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明暗


大阪杯2017―観戦記―
今年からG1レースに昇格した大阪杯。大方の予想通りにマルターズアポジーが先頭に立ち、前半が59秒6、後半が59秒3という平均ラップが刻まれたが、実際のレースをコントロールしていたのは武豊キタサンブラックであり、後続集団はスローに流れていたというのが実状であった。もう少し厳しいレースになるのかと思いきや、今までの産経大阪杯とあまり変わらないレースレベルであり、せっかくの好メンバーが揃ったにもかかわらず、個人的には物足りなさを感じた。

勝ったキタサンブラックは、終わってみればこのメンバーでは力が一枚抜けていた。キタサンブラックが強いのか、それとも他馬がだらしないのか、おそらくは前者だと思うのだが、大阪杯前にひと叩きされた他の有力馬たちがキタサンブラックの影すら踏めなかった。ハードに攻められて仕上がりも良かったのだろう。スタートしてから楽に3番手の内を確保し、道中は馬を外に置いてやや窮屈になりかけたが、いつの間にか単独で伸び伸びと走る形を取り戻し、実質上は逃げているのと同じポジションを走ることになった。豊富なスタミナに裏打ちされた大きなフットワークで、前へ前へと推進して止まらない、強いキタサンブラックが今年も健在である。

武豊騎手は昨年の産経大阪杯でアンビシャスに差された反省を生かし、今年は意識的に早めに動いて行った。昨年のジャパンカップは馬につかまっていたら勝っていた競馬であったが、今年の大阪杯は武豊騎手の的確なゴーサインがキタサンブラックを勝利に導いた。これ以上早くは動けないが、これよりも後続を待ってしまっていたら、瞬発力に長けた馬に差し切られてしまった可能性もあったはず。そう考えると、さすが精密な体内時計を内蔵している武豊騎手だからこその、見えないファインプレーであったと言える。

2着に入ったステファノスは、キタサンブラックを徹底的にマークし、捨て身の戦法を試みたことが功を奏した。差し脚を活かそうとして脚を溜めることに注力していたにもかかわらず、いざ追い出すと案外伸びないレースが続いていたが、今回はひたすら積極的に前を攻めることに徹していた。ディープインパクト産駒とはいえ、母父クロフネの血が濃く出ているタイプだけに、今回のようにパワーを生かす乗り方の方が合っているのではないだろうか。

ヤマカツエースは充実期に入っており、最後まで良く伸びたが、外枠を引いたこともあり、道中のポジションが少し悪かった。もう少し前のポジションを流れの中で確保することができれば、少なくとも2着はあったはずである。キングカメハメハ産駒は充実してくるとトモの筋肉が四角くなると言われるように、この馬も良く実の入ったトモになってきた。使われ続けている疲れさえ出なければ、安田記念でもチャンスは十分にある。

マカヒキは最後伸びているがあと一歩届かず。前走同様に、大きく負けているわけではないが、日本ダービー馬としては物足りなさを感じた競馬ファンも多かったはず。3歳時は伸びやかさや柔らか味があった馬体も、古馬になってからパドックを歩く姿を見ても、硬くて少しゴツゴツしてきた印象を受ける。もちろん、それが直接の敗因ではなく、昨年の凱旋門賞から京都記念、そして大阪杯に至るまでの一連の凡走は、日本ダービーを勝ったことによる精神的な燃え尽きがあると思う。それは目に見えない疲れであるがゆえに、いつ回復するのか、そもそも回復するのかさえも誰にも分からない。

サトノクラウンは馬体重がマイナス12kgと減らしての出走となった。絞れたものであれば当日の大幅なマイナス体重は気にする必要はないが、この馬の場合は精神的なものによるそれだったのであろう。香港遠征からここまでの疲れが出たのか、それとも予定していたよりも早めに仕上がってしまったことで、馬が耐えきれずに気負ってしまったのか。レースでもスタートしてからの行きっぷりが悪く、道中はデムーロ騎手が取りたかったポジションが取れず、キタサンブラックを早めに動いて封じ込めるつもりが、逆に突き放されてしまった。5歳になって精神的にもタフになって完成されたと思っていたが、思っていたほどではなかったということである。

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Comments

治郎丸さん、こんばんは。

キタサンブラックについては関西馬にも関わらず遅めの新馬戦をわざわざ東京で使ったところで注目し、デビュー2戦目の500万下で大きな馬券を取らせてもらった印象がずっとありました。

それ以降もスプリングSでは勝ったキタサンブラックを強いと認めるよりも、2着に敗れたリアルスティール福永騎手の仕掛け遅れの方がネットで話題になるなど、なかなか強さが認知されない割にきっちり馬券内に来る、個人的には美味しい馬でした(笑)

個人的には宝塚記念が転機だったと思います。追走スピードや、追い出してからの反応(ギアチェンジ)などは天性の資質ですが、大レースでの苦しいペースの最後の500mでいかに踏ん張れるのか?が名馬の資質で、実はそれが後天的に得られるものだとしたら、あの宝塚を大崩れせずに先行勢で唯一3着に粘って見せたところで競馬ファンの多くがこの馬の強さをようやく認めたような気がします。

そして、武豊騎手との出会いも幸運でしたね。
武騎手は全盛期に比べるともはや乗り難しい馬を御する技術や、馬群を捌く反射神経や目の良さなどはだいぶ衰えてると思います。日曜日の特別戦でも連続でライバル騎手にマークされて被せられ、脚を余すような負け方をしていました。それでもキタサンブラックのように気性がよく意のままに操れる先行馬と組めば、長年つちかってきた駆け引きの経験で、衰えた部分をカバーできてしまいます。

北村騎手や横山騎手でも去年勝った重賞のうちいくつかは勝てたかもしれませんが、武騎手が勝てたGⅠのいくつかは負けてたかもしれませんお互い必要なピースが幸福に組み合わさって名馬が誕生したと感じます。

応援してる福永騎手ですが、調教師の指示やアンビシャスのここまでの馬作りの経緯もあるにせよ、せっかくもらったチャンスを活かそうという気迫を感じさせないままのレースぶりで残念です。不運な落馬負傷などもありましたが、平場の騎乗馬の質で外国人騎手に押されがちな自身の地位を回復させる絶好のチャンスだと思ったのですが・・・若いころはキングヘロー再騎乗の時に坊主頭にして鬼気迫る乗り方をしてたように、もう少しガッツがあったはずなのに。

次のGⅠチャンスの皐月賞までまだモヤモヤ過ごすことになりそうです。

Posted by: シンプル | April 04, 2017 at 12:17 AM

シンプルさん

こんばんは。

私もキタサンブラックと武豊騎手に関して、まったく同じように考えていますよ。

今の武豊騎手には最適な、これ以上ないパートナーであり、それはキタサンブラックにとっても然りですね。

福永騎手はそのスタイルを貫いているという点では、頑固な面があるのだと思いますし、平場ではそれゆえに結果を出せている面もあると思います。臨機応変に変えてゆくのは、私たちが思うよりも、難しいことなのでしょうね。

Posted by: 治郎丸敬之 | April 04, 2017 at 12:40 AM

治郎丸さん、お疲れ様です。
G1を勝つ、、、結果を予言するような内容お見事です。
ヤマカツはあと一列前のポジションが欲しかったですが仕方ないですね。まぁ取れたとしても勝つまでは厳しかったとも思います。
これで面割れ、これ以上の舞台も無いと思われるので馬券的な狙い目は無くなりました。
キタサン&武騎手は本当に素晴らしかったと思います。キタサンはいつもビジュアル以上に走ります、体型、箱の大きさから必ずしもベスト条件とは思いませんし、本当に武騎手に合っているとしか言いようがありません。若い頃のひらめきや圧倒的な体力、良い意味での強引さは少なくなりましたが、いぶし銀的にレースを支配するケースはまだまだありそうです。
また今の有力古馬陣には瞬発力型が多く、キタサン相手の先行争いは難しいようです。
が、しかしそこはそれ勝負の世界だけに、サ○ノ軍団、○台軍団の包囲網が有るかも知れませんね。そこをどう突破するのか?馬券を離れて注目したいものです。

Posted by: 愛知のポルンガ | April 05, 2017 at 01:12 AM

愛知のポルンガさん

キタサンブラックはあの馬体とフットワークでバテないのですから、競馬関係者から見ても化け物ですよ。

キタサンブラックを上回るスピードとスタミナがないと、潰しに行くどころかマークさえも苦しいです。

それができるとすれば、サトノダイヤモンド1頭だけということになるのでしょうから、天皇賞春は素晴らしいレースになりそうな予感がします。

Posted by: 治郎丸敬之 | April 05, 2017 at 11:58 PM

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