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戸崎圭太騎手とクリストフ・ルメール騎手のリーディング争いを見て

Tosakikeita

2016年のリーディングジョッキーは戸崎圭太騎手であった。これで2014年からの3年連続となる。騎手になるために生まれてきたような天才型のジョッキーであり、もともとダート競馬よりも芝向きのスタイル(あえて言うならばハイブリッド型)であったため、中央競馬で頭角を現すのも時間の問題であった。美浦を所属としたことも上手く機能している。それにしても、と思う。それにしても、3年連続で全国リーディングを獲ってしまうとは、驚き以外のなにものでもない。特に今年は、クリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手がほぼフル参戦しての争いであり、前年を大きく上回る187勝を挙げてのものだけに、文句をつけようがない完勝であった。

戸崎圭太騎手の騎乗をひと言でいうと、道中はソツがなく、勝負所からが多彩ということか。ミルコ・デムーロ騎手や川田将雅騎手、岩田康誠騎手のように、積極的にレースのベストポジションを狙って馬を出してゆくタイプではなく、スタートしてから勝負所に至るまではひたすら静に徹している。余計なことをせず、その馬のリズムで走らせて負担を最小限に抑えて回ってくる。自分が馬券を買っている馬であれば、ときとして不甲斐なさや物足りなさを覚えることもあるが、客観的に見れば、騎乗馬の力を100%引き出すことに長けているということだ。

特筆すべきは、勝負所からの馬の追い方である。馬のタイプや馬場状態、同じレースであっても騎乗馬の余力や他馬との手応えの違いなどに応じて、馬を追うスタイルを変幻自在に変えている。たとえば、中央競馬の競馬学校で習うような正統派スタイルで追ってくることもあれば、馬の動きに合わせて自分の重心を動かして激しく追う、いわゆるブランコ乗りと呼ばれる追い方をすることもある。どちらが良いということではなく、それらを組み合わせて、馬が最も力を発揮できるように走らせるのである。このあたりの柔軟性を持つことは案外難しい。

たとえば、昨年のG1オークスにおける騎乗を例にとってみると、最後の直線ではチェッキーノをヨーロピアンスタイルで激しく追っていた。結果的には惜しい2着ではあったが、距離が少し長いと思われていたチェッキーノの脚を最後までグッと伸ばしたのは見事であった。限界まで力を出し切らされたチェッキーノはその後、ターフに戻ってくることなく引退してしまったが、裏を返せば、それだけ戸崎騎手はビッシリと追うことができるということである。対して、ヴィクトリアマイルにおいては、ストレイトガールのスピードを殺すことのないよう、スタートからゴールまでピタリと馬の背に張り付くようなアメリカンスタイルで騎乗していた。馬のタイプや余力によってスタイルを使い分けることができるのだ。

別に戸崎圭太騎手の素晴らしさを語るために、この記事を書いたわけではない。そんなことは競馬ファンならば百も承知だろう。私が言いたかったのは、地方競馬出身の戸崎圭太騎手とフランスからやってきたルメール騎手の2人がリーディングを争ったという事実を見て、誰がどう考えても、もうそろそろ日本の騎手免許制度や競馬学校のあり方を見直す時期が来ているのではないかということである。守るべきものがあることも分かる。しかし、一部の者たちにしかチャンスが与えられず、そうして生まれた限られたパイを培養して守ってゆく時代ではない。いきなり全てを変えるということではなく、変化を恐れることなく少しずつ変化し、誰にでもどこからでも頂点を目指せるシステムを完成させるべきではないだろうか。

関連エントリ
ガラスの競馬場:「騎手になるために生まれてきた」

Photo by 三浦晃一

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道悪馬場での圧勝を信じてはいけない

Cover

不良馬場を得意とする馬を、「水かきがついている」と表現していた時代があった。馬の蹄に水かきなどつきようもないのだが、水が浮いて田んぼのようになった馬場を1頭だけスイスイと走ってゴールしてしまう姿を見ると、まさに言い得て妙だと感心してしまう。水かきがついていると称された馬の代表格はレインボーアンバーであろうか。クラシック前哨戦である弥生賞にて、中山競馬場の不良馬場を2着馬に1.7秒の大差をつけて圧勝した。その水を得た魚のような走りを観て、競馬ファンがレインボーアンバーは不良馬場を滅法得意とすると考えたのは当然である。

しかし、レインボーアンバーが本当に不良馬場を得意としたかは甚だ疑問である。というのも、不良馬場が得意な馬などほとんどいないからである。雨が降って地盤が緩み、ぬかるんで滑ってしまうような馬場の方が、良馬場よりも上手に速く走れるという馬はさすがにいない。例外的には、安田記念を勝ったショウワモダンのように、雨が降ると喜んで走るという馬もいるかもしれないが、それは楽しんで走るという意味であって、速く走ることができるということでは決してない。むしろ雨が一滴でも体にかかると嫌がり、レースでも全く力を出し切れないサクラホクトオーのような馬の方が多い。つまり、不良馬場や道悪馬場が得意な馬などはいないのであり、得意そうに見える馬は他馬と比べると苦手としないということである。

不良馬場の巧拙を分けるのは、様々な要因が考えられる。

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柔らかい筋肉で覆われているノボバカラ:5つ☆

★シルクロードS
ネロ →馬体を見る
前後のバランスが良く、休み明けにしてはきっちりと仕上がっている。
表情からも素直な気性が伝わってくるように、力は安定して発揮できる。
Pad45star

ブランボヌール →馬体を見る
古馬になって全体的に肉付きが良くなり、その分、短距離馬らしい体つき。
どっしりと重心が低く、パワーアップしたが、現時点では毛艶が今ひとつ。
Pad3star

アースソニック →馬体を見る
トモの肉付きが素晴らしいが、胴部にはやや余裕があって、もうひと絞りほしい。
毛艶は冴えずに体調は完璧ではないが、重心が低くてパワーに溢れている。
Pad3star

ダンスディレクター →馬体を見る
このメンバーに入ると、手脚が長くて、距離延長がプラスに働く馬体を誇る。
まだ全的的な筋肉のメリハリに乏しく、トモの肉付きが物足りない。
Pad3star

ソルヴェイグ →馬体を見る
ダイワメジャー産駒にしては馬体に細さを感じさせ、バネで走るタイプなのだろう。
顔つきからは素直な気性が伝わってきて、休み明けでも力は出せるはず。
Pad4star

セカンドテーブル →馬体を見る
胴部が長く、その分手脚が短く重心が低く映る体型だけに、この距離はベスト。
冬場のこの時期にしては毛艶が輝いていて、体調の良さが伝わってくる。
Pad4star

セイウンコウセイ →馬体を見る
前後躯の実の入りのバランスが良く、大崩れはしないであろう体型を誇る。
気性的に気持ちが小さいところがあり、スムーズにレースができるかどうか。
Pad3star

★根岸S
ノボバカラ →馬体を見る
柔らかい筋肉で全身が覆われていて、全体のシルエットからも距離もベスト。
素直な気性が現れている瞳と顔つきであり、安定して力を出し切れるはず。
Pad5star

ラストダンサー →馬体を見る
キングカメハメハ産駒らしい上体の強さはなく、ダート馬としては線が細い。
芝の方が走りそうなタイプだけに、2連勝中でも馬体からは本命視しづらい。
Pad3star

ベストウォーリア →馬体を見る
いかにもダート歴戦の古馬といった馬体を誇り、鍛え上げられているのが分かる。
トモ高に映るように、短い距離がベストで、距離適性には上限があるタイプ。
Pad3star

ニシケンモノノフ →馬体を見る
特に後ろ肢がスラリと長く伸びて、ダート短距離馬の馬体とは思えない。
肩は立っているので、前駆は力強く、前輪駆動で走るタイプなのだろう。
Pad3star

キングズガード →馬体を見る
ダート馬とは思えないスラリとした馬体で、筋肉も強いというよりも柔らかい。
ややトモ高に映るように、スピードと一瞬の切れ味を持ち味とする馬である。
Pad4star

カフジテイク →馬体を見る
腹回りがふっくらとして映るように、現時点では完全に絞り切れてはいない。
それでも馬体全体に力感があり、バランスも良く、マイルぐらいがベストだろう。
Pad3star


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シルクロードSを当てるために知っておくべき3つのこと

Silkroads

■1■差し追い込み馬を狙え
開催時期が2月上旬に変更になって以降、過去10年間のラップタイムは以下のとおり。

12.0-10.7-10.8-10.7-11.2-12.4 (33.5-34.3)M
12.3-10.6-10.8-11.2-11.9-12.3 (33.7-35.4)H
11.9-10.8-10.9-11.0-11.7-12.2(33.6-34.9)H
12.2-11.1-11.1-11.2-11.0-11.5(34.4-33.7)M
12.5-11.0-11.3-11.1-10.9-11.4(34.8-33.4)S
12.0-11.0-11.1-11.0-11.3-11.9((34.1-34.2)M
12.4-11.4-11.2-11.1-10.9-11.6(35.0-33.6)S
12.2-11.0-10.9-10.8-11.0-11.5(34.1-33.3)M
11.9-10.9-11.1-11.2-11.1-11.7(33.9-34.0)M
12.0-10.9-10.8-11.1-11.4-11.7(33.7-34.2)M

スプリント戦にしては意外にもハイペースになっておらず、どの年も前半と後半がほとんどイーブンなペースで流れていることが分かる(ここ2年は前半の方が遅いペース)。京都の1200mコースは、スタートから最初のコーナーまでの距離が316mと長くも短くもない。3コーナーの丘を越えると、あとはゴールまで下り坂が続く。

一見、先行馬に有利な短距離戦に思えるが、実はそうでもない。前半が遅く見えるのは、スタートしてから第1コーナーまでが登り坂になっているから。ここで少しでもオーバーペースで行ってしまった先行馬は、最後の直線で脚が止まるのだ。2010年は前半よりも後半の方が速い、スローに極めて近いペースになったため、先行馬が押し切ってしまったが、基本的には中団よりやや後方で脚を溜める馬が有利になる。

■2■休み明けの馬は割引
厳寒期の始動戦という意味合いもあって、休み明けの一流馬たちは無理をして仕上げてはこない。その上、重いハンデを課せられるので、苦戦を強いられることになる。対して、2ヶ月以内にレースを使っている馬たちは、コンディションを維持しており、ハンデもそれほど重くはないはずで、一流馬相手にも好走が可能となる。ちなみに、開催時期が1月下旬~2月上旬に変更になって以来、過去10年の連対馬でアルティマトゥーレとロードカナロア、ドリームバレンチノ、ダッシャーゴーゴー以外の馬は、前走を前年の12月以降のレースに使われていた。G1級の馬は別として、前走からの間隔が開きすぎている馬は割り引いて考えた方が賢明か。

■3■淀短距離S組は負けた馬に妙味あり
番組のローテーション上、淀短距離Sが最も有力なステップレースとなる。ところが、淀短距離S→シルクロードSという連勝は、2008年のファイングレイン以外にはない(それまでは2着が最高)。それは淀短距離Sが別定戦で、シルクロードSがハンデ戦であることと関係があるだろう。淀短距離Sで負けて、ハンデが軽くなったシルクロードSで勝つというパターンはこれからも続くだろうし、その逆もまた然りである。

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「サラブレッドと暮しています」

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競馬の漫画といえば「パッパカパー」が真っ先に思い浮かび、それから「優駿の門」、「みどりのマキバオー」、「風のシルフィード」あたりで止まっているように、ここ最近はこれといった競馬マンガに出会えていない。そんな私が久しぶりに心を動かされたのが、園田競馬場の厩務員が描いた「サラブレッドと暮しています」である。1巻完結ということもあり、ストーリー性においては前述の漫画たちと比べようもないが、競走馬に対する愛情や理解という点においては、さすがに群を抜いている。厩務員から見た競馬の世界が実に見事に表現されていて、(マンガをそうすることはほとんどない)私が2度も読んでしまった。そして2度泣かされた。

著者である田村正一氏がこれまでに担当した、個性的な馬たちが続々と登場する。ひきこもりの馬、牡馬にモテモテの栗毛牝馬、走る気をまったく失くしてしまった馬など、サラブレッドといえどもこれほどまでに性格や気性が違うものかと驚かされる。その中でも最も多くの回に登場するのは、著者が園田競馬場にやってきて、初めて担当することになった9歳馬サイレントウイナーである。2歳から100戦以上を走り続け、複勝率が40%を超える、衰え知らずの堅実派。しかし実は気性が荒く、油断するとすぐに悪さをする、扱いの難しい馬でもある。噛まれたり、振り落されたり、怪我をさせられながらも献身的に尽くす厩務員は、人間の母親のそれに似ている。

衝撃のラストシーンには胸が詰まる。サイレントウイナーが競走中に故障を発生し、安楽死処分になってしまったのだ。突然の別れに戸惑いながらも、こんなことがあっても涙を見せないと決めていた著者だが、サイレントウイナーのいない馬房に戻ってきた瞬間に崩れ落ちる。そこには共に過ごした家族との日々があった。ネタバレになるから書かないでおこうかと思ったが、このマンガの大事なところはそこではない。担当馬の死に遭遇した著者は、それ以降、果たしてサイレントウイナーは「幸せだったのか?」と自問自答することになる。人間の都合で管理され、休むことなく走り続け、たった1度のアクシデントで命を落とした彼が幸せであったはずがないと。

競走馬と人間との別れは、あらゆる形で突然にやってくる。たとえばジェンティルドンナのように有終の美を飾り、名牝として華々しく私たちのもとを去ってゆく馬もいれば、プチコのようにゲート試験でこれ以上苦しめるのは可哀想と、繁殖牝馬としての期待を背に牧場に帰る馬もいる。そうではなく、シングウィズジョイのようにレース中に不慮の死を遂げる馬もいる。どのような別れであっても、私たちは「幸せだったのか?」と問うだろう。そこに答えはないかもしれない。しかし私は、このマンガのラストで調教師が著者に対してかけた言葉こそが答えになるのではないかと考える。その答えをひとりでも多くの競馬ファンに知ってもらいたい。

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精神的に燃え尽きた馬、充実している馬

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競走馬が途端に走らなくなってしまうのは、精神的な理由によることがほとんどである。アスリートとしての肉体が衰え、かつてのようなパフォーマンスができなくなるというよりも、死力を尽くそうとする気力が失われてしまう。つまり気持ちがついてこなくなってしまうのである。それは競走馬がレースで限界を超えて走らされていることの裏返しであり、特にレベルの高いレースで争う馬たちは頑張ってしまう分、その反動で燃え尽きてしまうことも多い。精神的に燃え尽きてしまった馬は、上位争いに加わることができなくなり、復活するにしても多大な時間を要することになる。上位の者たちの肉体的な資質の差はごくわずかであり、勝つか負けるかの一線を隔てるのは精神面によるところが大きいのである。

精神的に燃え尽きてしまった馬を見分けるには、調教では限界を超えて走る(走らされる)ことはないため、実際のレースを観てみるのが良い。追走で手一杯になってしまう馬もいれば(レースに参加したくないという気持ちが前面に出ている)、行きたがって騎手と喧嘩をしてしまう馬もいる(走りたいからではなくレースから逃げたいという心理がそうさせる)。また道中は手応え抜群で走っていたにもかかわらず、最後の直線では他馬に抵抗することなく、簡単に馬群に沈んでしまう馬もいる。こうした馬たちは、レースが終わってもすぐに息が入ってケロッとしていることが多い。つまり、持てる力を出し切っていない、力を余してしまっているのである。

私は競走馬が精神的に燃え尽きてしまうことを、ダンスパートナーという名牝の走りを通して教えてもらった。

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気持ちの強さを感じる顔つきのピオネロ:5つ☆

★東海s
アスカノロマン →馬体を見る
ダート馬らしくないコンパクトにまとまった馬体は、運動神経の良さを物語る。
さすがにこの時期だけに毛艶は落ちているが、闘争心溢れる表情は素晴らしい。
Pad45star

グレンツェント →馬体を見る
古馬になって馬体が成長し、昨年時にあった幼さが抜けてきた。
やや皮膚が厚く、重苦しさのある馬体だけに、ダート適性は高いのだろう。
Pad4star

ロワジャルダン →馬体を見る
全体的に伸びのある馬体は、ダートというよりも芝でこそ。
それだけにダートではパワー不足が否めず、良馬場だと最後の詰めを欠く。
Pad3star

ピオネロ →馬体を見る
この馬もネオユニヴァース産駒で、皮膚に厚さがある分のダート適性なのだろう。
全体的にパワーあふれる馬体で、気持ちの強さを感じる顔つきで好走しそう。
Pad5star

インカンテーション →馬体を見る
ふっくらとして体調は良さそうだが、時期的にも絞り切れていない箇所がある。
顔つきは精悍そのもので、7歳馬にしては走る気を失っていない。
Pad3star

ラストインパクト →馬体を見る
松田博資厩舎にいたときは馬体に伸びが出ていたが、今は詰まっている。
母系のティンバーカントリーの血が出ているタイプで、ダートは適性あり。
Pad3star

★AJCC
リアファル →馬体を見る
絶好調時の張りはまだ取り戻せておらず、時期的なこともあり皮膚が厚い。
前駆が力強いパワータイプだけに、今の中山競馬場の馬場は合うだろう。
Pad3star

シングウィズジョイ →馬体を見る
厳寒期の牝馬だけに、毛艶が良く見えないのは仕方ないとして、細く見える。
付くべきところには筋肉はついているが、このメンバーに入ると物足りない。
Pad3star

クリールカイザー →馬体を見る
馬の適性的にはこのレースは合っているが、腹回りが太く、仕上がりがイマイチ。
8歳馬ではあるが、馬体の張りは失っておらず、まだ今年も力を発揮できるはず。
Pad3star

セーヴァント →馬体を見る
父ディープインパクトよりも母系のデイジュールの血が見え隠れしている馬体。
顔つきから気性の素直さが伝わってくるように、その分、距離は持つのだろう。
Pad3star

タンタアレグリア →馬体を見る
この時期にして毛艶が光り輝くように、皮膚の薄さを維持している。
立ち姿もいかにもゼンノロブロイ産駒らしく、この距離は絶好の舞台か。
Pad4star

ルミナスウォリアー →馬体を見る
筋肉のメリハリに欠けて、時期的にやや余裕残しの馬体であることは確か。
それでも表情からは闘争心が伝わってくるように、力を出し切れる。
Pad3star

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AJCCを当てるために知っておくべき3つのこと

Ajcc

■1■やっぱり前に行ける馬が有利
13.0-11.3-12.3-11.9-11.7-11.7-11.8-12.1-12.0-12.0-13.0(60.2-60.9)M
12.7-11.3-12.7-12.3-12.2-12.1-12.1-12.2-11.8-11.9-12.3(61.2-60.3)S
12.3-11.8-12.5-12.2-12.7-12.4-12.0-12.1-11.6-11.7-12.6(61.5-60.0)S
12.3-11.3-12.7-12.2-12.0-12.4-12.4-12.2-11.9-11.2-12.0(60.5-59.7)M
13.0-11.9-13.0-12.8-12.7-12.5-11.8-11.4-11.5-11.3-12.3(63.4-58.3)S
12.6-11.3-13.4-13.2-13.3-12.5-12.4-12.3-12.1-12.0-12.2(63.8-61.0)S
12.3-11.5-12.2-11.6-12.1-12.2-12.4-12.5-12.1-11.5-12.7(59.7-61.2)H
12.5-11.1-12.9-12.2-12.4-12.3-11.9-12.3-12.4-11.9-12.1(61.1-60.6)M
12.6-11.7-13.4-13.2-12.1-11.9-12.1-12.0-11.4-11.2-12.0(63.0-58.7)S
12.3-11.2-12.8-12.2-12.3-12.0-12.0-11.8-11.6-11.8-12.0(60.8-59.2)S

前半が上りで、後半が下りというアップダウンの影響も大きいのだが、過去10年間のラップタイムを見るだけで、スローペースになりやすいことが分かる。同じ条件で行われるオールカマーほど極端ではないが、それでもやっぱり前に行ける馬が有利になる。

■2■長くいい脚を使えるタイプ
中山2200mコースの特性として、第2コーナーから最終コーナーにかけて、フォルスストレート(偽直線)を約500m下って最後の直線に向かうことになる。ラスト1000mのラップが速いのはそういうことでもあり、良い脚を長く使えるタイプの馬に適した舞台である。過去の勝ち馬を見てみると、マツリダゴッホしかり、ネヴァブションしかり、瞬発力勝負では分が悪いが、スピードを持続させる力に富んだ馬が強い。

■3■イマイチくんを狙え
古くはマチカネタンホイザやマチカネキンノホシ、エアシェイディから、最近ではディサイファまで、大レースではあと少しパンチ力が足りない馬たちが、AJCCでは見事に勝ち切ったケースが多い。時期的にG1級の馬が出走してこないことで出番が回ってくること、そして、現代の主流の瞬発力とスピードではなく、スタミナとパワーという反対のベクトルを問われるレースになりやすいことが理由として挙げられる。他のレースではなかなか勝ち切れなかったイマイチくんをここで狙ってみるのも面白い。

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ホースマンの愛情に応えるために、サラブレッドはレースで限界を超えて走る

Cover

2015年の週刊Gallopの特集「功労馬に会いに行こう」にナムラコクオーの名を見つけたとき、思わず前のめりになって読み入ってしまった。生きていたのかというのが正直な感想であり、土佐黒潮牧場で悠々自適な生活を送っていると知り、何とも言えない嬉しさがこみ上げて来た。牧場を走るナムラコクオーの後ろ姿を見て、私が自由な身であれば、今すぐにでも高知に飛んでいきたいとさえ思えた。現在ターフで闘う現役のサラブレッドに光が当たるのは当然として、かつての英雄たちのなつかしい表情を見ると、いかに自分が競馬と共に生きて来たかを思い知らされる。

現役を引退した競走馬はどこへ行くのか。素朴な疑問を抱く競馬ファンは多いだろう。ナムラコクオーのように功労馬として生活を送る馬もいれば、乗用馬としての新天地を切り開く馬もいる。もちろん、そうではない馬たちもたくさんいる。馬たちの余生はさまざま。走らなくなった馬を全て功労馬や乗用馬にすることが経済合理性に反することもよく理解できる。だからと言って、完全に割り切ってしまうことが正しいとも思えない。すべての競走馬たちを救うことは不可能だとしても、1頭でも多くの馬たちに手を差し伸べようとする気持ちを私たちは失ってはならない。

サラブレッドはしゃべれない。

どんな扱いを受けようが、ただ黙って、人間にすべてをゆだねて生きていく。
馬が生を受けるとき、父馬と母馬は、人間が人間の都合で選んだ種牡馬と繁殖牝馬である。生まれた子馬は、人間の都合で厳しい育成を受け、人間の都合で売買される。そして、人間の都合で激しいレースを闘わされ、これに勝ち抜いて生き残れば今度は、人間の都合で父馬や母馬として優れた血を伝えることを求められる。

彼らの生涯は、すべて人間の都合によって支配されているのである。

それでも、サラブレッドはしゃべれない。

何という儚い動物なのだろう。わずかなアクシデントでも命を失う過酷な宿命、熾烈な淘汰のための競争、人に委ねられた生活。そういう研ぎ澄まされた毎日を、まるで綱渡りでもするようにして、サラブレッドというガラス細工の芸術作品は、少しずつ少しずつ作り上げられていく。

この美しく儚い動物を守っていきたい、と私は思った。

私が競馬を仕事にしようと決めたのは、そういう思いが原点だった。
サラブレッドの人生を守り、より良い生涯を送れるように、私ができる限りのことをしたい。
牧場での毎日から生まれたそんな思いが出発点になって、私は競馬の世界に足を踏み入れていき、そして、サラブレッドと競馬の魅力の虜になって、離れられなくなった。
(「勝利の競馬、仕事の極意」角居勝彦著 より)

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完成期に入ったレッドエルディスト:5つ☆

★日経新春杯
ミッキーロケット →馬体を見る
キングカメハメハ産駒らしく、前駆には力強さがあり、胴部にも実が入っている。
手脚の長さがやや短く、重心が低いため、距離短縮は望むところだろう。
Pad4star

モンドインテロ →馬体を見る
馬体は華奢に映るように、余計なところに肉が付かず、コンパクトな馬体。
毛艶は少し落ちてきているので、体調的には絶好調とは言えないところ。
Pad3star

レッドエルディスト →馬体を見る
厳寒期にもかかわらず、いつもと変わらない毛艶を誇っていて体調は良い。
古馬になって線の細さも解消されてきて、この馬としては完成期に入った。
Pad5star

ヤマカツライデン →馬体を見る
胴部に長さがある反面、手脚がやや短く、全体的にはアンバランスな馬体。
毛艶は冴えていて、表情からも闘争心が伝わってくる力は発揮できる仕上がり。
Pad3star

ダコール →馬体を見る
昨年の夏から秋にかけて、馬体が充実してみえたが結果が出なかったように難しい。
現時点では毛艶が悪く、馬体もメリハリが欠けていて、あまり良くは見えない。
Pad3star

★京成杯
サーベラージュ →馬体を見る
特に前駆の立派さや首差しの形が父ヴィクトワールピサに似ていて好感が持てる。
全体のバランスが良く、胴部にあと拳1個分伸びが出て来たら最高の馬体になる。
Pad4star

マイネルスフェーン →馬体を見る
馬体としての迫力はないが、バネを感じさせる体つきをしておりいかにも切れそう。
馬体はコンパクトにまとまっており、現時点での完成度としては高い。
Pad3star

コマノインパルス →馬体を見る
首差しがスラリと長く、古馬のように立派な前駆を誇るが、後ろが物足りない。
そのため、どうしても極端な競馬になり、レースの流れに左右されてしまう。
Pad3star

アサギリジョー →馬体を見る
コロンと映る馬体からは、パワーが伝わってきて、今の中山競馬場は合っている。
前後にしっかりと実が入って、距離に不安はあるが、大崩れはしないはず。
Pad3star

イブキ →馬体を見る
ルーラーシップ産駒の馬体はまだサンプルが少なく、分からないところが多い。
前駆から首差しのあたりは理想的だが、トモが弱く脚が流れてしまっている。
Pad3star

アダムバローズ →馬体を見る
パワータイプに属するハーツクライ産駒なので、距離は2000mぐ らいがベスト。
手脚が短く映り、バランスは良くないが、前後躯を含め胴部の充実は素晴らしい。
Pad3star


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集中連載:現代のコアな競馬ファンがすなる一口馬主というものを(第20回)

Hitokuti20

クインアマランサスと私の一口馬主としての初陣が終わった。ほろ苦いデビューと書くと響きは良いが、そのようなものではない。スタートしてからレースの流れに乗ることができず、終始馬群の後ろをついて回っただけの競馬。脚質的に末脚を伸ばす競馬が合っているということではなく、ただ単純に他馬のスピードに追いつくことができないがゆえの後方追走であった。次走につながる感触もなく、素質の片鱗を感じさせる瞬間もなく、夢も希望もない負け方を目の当たりにして、私は一口馬主の厳しさを思い知った。一口馬主の世界にはビギナーズラックなどまったくないのだ。

結果はある程度、覚悟していたつもりだが、そうはいってもレースの前夜から当日は気が気ではなかった。近くのコンビニで普段は買わない競馬新聞を買い、自宅でこっそり開いてみると、やはり人気がない。ほとんど印もついていない。父キングカメハメハ×母ヒカルアマランサスという良血にもかかわらず、これだけ注目されずにデビューするのは逆に難しい気もする。隣の枠順にいる、阪神ジュベナイルフィリーズをソウルスターリングが勝って今や飛ぶ鳥を落とす勢いのフランケル産駒のファヴォ―ラが1番人気に推されている。

この彼我の違いはなんだろう。印が多ければ良いということではないことなど重々承知しているつもりだが、分かっていても自分の馬が評価されていないことに対する、行き場のない無念さを感じないわけにはいかなかった。この感覚はどこかで味わったことがある。そう言えば遠い昔、学期末に渡された通知表を見たときのあの気持ちに似ている。言い訳もやり直しもできない、他者評価の厳しさ。私は馬柱欄を見ていることができなくなり、目をそらし、かつて通知表をそうしたように、競馬新聞をそっと閉じた。

今回のデビュー戦において、何よりも辛かったことは、クインアマランサスの走りを生で観ることができなかったことである。それは現地で応援できなかったということであり、またレースをリアルタイムで観戦できなかったという意味でもある。一生に1度しかないデビュー戦ぐらいは、たとえ日本全国どこの競馬場であっても、現地に駆け付けて観戦したかった。パドックから返し馬まで、自分の馬だけを見て、応援馬券を買う。それは(一口)馬主だけに許された体験であり、競馬の楽しみ方のひとつである。

しかし、私はなぜかその日、他の仕事でとてつもなく忙しく、阪神競馬場に赴くことができなかったばかりか、夢にまで見た愛馬のデビュー戦をレース後にレーシングビュワーで観なければならなかったのである。よりによって、年末の忙しいこの時期のこの日に出走させなくても良いのにと憎々しく思えた。クインアマランサスが最後の直線でもがくようにして走る姿を見て、私は自分が初めて選んだ1頭が凡馬であったことを悟り、さらに一口馬主はレースを生で観戦する自由もない、つまり愛馬が出走するレースを自分で選ぶことができないという不自由を突き付けられたのである。

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日経新春杯を当てるために知っておくべき3つのこと

Nikkeisinsyunhai

京都の2400mはスローの瞬発力勝負になりやすい典型的なコースである。スタートしてから最初のコーナーまでが597mとかなり長いため、無理な先行争いもまずなく、1コーナーに入るとひと息入る。最後の直線が長いことを考えると、向う正面で自ら動く馬もさほどおらず、通常、各馬が動き始めるのは丘の坂下から。そこからラスト4ハロンの上がり勝負になる。

実際に過去10年間の日経新春杯のラップタイムを見てみると、その傾向がよく分かる。

2007年 トウカイワイルド
12.5-11.2-11.0-13.0-12.8-13.0-13.8-12.8-11.7-11.7-11.6-12.3(73.5-73.9)M
47.7-52.4-47.3
2008年 アドマイヤモナーク
12.5-11.4-11.3-12.7-12.8-12.6-12.5-12.3-11.9-12.2-12.2-13.0(73.3-74.1)M
47.9-50.2-49.3
2009年 テイエムプリキュア
12.7-11.3-11.7-12.7-12.7-12.6-12.6-12.1-11.6-11.9-11.9-12.8(73.7-72.9)M
48.4-50.0-48.2
2010年 メイショウベルーガ
12.7-10.3-11.0-12.4-12.5-12.4-12.3-12.9-12.1-11.9-12.1-11.8(71.3-73.1)H
46.4-50.1-47.9
2011年 ルーラーシップ
12.6-10.8-10.8-12.7-13.2-12.6-12.6-12.9-11.9-11.1-11.6-11.8(72.7-71.9)M
46.9-51.3-46.4
2012年 トゥザグローリー
12.3-11.0-11.3-12.2-12.3-12.5-12.4-12.8-11.8-11.5-11.7-11.9(71.6-72.1)M
46.8-50.0-46.9
2013年 カポーティスター
12.5-11.6-11.8-12.2-12.3-12.3-12.5-12.5-12.1-11.9-11.6-11.7(60.4-59.8)M
48.1-49.6-47.3
2014年 サトノブレス
13.1-11.5-11.3-12.3-12.0-12.8-12.5-12.2-12.0-11.9-11.0-11.8(60.2-58.9)S
48.2-49.5-46.7
2015年 アドマイヤデウス
12.8-11.3-11.6-12.4-12.4-12.3-12.6-12.7-12.3-11.6-11.3-11.5(60.5-59.4)S
48.1-50.0-46.7
2016年 レーヴミストラル
13.1-11.2-11.8-13.0-12.9-12.4-12.8-12.0-11.6-11.7-11.8-11.6(62.0-58.7)S
49.1-50.1-46.7

前後半のラップタイムから判断すると、ハイペースとなったのは2010年だけで、それ以外の年は、ミドル~スローペースとなっている。何よりも注目すべきは、前半中盤後半に分けた800mずつのラップタイムである。京都2400m外回りで行われる日経新春杯の特徴的な流れとして、「速緩速」もしくは「緩緩速」というリズムのレースが多く目立ち、典型的な上がり4ハロンの競馬になっていることが分かる。

以上のことから、3つのポイントが導き出される。

①内枠有利
②上がりの競馬に強い馬
③サンデーサイレンス直仔の産駒

①の内枠有利は言うまでもない。道中がこれだけスローに流れやすい以上、4つのコーナーで外々を回されてしまう外枠を引いた馬はロスが大きいということである。すんなり前に位置できる脚質の馬であれば大した問題ではないが、ギリギリまで脚を溜めて瞬発力勝負に賭けたい差し馬にとっては、内枠は願ったり叶ったりの枠になる。

3コーナーの丘の坂下から一気に動き始めるレースになりやすい以上、追っつけて伸びるような馬ではなく、一気にトップギアに入り、②上がりの競馬(ラスト4ハロンのスピード勝負)に強い馬にとって有利になる。スタミナよりも、折り合いさえつけばスピードの爆発力の方が問われるということである。

そういった意味において、③のサンデーサイレンス産駒が得意とする舞台であることが分かる。サンデーサイレンス直仔がいなくなった以降のサンプルは少ないが、それ以前の4年間では勝率15%、連対率26%という圧倒的な数字を残していた。今後は父から瞬発力を受け継いだ、サンデーサイレンス直仔の産駒、または母の父がサンデーサイレンスという血統の馬にも期待が出来るだろう。

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シンザン記念を当てるために知っておくべき3つのこと

Sinzankinen

■1■朝日杯フューチュリティS好走組優位
この時期に行われる3歳重賞ということもあって、朝日杯フューチュリティSで結果を出せなかった居残り組みと、これから上を目指す素質馬のぶつかり合いという図式となる。過去10年の戦績から見ると、完成度が高い朝日杯フューチュリティS組が3勝、2着2回とやや有利で、特に朝日杯フューチュリティSで好勝負していた馬が順調に出走してくれば、ほぼ間違いなく勝ち負けになる。

■2■前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬
同じ時期の同条件で行われる京都金杯と比べ、頭数が少なくなることもあって、ペースはスローに落ちることが多い。開幕2週目で前が止まりにくい馬場であることも含め、前々で競馬が出来る瞬発力に富んだ馬にとってはレースがしやすい。

また、この時期の3歳馬にとって、京都の外回りマイル戦は厳しいレースである。よって、1600mの距離を走ったことのない馬にとっては苦しいレースとなることは避けられない。ちなみに、連対馬20頭中19頭に1600m以上の出走経験があった。

■3■素質馬が集まるジョッキーに変化あり
武豊騎手が1997年から2006年までの10年間で6勝と圧倒的な勝率を誇っていた。2007年も武豊騎手から岩田騎手に乗り替わったもののアドマイヤオーラが勝ったように、武豊騎手にこの時期の素質馬が集まりやすかったと考えられる。しかし、2007年、2008年と岩田康誠騎手と安藤勝己騎手のワンツーが連続したように、この年を境として流れが大きく変わった。もう少し生々しく言うと、各陣営の武豊離れ(武豊騎手一辺倒ではなくなってきているということ)が進んだ。そこから最近は浜中俊騎手が4勝を挙げて世代交代かと思いきや、2015年はなんと武豊騎手がグランチャーレで勝利し、年間100勝を超える復活を見せた。ここ最近で勢いのあるジョッキーに乗ってみるのもひとつの手かもしれない。

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京都芝コースはディープ&キンカメ産駒で決まり!

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昨年の天皇賞秋や香港カップなどを勝ち、華々しく引退したモーリスの母系を辿ってゆくと、私が競馬を始めた頃に活躍していたメジロモントレーを経て、あの寺山修司が愛したメジロボサツに行き着く。メジロ牧場が紡いできた重厚な血が、新星の種牡馬スクリーンヒーローによって活性化されたのであろうか。1歳時にはわずか150万円で取引されたように、決して良血とは言えないモーリスが、世界中のホースマンたちの誰もが認める、スピードとスタミナ、パワーに卓越した名馬になったのだから競馬は面白い。

競馬の血統は奥が深く、複雑であることは確かだが、1頭1頭の馬たちの母系や父系を遡ってみても、どの馬が走る(勝つ)のかを探すという命題においては迷宮入りしてしまう。かといって、血統をロマンだけのための材料にするのももったいない。もし競馬の予想に血統を用いるとすれば、できるだけシンプルな方法でそうするべきである。その中のひとつとして、最も統計的な母数が多い、種牡馬の実績や特性などの傾向を中心に見るというものがある。それだけでは競走馬の半分しか把握できていないことになるが、それでも半分は理解できているとも言える。

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藤田菜七子騎手への提言

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有馬記念や東京大賞典が終わり、年始ぐらいはゆっくりとしたいところではあるが、2016年の競馬を振り返ってみたいという衝動に駆られている。今年の日本の競馬は、小さくも大きく変わったところがあり、後世から見ると歴史の転換点となったと思われる出来事も多かったのではないだろうか。思いつくままに書くと枚挙に暇がないが、それらを5つの論点に分けて綴ってみたい。

まずはJRAの女性騎手としては16年ぶりになるという、藤田菜七子騎手のデビューについて。3月に川崎競馬場で初騎乗したことを皮切りに、4月10日には中央競馬の福島競馬場で初勝利(サニーデイズ)を飾り、その後も騎乗を積み重ね、今年度は地方競馬を合わせて307レースに騎乗した。計7勝、2着12回という成績には確かに物足りなさが残るが、個人的には307回のレース経験を積むことができたことに価値があると思う。

藤田菜七子フィーバーというべきか、所属した厩舎や調教師だけではなく、JRAからマスメディアまでが全面的にサポートした結果、藤田菜七子騎手は武豊騎手と並ぶ、競馬界のアイドルにまで登りつめた。藤田菜七子騎手より前にも、たくさんの女性騎手たちがデビューしたものの、大したサポートを受けずにターフを去っていったことを考えると、彼女の出現と時代がマッチしたからこその一大現象になったのだと思う。競馬の人気を回復させたい競馬関係者たちと、愛くるしいルックスを備えた女性騎手が、お互いを利用し利用される関係を築くことができたのである。

それはそれで良いことであるが、作られた現象は一過性のものになりやすい。藤田菜七子騎手は今のうちにひと鞍でも多く乗り、様々な経験を積み、騎手としての技術を磨いてもらいたい。藤田菜七子だからとか、女性騎手だからという理由ではなく、馬を勝たせてもらいたいから騎乗依頼をされる騎手になってもらいたい。一刻も早く。人々の熱が冷めるのはあっと言う間であり、スキャンダルが表に出たりすれば追い風は逆風に変わるかもしれない。彼女がタレントとしてではなく、騎手として生きていたいと思っている純粋な気持ちは、楽しそうに馬に跨っているその姿を見れば伝わってくる。だからこその提言である。

藤田菜七子騎手の目標とするリサ・オールプレス騎手は8歳の頃から乗馬を始め、20歳の時に見習い騎手として修行を始めた。ハードな見習い時代を経て、2000/01年のシーズンにはニュージーランドのリーディングで3位に入る活躍を見せ始める。見習い騎手としての修業時代を振り返った彼女の言葉は重い。

「お酒はもちろん、車の運転も控えるように厳しく指導されました。毎日、朝から晩まで仕事尽くし。馬に乗るだけではなく、馬房の掃除や餌やりや馬体のチェックなど厩舎作業の全般をこなしました。見習いの4年間は午後の休みが週に1回だけ、本当にハードな毎日だったけど、こなさなければ生き残っていけない。そういう世界ですよね。若い頃は体力をつけるために体も鍛えなければならない。厩舎作業は重たい物を持ったり、本当に大変な毎日でした。母が心配して何度も様子を見に来てくれたりしたけど、そのたびにボス(調教師)に説得されたんですよ」

見習い期間の4年間は、週末や土日も関係なく、休みは1週間に1日の午後のみ。ブラック企業も真っ青なハードワークだが、この時代があるからこそ今があるとリサ・オールプレス騎手は語る。現役の騎手たちだけではなく、世の多くの女性や男性にとっても耳が痛くなるような話である。健康管理や安全管理を徹底せよ。遊んでいては生き残っていけない、何かを捨てなければ何も成し遂げることはできない。彼女がこの4年間で学んだことは、もちろん厩舎の仕事や競走馬にたずさわる知識など多岐にわたるはずだが、何よりも自分の仕事や人生への向き合い方ではなかったのか。自分を信じ、自分の仕事に打ち込むことだ。

幸か不幸か、藤田菜七子騎手には4年間も猶予は与えられていない。誰も見ていない劇場でデビューすることができなかった藤田菜七子騎手は、仕事に臨む姿勢から自分自身に対する信頼まで、成功も失敗も全て見られてしまうのだ。願わくは、彼女の周りに厳しく指導できる大人がいてほしい。そして、繰り返しになるが、藤田菜七子騎手には人一倍、馬に触れて、乗って、学んでもらいたい。遊んでいる時間はない。日本の競馬の未来の一端はあなたにかかっている。

Photo by 三浦晃一

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