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しっかりとがっかり


菊花賞2016―観戦記―
ミライヘノツバサが先頭に立ち、そこにラビットを務めさせろと言わんばかりにサトノエトワールが絡み、前半の1000mは59秒9という淀みのない流れ。ところが、中盤になり13秒6、13秒2と急激にペースが緩み、後半の1000mが58秒9という上がりの速い勝負になった。この典型的な速遅速という流れからレース全体の時計まで、1998年にセイウンスカイが逃げ切ったときと酷似している。

13.3 - 11.5 - 11.7 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 13.1 - 13.5 - 12.7 - 12.9 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.0

13.0 - 11.3 - 11.0 - 12.4 - 12.2 - 12.7 - 13.6 - 13.2 - 12.3 - 12.7 - 12.2 - 12.0 - 11.6 - 11.5 - 11.6

上が1998年で下が今年の菊花賞である。前者は59.6-64.3-59.3で勝ちタイムは3.03.2、後者は59.9-64.5-58.9で勝ちタイムが3.03.3。まさに横山典弘騎手がセイウンスカイに乗って編み出した、京都3000mを逃げ切るための速遅速の流れである。つまり、道中が極端に緩んだことで、逃げ・先行馬はひと息入れることができ、有利になったということである。

勝ったサトノダイヤモンドは、先行有利の流れなど我関せず、好スタートから中団をピクリとも動かずに追走し、最終コーナーでは持ったままで先頭に立ち、そのまま押し切った。パワーで勝負する馬だけに、3000mの距離には一抹の不安があったが、これだけ折り合いがつけば全く問題なし。道中でエキサイトしない精神面における強さは、もしかすると海外に遠征するときには大きな武器になるかもしれないと思わせられた。馬体的には、春当時に見られた胴部と手脚の長さのアンバランス(重心の低さ)が解消し、馬体も枯れ、ひと夏越して完成期に至った。

クリストフ・ルメール騎手はそつなくサトノダイヤモンドを勝利に導いた。春シーズンからこの馬を選択し、皐月賞、日本ダービーと悔しい思いをしただけに、クラシック3冠目における勝利は格別だろう。今回の勝利は馬の強さをそのまま引き出しただけとも言えるが、ひとつだけ鍵となったのは、1周目のスタンド前で馬群の外に出せたことである。過去にフランスの大先輩であるオリビエ・ペリエ騎手が内枠から内ラチ沿いを走り、前が詰まって敗れてしまったゼンノロブロイの菊花賞における苦い思いを彼は忘れてはいなかった。どこで外に出すのかと見ていたが、スタンド前で外にしっかりと出せた時点で、ルメール騎手は勝利を確信したのではないか。

この流れの中を後方から差して2着したレインボーラインの強さは光った。さすが札幌記念で古馬モーリスに迫っただけのことはある。馬体的にはまだ鍛えて研ぎ澄ませる余地が多くあるが、夏を順調に越して、気持ちが走ることに前向きになってきたことが好結果につながっている。福永祐一騎手も、先週の秋華賞に続き、騎乗馬の力を素直に引き出せている。勝ち馬は一枚抜けていたが、2着、3着争いは騎手の乗り方次第で決まった。

エアスピネルは馬の力を信じて、先行したことが功を奏した。神戸新聞杯は折り合いを気にしたのか、消極的な敗北に映ったが、今回はその反省を生かしつつ、この馬の肉体的な強さを前面に押し出して3着に粘り込んだ。今回も後ろからソロッと回ってきたとしたら、おそらく掲示板に載るのがやっとであっただろう。ごまかしの利かない長距離戦で、完成度と実力をいかんなく見せつけた。

2番人気に推された皐月賞馬ディーマジェスティは、サトノダイヤモンドをマークして進み、最終コーナーまではイメージ通りの競馬であったはずだが、最後の直線に向いたときの手応えが勝ち馬とはあまりに違いすぎた。+6kgとやや馬体が重かった(余裕が残っていた)、上がりの速い競馬になってしまった、初の長距離輸送がこたえた(熱が上がりやすい)、など様々な敗因が考えられるが、いずれにしても凱旋門賞を目指す馬としては相応しくない。関係者や陣営が最もそう感じているはずだが、今回の敗戦には正直に言ってがっかりした。

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Comments

私はこれでディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンドの3強体制ができたと思います。
やはり3強時代じゃないと競馬は面白くありません。(ディープインパクトみたいなダントツ1強もそれなりに面白いですが・・・)
この3頭が来年そろって凱旋門賞に出てくれれば盛り上がるのではないでしょうか?

Posted by: アダチ@おかやま | October 25, 2016 at 12:53 PM

次郎丸さん
こんにちは。
また外してしまいましたがエアスピネルと天才に夢をみさせてもらいました。
エアスピネルも武豊騎手も光ってました。
皐月賞は一番速い馬が勝つ。
ダービーは運がある馬が勝つ。
菊花賞は一番強い馬が勝つ。
上手く出来てますよね。

10月23日 菊花賞
この日、サトノダイヤモンドの2億4千万分の輝きに魅せられました。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | October 25, 2016 at 02:18 PM

アダチ@おかやまさん

こんばんは。

互いに1冠を分け合う形になりましたね。

私はサトノダイヤモンドがダービー馬だと宣言していたので、競馬は思い通りにはいかないものですね。

サトノダイヤモンドが秋を越して、最も馬体が枯れて、らしくなってきたのも不思議です。

来年の春天が楽しみですね!

Posted by: 治郎丸敬之 | October 25, 2016 at 09:33 PM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

こんばんは。

菊花賞は強い馬が勝ちましたね。

武豊騎手は今回は完璧に乗っていました。

やはり天才は忘れたころにですね。

Posted by: 治郎丸敬之 | October 25, 2016 at 09:35 PM

治郎丸さん、こんばんわ。
サトノダイヤモンド、強かったと思います。
彼の1強時代がやってくる気がしてなりません。
とにかく、これからも無事に走ってくれることを切に願います。
ところで、ロブロイの菊花賞の鞍上はOペリエだと思います。彼を軸に馬券を購入していたので物凄くガッカリしたことを覚えています。

Posted by: ぱこくん | October 28, 2016 at 10:30 PM

ぱこくん

こんばんは。

サトノダイヤモンドは強かったですね。

あの流れを完璧に追走し、最終コーナーは馬なりでまくってきましたから、もう力が違ったとしか言いようがありません。

マカヒキもディーマジェスティも強いと思いますが、サトノダイヤモンドが抜け出す可能性はありますね。

ロブロイの鞍上はペリエ騎手でしたね。私の中で一緒になっていました(笑)。上手く書き直しておきました。教えていただいてありがとうございます!

Posted by: 治郎丸敬之 | October 29, 2016 at 06:37 PM

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