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王として君臨せよ


高松宮記念2016―観戦記―
内枠から好スタートを切ったミッキーアイルが先頭に立つかと思いきや、外から手綱を激しくしごきながらローレルベローチェとハクサンムーンが強引にハナを奪い返す形で、レースの火ぶたは切って落とされた。こうなるとペースが速くなるのは必至で、前半600mが32秒7、後半が34秒0というスプリントG1らしい激しい流れ。硬い馬場でレコード決着となったように、後ろから行った馬たちは伸びても差し込みにくく、先行馬にやや有利な、スピードの絶対値がものをいうレースであった。

勝ったビッグアーサーはスタートからゴールまで、何から何まで、最高に上手く運んだ。まずはスタートしてから両隣の馬が外に膨れたことで、広いスペースができ、そこを突いて福永騎手は無理なく先行しつつ、馬を馬場の良い外に導けた。そこからは前を行く3頭を見ながら、ビッグアーサーは周りに馬がいないスペースを確保しつつ、脚を溜めることができた。あとは直線に向いて追い出すのみ。ここ2戦は極端な枠順を引いてしまい、裏目裏目に出てしまって力を出し切れていなかったが、本番で全ての流れがガラリと変わったのだ。もともとスプリンターらしい雄大かつパワフルな馬体を誇っており、デビュー戦以外はここまで全て1番人気にも推されてきたほどで、重賞で揉まれながらもレースに慣れ、成長し、果たして完成された。この先はスプリント王として、さらに高みを目指してもらいたい。

福永祐一騎手にとっても渾身の騎乗であった。これだけ全てが完璧に回るレースも、1年間騎乗して数回あるぐらいだろう。もちろん、そういうレースに組み立てられたのは福永騎手の経験と技術ゆえである。最大の勝因は、スタート直後に、スムーズに外に出せたことに尽きる。周りに馬がいなかったこともあり、内の馬場が荒れているところを避けつつ、最小限の距離ロスで道中を回ってこられた。長期の戦線離脱からカムバックして、外から見た目では分からないぐらいまで、その騎乗ぶりは全盛期に戻ってきつつある。前夜にお手馬のリアルスティールがR・ムーア騎手の手綱によってドバイで勝利して悔しかっただろうが、翌日にこうして自らの手でG1勝利を得て、健在ぶりを示してみせたのだからさすがである。

ミッキーアイルはこれが限界の結果だろう。1200mと1400の違いとも言える。1400では先頭に立てたとしても、1200mだとハナを叩かれてしまう。スプリントG1を勝つほどの圧倒的なスピードはなく、マイルG1を勝つにはムキになって走りすぎる。重賞を6勝もしているにもかかわらず、G1勝利がNHKマイルCのみというのは、このあたりに理由がある。それでも、無理に抑える競馬を強いるのではなく、ミッキーアイルのリズムで走らせてあげる方が良い結果が出ることを陣営が悟ったことは大きな収穫だろう。

アルビアーノはどうしたのだろう。スタートこそ良かったが、道中はずっと馬群の狭いスペースに押し込められるように走らされて、苦しいレースを強いられた。それぐらいのことでめげる馬ではないはずだが、前走オーシャンSの最後の直線で他馬と接触し、怪我を負ったことが、少なからず精神的に影響を及ぼしているのかもしれない。馬は記憶力の良い動物だけに、アクシデントに直接巻き込まれた馬やその周りでその光景を見ていた馬が、その後さっぱり走らなくなってしまうことはよくあることだ。最終コーナーのコーナーリングや彼女のぎこちない走りを見て、そんな心配をせざるをえない。

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Comments

治郎丸さんいつも馬体評価&レース考察までお疲れ様(・ω・)ノ

ビックアーサーには展開&馬場すべてのものが絶好でしたね(^^;;最初の600mで勝負ありのレースでしたね。自分は去年のスプリンターズSの2走前ぐらいからこの馬はと思い追っかけて来たのですがスプリンターズSは賞金が足りなく除外になりオパールSでもサトノルパンを捕らえきれずの2着で自分的にはこんなところで足踏みするような馬じゃないハズなのにと地団駄踏んでたのでG1が獲れて自分自身も少しは馬を見る目が出来たんだと嬉しい限りです(^^;;これも治郎丸さんのいろいろな情報や馬の見方やレースの考察や毎回レースごとに馬の調子や馬体の評価のおかげだと思っています。ほんとにいつもいつもほんとにありがとうございます(・ω・)ノ治郎丸さんも仕事や諸事が大変かと思いますがお身体ご自愛くださいね。

Posted by: ユビキタス | March 28, 2016 at 10:48 PM

ユビキタスさん

いつもありがとうございます。

ビッグアーサーは馬体が素晴らしいので、人気先行気味できましたが、ようやく素質が開花してきた感じですね。

それを見抜けたのは、ユビキタスさんの見る目があるからです。

ビッグアーサーにはこれからは王として君臨していってもらいたいと思います。

これからも楽しみながら競馬について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

Posted by: 治郎丸敬之 | March 29, 2016 at 09:45 AM

すごいタイムでしたね。
バクシンオーの血がまた残る可能性が増したことが嬉しかったです。
ぜひ最良の後継種牡馬になって欲しいと思います。

Posted by: りゅー | March 31, 2016 at 01:10 AM

りゅーさん

馬場が良かったですね。

それにしても、サクラバクシンオーはこれだけサンデーサイレンス系が全盛の時代に、素晴らしいスプリンターを出しましたね。

馬格を見ても、もしかすると最良の後継種牡馬はこの馬なのかもしれません。

Posted by: 治郎丸敬之 | March 31, 2016 at 10:35 PM

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