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信じる者は


チャンピオンズC2016―観戦記―
内枠を利したモンドクラッセとアスカノロマンが先頭争いをし、そのすぐあとにコパノリッキーやブライトラインという先行馬たちが続き、前半800mが48秒8、後半が49秒5という平均的なペースで流れた。数字上はミドルペースでも、結果的には後方から差した馬たちにとって有利な流れになったのは、5ハロン目から11秒8、6ハロン目も11秒8と続いて急激にペースアップしたことによる。このあたりから先行した馬たちは息が入らなくなり、我慢してついて行った差し馬たちの最後の最後における逆転につながった。

勝ったサウンドトゥルーは、とにかく末脚が確実である。どのような展開でも確実に差し込んでこられるのは、あきらめずに最後まで走ることができるからだろう。それは案外難しいことで、途中でレースをやめてしまったり、苦しくなってから踏ん張れなかったりする馬が(たとえオープン馬でも)多い中、コンスタントに走り続けているからこそ、展開が向いたときにチャンスが訪れるのだ。叩き3戦目で体調はピークであったろうし、小回りを意識してジョッキーたちが早めに仕掛けることで差しが決まりやすいチャンピオンCの舞台もこの馬に向いた。

大野拓弥騎手は腹を括って、ほぼ最後方からの差しに徹していた。もう少し前のポジションへと馬を促したくなるのが普通の騎手の心情だが、今回はサウンドトゥルーのリズムで走らせて、届かなければそれで仕方ないという乗り方であった。3着が2度続いている流れの中で、このような決め打ちはなかなかできないものである。してやったりというか、信じる者は救われたという内容と結果であった。

1番人気ながらも敗れたアウォーディーは、道中で手応えがあやしくなり、最後の直線では先頭に立ってから気を抜いてしまった。道中でズブさを見せたのは、砂を被ったからか、それとも急激にペースアップしたからか、いずれにせよこれまで楽な競馬をして6連勝してきたことが今回に限っては裏目に出た。道中で気の難しさを見せるのも、最後の直線でソラを使うのも根本は同じで、初めての厳しいダートレースに巻き込まれて、アウォーディー自身が苦しかったからである。それでもここまで走ったのだから、この馬のダート馬としてのポテンシャルは相当に高い。

アウォーディーに関してひとつ気になったのは、道中で手応えが悪くなり、一旦下がりかけた場面でにおいて、すぐ外にいたブライトアイディアの幸英明騎手が進路を譲ったことだ。たとえ相手が1番人気馬であり、自分の馬が15番人気であったとしても、あそこで外から蓋を(ブロック)しておけば、もしかするとアウォーディーは上がってゆけず、馬群に沈んでいた可能性もある(もしくはギリギリで抜け出して勝っていたかもしれない)。譲り合いの精神は大切だが、そこは勝負ごとであり、シビアに乗ってもらいたかった。そんなドメスティックな競馬は見たくない。

厳しいペースを3着に粘り込んだアスカノロマンは力を全て出し切っている。中京ダート1800mコースは小回りであり、内枠を引いて、内ラチ沿いを走ることができる馬にとって明らかに有利になる。昨年の勝ち馬サンビスタがそうであったように、ハイペースで前を攻めたとしても、内をピッタリと回ることでカバーできるのである。そう考えると、外を回って先行したモーニンやゴールドドリーム、コパノリッキーらにとっては非常に厳しいレースであった。

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Comments

冶郎丸さん こんにちは

鞍上大野拓弥騎手のサウンドトゥルーが優勝。

アウォーディーの通ったスペースを豪脚で突き抜けていくのを見ながら
2014年スノードラゴンで優勝のスプリンターズSが被りました。
あの時は13人気の人気薄で気楽だったと思います。
この時が大野騎手のG1初優勝。嬉しかったと思います。

2015年の同レースは高木師の内を突けという指示を守ろうとして3着。

2016年今年は騎手に託した高木調教師とそれに応えた大野騎手。
つねに突き抜けて来るサウンドトゥルーを信じてお互いを信頼した二人の腹の括りように感動しました。

アウォーディーは道中の一件がすべてでした。
外には出れましたがその分ロスでしたしアスカノロマンを捕まえに行った分差されてしました。
アスカノロマンはおっしゃるとおりすべてを出し切ったと思います。

同じレースは二度とないわけですし競馬の神様を味方につけた者に勝利の女神は微笑むのでしょうね。
そのおこぼれをもらって同じ光の差す場所を味わいたいがために私たちは予想をしては悶絶を繰り返すのですが…
それでも競馬が素晴らしいと思えるのは神様の隠し味があるからなのでしょう。


Posted by: コテツ | December 08, 2016 at 11:58 AM

コテツさん

すいません、見落としていました。

スノードラゴンのときもそうでしたが、今回もよくぞあそこまで我慢して追い出せたなと思いました。

少しでも早く動いてしまっていれば、届かなかった可能性もありましたね。

人気のある馬ではできない乗り方かもしれませんが、人気がないなりの乗り方はあるのですね。

大野騎手はこれから先もあっと言わせる騎乗をたくさん見せてくれるのではないでしょうか。楽しみです。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 12, 2016 at 07:45 PM

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