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新しい競馬の未来

Newworld

ラニがケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSというアメリカ3冠レースに出走し、9着、5着、3着と健闘した。スキーキャプテンがケンタッキーダービーに挑戦し、レースについて行くことさえできず、真っ白い馬体を泥んこで真っ黒にして戻ってきたシーンが思い浮かび、この20年間における日本競馬の確実な進歩を肌で感じ、じわじわと喜びがこみ上げてくる。ラニだけではない。エイシンヒカリもフランスのイスパーン賞を10馬身差で圧勝し、ロンジンワールドベストホースランキングで世界首位に立った。香港マイルとチャンピオンズマイルを勝ったモーリスもそうだ。

これらの3頭に共通しているのは、サンデーサイレンスの血が入っていることである。ラニは母の父に、エイシンヒカリは父の父に、モーリスは父の母の父に、サンデーサイレンスが鎮座している。これはサンデーサイレンスの血が日本の競馬を席巻したことの現れであり、かつサンデーサイレンスの血を引く馬たちが、その血脈をさらに発展させていることを意味している。世界に通用するする馬たちの体内に、サンデーサイレンスの血が確実に流れていることを偶然と見るか、必然と見るかは、人の解釈によって異なるだろう。私はこうしてサンデーサイレンスの血があらゆる血脈の末端まで及び、新しい血をさらに活性化し、異系の古びてしまっていた血を蘇らせていることに素直に驚いている。

サンデーサイレンスを中心とした血統だけではない。生産や馴致、調教、海外遠征の技術やノウハウが格段に進化している。社台グループが牽引し、その社台に打ち克たんと、日高の競馬関係者たちは走る馬を出そうと切磋琢磨し、社台を超えようと、ひと握りのオーナーブリーダーは独自の手法を貫いて名馬を誕生させている。それぞれの生産者やオーナー、騎手が自らの矜持を賭け、世界中の競馬場で真っ向勝負を繰り広げ、勝利を持ち帰ってきている。彼らの素晴らしいところは、ずっとやってきたことだ。来る日も来る日も、ほんの少しずつではあるが、確実に技術や知識を積み重ねてきた。その継続の結果として、ラニやエイシンヒカリ、モーリス、ドゥラメンテらがいる。

今年、2016年を起点として、日本の競馬におけるシンギュラリティ(技術的特異点)のようなものが起こるのではないかと私は考えている。昨年暮れあたりから、厚くて高くて重かった世界の扉に、ようやく手が掛かったように感じている。あとはこじ開けるだけ。野平祐二騎手とスピードシンボリに始まり、エルコンドルパサーやタイキシャトル、ディープインパクト、シーザリオ、オルフェ―ヴル、ヴィクトワールピサらの挑戦によって、幾度となくその扉は開いたり閉じたりを繰り返してきたが、いよいよ開き放たれるときがすぐそこまで来ている。凱旋門賞だけではなく、ケンタッキーダービーやブリーダーズカップもそう。その扉が完全に開いてしまったあと、何が起こるのか私たちはまだ知らない。世界はもっと近く、ひとつになった、新しい競馬の未来がやって来るのだ、とおぼろげながらも私は想像している。

Photo by 三浦晃一

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Comments

確かに今年が特異点なのかもしれませんね。
明日のエイシンヒカリも遠方から応援しようと思います。

Posted by: Masaki Yoshio | June 14, 2016 at 11:14 PM

治郎丸さん、今晩は。
ロイヤルアスコットのエイシンヒカリは本当に楽しみですね。
長い長い直線の上り坂、重くタフな馬場に真価が問われますが、是が非でも勝利をもぎ取って貰いたいものです。
ラニについても素質以上に調教訓治が大変だったと聞きます。
社台さんも今年の活躍馬から、最近の意図して行ってきた早期種付け(早生まれ)の効果がうかがえますし、日本の競馬が一つ上の段階に来たのかな、とも感じます。
気が早いですが凱旋門賞も期待せざるを得ない状況です。
 いつも素敵な記事有難うございます。これからも宜しくどうぞ。

Posted by: 愛知のポルンガ | June 15, 2016 at 12:38 AM

Masakiさん

こんばんは。

長い間競馬を観てきて、昨年末から今年にかけて、そのような感じがずっとしていました。

今日のエイシンヒカリも楽しみですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 16, 2016 at 12:12 AM

愛知のポルンガさん

こんばんは。

もうすぐエイシンヒカリが走りますね。

勝ち負けは時の運ですが、1番人気に推されていること自体がすごいことですね。

ラニのように、海外に連れていって真価を発揮するタイプの馬もいるはずですし、逆に内弁慶の馬もいるかもしれません。

社台だけではなく、ノースヒルズやエイシン牧場の馬たちのチャレンジも素晴らしいと思います。

それでも国境がなくなっていくでしょうし、それに伴い、馬券にも国境がなくなっていくといいのですが(笑)。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 16, 2016 at 12:16 AM

愛知のポルンガです。
世界の競馬は本当に奥が深いですね。あれがエイシンヒカリのレースだと思いますが、他の馬たちがガッチリと抑え微動だにしない中、比較上ロスが響いたということでしょうか。
あそこまで起伏があって重い馬場だとマイペースに見えても長い長い二千米だったのかな?とも思います。
しかしながら大きな差をつけられたわけではありませんし、ゴール後も止まろうとしてませんでした。
今は本当にお疲れさま。ナイスチャレンジでしたと労いたいですし、これに懲りずまたの挑戦を期待したいと思います。

Posted by: 愛知のポルンガ | June 16, 2016 at 02:14 AM

愛知のポルンガさん

こんにちは。

前走よりもやや力んでいましたが、比較的折り合って走れていたと思います。

それほど大きくバテているわけではありませんし、今回はマークされて早めに他馬も動いたことも苦しかったですね。

まあ何よりも重たい馬場でスタミナを問われるレースになり、エイシンヒカリのスピードが生きませんでした。

ヨーロッパでレースをする以上、こういった馬場でも対応できるように、さらにパワーとスタミナをつけていくしかありません。

ほんとうにナイスチャレンジでした。

Posted by: 治郎丸敬之 | June 16, 2016 at 03:07 PM

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