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競馬の神様よ、ありがとう。

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11月3日はJBCを観戦しに川崎競馬場に行ってきた。今年のJBCクラシックは、日本ダート界の頂上決戦とうたうに相応しい、素晴らしメンバーが揃った。JBCクラシック3連覇がかかったコパノリッキーやダートGⅠ10勝の記録を持つホッコータルマエ、そしてダート路線に転向して負け知らずの5連勝で臨んでくるアウォーディー。さらにフェブラリーS、帝王賞を2着と勝てそうで勝てないノンコノユメ、前走で韓国G1コリアカップを制したクリソライトなど、まさに群雄割拠である。

私が競馬場に到着した頃には、JBCレディスクラシックのパドックを各馬が周回していた。入場門をくぐった瞬間から、いつもの川崎競馬場ではないことがひしひしと伝わってくる。コロッケを買うための長い行列や2階スタンドからパドックを見下ろす競馬ファンの密度に驚かされた。好天のもと、1日にG1レースを3つも観られるとは、なんと私たちは幸せなのだろう。

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レディスクラシックはレッツゴードンキの扱いが難しく、馬券は買わずにパスすることにした。前走のスプリンターズSで逃げる戦略を期待して本命を打っただけに(実際は後ろから行って前が詰まって負け)、今回は初ダートということも含め、どのようなポジションを走るか掴みみ切れなかったからである。第1コーナーにかけてレッツゴードンキが外からスルスルと上がってきたときには、「そうだ岩田!」と心の中で叫んでしまった。ホワイトフーガの横綱相撲に押し切られてしまったが、この馬の力は出し切ったと思う。

続くJCBスプリントは内枠に人気馬が集まった。ダノンレジェンドやベストウォーリア、地方代表のソルテなど、とにかくパワーとスピードに溢れている面々。パドックをずっと見ていると、人気馬たちも悪くはないのだが、なぜか5番のレーザーバレットが良く見えて仕方がない。実績や近走のレース振りを見る限り、勝ち負けはさすがに難しいと思えるが、もしかしたら3着はあるかもしれない(ルメール騎手の腕込みで)と思い立って、つい複勝を買ってしまった。最初のコーナーでの不利によってポジションを下げてしまったのが痛く、差して届かずの4着に終わってしまった。勝ったダノンレジェンドは内枠を利して、スピードを生かしたデムーロ騎手の思い切りの良さが光った。

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いよいよメインレースであるJCBクラシックの時刻が迫ってきた。何を隠そう、わざわざ今日、川崎競馬場まで足を運んだのは、このレースでクリソライトに騎乗する藤井勘一郎騎手の勇姿をひと目見るためである。「ROUNDERS」vol.2において、海を渡ったジョッキーを取り上げた企画でインタビューさせてもらって以来、シンガポール、韓国、オーストラリアと、どの国で彼が乗っていても陰ながら応援させてもらってきた。その藤井騎手の騎乗を日本国内のG1レースで観られるチャンスである。

前走のレースに騎乗していなかった藤井騎手は、ひと足早く、パドックに到着し、ノーザンファームの吉田勝己代表と話をしていた。クリソライトの話だろうか、海外競馬についての情報交換だろうか、それとも他愛のない世間話だろうか。ジョッキーたちが横一列に並ぶと、藤井騎手の隣には武豊騎手がいた。競馬少年だった藤井騎手にとって、憧れの存在であった武豊騎手と隣に並んでパドックに立つなんて、心躍る瞬間だったに違いない。

騎乗の合図が送られると、藤井騎手は真っ先にクリソライトに駆け寄って、鼻面を優しく撫で、その背中に軽やかに飛び乗った。近くにいたおやじさんが「誰だ、藤井って?」と大きな声でひとりごちていたのが耳に入ったので、「藤井勘一郎騎手は、日本の騎手学校にわずか1kg体重が重くて入学できず、オーストラリアの騎手学校に渡って…」と思わず教えてあげたくなったがやめておいた。これから先、藤井騎手が世界中のターフで活躍することで、いつか彼のような日本人騎手がいることを知ってもらえるはずだから。

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馬券はもちろんクリソライトの単勝を買った。玉砕覚悟と言うと、藤井騎手やクリソライトの関係者に失礼になるかもしれないが、今回のメンバーで勝ち切るのはさすがに難しいだろう。どうせ外れるなら、思い切って単勝で敗れた方がいい。この単勝馬券を持っている限りは、藤井騎手が万が一にも勝ったとき、共に喜びを分かち合える。

それにしてもアウォーディーは強かった。コパノリッキーを外から捲り切り、内で抵抗するホッコータルマエを歯牙にもかけず、着差以上の圧勝であった。3着にはサウンドトゥルーが突っ込んできて力のあるところを見せた。ノンコノユメは小さい体ながらも良く走っている。藤井騎手が騎乗したクリソライトは、スタートしてからすでに行きっぷりが悪く、勝負所で早めに手応えもなくなり、力尽きて惨敗してしまった。海外遠征の疲れも残っていたのだろう。見せ場すら作ることができず、藤井騎手も悔しかったのではないか。

馬券も全く当たることなく、寒風が身に沁みながら、私は帰途に就いた。川崎駅まで歩いて帰る中、これだけ負けたにもかかわらず、どこかで納得している自分がいた。実は今日、競馬場に来るまでに、仕事で上手く行かないことがあって、やや感情的になってしまっていたところを、「世の中、おまえの思うとおりになんかいかないよ」と競馬の神様にたしなめられたような気がしたのだ。「そうですよね、思い通りにいかなくて普通ですよね」とつぶやいてみると、私の心のさざ波はすっと静まっていった。私ぐらいの年になると、正面切ってそう言ってくれる人がいなくなる中で、競馬の神様だけはいつも、いつまでも教えてくれる。競馬の神様よ、ありがとう。

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Comments

治郎丸さんいつもお疲れ様なんです(・ω・)ノ川崎JBC現地観戦していたのですね(^^;;羨ましい(・ω・)ノ自分も藤井騎手の応援も兼ねてクリソライトの複勝を買ってました(^^;;JBCの前日に藤井騎手にお世話になったのもありますがクリソライトはやはり海外帰りで体調がもどってなかったんでしょうね。アメリカンスタイルで必死に追われるも最後は余力がなかったんでしょうね(´-`).。oO仕方ない結果になりましたが藤井騎手は最後まで頑張って追ってくれていたので負けても納得ですね(^^;;

Posted by: ユビキタス | November 06, 2016 at 11:18 PM

ユビキタスさん

おはようございます。

ここしかチャンスはないと思い、川崎まで駆けつけました。

結果は残念でしたが、生で観ても雰囲気のあるジョッキーでした。

クリソライトに関しては、力関係という以前の問題で、最初から推進力が馬になく、力を発揮できるような体調になかったみたいですね。

またこのような機会が訪れることを期待したいと思います。

Posted by: 治郎丸敬之 | November 07, 2016 at 08:37 AM

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