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面目躍如

Tennosyoaki2016wt
天皇賞秋2016―観戦記―
最内枠からエイシンヒカリが先頭に立ったものの、スピードに乗り切れず、前半1000mが60秒8という、昨年(60秒6)に続いてスローペースに流れた。道中はひと固まりの馬群となって進み、内で脚を溜められた馬、または前々のポジションを取った馬にとって有利になるはずが、結果的には、外を回った馬、後ろから末脚勝負に賭けた馬が上位を占めることになったという魔訶不思議なレースであった。ディープインパクト産駒が2、3、4着していることからは、一瞬の速い脚が問われる馬場と流れであったと考えられる。

勝ったモーリスは、ディープインパクト産駒を従えて、瞬発力勝負を堂々と制してみせた。前走で2000mを走っていたことで、行きたがる面も全くなく、きっちりと折り合っていた。最後の直線では外によれる素振りを見せたが、坂を駆け上がって手前を変えてからはもうひと伸びして、他馬を寄せ付けない強さを示しての完勝。そもそも2000mの距離には心配はなかった。ここ2戦の敗戦は、激戦を勝ち続けてきたことや海外遠征の疲労が抜けていなかったことによるものであり、決して力負けではない。ゴールドアクター同様に、一度崩れてから、再び立ち直ったように、スクリーンヒーロー産駒は筋肉が硬くなりにくいという長所がある。立て直された今回は力を出せる仕上がりで、陣営にとっては順当勝ちであろう。

ライアン・ムーア騎手はきっちりと仕事をこなした。今回のレースに限っては、ムーア騎手だから勝てたというよりも、誰が乗っても勝っていただろうが、そういう馬が回ってくるのが世界のトップジョッキーであることも証明である。考えうる限りのベストな手を尽くしたモーリス関係者たちの期待に、ソツのない騎乗で応えてみせた。派手なガッツポーズもなく、涼しい表情をして検量室に戻ってくる姿からは、彼にとっての天皇賞秋は世界の大きなレースのひとつであり、その勝利も数ある勲章の中のひとつにすぎないということなのだということが伝わってきた。

2着に入ったリアルスティールは最後の直線でぐいぐい伸びて、こちらも海外G1馬としての面目躍如であった。もともと鉄砲使いでも走るタイプだけに、毎日王冠を回避して、ここ1本に絞ったことも功を奏したのだろう。安田記念はマイル戦が向かなかったということもあるが、それ以上にドバイ遠征の疲労が抜けていなかった。体調が整ってさえいれば、どのような距離でも脚を使える馬である。レース後のケアをしっかりと行えれば、もちろん次走は(たとえマイルCSでも)さらにこの馬の力を出せるチャンスである。

ステファノスは前走の悔しさを生かし、今回は直線では外に出そうと決めていたのだろう。外枠を引いてしまったことで後ろから行かざるを得ず、外を回るロスもあったが、この馬の持てる力を出し切ったことは確かである。もう少し器用なレースができるようになれば、G1の勲章にも手が届く能力を秘めている馬であり、この先は末脚一辺倒の競馬から、どのようにして脱却するかがポイントになる。

エイシンヒカリは力を出し切れずに終わったというよりも、この馬らしいスピードを発揮することができる体調になかった。武豊騎手としては、この馬の良さを引き出すためには速いラップを刻んで逃げたかったはずだが、馬自身が行けなかった。海外遠征の疲労は特に関係者の目にも見えないことが多いのだ。ルージュバックは末脚が不発に終わった。このようなタイプの牝馬は、馬群から離す(他馬との間に十分なスペースを取る)ことで、一瞬の切れ味を引き出すことができるが、今回は終始馬群に包まれてしまい、気を遣ってしまった分、脚も失ってしまった。精神と末脚はつながっているのである。

Tennosyoaki201602

Photo by 三浦晃一

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トップジョッキーは強い馬を選び間違えない

Cover

この連載を書かせていただくにあたって、予想をするのが早くなった。速くなったのではなく、早くなった。天皇賞・秋の馬券のヒントを書いている今、私はまだ菊花賞の結果さえも知らない。レースが行われる前々週に編集部から提供される、出走登録馬の馬柱にある情報(馬名や騎手等)だけを頼りに予想を開始する。中には登録だけして出走してこない馬もいれば、抽選によって落ちてしまう馬も出てくるため、まずはどの馬が出走してくるのか(もしくは出走できる確率が高いのか)を予測するところから予想は始まる。最終追い切りの動きや馬体の仕上がり、枠順や当日の馬場状態などもちろん知るよしもない。

予想が当たらないことの言い訳をしたいのではない。投票締め切りのベルが鳴る寸前まで悩み続ける私が、翌々週のレースの予想を提出するのだから、そこにはいつもとは違った視点が要求されるのである。連載を開始してからのこの1年半、情報と時間の制約の中で予想をするうちに、たったひとつだけ発見した傾向がある。それはある特定のジョッキーに、2週間前の段階ですでに手綱を委ねることが確定している場合、または乗り替わりが決定している場合には、かなりの確率でその人馬が好走するということだ。そのことに気づいたおかげで、私は少しばかり先の未来を見ることができるようになった。

ある特定のジョッキーとは、

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2000mがベストのアンビシャス:5つ☆

モーリス →馬体を見る
2着続きとなったここ2戦に比べると、馬体がふっくらとして活力が蘇ってきた。
とはいえ、連勝をしていた頃とは筋肉のメリハリという点でやや劣るのは否めない。
Pad4star

ルージュバック →馬体を見る
古馬になって、馬体が全体的にふっくらとして、力強さが増してきた。
ひ腹のやや巻き上がった感じは牝馬らしいが、それ以外の部分は実にパワフル。
Pad4star

エイシンヒカリ →馬体を見る
これと言って強調材料はない馬体であるが、コンパクトにまとまっていて良し。
どちらかというと前躯が勝っていて、馬体からも先行してパワーで押し切るタイプ。
Pad3star

ロゴタイプ →馬体を見る
相変わらずの素晴らしい馬体であり、とても6歳馬とは思えない筋肉量を誇る。
ピカピカに毛艶も冴えていて、目の表情からもひと叩きして、万全に仕上がった。
Pad45star

サトノクラウン →馬体を見る
3歳の皐月賞あたりが最も良く映ったように、古馬になってからの成長に欠ける。
そうは言っても馬体全体のシルエットは美しく、これといった欠点はない。
Pad3star

ラブリーデイ →馬体を見る
重戦車のような力強さに溢れた馬体で、ほんとうはパワー勝負で本領を発揮するタイプ。
全身が筋肉で覆われており、馬体だけで言うと、昨年の勝利時よりも上かもしれない。
Pad4star

サトノノブレス →馬体を見る
腹回りに余裕があるが、最終追い切りでひと叩きされれば万全の体調に仕上がる。
気性的に激しいところがあるのだろうから、一瞬の脚をどこで生かせるかどうか。
Pad3star

アドマイヤデウス →馬体を見る
前駆が勝っていて、この馬体で長距離まで走ってしまうのだから不思議。
気性的に素直なのだろうか、馬体的には距離が短縮されて力を発揮できるはず。
Pad3star

ステファノス →馬体を見る
手脚はスラリと長いが、前駆が極端に力強く、母系の影響が出ているのでは。
もうひと絞りできそうだが、前走をひと叩きされて、中身が伴ってくれば面白い。
Pad4star

リアルスティール →馬体を見る
前走の毎日王冠を回避して、ぶっつけで本番となったが、仕上がりは悪くない。
むしろ間隔を取って正解だろうし、その分、馬体がふっくらとして回復してきた。
Pad3star

アンビシャス →馬体を見る
父系の血の影響が出ている馬体で、付くべきところに筋肉がついて素晴らしい仕上がり。
表情も凛々しく、胴部が詰まっているため距離は2000mが現状ではベストだろう。
Pad5star

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東京芝2000m

Tokyo2000t1

改修前の東京2000mのコースは、スタート地点から最初のコーナーまでの距離が極端に短く、急激に左に曲がることから、外枠に入った先行馬は非常に不利であった。コーナーを回りながらのポジション取りになるため、先へ行こうと思うと遠心力で外へ外へと振られてしまい、1番と10番に入った馬とでは約1秒のタイム差があると言われていたぐらいである。

しかし、平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬がスムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。このことにより、各馬(騎手)が力を出し切れるコースへと一変した。さらにゲートを外目に置くようになったため、外枠の馬も最初のコーナーへゆったりとロスなく入れるようになり、内外の有利不利はほとんどないと考えてよい。そうはいっても、10番手以内のポジションを確保するためには、やはり内の方が乗りやすいのは確かである。

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天皇賞秋を当てるために知っておくべき3つのこと

Akiten

■1■前から10番手に付けられる馬
平成14年の改修によって、東京競馬場の2000mコースは生まれ変わった。スタートから最初のコーナーまでの距離が23m延長されたことにより、スタートしてから各馬が比較的スムーズに最初のコーナーに入って行けるようになったのだ。さらにゲートを外目に置くようになったため、最初のコーナーに各馬が殺到して、馬群が詰まってしまうということが緩和された。

最初のコーナーへの先行争いが緩和されたことにより、ハイペースが常であった天皇賞秋が平均ペースになりやすくなった。サンデーサイレンス産駒のワンツーフィニッシュ(平成16年、17年においてはサンデーサイレンス産駒のワンツースリー)が目立つように、「瞬発力」が求められるレースに様変わりしたということである。牝馬の活躍が目立つようになったのもここに理由がある。

馬場がまだ軽さを保っている時期ということも含め、前に行ける馬でないと、もう少し具体的に言うと前から10番手に付けられなければ、勝つことは難しい。

■2■穴は夏競馬を使ってきた馬から
かつては天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念が古馬の王道であったが、最近は3戦全てに全力投球する馬は珍しくなった。ひとつのG1レースを勝つことによる消耗が激しくなったことに加え、良い意味でも悪い意味でも各路線が分業化されたことにより、それぞれの有力馬がどこかのレースに照準を絞るようになった。

そのため、実績馬であっても天皇賞秋にはビッシリ仕上げてこない馬もいるため、ここがピークになるように夏競馬を使われてきた伏兵馬が台頭することもありうる。たとえば、2005年を制したヘヴンリーロマンスなどはその典型で、2006年のスウィフトカレント、そして2007年のアグネスアーク、2011年のトーセンジョーダンなどが激走して穴を開けた。特に札幌記念はG1の登竜門でもあり、ここを好走してきた馬には注目しておきたい。

■3■宝塚記念とは直結しない
同じ中距離で行われる春と秋のG1レースである宝塚記念と天皇賞秋であるが、意外なことに勝ち馬が直結しない。過去20年でこの2つのレースを連勝した馬はテイエムオペラオーとラブリーデイのみである。その理由としては、以下の2つが考えられる。

ひとつは2つのレースで勝ち馬に求められる資質が違うということ。6月の阪神競馬場で行われる宝塚記念は、ほぼ洋芝100%に近い力の要るオーバーシード芝で行われるため、勝利を手にするには何よりもパワーが求められる。それに対し、10月の東京競馬場で行われる天皇賞秋は、ほぼ野芝100%に近い極めて軽い馬場で行われるため、勝ち馬には何よりも軽いスピードが要求される。全く反対のベクトルを持つ資質が問われるだけに、宝塚記念と天皇賞秋を2つとも勝つのは至難の業である。

ふたつ目は、宝塚記念と天皇賞秋との間がわずか4ヶ月しかないということ。シーズンオフに近い宝塚記念を勝つということは、一滴も残らず春シーズンの力を使い果たしてしまったということを意味する。そこからわずか4ヶ月の間で、疲労を回復して、秋のG1シリーズ初戦である天皇賞秋に万全の体調で臨むことはなかなか難しい。見た目は出来ていても、目に見えない疲れが残っていたり、精神的な消耗が回復していなかったりすることは案外多い。

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しっかりとがっかり


菊花賞2016―観戦記―
ミライヘノツバサが先頭に立ち、そこにラビットを務めさせろと言わんばかりにサトノエトワールが絡み、前半の1000mは59秒9という淀みのない流れ。ところが、中盤になり13秒6、13秒2と急激にペースが緩み、後半の1000mが58秒9という上がりの速い勝負になった。この典型的な速遅速という流れからレース全体の時計まで、1998年にセイウンスカイが逃げ切ったときと酷似している。

13.3 - 11.5 - 11.7 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 13.1 - 13.5 - 12.7 - 12.9 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.0

13.0 - 11.3 - 11.0 - 12.4 - 12.2 - 12.7 - 13.6 - 13.2 - 12.3 - 12.7 - 12.2 - 12.0 - 11.6 - 11.5 - 11.6

上が1998年で下が今年の菊花賞である。前者は59.6-64.3-59.3で勝ちタイムは3.03.2、後者は59.9-64.5-58.9で勝ちタイムが3.03.3。まさに横山典弘騎手がセイウンスカイに乗って編み出した、京都3000mを逃げ切るための速遅速の流れである。つまり、道中が極端に緩んだことで、逃げ・先行馬はひと息入れることができ、有利になったということである。

勝ったサトノダイヤモンドは、先行有利の流れなど我関せず、好スタートから中団をピクリとも動かずに追走し、最終コーナーでは持ったままで先頭に立ち、そのまま押し切った。パワーで勝負する馬だけに、3000mの距離には一抹の不安があったが、これだけ折り合いがつけば全く問題なし。道中でエキサイトしない精神面における強さは、もしかすると海外に遠征するときには大きな武器になるかもしれないと思わせられた。馬体的には、春当時に見られた胴部と手脚の長さのアンバランス(重心の低さ)が解消し、馬体も枯れ、ひと夏越して完成期に至った。

クリストフ・ルメール騎手はそつなくサトノダイヤモンドを勝利に導いた。春シーズンからこの馬を選択し、皐月賞、日本ダービーと悔しい思いをしただけに、クラシック3冠目における勝利は格別だろう。今回の勝利は馬の強さをそのまま引き出しただけとも言えるが、ひとつだけ鍵となったのは、1周目のスタンド前で馬群の外に出せたことである。過去にフランスの大先輩であるオリビエ・ペリエ騎手が内枠から内ラチ沿いを走り、前が詰まって敗れてしまったゼンノロブロイの菊花賞における苦い思いを彼は忘れてはいなかった。どこで外に出すのかと見ていたが、スタンド前で外にしっかりと出せた時点で、ルメール騎手は勝利を確信したのではないか。

この流れの中を後方から差して2着したレインボーラインの強さは光った。さすが札幌記念で古馬モーリスに迫っただけのことはある。馬体的にはまだ鍛えて研ぎ澄ませる余地が多くあるが、夏を順調に越して、気持ちが走ることに前向きになってきたことが好結果につながっている。福永祐一騎手も、先週の秋華賞に続き、騎乗馬の力を素直に引き出せている。勝ち馬は一枚抜けていたが、2着、3着争いは騎手の乗り方次第で決まった。

エアスピネルは馬の力を信じて、先行したことが功を奏した。神戸新聞杯は折り合いを気にしたのか、消極的な敗北に映ったが、今回はその反省を生かしつつ、この馬の肉体的な強さを前面に押し出して3着に粘り込んだ。今回も後ろからソロッと回ってきたとしたら、おそらく掲示板に載るのがやっとであっただろう。ごまかしの利かない長距離戦で、完成度と実力をいかんなく見せつけた。

2番人気に推された皐月賞馬ディーマジェスティは、サトノダイヤモンドをマークして進み、最終コーナーまではイメージ通りの競馬であったはずだが、最後の直線に向いたときの手応えが勝ち馬とはあまりに違いすぎた。+6kgとやや馬体が重かった(余裕が残っていた)、上がりの速い競馬になってしまった、初の長距離輸送がこたえた(熱が上がりやすい)、など様々な敗因が考えられるが、いずれにしても凱旋門賞を目指す馬としては相応しくない。関係者や陣営が最もそう感じているはずだが、今回の敗戦には正直に言ってがっかりした。

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菊花賞を勝つためのポジション=外から捲り切る馬を狙え

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この連載でも何度か述べてきたように、競馬のレースには勝つためのポジションがある。競馬は強い馬が勝つわけではなく、勝った馬が強いわけでもなく、勝つためのポジションを走った馬が勝つのだ。なぜ勝つためのポジションを走った馬が勝つのかというと、コースの構造上の理由もあれば、馬場の状態やそのレースにおけるペースや問われる資質の違いによることもある。またそれらの要素が複合的に組み合わさり、勝つためのポジションが決まることもある。そのポジションをめがけて各馬が殺到するため、枠順や脚質が合わなければ、そもそも勝つためのポジションを走るチャンスすらないという馬もいる。

勝つためのポジションを見極めるためには様々な方法があるが、最も簡単なそれは、過去のレースにおける勝ち馬の走ったポジションを見るということだ。たとえば、今週行われる菊花賞の過去10年間のレースにおいて、勝ち馬が走ったポジションをつぶさに観察してみると次のようになる。

2006年 ソングオブウインド
スタートで立ち遅れ、道中はほぼ最後方を進み、ラスト800mぐらいの地点から徐々に外をまくって追い上げ、最終コーナーでは先行集団を射程圏内に入れて、直線で差し切った。
→パターンA

2007年 アサクサキングス
道中は行きたがる数頭の馬たちを前に置き、自身は2番手集団の先頭に立ち、外目を回しながら追走、ラスト800m地点から動き、直線に向くときにはほぼ先頭に立って抜け出した。
→パターンB

2009年 スリーロールス
馬群に包まれながらも内ラチ沿いを追走し、道中は折り合いがつき、最後の直線では内から抜け出し、後方から差してきた馬を凌ぎ切った。
→パターンC

誌面の関係もあり、全てのレースを記載することはできないため、大まかにパターン分けをしてみると次のようになる。

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甲乙つけがたいがサトノダイヤモンド:5つ☆

サトノダイヤモンド →馬体を見る
春シーズンは胴部が長くて、その分、手脚が短く感じさせ、重心が低く映った。
夏を越して、全体のバランスが良くなり、この仕上がりなら3000mは問題なし。
Pad5star

レインボーライン →馬体を見る
ややふっくらとして長距離戦には不安が残るが、この馬の場合、キリキリするよりまし。
顔つきからも順調に夏を越して、気性面で安定していることが伝わってくる。
Pad4star_2

ジュンヴァルカン →馬体を見る
毛艶は冴えているが、やや余裕残しに映るように、もうひと絞りほしいところ。
ネオユニヴァース産駒らしく、手脚が長く、体型的には長距離には合いそう。
Pad4star_2

ミッキーロケット →馬体を見る
このメンバーに入ると、馬体的には幼く映るが、潜在能力が高いのだろう。
前駆の力強さに比べて、トモの肉付きが物足りず、最後のひと伸びに欠けるかも。
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カフジプリンス →馬体を見る
ハーツクライ産駒らしく、胴部が長くて、手脚が短く、重心が低く映る体型。
跳びが大きいはずで、瞬発力ではなく良い脚を長く使って勝負するタイプ。
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シュペルミエール →馬体を見る
腹回りに余裕があり、胴部が詰まって見える体型で、やや幼さを感じさせる。
決して距離が延びて良いというタイプではなく、2000mぐらいがベストか。
Pad4star_2

レッドエルディスト →馬体を見る
実に堂々とした立ち姿で、背の高さや手脚の長さはゼンノロブロイ産駒の典型。
血統的にもそうだが、明らかに距離が延びてこそのタイプで、最大の惑星になるか。
Pad4star

エアスピネル →馬体を見る
いつ見ても惚れ惚れするような、筋骨隆々の馬体で、しかも隙がない仕上がり。
とはいえ、今回は距離が長く、仕上がりと完成度の高さでどこまで食い込めるか。
Pad4star

プロディガルサン →馬体を見る
前回の休み明けはとても良く見えたが、今回は馬体のメリハリという点で劣る。
逆に、ひと叩きされて、馬体が枯れてきたと考えれば、今回は極限の仕上がりか。
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ディーマジェスティ →馬体を見る
典型的なステイヤーの体型ではないが、腹袋がしっかりとしてスタミナは豊富そう。
ひと叩きされて、筋肉のメリハリも十分で、クラシック3冠目に向けて順調な仕上がり。
Pad45star

ウムブルフ →馬体を見る
ディープインパクト産駒の中でも、手脚がスラリと長く、典型的なステイヤー体型。
筋肉のメリハリという点では物足りなさがあり、馬体の完成度では劣ってしまう。
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マウントロブソン →馬体を見る
春シーズンよりも馬体が大人びてきたが、それでもこのメンバーに入ると幼い。
馬体はふっくらとして、リフレッシュされており、精神的にも落ち着いている。
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京都芝3000m

Kyoto3000t1

京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。

その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。

3コーナーからの勝負所でバテて下がってくる馬がいるため、内を進んだ馬が不利をこうむることがあることにも注意。道中は馬群が縦長になって進むことが多いため、基本的には内枠・外枠発走の差はほとんどないと考えてよい。

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菊花賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Kikka

■1■再びスタミナの裏づけが必要に
京都競馬場3000mで行われる菊花賞は、前半折り合いをつけながらゆっくりと行き、残り4ハロンからの瞬発力勝負になるレースがほとんどであった。つまり、折り合いさえついてしまえば、瞬発力のある中距離馬でも十分に対応できるレースであった。しかし、ここ最近は、その傾向に少しずつ変化が生じてきている。

過去19年間の菊花賞における、上がり3ハロンのタイムを比較してみたい。

平成8年  34秒4
平成9年  34秒4
平成10年 35秒1
平成11年 34秒2
平成12年 36秒1
平成13年 35秒3
平成14年 35秒4
平成15年 35秒8
平成16年 35秒8
平成17年 35秒7
平成18年 35秒6
平成19年 36秒2
平成20年 35秒3
平成21年 35秒8
平成22年 35秒6
平成23年 35秒1
平成24年 36秒1
平成25年 36秒1
平成26年 34秒9
平成27年 35秒4

平成11年までの上がりタイムを見ると、とても3000mのレースとは思えない典型的なヨーイドンの競馬であることが分かる。菊花賞を3000mで行う意義が問われ始めたのが、ちょうどこの頃。しかし、時代の流れとは不思議なもので、平成12年に開催が2週間早まったのを境として、最近は35秒台後半の上がりで決着することが常になってきている。

理由としては、道中のペースがそれほど緩まなくなってきているということ以上に、各馬の仕掛けが早くなってきていることが挙げられる。瞬発力勝負では劣るが、スタミナには自信のある遅咲きの馬たちが、春の実績馬を負かすために、一斉に仕掛け出すタイミングが早くなってきているということである。

このことによって、スタミナに不安のある馬たちの台頭は難しくなった。もちろん、この時期の京都競馬場の高速馬場や直線が平坦であることを考えると、ある程度の速い脚は要求されるだろう。しかし、実質3000mを走る上に、ペースが上がるタイミングが早くなってきている以上、スタミナの裏づけがない馬の末脚は不発に終わる可能性が高い。

■2■神戸新聞杯で切れ負けした馬
開催が2週間早まり、スタミナの裏づけが要求されるようになってからの過去10年間で、3着以内に入った馬30頭のうち20頭は神戸新聞杯組である。最大のステップレースであり、勝ち馬も8頭出ているが、なぜか神戸新聞杯→菊花賞と連勝した馬はディープインパクトとオルフェーヴル、ゴールドシップ、エピファネイアという最強クラスのみ。

これは神戸新聞杯が中距離での資質を問われるのに対し、菊花賞が長距離でのそれを問われたからである。つまり、神戸新聞杯で中距離に対する適性を見せて快勝したような馬は菊花賞で苦戦を強いられるということになる。むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を菊花賞では狙うべきである。

たとえ神戸新聞杯の距離が400m延長されても、その傾向は変わらないだろう。神戸新聞杯は前半1000mと後半1000mの間の400mが緩むレースになり、最後の瞬発力が問われるレースになる。だからこそ、スピードを持続させるスタミナが問われる菊花賞では、むしろ神戸新聞杯でスピード、切れ負けしたような馬を狙うべきである。

■3■内枠はリスクあり
京都競馬場の3000mを完走するには、3コーナーの丘を2度越えなければならない。3~4コーナーの中間点にかけて急激な丘の下り坂になっているため、スピードが乗りやすく、馬が行く気になってしまわないようにゆっくりと坂を下るのが、このコースの最初のポイントとなる。その後、スタンド前を走ることになるため、ここでも馬がエキサイトして引っ掛かってしまうことがある。馬の行く気を削ぎ、スタンドの大歓声から馬を守るためには、他馬を前か横に置くことができれば理想的である。そういった意味では、内枠が有利ではある。

しかし、内を進む馬には大きなリスクもある。まだ競走馬として完成していない3歳馬同士のレースであることや、クラシック最後の一戦であることも手伝って、3000mの距離を最後まで完走できない馬が出てくる。その勝負にならなかった馬たちが、急激にペースが上がる2度目の坂越えの時点でバテて下がってくるのである。ズルズルと下がってくる馬たちを上手く捌ければ問題ないのだが、もし上がって行かなければならないタイミングで前が壁になってしまうような事態に陥れば致命傷となるのだ。

過去にもゼンノロブロイやロックドゥカンブといった人気馬たちが、バテて下がってくる馬を捌き切れずに、スパートのタイミングを逸して負けてしまったことは記憶に新しい。ペリエ騎手は菊花賞であれほどバテた馬が下がってくることを知らず、あの位置にいたことを相当に悔いたらしい。柴山騎手はスタートで出負けして後方のインに閉じ込められ、簡単にG1レースを勝たせてはもらえないことを実感したはずである。つまり、ジョッキーとしては2周目の3コーナー手前までには外に出しておきたいレースなのである。

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お見事!


秋華賞2016―観戦記―
チューリップ賞に続き、クロコスミアが敢然と逃げを打った。馬群が縦に長く伸びていたので、ある程度の淀みのない流れかと思いきや、前半1000mが59秒9、後半が58秒7というスローペース。小回りで外を回されることを嫌い、馬群がそれほど固まらなかったということだろう。馬群は先行集団と後方集団の2つに分かれて、後者にいた馬たちは届きにくく、前者にいた馬たちに有利なレースとなった。後方集団の先頭にいたヴィブロスはそれを差し切ったのだから、瞬発力の高さという点においては、このメンバーでは抜けていた。

勝ったヴィブロスは、春シーズン後にひと息入れたことで立て直され、大きく成長を遂げていたことは確か。それでも、前走の紫苑Sであれだけの大きなアクシデントに見舞われた場合、馬が恐怖心を抱いてしまい、レースに集中できなくなってしまうことも多い。今回のレースはそういった意味でもヴィブロスにとっては試金石であり、G1級の能力があることだけではなく、競走馬としての精神力の強さを(姉ヴィルシーナ同様に)持っていることを証明してみせた。410kg台しかないヴィブロスを細心の注意を払って仕上げた、友道調教師の手腕にも驚嘆する。

福永祐一騎手は、スタートからゴールまで一糸乱れぬ手綱さばきで、ヴィブロスを勝利へと導いた。スプリンターズSでは悔しい思いをしたはずであり、その鬱憤を晴らすかのような完璧な騎乗であった。好スタートを切ったことで、後方集団の先頭のポジションを走れたことが何よりも大きい。馬群の中でプレッシャーを受けることもなく、前の馬との距離があるため自分のリズムで走りやすいポケット(空間)にはまったことが、ヴィブロスの馬体の小ささというウィークポイントを隠す役割を果たした。最小限に馬を引っ張り、最大限に馬の力を引き出す福永騎手の技術が見事に発揮された。佐々木オーナーも福永騎手を信じて手綱を託してのG1勝利だけに、喜びはひとしおだろう。

パールコードは先行力を生かし、勝利まであと一歩のところまで迫ったが、勝ち馬の切れ味に屈してしまった。長距離輸送がない関西での競馬もプラスに働いた。ゴール前はさすがにバテたのか左右によれて走っており、真っ直ぐに走ることができていれば、もっと際どい勝負になっていたはず。ヴィクトワールピサ産駒は(4着に入ったジュエラーもそう)馬体が大きく出て、パワーに秀でた馬が多い。500kg台の恵まれた馬格から繰り出されるスピードとパワーは、牝馬限定のレースにおいては大きな武器となる。

カイザーバルは、先行して3着に粘り込んだ。さすがダンスインザムードを母に持ち、おばにダンスパートナーがいる良血馬だけに、使われつつ着実に力をつけてきた。決して大物ではないが、このまま無事に行けば、重賞の1つか2つは勝てる馬になるだろう。ジュエラーは前走の大敗から巻き返して4着に入り、桜花賞馬の意地を見せた。道中の行きっぷりやラストの反応を見ても、まだ完全復活とはいいがたい。1番人気で10着に大敗したビッシュは、全く脚を使えずに(反応せずに)終わってしまった。たしかに道中のポジションが良くはなかったが、それ以前の問題であり、休み明けの前走を快勝した2走ボケなのかそれとも長距離輸送が思いの外こたえたのか、走れる体調になかったということだ。私は後者と見ている。いずれにせよ、この時期の牝馬は本当に体調の変化が激しく難しく、今回の大敗でビッシュを決して見限ってはならない。

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簡単には負けない脚の速い馬は最終コーナーで探せ

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競馬のレースにおいて、最もスピードが出る場所は最終コーナーである。競馬ファンの多くは、競走馬は最後の直線に向いてから全力疾走をすると思いがちだが、実はそうではない。最後の直線では、各馬はスタミナが尽き、脚が残っていないために、我慢比べになっている。また、他馬を大きく離して勝つような馬は、最後の直線では手綱を緩められ、スピードを落として走っている。競走馬がトップスピードに乗るのは、余力が残っていて、ここからレースが動き始めるというその瞬間である。もちろんコース形態によっても異なるが、最終コーナーこそが、最もスピードが出る勝負所であることが多いのだ。

特に、中山競馬場のコースは、最後の直線距離が短いということもあり、最終コーナー手前から各馬が激しく動き始める。逃げた馬は最後の力を振り絞り、先行馬は虎視眈々と勝機をうかがい、差し馬は猛然と差を詰め、どの馬もトップスピードに乗って、迫力満点の攻防が演じられるのである。

私がこれまでに観てきた中で、最も速いスピードで最終コーナーを回ってきたのは、ラストランとなった有馬記念におけるディープインパクトであった。道中はいつも通り後方からレースを進め、最終コーナー手前から動き出したディープインパクトが、大外を回りながら全馬を一気に飲み込んでしまったあの最終コーナーのスピードは圧巻であった。カメラがついていけないほどの速さ。武豊騎手はディープインパクトのことを「脚の速い馬」と評したが、これほどにも速い脚を使える馬は世界中のどこを探してもいないだろう。そう思わせるほどの躍動感であった。あの最終コーナーにおける世界最速の脚は、今でも私の脳裏に焼き付いている。

何が凄いのかというと、

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パワフルな馬体のパールコード:5つ☆

ジュエラー →馬体を見る
牝馬としては大柄で、実に力強く、各パーツに長さがあるシルエット。
ただ、やや毛艶がくすんできており、馬体に寂しさを感じさせる。
Pad3star

パールコード →馬体を見る
ひと叩きされて、ふっくらとしつつも、馬体の仕上がりはさらに良くなった。
筋肉の柔らかみもあり、パワフルな馬体には非の打ちどころがない。
Pad5star

クロコスミア →馬体を見る
いかにもステイゴールド産駒の牝馬らしい、線の細さを感じさせる馬体。
それでも、きっちりと仕上がって、この馬の力を出し切れる体調にある。
Pad3star

エンジェルフェイス →馬体を見る
前後躯にしっかりと筋肉がついてきたが、腹回りにはまだ余裕がある。
胴部が詰まって映るように、現時点ではスタミナにやや不安が残る。
Pad3star

ヴィブロス →馬体を見る
小柄なディープインパクト牝馬といった、とにかく線の細さが目に付く馬体。
将来性はともかくとして、現時点では(特に)トモの実の入りが物足りない。
Pad3star

デンコウアンジュ →馬体を見る
いかにも父メイショウサムソンの血を受け継いだ馬体といったパワフルさ。
もうひと絞りほしいところだが、先行してパワー勝負に持ち込めれば。
Pad3star

カイザーバル →馬体を見る
立ち姿に力感が乏しいように、現時点での完成度はそれほど高くない。
それでも毛艶は素晴らしく、皮膚の薄さがあり、仕上がり自体は問題なし。
Pad3star

ミエノサクシード →馬体を見る
つくべきところに筋肉がついて、この時期の牝馬としては実に力強い。
特に前駆の盛り上がりは素晴らしく、気性の難しさが出なければ楽しみ。
Pad3star

ビッシュ →馬体を見る
立ち姿に力強さはないが、付くべきところに筋肉がつき、まとまってきた。
馬体からは迫力を感じさせることはなく、よほど走りのバランスが良いのだろう。
Pad4star

フロンテアクイーン →馬体を見る
こちらは父メイショウサムソンではなく、母父サンデーが色濃く出た馬体。
馬体全体のシルエットは美しく、筋肉のメリハリもあって完璧に仕上がった。
Pad45star

ダイワドレッサー →馬体を見る
トモが少し落ちて映るように、まだ馬体全体に実が入っておらず力感に乏しい。
表情からは闘争心が感じられないが、しかしその反面、騎手の指示が伝わりやすそう。
Pad3star

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京都芝2000m(内回り)

Kyoto2000t

スタンド前の直線の半ばからスタートして、1コーナーまでの距離が最長のAコースでも308.7mとなる。スタートしてから1コーナー、そして1コーナーから2コーナーまでの距離が短いことによって、フルゲートにもなると先行ポジション争いは自然と激しくなる。

しかし、京都2000m内回りコースは「先行ポジション争い激化」という定説がすでに浸透してしまっている今、それゆえの盲点もまたある。つまり、これだけ「先行争い激化」のイメージが先行してしまうと、もちろんジョッキーたちもそれを意識するわけで、1コーナーまでのポジション争いには巻き込まれたくないという意識(または無意識)が働く。その結果、1コーナーから2コーナーにかけて、ゆっくりと安全に回ろうという騎手の総意が“お見合い”を生み、かえってスローペースを形成してしまうこともあるということだ。

また、3コーナーから下りが続くこと、直線が平坦なことによって、ラスト800mの時計は驚くほど速く、前に行っている馬は簡単には止まらない。そして、直線が短いことを含めて、騎手に先行馬有利という意識が強く働くため、3コーナーからすでに各馬の動きが激しくなり、展開を大きく左右することになる。後続の仕掛けどころが遅れると前がそのまま残り、後続が早く仕掛けすぎると前崩れが起きるという現象が起こる。

このように、「1コーナーまでの先行争い」、そして「3コーナーからの仕掛けどころ」という2点において、レース自体の展開におけるアップダウン(緩急)が非常に激しくなってしまうのだ。そして、そのアップダウンが逃げ馬・先行馬に有利になるのか、それとも差し・追い込み馬にとって有利になるのかは、実際のところ走ってみないと分からない。各馬のほんのわずかな動きがペースを大きく左右する、極めて敏感なコースなのである。これが京都2000m内回りコースの真実だろう。

さらに、勝負所である3コーナー入口と4コーナーが狭くなっているため、馬が密集しやすいという特徴もある。この地点でゴチャついて不利を被ってしまった馬は、直線の短さを考えると、余程力が抜けていない限り挽回することは難しい。

だからこそ、強い馬が力を発揮することなくレースが終わってしまうような展開になることも少なくない。騎手の間では、「1番人気の馬に乗っては臨みたくないコース」とされている。レースに行ってからの各馬の出方が展開に大きな影響を与えるため、レース前にどのような展開になるのかも予測しづらいのだ。そのレースごとに極端なハイペースになったり、極端なスローペースになったりするのである。騎乗するジョッキーだけではなく、予想をする私たちにとっても、非常に難解なコースと言える。

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秋華賞を当てるために知っておくべき3つのこと

Syuka

■1■ジョッキーの腕が大きく結果を左右する
京都の芝2000m(内回り)に変更された年以降、過去15年間の前半5Fと後半5Fのラップを比較してみたい。前傾ペースとは前半のラップの方が速く、後傾ペースとは後半のラップの方が速いレースのことを示す。
平成13年 58.4-60.1 →前傾ペース
平成14年 59.0-59.1 →平均ペース
平成15年 59.8-59.3 →平均ペース
平成16年 59.9-58.5 →後傾ペース
平成17年 60.1-59.1 →後傾ペース
平成18年 58.4-59.8 →前傾ペース
平成19年 59.2-59.9 →平均ペース
平成20年 58.6-59.8 →前傾ペース
平成21年 58.0-60.2 →前傾ペース
平成22年 58.5-59.9 →前傾ペース
平成23年 58.3-59.9 →前傾ペース
平成24年 62.2-58.2→後傾ペース
平成25年 58.9-59.7→前傾ペース
平成26年 58.0-59..0→前傾ペース
平成27年 57.4-59.5→前傾ペース

ここ数年は前傾ペースに流れているが、平成24年は一転して後傾ペース。それ以前はランダムなペースになっていることが分かる。開幕2週目の絶好の馬場と短い直線を考慮に入れると、基本的には先行馬にとっては非常に有利に働くコースである。しかし、逆にそのことを意識しすぎると、各馬の仕掛けが早くなり、極端なハイペースが創出されることになる。

また、道中のペースの緩急も激しく移り変わる。たとえば2007年の秋華賞では、道中(6ハロン目)でなんと13秒台のラップが刻まれた。スタートから2ハロン目はそれ以前の5年間で最速なだけに、ペースが速いと思わせておいて、急激に遅くなるというアップダウンの激しいレースであった。

2007年 ダイワスカーレット
12.3 - 10.4 - 11.5 - 12.2 - 12.8 - 13.6 - 12.4 -11.3 - 11.1 - 11.5

わずかな展開の綾によって、ペースの緩急が激しく移り変わり、前に行った馬に有利な流れになったり、一転して差し脚が生きる展開になったりする。こういうレースでは、馬をコントロールする技術やペース判断に長けたジョッキーの腕が大きく結果を左右することになる。レースの位置取りや道中での駆け引きなどを含め、騎手が占めるウエイトは大きいのだ。

■2■スピードの持続が求められる
この秋華賞でサンデーサイレンス産駒が苦戦を強いられたのは有名な話である。過去に行われた秋華賞に60頭のサンデーサイレンス産駒が出走して、2003年のワンツーフィニッシュと2005年にエアメサイアの勝利があるが、ほとんどの馬は4着以下に沈んでいる。1番人気に推されたトゥザビクトリーやダンスインザムードというビッグネームすらも惨敗しているのが、この秋華賞である。2006年も1番人気に推されたアドマイヤキッスが4着と凡走した。

【2・2・1・55】 連対率6%

この数字は、サンデーサイレンス産駒の秋華賞における成績である。サンデーサイレンス産駒の秋華賞での連対率は6%という極めて低い数値を示す。他のG1レースと比較してみても、10%を切るのはNHKマイルカップぐらいで、それ以外のG1レースではほとんど20%以上の連対率となる。たとえば、同じ牝馬限定G1レースであるエリザベス女王杯の31%と比べると、サンデーサイレンス産駒の秋華賞での不振は明らかになる。

サンデーサイレンス産駒がこのレースを苦手とした理由はただひとつ。小回りのゴチャつきやすいコースで、スピードの持続が極限まで求められるレースになりやすいからである。サンデーサイレンス産駒は、ゆっくり行って終いを伸ばすレースには滅法強いのだが、スタートからゴールまで速いラップを刻み続けなければならないレースを苦手としたからだ。つまり、秋華賞は瞬発力ではなく、地脚の強さで勝負する馬にとって有利なレースである。

■3■4つコーナーでも外枠有利
過去10年の秋華賞は全てフルゲートで行われたが、内外に分けた枠順別の勝率、連対率は次頁のとおり。

1~4枠 【4・6・4・76】 勝率4% 連対率11%
5~8枠 【6・4・6・73】 勝率7% 連対率11%

4つコーナーの小回りコースである以上、内枠有利が基本と考えてよいが、勝率は外枠の方が高いという結果が出ている。ペースによっても内枠・外枠の有利不利は違ってくるので一概には言えないが、京都芝2000m(内回り)コースはゴチャつきやすいこともあり、距離ロスがあっても、外をスムーズに回した方がレースをしやすいということだろう。

京都の芝2000m(内回り)というコース設定で行われることを抜きにして、秋華賞は語れない。このコースは極端な展開になりやすく、全ての馬が実力を発揮することが難しい。だからこそ、騎手の間では、1番人気の馬に乗っては臨みたくないコースとされている。つまり、秋華賞は必ずしも強い馬が勝つとは限らないレースなのである。

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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第17回)

Hitokuti173

オータムセールの時期がやってきた。昨年、初めて見学させてもらってからというもの、この季節が来るのを心待ちにするようになった。あの仔は、無事にセールまでこぎ着けられるのだろうか、買い手が現れるだろうか、いくらの値がつくのだろうか。競走馬たちの最終セールともいえるオータムセールには数々のドラマがある。私がこれほどに楽しみにしているのだから、関係者たちのこのセールに賭ける想いの強さは、想像して余りある。「仔馬の肢を引っ張ってから、サラブレッドとしてデビューするまで。これほど結果が出るまでに時間が掛かる仕事もそうはないですよ」とある生産者がつぶやいていたように、馬の世界にたずさわる人間は、長い目で気長に待ち続けなければならないのである。

今年もオータムセールに行こうと思っていたところ、急遽、取材が決まったこともあり、オータムセールの前に北海道を訪れることになった。さすがにセール期間中は、関係者は忙しくて、ゆっくりと話すことなどできないだろうから。とはいえ、私も何日も東京を離れるわけにはいかないため、今回の滞在もわずか2日間しか取れなかった。1日目は岡田スタッドやノルマンディファームの岡田牧雄氏、2日目は北島牧場の北島佳和氏にインタビュー、そして初日の晩には、日高地方の競馬関係者たちが10名ほど集まってくださって、話を聞かせてもらうことになった。

岡田牧雄さんと北島佳和さんのインタビューは別の機会に譲るとして、日高の生産者や装蹄師、獣医師さんたちとの飲み会(?)は非常に面白かった。その場にいた全員の生産者が自分で牧場を持って馬を生産し、馬を売ったり、走らせたりしている、いわば牧場主であり社長である。雇われではないため、生産馬の良し悪しが自分たちの生活や人生に直結する。獣医師や装蹄師も同じく、自分の腕ひとつで生きてゆく職業である。しかも、年齢も私と近く、ちょうど父親から牧場を受け継いで、古き良き時代の名残を残しつつ、これから自分たちの世代が大きく変わって、社台グループらの巨大資本に立ち向かっていかなければならないという立場にいる。

こうした人々の生の声を聞ける機会は貴重であり、彼らが日々どのようなことを考えて、馬と向き合っているのかを垣間見ることができた。生産に対する考え方やスタンスはそれぞれに違っていたが、そこにいた全員から伝わってきたのは、馬や競馬が大好きだということ。とにかく1日中、馬のことばかりを考え、悩み、喜び、そして楽しんでいる。馬が走るためなら何でもするという人たち。夢があるなあ、私はそう思った。私も夢を持って仕事をしているから良く分かる。そんな仲間たちと飲むお酒はいつになく美味しかった(私はほとんど飲めないが)。夜遅くまで宴は続き、また話したいと思いながらも彼らと別れた。その日は昨年と同じく、碧雲牧場に泊まらせてもらった。

Hitokuti171

翌朝、気がつくと9時を回っていた。部屋の窓からは放牧地を悠々と駆けまわっている馬たちの姿が見える。普段は7時には目が覚めてしまうのだが、深く眠りに落ちていたようだ。夜の牧場は静かである。たしか昨年もそうだったと思いつつ、朝早くから起きて馬の仕事をしている、碧雲牧場の長谷川家の皆さまには申し訳ない気持ちで顔を洗った。昨日の岡田牧雄さんのインタビュー取材や夜の生産者たちとの飲み会を思い出しつつ、ふとしたきっかけや縁がもとになって、なんだか少しずつ馬の生産に近づいてきたという思いが湧き上がってきて嬉しかった。20年前はただの競馬ファンだった私が、あの岡田牧雄さんの豪邸を訪れ、獣医師や生産者たちの生の声を聞き、牧場に寝泊まりしている。手を伸ばせは本物のサラブレッドに触ることができる距離まで、ついに来たのだ。

Hitokuti172

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生き残っていれば、必ず最後はチャンピオンになれる

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競走馬には早熟の馬と晩成の馬がいる。早い時期から才能が開花するタイプと、時間を掛けて表舞台に立つタイプである。ペルーサやサンテミリオンらがG1レースで活躍し、種牡馬としては華々しくデビューしたゼンノロブロイだが、現役時代は晩成の馬であった。皐月賞には間に合わず、青葉賞を勝った勢いで挑戦したダービーでは2着に破れ、雪辱を期して臨んだ菊花賞では内に包まれてしまい4着と惨敗。続く有馬記念でも古馬の壁にぶつかり、健闘もむなしく3着と、結局3歳時には大きなレースを勝つことができなかった。年が明けた4歳の春も詰めの甘さは相変わらずで、天皇賞・春はイングランディーレに逃げ切られ2着、宝塚記念はタップダンスシチーの強さにひれ伏して4着という走りであった。

ところが、4歳の秋を迎え、ゼンノロブロイは覚醒した。休み明けの京都大賞典こそ2着と惜敗したが、その後の天皇賞秋→ジャパンカップ→有馬記念と3連勝。それまでにはあのテイエムオペラオーしか成し遂げたことのない大記録を、勝ち味に遅かったゼンノロブロイがあっさりと達成してしまったのだ。この年はJRAの年度代表馬に選出された。

「いつも無敗の馬がいるわけじゃないし、さんざん負けても残っていればチャンピオンになれるんだ。その間にたくましくもなってくるし。あの馬のほうが強かったなんていうのは話にならない。無事にきているのがいいんだから」

ゼンノロブロイを管理した藤沢和雄調教師は上のように語った。この世代の筆頭格であり、皐月賞とダービーを制したネオユニヴァースは、天皇賞春で大敗を喫した後、宝塚記念を目標に調整されたが、右前浅屈腱炎と右前球節部亀裂骨折を同時に発症して引退してしまった。菊花賞馬かつジャパンカップを2着した実績を持つ同期のザッツザプレンティは、宝塚記念後に右前脚屈腱炎を発症し戦列を離れていた。そして、何よりも同厩舎の先輩であるシンボリクリスエスが、前年の有馬記念で引退していた。

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隅々まできっちりと作り込まれているステファノス:5つ☆

★毎日王冠
ロゴタイプ →馬体を見る
6歳馬になっても相変わらずの馬体の良さで、皮膚が薄くて、筋肉が柔らかい。
表情を見てもリラックスしており、安田記念を勝った後も順調に夏を越した。
Pad4star

ディサイファ →馬体を見る
年齢を重ねるごとに、馬体に力強さを増して、衰えを知らないとはこのこと。
皮一枚余裕があるので、レースを使い、もうひと絞りできれば完調に至るだろう。
Pad3star

ダノンシャーク →馬体を見る
古馬になってからそれほど馬体が成長しなかったタイプで、今も変わらない。
コンスタントに走っていることで、安定して力を出し切れるが爆発力は疑問がある。
Pad3star

アンビシャス →馬体を見る
休み明けの分もあるのだろうが、馬体全体の筋肉量が増してパワーアップしている。
馬体のつくり方によっては長距離馬にもなれたが、気性的にやはり2000mまでか。
Pad3star

ステファノス →馬体を見る
藤原厩舎の管理馬らしく、休み明けでも、馬体の隅々まできっちりと作り込まれている。
中身は走ってみないと分からないが、外見上はすでに走れる臨戦態勢にある。
Pad5star

★京都大賞典
キタサンブラック →馬体を見る
手脚がスラリと長く、胴部にも十分な延びがあるステイヤー体型を誇っている。
ただ、今回は腹回りに余裕があり、トモの肉付きにも物足りなさが残る。
Pad3star

サウンズオブアース →馬体を見る
前後躯にしっかりと実が入っていて、はち切れんばかりの馬体は完成期にある。
長距離を走るためにはもうひと絞り必要になるが、2400mであれば問題ない。
Pad4star

アドマイヤデウス →馬体を見る
いかにも休み明けといった、ふっくらとして、馬体がリフレッシュされた感がある。
まだまだ馬体を絞り込む必要があるが、気性が素直なのだろう、力は出し切れる。
Pad3star

ラブリーデイ →馬体を見る
昨年秋シーズンの疲れが残って、今春は力を出せなかったが、馬体は回復した。
顔つきを見ると精神的に余裕がない面も残っているが、叩かれて落ち着けば。
Pad3star

ラストインパクト →馬体を見る
ドバイ遠征の疲れは完全に癒えて、実に自信に満ち溢れた立ち姿を誇っている。
まだ皮膚の厚さは残っているが、馬体は充実して、さすが角居厩舎というつくり。
Pad45star

ヤマカツライデン →馬体を見る
母父の影響だろうか、胴部に長さがあり、典型的なステイヤー体型の馬体である。
表情からは気性の難しさが伝わってくるようで、スムーズなレースができれば。
Pad3star


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咆哮

Sprinterss2016wt
スプリンターズS2016―観戦記―
外枠からミッキーアイルが先頭に立ち、前半が33秒4、後半が34秒2という、G1のスプリント戦としてはごく平均的なラップを刻んだ。速すぎもせず、遅すぎもしないペースであり、どのポジションでレースを進めた馬にもチャンスがあった。どの馬にも脚が残っているため、最後の直線では激しいスペース争いとなり、後ろから行った馬たちの中には、前が壁になり、力を出し切れずに終わってしまった馬がいた。逃げて2着に粘ったミッキーアイルは誰にも邪魔されることなく、勝ったレッドファルクスは外を回って早めに進出したことが功を奏した。

レッドファルクスは前走の強さをそのまま持ち込んで、G1の栄冠を手にした。前残りの競馬を1頭だけ別次元の末脚で勝利したCBC賞は桁違いの強さであったが、右回りに良績がなかったことや、3ヶ月の間隔が開いたことも含めて、人気の盲点になっていた感がある。使い込むと馬体が硬くなることもあり、ぶっつけでスプリンターズSに向かったことも吉と出た。スウェプトオーヴァーボードの産駒として初の芝のG1制覇となり、母の父サンデーサイレンスが大きく影響しているのは確かだが、父の種牡馬としての価値に新たな光をもたらした。

ミルコ・デムーロ騎手はこの馬に跨って3戦3勝。最初からレッドファルクスを選択していたように、CBC賞の勝ち方からもこの馬の強さを信じていたのだろう。思い切ってスタートから出していき、ポジションを悪くすることなく、最後の直線に向いた。この思い切りの良さがレッドファルクスの進路を開いたとも言える。騎手にも攻める気持ちがなければ、G1レースを勝ち切ることはできないのだ。そして、追い出してからのアクションも素晴らしい。これまでも何度も言ってきたし、これからも何度も言うことになるが、デムーロ騎手が追った馬は最後まで伸びるし、馬を追う技術には特筆すべきものがある。

ミッキーアイルは高松宮記念に次いで、またもや2着に敗れた。1200m戦だとあとひと押しが足りず、1600m戦だと最後に止まってしまう。1400m戦がこの馬の弱さを出さない距離であり、それゆえにG1の勲章に手が届きそうで届かない。仕上がりは良かったし、松山弘平騎手も迷いなく乗って力を引き出しているが、これがこの馬の限界だろう。

ソルヴェイグも鞍上の思い切りの良さが好結果に結びついた。前走は思い通りのポジションが取れず、この馬の良さを出せなかったが、乗り替わった田辺裕信騎手はそのあたりを踏まえ、積極的に出して行った。スタートしてスッとビッグアーサーの前をカットしたのも、隠れたファインプレーであろう。邪魔をされることなく、力を出し切ることができれば、G1レースでも上位争いをする力があることを証明した。

圧倒的な1番人気に推されたビッグアーサーは、馬群に包まれる形になり、馬が気の難しさを出し、最後の直線では行き場がなくなるとともに躓くアクシデントもあり、大敗を喫してしまった。このような形になると苦しいことは予期していたが、それ以上に厳しいレースを強いられ、絵に描いたような負け方であった。強くて速い馬であることは確かなだけに、力を出し切れずに敗れた感は果てしない。福永祐一騎手にはいつも苦言ばかり呈しているようで心苦しいが、1番枠を引いた時点で、何もしなければこのような状況に陥る確率は高かったはず。調教師からの指示があったのかもしれないが、たとえ止まってしまう可能性があったとしても、スタートから先頭に立つぐらいの気持ちで思い切って出していけば、そのまま逃げるか悪くてもソルヴェイグの走ったポジションを取るかを選ぶことができたのではないだろうか。前走で逃げたことが伏線となっているところもあり、難しい判断ではあるが、トップジョッキーとして、負けるべくして負けた罪は重い。

Photo by 三浦晃一

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毎日王冠を当てるために知っておくべき3つのこと

Mainitioukann

■1■とにかく逃げ・先行有利
府中の1800展開いらず、どんな展開になっても強い馬が勝つという意味の格言だが、開幕週に限っては当てはまらない。この時期の東京競馬場は、夏の間に十分根を張った軽いオーバーシード芝となる。洋芝はまだ芽が出かけた程度で、ほぼ野芝100%の極めて軽い馬場であるため、前に行った馬が簡単には止まらない。たとえかなりのハイペースになったとしても、とにかく逃げ・先行馬に有利なレースとなる。

■2■前走がG1、もしくは重賞勝利馬
過去10年間の、前走をクラス別で分けると以下のとおり。
G1    【5・5・3・38】
G2    【1・2・2・14】
G3    【2・2・4・43】
OP以下【2・1・1・8】

過去10年の連対馬中で、10頭が休み明けの前走G1組、その他7頭はG2、G3をステップとしている。休み明けにもかかわらず、前走G1組が勝利しているように、この時期になると夏を使ってきた馬よりも実績のある実力馬にとって有利なレースとなる。前走がG1組であれば着順は関係ないが、G2、G3もしくはOP以下のレースをステップとしてきた馬は、前走勝って臨んできている上り馬であることが必須条件となる。

■3■5歳馬中心も3歳馬には注目
世代別の成績は以下の通り。
3歳馬【2・3・0・9】 連対率36%
4歳馬【2・3・3・18】 連対率19%
5歳馬【4・3・1・35】 連対率16%
6歳馬【1・1・3・16】 連対率10%
7歳馬以上【1・0・3・25】 連対率3%

連対率こそ変わらないが、勝ち馬、連対馬共に、夏を越して本格化した5歳馬の活躍が目立つ。秋の中距離G1シリーズに向けてキーとなるステップレースである以上、ひと夏を越しての成長が見込まれる馬を探すべきレースである。

また、3歳馬の連対率が36%と圧倒的に高い。出走頭数こそ少ないが、この時期に古馬にぶつけてくるような素質を見込まれた3歳馬が出走してきたら、かなりの確率で好勝負になるということである。

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私たちは勝てるのだろうか


凱旋門賞2016―観戦記―
マカヒキが惨敗しただけではなく馬券も外れたことで、いつもの2倍の悔しさを味わうことのできた、素晴らしい凱旋門賞であった。ヴェデヴァ二が先頭に立ち、外からオーダーオブセントジョージが2番手につけ、馬群はギュッと固まって流れた。こうなるとやはり内を走ることのできた馬に有利で、しかも前が止まらない馬場でもあり、道中のポジションが勝敗を大きく左右した。勝ったファウンドは内ラチ沿いピッタリを追走し、2、3着馬は先行した馬であった。逆に後ろから行った馬や外を回らされた馬たちは厳しい競馬を強いられ、シャンティイ競馬場で行われた今年も凱旋門賞らしいレースとなった。

マカヒキについては、外々を回されてしまったことはあくまでもひとつの敗因であり、それだけであそこまで大きく敗れたとは言い難い。2010年のナカヤマフェスタのようなケースであれば、外を回ったことが最大の敗因と断じることはできるが、今回はそうではない。最終コーナー手前ですでに反応がなくなっていたことから、マカヒキは凱旋門賞自体に万全の体調で臨むことができなかった、ゴールまで走り切ることのできる仕上がりにはなかったということ。日本ダービーを目標に究極の仕上げを施してから、約4か月で馬体と気力を回復させることができなかったということを意味する。陣営は細部に至るまで完璧に馬をつくってきたつもりだが、それでもどうにも抗いがたい、サラブレッドの体調のバイオリズムがあるということだ。

今回は過去の失敗を生かし、できる限りの策を講じてきたが、最後に残った日本ダービーの反動というピースだけが埋められなかった。斤量を考えると、3歳馬のうちに連れてくるほうが有利であるが、日本ダービーを勝った馬にとっては、その秋に凱旋門賞に万全の体調で臨むことは難しい。ディープインパクトやオルフェ―ヴルのような楽に2冠を獲るような馬であれば心配は要らないのだが、そのような10年に1度の名馬が菊花賞(3冠)を捨ててまで凱旋門賞に挑戦するだろうか。逆説的に聞こえるかもしれないが、私は日本ダービーで負けた馬を3歳時に凱旋門賞で連れてくるのがベストだと考える。今年で言えば、日本ダービーには100%の仕上がりで臨むことのできなかったディーマジェスティがそのイメージに近い。そして何としてでも、内枠発走を手に入れることだ。

最後に、ライアン・ムーア騎手のキス、ではなく、直線のコース取りを観ただろうか。前を行く2頭の間の、1頭分もないスペースをこじ開けるようにして抜け出している。外に持ち出す一瞬のロスさえ許さない、特に凱旋門賞のようなレースの厳しさを知り尽くしたジョッキーだからこその騎乗ぶりであった。気を抜いてしまう癖のあるファウンドに気を抜かせないためでもあっただろう。あれが日本であれば、危険すぎるという声ばかりが競馬関係者からもファンからも上がったことだろう。ぶつけられて3着になったデットーリ騎手が日本人騎手であれば、あれがなければ勝っていたとレース後にコメントしたかもしれない。良し悪しの問題ではなく、またやった者勝ちという低レベルの話でもなく、ジョッキーがこういう判断とスピードを持ち合わせていなければ、凱旋門賞は勝てないということを示唆しているのだ。私たちは勝てるのだろうか。私は凱旋門賞を勝ったあとの世界を見ることはできるのだろうか。

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勝ったあとの世界を見てみたい

Jiromaru

まさか凱旋門賞の予想をして、馬券を買うことができる日が来るとは、私が競馬を始めた頃には想像もできませんでした。そして、自分の人生を大きく変えてくれたディープインパクトの仔であるマカヒキが再びフランスの地に立ち、新たな歴史を刻もうとしている瞬間に立ち会えるなんて、まるで夢のようです。長く生きていると、良いこともあるものですね。日本馬が凱旋門賞を勝つときには、現地にいたいと願ってきましたが、その夢はあきらめようと思います。私がいなくても、マカヒキには勝ってもらいたいと心から思います。

今年から海外競馬の馬券が買えるようになり、凱旋門賞はその第1弾ということになりますが、こうして予想をしてみると案外難しいものですね。日本の馬だけを見て、勝ってほしいと応援するだけで良かったものが、馬券が買えることで他の外国馬たちも気になるようになりました。相手のことを知れば知るほど、何だか強く思えてきて、ほんとうにマカヒキは凱旋門賞で通用するのだろうかと不安になるのです。もしかすると、ディープインパクトのときに馬券が買えていたとしたら、あれほどまでの、もう勝つのが当然といった熱狂は生まれなかったのかもしれません。馬券を買うことは、私たちの偏った見かたや想いを修正し、冷静さを取り戻すのに必要な作業なのですね。

おそらく日本ではマカヒキに次ぐ2番人気に推されるであろうポストポンドは、安定感のある強い馬という印象を受けます。気性的にも大人しく、どのような状況でも力を出し切れる頼もしい馬です。昨年夏から6連勝で臨んできますが、比較的無理のないローテーションでここまで来ており、満を持しての凱旋門賞となりそうです。この馬の戦績を見ていると、キングジョージを使った疲れが出て負けそうな昨年の凱旋門賞は転厩によって見送られ、今年の(凱旋門賞を勝つためには)使ってはならないキングジョージは呼吸器系の疾患で回避することになり、運が良いというか、持っている馬であると思います。何だかんだ言っても、この馬こそがマカヒキに真正面から立ちはだかる外国馬になるはずです。

その他の馬は、正直に言うと、少し能力が落ちると評価しています。たしかにラクソニエールやマインディングが出走してきたら、ポストポンドやマカヒキに伍していた可能性はありましたが、ラクソニエールの同厩舎の仏ダービー馬アルマンゾルが引っ込められた以上、そのアルマンゾルに愛チャンピオンSで敗れたニューベイやファウンド、ハイランドリールなど古馬の面々は良くても3着争いなのではないでしょうか。ハーザンドは強い馬なのかもしれませんが、愛国と英国の両ダービーを春に制した疲れが癒えていない前走の負け方でした。斤量的に有利な3歳牝馬で1頭単穴として挙げるとすれば、やはりヴェルメイユ賞を勝ったレフトハンドになるのでしょうか。

本命はマカヒキに打ちます。日本ダービーを勝った馬は、秋緒戦は好走しても、秋本番で疲れが出てしまうというパターンにあたることだけが心配材料ですが、今年は日本の競馬におけるシンギュラリティ(のようなもの)が起こるという大局観の方を取りたいと思います。日本の馬が凱旋門賞を勝ったあと、私たちの競馬はどう変わるのか、もしくは変わらないのか、また新たな目標が生まれるのか、次はどのような時代へと進むのか。勝つ前には想像ができませんが、勝ったあとの世界をぜひ見てみたいですね。

Gaisenmonnwt2016

関連エントリ
・「新しい競馬の未来」
http://www.glassracetrack.com/blog/2016/06/post-29a3.html
・「マカヒキはディープインパクトを大きくしたような」
http://www.glassracetrack.com/blog/2016/08/post-3122.html

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切るべきタイミングが難しいジョーカー=突然の逃げ

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「ジョーカーカードを切った」とレース後に語ったのは、今年の札幌記念でネオリアリズムを勝利に導いたクリストフ・ルメール騎手であった。それまで差す競馬をしてきた同馬を突然に先頭に立たせ、そのまま逃げ切らせてしまったのだ。モーリスやヌ―ヴォレコルトなど強い馬たちがいる中、どうすれば勝てるのかを考え抜いた末の戦略であった。その日は家族を競馬場に招いていたようで、何としても勝ちたかったのだろう。これだけを見れば、ネオリアリズムの快勝劇、またはルメールマジックのようだが、実はそうではない。ジョーカーという表現に示唆された真実について、私たちは深く考えなければならない。

ジョーカーとは、トランプの中に含まれる特別なカード。ゲームによってその役割は異なるが、ほとんどの場合は、ワイルドカードとしての万能性を持ち、最高の切り札として用いられる。ここぞという場面で使うと最大の効力を発揮するため、最後の局面まで手元に残しておくことが多い。その反面、一度使うと、しばらく(もしくは2度と)用いることができなくなってしまうという怖さもある。使う局面を間違うと、せっかくのジョーカーが無駄になったり、次の局面を悪くしてしまうこともある。ジョーカーは使い方が難しいのである。

ルメール騎手が競馬の逃げをジョーカーにたとえたのは、まさに逃げることは最高の切り札であり、かつその効果は一度しか有効でないことが多いからである。ここでの逃げるとは、突然逃げることを意味する。普段は控えて競馬をしている馬やこれまで一度も逃げたことのなかった馬が先頭に立つ、誰にも予期されなかった逃げ。

なぜ突然の逃げがジョーカーになるのかというと、

(週刊Gallopを買い忘れた方や、超馬券のヒントだけ読みたい方はこちら
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