利な条件を考えると、この馬の強さが浮き彫りになる。連勝が止まったあとのレースであり、普通の馬ならばあっさり凡走しても不思議ではない。しかも休み明けでもある。C・ルメール騎手が追いだしてからの反応がいつもより鈍かったとコメントしているように、身体の状態は決して万全とは言えない中で、最後まであきらめることなく力を出し尽くそうとする気持ちの強さは素晴らしい。脚質的に展開が向かないこともあるだろうが、今後体調が戻ってくれば、近いうちに必ずや大きなレースを勝つだろう。

アスカノロマンは後ろから行かざるをえず、最後は良く伸びたが3着が精いっぱい。このメンバーに入るとテンのスピードが速い馬がいるため、内枠を引いたことが仇となった。外枠を引いていたら、もっと際どい勝ち負けに持ち込めていたはず。前走の圧勝も含め、この馬も強くなっている。同じく内枠に苦しめられたのが昨年の覇者コパノリッキーだろう。高齢になってきた影響もあってか、テンのスピードが鈍くなり、内で包まれるような形になってしまい、この馬の先行力が生かせなかった。

ロワジャルダンはスタートダッシュこそ良かったが、道中で内と外から揉まれてしまった。それでも直線に向いて勢いはあったにもかかわらず、ゴール前では脚が上がってしまったように、最後までもたせることができなかった。芝はともかくとして、ダートは上体だけではなく下半身を含めた全身の力で推進させないと馬は動かない。誰にも肉体的な衰えは忍び寄るものであり、56歳まで騎乗し続けた岡部幸雄騎手は晩年ほどハードなトレーニングを自身に課していたという。横山典弘騎手には3000勝を目指してもらいたい。

Photo by 三浦晃一

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