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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第20回)

Hitokuti20

クインアマランサスと私の一口馬主としての初陣が終わった。ほろ苦いデビューと書くと響きは良いが、そのようなものではない。スタートしてからレースの流れに乗ることができず、終始馬群の後ろをついて回っただけの競馬。脚質的に末脚を伸ばす競馬が合っているということではなく、ただ単純に他馬のスピードに追いつくことができないがゆえの後方追走であった。次走につながる感触もなく、素質の片鱗を感じさせる瞬間もなく、夢も希望もない負け方を目の当たりにして、私は一口馬主の厳しさを思い知った。一口馬主の世界にはビギナーズラックなどまったくないのだ。

結果はある程度、覚悟していたつもりだが、そうはいってもレースの前夜から当日は気が気ではなかった。近くのコンビニで普段は買わない競馬新聞を買い、自宅でこっそり開いてみると、やはり人気がない。ほとんど印もついていない。父キングカメハメハ×母ヒカルアマランサスという良血にもかかわらず、これだけ注目されずにデビューするのは逆に難しい気もする。隣の枠順にいる、阪神ジュベナイルフィリーズをソウルスターリングが勝って今や飛ぶ鳥を落とす勢いのフランケル産駒のファヴォ―ラが1番人気に推されている。

この彼我の違いはなんだろう。印が多ければ良いということではないことなど重々承知しているつもりだが、分かっていても自分の馬が評価されていないことに対する、行き場のない無念さを感じないわけにはいかなかった。この感覚はどこかで味わったことがある。そう言えば遠い昔、学期末に渡された通知表を見たときのあの気持ちに似ている。言い訳もやり直しもできない、他者評価の厳しさ。私は馬柱欄を見ていることができなくなり、目をそらし、かつて通知表をそうしたように、競馬新聞をそっと閉じた。

今回のデビュー戦において、何よりも辛かったことは、クインアマランサスの走りを生で観ることができなかったことである。それは現地で応援できなかったということであり、またレースをリアルタイムで観戦できなかったという意味でもある。一生に1度しかないデビュー戦ぐらいは、たとえ日本全国どこの競馬場であっても、現地に駆け付けて観戦したかった。パドックから返し馬まで、自分の馬だけを見て、応援馬券を買う。それは(一口)馬主だけに許された体験であり、競馬の楽しみ方のひとつである。

しかし、私はなぜかその日、他の仕事でとてつもなく忙しく、阪神競馬場に赴くことができなかったばかりか、夢にまで見た愛馬のデビュー戦をレース後にレーシングビュワーで観なければならなかったのである。よりによって、年末の忙しいこの時期のこの日に出走させなくても良いのにと憎々しく思えた。クインアマランサスが最後の直線でもがくようにして走る姿を見て、私は自分が初めて選んだ1頭が凡馬であったことを悟り、さらに一口馬主はレースを生で観戦する自由もない、つまり愛馬が出走するレースを自分で選ぶことができないという不自由を突き付けられたのである。

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Comments

次郎丸さん
こんばんは。私もどうしても欲しい馬がいて初めてカタログ請求しました。
カタログは思っていた以上に綺麗でちょっとした馬体の写真集のようでした。
そして何より、やはり良血馬は高いです。
一口価格にしてもちょっと今回は無理だと思う馬もたくさんいました。
私が欲しいのは2016なので募集は来年のようです。
なんとなくですが一口馬主に向いてる人は単勝馬券を追い求めるのが好きな人ではないかと思いました。
だって競馬と違って勝つ馬を探すのではなく、走る馬を見極めないといけません。
そしてそれは馬券と違って次はこっちを狙おうなんてこともできません。
デビューから引退まで見守らなければいけません。
難しいことだと思います。

良血とは才能である。
父や母たちの偉大な能力を、血の中に宿している。
だからこそ、開花した良血馬は手がつけられないほど走る。

良血馬には必ず才能があると信じて一口馬主生活をがんばりましょう。

Posted by: 通りすがりの皇帝ペンギン | January 13, 2017 at 11:54 PM

小生の一口馬でブロンクスシルバーという馬がいました。
詳細な戦歴は省きますがデビュー戦はタイムオーバー、それを含めて3戦連続二桁順位でしたが4戦目に目覚めた?のか4着に入りました。
結局30戦3勝掲示板に載ること17回で去年の12月に引退し繁殖に上がりました。
3戦連続二桁順位の時は次郎丸さんと同じような気持ちになりましたが、勝ち上がった時には「嬉しい」よりも「馬に対してすまなかった」という気持ちの方が強かったです。
競馬は分からないものです。
だから面白いのではないのでしょうか?

Posted by: アダチ@おかやま | January 14, 2017 at 12:34 AM

ギャロップに連載を持つようになって、馬も持って、何か変わってしまったような気がします。

Posted by: シゲ | January 18, 2017 at 05:58 AM

通りすがりの皇帝ペンギンさん

こんばんは。

どうしても欲しい馬がいるって、素敵なことですね。

私はこれまでそのカタログをずっと眺めてきましたが、どうしてもという馬がおらず、20年ぐらい一口を始められませんでした。

今回、一口馬主を始めてみて分かったことは、やはり出走するだけでも大変で、勝ち上がることはそのさらに上の難しさだという当たり前のことです。

たしかに単勝を買うような競馬ファンには一口馬主は楽しみが合っていると私も思います。

何だかんだ言って、走り出したらはまってしまうのでしょうね(笑)

Posted by: 治郎丸敬之 | January 18, 2017 at 09:48 PM

アダチ@おかやまさん

こんばんは。

いつも的確な助言ありがとうございます。

たしかに競馬は分からないものですし、自分の愛馬に対して決めつけてはいけませんね。

ブロンクスシルバーのようにたくさん走って、クインアマランサスにも申し訳なかったと思うことができれば、私も一口馬主として成長できるのかもしれません。

Posted by: 治郎丸敬之 | January 18, 2017 at 09:50 PM

シゲさん

そうですかね。

自分では変わったつもりはないのですが、この歳になると競馬以外にもたくさんのことが降ってきて、時間がないというのが正直なところです。

すいません。

Posted by: 治郎丸敬之 | January 18, 2017 at 09:52 PM

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