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あれから

Thatday

あれから10年もの歳月が流れたのかと不思議に思う。ディープインパクトが凱旋門賞に出走し、誰もがその勝利を信じていたあの日。ひねくれ者の私は、ヨーロッパの馬場が合わないなんていう小賢しい理由を述べて、ディープインパクト一辺倒の報道に異を唱えたが、心の底では勝ってくれと願っていた。日本中の注目を集めたディープインパクトが凱旋門賞を勝つことで、日本における競馬がメジャースポーツとして認められるのではないか。野球やサッカーについて語るように、競馬を語ることができる社会になるのではないかという淡い期待を抱いていた。もちろんそんなことはないし、現実にディープインパクトが凱旋門賞を勝つこともなかった。

フランスから帰国したディープインパクトはジャパンカップを勝ち、有馬記念がラストランになった。最後の有馬記念は、当時住んでいた広島のウインズから駅に向かう地下道にあるオーロラビジョンで観た。普段は競馬など観ないであろう人達も皆、足を止めて、ディープインパクトの最後の走りを見守っていた。こんなにも多くの人たちが競馬に関心を示してくれていることが、まるで自分が認められたかのように嬉しかった。スタートが切られ、各馬がスタンド前を通過する時点で、不覚にも涙が出てきた。それは幸福の涙であり、また癒しの涙であった。言葉にならない感情たちが、涙となって溢れ出てきた。これで良かったのだと思えた。

今年の凱旋門賞には、ディープインパクトの仔であり、日本ダービー馬でもあるマカヒキが出走する。二エル賞を快勝し、中間の調整も順調で、ここまでは青写真通りに来ている。金子真人オーナーの勝負服や、ディープインパクトをひと回り大きくしたような馬体を誇ることもあり、今回のマカヒキの挑戦が10年越しのリベンジマッチに思えてならないのは私だけではないはず。ディープインパクトの関係者はどのような想いで、このディケイドを過ごしてきたのだろうか。

あのときに味わった屈辱と経験を金子オーナーは忘れていなかったようだ。凱旋門賞は古馬よりも3歳馬にとって有利な斤量設定になっていること。ぶっつけ本番ではなく、前哨戦を使うべきであること。ヨーロッパ競馬におけるコースや馬場、戦略を知り尽くしているジョッキーに手綱を委ねるべきこと。全幅の信頼と安全が確保されている厩舎に入れること。今回こそは、全てにおいて妥協を許していない。当たり前だと思われるかもしれないが、勝ちにきたのだ。金子オーナーのことだから、顔では笑っているだろうが、心の中では本気で勝ちに来ている。私たちは10年前の忘れ物を奪い返しに行くのだ。


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Comments

次郎丸さん
こんばんは。ディープインパクトの凱旋門賞から数年経った年の優駿のディープのページに武豊騎手の「あの時、世界で一番強いのはディープだった。」というコメントをいまでもよく覚えています。負けてもなお、そう言えるのは 負け惜しみとか、そんな部類のものではなくディープの背中を知る唯一の騎手としての率直の感想だったのかなと思います。マカヒキには是非とも勝って欲しいですが 海外遠征ですから とにかく無事に帰ってこれるのが一番です。今年はシャンティだから勝てたとか皮肉を言わせたいものですね。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | September 28, 2016 at 11:40 PM

治郎丸さん、こんばんは。

いよいよ、僕たちの心に一生刻まれるレースがやってきますね!
日曜日は23時05分に全てを捧げる構えです。馬券を手に応援したかったんですが、インターネット投票のみというのが残念でなりません。

余談ですが、広島に住んでいらっしゃったんですね!僕は広島ですが、駅前の川沿いのベンチで夜通し予想をしてウインズの開店を待っていたあの頃に治郎丸さんも広島にいただなんて、なんだか不思議です(笑)

Posted by: ヒロシレス | September 29, 2016 at 11:10 PM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

おはようございます。

負け惜しみではなく、ディープインパクト以上に速いサラブレッドはあのときいなかったと思います。

それでも勝てないのが凱旋門賞であり、そういった数々の失敗を積み重ねて今回に至りますね。

やれるべきことは全てやったと思える凱旋門賞になると思います。私たちも自信を持って応援しましょう。

Posted by: 治郎丸敬之 | September 30, 2016 at 08:28 AM

ヒロシレスさん

いよいよですね。

今年は歴史的な瞬間に立ち会える気がして、現地にいられないのが残念ですが、馬券を手に応援したいと思います。

ヒロシレスさんは広島なんですね。
10年ぐらい前に私も1年ぐらい住んでいて、とても住みやすい街だった思い出があります。
凱旋門賞の思い出と共に、深く刻まれていますよ。

Posted by: 治郎丸敬之 | September 30, 2016 at 08:31 AM

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