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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第11回)

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門別競馬場は日本で最も新しい競馬場である。かつては門別トレーニングセンターとして使われていた馬場を改修し、1997年に競馬場として誕生した。現在では、北海道にある唯一の平地の地方競馬場として、また馬産地日高地方にある競馬場として、その価値は年々高まってきている。特に、2012年に冬季も調教可能な坂路コースが新設されたことで、ホッカイドウ競馬所属馬たちのレベルアップが著しいという。今までは賞金の高い南関東に入厩していた馬たちが、調教施設が充実しているという理由でホッカイドウ競馬にてデビューを迎えることも増えるだろう。ホッカイドウ競馬に所属しながら、中央競馬やシンガポールでも活躍したコスモバルクに次ぐ馬が、これからまた現れるかもしれない。夢のある競馬場なのである。

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門別競馬場では、4月から11月までの期間限定でグランシャリオナイターの開催が行われている。とねっこゲートをくぐると、ちらほらとお店が立ち並び(夏はバイキングもできるらしい)、その先にパドックが見えた。地方競馬特有ののんびりとした空気が満ちており、心が落ち着く。馬券を買わなければという切迫感はなく、まあパドックで馬でも見てから考えようかとなる。パドックを歩く馬たちの姿を何気なく目で追っていると、なんだかいつもと違う。掲示板を見たとき、その違和感の正体が分かった。どの馬も馬体が小さいのだ。そう、このレースは「オータムライト級カップ」といって、馬体重が420kg以下の馬による2歳未勝利戦であった。それにしても、400kg前後の馬と私が普段見慣れている500kg前後の馬たちでは、違う動物ではないかと思えるほどの違いある。100kgの馬体重の差は大きいのである。

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次のレースのパドックには白毛のユキンコが登場した。夕陽とパドックの照明に浮かぶ真っ白な馬体は美しい。中央から門別競馬場に移籍して2戦目。前走は2着に好走しており、今回も人気になったが5着に敗れてしまった。どうしても目立つ馬だけに、人気先行は仕方ないとして、こういう馬が活躍すると、ひと目みたいと競馬場に駆け付ける人も増えるかもしれない。そんな想いに耽っていると、地平線に陽が落ちようとしていた。こんな色彩の空は他の競馬場では見たことがない。また、門別は霧が深いらしく、辺りを見回してみるとたしかに霧が立ちこめ始めている。あっと言う間に、門別競馬場の夜は更けてゆく。いつかこの競馬場で自分の所有馬を走らせてみたいという想いを胸に秘めて、競馬場をあとにした。

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その日は碧雲牧場に泊まらせていただくことになり、長谷川ファミリーと一緒に食事をした。食卓を囲みながら聞かせてもらった牧場を創業したときの話は、まるで冒険劇のようであった。1坪いくらの賃料で四苦八苦している私にとって、ヘクタールという単位には、人間としてのスケールの違いを感じた。その夜、長谷川敏さんに連れられて、夜の厩舎を訪れた。どの馬たちも寝静まっているのか、物音ひとつしない。10月だというのに、日高はもう冬のような冷え込みで、私はセーターを着てきて良かったと心底思った。とはいえ、「今日、雪虫がたくさん飛んでいたから、来週ぐらいには雪が降りそうだ」と聞かされたときには(北海道にはそういう言い伝えがあるらしい)、まだピンと来なかった。そこまでの寒さではなかったからだ。夜空を見上げると、星が手に届きそうなところにある。このような自然の中で生活するのも悪くない。東京に帰った翌週、北海道に初雪が降ったというニュースをたまたま見て、私はアッと驚いた。あの言い伝えは正しかったのだ。

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