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チャンピオンズCを当てるために知っておくべき3つのこと

Championsc

■1■スピード&器用さ優先
かつて行われていた東京競馬場の2100mダートというコースは、スピードだけで押し切ることは難しく、マイラータイプの馬にとっては厳しい条件であった。2000mまでならゴマカシが利くが、わずか100mの違いでマイラータイプの馬はバテてしまったのだ。もちろん、スピードがなければ速いペースについて行くことはできないが、勝ち切るためにはそのスピードを支える豊富なスタミナが必要であった。

しかし、舞台が阪神1800mダート、そしてさらに昨年から中京1800mダートに移り変わったことにより、東京の2100mダートほどにはスタミナが要求されなくなった。もちろん、速く厳しいペースになるので、スピードだけでは押し切れないが、どちらかというとスピードに富んだマイラータイプの馬にも勝つチャンスが訪れるということだ。そして、4つコーナーと小回りコースということを考えると、勝ち切るためには上手く立ち回れる器用さも求められる。

■2■関西馬有利
ただでさえ西高東低の状況が続く中、開催競馬場が関東から関西圏に移った以上、関西馬にとって条件はさらに有利になった。長距離輸送を考えなくてよい分、あと1本追えたり、また手加減なしに攻める調教を施すことが出来るだろう(栗東からは当日輸送、美浦からは前日輸送になる)。ダート競馬はどの馬も最後はバテて、それでもそこからもうひと伸びすることを求められるので、輸送を考慮した軽い仕上げではなく、ビッシリと仕上げられた馬でないと苦しい。

■3■3歳馬にとっては厳しい戦い
阪神競馬場に開催地を移した2008年より、3歳馬の斤量が55kg→56kgとなった。11月から12月に開催時期が変更されたことによる措置だろうが、この1kgが3歳馬にとっては大きな負荷となる可能性は高い。たとえ日々成長著しい3歳馬とはいえ、この時期に歴戦のダート古馬とぶつかるのに1kgの斤量差は少ない。現に2008年はカジノドライブが6着、サクセスブロッケンが8着と大敗した。この2頭が翌年明けのフェブラリーSで1、2着したことからも、3歳冬の時点で古馬と戦うことの厳しさが分かるだろう。

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武豊ここにあり

Japancup2016
ジャパンカップ2016―観戦記―
1枠1番を引いたキタサンブラックが好スタートからハナを切り、第1コーナーの時点で先行争いは落ち着き、道中は大きな動きもなく緩やかに流れた。時計的にも前半1000mが61秒7、後半が58秒9というスローペース。かといって、渋った馬場の影響もあってか、極端に速い上がりにはならず、最終的にはスタミナが問われたレースであった。2、3着にはスタミナ型の馬が突っ込み、久しぶりに総合力が要求されるレベルの高いジャパンカップとなった。

勝ったキタサンブラックは道中を気持ち良く走り、最後の直線に向いても余力十分、そのまま押し切った。3歳時はヒョロっとして頼りなさもあったが、古馬になってからは付くべきところに筋肉が付いて、完全に本格化した。530kgある充実した馬体を大きく使って走る今のキタサンブラックを見る限り、バテて止まってしまう姿を想像することが難しい。私の好きな映画『ファイトクラブ』の中で、「長身の痩せ型の奴はスタミナがあってバテないから見た目よりも強い」というようなセリフがあり、キタサンブラックの走りを見るたびに、いつもそのことを思い出す。今回は極限の仕上がりが施されていたので、次走の有馬記念に向けて体調は下降線を辿るだろうが、それでも止まることはないだろう。

武豊騎手は本当に絵になる格好の良いジョッキーである。16頭の一流馬たちを従え、ひとりだけ手綱を持ったまま、最終コーナーを回ってくるシーンは見どころ十分。左手の大きなアクションで見せムチをしてゴーサインを送り、右手だけで少しずつ完歩を伸ばし、最後の1ハロンは失速しかけたキタサンブラックを叱咤激励する。教科書どおりではあるのだが、一つひとつの所作が実に美しい。ゴール後の激しいガッツポーズも、競馬ファンと共に喜びを共有したいという気持ちの現れだろう。久しぶりにジャパンカップを勝利し、武豊ここにありと世界に向けてアピールすることができるはず。

サウンズオブアースはマイナス8kgと絞れ、今回のジャパンカップに臨むにあたって、馬体のつくりが大きく変わっていた。スッキリしたというべきか、研ぎ澄まされて、この馬本来のスタミナを存分に生かすことができた結果であろう。さすがにキタサンブラックとは力差があったが、このメンバーで最後の直線の追い比べを制したことで、今後の展望が広がった。有馬記念で内枠を引くことができれば、昨年以上の結果が出ても驚かない。

シュヴァルグランは調教駆けしないタイプであり、その分、この時期は馬体が絞れにくい。にもかかわらず3着に入ったように、もうすでにG1レースを勝てるレベルにまで達している。あとは暖かくなって馬体が絞れ、スタミナを問われる流れの中で自分から動くことができたとき、この馬のステイヤーとしての本質が浮き彫りになるだろう。そう考えると、やはり来年春の天皇賞が狙い目か。

ゴールドアクターは、キタサンブラックの後ろを進み、考えていたとおりのポジションを走れたはずだが、最後の直線では逆に突き放されてしまった。これまで勝ってきたのは、スローの瞬発力勝負でちょい差しのレースが多く、今回のようにスタミナを問われる流れになると、このメンバーではやや分が悪いということだ。ただし、器用に立ち回れるタイプだけに、小回りの6つコーナーの有馬記念ではチャンスがある。

ライアン・ムーア騎手が乗ったリアルスティールは、外枠から先行したが、最後は脚が上がってしまった。この馬にとっては、外枠がマイナスであっただけではなく、スタミナを要求されるレースになったことが苦しかった。逆に驚かされたのは、3歳馬レインボーラインの健闘である。最後の直線ではあきらめることなく脚を伸ばし、上位争いに加わった。シルクジャスティスを思い出させる走りであり、有馬記念に出走してくれば、穴候補の筆頭として考えるべきだろう。

Photo by 三浦晃一

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一完歩を長く走らせる技術に秀でた″押せる”武豊騎手

Cover

ジョッキーに求められる技術のひとつに、馬を追う技術がある。レースにおける勝負所からゴールまで、競走馬の持てる力を最大限に尽くして走らせる技術。もちろん、騎乗馬を勝たせるためには、馬を追う以外にもあらゆる技術が必要になるのだが、言ってみれば馬を追う技術は詰めの部分にあたる。将棋でいえば終盤。序盤、中盤でたくわえた力を終盤で発揮する。最近では、競馬の騎乗も将棋も、終盤よりも中盤、中盤よりも序盤の重要性が高まっているが、それでも終盤の詰めが甘ければ勝利を手にすることはできない。終盤を制する者がレース(ゲーム)を制するのである。

馬を追うことにも様々なスタイルや方法論がある。海外や地方の競馬場からジョッキーが参戦してきたことによって、中央競馬のターフの上で観られる騎手の追い方もバラエティに富んできた。どのスタイルや方法が正しいということではなく、ジョッキーそれぞれの肉体的資質に合わせたフォームで、コース形態や馬場に即した乗り方で、サラブレッドを適切に推進することができれば良いのである。

ちなみに、サラブレッドのスピードは、「一完歩の長さ(ストライド)×頻度(ピッチ)」で決まる。もちろん、疲労してバタバタになった馬は脚が伸びないように、同じ馬でも状況によって一完歩の長さは変わるが、走る頻度(ピッチ)が同じであれば、当然、一完歩(ストライド)を長く走った馬の方が先にゴール出来る。

一完歩の長さ(ストライド)は馬の持って生まれた肉体的特徴によるところが大きいのだが、数センチ位の長さであれば、実は騎手の技量によって補うことが出来る。ゴール前1ハロンの完歩数は平均27完歩であり、もし一完歩が10cm長くなったとすると、27完歩×10cm=270cmで2.7m。つまり、ゴール前1ハロンだけで、なんと約1馬身の差が生じることになる。このことからも、一完歩を少しでも長く走らせることが、一流騎手の仕事だといっても過言ではないだろう。

日本のジョッキーでは、やはり武豊騎手が、この一完歩を少しでも長く走らせる技術に長けている。たとえば、

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馬体が変わってきたルージュバック:5つ☆

ゴールドアクター →馬体を見る
昨年時と比べて大きくは変わっていないが、それだけ馬が傷んでいないということ。
胴部や手脚にも十分な長さがあって、馬体全体のシルエットが美しい。
Pad4star

ディーマジェスティ →馬体を見る
腹周りに余裕があって、ややコロンとした体型に映るのはいつものこと。
血統的にはスタミナ豊富なはずだが、体型的には2400mがベストかも。
Pad4star

キタサンブラック →馬体を見る
530kg以上ある馬とは思えないほど、馬体が薄く華奢に見える体型。
正直に言うと良く見せないが、これが研ぎ澄まされたステイヤーの馬体である。
Pad4star

サウンズオブアース →馬体を見る
母父の影響があるのか、やや馬体が重く感じられたが、今回はすっきりしている。
この時期だけに毛艶は冴えないが、リラックスして立てており、体調は良さそう。
Pad4star

ラストインパクト →馬体を見る
ドバイから戻ってきてからの中では、馬体が回復しつつ、今回が最も良く見せる。
迫力があるように見せるときは重いが、今回は余計な部分が絞れて仕上がった。
Pad45star

シュヴァルグラン →馬体を見る
胴部がコロンとして映るのは体型的なものもあるが、さすがに重苦しさは否めない。
調教で動かない馬だけに、この時期は絞れにくくなってきているのが現状か。
Pad3star

リアルスティール →馬体を見る
古馬になってから馬体の硬さが抜けてきて、今回もすっきりとして好仕上がり。
3歳時ほどのパワーは感じさせないが、この距離だとモデルチェンジして正解。
Pad3star

トーセンバジル →馬体を見る
時期的な理由で毛艶が冴えないのは仕方なく、どうしても新陳代謝が悪く映る。
前駆には力強さがあるが、トモの肉付きは物足りず、どこまで走れるか。
Pad3star

レインボーライン →馬体を見る
レースを重ねるごとに、馬体がふっくらとしてきて、疲れを微塵も感じさせない。
表情を観ても気持ちの強さが伝わってきて、いかにも走りそうなステイゴールド産駒。
Pad4star

ルージュバック →馬体を見る
今年に入ってからだけではなく、過去のレースの中でも最も今回が馬体を良く見せる。
線の細さや頼りなさ、そして幼さがあった馬だけに、馬体が変わってきた印象を受ける。
Pad5star

ビッシュ →馬体を見る
このメンバーに入ると、3歳牝馬らしい線の細さとパワー不足を感じさせる。
しかし、バネがあって、脚の速い馬だけに、馬体以上の走りを見せてくれるはず。
Pad3star

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ジャパンカップを当てるために知っておくべき3つのこと

Japancup

■1■日本馬のレベルアップ
ジャパンカップで最も大きな問題となってくるのが、外国馬と日本馬の比較である。近年は完全な日本馬の優勢であり、日本馬が1~3着だけでなく、掲示板を独占することがあっても驚かなくなってきた。ここ十数年で、生産、調教の技術が飛躍的に向上したことによって、日本の競走馬のレベルそのものは、海外のそれと比較しても同等かそれ以上のところまで上がってきている。

日本国内における一流馬であれば、海外に出ていっても十分通用することは、古くはジャックルマロワ賞のタイキシャトル、凱旋門賞のエルコンドルパサーから、インターナショナルSのゼンノロブロイ、アメリカンオークスのシーザリオ、メルボルンCのデルタブルース、そしてハーツクライ、ディープインパクト、そして最近でいうとナカヤマフェスタやオルフェーヴルまで多くのG1ホースらが示してくれた。もちろん自分の土俵(日本の競馬)で戦うのであれば、堂々と胸を貸すぐらいの気持ちで立ち向かうことができるはずだ。

外国馬に関する情報は極めて少なく、日本の馬場で一度も走ったことがない馬の実力を推し量ることは、はっきり言って非常に難しい。それでも、ひとつだけ大きなものさしを示すとすれば、「力をつけた日本馬に地の利がある以上、外国馬は余程の実力、実績を持った馬でないとジャパンカップで勝ち負けにはならない」ということになる。日本の軽い馬場が合いそうだとか、招待されたからなどというレベルの外国馬では勝負にならないところまで日本馬のレベルは上がってきている。
ちなみに、外国馬に関して述べると、海外遠征未経験馬は疑ってかかるべきである。今回のジャパンカップ挑戦が初めての遠征になるような馬では、よほど能力が抜けていないと極東の地での激しい戦いを勝つことは出来ない。ヨーロッパの馬でヨーロッパの外に遠征した経験がない馬も同じである。

■2■凱旋門賞、ブリーダーズC馬は消し ジャパンカップの前にはヨーロッパで凱旋門賞、アメリカでブリーダーズカップとG1レースの中のG1レースが行われている。海外の馬は当然そちらを目標に出走するため、ジャパンカップにはピークを過ぎた状態で出走してくることが多い。

特に、凱旋門賞、ブリーダーズCを勝った馬は、ほぼ間違いなく調子落ちでの出走となるはず。ピークの仕上げで臨まなければ、凱旋門賞やブリーダーズCといった大レースは勝てないため、勝った勢いでジャパンカップに挑戦してきても、結局、状態は下降線を辿ることになるのだ。ブリーダーズカップを勝ったコタシャーン、凱旋門賞を勝ったエリシオ、モンジュー、デインドリーム、ソレミアなどがあっさりと敗れてしまったのは、明らかにピークを過ぎた状態で出走してきたからである。また、凱旋門賞を勝つ馬は、深い芝で走れるだけのパワーとスタミナが勝っている馬である(今年の凱旋門賞は別)。軽い芝でスピードと瞬発力を要求される日本の競馬には合わないことが多いだろう。また、ブリーダーズCを勝った馬はローテーション的に厳しい。死力を尽くして大レースを勝った後に、遠征を含めて、もうひとつG1レースで勝つことは難しい。

逆に言うと、凱旋門賞、ブリーダーズCで負けてしまった馬の巻き返しは期待できるということだ。

■3■迎え撃つのは4、5歳馬
過去10年の勝ち馬は、4歳馬が5勝、続いて5歳馬が3勝、3歳馬は2勝、6歳以上の馬は0勝となっている。ジャパンカップのレベルが上がったことにより、肉体的に最も充実する4、5歳馬が圧倒的に有利なレースとなった。百戦錬磨の外国馬を迎え撃つのは日本の4歳馬という図式が成り立つだろう。

また、ジャパンカップを勝ち切るためには高い壁があって、日本馬、外国馬に関わらず、連対率が50%を切るような馬では厳しい。高い競走能力と、どのような状況や環境にも対応できる資質の持ち主であることが問われるのだ。


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何も変わらない


マイルCS2016―観戦記―
外枠をものともせず、ミッキーアイルが敢然と先頭に立った。スタートを決めたネオリアリズムがそれに続き、前半マイルが46秒1、後半が47秒ジャストという平均ペースで流れた。これぐらいのペースだと、前に行った馬たちに比較的有利になるが、力があれば差せない展開ではない。しかし、逃げたミッキーアイルが最後の直線で外によれたことで、後ろから差して来た馬たちの進路が閉ざされてしまったことが、勝敗を分けた感は否めない。あの不利がなければ、後続の馬たち(特にサトノアラジンとディサイファ)と先行集団が入れ替わっていた可能性は十分にある。馬券を買っていたファンからすると、さすがにこれはないという結末であり、これが降着にならない判断は首をかしげざるを得ない。

今回の問題を目の当たりにして、2012年のマイルCSを思い出した方もいるかもしれない。あのレースも今回と同じく、内の馬が外へ張り出す形で玉突きが起きた。私はあのアクシデントは武豊騎手がもうひと呼吸待っていれば避けられたと今でも考えているし、不利がなければグランプリボスが勝っていた可能性は十分にあった。JRAは主因を特定しない形でお咎めなしと判断を避けたが、被害の程度は今回よりも甚大であった。旧制度でも新制度でも、2012年も今年も降着が妥当であろう。声の大きさに影響されてか、2012年のようなケースをお咎めなしにしてきた積み重ねがあるからこそ、今年のようなケースもアウトにできない。結局のところ、JRAもマスコミも私たち競馬ファンも、誰が言ったかや誰が行ったかではなく、何がどうしてどのように起こったかを見なければ、降着制度が変わっても何も変わらないのだ。

ミッキーアイルは2年半ぶりのG1勝利となった。もともとNHKマイルCを勝っているようにマイル戦における実績があり、血統的にも距離延長は望むところでもあり、距離が決して長いわけではなかった。若駒の頃は、腰が高くて幼さの残る馬体で走っていたが、ここにきてバランスが良くなり、大きく成長を遂げている。休み明けのスプリンターズSを叩いて、浜中俊騎手にスイッチして、実は今年の秋はこちらが大目標だったのだろう。

8日間の騎乗停止と引き換えにG1勝利を手に入れた浜中騎手は、どういう思いで年を越すのだろうか。何とかしてミッキーアイルを勝たせたいという気持ちと、ライアン・ムーア騎手との追い比べに負けたくないという闘争心が合わさって、つい頭に血が上ってしまったのだろう。一度だけではなく2度も外によれており、さらに一度も左手にムチを持ち替えることはなかった。京都のフルゲートのマイル戦は、どの馬も直線に向いて手応えが残っているためごちゃつきやすい。そのあたりも熟知しているはずなのに、大舞台を台無しにしてしまったのは惜しい。

イスラボニータは惜しくも届かなかったが、クリスストフ・ルメール騎手の好騎乗で持ち味を生かし切った。早めに先頭に立つと気を抜くところがあるため、ゴール前でハナか首だけ前に出るイメージでルメール騎手は乗っていたはず。スタートからゴールまで、外に出すタイミングも申し分なく、あの不利にも巻き込まれることもなく、この馬が最もパーフェクトな走りであった。昨年の不甲斐ない負け方に比べると、たとえ負けはしたものの、イスラボニータのマイル適性を証明し、陣営にとっても胸のすくようなレースであったはずである。

ネオリアリズムのマイル適性のなさを隠すように、ムーア騎手はやや強引に乗った。これだけ迷いなく先行できるのは、多少バテたとしても、ゴールまでなんとか持たせることができるという自信があるから。ミッキーアイルに差し返され、イスラボニータには切れで負ける形になったが、初めてのマイル戦で3着に粘り込んだのだから大したもの。この馬の地脚の強さを生かすには、もう少し距離があった方が良い。

1番人気のサトノアラジンは悔しいレースであった。結果から振り返ってみると、2番枠を引いてしまったのが運の尽きだったのかもしれない。本来であれば、最後の直線では外に出したかったが、実際は内ラチ沿いを進まざるをえず、馬群をどう捌くかがポイントとなってしまった。たしかにエンジンのかかりが遅いタイプであり、スパッと抜け出すことができずに致命的な不利を受けてしまった(ダメ押しの2度目も)。

ヤングマンパワーはマイル適性うんぬんよりも、夏を越して使われてきた疲れが出てしまったのではないか。久しぶりの関西への長距離輸送も引き金になったのかもしれない。フィエロは不利なく回ってきたが、G1レースを勝ち切るのはワンパンチ足りない。3歳馬のロードクエストは序盤から推進力に欠けていたし、この流れではさすがに届かない。道中でハミを噛んでいた場面もあったように、気性面に若さが残っていて、乗り方が難しい馬である。


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マイルチャンピオンはマイル戦の連対率50%以上が基準

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マイルチャンピオンシップはマイルのチャンピオンを決めるレースであり、チャンピオンマイラーはマイル戦での連対率が50%を切っていてはならない。競馬を始めた頃に思いついた、純粋かつシンプルな基準であるが、25年以上経った今でも、マイルチャンピオンシップを予想する際には重用している。

なぜ連対率50%なのかというと、マイルの距離で行われるレースを走って、2回のうち1回ぐらい連対できないようではマイラーとしての頂点には立てないのでは、という単純な論理である。サラブレッドだって生き物だから、体調が優れないこともあるし、気持ちが走ることに向いていないときもあるだろう。レースに行って展開が向かないこともあれば、思わぬ不利を受けてしまったり、最後の直線で前が開かなかったりすることもあるだろう。そうしたあらゆる要素を考慮しても、チャンピオンマイラーになるべき馬は連対率が50%を下回ってはいけないということである。

私は毎年、マイルチャンピオンシップを予想するときには、出走馬の馬柱のマイル戦における実績欄をチェックすることから始める。マイル戦の連対率が50%を超えている場合は赤ペンで線を引き、超えていなければ線を引かない。ここで線が引かれない馬はつまり消しということである。

今は昔、1995年のマイルチャンピオンシップを予想し始めたとき、私の心臓の鼓動は一気に高まった。

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シンプルな馬体に成熟したミッキーアイル:5つ☆

サトノアラジン →馬体を見る
身体を持て余していた印象だが、ここに来てようやく本格化してきて。
前後躯にしっかりと実が入って、筋肉のメリハリも素晴らしい。
Pad45star

フィエロ →馬体を見る
胴部が長いこともあり、重心が低く映り、重厚感をさらに増している。
腹回りに余裕が感じられるように、年齢を重ねて絞れにくくなっている。

ミッキーアイル →馬体を見る
前走もそれなりの仕上がりだったが、ひと叩きされて、さらに上向いている。
若駒の頃は腰高に映った馬体も成長して、シンプルな良い馬体に成熟した。
Pad5star

ロードクエスト →馬体を見る
鮫頭からも分かるように、気性的に難しい反面、それが爆発力につながっている。
馬体的にはごく標準的なシルエットだが、3歳馬らしい筋肉の弾力がある。
Pad4star

ダノンシャーク →馬体を見る
長らく一線級で走ってきたが、さすがに8歳になり馬体の張りが失われてきた。
顔つきからも闘争心が消えて、このメンバーでどこまで素質だけで走るか。
Pad3star

ウインプリメーラ →馬体を見る
冬の時期の牝馬にしては冬毛も少なく、皮膚に薄さがあって新陳代謝が良い。
このメンバーに入ると、どうしても線の細さが目立ってしまうようにパワー不足。
Pad3star

ヤングマンパワー →馬体を見る
胴部が長くて、馬体全体のシルエットとしては、ややバランスは良くはない。
首の高い立ち姿からも、先行して粘り通すタイプであり、京都競馬場は合わないかも。
Pad3star

ディサイファ →馬体を見る
ディープインパクト産駒ではあるが、どちらかというと母系の力強さが表に出ている。
ややトモが落ちていることもあり、一瞬の切れ味勝負になると分が悪いだろう。
Pad3star

スノードラゴン →馬体を見る
馬体はふっくらとして、胴部にも長さがあり、決してスプリンターの体型ではない。
さすがに筋肉のメリハリという点では今ひとつだが、今はマイル戦の方が合っている。
Pad3star

イスラボニータ →馬体を見る
つくべきところに筋肉がついて、最近の中では、最も仕上がりの良い馬体を誇る。
毛艶も素晴らしく、ようやく昨年のこの時期の出来を取り戻してきた。
Pad4star

ネオリアリズム →馬体を見る
前駆がふっくらとして力強く、いかにもパワーが溢れていそうな好馬体。
ただ、堀厩舎の管理馬にしては筋肉のメリハリに乏しく、もうひと絞りできそう。
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マジックタイム →馬体を見る
これと言ってアピールをしてくる馬体ではないが、前後とも平均的にまとまっている。
目つきや表情を見ると、気性的にとても素直な馬だということが伝わってくる。
Pad3star


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京都芝1600m

Kyoto1600t1

向こう正面の直線を2コーナー側に延長したポケットからのスタート。第1コーナーとなる3コーナーまでの距離は711mと長く、逃げ馬が気分よく行ってしまうとオーバーペースになりやすい。しかし、3コーナー過ぎてからは下り坂となるため、多少のハイペースで行ったとしても、前もなかなか止まらない。結果として、平均ペースのレースになりがちで、実力どおりの決着となることが多い。力さえあれば、展開にはあまり左右されることのないコースといえる。

京都の1600mコースには内回りと外回りがあり、G1であるマイルチャンピオンシップは外回りを使って行われる。外回りコースは、4コーナーで内回りコースと合流するため、内にポッカリとスペースが開きやすい。そのため、直線で前が詰まる心配がほとんどなく、差し馬にとっては安心して乗れるコースである。

第1コーナーまでの距離が長いため、枠順による有利・不利はほとんどない。あるとすれば、最初の直線において、ポケットの直線から本線に入る際、わずかに内の馬が窮屈になることぐらいか。とはいえ、1番枠でない限り、ほとんど気にする必要はないだろう。


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マイルCSを当てるために知っておくべき3つのこと

Milecs

■1■マイルの連対率は重要な目安
マイルのチャンピオン決定戦である以上、1600mのレースにおける連対率が50%を割っているような馬はチャンピオンとして相応しくない。1600m戦での連対率は、その馬のマイル戦に対する適性を顕著に表すからだ。

大荒れとなった平成7年は、出走馬18頭中、1600mのレースにおける連対率が50%を超えている馬がわずか2頭しかいないというレベルの低いレースであった。その2頭が、安田記念も勝ったトロットサンダーと、なんと大穴のメイショウテゾロである。このことからも、マイルチャンピオンシップにおいて、マイルの連対率がどれだけ重要なデータとなるかが分かる。マイルの連対率が50%を切っている馬は軽視すべきである。

■2■勝つためにはスタミナが必要
京都1600m外回りコースで行われるため、スピードだけでは押し切れないレースである。前4走ともに1600m未満の距離を使っていたスプリンタータイプの馬では、最後の直線でスタミナ切れすることになる。スプリンタータイプの馬では勝ち切ることは難しい。勝つためには、中距離を走り切れるだけのスタミナが必要とされる。1600m以上の中距離レースでの実績は必要。 

■3■サンデーサイレンスの血を引く馬?
過去10年のレースラップ(下参照)を見ても、昔は前半から飛ばす馬がいてハイペースになることが多かったが、ここ最近は、さすがにスローにはならなくても、全体的にフラットな落ち着いた流れになる傾向が強い。1分32秒台後半から33秒前半という全体時計は変わらないということは、前半が厳しい流れになる昔のレースの方がレベルは高かったということになる。

そのため、ズブズブのスタミナ勝負になることは少なく、スッと先行して4コーナーを持ったまま先頭で押し切れるぐらいスピードに富んだ馬、もしくは瞬発力勝負に長けた馬にとっては競馬がしやすいレースになる。デュランダル、ハットトリック、ダイワメジャーと、サンデーサイレンス産駒が5年連続でこのレースを勝ったのも、そういう特性(軽さと瞬発力)こそが問われるからである。もし血統的に狙いを絞るとすれば、ありきたりではあるが、サンデーサイレンスの血を引く馬ということになる。

12.3-10.6-11.1-12.0-11.5-11.6-11.2-12.4(46.0-46.7)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.6-10.6-11.2-12.0-11.6-11.5-11.3-11.9(46.4-46.3)M
1:32.7 ダイワメジャー
12.5-10.6-11.3-11.9-11.6-11.4-11.6-11.7(46.3-46.3)M
1.32.6 ブルーメンブラッド
12.1-10.9-11.8-12.4-11.5-11.4-11.2-11.9(47.2-46.0)S
1.33.2 カンパニー
12.1-10.7-10.9-11.6-11.4-11.1-11.9-12.1(45.3-46.5)H
1.31.8 エーシンフォワード
12.4-10.8-11.2-12.3-11.9-11.8-11.6-11.9(46.7-47.2)M
1.33.9 エイシンアポロン
12.5-11.1-11.4-11.9-11.3-11.3-11.5-11.9(46.9-46.0)M
1.32.9 サダムパテック
12.5-11.1-11.5-11.7-11.5-11.2-11.4-11.5(46.8-45.6)S
1.32.4 トーセンラー
12.0-10.4-11.3-11.6-11.4-11.5-11.3-12.0(45.3-46.2)M
1:31.5 ダノンシャーク
12.6-10.9-11.1-12.5-11.9-11.1-11.5-11.2(47.1-45.7)S
1.32.8 モーリス

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馬を抑える本物の技術と自信が問われている


エリザベス女王杯2016―観戦記―
外枠から人気薄のプリメラアスールが先頭に立ち、それをメイショウマンボとシングウィズジョイがマークする形で序盤は流れた。前半1000mが61秒8、後半が58秒5という究極のスローペース。マリアライトに道中の不利があったことで、まくってペースを上げる馬が失われたことが、レースの流れを大きく変えてしまったと言える。とにかく前に行った馬にとって圧倒的に有利な、ラスト3ハロンの瞬発力勝負となった。

勝ったクイーンズリングにとっては、スタミナを問われる流れにならなかったことが最大の勝因である。これだけのスローでもかからない折り合いの良さがあり、上がってゆくべきときに鞍上の指示に反応できる素直さがあり、最後まであきらめない真面目さがある。体型的にもスタミナが豊富なタイプではなく、決して肉体的に恵まれている馬でもないが、今回はクイーンズリングの良さが全て良い方向に出たレースであった。

2着に粘り込んだシングウィズジョイは明らかに展開に恵まれた。体調が整って、自分の型にはまれば大崩れはしない馬だが、それにしても今回は楽に行けたことに尽きる。クリストフ・ルメール騎手はテン乗りということもあり、思い切って馬を出していけたのだろう。たまたま展開に恵まれたというよりは、展開に恵まれることを期待して前を攻めたところ、思っていた以上に恵まれたということである。

デムーロ騎手とルメール騎手のワンツーフィニッシュとなり、今回のレースに騎乗して、または観て、他の日本人騎手たちはどう感じたのだろう。馬を抑えて、脚をためる技術は目に見えにくいものだが、彼我の間には天と地ほどの差がある。認めたくないかもしれないが、彼らは意図的に出してポジションを取りに行っているのに対し、多くの日本人騎手たちは馬任せでポジショニングをしている。このようなヨーロッパに近い流れは彼らの得意とするところだと分かっていても、自らは動けないというジレンマがある。馬を抑える本物の技術と自信が日本人騎手に問われているのである。

ミッキークイーンは良い体つきになっており、肉体的にはリフレッシュされていたが、その分、最後は伸び切れなかった。浜中騎手はソツない騎乗をして、同馬の力を出し切っている。どのような状況でも好走するのがこの馬の良さであり、ひと叩きされた次走は、かなりの確率で勝ち負けになるのではないだろうか。3歳馬のパールコードは積極さが生きて、4着に粘り込んだ。これだけ流れに乗って、展開に恵まれての結果だから、現時点では古馬とは力が劣る。

1番人気に推されたマリアライトは最初のコーナーにおける不利が痛かった。ポジションを下げてしまっただけではなく、脚を失ってしまったのか、この馬の得意なまくりの作戦を打つことができなかった。上がり勝負になってしまうと苦しい馬だけに、昨年同様に途中から自らペースアップしたかったところだが、蛯名正義騎手は馬のダメージを気にしてためらってしまったのだろう。宝塚記念を牡馬相手に勝った馬がエリザベス女王杯で敗れるとは、競馬は本当に何があるか分からない。

マリアライトと同着のシュンドルボンも道中のポジショニングが悪かった。マリアライトがまくって行く、その後ろからついてゆく作戦だったのか分からないが、このペースであれだけ後ろを走っても勝つチャンスすらない。タッチングスピーチはスタミナ型の馬だけに、同じく今回のようなレースでは良さが全く生きなかった。

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スタミナと底力勝負ならエルコンドルパサーの名を探せ

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あの馬がもっと長く生きていたら、どのような産駒を出したのだろう。もしかすると競馬の世界が変わっていたかもしれない。サイレンススズカが不運に見舞われなければ、ナリタブライアンが病に倒れなければ、などなど。長く競馬を見ていると、ふとそのような感慨にふけることがある。競馬は血の歴史でもある以上、名馬が血をつなげないことは最大の損失であり、たとえ一滴でもその血が残ることには大きな価値がある。

エルコンドルパサーはまさにそうであった。全くその血を残せなかったということではない。2000年に種牡馬入りしてから、誕生したわずか3世代(出走頭数にして303頭)のデビューを待つことなく、2002年に腸ねん転によりこの世を去ってしまったのだ。もしあと10年、いや欲を言えば20年、種牡馬として生きることができたとしたら、おそらく日本の血統地図は大きく塗り替えられていたはずである。

サンデーサイレンスを父に持つ繁殖牝馬と配合できる種牡馬の最右翼であるキングカメハメハと同様に、エルコンドルパサーはミスタープロスペクター系のキングマンボを父に持つ。キングマンボ産駒は26頭のG1ホースを世界中に送り出したが、そのうちの最強馬である2頭が、日本馬として血を残しているのだから不思議である。キングカメハメハは芝・ダートを問わず、スプリンターからクラシックディスタンスを走る馬まで、万能な種牡馬としての地位を不動なものにしているが、エルコンドルパサーは果たしてどのような産駒を誕生させたのだろうか。

エルコンドルパサーを管理した二ノ宮敬宇調教師はこう語ってくれた。

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パワーアップ著しいマリアライト:5つ☆

クイーンズリング →馬体を見る
古馬になって少しずつ馬体に成長は見られるが、それでも幼さは否めない。
胴部には長さがなく、距離的には2000mまでが限界だろう。
Pad3star

シングウィズジョイ →馬体を見る
時期的に冬毛が出てきているのは仕方ないが、馬体が寂しい気がする。
立ち姿のバランスが悪く、筋肉のメリハリという点においても物足りない。
Pad3star

シャルール →馬体を見る
胴部はゆったりとした造りで、血統的にもいかにも距離が延びて良さそう。
それでも、筋肉のメリハリには乏しく、このメンバーに入るとやや力が劣るはず。
Pad3star

ミッキークイーン →馬体を見る
ふっくらとして休み明けらしい仕上がりだが、力は出し切れるのではないか。
体型的には2000mがベストだが、素直な気性ゆえに距離は問題ないだろう。
Pad3star

タッチングスピーチ →馬体を見る
絵にかいたようなステイヤー体型であり、エリザベス女王杯は待ち望んだ舞台。
馬体も研ぎ澄まされていて、ここに向けて仕上げてきたのが分かる仕上がり。
Pad45star

アスカビレン →馬体を見る
腹が巻き上がっているように、このメンバーに入るとパワーという点で劣る。
毛艶もくすんできているように、体調的にも下降線を辿っている。
Pad3star

ヒルノマテーラ →馬体を見る
同じマンハッタンカフェ産駒であるクイーンズリングに比べると胴部が長い。
毛艶は冴えないが、馬体全体にパワーが漲っていて、大崩れはしないだろう。
Pad3star

デンコウアンジュ →馬体を見る
3歳馬としては可もなく不可もない馬体だが、古馬に混じってしまうと見劣りする。
ただ、前駆の力強さと顔つきからも分かるように気の強さは健在でどこまで走るか。
Pad3star

パールコード →馬体を見る
馬格があり、立ち姿もいつも良く見せる馬だが、季節的にいつもの迫力はない。
それでも馬体全体のバランスの良さは維持しており、古馬に混じっても問題ない。
Pad3star

マリアライト →馬体を見る
パワーアップ著しいと言うべきか、歴戦の牡馬を負かしただけのことはある。
前後躯のバランスも素晴らしく、ひと叩きされて、完璧に仕上がった。
Pad5star

シュンドルボン →馬体を見る
ふっくらとして、もうひと絞りできそうな馬体だが、いつも通り良く見せる。
手足が長く、首差しから後躯にかけてのラインも理想的で、文句なしの好馬体。
Pad45star

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京都芝2200m(外回り)

Kyoto2200t1

スタンド前からの発走となり、最初のコーナーまでの距離は397mと短くも長くもない。1コーナーまでには各馬の位置取りがスムーズに決まることが多く、コーナーを2つ回って、向こう正面にかけて比較的穏やかにレースが進む。かと思えば、前半から飛ばす馬がいて意外に前半のペースが速くなったりするため、折り合いの難しい馬や器用に立ち回ることの出来ない馬にとっては、勝ち切ることが難しいコースである。

道中がスローの団子状態で流れた場合、外々を回されてしまうと、かなりの距離ロスになってしまう。外を回されやすい外枠よりも、経済コースを進むことができる内枠を引いた馬の方が有利になる。

外回りコースでは、4コーナーの出口で内回りコースと合流するため内柵がなくなり、内にポッカリとスペースができる。そのため、内埒沿いを走っていても前が詰まることが少なく、脚さえ残っていれば確実に馬群を割ることができる。よって、脚を余して負けるということが極めて少ない、実力が正直に反映されるコース設定となっている。

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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第18回)

Hitokuti18

クインアマランサスがノーザンファームしがらきに放牧されてから、音沙汰がなくなった。といっても、音信不通になったとかそういうことではなく、ほとんど動きがなくなったということである。シルクホースクラブは状況を逐一メールで送ってくれてありがたいのだが、馬自身の臨戦態勢がなかなか整っていかないのだろう、この1ヶ月と少しの間、栗東トレセンに戻れそうな気配が一向に感じられない。

9月23日
厩舎長「先週いっぱいは疲れを取るために軽めのメニューで調整し、20日から周回コースで乗り出しを開始しています。捌きの硬さは窺えるものの、姿勢を起こしながら意識して乗ると少しは肩の出がスムーズになるので、出来るだけ意識しながら調教を行っていきたいと思います。馬体重は452kgです」

9月30日
厩舎長「この中間は坂路主体の調教メニューにして、出来るだけ体全体を使って走らせるように心掛けています。歩様の硬さも少しずつ良化が窺えますから、今の感じで進めていきたいと思います。馬体重は469kgです」

10月7日
厩舎長「歩様の硬さも時間をかけてあげれば解れてきますし、普段は坂路で17秒ぐらいのキャンターを2本行い、速い日は終い15秒まで脚を伸ばしています。今のところ変わりなく来ていますし、出来るだけ体全体を使って、前に負担をかけずに走れるよう心掛けながら調教を行っていきます。馬体重は473kgです」

10月14日
厩舎長「この中間も順調に調整することが出来ていましたので、今週から週3回のペースで17秒から15秒まで脚を伸ばしています。ここまで進めている限り、歩様の硬さも変わりなく来ていますし、状態としては上向き傾向にあります。このまま乗り込んでいけば帰厩の目処が立ってくると思いますので、引き続き良化を図っていきたいと思います。馬体重は479kgです」

10月21日
厩舎長「この中間も坂路でハロン17秒から15秒まで脚を伸ばしていますが、歩様も変わりありません。もう少し時間をかけて本数を重ねていけば更に良くなってくると思います。馬体重は475kgです」

10月28日
厩舎長「この中間も坂路でハロン16秒から15秒まで脚を伸ばしていましたが、順調にここまで進めることが出来ましたので、今週はリフレッシュを兼ねてトレッドミルで軽めのメニューで調整しました。乗り込む毎に状態も上向いてきましたし、来週から元のメニューに戻して帰厩に向けて進めていきたいと思います。馬体重は479kgです」

11月4日
厩舎長「先週一杯はリフレッシュを兼ねて軽めの調整でこれまでの疲れを取りましたが、今週から坂路でハロン17秒ぐらいのところで乗り込みを再開しています。このまま変わりがなければ来週からハロン15秒まで脚を伸ばし、帰厩に向けてピッチを上げていきたいと思います。馬体重は476kgです」

馬体重の変化を見ると、クインアマランサスにとって栗東トレセンという新しい環境における生活がストレスフルであり厳しいものであったことが窺える。ゲート試験も含めて、競走馬としてデビューするための最終仕上げが施されるのだから当然といえば当然だが、入厩前と比べると馬体重が15kg減って戻ってきている。この数字だけを見ても、そのままデビューさせるのではなく、一旦ノーザンファームしがらきに放牧に出して立て直してからという判断は正しかったのだろう。

もうこれぐらいの時点になると、馬の欠点もはっきりとしてくる。クインアマランサスにおいては、前駆のさばきの硬さや肩の出の悪さが挙げられる。おそらく前に前にと気持ちが行って、前駆(人間でいうと上半身)だけで走ろうとして、両前肢に負担が掛かってしまうという走るフォームの欠点が顕著なのだろう。上半身を起こして、もっと体全体を使ってゆったりと走れるようにならなければならない。

前駆が勝っていて、トモが弱いという肉体の構造上の偏りがあるからこそ、走るフォームにも不均衡が生まれている面もあるが、逆に走るフォームを矯正することで、肉体の構造上の偏りを均(なら)していくという作業が必要になるのだ。時間が掛かる作業だし、長い目で見ると、時間を掛けるべきだろう。

そうはいっても、もうさすがに11月も半ばを迎えようとしている。かつて私は、クラシック戦線に乗ってくる馬は年内にデビューしているという理由で、年明けに格付けを行っていた。ちなみに、日本ダービー馬であるマカヒキもオークス馬のシンハライトも10月の新馬戦でデビューしている。他のクラシック競走上位馬たちも同じである。残酷なようであるが、年内にデビューできない馬は、能力面や健康面、気性面など何らかの理由があって出走にこぎつけることができていない。それは競走馬としての欠陥と言い換えても良いだろう。この厳然たる事実を、まさか自分の愛馬に突き付けられるとは。残された時間はあと1ヶ月半。

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エリザベス女王杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Elizabeth

■1■秋華賞→エリザベス女王杯の連勝は難しい
秋華賞→エリザベス女王杯という路線が3歳の有力馬にとって自然な選択となってきているが、秋華賞→エリザベス女王杯という連勝は難しい。秋華賞馬はエリザベス女王杯でもほぼ1番人気になるが、人気に応えられているとは言い難い。

平成13年 テイエムオーシャン(1番人気)→5着
平成14年 ファインモーション(1番人気)→1着
平成15年 スティルインラブ(1番人気)→2着
平成16年 スイープトウショウ(1番人気)→5着
平成17年 エアメサイア(1番人気)→5着
平成18年 カワカミプリンセス(1番人気)→12着(1位降着)
平成19年 ダイワスカーレット(1番人気)→1着
平成20年 ブラックエンブレム(不出走)
平成21年 レッドディザイア(不出走)
平成22年 アパパネ(1番人気)→3着
平成23年 アヴェンチュラ(2番人気)→2着
平成24年 ジェンティルドンナ(不出走)
平成25年 メイショウマンボ(2番人気)→1着
平成26年 ショウナンパンドラ(4番人気)→6着
平成27年 ミッキークイーン(不出走)

秋華賞とエリザベス女王杯の連勝が難しい理由としては、やはり秋華賞とエリザベス女王杯が違った性格のレースになるからだろう。秋華賞は京都2000m小回りコースで行われ、スピードの持続が求められるレースになりやすい。それに対し、エリザベス女王杯は京都2200m外回りコースで行われるため、折り合いとスタミナが要求される緩急のついたレースになりやすい。

また、小回りコースの高低差が3.1mに対し、外回りコースは4.3mと、外回りコースは丘をひとつ越えていかなければならない。そのため、秋華賞とエリザベス女王杯では、200mの距離以上に要求されるスタミナの量が異なってくるのである。

■2■世代交代について
エリザベス女王杯において、世代交代の問題は避けて通れない。一般的に、牝馬は牡馬に比べ、現役の競走馬として活躍できる期間が短いとされる。それは牝馬には血を繋ぐという役割があるからであって、肉体的そして精神的にも競走馬から繁殖牝馬へと変遷していく時期が自然とあるからだ。

ダイイチルビーは4歳時にスプリンターズステークスを制したが、5歳となった翌年は目を覆いたくなるような惨敗を繰り返しそのまま引退していった。その時に、伊藤雄二調教師が言った、「ルビーはもうお母さんの目になっているね」というセリフが印象的であった。肉体的には走れる状態にあったが、精神的にはレースを走り抜くだけの闘争心がすでに失われていたのであろう。

もちろん、馬それぞれにおいてピークは異なってくるので、この年齢以上では走れないというような線引きはできない。ただし、あと2ヶ月も経てばもう6歳馬となってしまう5歳の秋は、牝馬にとって非常に微妙な時期なのではないだろうか。明日にでも、まるで坂を転げ落ちるように競走馬としての能力が衰えてしまう、ギリギリのラインに立っているのである。

衰えゆく5歳馬から、充実の4歳馬、そして更なる上昇が期待される3歳馬への世代交代というクロスオーバーが行われるのがこのエリザベス女王杯である。平成12年から秋華賞が1週間繰り上げられ、エリザベス女王杯までが中3週となった。これにより勢いのある3歳馬の挑戦も増えることからも、5歳馬にとってはさらなる苦戦を強いられることになるであろう。

■3■牡馬と勝負になっていた馬でないと×
牝馬の中でチャンピオンを決める戦いではあるが、牝馬限定戦でずっと戦ってきたような馬では、このレースは勝てない。牡馬との厳しいレースで揉まれ、牡馬を相手に好勝負になっていた馬を狙うべきである。もちろん3歳馬については、牡馬混合戦に出る機会もなかっただろうから、この条件は当てはまらない。

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ハンデキャッパーになって考えてみる

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ハンデキャッパーとは、斤量を用いてレースの結果を操作する人のことである。強い馬には重い斤量を、力の劣る馬には軽い斤量を背負わせることで、出走全馬が横一線でゴールすることを目指している。そのようなことは現実的には不可能なので、どうしても勝ち負けが出てきてしまうが、勝ち馬から最下位の馬までの着差が僅かであればあるほど、ハンデ戦としては見ごたえがある(また馬券も売れやすくなる)。レースを荒らすのがハンデキャッパーの仕事のひとつである、と考えることもできる。誰もが思うような力どおりの決着であれば、ハンデ戦の意味はなくなるからである。

以前の連載でも書いたとおり、万国共通のモノサシとして、芝のマイル戦では1㎏の斤量(負担重量)増は1馬身のロスになるとされる。さらに、「背負う斤量が重ければ重いほどこたえる」、「距離が長ければ長いほどこたえる」、「馬場が重い方がこたえる」。「斤量が馬体重の12%を超えるとこたえる」という4つの条件の違いによって、馬にとっての斤量増に対する影響の大きさは異なってくる。たとえば、今週行われるアルゼンチン共和国杯は2500mで行われるため、距離の長さを考えると、斤量1kgの差は1馬身以上の重みがあるということになる。

これらの斤量に関する考え方を踏まえた上で、ハンデ戦を予想するにあたって、自らがハンデキャッパーになってみるという方法がある。まだハンデが決まっていない時点で予想を開始し、白紙の状態からハンデを1頭ずつ振り分けてみるのだ。それでは、アルゼンチン共和国杯の現時点での出走予定馬に対して、斤量を考えてみたい。

まずは出走予定馬の中で、基準となりそうなモノサシ馬を見つけると作業が楽になる。

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薄い皮膚を保っているモンドインテロ:5つ☆

★みやこS
アスカノロマン →馬体を見る
コロンとした体型に映ったが、ここにきて馬体全体に伸びが出てきている。
前駆が勝っていて、欲を言えば、トモの実の入りがさらに増してきてほしい。
Pad3star

インカンテーション →馬体を見る
胴部には十分な長さがあり、距離は延びた方が良さが出るタイプだろう。
筋肉量はさすがダート馬だが、筋肉のメリハリという点においてはあと一歩。
Pad3star

キョウエイギア →馬体を見る
3歳馬らしいフレッシュな馬体を誇り、休養して馬体に力が漲ってきた。
特に前駆の力強さは素晴らしく、この先成長と共にトモが充実してくれば。
Pad45star

グレンツェント →馬体を見る
こちらも3歳馬にしては実に力強さを感じさせ、休み明けでふっくらとしている。
顔つきからは気性面では素直なのだろうことが伝わってきて、今回も力を出せる。
Pad4star

ロワジャルダン →馬体を見る
このメンバーに入って他の出走馬と比べると、明らかに芝向きの体型である。
腹回りが巻き上がって映るように、仕上がりは万全なのかそれとも疲れがあるのか。
Pad3star

ラニ →馬体を見る
いかにも3歳馬らしい線の細さがあり、体型的にはこれから成長する馬だろう。
表情を見ても、幼さが随所に漂っていて、それでいて走るのだから末恐ろしい。
Pad3star

★アルゼンチン共和国杯
クリールカイザー →馬体を見る
胴部の長さに比べて、手脚が短く映り、そのため馬体全体の重心も低く感じさせる。
そういう意味で、距離が延びて心配があり、展開に恵まれないと厳しいか。
Pad3star

アルバート →馬体を見る
さすが堀厩舎の管理馬という立ち姿で、どの馬もきっちりと作り込まれている。
それでも、長距離を走る馬としてはやや余裕が残っていて、もうひと絞りほしい。
Pad4star

モンドインテロ →馬体を見る
皮膚がしっとりとして映るように、実に薄い皮膚を保っていて今のところ絶好調。
表情も凛々しく、鞍上の指示にきっちりと応えられる賢さが伝わってくる。
Pad5star

シュヴァルグラン →馬体を見る
春シーズンは究極の仕上げも施されて疲れがあったが、休養を入れて回復している。
ひと回り大きくなって、逆にやや太めが残っているように映り、叩かれて上昇する。
Pad45star

ワンアンドオンリー →馬体を見る
これと言って強調材料はなく、ダービー馬とは思えないほど凡庸な馬体に映る。
仕上がりも体調自体も悪くはないため、この馬の力を出し切ってどこまで走るか。
Pad3star

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競馬の神様よ、ありがとう。

Jbckawasaki01

11月3日はJBCを観戦しに川崎競馬場に行ってきた。今年のJBCクラシックは、日本ダート界の頂上決戦とうたうに相応しい、素晴らしメンバーが揃った。JBCクラシック3連覇がかかったコパノリッキーやダートGⅠ10勝の記録を持つホッコータルマエ、そしてダート路線に転向して負け知らずの5連勝で臨んでくるアウォーディー。さらにフェブラリーS、帝王賞を2着と勝てそうで勝てないノンコノユメ、前走で韓国G1コリアカップを制したクリソライトなど、まさに群雄割拠である。

私が競馬場に到着した頃には、JBCレディスクラシックのパドックを各馬が周回していた。入場門をくぐった瞬間から、いつもの川崎競馬場ではないことがひしひしと伝わってくる。コロッケを買うための長い行列や2階スタンドからパドックを見下ろす競馬ファンの密度に驚かされた。好天のもと、1日にG1レースを3つも観られるとは、なんと私たちは幸せなのだろう。

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レディスクラシックはレッツゴードンキの扱いが難しく、馬券は買わずにパスすることにした。前走のスプリンターズSで逃げる戦略を期待して本命を打っただけに(実際は後ろから行って前が詰まって負け)、今回は初ダートということも含め、どのようなポジションを走るか掴みみ切れなかったからである。第1コーナーにかけてレッツゴードンキが外からスルスルと上がってきたときには、「そうだ岩田!」と心の中で叫んでしまった。ホワイトフーガの横綱相撲に押し切られてしまったが、この馬の力は出し切ったと思う。

続くJCBスプリントは内枠に人気馬が集まった。ダノンレジェンドやベストウォーリア、地方代表のソルテなど、とにかくパワーとスピードに溢れている面々。パドックをずっと見ていると、人気馬たちも悪くはないのだが、なぜか5番のレーザーバレットが良く見えて仕方がない。実績や近走のレース振りを見る限り、勝ち負けはさすがに難しいと思えるが、もしかしたら3着はあるかもしれない(ルメール騎手の腕込みで)と思い立って、つい複勝を買ってしまった。最初のコーナーでの不利によってポジションを下げてしまったのが痛く、差して届かずの4着に終わってしまった。勝ったダノンレジェンドは内枠を利して、スピードを生かしたデムーロ騎手の思い切りの良さが光った。

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いよいよメインレースであるJCBクラシックの時刻が迫ってきた。何を隠そう、わざわざ今日、川崎競馬場まで足を運んだのは、このレースでクリソライトに騎乗する藤井勘一郎騎手の勇姿をひと目見るためである。「ROUNDERS」vol.2において、海を渡ったジョッキーを取り上げた企画でインタビューさせてもらって以来、シンガポール、韓国、オーストラリアと、どの国で彼が乗っていても陰ながら応援させてもらってきた。その藤井騎手の騎乗を日本国内のG1レースで観られるチャンスである。

前走のレースに騎乗していなかった藤井騎手は、ひと足早く、パドックに到着し、ノーザンファームの吉田勝己代表と話をしていた。クリソライトの話だろうか、海外競馬についての情報交換だろうか、それとも他愛のない世間話だろうか。ジョッキーたちが横一列に並ぶと、藤井騎手の隣には武豊騎手がいた。競馬少年だった藤井騎手にとって、憧れの存在であった武豊騎手と隣に並んでパドックに立つなんて、心躍る瞬間だったに違いない。

騎乗の合図が送られると、藤井騎手は真っ先にクリソライトに駆け寄って、鼻面を優しく撫で、その背中に軽やかに飛び乗った。近くにいたおやじさんが「誰だ、藤井って?」と大きな声でひとりごちていたのが耳に入ったので、「藤井勘一郎騎手は、日本の騎手学校にわずか1kg体重が重くて入学できず、オーストラリアの騎手学校に渡って…」と思わず教えてあげたくなったがやめておいた。これから先、藤井騎手が世界中のターフで活躍することで、いつか彼のような日本人騎手がいることを知ってもらえるはずだから。

Jbckawasaki05

馬券はもちろんクリソライトの単勝を買った。玉砕覚悟と言うと、藤井騎手やクリソライトの関係者に失礼になるかもしれないが、今回のメンバーで勝ち切るのはさすがに難しいだろう。どうせ外れるなら、思い切って単勝で敗れた方がいい。この単勝馬券を持っている限りは、藤井騎手が万が一にも勝ったとき、共に喜びを分かち合える。

それにしてもアウォーディーは強かった。コパノリッキーを外から捲り切り、内で抵抗するホッコータルマエを歯牙にもかけず、着差以上の圧勝であった。3着にはサウンドトゥルーが突っ込んできて力のあるところを見せた。ノンコノユメは小さい体ながらも良く走っている。藤井騎手が騎乗したクリソライトは、スタートしてからすでに行きっぷりが悪く、勝負所で早めに手応えもなくなり、力尽きて惨敗してしまった。海外遠征の疲れも残っていたのだろう。見せ場すら作ることができず、藤井騎手も悔しかったのではないか。

馬券も全く当たることなく、寒風が身に沁みながら、私は帰途に就いた。川崎駅まで歩いて帰る中、これだけ負けたにもかかわらず、どこかで納得している自分がいた。実は今日、競馬場に来るまでに、仕事で上手く行かないことがあって、やや感情的になってしまっていたところを、「世の中、おまえの思うとおりになんかいかないよ」と競馬の神様にたしなめられたような気がしたのだ。「そうですよね、思い通りにいかなくて普通ですよね」とつぶやいてみると、私の心のさざ波はすっと静まっていった。私ぐらいの年になると、正面切ってそう言ってくれる人がいなくなる中で、競馬の神様だけはいつも、いつまでも教えてくれる。競馬の神様よ、ありがとう。

Jbckawasaki06


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ファンタジーSを当てるために知っておくべき3つのこと

Fantasys

■1■キャリアは2、3戦が理想的
キャリア別の成績は以下のとおり。
1~3戦 【7・8・7・93】 連対率14%
3戦以上【3・2・3・30】 連対率10%

キャリアが豊富な馬よりも少ない馬の方が、僅かながらも連対率が高い。ファンタジーSの時点で3戦以上のキャリアがあるということは、素質がないため出走したレースで順当に勝ち上がれなかった、もしくは将来を見据えて大事に使われていないことの証明でもある。キャリア3戦以内の素質馬を出来れば狙いたい。

とはいえ、キャリアがあまり少なすぎる(1戦)のも怖い。キャリア1戦でこのレースを勝った馬は、プリモディーネ、スイープトウショウ、ラインクラフトと、後にG1レースを制した名牝たちのみである。逆に言えば、このレースをキャリア1戦で勝つような馬は、かなりの素質と将来性を秘めていると考えて間違いない。

■2■スプリント的な要素が求められる
この時期の京都は、成長は止まっても野芝の状態が良いため、軽さが維持される馬場である。そのため、1400mの距離ではあっても、短い距離を一気に走り抜けることの出来るスプリント能力がまず問われる。過去10年間で、前走から距離を短縮して臨んできた馬の成績は【0・1・1・19】と意外に振るわないのはここに理由があって、前走ゆったりとしたマイル戦で好走した馬は人気になるが、このレースに関しては疑ってかかるべき。

■3■先行馬有利
京都1400m外回りコースは、最初のコーナーまでの距離が512mと長く、緩やかな登り坂になっていることもあり、先行争いが激化することはほとんどない。そのため、前半3ハロンの平均タイムは34秒8、後半のそれが35秒2と、ほぼ平均ペースに近い流れになる。軽さが維持されているオーバーシード芝であることも加わって、前が止まりにくく、先行した馬にとっては有利になる。

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