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パズルのピースのようにはまり合った


朝日杯フューチュリティS2016―観戦記―
ボンセルヴィーソが内枠から飛び出し、外からトラストが2番手につけ、前半のマイルは48秒3、後半が47秒1という超スローペースで流れた。馬場状態こそ多少違え、先週の阪神ジュベナイルフィリーズが46秒7―47秒3だから、今年の朝日杯フューチュリティSは明らかにレースレベル自体が低かった。道中はほとんどの馬たちがレースの流れに乗るのに苦しみ、体力を消耗した一方、後ろから行って折り合いをつけることに専念した馬たちが突き抜けた。スローの展開を考えると、前に行った馬たちに有利になりそうなものだが、自分のペースで走れないという精神的消耗が肉体的なダメージにつながるという良い例である。キャリアの浅い2歳馬同士の争いにおいて、極端なスローペースになってしまったことで、実に不思議な形での決着となった。

勝ったサトノアレスは、メンバー中で最も折り合いがつき、道中の体力のロスが少なかった分、最後の直線で弾けた。デビューからの2戦は札幌の小回りコースが合わずに惜敗していたが、のんびりと走らせて終いの脚を生かす競馬に徹してから3連勝。確実に折り合いがつく賢さと伸びのある馬体を見ても、距離が延びてさらに良さが出そうなタイプである。この馬が本領発揮するのは本来もう少し先であったはずだが、今回のレースは展開が向いたことで偶然にも勝利できたという捉え方で良いだろう。まだ成長の余地を残している馬体であり、来年はどのような馬になるのか楽しみである。

四位洋文騎手は6年ぶりのG1勝利となった。ポジションを無理に取りに行くことをせず、基本的には馬任せのリズムで走らせ、勝負所から綺麗に外を回して追ってくる騎乗をスタイルとしており、現代の日本競馬においてはそれが仇となってしまうレースも少なくないが、今回は馬のリズムと展開、そして四位騎手のスタイルが、パズルのピースのように上手くはまり合った。藤沢和雄厩舎は先週に続きG1レース連勝となり、牝馬と牡馬の2歳チャンピオンを有することになる。今年は関東リーディングの首位に走っているように、厩舎全体としてのリズムも良く、藤沢調教師のファンのひとりとしては嬉しい限りである。

モンドキャンノは距離延長を気にした分、スタートから出して行かず、末脚に賭けたことが功を奏した。体型的にも血統的にもマイルがギリギリのタイプだが、折り合いがつきやすい気性だからこそ、前走同様に今回の好走につながっている。ここまで走ったら勝ちたかったのが正直なところだろうが、勝ち馬のあまりの鋭さに屈してしまった。キンシャサノキセキ産駒は早熟な面があり、将来性という点では疑問符がつく。

ボンセルヴィーソは行き切ったことが正解である。これだけ遅いペースでは、中途半端に2、3番手で折り合おうと苦労するよりは、先頭に立ってしまった方が馬にとっては楽である。こちらも2歳戦に強いダイワメジャー産駒であり、あまりにも人気がなさすぎた。

牝馬ミスエルテは、最後の直線で追い詰めてきてはいるが、伸び切れず4着に敗れてしまった。G1レースで圧倒的な1番人気に推されたこともあり、ある程度の位置を取りに行ったことが裏目に出て、最後の詰めを欠いてしまった。前走のように、馬群から少し離して、折り合いに専念して脚をためていたら、突き抜けていたかもしれない。1週間出走を遅らせて、朝日杯フューチュリティSに臨んできたように、疲れが完全に癒えていなかったのも確かである。現時点では線が細く、バネだけで走っているが、時間をかけて馬をつくっていければ、ソウルスターリングの良きライバルとして凌ぎを削る存在になるはず。

タンビュライトはレースの流れに乗っているように見えたが、追い出してからさっぱり伸びず、馬群に沈んでいってしまった。調教で動かないように、まだ体に芯が入っていない状況であり、これから先の馬である。キャリア1戦で臨んだクリアザトラックは、レースの流れに戸惑い、時計を詰めることができなかった。この馬のスピードを生かすためには、今回だけのことを考えれば、思い切って逃げてしまった方が良かったかもしれない。レッドアンシェルも同じことが当てはまり、この馬の気性の激しさが超スローペースでは仇となった。

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Comments

お疲れ様です。
タンビュライトは今回ハミを変えるなど馬具をいじってきたようですがそれが合わなかったのかも?です。中間はNFしがらきに放牧に出ていたようですが、体調が悪ければ2月東京の共同通信杯という選択もあったはず。体調は悪くなかったと思います。
モンドキャンノはレースの距離を徐々に伸ばしてきましたね。最終追い切りは坂路ではなくコース追いでした。明らかにマイル戦に向かっての追い切りであり、この辺はロードカナロアで培った厩舎のノウハウが生きているのではないでしょうか?
ミスエルテはこういう流れが向かなかったのかな?と思います。また、川田騎手はハーブスターの時もそうですが、一番人気(特に重賞)だとこういう無難な乗り方が多いような気がします。
馬券はタンビュライトからのワイド4点流しで沈没でした(^_^;)
この日のルメール騎手は乗れて無かったですね。

当方の一口馬は11月19日と20日に新馬デビューしてそれぞれ11着と4着でした。良い所、修正すべき所が分かったので今は外厩(山元トレセンとグリーンウッド)で調整中です。
それでは。

Posted by: アダチ@おかやま | December 19, 2016 at 07:02 PM

観戦記ありがとうございます。
納得できないレースでしたが、腑に落ちました。
夕刊で、オルフェ級との記事がありましたが、
サトノアレスが本当に強いのかとうか、次走以降注目したいと思います。

Posted by: hagi | December 19, 2016 at 09:07 PM

アダチ@おかやまさん

こんにちは。

タンビュライトは将来性の高い馬だと思っていますが、現時点では(他の多くのルーラシップ産駒がそうであるように)身体ができきっていないですね。

あと気性的な問題もある馬が多いので、馬具を使ったりしているのでしょう。

一口馬主はレースで走ってくれていて羨ましいです(笑)

私の愛馬も年末に出走が決まりました。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 22, 2016 at 09:55 AM

hagiさん

そうおっしゃっていただけると、書いている甲斐があります。

サトノアレスの将来性は高いと思いますが、オルフェ―ヴ級は10年に1度ですから、ありえないでしょう(笑)

でも藤沢厩舎から強い馬が出て嬉しいです。

Posted by: 治郎丸敬之 | December 22, 2016 at 09:56 AM

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